(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被照射面と光学的に共役な面を形成する投影光学系と組み合わせて用いられ、前記照明瞳は前記投影光学系の開口絞りと光学的に共役な位置である請求項1乃至22のいずれか1項に記載の照明光学系。
前記所定のパターンの像を前記感光性基板上に形成する投影光学系を備え、前記照明瞳は前記投影光学系の開口絞りと光学的に共役な位置である請求項24に記載の露光装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
図1において、感光性基板であるウェハWの転写面(露光面)の法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの転写面内において
図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハWの転写面内において
図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
【0013】
図1を参照すると、本実施形態の露光装置では、光源LSから露光光(照明光)が供給される。光源LSとして、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や、248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。光源LSから+Z方向に射出された光は、ビーム送光部1を介して、偏光仕分け用の空間光変調器2に入射する。空間光変調器2を経て斜め方向に射出された光は、前側レンズ群3aと後側レンズ群3bとからなる再結像光学系3を介して、瞳形成用の空間光変調器4に入射する。
【0014】
再結像光学系3の瞳位置またはその近傍には、偏光部材5が配置されている。ビーム送光部1は、光源LSからの入射光束を適切な大きさおよび形状の断面を有する光束に変換しつつ空間光変調器2,4へ導くとともに、空間光変調器2,4に入射する光束の位置変動および角度変動をアクティブに補正する機能を有する。なお、ビーム送光部1は、光源LSからの入射光束を適切な大きさおよび形状の断面を有する光束に変換しない構成であってもよい。
【0015】
空間光変調器2,4は、後述するように、所定面内に配列されて個別に制御される複数のミラー要素と、制御系CRからの制御信号に基づいて複数のミラー要素の姿勢を個別に制御駆動する駆動部とを有する。偏光部材5は、並列的に配置されて偏光作用の互いに異なる複数の1/2波長板を有する。空間光変調器2,4および偏光部材5の構成および作用については後述する。
【0016】
空間光変調器4から+Z方向に射出された光は、リレー光学系6の前側レンズ群6aを介して、リレー光学系6の瞳面6cに入射する。前側レンズ群6aは、その前側焦点位置が空間光変調器4の複数のミラー要素の配列面(以下、「空間光変調器の配列面」という)の位置とほぼ一致し且つその後側焦点位置が瞳面6cの位置とほぼ一致するように設定されている。空間光変調器4を経た光は、後述するように、複数のミラー要素の姿勢に応じた光強度分布を瞳面6cに可変的に形成する。瞳面6cに光強度分布を形成した光は、リレー光学系6の後側レンズ群6bを介して、リレー光学系7に入射する。
【0017】
リレー光学系7を経た光は、光路折曲げミラーMR1により+Y方向に反射され、マイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)8に入射する。後側レンズ群6bおよびリレー光学系7は、瞳面6cとマイクロフライアイレンズ8の入射面とを光学的に共役に設定している。したがって、空間光変調器4を経た光は、瞳面6cと光学的に共役な位置に配置されたマイクロフライアイレンズ8の入射面に、瞳面6cに形成された光強度分布に対応した光強度分布を形成する。
【0018】
マイクロフライアイレンズ8は、たとえば縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子であり、平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。マイクロフライアイレンズでは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、レンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。
【0019】
マイクロフライアイレンズ8における単位波面分割面としての矩形状の微小屈折面は、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状である。なお、マイクロフライアイレンズ8として、例えばシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることもできる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成および作用は、例えば米国特許第6913373号明細書に開示されている。
【0020】
マイクロフライアイレンズ8に入射した光束は多数の微小レンズにより二次元的に分割され、その後側焦点面またはその近傍の照明瞳には、入射面に形成される光強度分布とほぼ同じ光強度分布を有する二次光源(多数の小光源からなる実質的な面光源:瞳強度分布)が形成される。マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に形成された二次光源からの光束は、コンデンサー光学系9を介して、マスクブラインド10を重畳的に照明する。
【0021】
こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド10には、マイクロフライアイレンズ8の矩形状の微小屈折面の形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。なお、マイクロフライアイレンズ8の後側焦点面またはその近傍に、すなわち後述する投影光学系PLの入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に、二次光源に対応した形状の開口部(光透過部)を有する照明開口絞りを配置してもよい。
【0022】
マスクブラインド10の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系11の集光作用を受け、且つ結像光学系11の光路中に配置されたミラーMR2により−Z方向へ反射された後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。すなわち、結像光学系11は、マスクブラインド10の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。
【0023】
マスクステージMS上に保持されたマスクMを透過した光束は、投影光学系PLを介して、ウェハステージWS上に保持されたウェハ(感光性基板)W上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハステージWSを二次元的に駆動制御しながら、ひいてはウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが順次露光される。スキャン露光を行う際には、たとえばY方向に沿って、投影光学系PLの倍率に応じた速度比でマスクステージMSとウェハステージWSとを駆動すればよい。
【0024】
本実施形態の露光装置は、照明光学系(1〜11)を介した光に基づいて照明光学系の射出瞳面における瞳強度分布を計測する第1瞳強度分布計測部DTrと、投影光学系PLを介した光に基づいて投影光学系PLの瞳面(投影光学系PLの射出瞳面)における瞳強度分布を計測する第2瞳強度分布計測部DTwと、第1および第2瞳強度分布計測部DTr,DTwのうちの少なくとも一方の計測結果に基づいて空間光変調器2,4を制御し且つ露光装置の動作を統括的に制御する制御系CRとを備えている。
【0025】
第1瞳強度分布計測部DTrは、例えば照明光学系の射出瞳位置と光学的に共役な位置に配置された光電変換面を有する撮像部を備え、照明光学系による被照射面上の各点に関する瞳強度分布(各点に入射する光が照明光学系の射出瞳位置に形成する瞳強度分布)をモニターする。また、第2瞳強度分布計測部DTwは、例えば投影光学系PLの瞳位置と光学的に共役な位置に配置された光電変換面を有する撮像部を備え、投影光学系PLの像面の各点に関する瞳強度分布(各点に入射する光が投影光学系PLの瞳位置に形成する瞳強度分布)をモニターする。
【0026】
第1および第2瞳強度分布計測部DTr,DTwの詳細な構成および作用については、例えば米国特許公開第2008/0030707号明細書を参照することができる。また、瞳強度分布計測部として、米国特許公開第2010/0020302号公報の開示を参照することもできる。
【0027】
本実施形態では、マイクロフライアイレンズ8により形成される二次光源を光源として、照明光学系の被照射面に配置されるマスクM(ひいてはウェハW)をケーラー照明する。このため、二次光源が形成される位置は投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役であり、二次光源の形成面を照明光学系の照明瞳面と呼ぶことができる。また、この二次光源の形成面の像を照明光学系の射出瞳面と呼ぶことができる。典型的には、照明瞳面に対して被照射面(マスクMが配置される面、または投影光学系PLを含めて照明光学系と考える場合にはウェハWが配置される面)が光学的なフーリエ変換面となる。なお、瞳強度分布とは、照明光学系の照明瞳面または当該照明瞳面と光学的に共役な面における光強度分布(輝度分布)である。
【0028】
マイクロフライアイレンズ8による波面分割数が比較的大きい場合、マイクロフライアイレンズ8の入射面に形成される大局的な光強度分布と、二次光源全体の大局的な光強度分布(瞳強度分布)とが高い相関を示す。このため、マイクロフライアイレンズ8の入射面および当該入射面と光学的に共役な面における光強度分布についても瞳強度分布と称することができる。
図1の構成において、リレー光学系6,7、およびマイクロフライアイレンズ8は、空間光変調器4を経た光束に基づいてマイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に瞳強度分布を形成する手段を構成している。
【0029】
瞳形成用の空間光変調器4は、
図2に示すように、所定面内に配列された複数のミラー要素4aと、複数のミラー要素4aを保持する基盤4bと、基盤4bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素4aの姿勢を個別に制御駆動する駆動部4cとを備えている。空間光変調器4では、制御系CRからの指令に基づいて作動する駆動部4cの作用により、複数のミラー要素4aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素4aがそれぞれ所定の向きに設定される。
【0030】
空間光変調器4は、
図3に示すように、二次元的に配列された複数の微小なミラー要素4aを備え、入射した光に対して、その入射位置に応じた空間的な変調を可変的に付与して射出する。説明および図示を簡単にするために、
図2および
図3では空間光変調器4が4×4=16個のミラー要素4aを備える構成例を示しているが、実際には16個よりもはるかに多数のミラー要素4aを備えている。
【0031】
図2を参照すると、空間光変調器2に入射する光線群のうち、光線L1は複数のミラー要素4aのうちのミラー要素SEaに、光線L2はミラー要素SEaとは異なるミラー要素SEbにそれぞれ入射する。同様に、光線L3はミラー要素SEa,SEbとは異なるミラー要素SEcに、光線L4はミラー要素SEa〜SEcとは異なるミラー要素SEdにそれぞれ入射する。ミラー要素SEa〜SEdは、その位置に応じて設定された空間的な変調を光L1〜L4に与える。
【0032】
空間光変調器4では、すべてのミラー要素4aの反射面が1つの平面に沿って設定された基準状態において、空間光変調器2と4との間の光路の光軸AXと平行な方向に沿って入射した光線が、空間光変調器4で反射された後に、空間光変調器4とリレー光学系6との間の光路の光軸AXと平行な方向に進むように構成されている。また、上述したように、空間光変調器4の配列面は、リレー光学系6の前側レンズ群6aの前側焦点位置またはその近傍に位置決めされている。
【0033】
したがって、空間光変調器4の複数のミラー要素SEa〜SEdによって反射されて所定の角度分布が与えられた光は、リレー光学系6の瞳面6cに所定の光強度分布SP1〜SP4を形成し、ひいてはマイクロフライアイレンズ8の入射面に光強度分布SP1〜SP4に対応した光強度分布を形成する。すなわち、前側レンズ群6aは、空間光変調器4の複数のミラー要素SEa〜SEdが射出光に与える角度を、空間光変調器4のファーフィールド(フラウンホーファー回折領域)である瞳面6c上での位置に変換する。こうして、マイクロフライアイレンズ8が形成する二次光源の光強度分布(瞳強度分布)は、空間光変調器4およびリレー光学系6,7がマイクロフライアイレンズ8の入射面に形成する光強度分布に対応した分布となる。
【0034】
空間光変調器4は、
図3に示すように、平面状の反射面を上面にした状態で1つの平面に沿って規則的に且つ二次元的に配列された多数の微小な反射素子であるミラー要素4aを含む可動マルチミラーである。各ミラー要素4aは可動であり、その反射面の傾き、すなわち反射面の傾斜角および傾斜方向は、制御系CRからの制御信号に基づいて作動する駆動部4cの作用により独立に制御される。各ミラー要素4aは、その反射面に平行な二方向であって互いに直交する二方向を回転軸として、所望の回転角度だけ連続的或いは離散的に回転することができる。すなわち、各ミラー要素4aの反射面の傾斜を二次元的に制御することが可能である。
【0035】
各ミラー要素4aの反射面を離散的に回転させる場合、回転角を複数の状態(例えば、・・・、−2.5度、−2.0度、・・・0度、+0.5度・・・+2.5度、・・・)で切り換え制御するのが良い。
図3には外形が正方形状のミラー要素4aを示しているが、ミラー要素4aの外形形状は正方形に限定されない。ただし、光利用効率の観点から、ミラー要素4aの隙間が少なくなるように配列可能な形状(最密充填可能な形状)とすることができる。また、光利用効率の観点から、隣り合う2つのミラー要素4aの間隔を必要最小限に抑えることができる。
【0036】
本実施形態では、空間光変調器4として、たとえば二次元的に配列された複数のミラー要素4aの向きを連続的にそれぞれ変化させる空間光変調器を用いている。このような空間光変調器として、たとえば欧州特許公開第779530号公報、米国特許第5,867,302号公報、米国特許第6,480,320号公報、米国特許第6,600,591号公報、米国特許第6,733,144号公報、米国特許第6,900,915号公報、米国特許第7,095,546号公報、米国特許第7,295,726号公報、米国特許第7,424,330号公報、米国特許第7,567,375号公報、米国特許公開第2008/0309901号公報、国際特許公開第WO2010/037476号パンフレット、国際特許公開第WO2010/040506号パンフレット並びに特開2006−113437号公報に開示される空間光変調器を用いることができる。なお、二次元的に配列された複数のミラー要素4aの向きを離散的に複数の段階を持つように制御してもよい。
【0037】
空間光変調器4では、制御系CRからの制御信号に応じて作動する駆動部4cの作用により、複数のミラー要素4aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素4aがそれぞれ所定の向きに設定される。空間光変調器4の複数のミラー要素4aによりそれぞれ所定の角度で反射された光は、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に、所望の瞳強度分布を形成する。さらに、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳と光学的に共役な別の照明瞳の位置、すなわち結像光学系11の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASが配置されている位置)にも、所望の瞳強度分布が形成される。
【0038】
このように、瞳形成用の空間光変調器4は、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に瞳強度分布を可変的に形成する機能を有する。リレー光学系6および7は、空間光変調器4の複数のミラー要素4aがそのファーフィールドに形成するファーフィールドパターンを、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳と共役な位置(マイクロフライアイレンズ8の入射面またはその近傍)に結像させる分布形成光学系を構成している。この分布形成光学系は、空間光変調器4からの射出光束の角度方向の分布を、分布形成光学系からの射出光束の断面における位置分布に変換する。
【0039】
偏光仕分け用の空間光変調器2は、瞳形成用の空間光変調器4と同様の構成を有するが、空間光変調器4と異なる作用(機能)を有する。以下、空間光変調器4と重複する説明を省略し、空間光変調器4とは異なる点に着目して空間光変調器2を説明する。換言すれば、空間光変調器2の構成に関して特に言及しない点については、空間光変調器4の構成と同様である。
【0040】
空間光変調器2は、
図4に示すように、所定面内に配列された複数のミラー要素2aと、複数のミラー要素2aを保持する基盤2bと、基盤2bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素2aの姿勢を個別に制御駆動する駆動部2cとを備えている。
図4では、空間光変調器2と対比させて空間光変調器4の説明を容易に理解できるように、光軸AXを
図4中の鉛直方向に一致させた状態で空間光変調器2から偏光部材5までの構成を図示している。
【0041】
空間光変調器2では、制御系CRからの指令に基づいて作動する駆動部2cの作用により、複数のミラー要素2aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素2aがそれぞれ所定の向きに設定される。空間光変調器2は、
図3に示すように、二次元的に配列された複数の微小なミラー要素2aを備え、入射した光に対して、その入射位置に応じた空間的な変調を可変的に付与して射出する。
【0042】
図4を参照すると、空間光変調器2に入射する光線群のうち、光線L11は複数のミラー要素2aのうちのミラー要素SEeに、光線L12はミラー要素SEeとは異なるミラー要素SEfにそれぞれ入射する。同様に、光線L13はミラー要素SEe,SEfとは異なるミラー要素SEgに、光線L14はミラー要素SEe〜SEgとは異なるミラー要素SEhにそれぞれ入射する。ミラー要素SEe〜SEhは、その位置に応じて設定された空間的な変調を光L11〜L14に与える。
【0043】
空間光変調器2では、すべてのミラー要素2aの反射面が1つの平面に沿って設定された基準状態において、ビーム送光部1と空間光変調器2との間の光路の光軸AXと平行な方向に沿って入射した光線が、空間光変調器2で反射された後に、空間光変調器2と4との間の光路の光軸AXと平行な方向に進むように構成されている。上述したように、偏光部材5は、空間光変調器2の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある位置またはその近傍に位置決めされている。
【0044】
したがって、再結像光学系3の前側レンズ群3aは、空間光変調器2の複数のミラー要素SEe〜SEhが射出光に与える角度を、空間光変調器2のファーフィールドである偏光部材5の入射面上での位置に変換する。このように、偏光仕分け用の空間光変調器2は、その入射面の任意の領域に入射した光を、リレー光学系としての前側レンズ群3aを介して偏光部材5の入射面上の所望の領域へ可変的に導く機能を有する。
【0045】
偏光部材5は、
図5に示すように、光路中に並列的に配置された8つの1/2波長板51a,51b,51c,51dと、1つのデポラライザ(非偏光化素子)51eとを備えている。一例として、1/2波長板51a〜51dおよびデポラライザ51eは、光軸AXと直交する単一の平面に沿って配置されている。
図5では、説明の理解を容易するために、偏光部材5の入射面においてX方向と平行な方向にx方向を設定し、偏光部材5の入射面においてx方向と直交する方向にz方向を設定している。
【0046】
図5に示す設置状態において、一対の1/2波長板51aは、x方向に偏光方向を有する直線偏光(以下、「x方向直線偏光」という)の光が入射した場合、x方向を90度回転させた方向、すなわちz方向に偏光方向を有するz方向直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。一対の1/2波長板51bは、x方向直線偏光の光が入射した場合、その偏光方向を変化させることなくx偏光直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。
【0047】
一対の1/2波長板51cは、x方向直線偏光の光が入射した場合、x方向を
図5中時計廻りに+45度回転させた方向、すなわち+45度斜め方向に偏光方向を有する直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。一対の1/2波長板51dは、x方向直線偏光の光が入射した場合、x方向を
図5中時計廻りに−45度(あるいは+135度)回転させた方向、すなわち−45度斜め方向に偏光方向を有する直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。
【0048】
瞳形成用の空間光変調器4の配列面は、再結像光学系3を介して、偏光仕分け用の空間光変調器2の配列面と光学的に共役な位置またはその近傍にある。したがって、空間光変調器4への入射光束の性状は、空間光変調器2への入射光束の性状に対応している。以下、説明の理解を容易にするために、空間光変調器2には矩形状の断面を有するX方向直線偏光の平行光束が入射するものとする。すなわち、偏光部材5には、x方向直線偏光の光が入射する。空間光変調器4には、矩形状の断面を有する平行光束が入射する。
【0049】
本実施形態では、
図6に示すように、偏光仕分け用の空間光変調器2の有効反射領域R2が、5つの部分領域R2a,R2b,R2c,R2d,R2eに仮想的に分割される。5つの部分領域R2a〜R2eに対応して、
図7に示すように、瞳形成用の空間光変調器4の有効反射領域R4は、5つの部分領域R4a,R4b,R4c,R4d,R4eに仮想的に分割される。なお、空間光変調器2,4の有効反射領域の仮想的な分割のやり方については、様々な形態が可能である。
【0050】
空間光変調器2の部分領域R2aに入射したX方向直線偏光の光は、偏光部材5の一対の1/2波長板51aへ導かれ、1/2波長板51aを介してz方向直線偏光の光になり、空間光変調器4の部分領域R4aに達する。空間光変調器2の部分領域R2bに入射したX方向直線偏光の光は、偏光部材5の一対の1/2波長板51bへ導かれ、1/2波長板51bを介して偏光方向が変化することなくx方向直線偏光の状態で、空間光変調器4の部分領域R4bに達する。
【0051】
空間光変調器2の部分領域R2cに入射したX方向直線偏光の光は、偏光部材5の一対の1/2波長板51cへ導かれ、1/2波長板51cを介して+45度斜め方向に偏光方向を有する+45度斜め方向直線偏光の光になり、空間光変調器4の部分領域R4cに達する。空間光変調器2の部分領域R2dに入射したX方向直線偏光の光は、偏光部材5の一対の1/2波長板51dへ導かれ、1/2波長板51dを介して−45度斜め方向に偏光方向を有する−45度斜め方向直線偏光の光になり、空間光変調器4の部分領域R4dに達する。
【0052】
空間光変調器2の部分領域R2eに入射したX方向直線偏光の光は、偏光部材5のデポラライザ51eへ導かれ、デポラライザ51eを介して非偏光状態の光になり、空間光変調器4の部分領域R4eに達する。空間光変調器4の駆動部4cは、
図8に示すように、部分領域R4aに位置する第1ミラー要素群S4aを経た光がマイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳面上の一対の瞳領域R11a,R11bへ導かれるように、第1ミラー要素群S4aに属する複数のミラー要素4aの姿勢をそれぞれ制御する。一対の瞳領域R11a,R11bは、例えば光軸AXを挟んでX方向に間隔を隔てた領域である。
【0053】
駆動部4cは、部分領域R4bに位置する第2ミラー要素群S4bを経た光が照明瞳面上の一対の瞳領域R12a,R12bへ導かれるように、第2ミラー要素群S4bに属する複数のミラー要素4aの姿勢をそれぞれ制御する。一対の瞳領域R12a,R12bは、例えば光軸AXを挟んでZ方向に間隔を隔てた領域である。駆動部4cは、部分領域R4cに位置する第3ミラー要素群S4cを経た光が照明瞳面上の一対の瞳領域R13a,R13bへ導かれるように、第3ミラー要素群S4cに属する複数のミラー要素4aの姿勢をそれぞれ制御する。一対の瞳領域R13a,R13bは、例えば光軸AXを挟んで+X方向および+Z方向と45度をなす方向に間隔を隔てた領域である。
【0054】
駆動部4cは、部分領域R4dに位置する第4ミラー要素群S4dを経た光が照明瞳面上の一対の瞳領域R14a,R14bへ導かれるように、第4ミラー要素群S4dに属する複数のミラー要素4aの姿勢をそれぞれ制御する。一対の瞳領域R14a,R14bは、例えば光軸AXを挟んで−X方向および+Z方向と45度をなす方向に間隔を隔てた領域である。駆動部4cは、部分領域R4eに位置する第5ミラー要素群S4eを経た光が照明瞳面上の単一の瞳領域R15へ導かれるように、第5ミラー要素群S4eに属する複数のミラー要素4aの姿勢をそれぞれ制御する。瞳領域R15は、例えば光軸AXを含む領域である。
【0055】
こうして、空間光変調器4は、矩形状の断面を有する平行光束に基づいて、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に、例えば9つの円形状の実質的な面光源P11a,P11b;P12a,P12b;P13a,P13b;P14a,P14b;P15からなる9極状の瞳強度分布21を形成する。瞳領域R11a,R11bを占める面光源P11a,P11bを形成する光は、1/2波長板51aを経ているので、Z方向直線偏光(
図5におけるz方向直線偏光に対応)である。
【0056】
瞳領域R12a,R12bを占める面光源P12a,P12bを形成する光は、1/2波長板51bを経ているので、X方向直線偏光(
図5におけるx方向直線偏光に対応)である。瞳領域R13a,R13bを占める面光源P13a,P13bを形成する光は、1/2波長板51cを経ているので、
図8の紙面においてX方向を時計廻りに+45度回転させた方向に偏光方向を有する+45度斜め方向直線偏光(
図5における+45度斜め方向直線偏光に対応)である。
【0057】
瞳領域R14a,R14bを占める面光源P14a,P14bを形成する光は、1/2波長板51dを経ているので、
図8の紙面においてX方向を時計廻りに−45度回転させた方向に偏光方向を有する−45度斜め方向直線偏光(
図5における−45度斜め方向直線偏光に対応)である。瞳領域R15を占める面光源P15を形成する光は、デポラライザ51eを経ているので、非偏光状態である。
【0058】
こうして、偏光仕分け用の空間光変調器2と偏光部材5と瞳形成用の空間光変調器4との協働作用により、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳には、8極状で周方向偏光状態の瞳強度分布に中央極の面光源P15が追加された8極状の瞳強度分布21が形成される。さらに、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳と光学的に共役な別の照明瞳の位置、すなわち結像光学系11の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASが配置されている位置)にも、瞳強度分布21に対応する9極状の瞳強度分布が形成される。
【0059】
なお、図示を省略するが、空間光変調器2の部分領域R2eに入射した光をデポラライザ51eへ導くことなく1/2波長板51a〜51dへ導くとともに、空間光変調器4の部分領域R4eに入射した光を瞳領域R11a,R11b;R12a,R12b;R13a,R13b;R14a,R14bへ導くことにより、
図8の9極状の瞳強度分布21から中央極の面光源P15を除いて得られる8極状で周方向偏光状態の瞳強度分布を形成することができる。あるいは、デポラライザ51eおよび空間光変調器4の第5ミラー要素群S4eを経た光が照明瞳の形成に寄与しないように、例えば照明光路の外部へ導くことにより、同じく8極状で周方向偏光状態の瞳強度分布を形成することができる。
【0060】
一般に、周方向偏光状態の輪帯状や複数極状(4極状、8極状など)の瞳強度分布に基づく周方向偏光照明では、最終的な被照射面としてのウェハWに照射される光がs偏光を主成分とする偏光状態になる。ここで、s偏光とは、入射面に対して垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光(入射面に垂直な方向に電気ベクトルが振動している偏光)のことである。入射面とは、光が媒質の境界面(被照射面:ウェハWの表面)に達したときに、その点での境界面の法線と光の入射方向とを含む面として定義される。その結果、周方向偏光照明では、投影光学系の光学性能(焦点深度など)の向上を図ることができ、ウェハ(感光性基板)上において高いコントラストのマスクパターン像を得ることができる。
【0061】
本実施形態では、姿勢が個別に制御される多数のミラー要素4aを有する瞳形成用の空間光変調器4を用いているので、瞳強度分布の形状(大きさを含む広い概念)の変更に関する自由度は高い。一例として、制御系CRからの指令にしたがって空間光変調器4を制御するだけで、
図9に示すように、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に輪帯状で周方向偏光状態の瞳強度分布22を形成することができる。
【0062】
図9に示す例では、1/2波長板51aおよび第1ミラー要素群S4aを経た光が、照明瞳面において光軸AXを挟んでX方向に間隔を隔てた一対の円弧状の瞳領域R21a,R21bへ導かれて、実質的な面光源P21a,P21bを形成する。1/2波長板51bおよび第2ミラー要素群S4bを経た光は、光軸AXを挟んでZ方向に間隔を隔てた一対の円弧状の瞳領域R22a,R22bへ導かれて、実質的な面光源P22a,P22bを形成する。1/2波長板51cおよび第3ミラー要素群S4cを経た光は、光軸AXを挟んで+X方向および+Z方向と45度をなす方向に間隔を隔てた一対の円弧状の瞳領域R23a,R23bへ導かれて、実質的な面光源P23a,P23bを形成する。
【0063】
1/2波長板51dおよび第4ミラー要素群S4dを経た光は、光軸AXを挟んで−X方向および+Z方向と45度をなす方向に間隔を隔てた一対の円弧状の瞳領域R24a,R24bへ導かれて、実質的な面光源P24a,P24bを形成する。デポラライザ51eおよび第5ミラー要素群S4eを経た光は、例えば照明光路の外部へ導かれて、照明瞳の形成に寄与しない。こうして、例えば8つの円弧状の実質的な面光源P21a,P21b;P22a,P22b;P23a,P23b;P24a,P24bからなる輪帯状で周方向偏光状態の瞳強度分布22が形成される。
【0064】
なお、空間光変調器2の部分領域R2eに入射した光をデポラライザ51eへ導くことなく1/2波長板51a〜51dへ導くとともに、空間光変調器4の部分領域R4eに入射した光を瞳領域R21a,R21b;R22a,R22b;R23a,R23b;R24a,R24bへ導くことにより、照明瞳の形成に寄与させることもできる。また、図示を省略するが、空間光変調器2の部分領域R2eに入射した光を、デポラライザ51eを介して照明瞳において光軸AXを含む中央瞳領域へ導くことにより、輪帯状で周方向偏光状態の瞳強度分布22に
図8の中央極の面光源P15を追加して得られる変形輪帯状の瞳強度分布を形成することもできる。
【0065】
また、本実施形態では、姿勢が個別に制御される多数のミラー要素2aを有する偏光仕分け用の空間光変調器2を用いているので、瞳強度分布の偏光状態の変更に関する自由度は高い。一例として、制御系CRからの指令にしたがって空間光変調器2を制御するだけで、
図10に示すように、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に8極状で径方向偏光状態の瞳強度分布に中央極の面光源P35を追加して得られる9極状の瞳強度分布23を形成することができる。
【0066】
図10に示す例では、空間光変調器2の部分領域R2aからの光が、偏光部材5の1/2波長板51bおよび空間光変調器4の第1ミラー要素群S4aを経て、照明瞳面において光軸AXを挟んでX方向に間隔を隔てた一対の瞳領域R31a,R31bへ導かれて、実質的な面光源P31a,P31bを形成する。空間光変調器2の部分領域R2bからの光は、1/2波長板51aおよび第2ミラー要素群S4bを経て、照明瞳面において光軸AXを挟んでZ方向に間隔を隔てた一対の瞳領域R32a,R32bへ導かれて、実質的な面光源P32a,P32bを形成する。
【0067】
空間光変調器2の部分領域R2cからの光は、1/2波長板51dおよび第3ミラー要素群S4cを経て、照明瞳面において光軸AXを挟んで−X方向および+Z方向と45度をなす方向に間隔を隔てた一対の瞳領域R33a,R33bへ導かれて、実質的な面光源P33a,P33bを形成する。空間光変調器2の部分領域R2dからの光は、1/2波長板51cおよび第4ミラー要素群S4dを経て、照明瞳面において光軸AXを挟んで+X方向および+Z方向と45度をなす方向に間隔を隔てた一対の瞳領域R34a,R34bへ導かれて、実質的な面光源P34a,P34bを形成する。
【0068】
空間光変調器2の部分領域R2eからの光は、デポラライザ51eおよび第5ミラー要素群S4eを経て、照明瞳面において光軸AXを含む中央瞳領域R35へ導かれて、実質的な面光源P35を形成する。こうして、例えば8つの円形状の実質的な面光源P31a,P31b;P32a,P32b;P33a,P33b;P34a,P34bからなる8極状で径方向偏光状態の瞳強度分布に中央極の面光源P35が追加された9極状の瞳強度分布23が形成される。
【0069】
なお、図示を省略するが、空間光変調器2の部分領域R2eに入射した光をデポラライザ51eへ導くことなく1/2波長板51a〜51dへ導くとともに、空間光変調器4の部分領域R4eに入射した光を瞳領域R31a,R31b;R32a,R32b;R33a,R33b;R34a,R34bへ導くことにより、
図10の9極状の瞳強度分布23から中央極の面光源P35を除いて得られる8極状で径方向偏光状態の瞳強度分布を形成することができる。あるいは、デポラライザ51eおよび空間光変調器4の第5ミラー要素群S4eを経た光が照明瞳の形成に寄与しないように、例えば照明光路の外部へ導くことにより、同じく8極状で径方向偏光状態の瞳強度分布を形成することができる。
【0070】
また、図示を省略するが、制御系CRからの指令にしたがって空間光変調器4を制御することにより、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に輪帯状で径方向偏光状態の瞳強度分布を形成したり、輪帯状で径方向偏光状態の瞳強度分布に中央極の面光源を追加して得られる変形輪帯状の瞳強度分布を形成したりすることができる。
【0071】
一般に、径方向偏光状態の輪帯状や複数極状の瞳強度分布に基づく径方向偏光照明では、最終的な被照射面としてのウェハWに照射される光がp偏光を主成分とする偏光状態になる。ここで、p偏光とは、上述のように定義される入射面に対して平行な方向に偏光方向を有する直線偏光(入射面に平行な方向に電気ベクトルが振動している偏光)のことである。その結果、径方向偏光照明では、ウェハWに塗布されたレジストにおける光の反射率を小さく抑えて、ウェハ(感光性基板)上において良好なマスクパターン像を得ることができる。
【0072】
以上のように、本実施形態では、姿勢が個別に制御される多数のミラー要素4aを有する瞳形成用の空間光変調器4を用いているので、瞳強度分布の形状(大きさを含む広い概念)の変更に関する自由度は高く、様々な形態を有する輪帯状または複数極状の瞳強度分布を形成することができる。また、姿勢が個別に制御される多数のミラー要素2aを有し且つ空間光変調器4と光学的に共役な位置に配置された偏光仕分け用の空間光変調器2と、空間光変調器2と光学的にフーリエ変換の関係にある位置に並列的に配置されて偏光変換特性の互いに異なる複数の波長板51a〜51eを有する偏光部材5とを用いているので、瞳強度分布を構成する各瞳領域の偏光状態の変更に関する自由度は高く、様々な偏光状態の瞳強度分布を形成することができる。
【0073】
すなわち、本実施形態の照明光学系(1〜11)では、光学部材の交換を伴うことなく、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に形成される瞳強度分布の形状および偏光状態の変更に関して高い自由度を実現することができる。本実施形態の露光装置(1〜WS)では、瞳強度分布の形状および偏光状態の変更に関して高い自由度を有する照明光学系(1〜11)を用いて、転写すべきマスクMのパターンの特性に応じて実現された適切な照明条件のもとで、微細パターンをウェハWに正確に転写することができる。
【0074】
上述の実施形態において、制御系CRは、たとえば、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等からなるいわゆるワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等から構成することができ、装置全体を統括して制御することができる。また、制御系CRには、例えばハードディスクから成る記憶装置、キーボード,マウス等のポインティングデバイス等を含む入力装置,CRTディスプレイ(又は液晶ディスプレイ)等の表示装置、及びCD(compact disc),DVD(digital versatile disc),MO(magneto-optical disc)あるいはFD(flexible disc)等の情報記憶媒体のドライブ装置が、外付けで接続されていてもよい。
【0075】
本実施形態では、記憶装置には、投影光学系PLによってウェハW上に投影される投影像の結像状態が最適(例えば収差又は線幅が許容範囲内)となる瞳強度分布(照明光源形状)に関する情報、これに対応する照明光学系、特に空間光変調器2,4のミラー要素の制御情報等を格納してもよい。ドライブ装置には、後述する瞳強度分布の設定を行うためのプログラム等が格納された情報記憶媒体(以下の説明では便宜上CD−ROMとする)がセットされていてもよい。なお、これらのプログラムは記憶装置にインストールされていても良い。制御系CRは、適宜、これらのプログラムをメモリ上に読み出す。
【0076】
制御系CRは、たとえば以下の手順で、空間光変調器2,4を制御することができる。なお、以下の説明に際して、実施形態の露光装置は、
図8に示す瞳強度分布21を形成するものとする。瞳強度分布は、たとえば瞳面を格子状に複数の区画に分割し、それぞれの区画の光強度および偏光状態を用いて数値として表現した形式(広義のビットマップ形式)で表現することができる。ここで、空間光変調器4のミラー要素数をN個とし、瞳強度分布の分割された区画数をM個とすると、個々のミラー要素により反射されるN本の光線を適当に組み合わせてM個の区画に導く、換言すれば、M個の区画により構成されるM個の輝点上でN本の光線を適当に重ね合わせることで、瞳強度分布(二次光源)が形成(設定)される。
【0077】
まず、制御部CRは、目標となる瞳強度分布21に関する情報を記憶装置から読み出す。次に、読み出された瞳強度分布21に関する情報から、偏光状態ごとの強度分布を形成するのに、それぞれ何本の光線が必要なのかを算出する。そして、制御部CRは、空間光変調器4の複数のミラー要素4aを、それぞれ所要数のミラー要素からなる5つのミラー要素群S4a,S4b,S4c,S4d,S4eに仮想的に分割し、それぞれのミラー要素群S4a〜S4eが位置する部分領域R4a〜R4eを設定する。その結果、空間光変調器2において、空間光変調器4の部分領域R4a〜R4eに対応する部分領域R2a〜R2eが設定される。
【0078】
制御部CRは、空間光変調器2の部分領域R2aに位置するミラー要素2aを駆動して、部分領域R2aからの光が偏光部材5の一対の1/2波長板51aに向かうように設定する。同様に、部分領域R2b,R2c,R2dに位置するミラー要素2aを駆動して、部分領域R2b,R2c,R2dからの光が一対の1/2波長板51b,51c,51dに向かうように設定する。さらに、部分領域R2eに位置するミラー要素2aを駆動して、部分領域R2eからの光がデポラライザ51eに向かうように設定する。
【0079】
また、制御部CRは、空間光変調器4の第1ミラー要素群S4aのミラー要素4aを駆動して、第1ミラー要素群S4aからの光が面光源P11a,P11bに向かうように設定する。同様に、空間光変調器4のミラー要素群S4b,S4c,S4d,S4eのミラー要素4aを駆動して、ミラー要素群S4b,S4c,S4d,S4eからの光が面光源P12a,P12b;P13a,P13b;P14a,P14b;P15に向かうように設定する。
【0080】
また、上述の実施形態において、制御部CRは、第1および第2瞳強度分布計測部DTr,DTwのうちの少なくとも一方の計測結果に基づいて、照明光学系または投影光学系の射出瞳面における瞳強度分布を所要の分布とするために空間光変調器2,4のうちの少なくとも一方を制御している。
【0081】
ここで、上述の実施形態において、第1および第2瞳強度分布計測部DTr,DTwに加えて、照明光学系による被照射面上の各点に関する瞳偏光状態の分布(各点に入射する光が照明光学系の射出瞳位置に形成する偏光状態ごとの瞳強度分布)や、投影光学系PLの像面の各点に関する瞳偏光状態分布(各点に入射する光が投影光学系PLの瞳位置に形成する偏光状態ごとの瞳強度分布)をモニターする瞳偏光状態分布計測部を設けてもよい。
【0082】
制御部CRは、瞳偏光状態分布計測部の計測結果に基づいて、照明光学系または投影光学系の射出瞳面における瞳偏光状態の分布を所要の分布とするために空間光変調器2,4のうちの少なくとも一方を制御してもよい。このような瞳偏光状態分布計測部の構成び作用については、例えば米国特許出願公開第2007/0146676号明細書や第2007/0188730号明細書を参照することができる。
【0083】
なお、上述の実施形態では、偏光部材5が、8つの(4種類の)1/2波長板51a〜51dとデポラライザ51eとにより構成され、再結像光学系3の瞳位置またはその近傍に並列配置されている。しかしながら、これに限定されることなく、偏光部材の具体的な構成、すなわち偏光部材を形成する1つまたは複数の偏光要素の種別、偏光変換特性、数、外形、配置などについて、様々な変形例が可能である。
【0084】
一例として、
図11に示すように、光路中に並列配置された互いに偏光変換特性の異なる8つの1/2波長板52a,52b,52c,52d,52e,52f,52g,52hにより偏光部材5Aを構成することもできる。偏光部材5Aは、
図11に示す設置状態において、例えば光軸AXを中心とする円形状の外形を有し、光軸AXから円の径方向に延びる線分によって分割された8つの扇形状の領域に対応して、光学軸の向きが互いに異なる8つの1/2波長板52a〜52hが配置されている。
【0085】
図11では、1/2波長板52a,52bが全体の1/4の面積を占め、1/2波長板52c,52dが全体の1/8の面積を占め、1/2波長板52e〜52hが全体の1/16の面積を占めている。1/2波長板52aは、x方向直線偏光の光が入射した場合、z方向直線偏光の光を射出するように光学軸の向きが設定されている。1/2波長板52bは、x方向直線偏光の光が入射した場合、その偏光方向を変化させることなくx偏光直線偏光の光を射出するように光学軸の向きが設定されている。
【0086】
1/2波長板52cは、x方向直線偏光の光が入射した場合、x方向を
図11中時計廻りに+45度回転させた方向、すなわち+45度斜め方向に偏光方向を有する+45度斜め方向直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。1/2波長板52dは、x方向直線偏光の光が入射した場合、−45度(あるいは+135度)斜め方向直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。
【0087】
1/2波長板52eは、x方向直線偏光の光が入射した場合、+22.5度斜め方向直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。1/2波長板52fは、x方向直線偏光の光が入射した場合、+67.5度斜め方向直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。1/2波長板52gは、−22.5度(あるいは+112.5度)斜め方向直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。1/2波長板52hは、−67.5度(あるいは+157.5度)斜め方向直線偏光の光を射出するように、光学軸の向きが設定されている。
【0088】
図11に示す変形例では、空間光変調器2,4の有効反射領域が8つの部分領域に仮想的に分割され、空間光変調器2,4と偏光部材5Aとの協働作用により、
図12に示すような輪帯状の瞳強度分布24が形成される。すなわち、空間光変調器2の第1部分領域からの光は、1/2波長板52aおよび空間光変調器4の第1部分領域を経て、照明瞳面において光軸AXを挟んでX方向に間隔を隔てた一対の円弧状の瞳領域R41a,R41bへ導かれて、実質的な面光源P41a,P41bを形成する。
【0089】
空間光変調器2の第2部分領域からの光は、1/2波長板52bおよび空間光変調器4の第2部分領域を経て、照明瞳面において光軸AXを挟んでZ方向に間隔を隔てた一対の円弧状の瞳領域R42a,R42bへ導かれて、実質的な面光源P42a,P42bを形成する。空間光変調器2の第3部分領域からの光は、1/2波長板52cおよび空間光変調器4の第3部分領域を経て、照明瞳面において光軸AXを挟んで+X方向および+Z方向と45度をなす方向に間隔を隔てた一対の円弧状の瞳領域R43a,R43bへ導かれて、実質的な面光源P43a,P43bを形成する。
【0090】
空間光変調器2の第4部分領域からの光は、1/2波長板52dおよび空間光変調器4の第4部分領域を経て、照明瞳面において光軸AXを挟んで−X方向および+Z方向と45度をなす方向に間隔を隔てた一対の円弧状の瞳領域R44a,R44bへ導かれて、実質的な面光源P44a,P44bを形成する。空間光変調器2の第5部分領域からの光は、1/2波長板52eおよび空間光変調器4の第5部分領域を経て、照明瞳面において瞳領域R42aとR43aとの間の円弧状の瞳領域R45aおよび瞳領域R42bとR43bとの間の円弧状の瞳領域R45bへ導かれて、実質的な面光源P45aおよびP45bを形成する。
【0091】
空間光変調器2の第6部分領域からの光は、1/2波長板52fおよび空間光変調器4の第6部分領域を経て、照明瞳面において瞳領域R41bとR43aとの間の円弧状の瞳領域R46aおよび瞳領域R41aとR43bとの間の円弧状の瞳領域R46bへ導かれて、実質的な面光源P46aおよびP46bを形成する。空間光変調器2の第7部分領域からの光は、1/2波長板52gおよび空間光変調器4の第7部分領域を経て、照明瞳面において瞳領域R42aとR44aとの間の円弧状の瞳領域R47aおよび瞳領域R42bとR44bとの間の円弧状の瞳領域R47bへ導かれて、実質的な面光源P47aおよびP47bを形成する。
【0092】
空間光変調器2の第8部分領域からの光は、1/2波長板52hおよび空間光変調器4の第8部分領域を経て、照明瞳面において瞳領域R41aとR44aとの間の円弧状の瞳領域R48aおよび瞳領域R41bとR44bとの間の円弧状の瞳領域R48bへ導かれて、実質的な面光源P48aおよびP48bを形成する。こうして、16分割タイプの輪帯状で周方向偏光状態の瞳強度分布24が形成される。
【0093】
偏光部材5Aを用いる変形例では、空間光変調器4を制御するだけで、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に16極状で周方向偏光状態の瞳強度分布を形成することができる。また、空間光変調器2を制御することにより、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳に、輪帯状で径方向偏光状態の瞳強度分布を形成したり、16極状で径方向偏光状態の瞳強度分布を形成したりすることができる。
【0094】
具体的に、径方向偏光状態の瞳強度分布の形成に際して、空間光変調器2の第1部分領域からの光を1/2波長板52bへ導き、第2部分領域からの光を1/2波長板52aへ導き、第3部分領域からの光を1/2波長板52dへ導き、第4部分領域からの光を1/2波長板52cへ導く。同様に、空間光変調器2の第5部分領域からの光を1/2波長板52hへ導き、第6部分領域からの光を1/2波長板52gへ導き、第7部分領域からの光を1/2波長板52fへ導き、第8部分領域からの光を1/2波長板52eへ導く。
【0095】
また、偏光部材5Aを用いる変形例では、空間光変調器2,4を制御することにより、輪帯状または16極状の瞳強度分布に対して、実質的に非偏光状態の中央極の面光源を追加することもできる。中央極の面光源の形成に際して、空間光変調器4の第1〜第8部分領域からの光の一部は、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳において光軸AXを含む中央瞳領域で重畳される。その結果、中央極の面光源は、様々な直線偏光成分を含む実質的な非偏光状態になる。
【0096】
ところで、偏光部材5Aでは、縦偏光および横偏光を生成する使用頻度の比較的高い1/2波長板52a,52bに対して比較的大きな入射面積を付与し、45度の斜め偏光を生成する平均的な使用頻度の1/2波長板52c,52dに対して平均的な入射面積を付与し、その他の使用頻度の比較的低い1/2波長板52e〜52hに対して比較的小さな入射面積を付与している。その結果、偏光部材5Aでは光照射による局部的な損傷の発生を抑えることができ、ひいては偏光部材5Aの耐久性の向上を図ることができる。
【0097】
また、別の例として、
図13に示すように、例えばx方向に沿って厚さが連続的(線形状、曲線状、あるいは階段状)に変化したくさび状の形態を有する波長板53aと、波長板53aと補完的なくさび状の形態を有し波長板53aによる光の偏向作用を補償するための補正板53bとにより偏光部材5Bを構成することもできる。
図13の偏光部材5Bを用いる変形例では、例えば輪帯状または複数極状の瞳強度分布における各瞳領域の偏光状態を、所望の直線偏光状態、所望の楕円偏光状態(円偏光状態を含む)、または実質的な非偏光状態に設定することができる。
【0098】
なお、
図5の実施形態、
図11の変形例、および
図13の変形例では、波長板を用いて偏光部材5,5A,5Bを構成している。しかしながら、波長板に限定されることなく、例えば旋光素子を用いて偏光部材を構成することもできる。一例として、
図14に示すように、8つの旋光素子54a,54b,54c,54dと1つのデポラライザ54eとにより、
図5の実施形態にかかる偏光部材5と同じ機能を有する偏光部材5Cを構成することができる。
【0099】
旋光素子54a〜54dは、平行平面板の形態を有し、旋光性を有する光学材料である結晶材料、例えば水晶により形成されている。旋光素子54a〜54dの入射面(ひいては射出面)は光軸AXと直交し、その結晶光学軸は光軸AXの方向とほぼ一致(すなわち入射光の進行方向とほぼ一致)している。旋光素子54a〜54dは、互いに異なる厚さを有し、ひいては互いに異なる偏光変換特性を有する。具体的に、旋光素子54a〜54dは、
図5の偏光部材5における1/2波長板51a〜51dと同じ偏光変換特性を有する。
【0100】
すなわち、旋光素子54aは、x方向直線偏光の光が入射した場合、z方向直線偏光の光を射出するように、光軸方向の厚さが設定されている。旋光素子54bは、x方向直線偏光の光が入射した場合、その偏光方向を変化させることなくx偏光直線偏光の光を射出するように厚さが設定されている。旋光素子54cは、x方向直線偏光の光が入射した場合、+45度斜め方向直線偏光の光を射出するように厚さが設定されている。旋光素子54dは、x方向直線偏光の光が入射した場合、−45度斜め方向直線偏光の光を射出するように厚さが設定されている。
【0101】
同様に、図示を省略するが、偏光変換特性の互いに異なる8つの旋光素子を用いて、
図11の変形例にかかる偏光部材5Aと同じ機能を有する偏光部材を構成することができる。また、
図15に示すように、
図13の偏光部材5Bにおける波長板53aを、例えば同じ形態の旋光素子55aで置換することにより偏光部材5Dを構成することができる。
図15に示す偏光部材5Dを用いる変形例では、例えば輪帯状または複数極状の瞳強度分布における各瞳領域の偏光状態を、所望の直線偏光状態または実質的な非偏光状態に設定することができる。
【0102】
一般に、偏光部材は、照明光学系の光軸を横切る面内の第1領域を通過する第1光束に、第1領域とは異なる第2領域を通過する第2光束とは異なる偏光状態の変化を与えることが重要である。したがって、偏光部材では、偏光変換特性の互いに異なる複数のくさび状の波長板を光路中に並列的に配置しても良いし、偏光変換特性の互いに異なる複数のくさび状の旋光素子を光路中に並列的に配置しても良い。波長板と旋光素子とを混在させて偏光部材を構成しても良い。上述の各種の偏光部材から選択された複数種類の偏光部材を光路に沿って直列的に配置しても良い。各偏光部材を光路中に固定的に配置しても良いし、各偏光部材を移動可能または回転可能に構成しても良いし、各偏光部材を交換可能に構成しても良い。
【0103】
なお、上述の説明では、瞳形成用の空間光変調器4の配列面は、偏光仕分け用の空間光変調器2の配列面と光学的に共役な位置またはその近傍に配置されている。偏光部材5は、再結像光学系3の瞳位置またはその近傍、すなわち偏光仕分け用の空間光変調器2の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある位置またはその近傍に配置されている。しかしながら、これに限定されることなく、瞳形成用の空間光変調器の配列面を、偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と光学的に共役な空間、または偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある空間に配置することができる。再結像光学系の瞳空間に偏光部材を配置することができる。偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある空間に、偏光部材を配置することができる。
【0104】
偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と「光学的に共役な空間」とは、偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と光学的に共役な共役位置の前側に隣接するパワーを有する光学素子と当該共役位置の後側に隣接するパワーを有する光学素子との間の空間である。再結像光学系の「瞳空間」とは、再結像光学系の瞳位置の前側に隣接するパワーを有する光学素子と当該瞳位置の後側に隣接するパワーを有する光学素子との間の空間である。
【0105】
偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と「光学的にフーリエ変換の関係にある空間」とは、偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にあるフーリエ変換面の前側に隣接するパワーを有する光学素子と当該フーリエ変換面の後側に隣接するパワーを有する光学素子との間の空間である。「光学的に共役な空間」、「瞳空間」および「光学的にフーリエ変換の関係にある空間」内には、パワーを持たない平行平面板や平面鏡が存在していても良い。
【0106】
したがって、偏光仕分け用の空間光変調器と偏光部材と瞳形成用の空間光変調器との配置関係について、様々な変形例が可能である。一例として、偏光仕分け用の空間光変調器よりも被照射面側において偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある空間に、偏光部材および瞳形成用の空間光変調器を配置する構成も可能である。
【0107】
具体的に、
図16に示す変形例では、偏光仕分け用の空間光変調器2よりもマスク側(被照射面側)の光路中に、空間光変調器2の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある位置を形成するリレー光学系3cが配置されている。リレー光学系3cと瞳形成用の空間光変調器4との間の光路中に、偏光部材5(5A〜5D)が配置されている。空間光変調器4の配列面は、リレー光学系3cによって形成される空間光変調器2の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある位置またはその近傍に設定されている。
【0108】
図16では、偏光仕分け用の空間光変調器2からマイクロフライアイレンズ8までの光路を示しているが、それ以外の構成は
図1と同様である。別の表現をすれば、
図16における空間光変調器2と4との間の構成だけが、
図1の構成と異なっている。
図16の構成においても
図1の構成と同様に、リレー光学系6および7は、空間光変調器4の複数のミラー要素4aがそのファーフィールドに形成するファーフィールドパターンを、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳と共役な位置(マイクロフライアイレンズ8の入射面またはその近傍)に結像させる分布形成光学系を構成している。
【0109】
図16の変形例では、リレー光学系3cが、空間光変調器2の複数のミラー要素2aが射出光に与える角度を、空間光変調器2のファーフィールドである偏光部材5(5A〜5D)の入射面上での位置、および空間光変調器4の配列面(複数のミラー要素4aの入射面)上での位置に変換する。その結果、
図16の変形例においても、偏光仕分け用の空間光変調器2と偏光部材5(5A〜5D)と瞳形成用の空間光変調器4との協働作用により、所望の形状および偏光状態を有する瞳強度分布を形成することができる。
【0110】
また、別の例として、偏光仕分け用の空間光変調器よりも光源側において偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある空間に瞳形成用の空間光変調器を配置し、偏光仕分け用の空間光変調器よりも被照射面側において偏光仕分け用の空間光変調器の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある空間に偏光部材を配置する構成も可能である。
【0111】
具体的に、
図17に示す変形例では、瞳形成用の空間光変調器4よりもマスク側(被照射面側)の光路中に、空間光変調器4の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある位置を形成するリレー光学系3dが配置されている。偏光仕分け用の空間光変調器2の配列面は、リレー光学系3dによって形成される空間光変調器4の配列面と光学的にフーリエ変換の関係にある位置またはその近傍に設定されている。空間光変調器2とマイクロフライアイレンズ8との間の光路中には、一対の結像光学系12および13が配置されている。
【0112】
第1結像光学系12は、前側レンズ群12aと後側レンズ群12bとからなり、空間光変調器2の配列面と光学的に共役な面14を形成する。第2結像光学系13は、前側レンズ群13aと後側レンズ群13bとからなり、共役面14と光学的に共役な面を、マイクロフライアイレンズ8の入射面またはその近傍に形成する。第1結像光学系12の瞳空間、例えば前側レンズ群12aと後側レンズ群12bとの間の瞳位置またはその近傍に、偏光部材5(5A〜5D)が配置されている。
【0113】
図17では、瞳形成用の空間光変調器4からマイクロフライアイレンズ8までの光路を示しているが、それ以外の構成は
図1と同様である。マイクロフライアイレンズ8との関係に着目すると、
図17における第2結像光学系13の後側レンズ群13bは
図1におけるリレー光学系7に対応し、
図17における第2結像光学系13の前側レンズ群13aおよび第1結像光学系12の後側レンズ群12bは
図1におけるリレー光学系6の後側レンズ群6bおよび前側レンズ群6aに対応し、
図17における瞳面6cは共役面14に対応している。
【0114】
図17の構成において、リレー光学系3d、第1結像光学系12および第2結像光学系13は、空間光変調器4の複数のミラー要素4aがそのファーフィールドに形成するファーフィールドパターンを、マイクロフライアイレンズ8の直後の照明瞳と共役な位置(マイクロフライアイレンズ8の入射面またはその近傍)に結像させる分布形成光学系を構成している。
【0115】
図17の変形例では、第1結像光学系12の前側レンズ群12aが、空間光変調器2の複数のミラー要素2aが射出光に与える角度を、空間光変調器2のファーフィールドである偏光部材5(5A〜5D)の入射面上での位置に変換する。また、リレー光学系3dが、空間光変調器4の複数のミラー要素4aが射出光に与える角度を、空間光変調器4のファーフィールドである空間光変調器2の配列面(複数のミラー要素2aの入射面)上での位置に変換する。その結果、
図17の変形例においても、偏光仕分け用の空間光変調器2と偏光部材5(5A〜5D)と瞳形成用の空間光変調器4との協働作用により、所望の形状および偏光状態を有する瞳強度分布を形成することができる。
【0116】
上述の実施形態では、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する空間光変調器2,4として、二次元的に配列された複数の反射面の向き(角度:傾き)を個別に制御可能な空間光変調器を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば二次元的に配列された複数の反射面の高さ(位置)を個別に制御可能な空間光変調器を用いることもできる。このような空間光変調器としては、たとえば米国特許第5,312,513号公報、並びに米国特許第6,885,493号公報の
図1dに開示される空間光変調器を用いることができる。これらの空間光変調器では、二次元的な高さ分布を形成することで回折面と同様の作用を入射光に与えることができる。なお、上述した二次元的に配列された複数の反射面を持つ空間光変調器を、たとえば米国特許第6,891,655号公報や、米国特許公開第2005/0095749号公報の開示に従って変形しても良い。
【0117】
上述の実施形態では、空間光変調器2,4が所定面内で二次元的に配列された複数のミラー要素2a,4aを備えているが、これに限定されることなく、所定面内に配列されて個別に制御される複数の透過光学要素を備えた透過型の空間光変調器を用いることもできる。
【0118】
また、上述の実施形態では、瞳形成用の空間光変調器として1つの空間光変調器を用いたが、複数の瞳形成用の空間光変調器を用いることも可能である。複数の瞳形成用の空間光変調器を用いた露光装置向けの照明光学系として、例えば米国特許出願公開第2009/0109417号明細書および米国特許出願公開第2009/0128886号明細書に開示される照明光学系を採用することができる。
【0119】
上述の実施形態では、マスクの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを形成する可変パターン形成装置を用いることができる。なお、可変パターン形成装置としては、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含む空間光変調素子を用いることができる。空間光変調素子を用いた露光装置は、たとえば米国特許公開第2007/0296936号公報に開示されている。また、上述のような非発光型の反射型空間光変調器以外に、透過型空間光変調器を用いても良く、自発光型の画像表示素子を用いても良い。
【0120】
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行っても良い。
【0121】
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。
図18は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
図18に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
【0122】
その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを感光性基板としてパターンの転写を行う。
【0123】
図19は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
図19に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
【0124】
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
【0125】
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
【0126】
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF
2レーザ光源、Ar
2レーザ(出力波長126nm)、Kr
2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源、g線(波長436nm)、YAGレーザの高調波発生装置や、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどに対して本発明を適用することもできる。
【0127】
また、例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0128】
また、上述の実施形態において、投影光学系と感光性基板との間の光路中を1.1よりも大きな屈折率を有する媒体(典型的には液体)で満たす手法、所謂液浸法を適用しても良い。この場合、投影光学系と感光性基板との間の光路中に液体を満たす手法としては、国際公開第WO99/49504号パンプレットに開示されているような局所的に液体を満たす手法や、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる手法や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する手法などを採用することができる。また、これに限らず、例えば欧州特許出願公開第1420298号明細書、国際公開第2004/055803号、米国特許第6,952,253号明細書などに開示される手法も適用することができる。ここでは、国際公開第WO99/49504号パンフレット、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、欧州特許出願公開第1420298号、国際公開第2004/055803号および米国特許第6,952,253号の教示を参照として援用する。
【0129】
また、上述の実施形態において、露光装置の投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系は屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、この投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
【0130】
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウェハW上に形成することによって、ウェハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)に適用することができる。
【0131】
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウェハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウェハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置に適用することができる。
【0132】
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウェハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
【0133】
また、上述の実施形態では、露光装置においてマスク(またはウェハ)を照明する照明光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、マスク(またはウェハ)以外の被照射面を照明する一般的な照明光学系に対して本発明を適用することもできる。
【0134】
「35U.S.C.§112」を満足するために必要とされる詳細において本特許出願において説明しかつ例示した「表題」の実施形態の特定の態様は、上述の実施形態の態様のあらゆる上述の目的、及び上述の実施形態の態様により又はその目的のあらゆる他の理由で又はその目的にために解決すべき問題を完全に達成することができるが、請求した内容の上述の実施形態のここで説明した態様は、請求した内容によって広く考察された内容を単に例示しかつ代表することは、当業者によって理解されるものとする。実施形態のここで説明しかつ主張する態様の範囲は、本明細書の教示内容に基づいて当業者に現在明らかであると考えられるか又は明らかになると考えられる他の実施形態を漏れなく包含するものである。本発明の「表題」の範囲は、単独にかつ完全に特許請求の範囲によってのみ限定され、いかなるものも特許請求の範囲の詳細説明を超えるものではない。単数形でのこのような請求項における要素への言及は、解釈において、明示的に説明していない限り、このような要素が「1つ及び1つのみ」であることを意味するように意図しておらず、かつ意味しないものとし、「1つ又はそれよりも多い」を意味する意図とし、かつ意味するものとする。当業者に公知か又は後で公知になる実施形態の上述の態様の要素のいずれかに対する全ての構造的及び機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に組み込まれると共に、特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。本明細書及び/又は本出願の請求項に使用され、かつ本明細書及び/又は本出願の請求項に明示的に意味を与えられたあらゆる用語は、このような用語に関するあらゆる辞書上の意味又は他の一般的に使用される意味によらず、その意味を有するものとする。実施形態のいずれかの態様として本明細書で説明した装置又は方法は、それが特許請求の範囲によって包含されるように本出願において開示する実施形態の態様によって解決するように求められる各及び全て問題に対処することを意図しておらず、また必要でもない。本発明の開示内容におけるいかなる要素、構成要素、又は方法段階も、その要素、構成要素、又は方法段階が特許請求の範囲において明示的に詳細に説明されているか否かに関係なく、一般大衆に捧げられることを意図したものではない。特許請求の範囲におけるいかなる請求項の要素も、その要素が「〜のための手段」という語句を使用して明示的に列挙されるか又は方法の請求項の場合にはその要素が「作用」ではなく「段階」として列挙されていない限り、「35U.S.C.§112」第6項の規定に基づいて解釈されないものとする。
【0135】
米国の特許法の準拠において、本出願人は、本出願の明細書に添付されたあらゆるそれぞれの請求項、一部の場合には1つの請求項だけにおいて説明した各発明の少なくとも1つの権能付与的かつ作用する実施形態を開示したことが当業者によって理解されるであろう。本出願人は、開示内容の実施形態の態様/特徴/要素、開示内容の実施形態の作用、又は開示内容の実施形態の機能を定義し、及び/又は開示内容の実施形態の態様/特徴/要素のあらゆる他の定義を説明する際に、随時又は本出願を通して、定義的な動詞(例えば、「is」、「are」、「does」、「has」、又は「include」など)、及び/又は他の定義的な動詞(例えば、「生成する」、「引き起こす」、「サンプリングする」、「読み取る」、又は「知らせる」など)、及び/又は動名詞(例えば、「生成すること」、「使用すること」、「取ること」、「保つこと」、「製造すること」、「判断すること」、「測定すること」、又は「計算すること」など)を使用した。あらゆるこのような定義的語又は語句などが、本明細書で開示する1つ又はそれよりも多くの実施形態のいずれかの態様/特徴/要素、すなわち、あらゆる特徴、要素、システム、サブシステム、処理、又はアルゴリズムの段階、特定の材料などを説明するのに使用されている場合は、常に、本出願人が発明しかつ請求したものに関する本発明の範囲を解釈するために、以下の制限的語句、すなわち、「例示的に」、「例えば、」、「一例として」、「例示的に単に」、「例示的にのみ」などの1つ又はそれよりも多く又は全てが先行し、及び/又は語句「することができる」、「する可能性がある」、「かもしれない」、及び「することができるであろう」などのいずれか1つ又はそれよりも多く又は全てを含むと読むべきである。全てのこのような特徴、要素、段階、及び材料などは、たとえ特許法の要件の準拠において本出願人が特許請求した内容の実施形態又はいずれかの実施形態のあらゆるそのような態様/特徴/要素の単一の権能付与的な実施例だけを開示したとしても、1つ又はそれよりも多くの開示した実施形態の単に可能な態様として説明されており、いずれかの実施形態のいずれか1つ又はそれよりも多くの態様/特徴/要素の唯一の可能な実施、及び/又は特許請求した内容の唯一の可能な実施形態としで説明していないと考えるべきである。本出願又は本出願の実施において、特許請求の範囲のあらゆる開示する実施形態又はあらゆる特定の本発明の開示する実施形態の特定的な態様/特徴/要素が、特許請求の範囲の内容又はあらゆるそのような特許請求の範囲に説明されるあらゆる態様/特徴/要素を実行する1つ及び唯一の方法になると本出願人が考えていることを明示的かつ具体的に特に示さない限り、本出願人は、本特許出願の特許請求の範囲の内容のあらゆる開示する実施形態のあらゆる開示した態様/特徴/要素又は実施形態全体のあらゆる説明が、特許請求の範囲の内容又はそのあらゆる態様/特徴/要素を実行するそのような1つ及び唯一の方法であり、従って、特許請求の範囲の内容の他の可能な実施例と共にあらゆるそのように開示した実施例を包含するのに十分に広範囲にわたるものであるあらゆる特許請求の範囲をこのような開示した実施形態のそのような態様/特徴/要素又はそのような開示した実施形態に限定するように解釈されることを意図していない。本出願人は、1つ又は複数の親請求項に説明した特許請求の範囲の内容又は直接又は間接的に従属する請求項のあらゆる態様/特徴/要素、段階のようなあらゆる詳細と共にいずれかの請求項に従属する従属請求項を有するあらゆる請求項は、親請求項の説明事項が、他の実施例と共に従属請求項内に更なる詳細を包含するのに十分に広範囲にわたるものであること、及び更なる詳細が、あらゆるこのような親請求項で請求する態様/特徴/要素を実行し、従って従属請求項の更なる詳細を親請求項に取り込むことによって含むあらゆるこのような親請求項のより幅広い態様/特徴/要素の範囲をいかなる点においても制限するいずれかの従属請求項に説明されるいずれかのこのような態様/特徴/要素の更なる詳細に限られる唯一の方法ではないことを意味するように解釈されるべきであることを具体的、明示的、かつ明解に意図するものである。