(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理蓋アセンブリが、前記遮断プレート上に位置するウォーターボックスをさらに備え、前記第1のガス領域が、前記遮断プレートと前記ウォーターボックスの間に定められる、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャンバ。
前記第2の電極の第1の面から前記第2の電極の第2の面に延びる前記複数の第3の通路の各々が、前記第2の電極の前記第2の面の方向に開いたボアに接続された前記第2の電極の前記第1の面の方向を向いた開口部を有する円錐形チャネルにより定められる、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャンバ。
プラズマ生成ガスのラジカルを処理容積に供給するための処理蓋アセンブリであって、 プラズマを生成して前記処理容積に1又はそれ以上のラジカル種を供給するように構成されたプラズマキャビティと、
第1の電極と、
前記第1の電極と実質的に平行な第2の電極と、
を備え、前記第1の電極は、
前記処理容積に面する前記第1の電極の第1の面から前記第1の電極の第2の面へ延び、前記1又はそれ以上のラジカル種を前記プラズマキャビティから前記処理容積に送出するための複数の第1の通路と、
前記第1の電極の前記第1の面から前記第2の電極の前記第2の面へ延び、前記処理容積に反応ガスを送出するよう構成された複数の第2の通路と、
を有し、前記第2の電極は、前記第2の電極の第1の面から前記第2の電極の第2の面へ延び、前記プラズマキャビティにプラズマ生成ガスを送出するための複数の第3の通路を有し、前記プラズマキャビティは、前記第1の電極と前記第2の電極の間に定められ、前記第2の電極の第1の面は前記プラズマキャビティに面し、
さらに、前記プラズマキャビティの上方に位置し、前記複数の第3の通路を介して前記プラズマキャビティに流体を通すよう結合された第1のガス領域であって、前記複数の第3の通路が、前記第1のガス領域から前記プラズマキャビティへ前記プラズマ生成ガスを送出するようにされている、第1のガス領域と、
前記第1のガス領域と前記プラズマキャビティの間に位置し、前記処理容積に反応性ガスを送出するよう構成された第2のガス領域であって、前記複数の第2の通路を介して前記処理容積に流体を通すよう結合された第2のガス領域と、
前記第2の電極上に配置された遮断プレートと、
を有し、前記第2のガス領域は、前記遮断プレートと前記第2の電極の間に定められ、前記遮断プレートは、前記遮断プレートの第1の面から前記遮断プレートの第2の面へ延びる複数の第4の通路を有し、前記複数の第4の通路のそれぞれは、前記第3の通路の対応するものと結合され、かつ、前記複数の第3の通路から前記プラズマキャビティへ前記プラズマ生成ガスを送出するよう構成されていることを特徴とする処理蓋アセンブリ。
前記第1の電極及び前記第2の電極の周縁部近くにおいて前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置された、前記プラズマキャビティをさらに定める絶縁体をさらに備える、ことを特徴とする請求項5に記載の処理蓋アセンブリ。
前記第2の電極の第1の面から前記第2の電極の第2の面に延びる、前記複数の第3の通路の各々は、前記第2の電極の前記第2の面の方向に開いたボアに接続された前記第2の電極の前記第1の面の方向に向いた開口部を有する円錐形チャネルにより定められる、ことを特徴とする請求項5に記載の処理蓋アセンブリ。
前記複数の第2の通路は、前記プラズマキャビティを横切り、前記第2の電極の第1の面を通過して前記第2の電極の第2の面まで延びることを特徴とする請求項1に記載のチャンバ。
前記複数の第2の通路は、前記プラズマキャビティを横切り、前記第2の電極の第1の面を通過して前記第2の電極の第2の面まで延びることを特徴とする請求項5に記載の処理蓋アセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、図に共通する同一の要素については、可能であれば同一の参照番号を用いて示している。さらなる記述がなくても、1つの実施形態の要素及び特徴部を他の実施形態に有利に組み入れることができる。
【0013】
本発明の実施形態は、一般に材料を堆積させるための装置及び方法に関し、より詳細には、プラズマ増強プロセス中に材料を堆積させるように構成された蒸着チャンバに関する。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバの処理容積に隣接する、活性反応種を生成するためのプラズマ源を組み込んだプロセスチャンバ蓋を提供する。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ蓋アセンブリが、活性反応種が生成されるプラズマキャビティを形成する複数の構成要素、並びに各々が1又は複数種の反応ガス及びプラズマの各々を処理容積に送出するための2つの別個の経路を備える。処理蓋アセンブリ内でプラズマを内部的に生成する能力により、プラズマ励起された化学種がプロセスチャンバの処理容積内の基板面に達するまでに移動する必要がある距離が、RPSを使用するシステムと比較して減少する。処理容積内で利用可能な活性種の量が大幅に増加すると同時に、利用可能な活性種の増加を実現するために必要な出力が低減される。
【0014】
図1は、本発明の1つの実施形態によるプロセスチャンバ100の概略図である。1つの実施形態では、このプロセスチャンバが、プラズマから生成された少なくとも1つの前駆体を含む金属窒化膜を形成する。
【0015】
プロセスチャンバ100は、チャンバ本体110、チャンバ本体110内に配置された基板支持部112、及びチャンバ本体110上に配置されたプロセスチャンバ蓋アセンブリ114を備える。
【0016】
基板支持部112は、1又はそれ以上の基板116を支持して、この1又はそれ以上の基板116を、チャンバ本体110及び処理蓋アセンブリ114により定められる処理容積118内の前駆体に曝すように構成される。1つの実施形態では、基板支持部112が、1又はそれ以上の基板116を処理の実行に必要な温度に加熱するヒータ120を含む。
【0017】
処理蓋アセンブリ114は、シャワーヘッドアセンブリ122を備え、このシャワーヘッドアセンブリ122上には、処理蓋アセンブリ114の温度制御を行うためのウォーターボックス140が位置する。シャワーヘッドアセンブリ122は、やはり蓋プレートとして機能する第1の電極124、プラズマキャビティのRF電極として機能する、第1の電極124と実質的に平行に位置する第2の電極128、第1の電極124と第2の電極128の間に位置する絶縁体132、及び第2の電極128上に位置する遮断プレート136を備える。第1の電極124、絶縁体132及び第2の電極128は、容量性プラズマ145を生成できるプラズマキャビティ144を定める。1つの実施形態では、第1の電極124がRF(高周波)接地に結合され、第2の電極128がRF電源146に結合され、絶縁体132が、第1の電極124を第2の電極128から電気的に絶縁する。
【0018】
プラズマキャビティ144には、ガス注入口149A、149Bを介して、プラズマキャビティ144に1又は複数種のプラズマ生成ガスを供給するための第1のガス源148が結合される。第2の電極128にRF電力が印加されると、プラズマキャビティ144内で容量性プラズマ145を生成することができる。プラズマキャビティには、キャリアガス及びパージガスなどのその他のガスを結合して、プラズマキャビティにプラズマ生成ガスを送出し、またプロセスチャンバ100からプラズマ生成ガスを排気することができる。
【0019】
第1の電極124は、処理容積118に隣接する第1の面150すなわち下面、及びプラズマキャビティ144に隣接する第2の面152すなわち上面を有し、これらの間には複数の第1の通路154が形成される。この複数の第1の通路154は、処理容積118をプラズマキャビティ144に結合して、プラズマキャビティ144から処理容積118に活性反応種を送出するための導管を形成する。この複数の第1の通路154を使用して、キャリアガス、パージガス及び/又クリーニングガスなどのその他のガスをプロセスチャンバ100に送出することもできる。1つの実施形態では、複数の第1の通路154が、基板支持体112の表面積に対応する第1の電極124の表面積にわたって均等に分散する。第1の電極124は、処理容積118に1又はそれ以上の前駆体を供給するための第2のガス源158にガス注入口159を介して処理容積118を結合する複数の第2の通路156も有する。この複数の第2の通路156を使用して、キャリアガス、パージガス及び/又クリーニングガスなどのその他のガスをプロセスチャンバ100に送出することもできる。
【0020】
1つの実施形態では、第1の電極124を金属又は金属合金などの導電材料から形成することができる。1つの実施形態では、第1の電極124が平らなディスクである。1つの実施形態では、第1の電極124が金属から形成される。例示的な金属は、アルミニウム、鋼、(任意にニッケルを含む鉄−クロム合金などの)ステンレス鋼、鉄、ニッケル、クロム、これらの合金、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択することができる。
【0021】
第2の電極128は、プラズマキャビティ144に隣接する第1の面160すなわち下面、及び第1の面に対向する第2の面162すなわち上面を有し、第1の面160と第2の面162の間には、第1のガス源148からプラズマキャビティ144に1又は複数種のプラズマ生成ガスを供給するための複数の第3の通路164が形成される。この複数の第3の通路164を使用して、キャリアガス、パージガス及び/又クリーニングガスなどのその他のガスをプロセスチャンバ100に送出することもできる。
図1に示すように、複数の第2の通路156は、プラズマキャビティ144を横切り、第2の電極128の第1の面160を通過して第2の電極128の第2の面162まで延びる。
【0022】
1つの実施形態では、第2の電極128を金属又は金属合金などの導電材料から形成することができる。1つの実施形態では、第2の電極128が金属から形成される。例示的な金属は、アルミニウム、鋼、(任意にニッケルを含む鉄−クロム合金などの)ステンレス鋼、鉄、ニッケル、クロム、これらの合金、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択することができる。1つの実施形態では、第2の電極128が平らなディスクである。
【0023】
絶縁体132は、第1の電極124と第2の電極128の間に電気的絶縁を提供し、電気絶縁材料から形成することができる。1つの実施形態では、絶縁体132が、例えば窒化アルミニウム(AL
xN
y)又は酸化アルミニウム(Al
2O
3)などのセラミック材料から形成される。
【0024】
遮断プレート136は、第2の電極128上に配置されて凹部166を有し、これにより凹部166と第2の電極128の第2の面162によって定められる第2のガス領域168を形成する。第2のガス領域168は、処理容積118の上方に位置し、処理容積118に前駆体ガスを供給するための複数の第2の通路156を介して処理容積118に結合される。遮断プレート136は、第1の面170すなわち下面及び第2の面172すなわち上面を有し、第2のガス領域168は、この遮断プレート136の第1の面170と第2の電極128の第2の面162の間に定められる。プラズマキャビティ144にプラズマ生成ガスを送出するための複数の第3の通路164には、遮断プレート136の第1の面170を遮断プレート136の第2の面172に結合するための複数の第4の通路178が結合する。
【0025】
1つの実施形態では、第2のガス源158からの1又はそれ以上の前駆体ガスが、ガス注入口159を介して第2のガス領域168に流入し、これが複数の第2の通路156を通って処理容積118に流入し、ここで1又はそれ以上の基板116の表面へ向けて送出される。1つの実施形態では、遮断プレート136が、処理容積118に前駆体ガスを均一に送出する役に立つように設計できる複数のプレートを含むことができる。
【0026】
1つの実施形態では、遮断プレート136上にウォーターボックス140が配置される。ウォーターボックス140は、凹部174を有することができ、これにより凹部174と遮断プレート136の第2の面172によって定められる第1のガス領域176を形成する。第1のガス領域176は、プラズマキャビティ144の上方に位置し、プラズマキャビティにプラズマ生成ガスを供給するための複数の第3の通路164を介してプラズマキャビティ144に結合される。プラズマ生成ガスは、第1のガス源148からガス注入口149A、149Bを介して第1のガス領域176に流れ、ここで複数の第3の通路164を通ってプラズマキャビティ144内に径方向に分散し、ここで第2の電極128にRF電力が供給されて、プラズマキャビティ144内に容量性プラズマ145を形成する。その後、容量性プラズマ145内の活性化したラジカルが、複数の第1の通路154を介して処理容積118に送出される。
【0027】
図1に示すように、複数の第1の通路154は、複数の第3の通路164からオフセットされ(例えば、「見通し線」を有しておらず)、これによりウェハ表面に活性種が均一に送出されるのを支援する。本明細書で説明するように、いくつかの実施形態では、複数の第1の通路154が複数の第3の通路164と一列に並ぶこと、すなわち見通し線内にあることが望ましい。本明細書で使用する「見通し線」とは、2つの地点間の直線経路又は実質的な直線経路を意味する。直線経路又は実質的な直線経路は、少なくとも2つの地点間をガス又はプラズマが流れるために遮るものがない経路又は隠されていない経路を実現することができる。一般に、遮られた経路又は隠れた経路は、プラズマの通過を妨げ又は実質的に抑える一方でガスの通過を可能にする。従って、通常、見通し線経路は、ガス又はプラズマの通過を可能にするが、2つの地点間に見通し線を有していない経路は、プラズマの通過を妨げ又は実質的に抑えてガスの通過を可能する。
【0028】
ウォーターボックス140は、処理蓋アセンブリ114などの処理蓋アセンブリから熱を除去することにより、プロセスチャンバ100の温度を調整するために使用される。ウォーターボックス140は、シャワーヘッドアセンブリ122の上部に位置することができる。ウォーターボックス140は、処理蓋アセンブリ114のシャワーヘッドアセンブリ122などから熱を除去する。堆積プロセス中には、注入口(図示せず)を通じてウォーターボックス140内に初期温度の流体が投与される。この流体は、通路(図示せず)に沿って移動しながら熱を吸収する。温度が高くなった流体は、排水口(図示せず)を介してウォーターボックス140から除去される。ウォーターボックス140は、アルミニウム、(アルミニウム6061のようなアルミニウムマグネシウムシリコン合金などの)アルミニウム合金、アルミニウムでめっきした金属、ステンレス鋼、ニッケル、(INCONEL(登録商標)又はHASTELLOY(登録商標)などの)ニッケル合金、ニッケルでめっきしたアルミニウム、ニッケルでめっきした金属、クロム、鉄、これらの合金、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせなどの金属を含むことができ、或いはこれらの金属から形成することができる。1つの例では、ウォーターボックス140が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含むことができ、或いはアルミニウム又はアルミニウム合金から形成される。
【0029】
ウォーターボックス140は、堆積プロセス中にウォーターボックス140に流体を供給するための流体源179に接続することができる。この流体は、液体、ガス又は超臨界状態であることができ、熱をタイムリーに吸収して放散することができる。ウォーターボックス140内で使用できる液体としては、水、オイル、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、その他の有機溶媒、(CO
2などの)超臨界流体、これらの誘導体、又はこれらの混合物が挙げられる。ガスとしては、窒素、アルゴン、空気、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ウォーターボックス140は、水又は水/アルコール混合物を供給されることが好ましい。
【0030】
プロセスチャンバ100は、処理容積118から排出を行って処理容積118内に所望の圧力レベルを得るように構成された真空ポンプ180をさらに備える。プロセス中、真空ポンプ180は、処理容積118内に、プラズマキャビティ144と比較して陰圧を与え、従ってプラズマキャビティ144内の化学種が処理容積118に流入できるようにする。
【0031】
いくつかの実施形態では、ガス注入口149A、149B及び159の少なくとも1つに隣接してフェライト含有要素190A、190B及び190Cを配置する。フェライト含有要素190A、190B及び190Cをガス注入口149A、149B及び159に隣接して配置し、ガス注入口149A、149B及び159の近くにおける寄生プラズマの形成又はアーク放電を減少させることができる。フェライト含有要素190A、190B及び190Cは、平行なフェライト境界を形成することができ、これによりこのフェライト境界に垂直なRF電流を抑制し、この境界と平行な磁場成分を吸収する。
【0032】
フェライト含有要素190A、190B、190Cは、プロセスチャンバ100の一部内のRF電流の流れによって形成される発生した(磁場などの)場が優先的に流れる経路を提供するために使用できるあらゆる材料から形成することができる。1つの例では、フェライト含有要素190A、190B及び190Cをフェライト材料から形成し、又はこれらの要素にフェライト材料を埋め込むことができる。フェライト材料は、ヘマタイト(Fe
2O
3)又はマグネタイト(Fe
3O
4)などの酸化物、並びにその他の金属の酸化物から得られる非導電強磁性セラミック化合物を含むことができる。フェライト材料は、ニッケル、亜鉛、及び/又はマンガン化合物さらに含むことができる。例示的なフェライト材料としては、マンガンフェライト、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
フェライト含有要素190A、190B及び190Cは、フェライト境界に垂直なRF電流を抑制し、この境界と平行な磁場成分を吸収するあらゆる形をとることができる。フェライト含有要素190A、190B及び190Cの例示的な形状としては、リング状、環状及びコイル状が挙げられる。1つの例示的な実施形態では、ガス注入口149Bがアルミニウム管であり、フェライト含有要素190Bが、ニッケル亜鉛フェライトを含む複数の環状又はドーナツ状のフェライト部材を含む。
図1に示すような別の例示的な実施形態では、ガス注入口149A、149B及び159がアルミニウム管であり、各アルミニウム管が、ニッケル亜鉛フェライトを含む複数の環状又はドーナツ状のフェライト部材を含むそれぞれのフェライト含有要素190A、190B及び190Cで取り巻かれる。
【0034】
図2は、本発明の1つの実施形態による処理蓋アセンブリ214の別の実施形態を有する別のプロセスチャンバ200の概略図である。プロセスチャンバ200は、プロセスチャンバ100の第2の電極128が複数の円錐形キャビティ264を有する第2の電極228に置き換えられていることを除き、
図1に示すプロセスチャンバ100と同様のものである。この円錐形キャビティは、第1の電極124と第2の電極228の間が可変距離であることと相俟って、より広いプラズマ点火窓を可能にする。円錐形キャビティ264内でプラズマを効果的に引き起こすことができ、この結果、第1の電極124と第2の電極228の間のプラズマキャビティ全体にわたって均一なプラズマを維持することができる。
【0035】
処理蓋アセンブリ214はシャワーヘッドアセンブリ222を含み、この上にウォーターボックス140が位置する。シャワーヘッドアセンブリ222は、第1の電極124、この第1の電極124と実質的に平行に位置する第2の電極228、第1の電極124と第2の電極228の間に位置する絶縁体132、及び第2の電極228上に位置する遮断プレート136を含む。第1の電極124、絶縁体132及び第2の電極228は、プラズマキャビティ244を定め、ここで容量性プラズマを生成することができる。1つの実施形態では、第1の電極124がRF(高周波)接地に結合され、第2の電極228がRF電源146に結合され、絶縁体132が、第1の電極124を第2の電極228から電気的に絶縁する。
【0036】
図3Aは、本発明の1つの実施形態による処理蓋アセンブリ214の第2の電極228の部分断面図である。
図3Bは、
図3Aの第2の電極228の底面図であり、
図3Cは、その上面図である。第2の電極228は、プラズマキャビティ244に隣接して位置する第1の面260すなわち下面、及び第1の面260に対向する第2の面262すなわち上面を有し、これらの間には、処理容積に1又はそれ以上の前駆体を供給するための複数の第2の通路256、及びガス源からプラズマキャビティ244に1又はそれ以上の反応ガスを供給するための複数の第3の通路264が形成される。
【0037】
1つの実施形態では、複数の第3の通路264を第2の電極228にわたって均等に分散させることができる。1つの実施形態では、複数の第3の通路264が、円錐形チャネル272に結合された狭いボア270を含み、円錐形チャネル272の直径は、複数の第3の通路264が第2の電極228の第2の面262から第2の電極228の第1の面260へ延びるにつれて拡大する。1つの実施形態では、円錐形チャネル272の側壁が、角度「α」を形成する。1つの実施形態では、この角度「α」が、約20°〜約30°である。
【0038】
1つの実施形態では、複数の第2の通路256を第2の電極228にわたって均等に分散させることができる。1つの実施形態では、複数の第2の通路256が、第1の面260から延びて直線状のチャネル259に結合された狭いボア258を含み、この直線状のチャネル259が第2の電極228の第2の面262へ延びる。
【0039】
1つの実施形態では、第2の電極228を金属又は金属合金などの導電材料から形成することができる。1つの実施形態では、第2の電極228が金属から形成される。例示的な金属は、アルミニウム、鋼、(任意にニッケルを含む鉄−クロム合金などの)ステンレス鋼、鉄、ニッケル、クロム、これらの合金、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択することができる。1つの実施形態では、第2の電極228が平らなディスクである。
【0040】
図4は、本発明の1つの実施形態による処理蓋アセンブリのシャワーヘッドアセンブリ422の部分断面図である。シャワーヘッドアセンブリ422は、第1の電極424が、プロセスチャンバ100、200などのプロセスチャンバの処理容積に活性種を送出するための複数の第3の通路264と位置合わせされた又はこの「見通し線」内にある複数の第1の通路454を有する点を除き、シャワーヘッドアセンブリ222と同様のものである。複数の第1の通路454が複数の第3の通路264と位置合わせされたいくつかの実施形態では、より低い出力レベルを使用して、より大量の反応種を処理容積に送出することができる。
【0041】
第1の電極424は、処理容積118に隣接する第1の面450すなわち下面、及びプラズマキャビティ244に隣接する第2の面452すなわち上面を有し、これらの間に複数の第1の通路454が形成される。複数の第1の通路454は、処理容積118をプラズマキャビティ244に結合して、プラズマキャビティ244から処理容積118に活性反応種を送出するための導管を形成する。この複数の第1の通路454を使用して、キャリアガス、パージガス及び/又クリーニングガスなどのその他のガスをプロセスチャンバ100に送出することもできる。1つの実施形態では、複数の第1の通路454が、基板支持体112の表面積に対応する第1の電極424の表面積にわたって均等に分散する。第1の電極424は、処理容積118に1又はそれ以上の前駆体を供給するための第2のガス源に処理容積118を結合する複数の第2の通路456も有する。この複数の第2の通路456を使用して、キャリアガス、パージガス及び/又クリーニングガスなどのその他のガスをプロセスチャンバ100に送出することもできる。
【0042】
1つの実施形態では、第1の電極424を金属又は金属合金などの導電材料から形成することができる。1つの実施形態では、第1の電極424が平らなディスクである。1つの実施形態では、第1の電極424が、アルミニウム、鋼、(任意にニッケルを含む鉄−クロム合金などの)ステンレス鋼、鉄、ニッケル、クロム、これらの合金、又はこれらの組み合わせなどの金属から形成される。
【0043】
(第1の電極124、424、絶縁体132、第2の電極128、228、遮断プレート136、ウォーターボックス140、及びガス分配アセンブリなどの)各構成要素は、直径150mmの、直径200mmの、直径300mmの、又はそれ以上のウェハなどの様々なサイズの基板を処理するようにスケール調整することができる。各構成要素は、例えばクリップ及び/又は留め具などの当業で公知のあらゆる固定手段によって第1の電極124、424又は蓋プレート上に位置決めして固定することができる。
【0044】
本明細書で説明した実施形態は、原子層堆積法(ALD)又はプラズマ増強ALD(PE−ALD)などの蒸着プロセスによって基板上に(窒化チタンなどの)様々な材料を堆積する方法を提供するものである。1つの態様では、このプロセスにほとんど又は全く開始遅延がなく、金属チタン、窒化チタン、窒化チタンシリコン、又はこれらの誘導体などのチタン材を形成しながら高速堆積速度を維持する。
【0045】
1つの実施形態では、本明細書で説明したPE−ALDプロセスで使用できるチタン前駆体が、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TDEAT)、四塩化チタン(TiCl
4)、及びこれらの誘導体を含む。本明細書で説明したPE−ALDプロセスは、基板を窒素前駆体及び窒素プラズマ、又はその他のイオン化試薬プラズマに連続して曝すことを含む。
【0046】
1つの実施形態では、一定流量の試薬ガスを含むPE−ALDプロセス中に、チタン前駆体及びプラズマの連続パルスを与えながら窒化チタン材料を形成することができる。別の実施形態では、(TDMATなどの)チタン前駆体及び(窒素プラズマなどの)試薬プラズマの連続パルスを与える別のPE−ALDプロセス中にチタン材料を形成することができる。これらの両実施形態では、一般にプロセス中に試薬をイオン化する。このPE−ALDプロセスでは、シャワーヘッドアセンブリ内でプラズマを内部的に生成し、従ってプラズマ活性種が基板面に到達するために移動する必要がある距離が、RPSを使用するシステムと比較して飛躍的に減少する。処理容積内で利用可能な活性種の量が大幅に増加すると同時に、利用可能な活性種の増加を実現するために必要な出力が低減される。PE−ALDプロセス中には、マイクロ波(MW)周波数発生器、無線周波数(RF)発生器、又はパルスDC電流からプラズマを生成することができる。別の実施形態では、チタン前駆体及び試薬の連続パルスを与える熱ALDプロセス中にチタン材料を形式することができる。シャワーヘッドアセンブリ122、222に、及びこれらを通じて、TDMATを含むプロセスガス及び窒素プラズマの両方を連続的にパルス化して送る。その後、このプロセスガス及び窒素プラズマに基板を連続して曝す。
【0047】
本明細書の実施形態で説明したALDプロセス中には、処理蓋アセンブリ114又は214を利用することができ、またこれらを本明細書で説明した様々なALDチャンバ本体に結合することもできる。本明細書で説明した実施形態の中にはその他のALDチャンバを使用できるものもあり、これらのALDチャンバは、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials社から市販されている。本明細書で説明した処理蓋アセンブリとともに使用できるALDチャンバの詳細な説明は、同一出願人による米国特許第6,916,398号及び第6,878,206号、及び2002年10月25日に出願された、米国特許出願公開第2003/0121608号として公開されている同一出願人による米国特許出願第10/281,079号に見出すことができ、これらの特許はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。別の実施形態では、ALDモード及び従来のCVDモードの両方で動作するように構成されたチャンバを使用してチタン材料を堆積させることが、同一出願人による米国特許第7,204,886号に記載されており、この特許はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明したALDプロセス中に、堆積チャンバを約0.01トール〜約80トールの圧力に、好ましくは約0.1トール〜約10トールの圧力に、より好ましくは約0.5トール〜約2トールの圧力に加圧することができる。また、本明細書で説明したALDプロセスのいくつかの最中に、チャンバ又は基板を、約500℃未満の温度に、好ましくは約200℃〜約400℃などの約400℃又はそれ以下の温度に、より好ましくは例えば約360℃などの約340℃〜約370℃の温度に加熱することができる。プラズマは、マイクロ波(MW)発生器又は無線周波数(RF)発生器によって生成することができる。例えば、プラズマ発生器を、約200ワット(W)〜約40キロワット(kW)の出力、好ましくは約200kW〜約10kWの出力、より好ましくは約500W〜約3kWの出力を有するように設定することができる。
【0049】
1つの実施形態では、ALDサイクル全体を通じて基板を試薬ガスに曝すことができる。チタン前駆体のアンプルに(窒素又はアルゴンなどの)キャリアガスを通すことにより、第2のガス源158から供給されたチタン前駆体ガスに基板を曝すことができる。プロセス中に使用するチタン前駆体次第では、アンプルを加熱することができる。1つの例では、TDMATを含むアンプルを約25℃〜約80℃の温度に加熱することができる。チタン前駆体ガスの流量は、通常は約100sccm〜約2,000sccmであり、約200sccm〜約1,000sccmであることが好ましく、例えば約500sccmなどの約300sccm〜約700sccmであることがより好ましい。チタン前駆体ガスと試薬ガスを合成して堆積ガスを形成することもできる。試薬ガスの流量は、通常は約100sccm〜約3,000sccmであり、約200sccm〜約2,000sccmであることが好ましく、約500sccm〜約1,000sccmであることがより好ましい。1つの例では、流量が約1,500sccmの窒素プラズマが試薬ガスとして使用される。これらのチタン前駆体ガス、又はチタン前駆体と試薬ガスを含む堆積ガスに、約0.1秒〜約8秒にわたって、好ましくは約1秒〜約5秒にわたって、より好ましくは約2秒〜約4秒にわたって基板を曝すことができる。チタン前駆体の層が基板上で吸収された時点で、チタン前駆体ガスの流れを止めることができる。チタン前駆体の層は、不連続層であっても、連続層であっても、さらには多層であってもよい。
【0050】
チタン前駆体ガスの流れを止めた後、基板及びチャンバは、パージ工程を受けることができる。パージ工程中、試薬ガスの流量は、前回のステップから維持してもよいし、又は調整してもよい。試薬ガスの流れは、前回のステップから維持することが好ましい。任意に、堆積チャンバ内に約100sccm〜約2,000sccmの流量、好ましくは約200sccm〜約1,000sccmの流量、より好ましくは例えば約500sccmなどの約300sccm〜約700sccmの流量でパージガスを投与することができる。パージ工程では、堆積チャンバ内のあらゆる過剰なチタン前駆体及びその他の汚染物質が除去される。パージ工程は、約0.1秒〜約8秒にわたって、好ましくは約1秒〜約5秒にわたって、より好ましくは約2秒〜約4秒にわたって実施することができる。キャリアガス、パージガス及びプロセスガスは、窒素、水素、アンモニア、アルゴン、ネオン、ヘリウム、又はこれらの組み合わせを含むことができる。好ましい実施形態では、キャリアガスが窒素を含む。
【0051】
その後、試薬ガスの流れを維持又は調整した後でプラズマに点火することができる。プロセス中には、第1のガス源148から窒素ガスなどの窒素源が供給される。窒素ガスは、プラズマキャビティ144に流入し、ここで第1の電極124と第2の電極128の間に印加されるRF電力によって窒素ガスのプラズマが点火されると、この窒素ガスは解離する。この結果、複数の第1の通路154を通じて処理容積118に遊離窒素ラジカル(窒素原子)が流入する。
【0052】
基板は、約0.1秒〜約20秒にわたって、好ましくは約1秒〜約10秒にわたって、より好ましくは約2秒〜約8秒にわたってプラズマに曝すことができる。その後、プラズマ出力をオフにする。1つの例では、試薬をアンモニア、窒素、水素、又はこれらの組み合わせとして、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、水素プラズマ、又は組み合わせたプラズマを形成することができる。基板上に吸収されたチタン前駆体と反応プラズマが反応して、この上にチタン材料を形成する。1つの例では、反応プラズマを還元剤として使用して金属チタンを形成する。しかしながら、様々な反応物質を使用して、幅広い組成のチタン材料を形成することもできる。
【0053】
堆積チャンバは、前回のステップからの過剰な前駆体又は汚染物質を除去するために第2のパージ工程を受ける。このパージ工程中、試薬ガスの流量は、前回のステップから維持してもよいし、又は調整してもよい。堆積チャンバ内に、約100sccm〜約2,000sccmの流量、好ましくは約200sccm〜約1,000sccmの流量、より好ましくは例えば約500sccmなどの約300sccm〜約700sccmの流量で任意のパージガスを投与することができる。この第2のパージ工程は、約0.1秒〜約8秒にわたって、好ましくは約1秒〜約5秒にわたって、より好ましくは約2秒〜約4秒にわたって実施することができる。
【0054】
このALDサイクルを、基板上に所定の厚みのチタン材料が堆積するまで繰り返すことができる。チタン材料は、1,000Å未満の厚み、好ましくは500Å未満の厚み、より好ましくは例えば約30Åなどの約10Å〜約100Åの厚みで堆積させることができる。本明細書で説明したプロセスでは、少なくとも0.15Å/サイクルの速度、好ましくは少なくとも0.25Å/サイクルの速度、より好ましくは少なくとも0.35Å/サイクル又はそれ以上の速度でチタン材料を堆積させることができる。別の実施形態では、本明細書で説明したプロセスにより、核生成遅延に関連するような従来技術の短所が克服される。チタン材料を堆積させる実験のほとんどではないが多くにおいて、核生成遅延を検出することはできない。
【0055】
本明細書で説明した実施形態では、金属窒化物の成膜について説明したが、本明細書で説明した装置及び方法を使用して、ラジカルを必要とする他のプロセスを実行することもできると理解されたい。
【0056】
本明細書で説明した実施形態は、処理蓋アセンブリ内でプラズマを内部的に生成する能力を提供し、これにより、プラズマ励起された化学種がプロセスチャンバの処理容積内の基板面に達するまでに移動する必要がある距離が、RPSをするシステムと比較して減少する。処理容積内で利用可能な活性種の量が大幅に増加すると同時に、利用可能な活性種の増加を実現するために必要な出力が低減される。
【0057】
上述の内容は、本発明の実施形態を対象とするものであるが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく本発明の他の及びさらなる実施形態を考案することもでき、その範囲は以下の特許請求の範囲により定められる。