【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ナフサクラッカーからのC4留分の抽出蒸留による製造法や、SS−C4留分またはエチレン原料を用いない方法として、プロピレンを原料とし、プロピレンの不均化反応によりn−ブテンとエチレンを生成し、該n−ブテンを脱水素することにより、効率良く1,3−ブタジエンを製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、少なくとも下記の工程(A)〜(C)を経ることを特徴とする1,3−ブタジエンの製造方法に関するものである。
工程(A):不均化反応触媒
としてシリカ−タングステン系触媒の存在下、少なくともガス状プロピレンを含むガスの不均化を行い、n−ブテンとエチレンを含む生成ガスとする工程。
工程(B):工程(A)の反応生成ガスを分離操作に付し、主成分としてn−ブテンを含む留分を分離・回収する工程。
工程(C):工程(B)の留分を脱水素触媒
としてのビスマス,モリブデン,鉄,コバルト,セリウム,タリウム,アンチモンからなる多元素系複合酸化物触媒の存在下、脱水素反応を行い、1,3−ブタジエンを含む反応生成ガスとする工程。
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、少なくとも上記の工程(A)〜(C)を経てなるものである。
【0015】
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法における工程(A)は、不均化反応触媒の存在下、少なくともガス状プロピレンを含むガスの不均化を行い、n−ブテンとエチレンを含む反応生成ガスとする工程である。この際の不均化反応としては、例えば特表2004−522743号公報、WO2005/023420号公報、WO2006/093058号公報に記載された方法が挙げられる。
【0016】
本発明の工程(A)における不均化反応触媒としては、不均化反応触媒であれば如何なるものを用いることも可能であり、担持触媒、錯体触媒等を挙げることができる。そして、担持触媒を構成する担体としては、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア等を挙げることができ、中でもシリカとしては、規則性メソポーラス多孔体を挙げることができる。また、担体に担持する成分としては、例えばタングステン、モリブデン、レニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスニウム、ニッケル、アルミニウム、マンガン、鉄および銅から選ばれる少なくとも1種類以上金属元素を含む化合物を挙げることができる。また、錯体触媒としては、例えばルテニウム錯体触媒、オスニウム錯体触媒等が挙げられる。そして、特にn−ブテンの生産効率に優れたものとなることから、不均化反応触媒としては、シリカを担体として用いたシリカ−タングステン系触媒、シリカ−モリブデン系触媒、シリカ−レニウム系触媒、シリカ−ニオブ系触媒、シリカ−タンタル系触媒、シリカ−バナジウム系触媒、シリカ−ルテニウム系触媒、シリカ−ロジウム系触媒、シリカ−イリジウム系触媒、シリカ−オスニウム系触媒、シリカ−ニッケル系触媒、シリカ−アルミニウム系触媒、シリカ−マンガン系触媒、シリカ−鉄系触媒、シリカ−銅系触媒;シリカとして規則性メソポーラス多孔体を担体として用いた規則性メソポーラス多孔体シリカ−ニッケル系触媒、規則性メソポーラス多孔体シリカ−アルミニウム系触媒、規則性メソポーラス多孔体シリカ−マンガン系触媒、規則性メソポーラス多孔体シリカ−鉄系触媒、規則性メソポーラス多孔体シリカ−銅系触媒であることが好ましい。
【0017】
本発明の工程(A)は、原料としてガス状プロピレンを含むガスを用い不均化反応によりn−ブテンとエチレンを含む生成ガスを得るものであり、その際の原料ガスとしてはプロピレンであるが、該原料ガス中にはメタン、エタン、n−ブタン等の飽和炭化水素が共存していてもよい。また、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス等の不活性ガスで希釈したものであってもよい。さらに、工程(A)における生成ガスの生産効率に優れるものとなることから、水蒸気を共存することが好ましく、その際の水蒸気量としては、プロピレン1モルに対し、0.001〜1モルであることが好ましく、特に0.005〜0.5モルであることが好ましい。
【0018】
該工程(A)における反応温度としては、不均化反応が進行すれば如何なる温度であってもよく、中でも効率的にn−ブテンが生成することから、100〜700℃が好ましく、特に200〜600℃であることが好ましい。また、反応圧力としても、不均化反応が進行すれば如何なる圧力であってもよく、中でも効率的にn−ブテンが生成することから、0.05〜5.0MPaであることが好ましい。
【0019】
該工程(A)において、不均化反応を実施する際のガス状プロピレンを含むガスの気体時空間速度(GHSV)に関しても不均化反応が進行すれば如何なるものであってもよく、中でも効率的にn−ブテンが生成することから、気体時空間速度1〜10000h
−1が好ましく、特に10〜5000h
−1であることが好ましい。
【0020】
該工程(A)において、不均化反応を実施する際の反応形式についても、不均化反応が進行すれば如何なる反応形式であってもよく、中でも効率的にn−ブテンが生成することから、固定床連続流通式であることが好ましい。
【0021】
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法における工程(B)は、工程(A)の反応生成ガスを分離操作に付し、主成分をn−ブテンとする留分を分離・回収する工程である。
【0022】
ここで、工程(A)の反応生成ガスは、工程(A)における生成物であるn−ブテン、エチレンを含むガスであり、該生成ガスには、未反応のプロピレンや前記のメタン、エタン、n−ブタン等の飽和炭化水素、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス等の不活性ガス等を含んでいてもかまわない。
【0023】
該工程(B)における主成分としてn−ブテンを含む留分の分離・回収の方法としては、主成分としてn−ブテンを含む留分が分離・回収できれば如何なる方法を用いてもよく、例えば、以下の方法を挙げることができる。
【0024】
工程(A)の反応生成ガスを工程(B)に移送する。その際には反応生成ガスを乾燥することが好ましく、乾燥方法としては、例えば、シリカやゼオライト等の乾燥剤により乾燥する方法が挙げられる。そして、乾燥した反応生成ガスは、プロピレン冷媒、エチレン冷媒の順に冷却し、第一分離塔に移送し、希釈ガスとして例えば窒素を用いた場合には、塔頂部から窒素、塔底部からエチレン、プロピレン、n−ブテンを含む留分に分離することができる。
【0025】
そして、第一分離塔の塔底部からのエチレン、プロピレン、n−ブテンを含む留分は、第二分離塔に移送し、例えば2.4〜2.7MPaの圧力で、塔頂部から主成分としてエチレンを含む留分と塔底部からプロピレンとn−ブテンを含む留分とに分離することができる。その際の凝集器には例えばプロピレン冷媒を用い、リボイラーは例えば低圧蒸気で加熱すればよい。
【0026】
第二分離塔の塔底部からのプロピレンとn−ブテンを含む留分は、第三分離塔に移送し、例えば1.5〜1.8MPaの圧力で、塔頂部から主成分としてプロピレンを含む留分、塔底部から主成分としてn−ブテンを含む留分に分離することができ、主成分としてn−ブテンを含む留分を分離・回収することが可能となる。この際の塔底温度は、重縮合反応によるリボイラーの汚れを防ぐため、120℃以下とすることが好ましい。
【0027】
塔頂部から得た主成分としてプロピレンを含む留分に関しては、例えばそのまま工程(A)にリサイクルすることが可能である。また、必要に応じて水素化及び/又は精製を行った後、工程(A)にリサイクルしてもよい。
【0028】
また、塔底部から得た主成分としてn−ブテンを含む留分については、必要に応じて第四分離塔に移送し、塔頂部から主成分としてn−ブテンを含む留分、塔底部からC5以上の炭化水素を含む留分とに分離してもよい。
【0029】
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法における工程(C)は、工程(B)の留分を脱水素触媒の存在下、n−ブテンの脱水素反応を行い、1,3−ブタジエンを含む反応生成ガスとして、1,3−ブタジエンを製造する工程である。
【0030】
該工程(C)における脱水素反応としては、酸化剤である分子状酸素を水素受容体として水素を引き抜く酸化脱水素反応;水素を分子として引き抜く単純脱水素反応;等が挙げられ、特に1,3−ブタジエンの生産効率に優れるものとなることから、酸化脱水素反応であることが好ましい。
【0031】
そして、該工程(C)を酸化脱水素反応で行う場合の酸化脱水素触媒としては、n−ブテン及び分子状酸素から1,3−ブタジエンを生成することが可能な酸化脱水素触媒であれば如何なる触媒をも用いることも可能であり、例えば特公昭49−004441号公報、特開昭52−111506号公報、特開昭50−130709号公報、特開昭58−074622号公報、等に提案のビスマス−モリブデンを含む酸化物触媒、例えば、一般式Mo
12Co
bFe
cBi
dCe
eTl
fSb
gO
j(ここで、b〜gはそれぞれ、b=3〜15、c=0.4〜6、d=0.01〜3、e=0.01〜2、f=0.01〜2、g=0.01〜3、j=40〜79である。)で示される多元素系複合酸化物からなる酸化脱水素触媒、等を挙げることができる。
【0032】
また、該多元素系複合酸化物からなる酸化脱水素触媒は、上記一般式で示される多元素系複合酸化物からなる物であれば、そのままでも触媒とすることが可能であり、その中でも、特に触媒として取り扱い性、活性、持続性に優れたものとなることから、不活性担体に担持したもの、または不活性担体で希釈したものとすることが好ましく、該不活性担体として、例えばシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、シリコンカーバイド等を挙げることができる。
【0033】
該多元素系複合酸化物からなる酸化脱水素触媒の調製方法としては、該一般式で示されるモリブデン、コバルト、鉄、ビスマス、セリウム、タリウム及びアンチモンを金属元素として含む多元素系複合酸化物を製造することが可能であれば、如何なる方法をも用いることが可能であり、例えば各金属元素の硝酸塩、アンモニウム塩、有機酸塩、ハロゲン化物、水酸化物等の塩類、酸化物、または、その塩類を組み合わせて使用すること可能であり、それぞれを組み合わせて用い、蒸発乾固法により調製することも可能である。
【0034】
該酸化脱水素触媒の形状に制限はなく、如何なる形状を有するものであっても良く、例えば球状、楕円状、円柱状、筒状、ハニカム状、粉体、顆粒状等の形状を挙げることができ、その中でも、効率的に1,3−ブタジエンを製造する触媒となることから、球状、円柱状、筒状、ハニカム状、顆粒状の形状を有するものであることが好ましい。また、その際の成型方法は、例えば打錠成型、押出成型、スラリーを乾燥後熱処理し、粉砕してふるい分けする方法が挙げられる。そして、成型の際には、必要に応じシリカ、シリカゾル、アルミナ、アルミナゾル、グラファイト、セルロース等の成型助剤を混在させても良い。
【0035】
酸化脱水素反応を行う際の分子状酸素としては、例えば純酸素、空気を挙げることができ、また、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス等の不活性ガス等で希釈されたものであってもよい。
【0036】
該工程(C)において酸化脱水素反応を行う際には、効率的に1,3−ブタジエンを製造することが可能であることから、反応温度300〜500℃で反応を行うことが好ましく、特に酸化脱水素触媒の寿命が長くなる製造方法となることから300〜450℃であることが好ましい。
【0037】
その際の反応形式としては、例えば固定床流通式、流動床等が挙げられる。また、気相法で実施する際の反応場における反応ガスのn−ブテンの濃度は、爆発範囲外であれば良く、その中でも効率的な1,3−ブタジエンの製造が可能になることから、1〜20容量%が好ましく、特に3〜15容量%が好ましい。そして、該原料ガス中の分子状酸素の濃度についても、爆発範囲外であれば良く、その中でも効率的な1,3−ブタジエンの製造方法となるから、1〜30容量%であることが好ましく、特に3〜20容量%であることが好ましい。さらに、該原料ガスには、必要で有れば、窒素、水蒸気、炭酸ガス等の不活性ガスを加えて希釈してもよい。
【0038】
また、酸化脱水素反応を実施する際の原料ガスの気体時空間速度(GHSV)に、制限はなく、その中でも効率的な1,3−ブタジエンの製造が可能となることから、気体時空間速度100〜10000h
−1が好ましく、特に200〜5000h
−1であることが好ましい。その際の反応圧力に制限はなく、その中でも効率的な1,3−ブタジエンの製造が可能となることから、0.05〜1.0MPaが好ましく、特には0.1〜0.5MPaであることが好ましい。
【0039】
さらに、該工程(C)を単純脱水素反応で行う場合の単純脱水素触媒としては、工程(B)の留分であるn−ブテンから1,3−ブタジエンを生成することが可能であれば如何なる触媒をも用いることが可能であり、例えば酸化マグネシウムに鉄、銅、カリウムの酸化物を担持した触媒;アルミナに酸化クロムを担持した触媒鉄;クロムおよびカリウムを含む複合酸化物触媒;カルシウムとニッケルのリン酸化合物触媒,それに酸化クロムを添加した触媒、等が挙げられる。
【0040】
該単純脱水素触媒の形状に限定はなく、如何なる形状を有するものであっても良く、例えば球状、楕円状、円柱状、筒状、ハニカム状、粉体、顆粒状等の形状を挙げることができ、その中でも、効率的に1,3−ブタジエンを製造する触媒となることから、球状、円柱状、筒状、ハニカム状、顆粒状の形状を有するものであることが好ましい。また、その際の成型方法は、例えば打錠成型、押出成型、スラリーを乾燥後熱処理し、粉砕してふるい分けする方法が挙げられる。そして、成型の際には、必要に応じシリカ、シリカゾル、アルミナ、アルミナゾル、グラファイト、セルロース等の成型助剤を混在させても良い。
【0041】
そして、該工程(C)を単純脱水素反応で行う際の反応温度としては、400〜800℃が好ましく、特に効率的に1,3−ブタジエンを製造することが可能となることから500〜700℃であることが好ましい。
【0042】
該工程(C)を単純脱水素反応で実施する際の反応形式に特に制限はなく、例えば固定床流通式等が挙げられる。また、気相法で実施する際の反応場における原料ガス中のn−ブテンの濃度も制限はなく、その中でも効率的な1,3−ブタジエン製造が可能になることから、1〜20容量%が好ましく、特に3〜15容量%が好ましい。さらに、該原料ガスには、1,3−ブタジエンが効率的に得られることから、水蒸気を添加することが好ましい。水蒸気量は、1,3−ブタジエンが効率的に得られることから、好ましくはn−ブテンに対し1〜50倍モル、更に好ましくは、2〜30倍モルが挙げられる。
【0043】
また、その際の原料ガスの気体時空間速度(GHSV)にも制限はなく、その中でも効率的に1,3−ブタジエンの製造が可能となることから、気体時空間速度1〜5000h
−1が好ましく、特に10〜1000h
−1であることが好ましい。反応圧力に関しても制限はなく、その中でも効率的に1,3−ブタジエンの製造が可能となることから、0.01〜1.0MPaが好ましく、特には0.02〜0.5MPaであることが好ましい。
【0044】
該工程(C)により得られる1,3−ブタジエンを含む反応生成ガスとは、反応生成物である1,3−ブタジエン以外に、未反応のn−ブテンを含むものであってもよく、さらに反応副生成物を含むものであってもよい。
【0045】
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法においては、該工程(C)で得られた1,3−ブタジエンを含む反応生成ガスを分離・精製し、1,3−ブタジエンを回収する工程(D)を付随するものであってもよい。
【0046】
該工程(D)としては、例えば工程(C)により得られた1,3−ブタジエンを含む反応生成ガスと水性媒体とを直接接触し、アルデヒド等の反応副生成物を取り除き、その接触後に得られたガス分から、1,3−ブタジエンと未反応のn−ブテンを分離し、1,3−ブタジエンを回収する工程を挙げることができる。
【0047】
工程(C)により得られた1,3−ブタジエンを含む反応生成ガスと水性媒体とを接触する際の水性媒体としては、例えば蒸留水、イオン交換水、上水、飲料水、工業用水等を挙げることができる。また、その際の反応生成ガスと水性媒体との直接接触法に制限はなく、その中でも反応副生成物の水性媒体への溶解性が優れることから、例えば充填塔、棚段塔、スプレー塔、ぬれ壁塔、気泡塔等の吸収塔による直接接触が好ましく、特に充填塔、棚段塔、スプレー塔が好ましく、さらに充填塔が好ましい。そして、充填塔を用いる場合、充填塔の充填物に制限はなく、単位容量当たりの比表面積が大きく、空隙率が大きくガスの流れに対する抵抗が小さく、耐食性、耐熱性、機械的強度に優れることから、磁製、金属製またはプラスチック製のラシヒリング、レッシングリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ポールリング等が挙げられ、耐食性、耐熱性に特に優れることから、磁製のラシヒリング、レッシングリング、ベルルサドル、インタロックスサドルが特に好ましい。反応生成ガスと水性媒体との接触方法は、直接接触が可能であれば如何なる制限はなく、例えば並流接触、向流接触等が挙げられ、特に反応副生成物の水性媒体への吸収効率が優れることから向流接触が好ましい。また、直接接触を行う際の水性媒体の温度には制限はなく、その中でも反応副生成物の吸収効率がよいことから、−5〜50℃が好ましく、特に0〜20℃が好ましい。1,3−ブタジエンを含む反応生成ガスと水性媒体との接触時間および、圧力に制限はなく、反応副生成物が水性媒体に吸収されればよい。
【0048】
次に、水性媒体と接触後に得られたガス分から、1,3−ブタジエンと未反応のn−ブテンを分離し、1,3−ブタジエンを回収する。その際のガス分としては、生成物である1,3−ブタジエン、未反応のn−ブテンの他にオフガスとして分子状酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素等を含むものであってもよい。該ガス分から1,3−ブタジエンとn−ブテンを分離・回収する方法としては、1,3−ブタジエンとn−ブテンの分離・回収が可能であれば如何なる方法を用いることも可能であり、その中でも、該ガス分から1,3−ブタジエンとn−ブテンを容易に分離・回収することが可能となることから、該ガス分を圧縮機に移送し、0.5MPa以上に圧縮した後に、直冷式または間冷式の熱交換器等で冷却した後、1,3−ブタジエン及び未反応のn−ブテンを回収するための吸収塔に移送し、更に1,3−ブタジエン及びn−ブテンを吸収溶剤と接触させ、塔底部から1,3−ブタジエンと未反応のn−ブテンを含む吸収液を回収し、更に、1,3−ブタジエンとn−ブテンを含む吸収液を放散塔に移送し、塔頂部から1,3−ブタジエンとn−ブテンを含むガス分を回収する。その際の吸収塔での吸収溶剤としては、C5〜C20の飽和炭化水素類であるペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等やC6〜C9の芳香族炭化水素類であるベンゼン、トルエン、キシレン、キュメン等を挙げることができる。また、吸収塔の塔頂部から分子状酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素等のオフガスを分離する。
【0049】
次に、1,3−ブタジエンと未反応のn−ブテンを含むガスを1,3−ブタジエンと未反応のn−ブテンとに分離・精製し、1,3−ブタジエンを回収する。1,3−ブタジエンの分離・精製方法に制限はなく、公知の方法で行うことができる。例えば、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等の抽出溶剤を用い抽出蒸留により1,3−ブタジエンを分離・精製する方法が好ましい。分離したn−ブテンは、工程(C)にリサイクルしてもよい。
【0050】
また、工程(C)から工程(D)の間、必要で有れば、得られた1,3−ブタジエンを含む反応生成ガスを除熱しても良い。ここで反応生成ガスの除熱温度に制限はなく、その中でも反応生成ガス中の生成物及び副生成物が凝集されないことから、150〜250℃が好ましく、特に170〜200℃が好ましい。