【実施例】
【0055】
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
【0056】
(実験1)
<フライ麺における効果の検証>
(実施例1−1)<粉末油脂あり、過熱蒸気>
小麦粉750g、澱粉250gからなる麺原料粉1kgに粉末油脂(平均粒径0.15mm)30g(=主原料に対して3.0重量%)を加えてこれをミキサーでよく攪拌した後、食塩20g、リン酸塩9gを溶解した練り水400mlを加えて、これをミキサーでよく混練し、麺生地を得た。得られた麺生地を整形、複合して麺帯化し、圧延を繰り返して最終麺厚1.20mmの麺帯とした後、角刃9番の切刃で切出した。
【0057】
この切出された生麺線に対して加熱蒸気を処理した。過熱蒸気の条件は、約260℃の高温の蒸気を作り、これを、蒸気庫内部をネットコンベアが移送するトンネル型の蒸気庫内に蒸気流量100kg/hで供給した。
【0058】
蒸気庫は、ネットコンベアの上下からコンベア上を移送する麺線に向って直接過熱蒸気流を吹付ける噴出口を有し、これをコンベアの進行方向に多数有する構造となっており、この噴出口から過熱蒸気流を麺線に向けて直接吹付けることで麺線をα化処理した。
【0059】
麺線のさらされる過熱蒸気温度の測定方法としては、麺線表面に温度センサーを載置して蒸気庫内において麺線がさらされる過熱蒸気の温度をモニターした。過熱蒸気による処理工程における前記モニターの温度は140℃とし、蒸煮時間は36秒とした。
【0060】
上記のように過熱蒸気処理した麺線を、薄い食塩水の着味液に浸漬し、カットして1食分を容量380mlのリテーナに充填し、約150℃のパーム油でフライして乾燥した。
【0061】
このように、製造した即席フライ麺を、冷却して保存し、実施例1−1のサンプルとした。
【0062】
(比較例1−1)<粉末油脂なし、過熱蒸気>
粉末油脂を添加しない以外は実施例1−1と同様の方法に従って製造した。このように、製造した即席フライ麺を、冷却して保存し、比較例1−1のサンプルとした。
【0063】
(比較例1−2)<粉末油脂あり、非過熱蒸気>
過熱蒸気の代わりに非過熱蒸気を使用する以外は実施例1−1と同様の方法に従って製造した。非過熱蒸気の流量は100kg/hで蒸煮時間は36秒であった。また、このときの麺線がさらされる非過熱蒸気のモニターの温度は100℃であった。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、比較例1−2とした。
【0064】
(比較例1−3)<粉末油脂なし、非過熱蒸気>
粉末油脂を添加しない以外は、比較例1−2の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、比較例1−3とした。
【0065】
これらのサンプルをポリスチレン製の容器に入れて、400mlの熱湯を注加し、蓋をして5分間放置して復元し、喫食した。喫食時の評価方法は、ベテランのパネラー5人によって官能評価を行い、各項目について非常に良好なものを5点とし、良好なものを4点、普通のものを3、やや劣るものを2、劣るものを1とし、5段階で評価した。
【0066】
なお、官能評価の結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
(実験1’)
<麺線断面の構造解析>
着味液への浸漬工程以降の工程は行わず、それ以前の工程は上記4種のサンプルと同様の工程を経た麺線を製造し、これらを約3cm毎に切断、−40℃に急速凍結、フリーズドライ乾燥、金の蒸着を経た試料を作成し、それぞれ実施例1−1’、比較例1−1’、比較例1−2’、比較例1−3’とした。
【0069】
図1は実施例1−1’、
図2は比較例1−1’、
図3は比較例1−2’、
図4は比較例1−3’によりそれぞれ製造された麺線の断面を走査型電子顕微鏡による観察で得られた画像を拡大したものである。これらを比較すると、まず、過熱蒸気処理を施した
図1及び
図2では、麺線表面に、内部と比べて微細な凹凸が顕著に少ない、ペースト状の層が形成されていることが分かる。
【0070】
また、粉末油脂を添加しない
図2及び
図4では、麺線断面上に空隙が殆ど確認できないのに対し、粉末油脂を添加した
図1及び
図3では、麺線断面上に視認できる程度の大きさの空隙が複数確認できることが分かる。
【0071】
このようにして得られた各実施例、比較例に係る各麺線の断面に含まれる空隙について、その長径が50μm以上の空隙数を全てカウントし、各空隙の長径、短径から楕円を近似して得られた面積を算出した。そして、長径50μm以上の空隙数、空隙の平均面積、空隙の総面積、空隙の総体積をそれぞれまとめたものが表2である。ここで、空隙の総体積は、空隙の総面積を3/2乗し、得られた値の中で最も小さい比較例1−3’の体積を1とした場合の各実施例、比較例による体積を数値で示したものである。なお、各実施例、比較例毎に、それぞれ3箇所の断面画像を使用し、各画像に含まれる空隙を対象とした。
【0072】
【表2】
【0073】
以下、表2の結果のうち、直径50μm以上の空隙の総体積比について考察する。ここで、比較例1−1’、比較例1−2’、比較例1−3’の空隙の総体積をそれぞれV(1−1’)、V(1−2’)、V(1−3’)とする。
【0074】
V(1−2’)は、V(1−3’)よりも46増加していることが分かる。これは、粉末油脂を練り込んだ麺生地から作成した麺線をα化処理することで、練りこまれた粉末油脂が溶解し、麺線内に空隙が形成されるため、全体として空隙が増加し、空隙の総体積も増加していることによると考えられる。
【0075】
また、V(1−1’)は、V(1−3’)よりも0.6増加していることが分かる。これは、α化処理を非過熱蒸気処理から過熱蒸気処理に変更することで、麺線内に若干の乾燥が起こる等の要因により空隙数が増加し、空隙の総体積も増加していることによると考えられる。
【0076】
これらの検討から、比較例1−3’(粉末油脂なし、非過熱蒸気処理)の条件から実施例1−1’(粉末油脂あり、過熱蒸気処理)の条件に変更することにより、空隙の総体積は、
V(1−3’)+{V(1−2’)―V(1−3’)}+{V(1−1’)―V(1−3’)}
=1+46+0.6
=47.6
となることが予測される。ところが、実際には実施例1−1’で得られる空隙の総体積は75であり、想定よりはるかに大きな値が得られた。
【0077】
すなわち、粉末油脂を練り込んだ麺線を用いて過熱蒸気処理工程を経由させた実施例1−1’の条件下では、麺線に粉末油脂を添加することと、α化処理に過熱蒸気を用いることそれぞれのみからは予測し得ない構造上の変化が起こっていると考えられる。
【0078】
(実施例1−2)<過熱蒸気処理の温度の変更>
麺線のさらされる過熱蒸気の温度を120℃とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−2とした。
【0079】
(実施例1−3)<過熱蒸気処理の温度の変更>
麺線のさらされる過熱蒸気の温度を170℃とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−3とした。
【0080】
(実施例1−4)<過熱蒸気処理の温度の変更>
麺線のさらされる過熱蒸気の温度を200℃とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−4とした。
【0081】
これらのサンプルと実施例1−1及び比較例1−2で得られたサンプルをポリスチレン製の容器に入れて、400mlの熱湯を注加し、蓋をして5分間放置して復元し、喫食した。喫食時の評価方法は、ベテランのパネラー5人によって官能評価を行い、各項目について非常に良好なものを5点とし、良好なものを4点、普通のものを3点、やや劣るものを2点、劣るものを1点とし、5段階で評価した。
【0082】
また、過熱蒸気処理後、乾燥工程前の麺線表面の乾燥具合を、「過熱蒸気処理後の麺線表面の外観」として評価を行った。麺線の表面が乾燥した場合、蒸し麺の透明感がなくなりしろぼけた状態になる。しろぼけた麺線の割合を目視にて評価を行った。評価は、5段階でおこない、5点は乾燥していない、4点はしろぼけた箇所が1割未満、3点はしろぼけた箇所が1〜3割程度、2点はしろぼけた箇所が3〜5割程度、1点はしろぼけた箇所が5割以上として評価を行った。
【0083】
なお、官能評価結果ならびに外観評価結果を表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
(実施例1−6)<過熱蒸気処理の時間の変更>
麺線のさらされる過熱蒸気の蒸煮時間を15秒とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−6とした。
【0086】
(実施例1−7)<過熱蒸気処理の時間の変更>
麺線のさらされる過熱蒸気の蒸煮時間を45秒とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−7とした。
【0087】
(実施例1−8)<過熱蒸気処理の時間の変更>
麺線のさらされる過熱蒸気の蒸煮時間を60秒とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−8とした。
【0088】
これらのサンプルと実施例1−1をポリスチレン製の容器に入れて、400mlの熱湯を注加し、蓋をして5分間放置して復元し、喫食した。喫食時の評価方法は、ベテランのパネラー5人によって官能評価を行い、各項目について非常に良好なものを5点とし、良好なものを4点、普通のものを3点、やや劣るものを2点、劣るものを1点とし、5段階で評価した。
【0089】
また、過熱蒸気処理後、乾燥工程前の麺線表面の乾燥具合を、「過熱蒸気処理後の麺線表面の外観」として評価を行った。麺線の表面が乾燥した場合、蒸し麺の透明感がなくなりしろぼけた状態になる。しろぼけた麺線の割合を目視にて評価を行った。評価は、5段階でおこない、5点は乾燥していない、4点はしろぼけた箇所が1割未満、3点はしろぼけた箇所が1〜3割程度、2点はしろぼけた箇所が3〜5割程度、1点はしろぼけた箇所が5割以上として評価を行った。
【0090】
なお、官能評価結果ならびに外観評価結果を表4に示す。
【0091】
【表4】
【0092】
(実施例1−9)<粉末油脂の添加量の変更>
粉末油脂の添加量を主原料に対して0.1重量%とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−9とした。
【0093】
(実施例1−10)<粉末油脂の添加量の変更>
粉末油脂の添加量を主原料に対して0.3重量%とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−10とした。
【0094】
(実施例1−11)<粉末油脂の添加量の変更>
粉末油脂の添加量を主原料に対して0.5重量%とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−11とした。
【0095】
(実施例1−12)<粉末油脂の添加量の変更>
粉末油脂の添加量を主原料に対して1.0重量%とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−12とした。
【0096】
(実施例1−13)<粉末油脂の添加量の変更>
粉末油脂の添加量を主原料に対して6.0重量%とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−13とした。
【0097】
(実施例1−14)<粉末油脂の添加量の変更>
粉末油脂の添加量を主原料に対して10.0重量%とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、実施例1−14とした。
【0098】
(比較例1−4)<粉末油脂の添加量の変更>
粉末油脂の添加量を主原料に対して0.0重量%とする以外は実施例1−1の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、比較例1−4とした。
【0099】
これらのサンプルと実施例1−1で得られたサンプルをポリスチレン製の容器に入れて、400mlの熱湯を注加し、蓋をして5分間放置して復元し、喫食した。喫食時の評価方法は、ベテランのパネラー5人によって官能評価を行い、各項目について非常に良好なものを5点とし、良好なものを4点、普通のものを3点、やや劣るものを2点、劣るものを1点とし、5段階で評価した。
【0100】
なお、官能評価の結果を表5−1、表5−2に示す。
【0101】
【表5-1】
【0102】
【表5-2】
【0103】
(実験2)
<水分補給工程を含む過熱水蒸気処理の検討>
(実施例2−1)<粉末油脂あり、過熱蒸気>
小麦粉750g、澱粉250gからなる麺原料粉1kgに粉末油脂(平均粒径0.15mm)を加えてこれをミキサーでよく攪拌した後、食塩20g、リン酸塩9gを溶解した練り水400mlを加えて、これをミキサーでよく混練し、麺生地を得た。得られた麺生地を整形、複合して麺帯化し、圧延を繰り返して最終麺厚1.50mmの麺帯とした後、角刃9番の切刃で切出した。
【0104】
この切出された生麺線を過熱蒸気処理として過熱蒸気で蒸煮した。過熱蒸気の条件は、約260℃の高温の蒸気を作り、これを、蒸気庫内部をネットコンベアが移送するトンネル型の蒸気庫内に蒸気流量100kg/hで供給した。
【0105】
蒸気庫は、ネットコンベアの上下からコンベア上を移送する麺線に向かって直接過熱蒸気流を吹付ける噴出口を有し、これをコンベアの進行方向に多数有する構造となっており、この噴出口から過熱蒸気流を麺線に向かって直接吹付けて麺線を蒸煮した。
【0106】
麺線のさらされる過熱蒸気温度の測定方法としては、麺線表面に温度センサーを載置して蒸気庫内において麺線がさらされる過熱蒸気の温度をモニターした。過熱蒸気による処理工程における前記モニターの温度は140℃とし、蒸煮時間は36秒とした。
【0107】
上記の過熱蒸気を蒸煮の後、水分補給工程として80℃に加温したお湯に10秒浸漬した。水分補給工程の後、上記の方法で再び過熱蒸気を蒸煮した。
【0108】
上記のように過熱蒸気処理した麺線を、薄い食塩水の着味液に浸漬し、カットして1食分を容量380mlのリテーナに充填し、約150℃のパーム油でフライして乾燥した。
【0109】
このように、製造した即席フライ麺を、冷却して保存し、実施例2−1のサンプルとした。
【0110】
(比較例2−1)<粉末油脂なし、過熱蒸気>
粉末油脂を添加しない以外は実施例2−1の方法に従って製造した。このように、製造した即席フライ麺を、冷却して保存し、比較例2−1のサンプルとした。
【0111】
(比較例2−2)<粉末油脂あり、非過熱蒸気>
過熱蒸気の代わりに非過熱蒸気を使用する以外は実施例2−1の方法に従って製造した。非過熱蒸気の流量は100kg/hで蒸煮時間は36秒であった。また、このときの麺線がさらされる非過熱蒸気のモニターの温度は100℃であった。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、比較例2−2とした。
【0112】
(比較例2−3)<粉末油脂なし、非過熱蒸気>
粉末油脂を添加しない以外は、比較例1−2の方法に従って製造した。このように製造した即席フライ麺を冷却して保存し、比較例2−3とした。
【0113】
これらのサンプルをポリスチレン製の容器に入れて、400mlの熱湯を注加し、蓋をして5分間放置して復元し、喫食した。喫食時の評価方法は、ベテランのパネラー5人によって官能評価を行い、各項目について非常に良好なものを5点とし、良好なものを4点、普通のものを3点、やや劣るものを2点、劣るものを1点とし、5段階で評価した。
【0114】
なお、官能評価の結果を表6に示す。
【0115】
【表6】
【0116】
(実験3)
<ノンフライ麺における検証>
(実施例3−1)<粉末油脂あり、過熱蒸気処理>
実施例1−1の方法により生麺線を作成し、過熱蒸気処理を行った麺線を薄い食塩水の着味液に浸漬し、カットして1食分を容量380mlのリテーナに充填し、温度90℃、風速4m/sの熱風乾燥機の庫内で約30分乾燥した。このように、製造した即席ノンフライ麺を、冷却して保存し、実施例3−1のサンプルとした。
【0117】
(比較例3−1)<粉末油脂なし、過熱蒸気処理>
粉末油脂を添加しない以外は、実施例3−1の方法に従って製造した。このように、製造した即席ノンフライ麺を、冷却して保存し、比較例3−1のサンプルとした。
【0118】
(比較例3−2)<粉末油脂あり、非過熱蒸気処理>
過熱蒸気の代わりに非過熱蒸気を使用する以外は実施例3−1の方法に従って製造した。非過熱蒸気の流量は100kg/hで蒸煮時間は36秒であった。また、このときの麺線がさらされる非過熱蒸気のモニターの温度は100℃であった。このように製造した即席ノンフライ麺を冷却して保存し、比較例3−2とした。
【0119】
(比較例3−3)<粉末油脂あり、高温熱風乾燥処理>
過熱蒸気の代わりに高温熱風を使用する以外は実施例3−1の方法に従って製造した。高温熱風は、過熱蒸気の麺線のさらされる温度と同じ140℃とし、風速は6m/sとした。高温熱風処理時間は、実施例3−1と同様に36秒とした。
【0120】
これらのサンプルを500mlの熱湯を入れた鍋で5分間煮込み、喫食した。喫食時の評価方法は、ベテランのパネラー5人によって官能評価を行い、各項目について非常に良好なものを5点とし、良好なものを4点、普通のものを3点、やや劣るものを2点、劣るものを1点とし、5段階で評価した。
【0121】
なお、官能評価の結果を表7に示す。
【0122】
【表7】
【0123】
(実験4)
<過熱蒸気乾燥における効果の検証>
(実施例4−1)<粉末油脂あり、過熱蒸気>
小麦粉750g、澱粉250gからなる麺原料粉1kgに粉末油脂(平均粒径0.15mm)を加えてこれをミキサーでよく攪拌した後、食塩20g、リン酸塩9gを溶解した練り水400mlを加えて、これをミキサーでよく混練し、麺生地を得た。得られた麺生地を整形、複合して麺帯化し、圧延を繰り返して最終麺厚1.20mmの麺帯とした後、角刃9番の切刃で切出した。
【0124】
この切出された生麺線を過熱蒸気処理として過熱蒸気で蒸煮した。過熱蒸気の条件は、約260℃の高温の蒸気を作り、これを、蒸気庫内部をネットコンベアが移送するトンネル型の蒸気庫内に蒸気流量100kg/hで供給した。
【0125】
蒸気庫は、ネットコンベアの上下からコンベア上を移送する麺線に向かって直接過熱蒸気流を吹付ける噴出口を有し、これをコンベアの進行方向に多数有する構造となっており、この噴出口から過熱蒸気流を麺線に向って直接吹付けて麺線を蒸煮した。
【0126】
麺線のさらされる過熱蒸気温度の測定方法としては、麺線表面に温度センサーを載置して蒸気庫内において麺線がさらされる過熱蒸気の温度をモニターした。過熱蒸気による処理工程における前記モニターの温度は140℃とし、蒸煮時間は3分30秒行った。
【0127】
このように、製造した即席乾麺を、冷却して保存し、実施例4−1のサンプルとした。
【0128】
(比較例4−1)<粉末油脂なし、過熱蒸気処理>
粉末油脂を添加しない以外は、実施例4−1の方法に従って製造した。このように、製造した即席乾麺を、冷却して保存し、比較例4−1のサンプルとした。
【0129】
(比較例4−2)<粉末油脂あり、高温熱風乾燥処理>
過熱蒸気の代わりに高温熱風を使用する以外は実施例4−1の方法に従って製造した。高温熱風は、過熱蒸気により麺線がさらされる温度と同じ140℃とし、風速は6m/sとした。高温熱風処理時間は、実施例4−1と同様に3分30秒とした。
【0130】
これらのサンプルを500mlの熱湯を入れた鍋で5分30秒間煮込み、喫食した。喫食時の評価方法は、ベテランのパネラー5人によって官能評価を行い、各項目について非常に良好なものを5点とし、良好なものを4点、普通のものを3点、やや劣るものを2点、劣るものを1点とし、5段階で評価した。
【0131】
なお、官能評価の結果を表8に示す。
【0132】
【表8】