(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、製造中に硫化水素を発生することなく、スルフィド基、メルカプト基、及び加水分解性基を含有するオルガノポリシロキサンを製造する方法、製造後にスルフィド基含有化合物と含有しても硫化水素が発生しないメルカプト基、及び加水分解性基を含有するオルガノポリシロキサンを製造する方法、製造後にメルカプト基含有化合物と含有しても硫化水素が発生しないスルフィド基、及び加水分解性基を含有するオルガノポリシロキサンを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、スルフィド基含有有機基、メルカプト基含有有機基のうち少なくとも一種の有機基、及び加水分解性基を含有するオルガノポリシロキサンの製造方法として、スルフィド基含有二価の有機基及び/又はメルカプト基含有有機基と加水分解性基とを有する化合物を加水分解縮合してオルガノポリシロキサンを製造する際、加水分解・縮合触媒及びその中和剤として実質的に塩基性を示す化合物を用いないことが有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は下記のオルガノポリシロキサンの製造方法を提供する。
〔1〕
スルフィド基含有二価の有機基及び/又はメルカプト基含有有機基と加水分解性基とを含有する化合物を加水分解・縮合して、下記平均組成式(1)
(A)
a(B)
b(C)
c(D)
dSiO
(4-2a-b-c-d)/2 (1)
(式中、Aはスルフィド基含有二価の有機基、Bはメルカプト基含有有機基、Cは加水分解性基、Dはアルキル基、アリール基、アルケニル基、エポキシ基含有有機基、(メタ)アクリロイル基含有有機基、ハロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する有機基であり、
0<2a<1、
0<b<1、0<c<3、0≦d<1であ
り、且つ0<2a+b+c+d<4である。)
で表されるオルガノポリシロキサンを製造するに際し、加水分解・縮合触媒及びその中和剤として実質的に塩基性を示す化合物を用いず、酸性条件下で加水分解・縮合させた後、
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はブチレンオキサイドで中和を行うことを特徴とする上記式(1)のオルガノポリシロキサンの製造方法。
〔2〕
前記スルフィド基含有二価の有機基が、下記式(2)
*−(CH
2)
n−S
x−(CH
2)
n−
* (2)
(式中、nは1〜10の整数、xは統計的平均値で1〜6を表す。
*−、−
*は結合手を示す。)
で表され、前記メルカプト基含有有機基が、下記式(3)
*−(CH
2)
m−SH (3)
(式中、mは1〜10の整数を表す。
*−は結合手を示す。)
で表され、前記加水分解性基が、下記式(4)
*−OR
1 (4)
(式中、R
1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
*−は結合手を示す。)
で表されることを特徴とする〔1〕記載の製造方法。
〔
3〕
下記式(5)で表される有機ケイ素化合物及び下記式(6)で表される有機ケイ素化合
物を酸性条件下で加水分解・縮合させた後、実質的に中性の化合物で中和を行う〔1〕
又は〔2〕記載の製造方法。
【化1】
(式中、nは1〜10の整数、xは統計的平均値で1〜6を表す。R
3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数2〜10のアルケニル基、R
4は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基、yは1〜3の整数を表す。)
で表される有機ケイ素化合物と、下記式(6)
【化2】
(式中、R
3、R
4、yは上記と同様であり、mは1〜10の整数を表す。)
〔
4〕
下記式(5)で表される有機ケイ素化合物、及び下記式(6)で表される有機ケイ素化合
物と、下記式(7)で表される有機ケイ素化合物を酸性条件下で加水分解・縮合させた後、実質的に中性の化合物で中和を行う〔1〕
又は〔2〕記載の製造方法。
【化3】
(式中、nは1〜10の整数、xは統計的平均値で1〜6を表す。R
3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数2〜10のアルケニル基、R
4は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基、yは1〜3の整数を表す。)
【化4】
(式中、R
3、R
4、yは上記と同様であり、mは1〜10の整数を表す。)
【化5】
(式中、R
3、R
4、yは上記と同様であり、R
7はアルキル基、アリール基、アルケニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、及びハロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する有機基を表す。)
〔
5〕
前記実質的に中性の化合物を用いて中和を行う前に、アルカリ吸着剤
としてアルミニウムシリケートを添加することを特徴とする〔1〕〜〔
4〕のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によって、製造中に硫化水素を発生することなく、スルフィド基、メルカプト基及び加水分解性基を含有するオルガノポリシロキサンを安全に製造することができる。また、本発明の製造方法によって、製造後にスルフィド基含有化合物と含有しても硫化水素が発生しないメルカプト基、及び加水分解性基を含有するオルガノポリシロキサンを製造することができ、更に本発明の製造方法によって、製造後にメルカプト基含有化合物と含有しても硫化水素が発生しないスルフィド基及び加水分解性基を含有するオルガノポリシロキサンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、加水分解・縮合触媒及びその中和剤として実質的に塩基性を示す化合物を用いることのない下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの製造方法である。
(A)
a(B)
b(C)
c(D)
dSiO
(4-2a-b-c-d)/2 (1)
(式中、Aはスルフィド基含有二価の有機基、Bはメルカプト基含有有機基、Cは加水分解性基、Dはアルキル基、アリール基、アルケニル基、エポキシ基含有有機基、(メタ)アクリロイル基含有有機基、ハロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する有機基であり、0≦2a<1、0≦b<1、0<c<3、0≦d<1であるが、2a=0の場合は0<b<1、b=0の場合は0<2a<1、且つ0<2a+b+c+d<4である。)
【0012】
a,b,dはケイ素原子の合計モル数を1とした場合の各有機基の平均モル数を意味しており、各有機基が一分子中に平均何モル%含まれているかを示している。従って、2a+b+d=1である。Aは二価の有機基を示すため2aという表記になる。また、cはケイ素原子1モルに対し、ケイ素上に加水分解性基が平均何モル%含まれているかを示している。
【0013】
より具体的には、式(1)において、前記スルフィド基含有有機基は下記式(2)
*−(CH
2)
n−S
x−(CH
2)
n−
* (2)
(式中、nは1〜10の整数、xは統計的平均値で1〜6を表す。)
で表され、前記メルカプト基含有有機基が下記式(3)
*−(CH
2)
m−SH (3)
(式中、mは1〜10の整数を表す。)
で表され、前記加水分解性基は下記式(4)
*−OR
1 (4)
(式中、R
1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は炭素数2〜10のアルケニル基を表す。)
で表される。
【0014】
前記スルフィド基含有二価の有機基としては、
−CH
2−S
2−CH
2−、−C
2H
4−S
2−C
2H
4−、−C
3H
6−S
2−C
3H
6−、
−C
4H
8−S
2−C
4H
8−、−CH
2−S
4−CH
2−、−C
2H
4−S
4−C
2H
4−、
−C
3H
6−S
4−C
3H
6−、−C
4H
8−S
4−C
4H
8−
が挙げられる。
【0015】
前記メルカプト有機基としては、
−CH
2SH、−C
2H
4SH、−C
3H
6SH、−C
4H
8SH、−C
5H
10SH、
−C
6H
12SH、−C
7H
14SH、−C
8H
16SH、−C
9H
18SH、−C
10H
20SH
が挙げられる。
【0016】
R
1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基等が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ペンテニル基等が挙げられる。
【0017】
この場合、0<2a<1、0<b<1で表すことができるスルフィド基を有する有機基、メルカプト基を有する有機基、加水分解性基を一分子内に含有するオルガノポリシロキサンが好適である。
【0018】
また、式(1)において、Dのアルキル基としては、炭素数1〜12のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜12のもの、例えばフェニル基、トリル基、スチリル基、ジフェニル基等が挙げられる。アルケニル基としては、炭素数2〜10のもの、例えばビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられる。エポキシ基含有有機基としては、3−グリシドキシプロピル基、6−グリシドキシヘキシル基、8−グリシドキシオクチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基含有有機基としては、3−メタクリロキシプロピル基、6−メタクリロキシヘキシル基、8−メタクリロキシオクチル基、3−アクリロキシプロピル基、6−アクリロキシヘキシル基、8−アクリロキシオクチル基等が挙げられる。ハロアルキル基としては、炭素数1〜10のもの、例えば1−クロロメチル基、3−クロロプロピル基、6−クロロヘキシル基、8−クロロオクチル基、1−ブロモメチル基、3−ブロモプロピル基、6−ブロモヘキシル基、8−ブロモオクチル基等が挙げられる。
【0019】
本発明のオルガノシロキサンの製造は、下記式(5)で表される有機ケイ素化合物と、
【化6】
(式中、n、xは上記と同様であり、R
3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、R
4は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、yは1〜3の整数を表す。)
下記式(6)で表される有機ケイ素化合物と
【化7】
(式中、R
3、R
4、yは上記と同様であり、mは1〜10の整数を表す。)
のうち、少なくとも一種の有機ケイ素化合物を酸性条件下で加水分解・縮合させた後、実質的に中性の化合物で中和を行うことが好ましい。
【0020】
R
3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ペンテニル基等が挙げられる。R
4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0021】
上記式(5)で表される有機ケイ素化合物としては特に限定されないが、具体的には、ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
【0022】
上記式(6)で表される有機ケイ素化合物としては特に限定されないが、具体的には、α−メルカプトメチルトリメトキシシラン、α−メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、α−メルカプトメチルトリエトキシシラン、α−メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
上記式(5)で表される有機ケイ素化合物、及び上記式(6)で表される有機ケイ素化合物のうち少なくとも一種の有機ケイ素化合物と、下記式(7)で表される有機ケイ素化合物
【化8】
(式中、R
3、R
4、yは上記と同様であり、R
7はアルキル基、アリール基、アルケニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ハロアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する有機基を表す。)
とを酸性条件下で加水分解・縮合させた後、実質的に中性の化合物で中和を行うことも好ましい。
【0024】
上記式(7)で表されるアルキル基を有する有機ケイ素化合物としては特に限定されないが、炭素数1〜12のアルキル基を有するものが好ましく、具体的には、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルメチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルメチルジエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルメチルジメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルメチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルメチルジエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルメチルジメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0025】
上記式(7)で表されるアリール基を有する有機ケイ素化合物としては特に限定されないが、炭素数6〜12のアリール基を有するものが好ましく、具体的には、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルメチルジメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0026】
上記式(7)で表されるアルケニル基を有する有機ケイ素化合物としては特に限定されないが、炭素数2〜10のアルケニル基を有するものが好ましく、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ヘキセニルメチルジメトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、ヘキセニルメチルジエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクテニルメチルジメトキシシラン、オクテニルトリエトキシシラン、オクテニルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0027】
上記式(7)で表されるエポキシ基を有する有機ケイ素化合物としては特に限定されないが、具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、6−グリシドキシヘキシルトリメトキシシラン、6−グリシドキシヘキシルメチルジメトキシシラン、6−グリシドキシヘキシルトリエトキシシラン、6−グリシドキシヘキシルメチルジエトキシシラン、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、8−グリシドキシオクチルメチルジメトキシシラン、8−グリシドキシオクチルトリエトキシシラン、8−グリシドキシオクチルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0028】
上記式(7)で表される(メタ)アクリロイル基を有する有機ケイ素化合物としては特に限定されないが、具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、6−メタクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、6−メタクリロキシヘキシルメチルジメトキシシラン、6−メタクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、6−メタクリロキシヘキシルメチルジエトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルメチルジメトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリエトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、6−アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、6−アクリロキシヘキシルメチルジメトキシシラン、6−アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、6−アクリロキシヘキシルメチルジエトキシシラン、8−アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、8−アクリロキシオクチルメチルジメトキシシラン、8−アクリロキシオクチルトリエトキシシラン、8−アクリロキシオクチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0029】
上記式(7)で表されるハロゲン化アルキル基を有する有機ケイ素化合物としては特に限定されないが、炭素数1〜10のものが好ましく、具体的には、1−クロロメチルトリメトキシシラン、1−クロロメチルメチルジメトキシシラン、1−クロロメチルトリエトキシシラン、1−クロロメチルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、6−クロロヘキシルトリメトキシシラン、6−クロロヘキシルメチルジメトキシシラン、6−クロロヘキシルトリエトキシシラン、6−クロロヘキシルメチルジエトキシシラン、8−クロロオクチルトリメトキシシラン、8−クロロオクチルメチルジメトキシシラン、8−クロロオクチルトリエトキシシラン、8−クロロオクチルメチルジエトキシシラン、1−ブロモメチルトリメトキシシラン、1−ブロモメチルメチルジメトキシシラン、1−ブロモメチルトリエトキシシラン、1−ブロモメチルメチルジエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルメチルジエトキシシラン、6−ブロモヘキシルトリメトキシシラン、6−ブロモヘキシルメチルジメトキシシラン、6−ブロモヘキシルトリエトキシシラン、6−ブロモヘキシルメチルジエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、8−ブロモオクチルメチルジメトキシシラン、8−ブロモオクチルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0030】
本発明の製造方法は、加水分解・縮合を酸性条件下で行うことが好ましい。例えば、上記式(5)で表される有機ケイ素化合物及び上記式(6)で表される有機ケイ素化合物のうち少なくとも一種の有機ケイ素化合物と下記式(7)で表される有機ケイ素化合物の混合物中に、加水分解・縮合反応酸性触媒の存在下、水を加えて部分共加水分解及び重縮合反応を行うことによって得ることができるし、この際、必要に応じて適当な有機溶媒を使用することも可能である。
【0031】
使用される加水分解・縮合反応酸性触媒としては、従来公知の種々のものを使用することができる。具体例としては、酢酸、トリフロロ酢酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸等の有機酸類、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸等の無機酸類、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂等の酸性基を交換基として持つ陽イオン交換樹脂が挙げられる。上記触媒は単独で使用してもよく、又は複数種を併用してもよいが、触媒の使用量は、原料全体の中に存在するSi原子モル数に対して0.0001〜10モル%の範囲とすることが好ましく、更には0.001〜3モル%の範囲とすることがより好ましい。
【0032】
この際、必要に応じてアルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類等の有機溶媒を使用してもよい。これらの有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などを挙げることができる。また、上記溶媒と共に、ヘキサン、トルエン、キシレン等の非極性溶媒を併用してもよい。特に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を使用することが好ましい。
【0033】
加水分解、縮合反応における実際の操作としては、アルコキシシラン原料、触媒及び有機溶媒からなる混合系に所定量の水又は水/有機溶媒の混合溶液を滴下するか、アルコキシシラン原料及び有機溶媒からなる混合系に所定量の水/触媒の混合溶液又は水/触媒/有機溶媒の混合溶液を滴下することが好ましい。
【0034】
この場合、水の使用量は、アルコキシシラン原料のアルコキシル基1モルに対し、0.05〜0.99モル、特に0.5〜0.9モルであることが好ましい。水が少なすぎると、アルコキシシラン原料が大量に残存してしまい、水が多すぎると、重合度が高くなり、組成物がゲル化してしまうおそれがある。
【0035】
各反応は0〜150℃の温度範囲で実施すればよいが、一般的には、室温より低い温度では反応の進行が遅くなるため実用的でなく、また高温すぎる場合もエポキシ基、メルカプト基等の熱分解やアクリロキシ基の熱重合など、有機官能基への悪影響が発生するため、20〜130℃の温度範囲とすることが好ましい。
【0036】
加水分解・縮合反応で用いた酸触媒を実質的に中性の化合物で中和を行うことが好ましい。中和を行わずに、使用した有機溶媒と副生したアルコール、低沸点物の留去などによる精製工程を行うと使用するポンプを劣化させてしまう危険性がある。更に、製造したオリゴマーに酸が残存し、配合物とした際に悪影響を及ぼす危険性がある。
【0037】
中和工程に用いる実質的に中性の化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。上記中和剤は単独で使用してもよく、又は複数種を併用してもよい。実質的に中性の化合物の使用量は、用いた酸性触媒に対し0.1〜100倍モルの範囲にすることが好ましく、1.0〜5.0倍モルの範囲とすることがより好ましい。
【0038】
中和反応は0〜150℃の温度範囲で実施すればよいが、中和剤として用いるエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドの沸点が低いため、0〜80℃の範囲にすることが好ましく、0〜50℃の範囲とすることがより好ましい。
【0039】
実質的に中性の化合物により酸性触媒を中和することにより、硫化水素を発生することなくスルフィド基、メルカプト基を有するオルガノポリシロキサンを安全に製造することが可能である。また、実質的に中性の化合物により酸性触媒を中和することにより、スルフィド基を有する化合物と混合した際に硫化水素が発生しないメルカプト基を有するオルガノポリシロキサンを製造することができ、更にメルカプト基を有する化合物と混合した際に硫化水素が発生しないスルフィド基を有するオルガノポリシロキサンを製造することができる。
【0040】
更に、実質的に中性の化合物により酸性触媒を中和する際に、アルカリ吸着剤を添加することが好ましい。ここでいうアルカリ吸着剤とは、「アルカリ性化合物を吸着する吸着剤」を示す。なかでも、アルミニウムシリケートを用いることが好ましい。アルミニウムシリケートとしては、特に限定されないが、具体的には、キョーワード600、キョーワード700(協和化学工業製)が挙げられる。アルカリ吸着剤の使用量は、用いた有機ケイ素化合物の総量に対し0.000001〜10質量%の範囲にすることが好ましく、0.000001〜1質量%の範囲にすることがより好ましい。
【0041】
即ち、用いる有機ケイ素化合物に、塩基性化合物が不純物として含有している場合がある。塩基性不純物が含有した有機ケイ素化合物を用いてオルガノポリシロキサンを製造すると、塩基性不純物の影響により、スルフィド基、メルカプト基を有するオルガノポリシロキサンを製造する際に硫化水素が発生する危険性がある。また、メルカプト基を有するオルガノポリシロキサンをスルフィド化合物に混合した際、更にスルフィド基を有するオルガノポリシロキサンをメルカプト化合物に混合した際に硫化水素が発生する可能性がある。アルカリ吸着剤を用いることにより、塩基性不純物を取り除くことができ、硫化水素を発生することなくスルフィド基、メルカプト基を有するオルガノポリシロキサンを安全に製造することが可能である。また、スルフィド化合物と混合した際に硫化水素が発生しないメルカプト基を有するオルガノポリシロキサンを、更にメルカプト化合物と混合した際に硫化水素が発生しないスルフィド基を有するオルガノポリシロキサンを製造することができる。
【0042】
反応後、濾過等による除去操作や、使用した有機溶媒と副生したアルコール、低沸点物の留去などによる精製工程を行い、オルガノポリシロキサンを得ることができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を示して本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記例において、平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。
【0044】
スルフィド基を有するオルガノポリシロキサン
[
参考例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業製 KBE−846)646.8g(1.2mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。キョーワード700(協和化学工業製)3.2gを加え、プロピレンオキサイド1.13g(0.0194mol)を滴下した。その後、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより、褐色透明液体を510.9g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は860であり、下記平均組成式で示される。得られたオリゴマーをオリゴマー1とする。
(−C
3H
6−S
4−C
3H
6−)
0.50(C
2H
5O)
1.50SiO
0.75
【0045】
[
参考例2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業製 KBE−846)323.4g(0.6mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−3083)331.8g(1.2mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。キョーワード700(協和化学工業製)3.2gを加え、プロピレンオキサイド1.13g(0.0194mol)を滴下した。その後、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより、褐色透明液体を520.3g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は870であり、下記平均組成式で示される。得られたオリゴマーをオリゴマー2とする。
(−C
3H
6−S
4−C
3H
6−)
0.25(−C
8H
17)
0.50(C
2H
5O)
1.50SiO
0.75
【0046】
[比較例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業製 KBE−846)646.8g(1.2mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。5%KOH/EtOH溶液21.8g(KOH0.0194mol)を滴下した。更に、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより、褐色透明液体を506.9g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は860であり、下記平均組成式で示される。得られたオリゴマーをオリゴマー3とする。
(−C
3H
6−S
4−C
3H
6−)
0.50(C
2H
5O)
1.50SiO
0.75
【0047】
メルカプト基を有するオルガノポリシロキサン
[
参考例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−803)572.2g(2.4mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。キョーワード700(協和化学工業製)3.2gを加え、プロピレンオキサイド1.13g(0.0194mol)を滴下した。その後、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより、無色透明液体を435.2g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は730であり、下記平均組成式で示される。得られたオリゴマーをオリゴマー4とする。
(−C
3H
6−SH)
1.00(C
2H
5O)
1.50SiO
0.75
【0048】
[
参考例4]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−803)286.1g(1.2mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−3083)331.8g(1.2mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。キョーワード700(協和化学工業製)3.2gを加え、プロピレンオキサイド1.13g(0.0194mol)を滴下した。その後、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより、無色透明液体を480.1g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は810であり、下記平均組成式で示される。得られたオリゴマーをオリゴマー5とする。
(−C
3H
6−SH)
0.50(−C
8H
17)
0.50(C
2H
5O)
1.50SiO
0.75
【0049】
[比較例2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコに3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−803)572.2g(2.4mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した。5%KOH/EtOH溶液21.8g(KOH0.0194mol)を滴下した。更に、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより無色透明液体を432.7g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は730であり、下記平均組成式で示される。得られたオリゴマーをオリゴマー6とする。
(−C
3H
6−SH)
1.00(C
2H
5O)
1.50SiO
0.75
【0050】
表1の配合で
参考例1〜4、比較例1,2で得られたオリゴマーを含有する組成物を作成した。
メルカプト化合物・・・3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−803)
スルフィド化合物・・・ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業製 KBE−846)
【0051】
なお、得られた組成物中からの硫化水素発生の有無、保存安定性を確認した。保存安定性は以下のように実施した。
保存安定性:
○:1ヶ月後GPCに変化なし
×:1ヶ月後GPCに変化あり
【0052】
【表1】
【0053】
比較例1,2に示す通り、塩基性化合物で中和したスルフィド基含有オリゴマー並びにメルカプト基含有オリゴマーをそれぞれメルカプト化合物、スルフィド化合物に混合すると硫化水素が発生する。また、比較例1,2配合の組成物は、硫化水素を発生しながら新たなスルフィド結合を形成していくため、経時で高分子量化していく。このように、いずれの場合においても本
参考例が製造安全性、保存安定性に優れており、
参考例の製造方法が優れていることを確認することができた。
【0054】
スルフィド基及びメルカプト基を有するオルガノポリシロキサン
[実施例
1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業製 KBE−846)323.4g(0.6mol)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−803)286.1g(1.2mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。キョーワード700(協和化学工業製)3.2gを加え、プロピレンオキサイド1.13g(0.0194mol)を滴下した。その後、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより、褐色透明液体を470.3g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は800であり、下記平均組成式で示される。得られたオリゴマーをオリゴマー7とする。また、メルカプト当量を測定すると400であり、ほぼ理論値(397)通りであった。
(−C
3H
6−S
4−C
3H
6−)
0.25(−C
3H
6−SH)
0.50(C
2H
5O)
1.50SiO
0.75
【0055】
[実施例
2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業製 KBE−846)323.4g(0.6mol)、塩基性不純物が含有している3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン286.1g(1.2mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。キョーワード700(協和化学工業製)3.2gを加え、プロピレンオキサイド1.13g(0.0194mol)を滴下した。その後、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより、褐色透明液体を472.1g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は800であり、下記平均組成式で示される。得られたオリゴマーをオリゴマー8とする。また、メルカプト当量を測定すると400であり、ほぼ理論値(397)通りであった。
(−C
3H
6−S
4−C
3H
6−)
0.25(−C
3H
6−SH)
0.50(C
2H
5O)
1.50SiO
0.75
【0056】
[実施例
3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業製 KBE−846)161.7g(0.3mol)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−803)143.0g(0.6mol)、オクチルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−3083)331.8g(1.2mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。キョーワード700(協和化学工業製)3.2gを加え、プロピレンオキサイド1.13g(0.0194mol)を滴下した。その後、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより、褐色透明液体を500.7g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は840であり、下記平均組成式で示される。得られたオリゴマーをオリゴマー9とする。また、メルカプト当量を測定すると840であり、ほぼ理論値(838)通りであった。
(−C
3H
6−S
4−C
3H
6−)
0.125(−C
3H
6−SH)
0.25(C
2H
5O)
1.50(−C
8H
17)
0.50SiO
0.75
【0057】
[比較例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた2Lセパラブルフラスコにビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(信越化学工業製 KBE−846)323.4g(0.6mol)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業製 KBE−803)286.1g(1.2mol)、エタノール400gを納めた後、室温にて0.5N塩酸水32.4g(水1.8mol、塩化水素0.0162mol)を滴下した。その後、80℃にて2時間撹拌した。更に、室温まで冷却した。5%KOH/EtOH溶液21.8g(KOH0.0194mol)を滴下した。その後、室温にて1時間撹拌し、この反応溶液を減圧留去、濾過することにより、褐色透明液体を468.3g得た。得られたシリコーンオリゴマーをGPCにより測定した結果、平均分子量は1050であり、理論値(880)より大きい値を示した。また、メルカプト当量を測定すると600であり、理論値(397)より大きい値を示した。更に、得られたオリゴマーから硫化水素臭が発生した。得られたオリゴマーをオリゴマー10とする。
【0058】
なお、得られたオリゴマーからの硫化水素発生の有無、保存安定性を確認した。保存安定性は以下のように実施した。
保存安定性:
○:1ヶ月後GPCに変化なし
×:1ヶ月後GPCに変化あり
【0059】
【表2】
【0060】
比較例3では、塩基性化合物によって中和することにより、製造したオリゴマーから硫化水素は発生し、保存安定性が悪いだけでなく、理論値のオリゴマーを製造することができない。上記の通り、いずれの場合においても本実施例が製造安全性、保存安定性に優れており、本発明の製造方法が優れていることを確認することができた。