(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909814
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】電気化学セルモジュール及び電気化学セルモジュール・ユニット並びにホルダ
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20160414BHJP
H01M 2/20 20060101ALI20160414BHJP
H01G 11/78 20130101ALN20160414BHJP
【FI】
H01M2/10 G
H01M2/20 A
!H01G11/78
【請求項の数】27
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-520602(P2013-520602)
(86)(22)【出願日】2012年6月15日
(86)【国際出願番号】JP2012065382
(87)【国際公開番号】WO2012173233
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年3月31日
(31)【優先権主張番号】特願2011-135764(P2011-135764)
(32)【優先日】2011年6月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-14411(P2012-14411)
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100186819
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 俊尚
(72)【発明者】
【氏名】松浦 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 淳
(72)【発明者】
【氏名】鹿間 忠
(72)【発明者】
【氏名】濱 良樹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】若松 喜美
(72)【発明者】
【氏名】土屋 孝之
【審査官】
松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−099997(JP,A)
【文献】
特開2003−045504(JP,A)
【文献】
特開2001−325931(JP,A)
【文献】
特開2010−277796(JP,A)
【文献】
特開2010−282811(JP,A)
【文献】
特開2008−204987(JP,A)
【文献】
特開平09−007564(JP,A)
【文献】
特開平09−147818(JP,A)
【文献】
特開2006−100146(JP,A)
【文献】
特開2003−249203(JP,A)
【文献】
特開2004−220869(JP,A)
【文献】
特開2010−009798(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/046711(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/20
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気化学セルモジュールが組み合わされて構成された電気化学セルモジュール・ユニットであって、
前記複数の電気化学セルモジュールは、
両端にそれぞれ電極を有する複数本の柱状電気化学セルが並列配置されてなるセル群と、前記セル群の前記複数本の柱状電気化学セルが延びる方向の両側に配置されて、前記複数本の電気化学セルを所定の配線パターンで接続するように1以上の前記柱状電気化学セルの前記電極に接続された複数のバスバとからなるセル集合体と、
前記セル集合体の前記複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する一端に嵌合される第1のホルダと、
前記セル集合体の前記複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する他端に嵌合される第2のホルダとを備え、
前記第1及び第2のホルダが、
第1乃至第4の辺を有して前記セル集合体の前記一端と対向する底壁部と、
前記底壁部の前記第1乃至第4の辺から立ち上がって前記セル集合体側に延びる4つの側壁部からなる周壁部とを備えており、
隣り合う2つの前記電気化学セルモジュールに含まれる前記第1のホルダまたは第2のホルダの前記4つの側壁部のうち、隣り合う他の前記電気化学セルモジュールと接触する一つの前記側壁部には、前記バスバの端子部が外部に出ることを許容する1つの側壁側開口部が設けられ、前記第1のホルダまたは第2のホルダの前記底壁部には該1つの側壁側開口部に連続する底壁側開口部が設けられており、
隣り合う2つの前記電気化学セルモジュールは、前記側壁側開口部および底壁側開口部を突き合わせて一つの貫通孔を形成するように並設されており、
隣り合う2つの前記電気化学セルモジュールは、それぞれ前記貫通孔を形成する前記底壁側開口部に1つの前記バスバの前記端子部を露出させており、
隣り合う2つの前記電気化学セルモジュールは、前記貫通孔内に位置する2つの前記端子部が連結されて電気的に接続されていることを特徴とする電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項2】
前記電気化学セルモジュール・ユニットは、複数の前記電気化学セルモジュールが列をなすように配置されてなる複数のモジュール列が、並設された構造を有しており、
前記複数のモジュール列の両端に位置する前記電気化学セルモジュールは、前記側壁側開口部が形成された側壁部と対向する別の側壁部に別の側壁部側開口部を有し、前記別の側壁部側開口部から一つの出力用バスバを露出させており、
前記複数のモジュール列が直列または並列接続されるように、前記複数のモジュール列の複数の前記出力用バスバが電気的接続手段により接続されている請求項1に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項3】
前記複数のモジュール列の電圧をそれぞれ制御する複数の電圧制御回路基板が収納された制御ボックスが、前記複数のモジュール列の一端側に配置されており、
前記制御ボックスには前記モジュール列の前記一端側に位置する側面に前記モジュール列の状態を示す状態表示手段が配置されている請求項2に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項4】
複数の前記モジュール列が上下に並ぶように配置されており、
前記複数のモジュール列の前記複数の電気化学セルモジュールの複数の前記第1のホルダの複数の前記底壁部は、1枚の絶縁樹脂シートにより覆われている請求項2に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項5】
前記複数のモジュール列は上下に並ぶように配置されており、
最も上に位置する前記モジュール列に含まれる複数の前記第1のホルダがそれぞれ第1の連結板により連結されており、
最も上に位置する前記モジュール列に含まれる複数の前記第2のホルダがそれぞれ第2の連結板により連結されており、
上に位置する前記モジュール列に含まれる複数の前記第1のホルダと下に位置する前記モジュール列に含まれる複数の前記第1のホルダがそれぞれ第3の連結板により連結されており、
上に位置する前記モジュール列に含まれる複数の前記第2のホルダと下に位置する前記モジュール列に含まれる複数の前記第2のホルダがそれぞれ第4の連結板により連結されており、
最も下に位置する前記モジュール列に含まれる複数の前記第1のホルダの下には第1のスライドレールが固定されており、
最も下に位置する前記モジュール列に含まれる複数の前記第2のホルダの下には第2のスライドレールが固定されている請求項4に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項6】
前記複数のモジュール列の一方の端面は、少なくとも前記電気的接続手段を除いて絶縁樹脂板で覆われており、
前記複数のモジュール列の他方の端面は、少なくとも前記電気的接続手段または端子部を除いて絶縁樹脂板で覆われている請求項5に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項7】
前記複数のモジュール列の前記第4の連結板が位置する側面と対向するように、複数のスペーサを介して絶縁樹脂板が配置されている請求項5に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項8】
前記電気化学セルモジュールの前記第1及び第2のホルダは、同じ形状を有しており、
前記4つの側壁部には、それぞれ前記バスバの端子部が外部に出ることを許容する1以上の側壁側開口部が設けられており、
前記4つの側壁部と前記底壁部とによって囲まれる空間は、すべての前記側壁側開口部と連通し前記複数のバスバを受け入れる連続した空間であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項9】
前記4つの側壁部のうち少なくとも一つの前記側壁部に設けられた1つの前記側壁側開口部は、前記バスバを異なる複数の方向に出すことができる形状を有している請求項8に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項10】
前記側壁側開口部及び該側壁側開口部に連続する前記底壁側開口部は、前記第1及び第3の側壁部の中心を通り前記底壁部と直交する第1の仮想面に対して面対称になる形状を有している請求項1に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項11】
前記底壁側開口部は、前記側壁側開口部に向かい且つ第1の仮想面から離れるように広がるV字状の輪郭を有している請求項10に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項12】
2つの前記電気化学セルモジュールの前記複数のセル群は複数の前記バスバを介して直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セルモジュール・ユニット。
【請求項13】
両端にそれぞれ電極を有する複数本の柱状電気化学セルが並列配置されてなるセル群と、前記セル群の前記複数本の柱状電気化学セルが延びる方向の両側に配置されて、前記複数本の電気化学セルを所定の配線パターンで接続するように1以上の前記柱状電気化学セルの前記電極に接続された複数のバスバとからなるセル集合体と、
前記セル集合体の前記複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する一端に嵌合される第1のホルダと、
前記セル集合体の前記複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する他端に嵌合される第2のホルダとを備え、
前記第1及び第2のホルダは、
第1乃至第4の辺を有して前記セル集合体の前記一端と対向する底壁部と、
前記底壁部の前記第1乃至第4の辺から立ち上がって前記セル集合体側に延びる第1乃至第4の側壁部からなる周壁部とを備え、
前記第1乃至第4の側壁部には、それぞれ前記バスバの端子部が外部に出ることを許容する1以上の側壁側開口部が設けられており、
前記第1乃至第4の側壁部と前記底壁部とによって囲まれる空間は、すべての前記側壁側開口部と連通し前記複数のバスバを受け入れる連続した空間であることを特徴とする電気化学セルモジュール。
【請求項14】
前記第1乃至第4の側壁部のうち少なくとも一つの前記側壁部に設けられた1つの前記側壁側開口部は、前記バスバを異なる複数の方向に出すことができる形状を有している請求項13に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項15】
前記第1乃至第4の側壁部のうち対向する前記第1及び第3の側壁部には、それぞれ1つの前記側壁側開口部が設けられており、前記底壁部には該1つの側壁側開口部に連続する底壁側開口部が設けられている請求項14に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項16】
前記側壁側開口部及び該側壁側開口部に連続する前記底壁側開口部は、前記第1及び第3の側壁部の中心を通り前記底壁部と直交する第1の仮想面に対して面対称になる形状を有している請求項15に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項17】
前記底壁側開口部は、前記側壁側開口部に向かい且つ第1の仮想面から離れるように広がるV字状の輪郭を有している請求項16に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項18】
前記第1乃至第4の側壁部のうち対向する前記第2及び第4の側壁部には、それぞれ2つの前記側壁側開口部が設けられており、該2つの側壁側開口部は一方向に前記バスバの端子部を出すことができる形状を有しており、且つ該2つの側壁側開口部は前記第2及び第4の側壁部の中心をそれぞれ通り且つ前記底壁部と直交する第2の仮想面に対して面対称になる形状を有している請求項16に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項19】
前記第1の側壁部には、前記第1の辺が延びる方向の両端に、前記底壁部と平行に延びる第3の仮想面上に位置する一対の取り付け孔が形成されており、
前記第2の側壁部には、前記第2の辺が延びる方向の両端に、前記第3の仮想面と平行に延びる第4の仮想面上に位置する一対の取り付け孔が形成されており、
前記第3の側壁部には、前記第3の辺が延びる方向の両端に、前記底壁部と平行に延びる第3の仮想面上に位置する一対の取り付け孔が形成されており、
前記第4の側壁部には、前記第4の辺が延びる方向の両端に、前記第3の仮想面と平行に延びる第4の仮想面上に位置する一対の取り付け孔が形成されている請求項1乃至6のいずれか13項に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項20】
前記第1及び第2のホルダが同じ形状を有しており且つ前記セル集合体の両端に対称的に嵌合されている請求項13乃至19のいずれか1項に記載の電気化学セルモジュール。
【請求項21】
両端にそれぞれ電極を有する複数本の柱状電気化学セルが並列配置されてなるセル群と、前記セル群の前記複数本の柱状電気化学セルが延びる方向の両側に配置されて、前記複数本の電気化学セルを所定の配線パターンで接続するように1以上の前記柱状電気化学セルの前記電極に接続された複数のバスバとからなるセル集合体を有する電気化学セルモジュールの前記セル集合体の前記複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する両端に嵌合されるホルダであって、
第1乃至第4の辺を有して前記セル集合体の一端と対向する底壁部と、
前記底壁部の前記第1乃至第4の辺から立ち上がって前記セル集合体側に延びる第1乃至第4の側壁部からなる周壁部とを備え、
前記第1乃至第4の側壁部には、それぞれ前記バスバの端子部が外部に出ることを許容する1以上の側壁側開口部が設けられており、
前記第1乃至第4の側壁部と前記底壁部とによって囲まれる空間は、すべての前記側壁側開口部と連通し前記複数のバスバを受け入れる連続した空間であることを特徴とするホルダ。
【請求項22】
前記第1乃至第4の側壁部のうち少なくとも一つの前記側壁部に設けられた1つの前記側壁側開口部は、前記バスバを異なる複数の方向に出すことができる形状を有している請求項21に記載のホルダ。
【請求項23】
前記第1乃至第4の側壁部のうち対向する前記第1及び第3の側壁部には、それぞれ1つの前記側壁側開口部が設けられており、前記底壁部には該1つの側壁側開口部に連続する底壁側開口部が設けられている請求項22に記載のホルダ。
【請求項24】
前記側壁側開口部及び該側壁側開口部に連続する前記底壁側開口部は、前記第1及び第3の側壁部の中心を通り前記底壁部と直交する第1の仮想面に対して面対称になる形状を有している請求項23に記載のホルダ。
【請求項25】
前記底壁側開口部は、前記側壁側開口部に向かい且つ第1の仮想面から離れるように広がるV字状の輪郭を有している請求項23に記載のホルダ。
【請求項26】
前記第1乃至第4の側壁部のうち対向する前記第2及び第4の側壁部には、それぞれ2つの前記側壁側開口部が設けられており、該2つの側壁側開口部は一方向に前記バスバの端子部を出すことができる形状を有しており、且つ該2つの側壁側開口部は前記第2及び第4の側壁部の中心をそれぞれ通り且つ前記底壁部と直交する第2の仮想面に対して面称になる形状を有している請求項23に記載のホルダ。
【請求項27】
前記第1の側壁部には、前記第1の辺が延びる方向の両端に、前記底壁部と平行に延びる第3の仮想面上に位置する一対の取り付け孔が形成されており、
前記第2の側壁部には、前記第2の辺が延びる方向の両端に、前記第3の仮想面と平行に延びる第4の仮想面上に位置する一対の取り付け孔が形成されており、
前記第3の側壁部には、前記第3の辺が延びる方向の両端に、前記底壁部と平行に延びる第3の仮想面上に位置する一対の取り付け孔が形成されており、
前記第4の側壁部には、前記第4の辺が延びる方向の両端に、前記第3の仮想面と平行に延びる第4の仮想面上に位置する一対の取り付け孔が形成されている請求項21に記載のホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の電気化学セルを集合させた電気化学セルモジュールを2以上並設してなる電気化学セルモジュール・ユニット及び該ユニットに用いる電気化学セルモジュール並びに該モジュールに用いるホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2006−99997号公報(特許文献1)には、一端に凸状電極を有し且つ他端に面状電極を有する複数本の柱状電池(電気化学セルの一種)が並列配置されてなる組電池(セル群)の両端にそれぞれホルダを配置して、二つのホルダの間に両者間の間隔を画定する支柱を配置した構造の電池モジュール(電気化学セルモジュール)が開示されている。複数の電池は、ホルダ内にインサート成形された金属製のバスバに電気的に接続されている。そしてホルダには、電池モジュールからの出力を取り出す端子金具が設けられている。特開2003−45504号公報(特許文献2)及び特開2001−325931号公報(特許文献3)にも、同様のホルダを用いて構成された電池モジュールが開示されている。そしてこれらの特許公報には、複数の電池モジュール(電気化学セルモジュール)を直列または並列に接続して組み合わせた電気化学セルモジュール・ユニットも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−99997号公報
【特許文献2】特開2003−45504号公報
【特許文献3】特開2001−325931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1乃至3に示された電気化学セルモジュール・ユニットでは、簡単な構造で、複数の電気化学セルモジュールを連結することができなかった。また従来の電気化学セルモジュールでは、バスバをインサート成形したホルダを用いるため、ホルダの汎用性が低かった。そこで本願発明者は、バスバをセル群に予め接続したセル集合体を作り、このセル集合体の両端部にホルダを嵌合させることを考えた。しかしながら既存のホルダには、様々な配線パターンに適用可能な汎用性の高いホルダがなかった。
【0005】
本発明の目的は、複数の電気化学セルモジュールを簡単な構造で電気的且つ機械的に連結することができる電気化学セルモジュール・ユニットを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、汎用性の高いホルダを備えた電気化学セルモジュール及び該電気化学セルモジュールに使用するのに適したホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電池、キャパシタ等の電池化学セルをモジュール化した電気化学セルモジュールを複数組み合わせてなる電気化学セルモジュール・ユニットを対象とする。本発明で用いる電気化学セルモジュールは、セル集合体と、第1及び第2のホルダとから構成される。セル集合体は、両端にそれぞれ電極を有する複数本の柱状電気化学セルが並列配置されてなるセル群と、セル群の複数本の柱状電気化学セルが延びる方向の両側に配置されて、複数本の電気化学セルを所定の配線パターンで接続するように1以上の柱状電気化学セルの電極に接続された複数のバスバとからなる。第1のホルダは、セル集合体の複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する一端に嵌合される。第2のホルダは、セル集合体の複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する他端に嵌合される。第1及び第2のホルダは、第1乃至第4の辺を有してセル集合体の一端と対向する底壁部と、底壁部の第1乃至第4の辺から立ち上がってセル集合体側に延びる4つの側壁部からなる周壁部とを備えている。そして隣り合う2つの電気化学セルモジュールに含まれる第1のホルダまたは第2のホルダの4つの側壁部のうち、隣り合う他の電気化学セルモジュールと接触する一つの側壁部には、バスバの端子部が外部に出ることを許容する1つの側壁側開口部が設けられ、第1のホルダまたは第2のホルダの底壁部には該1つの側壁側開口部に連続する底壁側開口部が設けられている。隣り合う2つの電気化学セルモジュールは、側壁側開口部および底壁側開口部を突き合わせて一つの貫通孔を形成するように並設されている。そして隣り合う2つの電気化学セルモジュールは、それぞれ貫通孔を形成する底壁側開口部に1つのバスバの端子部を露出させている。その上で、隣り合う2つの電気化学セルモジュールは、貫通孔内に位置する2つの端子部が連結されて電気的に接続されている。本発明のように、隣り合う2つの電気化学セルモジュールの間に形成した貫通孔内で隣り合う2つの電気化学セルモジュールのバスバの端子部を連結すると、簡単な構造で隣り合う2つの電気化学セルモジュールを電気的に且つ機械的に連結することができる。またこのような構造を採用すると、隣り合う2つの電気化学セルモジュールの突き合わせ部において、電気的な接続をすることが可能となり、接続パターンのバリエーションを増やすことができる。
【0008】
本発明において、電気化学セルモジュール・ユニットは、2以上の電気化学セルモジュールが列をなすように配置されてなるモジュール列を単位として構成される。電気化学セルモジュール・ユニットは、2以上の電気化学セルモジュールが列をなすように配置されてなる複数のモジュール列が、並設された構造を有している。複数のモジュール列の両端に位置する電気化学セルモジュールは、側壁部側開口部が形成された側壁部と対向する別の側壁部に別の側壁部側開口部を有しており、別の側壁部側開口部から一つの出力用バスバを露出させている。そして複数のモジュール列が直列または並列接続されるように、複数のモジュール列の2以上の出力用バスバが連結用バスバやリード線等の電気的接続手段によりで連結されている。このように電気的接続手段で複数のモジュール列を接続することにより、必要な電圧及び容量の電気化学セルモジュール・ユニットを簡単に構成することができる。
【0009】
複数のモジュール列の電圧をそれぞれ制御する複数の電圧制御回路基板が収納された制御ボックスが、複数のモジュール列の他端側に配置するのが好ましい。そして制御ボックスにはモジュール列の他端側に位置する側面にモジュール列の状態を示す状態表示手段を配置するのが好ましい。制御ボックスを用いると、事前に制御ボックスを製造することができるため、電気化学セルモジュール・ユニットの製造が容易になる。また状態表示手段を制御ボックスに設ければ、簡単にモジュール列の状態を視覚により確認できる。
【0010】
複数のモジュール列は、上下に並ぶように配置することができる。この場合、複数のモジュール列の2以上の電気化学セルモジュールの複数の第1のホルダの複数の底壁部は、1枚の絶縁樹脂シートにより覆うことができる。また複数のモジュール列の2以上の電気化学セルモジュールの複数の第2のホルダの複数の底壁部は、1枚の絶縁樹脂シートにより覆うことができる。このような絶縁樹脂シートを設けると、周囲に配置される他の機器との短絡の発生を防止することができる。
【0011】
複数のモジュール列が上下に並ぶように配置される場合には、最も上に位置するモジュール列に含まれる複数の第1のホルダをそれぞれ第1の連結板により連結し、最も上に位置するモジュール列に含まれる複数の第2のホルダをそれぞれ第2の連結板により連結することができる。そして上に位置するモジュール列に含まれる複数の第1のホルダと下に位置するモジュール列に含まれる複数の第1のホルダを、それぞれ第3の連結板により連結することができる。そして上に位置するモジュール列に含まれる複数の第2のホルダと下に位置するモジュール列に含まれる複数の第2のホルダをそれぞれ第4の連結板により連結することができる。なおモジュール列がn個(nは2以上の整数)の場合、第3及び第4の連結板の数はn−1個となる。また最も下に位置するモジュール列に含まれる複数の第1のホルダの下には第1のスライドレールを固定し、最も下に位置するモジュール列に含まれる複数の第2のホルダの下には第2のスライドレールを固定することができる。このように構成すると、複数のモジュール列を上下に並べた場合に、ケースを用いることがなく、堅牢な構造体を構築することができる。その上、第1及び第2のスライドレールを設けたことにより、電気化学セルモジュール・ユニットの実装、点検及び交換が容易になる利点が得られる。
【0012】
複数のモジュール列の一方の端面は、少なくとも電気的接続手段を除いて絶縁樹脂板で覆うことができる。また複数のモジュール列の他方の端面も、少なくとも電気的接続手段を除いて絶縁樹脂板で覆うことができる。このような絶縁樹脂板を用いると、周囲の機器との短絡の発生を防止できる。
【0013】
また複数のモジュール列の第4の連結板が位置する側面と対向するように、複数のスペーサを介して絶縁樹脂板を配置するのが好ましい。このようにするとスペーサの寸法分のスペースを周辺の機器との関係において確実に確保することができ、このスペースを通して各電気化学セルモジュールから電圧制御回路基板に至る引き出し線の通り道を確保することができる。
【0014】
そして第1乃至第4の側壁部には、それぞれバスバの端子部が外部に出ることを許容する1以上の側壁側開口部が設けられているのが好ましい。そして第1乃至第4の側壁部と底壁部とによって囲まれる空間は、すべての側壁側開口部と連通し複数のバスバを受け入れる連続した空間とするのが好ましい。このようなホルダでは、第1乃至第4の側壁部に、それぞれバスバの端子部が外部に出ることを許容する1以上の側壁側開口部が設けられており、しかも内部に連続空間を備えているため、様々なバスバをホルダから任意の方向に出すことができる。その結果、様々な配線パターンを実現することができる。
【0015】
ホルダは、第1乃至第4の側壁部のうち少なくとも一つの側壁部に設けられた1つの側壁側開口部として、バスバを異なる複数の方向に出すことができる形状を有しているものを用いることができる。このような側壁側開口部を用いると、さらに汎用性を増大させることができる。
【0016】
この側壁側開口部及び該側壁側開口部に連続する底壁側開口部は、第1及び第3の側壁部の中心を通り底壁部と直交する第1の仮想面に対して面対称になる形状を有しているのが好ましい。特に、底壁側開口部は、側壁側開口部に向かい且つ第1の仮想面から離れるように広がるV字状の輪郭を有しているのが好ましい。V字状の輪郭にすると、バスバを外部に延ばす方向を変える範囲をより広いものとすることができる。
【0017】
また第1乃至第4の側壁部のうち対向する第2及び第4の側壁部には、それぞれ2つの側壁側開口部を設けることができる。この2つの側壁側開口部は一方向にバスバの端子部を出すことができる形状を有しており、且つ該2つの側壁側開口部は第2及び第4の側壁部の中心をそれぞれ通り且つ底壁部と直交する第2の仮想面に対して面対称になる形状にするのが好ましい。このようにすると、バスバの引き出し位置の選択肢が増えるため、汎用性がさらに高くなる。
【0018】
なお第1及び第2のホルダが同じ形状を有しており且つセル集合体の両端に対称的に嵌合するようにしてもよい。このようにすれば、単一形状のホルダを用いることができるので、ホルダのコストを下げることができる。また複数の電気化学セルモジュールを連結する際に、画一的に連結作業を実施できるようになる。
【0019】
特に一方の電気化学セルモジュールの第2の側壁部に開口する1つの側壁側開口部から出力用のバスバの端子部を出し、他方の電気化学セルモジュールの第2の側壁部に開口する1つの側壁側開口部から出力用のバスバの端子部を出してもよい。このような電気化学セルモジュール・ユニットでは、出力用のバスバの端子部を同じ方向に突出させことができる。
【0020】
また一方の電気化学セルモジュールの第3の側壁部に開口する1つの側壁側開口部から出力用のバスバの端子部を出し、他方の電気化学セルモジュールの第1の側壁部に開口する1つの側壁側開口部から出力用のバスバの端子部を出してもよい。このようにすると2つの電気化学セルモジュールが並ぶ方向の両側に、出力用のバスバの端子部を出すことができるので、多数の電気化学セルモジュールを直列接続するために、別に接続導体を用いる必要はない。
【0021】
2つの電気化学セルモジュールは、両者の境界領域において、それぞれの第1及び第2のホルダに跨がる共用連結板により連結することができる。このような共用連結板を用いれば、2つの電気化学セルモジュールの連結強度を高めることができる。
【0022】
また2つの電気化学セルモジュールは、それぞれ共用連結板を間に挟む2つの位置において、第1及び第2のホルダに跨がる補助連結板により連結してもよい。補助連結板を用いると、電気化学セルモジュールの第1及び第2のホルダがセル集合体から抜けることを確実に防止できる。
【0023】
また出力用のバスバが2つの電気化学セルモジュールの並設方向の両側に出る複数の電気化学セルモジュール・ユニットが、出力用のバスバの端子部が両側に端子列をなすように並設された電気化学セルモジュール・ユニットでは、端子列をなす複数の端子部を接続導体によって電気的に連結しもよい。このようにすると2つの電気化学セルモジュールを電気的に並列接続することができる。
【0024】
本発明のユニットで用いることができる本発明の電気化学セルモジュールは、セル集合体と、第1及び第2のホルダとから構成される。セル集合体は、両端にそれぞれ電極を有する複数本の柱状電気化学セルが並列配置されてなるセル群と、セル群の複数本の柱状電気化学セルが延びる方向の両側に配置されて、複数本の電気化学セルを所定の配線パターンで接続するように1以上の柱状電気化学セルの電極に接続された複数のバスバとからなる。第1のホルダは、セル集合体の複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する一端に嵌合される。第2のホルダは、セル集合体の複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する他端に嵌合される。第1及び第2のホルダは、第1乃至第4の辺を有してセル集合体の一端と対向する底壁部と、底壁部の第1乃至第4の辺から立ち上がってセル集合体側に延びる第1乃至第4の側壁部からなる周壁部とを備えている。そして第1乃至第4の側壁部には、それぞれバスバの端子部が外部に出ることを許容する1以上の側壁側開口部が設けられている。そして第1乃至第4の側壁部と底壁部とによって囲まれる空間は、すべての側壁側開口部と連通し複数のバスバを受け入れる連続した空間である。本発明で用いる第1及び第2のホルダでは、第1乃至第4の側壁部に、それぞれバスバの端子部が外部に出ることを許容する1以上の側壁側開口部が設けられており、しかも内部に連続空間を備えているため、様々なバスバをホルダから任意の方向に出すことができる。その結果、様々な配線パターンを実現することができる。
【0025】
また第1の側壁部には、第1の辺が延びる方向の両端に、底壁部と平行に延びる第3の仮想面上に位置する一対の取り付け孔を形成することができる。また第2の側壁部には、第2の辺が延びる方向の両端に、第3の仮想面と平行に延びる第4の仮想面上に位置する一対の取り付け孔を形成することができる。また第3の側壁部には、第3の辺が延びる方向の両端に、底壁部と平行に延びる第3の仮想面上に位置する一対の取り付け孔を形成することができる。さらに第4の側壁部には、第4の辺が延びる方向の両端に、第3の仮想面と平行に延びる第4の仮想面上に位置する一対の取り付け孔を形成することができる。このような取り付け孔を設けておくと、複数の電気化学モジュールを接続導体により連結する際に、異なる面に設ける接続導体と相互に干渉することなく、取り付けることができる。
【0026】
なお本発明のホルダは、両端にそれぞれ電極を有する複数本の柱状電気化学セルが並列配置されてなるセル群と、セル群の複数本の柱状電気化学セルが延びる方向の両側に配置されて、複数本の電気化学セルを所定の配線パターンで接続するように1以上の柱状電気化学セルの電極に接続された複数のバスバとからなるセル集合体を有する電気化学セルモジュールのセル集合体の複数本の柱状電気化学セルが延びる方向に位置する両端に嵌合される。ホルダは、底壁部の第1乃至第4の辺から立ち上がってセル集合体側に延びる第1乃至第4の側壁部からなる周壁部とを備え、第1乃至第4の側壁部には、それぞれバスバの端子部が外部に出ることを許容する1以上の側壁側開口部が設けられている。そして第1乃至第4の側壁部と底壁部とによって囲まれる空間は、すべての側壁側開口部と連通し複数のバスバを受け入れる連続した空間である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施の形態で用いる電気化学セルモジュールの構成を説明するために用いる斜視図である。
【
図2】
図1の電気化学セルモジュールで用いる第1及び第2のホルダの斜視図である。
【
図3】
図1の電気化学セルモジュールで用いる第1及び第2のホルダの平面図である
【
図4】実施の形態で用いる電気化学セルモジュールの構成を説明するために用いる斜視図である。
【
図5】実施の形態で用いる電気化学セルモジュールの構成を説明するために用いる斜視図である。
【
図6】実施の形態で用いる電気化学セルモジュールの構成を説明するために用いる斜視図である。
【
図7】2種類の電気化学セルモジュールを並設して構成した本発明の電気化学セルモジュール・ユニットの第1の実施の形態一例の斜視図である。
【
図8】(A)〜(F)は、
図7の電気化学セルモジュール・ユニットの六面図である。
【
図9】同種類の電気化学セルモジュールを並設して構成した本発明の電気化学セルモジュール・ユニットの第2の実施の形態の斜視図である。
【
図10】
図9の電気化学セルモジュール・ユニットを2台並設してなる電気化学セルモジュール・ユニットの一例の斜視図である。
【
図11】本発明の第3の実施の形態の電気化学セルモジュール・ユニットの斜視図である。
【
図12】(A)〜(F)は、第3の実施の形態の電気化学セルモジュール・ユニットの、上面図、正面図、底面図、背面図、左側面図及び右側面図である。
【
図13】電気化学セルモジュール・ユニットを正面側の側面を覆う絶縁樹脂シート及び連結板を除いて示した正面図である。
【
図14】(A)は
図12(A)のA−A線断面図であり、(B)は
図12(A)のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の電気化学セルモジュール・ユニットの実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態の電気化学セルモジュール・ユニットに用いることができる第1の電気化学セルモジュール1の構成の一例を説明するために用いる斜視図を示しており、
図2及び
図3は、
図1の実施の形態の電気化学セルモジュール1で用いる第1及び第2のホルダの斜視図及び平面図である。
【0029】
この電気化学セルモジュール1は、セル集合体3と、第1及び第2のホルダ5及び7とから構成される。セル集合体3は、
図1に示すように一端に凸状電極9を有し且つ他端に面状電極11を有する柱状電気化学セルの一種である柱状のリチウムイオンキャパシタ13が4本並列配置されてなるセル群15と、セル群15に含まれる4本のリチウムイオンキャパシタ13が延びる方向の両側にそれぞれ配置されて、4本のリチウムイオンキャパシタ13の電極に溶接されるバスバ17〜20´とから構成される。この例では、5本のバスバ17〜20´により、4本のリチウムイオンキャパシタ13が直列接続された配線パターンになるように、4本のリチウムイオンキャパシタ13はそれぞれ向きを変えて配置されている。すなわちバスバ17は上段左のリチウムイオンキャパシタ13の凸状電極9が接続され、バスバ18は上段右のリチウムイオンキャパシタ13の面上電極が接続され、バスバ19は左下段及び右下段のリチウムイオンキャパシタ13の面状電極と凸状電極を接続し、バスバ20は左上段及び下段のリチウムイオンキャパシタ13の面状電極と凸状電極を接続し、バスバ20´は右上段及び下段のリチウムイオンキャパシタ13の凸状電極と面状電極を接続している。
【0030】
5本のバスバ17〜20´は、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム等の抵抗値が低い導電性材料や銅材にスズメッキやニッケルメッキを施したものをプレス成形して形成したものである。なお4本のリチウムイオンキャパシタ13により構成する配線パターンに応じて、使用するバスバの形状及び個数が異なるのは当然である。本実施の形態で用いるバスバ17及び18は、貫通孔17A及び18Aと端子部17B及び18Bを備えている。
【0031】
バスバ19、20及び20´は、端子部は備えておらず、貫通孔19A乃至20´Aを備えている。貫通孔17A乃至20´Aは半田溜まりを形成したり、溶接の際の抵抗値を高めるために形成されている。本実施の形態では、バスバ17〜20´をハンダや抵抗溶接によりリチウムイオンキャパシタ13の電極(9,11)に接続して、セル集合体3が事前に構成される。
【0032】
第1のホルダ5は、セル集合体3のリチウムイオンキャパシタ13が延びる方向に位置する一端に嵌合されている。また第2のホルダは、セル集合体3のリチウムイオンキャパシタ13が延びる方向に位置する他端に嵌合されている。本実施の形態では、
図2及び
図3に示す同じ形状のホルダを第1及び第2のホルダ5及び7として使用している。
【0033】
以下
図2及び
図3を参照して、代表してホルダ5の構造を説明する。本実施の形態で使用するホルダ5は、絶縁樹脂材料により一体に成形されており、底壁部21と周壁部22とを備えている。底壁部21は、ほぼ矩形状の輪郭を有してセル集合体3の一端または他端と対向する。
【0034】
底壁部21の周縁部から立ち上がってセル集合体3側に延びる周壁部22は、同じ長さ寸法を有し且つそれぞれ直交する第1乃至第4の側壁部22A〜22Dによって構成されている。対向する第1及び第3の側壁部22A及び22Cには、底壁部21に形成した一対の底壁側開口部21E及び21Fと連通する2つの側壁側開口部22E及び22Fが形成されている。また第2の側壁部22Bには、2つの側壁側開口部22G及び22Hが形成されており、第4の側壁部22Dにも2つの側壁側開口部22I及び22Jが形成されている。2つの側壁側開口部22G及び22H並びに2つの側壁側開口部22I及び22Jは、一方向にバスバの端子部を出すことができる形状を有している。そしてれこれらの2つの側壁側開口部22G及び22H並びに2つの側壁側開口部22I及び22Jは、第2及び第4の側壁部22B及び22Dの中心をそれぞれ通り且つ底壁部21と直交する第2の仮想面S2に対して面対称になる形状を有している。
【0035】
また第1の側壁部22A及び第3の側壁部22Cには、それぞれ第1の辺21A及び第3の辺21Cが延びる方向の両端に、底壁部21と平行に延びる第3の仮想面S3上に位置する一対の取り付け孔27aが形成されている。なお
図2には、第3の側壁部22Cに設けられた一対の取り付け孔27aだけが示されているが、第1の側壁部22Aにも同じ位置に一対の取り付け孔が形成されている。また第2の側壁部22B及び第4の側壁部22Dには、第2の辺21B及び21Dが延びる方向の両端に、第3の仮想面S3と平行に延びる第4の仮想面S4上に位置する一対の取り付け孔27bが形成されている。なお
図2には、第4の側壁部22Dに設けられた一対の取り付け孔27bだけが示されているが、第2の側壁部22Bにも同じ位置に一対の取り付け孔が形成されている。
【0036】
底壁部21には、その中心部に
図1に示した支柱16を固定するための図示しない頭部付きのネジを挿入する中心孔23が形成されている。また
図3に示すように、底壁部21の4つの辺21A乃至21Dのうち対向する2つの辺21A及び21Cには、中心孔23に向かって凸となるように形成されて底壁部21の厚み方向に貫通し且つ中心孔23から離れる方向に開口する底壁側開口部21E及び21Fが形成されている。この底壁側開口部21E及び21Fは、第1及び第3の側壁部22A及び22Cの中心を通り底壁部21と直交する第1の仮想面S1に対して面対称になる形状を有している。そして底壁側開口部21E及び21Fは、側壁側開口部22E及び22Fに向かい且つ第1の仮想面S1から離れるように広がるV字状の輪郭を有している。また底壁部21には、辺21A及び21Cと直交し中心孔23を通る第1の仮想面S1が通る位置と、辺21B及び21Dと直交し中心孔23を通る第2の仮想面S2が通る位置に、それぞれ電圧検出用リード線を通すことが可能な直径を有する貫通孔24が4個形成されている。4個の貫通孔24は、それぞれ中心孔23の回りに90°ずつ角度間隔を開けて形成されている。このように電圧検出用リード線を引き出す貫通孔24を設ければ、ホルダ5をセル集合体3に対してどのような位置関係で嵌合させたとしても、電圧検出用リード線をあまり長く引き廻すことなく、4つの貫通孔24のいずれか1つから外部に引き出すことができる。更に底壁部21には、底壁部21の4つの角部に対して想定される2本の対角線上にそれぞれ位置するように4つの貫通孔25が形成されている。また底壁部21には、前述の第2の仮想面S2が通る位置に、2つの貫通孔26が形成されている。この貫通孔は、取り付け孔である。また底壁部21には、4つの側壁側開口部22G乃至22Jに対応して4つの凹部27cが形成されている。これら4つの凹部27cは、別のホルダの凹部と突き合わされて1つの貫通孔を形成して、前述の貫通孔24と同様にリード線を引き出すことを可能にする。
【0037】
ホルダ5内には、底壁部21と周壁部22とによって囲まれて形成されて、4本のリチウムイオンキャパシタ13の端部が嵌合される4つの端部嵌合用凹部28A〜28Dがある。4つの端部嵌合用凹部28A〜28Dは、その底部に、バスバ17〜20´と底壁部21との間に圧縮状態で配置される図示しない緩衝用スペーサを収容するスペーサ収容用凹部30A〜30Dを備えている。緩衝用スペーサは、リング状のゴムによって構成されている。このような緩衝用スペーサを必要に応じて設ければ、4本のリチウムイオンキャパシタの配置方向の如何にかかわらず、圧縮変形した緩衝用スペーサにより、バスバの一部と端部嵌合用凹部28A〜28Dの底部との間のスペースを埋めて、セル集合体3を第1及び第2のホルダ5及び7間に保持することができる。
【0038】
第1乃至第4の側壁部22A〜22Dと底壁部21とによって囲まれる空間SPは、すべての側壁側開口部22E〜22Jと連通し複数のバスバを受け入れる連続した空間である。具体的には、端部嵌合用凹部28A〜28Dがすべて連通して連続した環状の空間SPが形成されている。例えば、
図1のバスバ19は2つの端部嵌合用凹部28C及び28Dに跨がるようにして配置され、バスバ18は端部嵌合用凹部28Aから側壁側開口部22Eを通るように配置される。またバスバ20及び20´は、2つの端部嵌合用凹部28B及び28Cと28A及び28Dに跨がるようにして配置される。
【0039】
このような6つの側壁側開口部22E〜22Jと2つの底壁側開口部21E及び21Fをホルダ5及び7に設けると、並列、直列、直並列等の各種の配線パターンで複数の柱状のリチウムイオンキャパシタを接続する場合に、一方のホルダ5に対して他方のホルダ7を回転させて両ホルダの位置関係を定めることにより、殆どの配線パターンを実現できるようになり、ホルダの汎用性が高くなる。
【0040】
なお
図1に示すように、バスバ17はホルダ5の端部嵌合用凹部28B内に配置され、バスバ18はホルダ5の端部嵌合用凹部28A内に配置される。そしてバスバ17の端子部17Bは、側壁側開口部22Hから外部に延び出ており、バスバ18の端子部18Bは、側壁側開口部22Eから外部に延び出ている。バスバ19はホルダ5の連通する2つの端部嵌合用凹部28C及び28D内に配置され、バスバ20はホルダ7の連通する2つの端部嵌合用凹部28B及び28C内に配置され、バスバ20´はホルダ7の連通する2つの端部嵌合用凹部28A及び28D内に配置される。
【0041】
上記実施の形態の電気化学セルモジュール1を、複数集合させて相互に電気的に接続することにより大容量の電気化学セルモジュールを構成することが可能である。
【0042】
また上記実施の形態では、電気化学セルとしてリチウムイオンキャパシタを用いたが、電気化学セルとしては、電気二重層コンデンサ、リチウムイオン電池、その他の二次電池を用いてもよいのは勿論である。
【0043】
また上記実施の形態の電気化学セルモジュール1では支柱16によって第1及び第2のホルダ5,7を引き付けているが、第1及び第2のホルダ5及び7とセル集合体3を囲むようにベルト状部材を配置して、モジュールを外側から締め付けることにより、第1及び第2のホルダ5,7を引き付けるようにしてもよい。
【0044】
また電気化学セルモジュール1は、4本のリチウムイオンキャパシタ(電気化学セル)13からなるセル集合体3を備えているが、セル集合体3に含まれる電気化学セルの本数は、特に限定されるものではない。
【0045】
更に上記例ではバスバ17〜20´が、すべて隣り合う2つの電気化学セルを接続するタイプのものであるが、配線パターンによっては、1つの電気化学セルの電極にのみ接続されるバスバが電気化学セルモジュール1内に含まれていてもよいのは勿論である。
【0046】
図1の例では、同形状のホルダを2つ用いているが、配線パターンに応じて、形状の異なる形状のホルダを組み合わせて使用できるのは勿論である。
【0047】
図4は、本発明の電気化学セルモジュール・ユニットに用いることができる第2の電気化学セルモジュール101の構成を説明するために用いる斜視図を示している。この電気化学セルモジュール101は、
図1の電気化学セルモジュール1と比べて、バスバ17´の形状及び取り付け位置と、バスバ18´の取り付け位置とが異なる。すなわち本実施の形態では、バスバ17´が第1のホルダ5の端子部17´Bを露出するように側壁側開口部22Fから出ている。またバスバ18´が、端子部18´Bを露出するように側壁側開口部22Gから出すように配置されている。その他の点は、
図1の電気化学セルモジュール1の構成と同様である。
【0048】
図5は、本発明で用いることができる第3の電気化学セルモジュール201の構成を説明するために用いる斜視図を示している。第3の実施の形態の電気化学セルモジュール201は、
図1の電気化学セルモジュール1と比べて、バスバ17´の形状及び取り付け位置が異なる。すなわち本実施の形態では、バスバ17´が第1のホルダ5の端子部17´Bを露出するように側壁側開口部22Fから出ている。その他の点は、
図1の電気化学セルモジュール1の構成と同様である。
【0049】
図6は、本発明で用いることができる第4の電気化学セルモジュール301の構成を説明するために用いる斜視図を示している。第4の電気化学セルモジュール301では、
図1の電気化学セルモジュール1と比べて、セル集合体3´のリチウムイオンキャパシタ13A〜Dがすべて同じ方向を向いている。バスバ117は、上下2本のリチウムイオンキャパシタ13A及びBの突状電極に接続され、端子部117Bが第1のホルダ5の側壁側開口部22Hから出ている。またバスバ118は、上下2本のリチウムイオンキャパシタ13C及びDの突状電極に接続され、端子部118Bが第1のホルダ5の側壁側開口部22Gから出ている。バスバ120は、上下2本のリチウムイオンキャパシタ13A及びBの面状電極に接続され、端子部120Bが第2のホルダ7の側壁側開口部22Gから出ている。またバスバ120´は、上下2本のリチウムイオンキャパシタ13C及びDの面状電極に接続され、端子部120´Bが第2のホルダ7の側壁側開口部22Gから出ている。例では端子部117B及び118Bがマイナス端子を構成しており、端子部120B及び120´Bがプラス端子を構成している。その他の点では、
図1の電気化学セルモジュール1の構成と同様である。
【0050】
上記電気化学セルモジュール1,101,201,301を並設することにより、電気化学セルモジュール・ユニットを構成することができる。
図7は、電気化学セルモジュール1及び101を並設して1つのモジュール列を構成した本発明の第1の実施の形態の電気化学セルモジュール・ユニット100の斜視図である。この実施の形態は8本のリチウムイオンキャパシタが直列に接続された構造を有する。
図8(A)〜(F)は、電気化学セルモジュール・ユニット100の上面図、正面図、底面図、背面図、左側面図、及び右側面図を示している。電気化学セルモジュール1は、第1のホルダ5の第1の側壁部22Aに開口する側壁側開口部22Eに連続する底壁側開口部21Eに1つのバスバ18の端子部18Bを露出させている。また第1のホルダ5の第2の側壁部22Bに開口する側壁側開口部22Hからはバスバ17の端子部17Bが出ている。また電気化学セルモジュール101では、第1のホルダ5の第3の側壁部22Cに開口する側壁側開口部22Fに連続する底壁側開口部21Fに1つのバスバ17´の端子部17´Bを露出させている。そして第2の側壁部22Bの側壁側開口部22Gからバスバ18´の端子部18´Bを出している。電気化学セルモジュール・ユニット100は、隣り合う2つの電気化学セルモジュール1及び101を、側壁側開口部22E及び22Fと底壁側開口部21E及び21Fを突き合わせて一つの貫通孔41を形成するように並設している。隣り合う2つの電気化学セルモジュール1及び101は、それぞれ貫通孔41を形成する底壁側開口部21E及び21Fに図示しないバスバ18の端子部18B及びバスバ17´の端子部17´Bを露出させる。そして貫通孔41内に位置する2つの端子部18B及び17´Bをボルトで連結して電気的且つ機械的に接続する。このような構造を採用すると、隣り合う2つの電気化学セルモジュール1及び101の突き合わせ部において、電気的な接続をすることが可能となり、接続が容易になる上、接続パターンのバリエーションを増やすことができる。
【0051】
また本実施の形態では、2つの電気化学セルモジュール1及び101は、両者の境界領域において、それぞれの第1及び第2のホルダ5及び7に跨がる共用連結板42及び42´により連結している。このような共用連結板42及び42´を用いれば、2つの電気化学セルモジュール1及び101の連結強度を高めることができる。また本実施の形態では、2つの電気化学セルモジュール1及び101は、それぞれ共用連結板42及び42´を間に挟む2つの位置において、第1及び第2のホルダ5及び7に跨がる補助連結板43及び43´並びに44及び44´により連結されている。補助連結板43及び43´並びに44及び44´を用いると、電気化学セルモジュール1及び101の第1及び第2のホルダ5及び7がセル集合体3から抜けることを確実に防止できる。
【0052】
図9に示す本発明の第2の実施の形態の電気化学セルモジュール・ユニット200は、
図5に示した2台の電気化学セルモジュール201を並設して1つのモジュール列を構成している。その結果、電気化学セルモジュール・ユニット200は、8本のリチウムイオンキャパシタが直列接続された構造を有する。電気化学セルモジュール201は第1の側壁部22Aの側壁側開口部22Eからバスバ18の端子部18Bを出しており、第3の側壁部22Cの側壁側開口部22Fからバスバ17´の端子部17´Bを出している。そして2つの電気化学セルモジュール201を、側壁側開口部22E及び22Fと底壁側開口部21E及び22Fを突き合わせて一つの貫通孔41を形成するように並設している。隣り合う2つの電気化学セルモジュール201は、それぞれ貫通孔41を形成する底壁側開口部21E及び22Fに図示しないバスバ18の端子部18B及びバスバ17´の端子部17´Bを露出させる。そして貫通孔41内に位置する2つの端子部18B及び17´Bをボルトで連結して電気的に接続している。
【0053】
また本実施の形態でも、2つの電気化学セルモジュール201は、両者の境界領域において、それぞれの第1及び第2のホルダ5及び7に跨がる共用連結板42及び42´により連結している。また本実施の形態でも、2つの電気化学セルモジュール201は、それぞれ共用連結板42及び42´を間に挟む2つの位置において、第1及び第2のホルダ5及び7に跨がる補助連結板43及び43´並びに44及び44´により連結されている。
【0054】
図10の電気化学セルモジュール・ユニット300は、
図5に示した2台の電気化学セルモジュール201を並設して構成した2のモジュール列302及び303を、上下方向の位置関係を一致させて上下に重ねることにより構成している。本実施の形態では、8本のリチウムキャパシタが直列接続されて構成された2つの直列回路が、並列接続された構造を有している。2台の電気化学セルモジュール・ユニット200の境界部には、2つの凹部27cが突き合わされてリード線引き出し用貫通孔が4個形成されている。この電気化学セルモジュール・ユニット300では、端子列をなす複数の端子部18B、18Bを電気的接続手段であるリード線45中の接続導体で相互に電気的に接続している。また端子列をなす複数の端子部17´B、17´Bをリード線46中の接続導体で相互に電気的に接続している。なお出力は、リード線45の一方の接続部とリード線46の一方の接続部に、出力用リード線を接続することにより得る。
【0055】
図11は、本発明の第3の実施の形態の電気化学セルモジュール・ユニット400の斜視図である。また
図12(A)乃至(F)は、電気化学セルモジュール・ユニット400の、上面図、正面図、底面図、背面図、左側面図及び右側面図である。そして
図13は、理解を容易にするために、電気化学セルモジュール・ユニット400を正面側の側面を覆う絶縁樹脂シート及び連結板を除いて示した電気化学セルモジュール・ユニット400の正面図である。この電気化学セルモジュール・ユニット400では、4つの電気化学セルモジュール201が列をなすように配置されてなるモジュール列401及び403が上下方向に重ねられて並設されている。なおモジュール列401とモジュール列403は、互いに180度回転した位置関係を有している。その結果、上側のモジュールれる401と下側のモジュール列403とでは、端子部18B及び17′Bが第1のホルダ5から出る角度が異なっている。本実施の形態の電気化学セルモジュール・ユニット400では、18本のリチウムイオンキャパシタが直列接続されて構成された2本の直列回路が、更に直列接続された構造を有している。
【0056】
本実施の形態でも、隣り合う2つの電気化学セルモジュール201,201の第1のホルダ5、5の間に形成した貫通孔41内で隣り合う2つの電気化学セルモジュール201,201のバスバの端子部を連結している。2つのモジュール列401,403の両端に位置する電気化学セルモジュール201は、貫通孔41を形成するために対向する側壁側開口部22E,22F(
図13には図示せず)が形成された側壁部と対向する別の側壁部に別の側壁側開口部22E,22F(
図13には図示せず)及び底壁部側開口部21E,21Fを有しており、別の側壁部側開口部から一つの出力用バスバ17,18(
図13には図示せず)の端子部17´B,18Bを露出させている。本実施の形態では、2つのモジュール列401及び493が直列接続されるように、2つのモジュール列401及び403の2つの出力用バスバの端子部17′B及び18Bが電気的接続手段(49〜53)によりで連結されている。本実施の形態の電気的接続手段(49〜53)は、出力用バスバの端子部17′B及び18Bに連結されあL字型の金具49及び51と、端子金具49及び51を相互に連結する短冊状の金具53とから構成されている。このように連結バスバ(49〜53)で2つのモジュール列401、403を接続することにより、必要な電圧及び容量の電気化学セルモジュール・ユニット400を簡単に構成することができる。
【0057】
2つの連結バスバ(49〜53)とは反対側の位置にあるモジュール列401及び403の出力用の端子部18B及び17′Bには、出力用端子金具55及び57が取り付けられている。
【0058】
図11及び
図12(A)に示すように、2つのモジュール列401、403の8個の電気化学セルモジュール201の第1のホルダ5の底壁部は、厚みが約0.35mmの1枚の絶縁樹脂シート59によって覆われている。本実施の形態では、この絶縁樹脂シート59は、
図12(A)のA−A線断面図を示す
図14(A)に示すように、8個の第1のホルダ5の底壁面をカバーした状態で、SUS製の連結板61により固定されている。連結板61は、上側に位置するモジュール列401中の4個の第1のホルダ5と、下側に位置するモジュール列403中の4個の第1のホルダ5に、それぞれネジ止めされている。また上側に位置するモジュール列401中の4個の第2のホルダ7と、下側に位置するモジュール列403中の4個の第2のホルダ5も、SUS製の連結板63により固定されている。連結板61は、上側に位置するモジュール列401中の4個の第2のホルダ7と、下側に位置するモジュール列403中の4個の第1のホルダ7に、それぞれネジ止めされている。
【0059】
また本実施の形態では、上に位置するモジュール列401に含まれる4個の第1のホルダ5をそれぞれ連結板65により連結し、モジュール列401に含まれる4個の第2のホルダ7をそれぞれ連結板67により連結している。また下に位置するモジュール列403に含まれる4個の第1のホルダ5の下には第1のスライドレール69を固定し、モジュール列403に含まれる4個の第2のホルダ7の下には第2のスライドレール71を固定してある。このように構成すると、複数のモジュール列を上下に並べた場合に、ケースを用いることがなく、堅牢な構造体を構築することができる。その上、第1及び第2のスライドレール69緒よっび71を設けたことにより、電気化学セルモジュール・ユニット400の実装、点検及び交換が容易になる利点が得られる。当然ながら、実装機器の実装面上には、第1及び第2のスライドレール69及び71をスライド可能に支持する一対のガイドが固定されている。
【0060】
また2つのモジュール列401及び403の一方の端面の大部分は、電気的接続手段(49〜31)を除いて絶縁樹脂板73で覆われている。本実施の形態では、絶縁樹脂板73の下に少し隙間が形成されている。モジュール列401及び403の他方の端面は、出力用端子金具55及び57の引き出し部分を除いて絶縁樹脂板75で覆われている。このような絶縁樹脂板73及び75を用いると、周囲の機器との短絡の発生を防止できる。
【0061】
図14(B)に示した
図12(A)のB−B線断面に示されるように、本実施の形態では、2つのモジュール列401及び403中の各電気化学セルモジュールの電圧をそれぞれ制御する2つの電圧制御用回路基板77及び79が収納された制御ボックス91及び93が、2つのモジュール列401及び403の他端側に配置されている。本実施の形態では、2つの制御ボックス91及び93を一枚の半透明な絶縁樹脂製の蓋板95により塞いでいる。そして制御ボックス91及び93内部にはモジュール列401及び403の他端側に位置する側面にモジュール列401及び493の状態を示す状態表示手段97及び99が配置されている。本実施の形態では、状態表示手段97及び99は状態判定回路により駆動され、対向するモジュール列内の電気化学セルモジュールが正常状態にあるときに発光する発光ダイオードにより構成されている。発光ダイオードに対応する蓋板95の部分が半透明なため、発光ダイオードの発光状態を外部から視認することができる。このような制御ボックス91及び93を用いると、事前に制御ボックスを製造することができるため、電気化学セルモジュール・ユニット400の製造が容易になる。また状態表示手段97及び99を制御ボックスに設ければ、簡単にモジュール列の状態を視覚により確認できる。
【0062】
本実施の形態では、
図12(A),(C)及び(D)に示すように、2つのモジュール列401及び403を連結する連結板63が位置する背面と対向するように、複数のスペーサ103を介して絶縁樹脂板105が配置されている。その結果、スペーサ103の寸法分のスペース107を確保することができる。本実施の形態では、このスペース107により各電気化学セルモジュール201から制御ボックス91及び93内の電圧制御用回路基板77及び79に至る図示しない複数本の引き出し線の通り道を確保している。各電気化学セルモジュールには、温度センサと電圧検出端子とが設けられており、これらから引き出し線が引き出されている。
【0063】
上記
図11乃至14に示した実施の形態では、2つのモジュール列だけを備えているが、モジュール列の数は任意である。また複数のモジュール列をどのように接続するかは任意である。また上記実施の形態では、電気化学セルモジュール・ユニット全体を覆うケースを設けていないが、電気化学セルモジュール・ユニット全体を覆うケースをも設けてもよい。その場合には、絶縁樹脂シート59,絶縁樹脂板73,75及び105は不要である。そして制御ボックスは、ケースの外側に配置してもよいし、内側に配置してもよい。制御ボックスをケースの外側に配置すると、電気化学セルモジュール・ユニット全体の製造が容易になる。
【0064】
上記実施の形態の電気化学セルモジュール・ユニットは、電気化学セルとしてリチウムイオン・キャパシタを用いているが他の種類のキャパシタや、リチウムイオン電池を含む二次電池も電気化学セルとして利用可能なことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のように、隣り合う2つの電気化学セルモジュールの間に形成した貫通孔内で隣り合う2つの電気化学セルモジュールのバスバの端子部を連結すると、簡単な構造で隣り合う2つの電気化学セルモジュールを電気的に且つ機械的に連結することができる。またこのような構造を採用すると、隣り合う2つの電気化学セルモジュールの突き合わせ部において、電気的な接続をすることが可能となり、接続パターンのバリエーションを増やすことができる。
【符号の説明】
【0066】
1 電気化学セルモジュール
3 セル集合体
5 第1のホルダ
7 第2のホルダ
13 リチウムイオンキャパシタ(電気化学セル)
15 セル群
16 支柱
17〜20´ バスバ
17B,17B′、18B 端子部
21 底壁部
21E,21F 底壁側開口部
22 周壁部
22A〜22D 側壁部
22E〜22H 側壁側開口部
23 中心孔
24 貫通孔
25 貫通孔
26 貫通孔
28A〜28D 端部嵌合用凹部
30A〜30D スペーサ収容用凹部
41 貫通孔
101,201 電気化学セルモジュール
100,300,400 電気化学セルモジュール・ユニット
302,303,401,403 モジュール列