特許第5910871号(P5910871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5910871
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】レゾール型フェノール樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 8/04 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   C08G8/04
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-65406(P2012-65406)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-194207(P2013-194207A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】申 東美
(72)【発明者】
【氏名】木田 成信
【審査官】 井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03391117(US,A)
【文献】 特開2003−160626(JP,A)
【文献】 特開平01−315411(JP,A)
【文献】 特開平03−212419(JP,A)
【文献】 特開平06−211954(JP,A)
【文献】 特開2011−162615(JP,A)
【文献】 特開平05−206331(JP,A)
【文献】 特開平08−081615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G4/00−16/06
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
C09D1/00−10/00
C09D101/00−201/10
C09D11/00−13/00
C09J1/00−5/10
C09J9/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール類(a1)と、ナフトール類(a2)とホルムアルデヒド発生源物質(a3)とをトリエチルアミンの存在下で、ナフトール類(a2)の使用量がフェノール類(a1)に対して5〜30モル%となる範囲で反応させることを特徴とするレゾール型フェノール樹脂の製造方法
【請求項2】
トリエチルアミンの存在下、フェノール類(a1)とホルムアルデヒド発生源物質(a3)とを反応させてレゾール樹脂を得た後、該レゾール樹脂とナフトール類(a2)とを反応させるレゾール型フェノール樹脂の製造方法であって、ナフトール類(a2)の使用量がフェノール類(a1)に対して5〜30モル%となる範囲で用いることを特徴とするレゾール型フェノール樹脂の製造方法
【請求項3】
前記ナフトール類(a2)の使用量がフェノール類(a1)に対して5〜20モル%となる範囲である請求項1又は2記載のレゾール型フェノール樹脂の製造方法
【請求項4】
前記フェノール類(a1)とナフトール類(a2)のホルムアルデヒド発生源物質(a3)に対する使用量が、モル比〔(a1)+(a2)〕/(a3)で1.0〜2.0となる範囲である請求項1又は2記載のレゾール型フェノール樹脂の製造方法
【請求項5】
前記ナフトール類(a2)がα−ナフトールである請求項1又は2記載のレゾール型フェノール樹脂の製造方法
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項記載の製造方法で得られたレゾール型フェノール樹脂と有機溶剤(B)と混合する工程を有するレゾール型フェノール樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
有機溶剤(B)100質量部に対してレゾール型フェノール樹脂を10〜80質量部で混合する請求項記載のレゾール型フェノール樹脂組成物の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属との密着性に優れ、金属用塗料や金属と接する状況下で用いられる物品を得るための充填剤を含む組成物の結合剤として好適に使用されるレゾール型フェノール樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
レゾール型フェノール樹脂は、耐熱性、機械的特性、低価格などの優れた特性を有していることから、フィルター、積層板、摩擦材等の結合剤として、また、飲料の缶用の塗料用の原料として使用されている。
【0003】
耐熱性に優れるレゾール型フェノール樹脂として、例えば、塩基性触媒の存在下、フェノール化合物とナフトール化合物との混合物にアルデヒドを反応させて反応生成物を得る際に、反応生成物を分散させるのに十分な量の極性溶剤の共存下で反応して得られる、レゾール型フェノール樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、前記ナフトール化合物をフェノール化合物に対して等モル以下で使用することが好ましいと開示されており、実施例においては、フェノール1モルに対してナフトールを0.5モル用いてレゾール型フェノール樹脂を得ている。しかしながら、前記特許文献1で得られるレゾール型フェノール樹脂は金属との密着性が悪い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−212419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、金属との密着性に優れ、金属用塗料や、金属と接する状況下で用いられる物品を得るための充填剤を含む組成物の結合剤として好適に使用されるレゾール型フェノール樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フェノール化合物に対してナフトール化合物を前記特許文献1で実際に使用している量に比べて大幅に少なく、具体的には、フェノール化合物1モルに対して0.05〜0.3モル使用することにより金属との密着性に優れるレゾール型フェノール樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、フェノール類(a1)と、ナフトール類(a2)とホルムアルデヒド発生源物質(a3)とを反応させて得られ、且つ、ナフトール類(a2)の使用量がフェノール類(a1)に対して5〜30モル%となる範囲であるレゾール型フェノール樹脂(A)と有機溶剤(B)とを含有することを特徴とするレゾール型フェノール樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のレゾール型フェノール樹脂組成物は金属との密着性に優れる。その為、金属用塗料や金属と接する状況下で用いられる物品を得るための充填剤を含む組成物の結合剤、金属と接する状況下で用いられる物品を得るためのペースト等として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いるレゾール型フェノール樹脂(A)は、フェノール類(a1)と、ナフトール類(a2)とホルムアルデヒド発生源物質(a3)とを反応させて得られ、且つ、ナフトール類(a2)の使用量がフェノール類(a1)に対して5〜30モル%となる範囲で用いて得られるものである。ナフトール類(a2)の使用量がフェノール類(a1)に対して5モル%より少ないと金属との密着性に優れるレゾール型フェノール樹脂組成物が得にくくなることからから好ましくない。ナフトール類(a2)の使用量がフェノール類(a1)に対して30モル%より多いと金属との密着性に優れるレゾール型フェノール樹脂組成物が得にくくなることに加えて、レゾール型フェノール樹脂(A)を合成しにくいことから好ましくない。ナフトール類(a2)の使用量としてはフェノール類(a1)に対して5〜20モル%が好ましい。
【0010】
本発明で用いるフェノール類(a1)としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール類;レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類;ハロゲン化フェノール、フェニルフェノール、アミノフェノール、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。フェノール類(a1)は、1種類を使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0011】
本発明で用いるナフトール類(a2)としては、例えば、α−ナフトール、β−ナフトール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。ナフトール類(a2)は1種類を使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。ナフトール類(a2)としては、反応性が良く適切な分子量のフェノール樹脂を合成しやすいことからα―ナフトールが好ましい。
【0012】
本発明で用いるホルムアルデヒド発生源物質(a3)としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。ホルムアルデヒド発生源物質(a3)は1種類を使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0013】
前記フェノール類(a1)とナフトール類(a2)のホルムアルデヒド発生源物質(a3)に対する使用量は、モル比〔(a1)+(a2)〕/(a3)で1.0以上となる範囲が、熱硬化が可能なレゾール型フェノール樹脂を得やすいことから好ましく、更に、アルデヒド化合物とナフトールとの反応を制御し、適切な分子量のレゾール型フェノール樹脂が得られることから1.0〜1.5がより好ましい。ここで、アルデヒド類のモル数(c)とは、アルデヒド類におけるホルムアルデヒド単位のモル数である。
【0014】
本発明で用いるレゾール型フェノール樹脂(A)は、ナフトール類(a2)の使用量がフェノール類(a1)に対して5〜20モル%となる範囲になるようにナフトール類(a2)とフェノール類(a1)を用いて種々の方法で製造することができる。例えば、フェノール類(a1)とホルムアルデヒド発生源物質(a3)とナフトール類(a2)を反応容器に仕込み、塩基性触媒の存在下反応させる方法によりレゾール型フェノール樹脂(A)を製造することができる。また、レゾール型フェノール樹脂(A)は、塩基性触媒の存在下、フェノール類(a1)とホルムアルデヒド発生源物質(a3)とを反応させてレゾール樹脂を得た後、該レゾール樹脂とナフトール類(a2)とを反応させる方法により製造することもできる。この方法は、ナフトールのゲル化を防ぎ分子量の制御が容易でレゾール型フェノール樹脂(A)の中でも目的とする分子量の樹脂を得やすいことから好ましい。
【0015】
前記に例示したレゾール型フェノール樹脂(A)の製造方法に用いる塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。塩基性触媒としては、アンモニア、トリエチルアミンがレゾール型フェノール樹脂(A)の中でも柔軟性が向上したレゾール型フェノール樹脂が得られることから好ましい。尚、塩基性触媒は1種類を使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0016】
前記レゾール型フェノール樹脂(A)の製造方法における反応温度は通常60〜90℃である。また、反応時間は通常4〜10時間である。
【0017】
本発明で用いるレゾール型フェノール樹脂(A)の分子量は、有機溶剤に溶解しやすく安定性が良好なレゾール型フェノール樹脂組成物が得られることから重量平均分子量(Mw)は300〜3000が好ましく、300〜1500がより好ましい。ここで、重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
【0018】
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G1000HXL」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテックジャパン株式会社製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0019】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
【0020】
本発明で用いる有機溶剤(B)としては、前記レゾール型フェノール樹脂(A)を溶解できるものであれば種々のものを使用することができる。有機溶剤(B)としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール・プロピレングリコール・ヘキシレングリコールなどのグリコール類;ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート等のアセテート類等が挙げられる。有機溶剤としては、製造が容易であることからメタノールが好ましい。尚、有機溶剤は1種類を使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0021】
本発明のレゾール型フェノール樹脂組成物中のレゾール型フェノール樹脂(A)の含有量としては、有機溶剤(B)100質量部に対して5〜200質量部が好ましい。
【0022】
本発明のレゾール型フェノール樹脂組成物中のレゾール型フェノール樹脂(A)は加熱することにより硬化させることが可能である。従って、本発明のレゾール型フェノール樹脂組成物を塗料として用いることができる。また、充填剤のバインダとしても用いることができる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミ粉、鉄粉、銅粉、銀粉等の無機物;小麦粉、米粉、木粉、クルミ核粉、アンズ核粉、オリーブ核粉、カーボン等の有機物等が挙げられる。
【0023】
また、本発明のレゾール型フェノール樹脂組成物を硬化剤としてエポキシ樹脂に配合することも可能である。
【実施例】
【0024】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。例中、「部」、「%」は特に断りのない限り質量基準である。GPCの測定条件は上記の条件である。
【0025】
実施例1
攪拌機、温度計、冷却管を装備した4つ口のフラスコに、フェノール540gと41.5%ホルマリン622gを加えた。次いで、トリエチルアミンを27g加え、80度に昇温し、2時間反応した後、80℃まで減圧蒸留を行いレゾール樹脂を得た。その後、このレゾール樹脂にメタノール150g、α‐ナフトールを82g加え2時間反応させてナフタレン変性レゾール型フェノール樹脂(A−1)を得た。得られたナフタレン変性レゾール型フェノール樹脂(A−1)全量を200gのメタノールに溶解し、不揮発分60%であるレゾール型フェノール樹脂組成物(1)を得た。尚、レゾール型フェノール樹脂(A−1)を調製する際のナフトール類(a2)の使用量はフェノール類(a1)に対して10モル%である。また、レゾール型フェノール樹脂(A−1)のGPCによる重量平均分子量は400であった。
【0026】
実施例2
攪拌機、温度計、冷却管を装備した4つ口のフラスコに、フェノール540gと41.5%ホルマリン700gを加えた。次いで、トリエチルアミンを27g加え、80度に昇温し、2時間反応した後、80℃まで減圧蒸留を行いレゾール樹脂を得た。その後、このレゾール樹脂にメタノール150g、α‐ナフトールを164g加え2時間反応させてレゾール型フェノール樹脂(A−2)を得た。得られたレゾール型フェノール樹脂(A−2)全量を200gのメタノールに溶解し、不揮発分60%であるレゾール型フェノール樹脂組成物(2)を得た。尚、レゾール型フェノール樹脂(A−2)を調製する際のナフトール類(a2)の使用量はフェノール類(a1)に対して20モル%である。また、レゾール型フェノール樹脂(A−2)のGPCによる重量平均分子量は520であった。
【0027】
比較例1
攪拌機、温度計、冷却管を装備した4つ口のフラスコに、フェノール540gと50%ホルマリン404gを加えた。次いで、アンモニアを32.4g加え、80℃に昇温し、2時間反応した後、100℃まで減圧蒸留を行いレゾール樹脂を得た。その後、このレゾール樹脂にメタノール150g加え反応系のガードナー粘度がZ1−Z2となるまで反応を続け、比較対照用レゾール型フェノール樹脂(a−1)を得た。得られた比較対照用レゾール型フェノール樹脂(a−1)全量を188gのメタノールに溶解し、不揮発分60%である比較対照用レゾール型フェノール樹脂組成物(1´)を得た。また、比較対照用レゾール型フェノール樹脂(a−1)のGPCによる重量平均分子量は660であった。
【0028】
比較例2
攪拌機、温度計、冷却管を装備した4つ口のフラスコに、フェノール650gと50%ホルマリン799gを加えた。次いで、苛性ソーダを25.16g加え、80℃に昇温し、約3時間反応した。その後、反応系の粘度がガードナー粘度でU-Vとなるまで減圧蒸留を行い、不揮発分として比較対照用レゾール型フェノール樹脂(a−2)を65%含む比較対照用レゾール型フェノール樹脂組成物(2´)を得た。また、比較対照用レゾール型フェノール樹脂(a−2)のGPCによる重量平均分子量は460であった。
【0029】
比較例3
攪拌機、温度計、冷却管を装備した4つ口のフラスコに、フェノール540gと41.5%ホルマリン622gを加えた。次いで、トリエチルアミンを27g加え、80度に昇温し、2時間反応した後、80℃まで減圧蒸留を行いレゾール樹脂を得た。その後、このレゾール樹脂にメタノール100g、α‐ナフトールを25g加え2時間反応させて比較対照用レゾール型フェノール樹脂(a−3)を得た。得られたレゾール型フェノール樹脂(a−3)全量を200gのメタノールに溶解し、不揮発分60%である比較対照用レゾール型フェノール樹脂組成物(3´)を得た。尚、レゾール型フェノール樹脂(a−3)を調製する際のナフトール類(a2)の使用量はフェノール類(a1)に対して3モル%である。また、レゾール型フェノール樹脂(a−3)のGPCによる重量平均分子量は370であった。
【0030】
比較例4
攪拌機、温度計、冷却管を装備した4つ口のフラスコに、フェノール540gと41.5%ホルマリン622gを加えた。次いで、トリエチルアミンを27g加え、80度に昇温し、2時間反応した後、80℃まで減圧蒸留を行いレゾール樹脂を得た。その後、このレゾール樹脂にメタノール200g、α‐ナフトールを287g加え2時間反応させて比較対照用レゾール型フェノール樹脂(a−4)を得た。得られたレゾール型フェノール樹脂(a−4)全量を200gのメタノールに溶解し、不揮発分60%である比較対照用レゾール型フェノール樹脂組成物(4´)を得た。尚、レゾール型フェノール樹脂(a−4)を調製する際のナフトール類(a2)の使用量はフェノール類(a1)に対して35モル%である。また、レゾール型フェノール樹脂(a−4)のGPCによる重量平均分子量は670であった。
【0031】
試験例1〜2及び比較試験例1〜4
上記実施例、比較例で得たレゾール型フェノール樹脂組成物の硬化物のアルミ板に対する密着性を評価した。評価用の試験片の作成方法と評価方法を以下に示す。
【0032】
<評価用の試験片の作成方法>
レゾール型フェノール樹脂組成物をアルミ試験板(0.8mm×25mm×150mm)に乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布したアルミ板(樹脂付アルミ板)を2枚作製する。このアルミ板上のレゾール型フェノール樹脂組成物を120℃の雰囲気下で10分間かけて乾燥させた。乾燥後、2枚の樹脂付アルミ板の樹脂面を張り合わせて200℃の雰囲気下で30分間かけて樹脂を硬化させて、試験片を得た。
【0033】
<評価方法>
試験片を用いてJIS K−6850に規定されている「ひっぱりせん断試験」に従って引っ張り強度を求めた。
【0034】
【表1】