(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1組の3つの電気光学的スイッチング素子または多数の前記組の3つの電気光学的スイッチング素子を含み、前記組の各々におけるスイッチング素子が、互いに異なる色を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電気光学的スイッチング素子のアレイ。
【背景技術】
【0002】
技術の現状および解決するべき課題
らせん構造を有し、任意に蛍光色素を含む液晶材料を、液晶らせん構造による周囲光の他の方法での典型的な、強い選択的反射を回避することによって改善されたコントラストを有する照明材料として、および/または反射材料として用いる電気光学スイッチング素子は、未公開の日本国特許出願特願2008-73141に記載されている。
【0003】
大きいサイズのスクリーンおよび広い視野を特徴とする、進化した液晶ディスプレイ(LCD)が、開発された。したがって、それらの用途の範囲はある程度広く、携帯電話からコンピューターモニターにわたりテレビ受像機に及ぶ。パーソナル携帯情報端末(PDA)、携帯用入力装置、輸送機器、例えば陸上車、航空機または船舶用の計器、全地球測位装置(GPS)/航行補助装置用のディスプレイのような、いくつかのより多くのタイプの用途があり、最近、大きいスクリーンのLCDは、電子看板にも適用される。これらの用途の多く、例えば電子看板において、明るい周囲光条件下、例えば直射日光条件下などでの明瞭な可視性が、強く要求される。屋外の明るい条件下での明瞭な可視性もまた、例えば携帯電話およびデジタルスチルカメラには必要である。TVおよびモニターの使用のために、明るい条件下での明瞭な可視性もまた、重要である。さらに、広範囲の色彩表現および良好な長期間の信頼性を有するLCDが、必要である。
【0004】
公開された日本国特許出願特開2007-299560号公報には、発光ダイオード(LED)を、かつて用いられていた冷陰極蛍光ランプを交換したバックライト源として用いて、色彩表現範囲を増大させることが提案されている。LEDをLCD用のバックライトとして用いる場合には、それらを用いる2つの異なる方法が、示唆されている。第1の方法は、1つが各々3つの原色である赤色、緑色および青色(R、G、B)の1つに相当する3つの異なる種類のLEDを用いることであり、第2の方法は、LCDを、例えば追加の黄色の蛍光材料を有する青色LEDから得られたほぼ白色の光で照射することであり、それは日本国特許第3503139号に記載されている通りである。しかし、特開2007-299560号公報の方法では、LCDの色彩表現範囲は拡大されるが、それはそれらの明度を改善せず、一方日本国特許第3503139号の方法では、十分に広範囲の色彩表現はもたらされない。
【0005】
LCDの色彩表現範囲の幅は、バックライトとしてLEDを用いることによって顕著に改善され得る。したがって、例えば、より濃い色の赤色が、表現され得る。しかし、このLEDの使用は、LCDの輝度を改善しない。結果として、より高輝度およびより低電力消費を同時に有するLCDについての根強い需要が、尚存在する。
【0006】
LCDの輝度を増大させるための周知の方法は、カラーフィルターについての必要性を解消するカラーシーケンシャルモードにおけるそれらの作用であり、それは、例えば公開された日本国特許出願特開2001-174779号公報に記載されている通りであり、それによって、顕著な量の光を吸収するカラーフィルターを用いる必要性が解消される。しかし、LCDのカラーシーケンシャル作用には、液晶層の応答速度、即ちスイッチング速度の増大が必要であり、好適な液晶材料も、適切な駆動方法も、示唆されていない。
【0007】
LCDの輝度を改善するための種々の他の方法が、提案された。そのいくつかを、以下で簡潔に述べる。公開された日本国特許出願特開2001-100203号公報には、後に好適な蛍光体によってカラーフィルターの色と整合する適切な色の光に変換されて、改善された明度を有するLCDを達成するために、UV放射を発するバックライトを用いることが提案されている。このアプローチには、少なくとも3つの重要な欠点がある。第1の欠点は、それが相当な部分の光を吸収するカラーフィルターの使用を必要とすることである。第2の欠点は、提案された構造が周囲光を利用することができないことである。また第3の欠点は、エネルギー光、即ち短波長を有する光および特にUV放射が、液晶材料および周辺材料に有害であることであり、それはLCDの長期間の信頼性のために好ましくない。
【0008】
公開された日本国特許出願特開平7-253575号公報には、ホログラムによって3つの原色に分割され、次に各々の光を、それぞれの色を提示するディスプレイのその対応する部分を通過させ、またカラーフィルターを用いる必要性を解消した、周囲光を用いるLCDが示唆されている。このタイプのディスプレイは、比較的複雑であり、製作するのが容易ではない構造を必要とする。さらに、また、反射された周囲光を利用することができない。そしてまた、このタイプのディスプレイは、より短い波長を有する光によって液晶材料および周辺の材料劣化が発生するという問題を有する。
【0009】
LCDの輝度を増大させるための直線偏光した発光を生じさせる光源の使用は、公開された日本国特許出願特開2001-174636号公報に記載されている。しかし、ここで再び、365nmの波長を有するUV放射を用いて蛍光色素を励起し、これらのLCDのまさしくその蛍光色素の、ならびに再び液晶材料および周辺材料の安定性についての問題が生じる。その他に、これらのLCDは、誘電体反射鏡をUV放射のためのフィルターとして利用し、それによって、それらの生産のための他の課題が引き起こされる。
【0010】
光変換材料、即ち無機の変換蛍光体または有機の波長変換材料のいずれかを用いて、バックライトの光源の光の波長をより短い波長に移動させる、バックライトシステムで作動する液晶ディスプレイは、例えばU.S.P. 5,666,174、U.S.P. 6,654,079、US 2001/0038426 (A1)、特開2002-358812号公報および特開2007-178902号公報に開示されている。
【0011】
直線偏光した光は、公開された日本国特許出願特開平4-40413号公報および上述の特開2001-174636号公報に記載されているように、ポリマーマトリックス中に分散させた異方性の分子形状を有する蛍光材料を、伸長手法を用いて配向させることによって得られ得る。あるいはまた、直線偏光した光は、公開された日本国特許出願特開平8-306954号公報に記載されているように、異方性の分子形状をラビングした配向層上に有する蛍光材料を配向させることによって得られ得る。
【0012】
公開された日本国特許出願特開平11-241069号公報によると、直線偏光した光はまた、蛍光分子を液晶のマトリックス中に分散させることによって得られ得る。蛍光材料が重合可能な液晶材料のマトリックス中に包埋される場合において、マトリックスの配向後に達成された蛍光材料の配向は、熱または電磁放射に曝露することによる重合可能な液晶材料の重合によって安定され得る。しかし、それらの分極化の程度は、ほとんどの用途について不十分であり、さらにデバイスの長期間の安定性は、全く考慮されておらず、ディスプレイは、反射された周囲光を利用することができない。
【0013】
カラーフィルターを用いる必要性を解消することによって明るいLCDを得るための他の方法は、公開された日本国特許出願特開平9-61813号公報および特開2005-62692号公報に記載されており、それには、光を光源から3つの原色に分離することが提案されている。特開平9-61813号公報には、一連のプリズムを用いて、光を光源から3つの原色(赤色(R)、緑色(G)および青色(B))の光に分割し、それを次に液晶スイッチング層の異なる領域を通過させるLCDが示唆されており、一方特開2005-62692号公報には、回折格子を用いて、光を光源から3つの原色に分割し、それらの各々の1つを、そのそれぞれの各ピクセルを通して円筒形のレンズ配列を経由して通過させる、LCDが記載されている。また、これらのLCDは、上記の3つの問題を有し、即ち、それらは、反射された周囲光を利用することができず、それらの複雑な構造は、製作するのが困難であり、ならびに短波長を有する光によって、液晶材料の、および周辺材料の悪化が生じる。
【0014】
公開された日本国特許出願特開2003-233070号公報には、慣用のディスプレイのカラーフィルターを交換した光変換層を用いたLCDが提案されている。いずれかの前記光変換層は、それぞれのバックライトから発せられたUV放射を3つの原色(R、G、B)のいずれか1つの光に変換するか、あるいはまたそれぞれの青色バックライトからの青色光を、表示された画像の青色部分のために部分的に直接用い、それぞれ緑色および赤色光に部分的に変換する。またここで、反射された周囲光を利用することができない。
【0015】
先ずバックライトからの光が液晶スイッチング層を通過し、その色を、その後にのみ変換するため、液晶材料の、および周辺材料の分解の問題が、特に、上記で議論したようにバックライトからのUV放射を用いる場合に生じる。青色光をUV放射の代わりに用いる場合には、材料の安定性の問題はある程度改善されるが、周囲光によって緑色および/または赤色蛍光材料の励起がもたらされ、したがって乏しいコントラストがもたらされる。
【0016】
主に屋外で用いるデジタルスチルカメラ、携帯電話および電子看板について、明るい周囲光条件下での良好な可視性および高い輝度が、上述のように要求される。そのような用途のための半透過型LCDは、公開された日本国特許出願特開2007-3779号公報に記載されている。これらは、ディスプレイの緑色ピクセル上にのみ位置する、くいの形態のスペーサーを用いることによって特徴づけられる。LCDは、明るい周囲光条件下で良好な可視性を有することが報告されている。
【0017】
しかし、主にこれらの半透過型LCDにおいて、すべてのピクセルを2つの領域、即ち、各々が異なって最適化されたセルギャップを有する透過領域および反射領域に分割しなければならないため、そのようなLCDの生産は、複雑な製作プロセスを必要とする。さらに、ピクセルが、前記の2つの異なる領域、即ち透過領域および反射領域に分割されるため、明らかに、それらのそれぞれの大きさは、相互に依存する。即ち、透過領域が増大する場合には、反射領域は減少し、その逆もまた同様である。短波長を有する光によって生じた液晶材料の、および周辺材料の長期間の信頼性の問題は、この文献においては全く対処されていない。
【0018】
UV吸収フィルムの形態での、420nmより短い波長を有する光を吸収する物質は、“UV Cut Film Standard”として住友スリーエム、日本国から商業的に入手可能であり、用い得る。あるいはまた、適切な厚さおよび大きさを有するアクリレートフィルムおよび/またはPETフィルムを、用いてもよい。これらの材料の吸光度は、フィルムの厚さに依存し、したがって適切な厚さを選択しなければならない。フィルムの厚さは、画像を表示するために用いる可視スペクトル領域、即ち430nm〜780nmの波長の領域における吸収を抑制するのに十分低く、同時にUV領域における光を吸収するのに十分高くなければならない。
【0019】
例えば、上述の“UV Cut Film Standard”は、可視光の88%を透過し、UV領域にある放射の99.5%を吸収する。これらの数値の第2のものは、UV放射への曝露が、このフィルムを有しないLCDと比較して、“UV Cut Film Standard”を用いることによって200倍低減されることを意味する。したがって、UV遮断フィルムなしで4年の寿命を有するLCDの寿命は、“UV Cut Film Standard”を用いることによって800年に増大し、これは、UV放射への曝露に関する長期間の信頼性について全く問題がないことを示す。
【0020】
可視光についての透過率を99%に増大させるために、“UV Cut Film Standard”のフィルムの厚さは、最初のものの数値の0.4倍に減少する。これによって、UV放射についての透過率の12%への増大がもたらされる。この場合において、LCDの寿命は、UV遮断フィルターを有しないLCDの寿命と比較して8.3倍増大する。この場合において、LCDの寿命は、“UV Cut Film Standard”を用いることによって4年から33年に増大する。UV放射への曝露に対する安定性のこの改善は、ほとんどの実際の用途についての、UV放射に関するLCDの長期間の信頼性の問題を解決するのにすでに十分である。
【0021】
従来技術において、特に上記に引用した文献において、散光器および他の光学素子を含むLCDの長期間の信頼性、ならびに特に液晶層の長期間の信頼性の問題は、十分対処されず、多くの場合において、それはむしろ、全く考慮されてもいなかった。対照的に、従来技術の文献は各々、それぞれのディスプレイの他の特性に対して適切に注意せずに、事実上1つのみの単一の特定の問題を解決する特定の技術に重点を置いている。即ち、それらのいずれも、低電力消費を特徴としており、同時に十分な長期間の安定性および信頼性を示す、明るい周囲光条件下でも実際に十分な良好な可視性を有する、明瞭な画像を有するLCDを提供していない。
【0022】
しかし、これらの特性は重要であり、さらにTVおよび電子看板用途ならびにモニターおよび携帯電話用途のために決定的であり得る。したがって、これらの特性を有するLCDについての根強い需要がある。
【発明の概要】
【0023】
本発明
本発明のLCDは、それらがバックライトシステムからの光を極めて効率的に利用し、さらにバックライトシステムからの放射が高エネルギーを有する放射を含まず、好ましくはそれが、いかなるUV放射も含まず、より好ましくはまた短波長を有する青色光を全く含まないように配置された光学素子を含む。好ましくは、光の波長は、385nmまたはそれ以上、より好ましくは420nmまたはそれ以上および最も好ましくは435nmまたはそれ以上である。
【0024】
本発明の好ましい態様において、LCDは、光学素子の独自の組み合わせおよび配列を有し、したがってそれらは、反射された周囲光およびバックライトからの光を利用し、これによりそれらは、低電力消費で明るい周囲光条件下で明瞭な可視性を有する明るい画像をもたらす。
【0025】
バックライトからの光を直線偏光した光に変換することによって、バックライトからの光の利用の効率が顕著に増強され、短波長を有する、例えば385nmまたはそれ以下のUV放射を除去することによって、LCDの長期間の信頼性が顕著に向上する。
【0026】
本発明によれば、電気光学的スイッチング素子であって、
− 光(例えば周囲光および/またはバックライトシステムからの光)を変換することが可能である、1つまたは2つ以上の光変換手段であって、前記光変換手段の各々が、
・ 光の偏光状態を、偏光していない光から直線偏光した光または円偏光した光のいずれかに変換することが可能であり、同時に、
・ 任意に、光の波長をより長い値に、好ましくは可視光に変化させることが可能である、前記光変換手段、
ならびに、
【0027】
− 少なくとも1つの前記変換手段、
・ 光の波長をより長い値に変化させることが可能である、前記変換手段、
ならびに
− 好ましくは層の形態であり、好ましくは前記液晶材料の電気的アドレッシングの1つまたは2つ以上の手段を備えた、スイッチング可能な液晶材料、
− 光を偏光させるための1つまたは2つ以上の手段、好ましくは検光子および任意に偏光子、ならびに
− 任意に例えばバックライトとしての、照明のための手段、
を含む、前記電気光学的スイッチング素子を提供する。
【0028】
スイッチング可能な液晶材料という表現は、液晶材料の配向の状態が少なくとも1つの状態から少なくとも1つの他の状態に、力を加えることによって、好ましくはそれに電気的にアドレッシングすることによって変化し得ることを意味する。グレースケールの表現を容易にするために、配向の変化は、事実上連続的であり得、好ましくは連続的である。
【0029】
本願の光変換手段は、好ましくはディスプレイの全部の液体のスイッチング素子を本質的に覆う、事実上平坦であり、本質的に連続的な層である、1または2以上の層を含む、 好ましい態様において、それらは、種々の形態を有し得る。好ましくは、当該層は、互いに積層され、それぞれ連続的に順次堆積されている。しかし、変換手段をまた、例えばパターン化された方法で、例えばディスプレイのピクセルまたはサブピクセルと本質的に適合させて構築してもよく、それは以下でやや詳細に説明する通りである。
【0030】
好ましくは、本発明によれば、光の偏光状態を変換し、任意に光の波長を変化させることが可能である光変換手段の少なくとも1つは、コレステリック液晶を含むかまたはそれからなり、それは、好ましくは、例えば未だ公開されていない日本国特許出願特願2008-73141に開示されているように、1種または2種以上の発光部分、好ましくは1種または2種以上の発光化合物を含む。
【0031】
好ましくは、本発明の電気光学的スイッチング素子は、好ましくはコレステリックLCの1つまたは2つ以上の層を含むかまたはそれからなる1つまたは2つ以上の光増強手段(light enhancing means)を含む。この場合において、電気光学的スイッチング素子、それぞれそれらのアセンブリ、それぞれLCDは、好ましくは光学部品を含み、それは、例えば未だ公開されていない日本国特許出願特願2008-73141に開示されているように、前記コレステリック液晶の選択的反射を低減するかまたは解消することが可能である。
【0032】
好ましくは、本発明の電気光学的スイッチング素子は、
− 青色光を発することが可能であるバックライトシステム、
− 前記バックライトシステムからの光を変換することが可能である1つの光変換手段、
・ 光の偏光状態を、好ましくは直線偏光した光に、または光がすでにある程度直線偏光している場合には、より強く直線偏光した光に、即ち前より高い程度の偏光を有する光に変換することが可能であり、
・ 任意に、同時に、青色光の波長をより長い値に変化させることが可能である、前記光変換手段、
【0033】
− 前記バックライトシステムからの光を変換することが可能である、少なくとも1つ、好ましくは2つの追加の光変換手段、
・ 光の偏光状態を、好ましくは直線偏光した光に変換することが可能であり、
・ 同時に、光の波長をより長い値に、好ましくは緑色に、または1つを赤色光に、および好ましくは各々1つの緑色および赤色光に変化させることが可能である、前記光変換手段、
を含む。
【0034】
本願によれば、青色光は、好ましくは400nmまたはそれ以上の波長を有する光を意味し、即ちバイオレット色の光を含むがUV放射を含まず、好ましくはそれは、420nmまたはそれ以上の、および最も好ましくは435nmまたはそれ以上の波長を有する光を意味する。
【0035】
本発明によれば、すべての既知のLCDモードを、液晶スイッチング層、例えばねじれネマティック(TN)モード、垂直配向(VA)モード、面内切換(IPS)モード、フリンジ領域切換(FFS)モード、光学的に補償されたベンド(OCB)モード、複合配向ネマティック(hybrid alignment nematic)モード(HAN)およびゲスト−ホスト(GH)モードのために適用してもよい。強誘電性および青色相モードもまた、適用可能である。VAモードが本発明のために特に有用であることが見出された。後者は、特に液晶スイッチング層が操作された円偏光した光である場合において適用可能である。TN、OCBおよびHANモードにおいて作動する液晶スイッチング層のために、円偏光した光を用いる利点の1つは、上方の基板と下方の基板との間のラビング方向を配向させるための改善された処理マージンである。
【0036】
本発明によれば、用いる光変換手段は、1種もしくは2種以上の有機色素および/または1種もしくは2種以上の無機蛍光体を含み得る。
有機色素としては、種々の蛍光色素およびリン光を発する色素、例えば有機発光ダイオードにおいて用いるレーザー色素および/または発光色素を、有益に用い得る。それぞれのレーザー色素は、Exciton Corporation, USAから株式会社インデコ、日本国を介して商業的に入手可能であり、一方他の好適な色素は、American Dye Sources Inc., Canadaから商業的に入手可能である。
【0037】
ここで用いることができる、青色スペクトル領域における発光波長を有するレーザー色素は、例えばExciton Corporation, USAから株式会社インデコ、日本国を介して商業的に入手可能であり、例えばクマリン460、クマリン480、クマリン481、クマリン485、クマリン487、クマリン490、LD489、LD490、クマリン500、クマリン503、クマリン504、クマリン504Tおよびクマリン515である。これらのレーザー色素に加えて、青色スペクトル領域における発光を有する蛍光色素、例えばペリレン、9−アミノ−アクリジン、12(9−アントロイルオキシ)ステアリン酸、4−フェニルスピロ[フラン−2(3H),1’−フタラン]−3,3’−ジオン、N−(7−ジメチルアミノ−4−メチルクマリニル)マレイミドおよび/またはAmerican Dye Sources Inc., Canadaから商業的に入手可能な色素ADS135BE、ADS040BE、ADS256FS、ADS086BE、ADS084BEもまた、用いてもよい。これらの色素を、本発明にしたがって、個々に、または適切な混合物の形態で用いてもよい。
【0038】
ここで用いることができる、緑色スペクトル領域において発光するレーザー色素は、商業的に入手可能である:例えばExciton Corporation, USAから株式会社インデコ、日本国を介して商業的に入手可能であるクマリン522、クマリン522B、クマリン525およびクマリン540A、シグマアルドリッチジャパン株式会社、日本国、Sigma-Aldrich, USAの子会社からならびにクマリン6、8−ヒドロキシ−キシノリン*、である。これらのレーザー色素に加えて、また、緑色スペクトル領域における発光を有する蛍光色素、例えばAmerican Dye Sources Inc., Canadaからの色素ADS061GE、ADS063GE、ADS108GE、ADS109GEおよびADS128GEもまた、用いてもよい。また、これらの色素を、個々に、または適切な混合物の形態で、本発明にしたがって用いてもよい。
【0039】
ここで用いることができる、赤色スペクトル領域において発光するレーザー色素は、商業的に入手可能である:例えばExciton Corporation, USAから株式会社インデコ、日本国を介して商業的に入手可能であるDCM、Fluorol 555、ローダミン560過塩素酸塩、ローダミン560塩化物およびLDS698である。さらに、赤色スペクトル領域における発光を有する蛍光色素、例えばAmerican Dye Sources Inc., Canadaから商業的に入手可能であるADS055RE、ADS061RE、ADS068RE、ADS069REおよびADS076REを、用いてもよい。また、これらの色素を、個々に、または適切な混合物の形態で、本発明において用いてもよい。
【0040】
あるいはまた、有機色素として、有機発光ダイオード(OLED)のために開発された光を発する色素もまた、ここで用いてもよい。色素、例えば日本国特許第2795932号明細書に記載されている、色を変換することが可能であるものを、本発明にしたがって用いてもよい。論文S. A. Swanson et al., Chem. Mater., 第15巻(2003) 2305〜2312頁に記載されている色素もまた、有益に用いることができる。
【0041】
日本国特許出願特開2004-263179号公報、特開2006-269819号公報および特開2008-91282号公報に記載されている青色色素および緑色色素および赤色色素もまた、用いてもよい。特に、赤色色素について、UV放射または青色光を変換する緑色発光色素を、公開された日本国特許出願特開2003-264081号公報に記載されているように、緑色光を吸収し、赤色光を発する、赤色光を発する色素と組み合わせて用いてもよい。
【0042】
これらの色素を、最も一般的には、それらがそれぞれの参考文献によって記載されているように用いてもよい。しかし、それらの化学構造を、公知の手段によって、例えばアルキル鎖の導入またはアルキル鎖の修飾によってわずかに修飾して、有機溶媒中での、および特に液晶中でのそれらの可溶性を増大させることが必要であり得る。
【0043】
青色無機蛍光体について、公開された日本国特許出願特開2002-62530号公報に記載されている、Cuで活性化された硫化亜鉛蛍光体および/または、公開された日本国特許出願特開2006-299207号公報に記載されている、Euで活性化されたハロホスフェート(halophosphate)蛍光体、Euで活性化されたアルミン酸塩蛍光体を、用いてもよい。緑色無機蛍光体について、公開された日本国特許出願特開2006-299207号公報に記載されている、CeまたはTbで活性化された希土類元素ホウ酸塩蛍光体を、用いてもよい。
【0044】
赤色発光のために、公開された日本国特許出願特開2006-299207号公報に記載されている、Euで活性化された硫化ランタン蛍光体またはEuで活性化された硫化イットリウム蛍光体を、用いてもよい。公開された日本国特許出願特開2007-63365号公報に記載されている、色中心としてBaSおよびCu
2+からなる黄色蛍光体ならびに、公開された日本国特許出願特開2007-63366号公報に記載されている、色中心としてBa
2ZnS
3およびMn
2+からなる赤色蛍光体もまた、用いることができる。
【0045】
前述の日本国特許第3503139号明細書に記載されている、Ceで活性化されたガーネット蛍光体、公開された日本国特許出願特開2005-48105号公報に記載されている、赤色蛍光体、公開された日本国特許出願特開2007-262417号公報に記載されている、ベータ−サイアロン緑色蛍光体、Caアルファ−サイアロン赤色蛍光体もまた、用いることができる。上述の蛍光体を、粉砕材料(ground material)として、および/または光変換層中に分散した、表面修飾材料として用いることができる。WO 2006-017125に記載されている量子ドットもまた、用いてもよい。
【0046】
本発明の電気光学的スイッチング素子における光変換手段によって、色度範囲が増大し、バックライトからの光分布の均一性が改善され、短波長を有する光の透過が抑制され、したがって液晶材料に対する損傷が低減されるか、またはさらに防止される。
【0047】
本発明によれば、用いる光変換手段は、例えば1種または数種の有機色素および/または無機蛍光体を含む単一層の形態を有するか、あるいは異なる色素および/または無機蛍光体を各々の層中に含む、積み重ねた層の形態を有してもよい。それらはさらに、それぞれパターン化された、事実上連続的であるかまたは空間的構造であり得る。
【0048】
偏光した光を得るために、細長い形状を有する発光物質、例えば二色性染料を、好ましくは用い、それを、液晶マトリックス中で配向させる。この配向を、好ましくは液晶マトリックス中に存在するメソゲン性化合物の重合によって固定するか、またはさらに、それを主に、もしくはさらに完全に固定する(make up)。したがって、遷移モーメントは、液晶マトリックスの好ましい方向に沿って配向する。用いる液晶マトリックスのタイプに依存して、種々の種類の偏光を達成する。均一に、かつ一軸的に配向した液晶マトリックスによって、直線偏光した光の発光がもたらされ、一方平面状に配向したコレステリック結晶マトリックスによって、円偏光した光の発光がもたらされる。しかし、励起光自体が偏光する場合には、またいかなる二色性挙動をも示さない色素を用いてもよい。
【0049】
本発明の電気光学的スイッチング素子は、有益には、1つまたは2つ以上の光学的補償フィルム、好ましくは複屈折効果を補償するための1つの光学的補償フィルムを含んでいてもよい。
【0050】
さらに、またはあるいはまた、本発明の電気光学的スイッチング素子は、光変換手段と液晶スイッチング素子との間に配置された光学素子を液晶スイッチング素子の観測者の側に含んでいてもよい。この光学素子は、平行な、またはほぼ平行な光線中の光変換層からの光を、液晶スイッチング素子の各々のそれぞれの対応するサブピクセルに導くことが可能である光学素子であり、光線を平行に保持するか、またはそれを切換可能な液晶層上に収束させる。光学素子が光線を平行に保持する場合には、光拡散素子または光拡張素子を、液晶スイッチング素子の観測者の側に配置して、視野を増大させてもよい。
【0051】
そのような光拡散素子または光拡張素子は、LCDの可能な視野角を制御するために取り外し可能であり得る。光を光変換層から液晶スイッチング素子に導き、光線を平行に保持するかまたは光線を収束させる、そのような光学素子は、例えば日本国特許出願特開2008-97032号公報に記載されているマイクロレンズアレイであり得る。この光学素子の焦点距離を制御することにより、適切に設計されたレンズアレイの実現が可能になる。本発明のこの形態において、ディスプレイのあらゆる視差の問題が完全に解決され、それはカラーフィルターを有しない明るいLCDに特に好ましい。
【0052】
光を光変換手段から液晶スイッチング層に効率的に導くために、光変換手段からの光を反射することが可能である反射層を、光変換手段とバックライト源との間に配置してもよい。この反射層は、光変換手段からの光の波長と整合する選択的な反射の波長の領域を有するコレステリック液晶層であってもよい。これによって、光変換手段からの光の利用の効率が増強される。
【0053】
光を再利用する光学素子を光変換手段とバックライトシステムとの間に配置することも、可能である。この光を再利用する光学素子を、バックライト源からの光の波長に合わせ、したがってバックライトからの光の強度が増強される。この光を再利用する光学素子は、キラルピッチ(chiral pitch)がバックライトシステムからの光の波長と同一であり、前段に記載した光反射手段に対して反対のねじれ方向を有するコレステリック液晶層であってもよい。この光を再利用する層は、波長領域が互いに異なるため、反射層に干渉しない。この光を再利用する光学素子は、あるいはまた商業的に入手可能である「BEF」(住友スリーエム日本から入手可能な明度増強フィルム)であり得る。
【0054】
本発明の好ましい態様において、光変換手段のマトリックスは、コレステリック液晶層である。この場合において、光変換手段は、光を発するための手段として、および同時に周囲光層を反射するための手段として作用することが可能である。例えば、所望の色と整合している選択的反射の波長の領域を有するコレステリック液晶層は、容易に実現され得る。コレステリック液晶層は、コレステリック液晶層のねじれと同一の回転の方向を有する円偏光した光のみを反射する。例えば、右回りのコレステリックらせんによって、右回りの円偏光した光のみが反射される。
【0055】
同一の、または少なくともほぼ同一の色を有する光変換手段からの発光および反射を得るために、さらに、この選択的反射の波長領域中に、またはその発光の波長のピークをその付近に有する1種または2種以上の蛍光および/またはリン光発光材料および/または蛍光体を包含させることが可能である。ここで、国際特許出願WO2004/003108および公開された日本国特許出願特開2007-308418号公報に記載されているように、コレステリック液晶のキラル距離を合わせて、蛍光および/またはリン光発光材料発光波長の光学距離と一致させてもよい。次に、右回りに円偏光した光の発光は、くぼみ効果によって増強される。くぼみ効果を得るために、コレステリック液晶の平面配向および形態を、実質的に慎重に制御しなければならない。
【0056】
これには、冷却条件の、および配向層の条件の精密な制御が必要である。それぞれのプロセスは、比較的長い時間を要し、それぞれのプロセス条件およびパラメーターの微細な制御が必要である。本発明の特定の態様において、形態を極めて精密に、即ち変化の小さい限界内で制御して、完全なくぼみ効果を得ることは、必要ではない。対照的に、実現可能な可能な観測角の幅の観点から、公開された日本国特許出願特開2005-3823号公報に記載されているように、コレステリック液晶層の形態を、らせん軸を意図的に傾斜させることによって乱すのが、望ましい。
【0057】
コレステリック液晶材料を光変換手段層の主成分として利用することによって、高い効率の光の利用に至り、明るい周囲光条件下でも明瞭な画像が得られる。この効果は、円偏光子を光変換手段と液晶スイッチング層との間に配置した場合にも改善される。液晶スイッチング層は、2つの交差した直線偏光子によってはさまれ、円偏光子は、4分の1波長板を直線偏光子に加えることによって得られ得る。例えば、右回りの回転方向を有する円偏光した光のみを透過するR円偏光子を、広範囲の波長を有する4分の1波長板を直線偏光子に対して配置して、その光軸が偏光子の透過の軸に対して45°時計回りにねじれているようにすることによって、実現することができる。
【0058】
次に、バックライトシステムからの光の波長を、光変換手段によって変換し、円偏光子を通過させる。その後、右回りの回転方向を有する円偏光した光のみを、直線偏光した光に変換し、それを液晶スイッチング層に通じる。液晶スイッチング層の液晶がその光学的に「オフ」(off)状態にある場合、即ち通常は黒色モードの場合において、電圧は液晶層に印加されず(0V)、この入射光は、観測側において偏光子を通過することができず、したがって黒色状態が実現する。観測側において偏光子を通過する周囲光は、円偏光子もまた通過することができず、反射モードもまた、その黒色状態にある。
【0059】
他方、液晶層がその光学的に「オン」(on)状態にある場合、即ち通常は黒色モードの場合において、Fredericks転移のしきい値電圧を顕著に上回る電圧が、液晶層、光変換手段からの直線偏光した光に印加され、それは、液晶層の遅延を経て、円偏光子を通過した後に、その偏光状態を変化させ、液晶スイッチング層に到達する。次に、それは観測側で偏光子を通過することができ、これにより白色の、それぞれ明るい状態が実現される。
【0060】
観測側において偏光子を通過する周囲光は、液晶層および円偏光子を共に通過することができ、光変換手段に右回りの回転方向を有する円偏光した光として到達する。右回りの回転方向を有する円偏光した光が円偏光子を通過することができ、次に液晶層を、および光変換手段によって変換される光と同様の観測側における直線偏光子を通過するため、この周囲光は、光変換手段によって反射される。したがって、本発明のこの態様において、周囲光をバックライトシステムからの光と同様に利用することができ、これにより明るい周囲光下での高い輝度および良好な可視性を有するLCDを実現することができる。
【0061】
これらのLCDは、屋外での使用に特に良好に適する。カラーフィルターの使用を、回避することができる。LCDの輝度の観点から、カラーフィルターを取り外すのが望ましいが、色彩の広範な領域の表現のために、および視差エラーの抑制のために、カラーフィルターを用いることがしばしば有利である。カラーフィルター特性を各々の用途のために最適化する結果、LCDの最良の性能がもたらされる。
【0062】
本願の例の章にやや詳細に記載し、例示するように、420nm未満の波長を有する光は、液晶材料にある程度有害であり得、一方420nmまたはそれ以上の波長を有する光は、大部分の液晶材料に対して重大な損傷をもたらさず、したがって結果として得られる安定性は、大部分の実用的な用途に許容可能である。したがって、LCDの長期間の信頼性の観点から、短い波長を有する、特に420nmより短い波長を有する光への液晶層の曝露を低減させ、さらに防止することが重要である。
【0063】
したがって、本発明によれば、本質的に385nmまたはそれ以上、好ましくは420nmまたはそれ以上および最も好ましくは435nmまたはそれ以上の波長を有する光のみを発することが可能であるバックライトシステムを、好ましくは用いる。そのようなバックライトシステムを実現するために、短波長を有するUV放射またはさらに青色光を吸収し、好ましくは層、例えばUV遮断フィルターの形態にある材料を、バックライトの光源と液晶スイッチング層との間に配置してもよい。あるいはまた、適切なより長波長を有する光を発するLED、例えば青色LEDを、光源として用いてもよい。
【0064】
現在まで、電磁放射への曝露下でのLCDの劣化の現象に対しては、少数の系統的な調査があるに過ぎない。UVでの照射によってポリカーボネートから製造した光拡散プレートの劣化の特徴は、“LCD Backlighting Technologies”, CMC Publishing (2006), 155〜157頁に示されている。ポリカーボネートから製造したそのような光拡散プレートは、LCDのバックライトシステムにおいて、特に大型の液晶テレビ受像機用に頻繁に用いられている。刊行物の結果によれば、ポリカーボネートは、365nmの波長を有するUV放射に曝露することよっては劣化せず、313nmの波長を有するUV放射に曝露することによって顕著に劣化する。そこで、313nmのUVの波長を有するUV放射への曝露の完全に防止され、LCD中のポリマー材料の劣化は、顕著に抑制されると結論づけられる。
【0065】
以下に、本発明のいくつかの好ましい態様を、代表的な図面を参照してやや詳細に説明する。これらの図面において、液晶セルを示し、それはここで、典型的には3つの液晶スイッチング素子、即ち各々の原色(R、G、B)について各々1つを含む。これらの多数のスイッチング素子は、ディスプレイまたはむしろその一部を構成し得る。モザイクの形態の、例えばストライプ状配列における、または三角形の配列におけるそのようなスイッチング素子の繰り返しのセットによって、画像表示の実現が可能になる。しかし、異なる色への分離も可能である。明らかに、異なる色を有する2つのサブピクセルを、低減された範囲の色再現を有するディスプレイのために用いてもよく、単一のピクセルさえも、単色のみを表示するディスプレイのために、例えば白色画像上の黒色のためには十分であり、それはグレースケール機能を有し得る。
【0066】
この多数の液晶ディスプレイスイッチング素子はさらに、示されない電気的スイッチング素子、例えば薄膜トランジスタなどを含んでいてもよい。液体スイッチング素子が電極をバックライトシステムとは反対側において有する場合には、これらは透明電極である。また、それらがまた電極をバックライトシステムに面する側において有する場合には、これらもまた、好ましくは透明である。この多数の液晶ディスプレイスイッチング素子はさらにまた、所要に応じて1つまたは2つ以上の光学的補償フィルムを含んでいてもよい。これらの条件は、一般的に本発明のすべての態様に該当する。
【0067】
一般的に、図面において、3つの液晶ディスプレイスイッチング素子のアレイ、3つの原色である青色、緑色および赤色について各々1つを示す。液晶セルを、最上部および底部上の偏光子の対ならびに中央部における液晶材料によって図式的にのみ表す。カラーフィルターを、存在する場合には、最上部の偏光子に隣接するセルの最上部上にそれぞれの3つの部分によって示す。電極および配向層を含む基板は、便宜上示さない。
【0068】
図面において、それぞれの光の光路を、矢印によって示す。それぞれの光の偏光状態を、慣用の記号によって示す。直線偏光について、2つの先端を有する矢印
【数1】
を、平面において偏光した光のために用い、平面中の矢印の向きは、偏光方向を示し、中心に×印を有する円
【数2】
または中心に点を有する円
【数3】
を、平面に垂直な偏光のために用い、一方円偏光した光について、光が紙平面の正面から紙平面の後部まで通過することを前提として、円を描く矢印を用い、即ち、
【数4】
を右回りの(時計回りの)ねじれ方向のために用い、
【数5】
を左回りの(反時計回りの)ねじれ方向のために用いる。
【0069】
本発明の第1の主な態様を、
図1に例示する。この図面は、一列の3つの液晶ディスプレイスイッチング素子を示し、各々のものは、3つの原色である青色、緑色および赤色のためのものである。液晶セルを、上述のように、その最上部および底部上の偏光子の対ならびに中央部における液晶材料によって図式的にのみ表す。カラーフィルターを、最上部の偏光子に隣接するセルの最上部上にそれぞれの3つの部分によって示す。電極および配向層を含む基板は、ここでは便宜上示さない。
【0070】
一列の3つの液晶スイッチング素子は、本質的に下限を上回る、即ち385nmまたはそれ以上、好ましくは420nmまたはそれ以上および最も好ましくは435nmまたはそれ以上の波長を有する光のみを発することができるバックライトシステムを含む。これを、慣用のバックライト、例えば冷陰極蛍光ランプ(CCFL)と液晶スイッチング層などとの間に配置されたUV吸収物質を用いることによって、またはより長い波長にて発光するLED、例えば青色LEDを用いることによって達成することができる。一列の液晶スイッチング素子はさらに、バックライトシステムからの光を直線偏光した光に変換し、同時にバックライトからの光の波長を可視光に移行させる光変換手段を含む。
【0071】
ここで例示する態様において、光変換手段は、各々1種または2種以上の二色性の蛍光色素またはリン光を発する色素を含む一軸的に配向したポリマー物質からなる3つのサブ層を含む。各々の層は、カラーフィルターの対応するそれぞれの部分のものと整合する波長における発光を有する1種または2種以上の二色性の蛍光色素またはリン光を発する色素を含む。この図面において例示する態様において、バックライトからの光の波長は、光変換手段のそれぞれの層の各々1つによって3つの原色:青色、緑色および赤色の各々1つに変化する。あるいはまた、光変換手段は、1種または数種の有機色素および/または無機蛍光体を含む単一層の形態を有してもよい。
【0072】
この態様における光変換手段は、色度範囲を増大させ、バックライトからの光の分布の均一性を改善し、短波長を有する光の透過を抑制し、これにより液晶材料に対する損傷を低減させ、またはさらに防止する。
【0073】
直線偏光した光としての、光変換手段からの光の発光は、光スイッチング素子の光の利用の効率を増強する。光変換手段から発せられた光の偏光の程度がすでに十分大きい場合には、光変換手段に面する液晶スイッチング素子の入口偏光子は必要ではない場合があり、省略することができる。
【0074】
上記の
図1に示す本発明の第1の主な態様の第1の変更を、続く図面である
図2に例示する。ここで、光変換手段は、以下の方法で前の図面において用いたものと異なる。緑色および赤色光についてのサブ層が、上記で開示したようにそれらのそれぞれの発光部分(それぞれ蛍光材料およびリン光を発する材料)を含む一方、およびしたがって共に同時に偏光状態およびバックライトからの光の波長を変換する;ここで、青色光についてのサブ層は、青色光と相互作用する発光部分を何ら含まず、したがってバックライトからのそれぞれの光の波長を変化させない。それは、直線偏光により近い青色光の偏光状態を変化させるに過ぎない。したがって、その波長のいかなる変化をも伴わずに用いるバックライトの光のそれぞれの青色スペクトル部分を、所望の色空間を表すために適切に選択しなければならない。それぞれのスペクトル範囲において発光するLEDを、好ましくはここで用いる。
【0075】
図1に示す本発明の第1の主な態様の第2の変更を、次の図面である
図3に例示する。ここで、
図1の態様を、光再利用光学素子とも呼ばれる、バックライトからの光の使用を増強することが可能である構造を導入することによって増補する。この構造を、好ましくは
図3に示すように光変換手段とバックライトシステムとの間に導入する。この追加の構造は、好ましくは、バックライトによって発せられる放射線の波長と対応する適切なコレステリックピッチのコレステリック液晶の層を含むかまたはそれからなる。例えば、青色光での励起について、選択的反射の波長の範囲を、(470±20)nmに設定し、バイオレット色の光での励起について、それを、(400±20)nmに設定する。
【0076】
好ましくは、この構造は、バックライトからの光の使用を増強することが可能である。それは、好ましくはさらに4分の1波長板を含み、好ましくは光変換層に面する。この図面において、左回りのコレステリックらせんを例示的に示し、それは、液晶のダイレクターが連続層の、それぞれのレベルにおいて反時計回りにねじれていることを意味する。コレステリックらせんと同一のねじれ方向を有する(即ち左回りの)光は反射され、一方反対のねじれ方向を有する光は、コレステリックらせんを通過する。その後、コレステリックらせんを通してのその透過に対して、この光は、バックライトシステムによって再び反射される。この反射によって、光の当該部分の回転方向は逆転することにより、ここで、コレステリック層を通過することができる。
【0077】
事実上、光はこのように、より高程度に活用される。誤ったねじれ方向を有する光の半分として、即ち本明細書中で例示する場合において左回りのものは、偏光子によって吸収され、光の使用の活用が50%〜100%を形成する場合には、光のこの部分の回り方向の変換によって、理論的には2倍となることがもたらされ得る。大部分の実際的な場合において、70%への増大を達成することができる。励起のための光として用いる光が完全に偏光した光である必要はないため、直線偏光子を、多くの場合においてここで省略してもよい。ここでまたバックライトからの光を直線偏光した光に効率的に変換するために、あるいはまた、商業的に入手可能な「BEF」(明度増強フィルム)(*17)を、光再利用光学素子として用いてもよい。
【0078】
光再利用光学素子を、あるいはまた光変換手段と液晶スイッチング層との間に配置してもよく、この場合において、コレステリック液晶のピッチは、可視領域に及ぶ。それを光変換層と液晶スイッチング層との間に挿入する場合には、コレステリック液晶のピッチ値を、3つの原色(R、G、B)と整合させる。他方、それを光変換手段とバックライトとの間に挿入する場合には、コレステリック液晶のピッチを、好ましくは波長、それぞれバックライトのスペクトルと整合させる。
【0079】
場合によっては、直線偏光した光を用いた場合、例えばVAモードと比較して、円偏光した光を用いる場合には、光透過が方位角ダイレクター配向に依存せず、実際的な口径比が増大するため、光の利用の効率はより高い。これらの場合において、円偏光した光を直接用いてもよく、何らかの方法でまた、直線偏光した光を、4分の1波長板を用いることによって円偏光した光に容易に変換することができる。この効果は、本発明におけるすべての態様について共通する。
【0080】
本発明の第1の主な態様の他の変更を、
図4に示す。ここで、
図3に示す変更とは対照的に、バックライトからの光の使用を増強することが可能である構造の代わりに、異なる構造を用いる。この異なる構造は、周囲光および光変換手段から発せられる光をそれぞれの方向において反射することが可能である。ここで、各々異なる、所定のコレステリックピッチを有する3つの異なるコレステリック層を、好ましくは4分の1波長板と組み合わせて積み重ねて用いる。異なる層のコレステリックピッチを、それらの各々1つが原色(R、G、B)の1つの範囲における選択的反射の波長を有するように選択し、好ましくは、同一の色を有するカラーフィルターのそれぞれの部分の透過スペクトルと整合させる。
【0081】
これらのコレステリック層は、それらのらせんと同一のねじれ方向(本明細書中で右回りとして示す)を有する光を反射し、反射光を、再び画像を表示するために利用する。したがって、当該構造は、発光された光および周囲光の両方を同時に利用することができる。さらに、発光された光をより効率的に用いる。その理由は、それが誤った方向に、即ちバックライトシステムの方向に発光され、また他の方法では反射層なしで表示画像に寄与しない光をここで利用するからである。
【0082】
図5に示す、本発明の第1の主な態様の、なお他の変法において、
図3のバックライトからの光の使用を増強することが可能な構造および
図4の周囲光を反射することが可能な構造の両方を、同時に用いる。
【0083】
本発明の第2の主な態様は、カラーフィルターを用いる必要を解消したカラーディスプレイを実現することを可能にする。この態様を、
図6に示す。前の態様と同様に、この態様における光変換手段はまた、光変換手段を横断した後に直線偏光したものにより近くなっている光を生じる1種または2種以上の直線的に配向した二色性の蛍光またはリン光を発する色素および/または蛍光体を含む直線配向した液晶を含む。しかしここで、光変更手段は、異なる形態である。それらは、それらの色に関してそれぞれ空間的に構築され、空間的にパターン化され、平面中に、または本質的に平面中に配置される。
【0084】
特定の色を有するこれらの領域の各々の1つは、当該それぞれの色についてのサブピクセルに対応している。これは、光変換手段の異なる部分において、それぞれの色を有する異なる二色性の蛍光またはリン光を発する色素および/または蛍光体を用いることによって達成される。また、本発明のこの態様において、カラーフィルターを用いることが可能である。この場合において、カラーフィルターの領域は、同一の色を有する光変換手段のものに関して配向している。この場合において、それぞれの領域が互いについて十分良好に配向していない場合に起こり得る視差の問題は、低減される。
【0085】
本発明の第3の主な態様を、
図7に例示する。この態様は、電気光学的スイッチング素子においてカラーフィルターを用い、光変換手段は、コレステリック液晶層を含む。1つの各々の層は、選択的反射のその範囲が、同一の色を有するカラーフィルターのそれぞれの対応する部分の透過のスペクトル範囲と整合し、同時に各々の層が、適切な波長を有する1種または2種以上の二色性の蛍光またはリン光を発する色素および/または蛍光体を含むように選択された、適切なコレステリックピッチを有する。したがって、バックライトシステムからの光は、光変換手段のそれぞれの層によって円偏光した光に変換される。
【0086】
図7に例示するように、この円偏光を次に、通常の方法で、即ち4分の1波長板によって直線偏光に変換してもよい。いくつかのの参考文献において提案されているように、この円偏光した光を直接用いて液晶セルを操作することもまた、可能である。キラルピッチを発光される光の波長と整合するように選択し、同時に完全に均一な、またはほぼ完全に均一な形態を実現する場合には、くぼみ効果が発生する。しかし、らせん軸を少なくともある程度妨げ、したがって明瞭なくぼみ効果が観測されないようにすることは、広範囲の視野角の観点から好ましい。
【0087】
およびさらに、また
図7に例示するように、色の変換およびバックライトシステムからの光の偏光状態の変換に加えて、この態様の光変換手段もまた、周囲光の反射をもたらす。ここで、液晶スイッチング層を横断した後に、カラーフィルターのそれぞれの部分を通過する、適切な色の光が、その後4分の1波長板によって円偏光した光に変換され、次に光変換手段のそれぞれの部分、即ち層によって反射されることに注意しなければならない。これは、明るい周囲の照明条件下でのコントラストおよび可読性を顕著に増強する。
【0088】
本発明の第1の主な態様の第1の変更と同様に、また第3の主な態様の第1の変更が、存在する。これを、
図8に示す。またここで、本発明で第1の主な態様の第1の変更と同様に、第3の主な態様の第1の修正においても、ここで青色光のための光変換手段の層は、いかなる二色性の蛍光色素またはリン光を発する色素および/または蛍光体を含まず、それは青色光と相互作用し、したがってそれぞれの色を有し、即ち青色であるバックライトシステムからの光の色を変化させない。対照的に、再びここで、バックライトの青色光の偏光状態のみが、変化する。
【0089】
この場合において、コレステリック液晶のキラルピッチは、青色光の波長と整合しておらず、通常より短い波長に変化する。したがって、バックライトシステムからの青色光および周囲の青色光は、観測者を通過する。バックライトシステムの青色は、光変換手段の対応する部分、即ち層によって、それぞれ赤色および緑色に変化し、それらの偏光状態はまた、円偏光に変化する。同時に、
図7に示す本発明の第3の主な態様におけるように、周囲光は光変換層によって反射され、したがって明るい周囲の照明条件下での可読性が増強される。この場合において、透過した青色光の、および反射された青色光の波長はわずかに異なるが、実用的な用途についての重要な問題はない。また、カラーフィルターを用いる場合には、この点での問題は全くない。
【0090】
図9は、本発明の第3の好ましい態様の第2の変更を示す。ここで、再び
図3に示す本発明の第1の主な態様の第2の変更におけるように、励起のためのバックライトのためのコレステリック光エンハンサーを用いる。
【0091】
図10は、本発明の第3の主な態様の前に例示した変更の他の変更を示す。この変更において、
図2および8に示した態様におけるように、層状の光変換手段のそれぞれの部分、即ち層は、青色光と相互作用する二色性の蛍光色素またはリン光を発する色素および/または蛍光体を含まない。したがって、ここで再び、バックライトシステムからの青色光の色は変化せず、その偏光状態のみが変換される。
【0092】
図11は、本発明の第4の主な態様を表す。この態様は、特に好ましい。ここで、第3の好ましい態様におけるように、光変換手段は、コレステリック液晶材料を含み、それぞれそれからなる。同時に、本発明の第2の主な態様の場合におけるように、一列の光変調素子はカラーフィルターを含む必要はなく、同時に光変換手段がそれぞれパターン化されて、空間的に構築される。この本態様、即ち第4の主な態様において、青色光に関与する光変換手段の領域は、それぞれの色素を含んでいてもよい。しかし、
図11に図示するように、そのような色素もまた、不在であり得る。この場合において、バックライトシステムからの青色光の色は、変化しない。また、励起のためのバックライトからの光は、光増強によって増強され、励起のためにバックライトの波長と整合させたピッチを有するコレステリック液晶層を含み、光変換手段のものとは反対のねじれ方向を有する。
【0093】
コレステリック液晶層の光の発光のメカニズムは、すべてのタイプの発光メカニズム、例えば電極を介して注入された正孔と電子との再結合による短波長の光励起または発光による蛍光またはリン光であり得る。
【0094】
2つの広い波長範囲の4分の1波長板によってはさまれた偏光子を含む光学素子を、コレステリック液晶層と選択的反射を抑制する光学素子との間に配置して、コレステリック液晶層からの完全に円偏光した光を得ることもまた、可能である。この光学素子は、2つの広い波長範囲の4分の1波長板によってはさまれた直線偏光子であることに加えて、少なくとも一方が4分の1波長板で覆われた半ミラーまたは直線偏光子であり得る。
【0095】
高いコントラスト比を達成するために、周囲の励起光を、好ましくはコレステリック液晶層の外側に排除する。このために、好ましくは、少なくとも1つの発光部分を含むコレステリック液晶の少なくとも一方の側は、400nmまたはそれ以下、好ましくは470nmまたはそれ以下の波長を有する光を吸収する層で直接、または間接的に被覆されている。本文中において、「間接的に被覆されている」は、それぞれの層が互いのほかに存在することを意味する。即ち、前記光吸収層は、例えばオーバーコート層として、またはコレステリック液晶層と光吸収層との間に存在する透明な基板として、コレステリック液晶層とは別に存在する。
【0096】
この態様は、特にセル内蔵(in-cell)タイプの発光コレステリック液晶層を有するディスプレイに有用である。この態様において、場合によっては、カラーフィルターは必要でない。セルの外側から、例えばLED、OLEDまたは蛍光ランプから出る光は、一方の側からセルに進入し、コレステリック液晶層を横断し、それは円偏光した光に変換され、次に切換可能な液晶層に進入する前に周囲光を吸収する層を通過する。
【0097】
本発明の好ましい態様において、電気光学的スイッチング素子は、光を発するための2つまたは3つ以上の手段、好ましくは3つの手段を含み、各々1つは、好ましくは原色、例えば赤色、緑色および青色の3つの異なる波長の1つの光の発光のためであり、好ましくは前記3つの手段の各々1つは、3つの層の1つを形成し、好ましくは観測側から見られる青色、緑色および赤色のひと続きにおいて、好ましくは積み重ねられている。
【0098】
本発明の他の好ましい態様において、電気光学的スイッチング素子は、3つの異なる領域を有する光の発光のための手段を含み、各々の1つは異なるエミッタを有し、各々の1つは、好ましくは原色、例えば赤色、緑色および青色の3つの異なる波長の1つの光の発光のためであり、3つの領域の各々は、好ましくは90.000μm
2またはそれ以下の面積を有し、好ましくは450μmまたはそれ以下、好ましくは300μmまたはそれ以下および最も好ましくは200μmまたはそれ以下の対角線を有する。
【0099】
本発明の態様のいずれかにおいて用いる光散乱フィルムがポリマー分散液晶(PDLC)デバイスを含む場合には、視野角の特性変化を、電気的に切り換えることができる。
【0100】
本発明の電気光学的スイッチング素子を含む電気光学的ディスプレイは、有益には、1つまたは2つ以上のマイクロレンズアレイを含んでいてもよい。そのようなマイクロレンズアレイは、一般的に当該分野において既知である。これらのマイクロレンズアレイを、通常の手法、例えば好適な基板の体系化されたエッチング、印刷、エンボス加工、スタンピング、彫刻、アブレーション(例えばレーザーアブレーションなど)、好適な材料の、例えば適切な屈折率を有するポリマーのフォトリソグラフィーまたは成形などによって、好ましくは成形によって作製してもよい。
【0101】
本発明の電気光学的ディスプレイについて、観測者に面するディスプレイの側においてマイクロレンズアレイを用いることが、所望される場合がある。好ましくは、1つのレンズは各々、ディスプレイの各々のピクセル、それぞれサブピクセルに関連する。好ましくは、マイクロレンズは面積拡張を有し、それはディスプレイのそれらの対応するピクセルのものと類似している。好ましくは、ピクセルアレイおよびマイクロレンズアレイは共に、好ましくはディスプレイの領域の両方の規模において同一のピッチを有する。好ましいマイクロレンズの大きさは、それらの対応するピクセルのものよりも小さく、それは、それらの対応するピクセルと相対するレンズの配向の問題を低減し、またはさらに回避するのに役立つ。
【0102】
第1のタイプのマイクロレンズアレイとして、好ましくは、凹マイクロレンズ、即ちそれらの端部と比較して、それらの中央部においてより低い厚さを有するレンズからなる。最も好ましくは、それらは、平面凹レンズであり、即ち好ましくは、それらは1つのみの湾曲した主要な表面を有する。典型的に、ディスプレイに面するこれらのマイクロレンズの底部は、平坦である。このタイプのレンズは、周囲光を光変換層に、より大きい範囲の角度から採集することができ、同様に反射される光を同一のより大きい範囲の角度に広げる。1.49の屈折率を有するポリメチルメタクリレート(PMMA)から製造されたマイクロレンズは、周囲光を光変換層に、+/−45.3°にわたる範囲の角度から採集することができ、同様に、反射した光を、+/−45.3°にわたる範囲の角度に広げることができる。
【0103】
さらに、または上述のマイクロレンズ配列の代わりに、本願の電気光学的ディスプレイは、1つまたは2つ以上、好ましくは2つのマイクロレンズアレイを、スイッチング液晶層(例えばLCセル)と光変換手段との間に含んでいてもよい。この態様において、好ましくは、2つのマイクロレンズは各々、ディスプレイの各々のピクセル、それぞれ各々のサブピクセルに関連する。好ましくは、これらのマイクロレンズは凸レンズであり、即ちそれらの端部と比較して、それらの中央部においてより高い厚さを有する。最も好ましくは、それらは平面凸レンズであり、即ち好ましくは、それらは1つのみの湾曲した主要な表面を有する。
【0104】
より好ましくは、これらのマイクロレンズの凸面側は、半球面形状または球形の断面の形状を有し、それは好ましくは半球より小さい。再び、これらのアレイのレンズは面積拡張を有し、それはディスプレイのそれらの対応するピクセルのものと類似する。好ましくは、ピクセルアレイおよびマイクロレンズアレイは共に、好ましくはディスプレイの領域の両方の寸法において、場合によっては同一のピッチを有する。好ましいこれらのアレイのマイクロレンズの大きさは、それらの対応するピクセルのものよりも小さく、それは、それらの対応するピクセルと相対するレンズの配列の問題を低減し、またはさらに回避するのに役立つ。
【0105】
好ましくは、これらの2つのアレイのこれらの凸面マイクロレンズの各々2つは、同一のピクセル、それぞれサブピクセルに対応する。そのような対を形成する2つの凸面マイクロレンズは、好ましくは互いの上に2つの異なる層のいずれか1つの中に位置し、それらの凸面は、内側を向き、即ち互いに面している。凸面マイクロレンズの対からなるこのタイプのマイクロレンズアレイは、相互に互いに対応し、光変換層から来る光を、極めて小さい範囲の角度にわたり発せられる光に変換することができ、実際に、発せられた光は、ほぼ平行になる。したがって、互いに効果的に相補するマイクロレンズの2つの配列は、一列の光コリメータ、ディスプレイの各々のピクセルについて各々1つと同様に作動する。
【0106】
マイクロレンズの2つのアレイを、好適なスペーサーによって互いに離して配置し、それによりそれらの焦点を、各々の色についてそれぞれの光変換層と一致させることができる。マイクロレンズの対、凸面形状を有するマイクロレンズの2つのアレイの各々1つの各々1つが、互いに面しており、それによりそれらの焦点がほぼ合致するこの態様が、好ましく、その理由は、それが、発せられた光および光変換層から反射される光の両方に極めて有効であるからである。
【0107】
数種の電気光学的ディスプレイにおいて、異なる材料(例えば、特にガラス基板のものおよび/または偏光子のものおよび/または光変換層のピクセルのものなど)の熱膨張係数の1または2以上の差異のために、変動する温度下での互いに関連するそれらの異なるピクセレートされた(pixellated)構成要素の位置の配向の問題に直面し得る。
【0108】
この影響は、それらがピクセルの境界の1つにおいて、および好ましくはピクセルのすべての境界において少なくとも別個の部分に分けられるように、光変換層および偏光子の層状の積み重ねを実現することによって、低減され得るかまたはさらに事実上完全に回避され得る。それぞれの個々の部分の最初の長さがピクセルの大きさの範囲内、即ち数μmにある場合には、熱膨張の合計の長さはそれぞれの部分の最初の長さに比例し、熱の移動は無視可能となる。
【0109】
ここで、偏光子および4分の1波長板を、光変換層のものと反対側の回転方向を有する広帯域コレステリック液晶層と交換することができる。典型的にポリヨードン(polyiodine)でドープされたPVAおよび4分の1波長板製の慣用の円偏光子の代わりに、大きい帯域幅を有し、光変換層のものと反対のねじれ方向を有するコレステリック液晶層を、偏光子として用いてもよい。それらは、光変換層と同一のねじれ方向を有する円偏光した光を通過させることができる。広帯域コレステリック液晶層を、フォトリソグラフィーおよび/またはインクジェット式プリントを用いて容易に調製することができる。
【0110】
基板の、ならびに偏光子および/または光変換層、および/または偏光子および光変換層からなる組み合わせの異なる熱膨張の所望されない影響を低減する他の可能な手段は、後者を、互いに同一の、またはほぼ同一の熱膨張係数を有する2つの基板の間にはさむことである。偏光子を、次に積層させるか、または積み重ねるか、またはこれらの2つの基板の一方に接着させてもよい。
【0111】
光変換層をディスプレイセルの内側で実現する場合には、視差に関する問題は起こらず、基板および偏光子/光転換層の異なる熱膨張から生じるあらゆる問題は、マイクロレンズアレイを用いるか、または隣接するピクセル間で分離される偏光子/光変換層を用いることを必要としなくても回避される。
【0112】
本発明の特に好ましい態様において、液晶スイッチング層に適用されるLCDモードは、ゲスト−ホストモードである。ここで、二色性色素をドープした液晶を用いたあらゆる既知のタイプのLCDモードを、適用してもよい。
【0113】
特に好ましいのは、例えばまたVAモードにおいて作動するディスプレイにおいて用いる、負の誘電異方性を有する液晶混合物を用いた当該ディスプレイモードであるが、大部分はそこに二色性色素がない。ここでのゲストホストモードを、有益には1種または2種以上の「陽性の」二色性色素の導入によって実現することができ、それを、(その遷移モーメントは)それらの長い分子軸と直交するよりも、それらの長い分子軸と平行して見て大きい透過を有する当該色素と定義する。
【0114】
直前の態様において述べた「陽性の」二色性色素の代替として、透過(遷移モーメント)が、それらの長い分子軸と直交して見て、それらの長い分子軸と平行して見たときよりも大きい「陰性の」二色性色素を、液晶スイッチング層のために用いる液晶混合物中に包含させてもよい。このGHモードにおいて、通常黒色モードにおける作動が得られる。通常は、黒色モードは、いくつかの用途についての作動の好ましいモードである。その理由は、それには、良好な黒色状態を得るために異なる色についてのセルギャップのより厳密でない制御が必要であるからである。
【0115】
良好なコントラストを、好ましくは直線偏光子および広い波長範囲を有する4分の1波長板からなる円偏光子を用いることによって、この後者の2つのGHモードにおいて達成することができる。
1種または2種以上の二色性色素を含む液晶混合物は、電圧を印加していない場合には、液晶セル中に垂直に配向する。したがって液晶層は透明であり、発せられる光および光変換層から反射される光を共に、このピクセルについて見ることができる。
【0116】
十分に高い電圧を液晶スイッチング層に印加する場合には、LC分子は、基板と平行に配向する傾向があり、発せられる光および周囲光は共に、二色性色素によって吸収される。
両種のねじれ状態が発生して、方位角のすべての方向に及ぶ、即ち縮退したねじれ状態を実現することが所望される。1つまたは2つ以上の基板上のいかなる突起をも用いずに、また1つまたは2つ以上の基板の、1つまたは2つ以上の表面を例えばラビングすることによって処理せずに、キラルドーパントを全く含まないLCは、ねじれ方向において異なる小さい領域を有する基板表面と平行して自動的に配向する。
【0117】
液晶層の遅延を、好ましくはそれぞれのピクセルの色の波長の半分の整数倍に設定する。次に、液晶は、右回りの円偏光した光を左回りの円偏光した光に変換し、逆もまた同様である。ここで、正の二色性色素を用いることに注意しなければならない。観測者の側に配置した円偏光子は、次にコレステリック液晶層のものと同一の回転方向の円偏光した光を透過する。電圧が印加されない場合には、発せられた光および反射された周囲光は共に、液晶層を通過し、ピクセルは、その明るい状態(通常白色モード)にある。十分に高い電圧が印加された場合には、LC分子は、基板と平行に配向する傾向があり、発せられた光および周囲光は共に、二色性色素によって吸収される。
【0118】
さらに、例えば直線偏光子と4分の1波長板を、右回りの円偏光した光のみがLCセルに進入するように、観測の側において、それらの光軸が45°の角度を形成するように組み合わせることによって設計した円偏光子を、設定する。次に、右回りの円偏光を有する周囲光の部分は、左回りの円偏光した光としてコレステリック液晶層に到達し、それはもはやコレステリック液晶層によって反射されない。
【0119】
光変換層から発せられる右回りの円偏光を有する光もまた、左回りの円偏光した光として円偏光子に到達し、それは偏光子を通過することができない。光変換層から発せられる左回りの円偏光した光のみが、円偏光子に到達し、それを通過する。しかし、この光の顕著な量が吸収され、したがってディスプレイ画像に役立たない。この場合において、円偏光した光を操作するため、二色性色素の配向の質は、大きい影響を与えない。
【0120】
光変換層のねじれ方向と比較して反対の回転方向を有する、光変換層から発せられた光は、逆のねじれ方向を有するコレステリック液晶層を用いることによってさらに遮断される。この逆にねじれたコレステリック液晶層からの反射を抑制するために、二色性色素を、このコレステリック液晶層中に包含させてもよい。
【0121】
本発明の1つの態様において、光変換層に対して逆のねじれ方向を有する広帯域コレステリック液晶層は、セル内蔵偏光子を用いてもよく、aGH LCセルと組み合わせてもよい。次に、GH LCセルは、発せられた光および周囲光を黒色状態において遮断し、セル内蔵タイプの広帯域コレステリックLCは、1つのねじれ方向のみを有する円偏光した光を選択する。
【0122】
この態様において、二色性色素を、スイッチング液晶層中に包含させて、逆のねじれ方向を有するコレステリック液晶層からの反射を黒色状態において抑制する。この場合において、通常白色モードを、陽性の二色性色素のために用いる。逆のねじれ方向を有するコレステリック液晶層を用い、二色性色素を、このコレステリック層中に、および/または液晶層中に包含させるこの場合において、光変換層は、必ずしもコレステリック液晶層であるというわけではなく、単純な発光層を、代わりに用いてもよい。ここで、逆のねじれ方向を有するコレステリック層は、セル内蔵タイプの偏光子と同一の効果を有するが、周囲光を、この態様においてはもはや利用することができない。
【0123】
本願の好ましい態様はまた、本願と共に出願する特許請求の範囲から専門家に明らかであり、それはこの点において本願の開示の一部を形成する。
【0124】
以下の例は、本発明を、いかなる意味においても限定せずに例示することを意図する。
しかし、それらの組成、構成および物理特性を含む異なった態様は、専門家に極めて良好に例示され、当該特性を、本発明によって達成することができ、特に、当該範囲において、それらを変更することができる。特に、好ましく達成することができる種々の特性の組み合わせを、このように専門家のために十分
に定義する。
【0125】
液晶の融点T(C,N)、スメクティック(S)相からネマティック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)を、摂氏度において示す。
本出願において、すべての温度を摂氏度(セルシウス度、短縮形℃)において示し、すべての物理的データは20℃の温度に該当し、すべての濃度は、他に明確に述べない限りすべて重量パーセントである。
【0126】
本願において、および特に以下の例において、液晶化合物の構造を、「頭字語」とも呼ばれる省略形によって表す。省略形の対応する構造への変換は、以下の3つの表A〜Cによって明白である。
すべての群C
nH
2n+1、C
mH
2m+1およびC
lH
2l+1は、好ましくは、それぞれn個、m個およびl個のC原子を有する直鎖状アルキル基であり、−CH=CH−は、好ましくはトランスそれぞれEビニレンである。
【0127】
表Aは、環要素のために用いる記号を列挙し、表Bは、結合基についてのものを列挙し、表Cは、分子の左手および右手の末端基についての記号についてのものを列挙する。
表Dは、例示的な分子構造をそれらのそれぞれのコードと共に列挙する。
【0132】
表C:末端基
【化5】
式中、nおよびmは、各々整数であり、3つの点「...」は、この表の他の記号についてのスペースを示す。
【0133】
好ましくは、本発明の液晶媒体は、式Iで表される化合物(1種または2種以上)の他に、以下の表の式で表される化合物の群から選択された1種または2種以上の化合物を含む。
【0139】
表Eは、好ましくは本発明の液晶媒体において用いるキラルドーパントを列挙する。
【0143】
本発明の好ましい態様において、本発明の媒体は、表Eの化合物の群から選択される1種または2種以上の化合物を含む。
表Fは、好ましくは本発明の液晶媒体において用いる安定剤を列挙する。
【0147】
【化17】
注:この表中で、「n」は、1〜12の範囲内の整数を意味する。
【0148】
本発明の好ましい態様において、本発明の媒体は、表Fの化合物の群から選択される1種または2種以上の化合物を含む。
【0149】
本発明の液晶媒体は、好ましくは
− 4種または5種以上、好ましくは6種または7種以上の、表Dの化合物の群から選択される化合物、好ましくは
− 7種または8種以上、好ましくは8種または9種以上の化合物、好ましくは表Dの式の群から選択される3種または4種以上の異なる式で表される化合物
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【
図1】
図1は、本発明の第1の主な態様を示した図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の主な態様の第1の変更を示した図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の主な態様の第2の変更を示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の主な態様の他の変更を示した図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の主な態様の、なお他の変法を示した図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の主な態様を示した図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3の主な態様を示した図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3の主な態様の第1の変更を示した図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3の好ましい態様の第2の変更を示した図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3の主な態様の前に例示した変更の他の変更を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4の主な態様を示した図である。
【
図12a)】
図12a)は、透過における作動についての結果を示した図である。
【
図12b)】
図12b)は、図面12a)において調査した作動のモードを示した図である。
【
図13a)】
図13a)は、反射における作動についての結果を示した図である。
【
図13b)】
図13b)は、図面13a)において調査した作動のモードを示した図である。
【0151】
例
以下の例は、本発明を、いかなる意味においてもそれを限定せずに例示することを意図する。
しかし、それらの組成、構成および物理特性を含む種々の態様は、専門家に極めて良好に例示され、当該特性を、本発明によって達成することができ、特に、当該範囲において、それらを変更することができる。特に、好ましく達成することができる種々の特性の組み合わせを、このように専門家のために良好に定義する。
【0152】
例1
種々の条件下でのバックライトからの照射への曝露の後の試験セル中の典型的な液晶(LC)材料の光安定性を、調査する。曝露前後の電圧保持比(voltage holding ratio)を、各々の試験セルについて測定する。ITO電極を有する試験セルは、6μmのセルギャップを有する。配向層はJSR株式会社、日本国からの厚さ70nmのポリイミドAL-60702のラビングした層であり、それは、それぞれの溶液を回転塗布し、その後200℃にて1時間硬化させることにより調製したものである。試験セルを、LCDの典型的なバックライトシステムにおいて用いる冷陰極蛍光ランプからの光に露光する。試験セルを、商業的に入手可能な種々のフィルターを通して光に曝露し、それは、特定の値、いわゆる遮断波長より短い波長を有する光を遮断する。ここで用いる3つの異なるフィルターの遮断波長(透過の値が5%未満、約数nmの側面の幅であり、典型的には側面の幅は(10±1)nmまたはそれ以下である波長として定義する)は、それぞれ400nm、420nmと435nmである。各々のセルの電圧保持比を、1,000時間の曝露の前後に測定する。測定を、100℃におけるオーブン中で5分後に試験セルに対して行う。各々の調査について、3つの試験セルを用い、それらの平均の結果を示す。
【0153】
表1および2は、それぞれ2種の液晶混合物M−1およびM−2の組成を示す。この調査の結果を、表3に示す。当該結果から、液晶セルを短波長を有する光に曝露した場合に、混合物の電圧保持比が低下するのが明らかである。しかし、液晶セルを、420nmまたはそれ以上の波長を有する光にのみ曝露した場合には、電圧保持比はわずかに悪化するに過ぎず、それはさらに、光の波長が435nmまたはそれ以上である場合には、より影響が少ない。したがって、ほとんどの実用的用途について、LC材料は、それらを420nmまたはそれ以上の波長を有する光にのみ曝露した場合には、液晶セルにおいて、それぞれLCDにおいて十分安定である。
【0154】
表1:混合物M−1の組成および特性
【表1】
【0155】
表2:混合物M−2の組成および特性
【表2】
【0156】
表3:光安定性
【表3】
注:この表中に示す98%およびそれ以上の範囲における結果は、各々、示した第3桁まで有意であり、一方より低い値についての有意さは、示した第2桁まで有意であるに過ぎず、約85%の値でより小さい。
【0157】
例2
液晶試験セルを、以下のようにして製作する。クリーニングし、乾燥したガラス基板を、日産化学工業株式会社、日本国からのポリイミド配向層SE−7492の適切な溶液で1,500rpmにて回転塗布する。基板を、100℃にて3分間予熱し、次に200℃にて1時間硬化させ、その後1方向にラビングする。12.5μmの厚さを有する商業的に入手可能なポリイミド(Kapton Film Hタイプ50H)を、2つの基板の間のスペーサーとして用い、基板を、逆平行ラビング方向で組み立て、ポリイミド粘着テープを用いて固定する。
【0158】
異なる色を有する3つの異なるコレステリック液晶層を、商業的に入手可能なキラルドーパントBDH1281(またMerck KGaA)でドープさせた、Merck KGaA, Germanyから商業的に入手可能な光重合性液晶材料RMM34Cを用いて調製する。3つの異なるコレステリック液晶層の3種の異なる色、即ち青色、緑色および赤色について、RMM34C中のキラルドーパントの濃度を、それぞれ4.63重量%、3.66重量%および3.04重量%に固定する。上記で記載したように、これらの3種の重合可能な混合物の各々1種を、液晶セルに導入する。
【0159】
混合物は、80℃の温度に加熱されたセルを満たし、それにおいて、それらは等方性相にあり、その後0.1℃/分の冷却速度にて25℃に冷却した。フィルムの各々についての選択的反射の波長の範囲を、UV可視スペクトル範囲中のそれらの吸収スペクトルから決定する。それぞれ青色、緑色および赤色を有するフィルムは、それぞれ413nm〜446nm、481nm〜517nmおよび582nm〜624nmの選択的反射の波長の範囲を有する。
【0160】
その後、実験の他のセットにおいて、蛍光色素を、上記で用いた重合可能なコレステリック混合物中に包含させる。用いる色素は、共にシグマアルドリッチジャパン株式会社、日本国からの青色色素である2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンズ−オキサゾリル)チオフェン(BBOT)、緑色色素であるクマリン6およびHayashibara Biochemical Laboratories、日本国から購入した赤色色素であるNK−3590である。これらの色素の各々1種を、そのそれぞれの整合する色のコレステリック液晶混合物中に、即ち、それぞれ青色、緑色および赤色色素について、それぞれのコレステリック液晶混合物に対して0.47重量%、0.44重量%および0.49重量%を導入する。色素を有しない重合可能なコレステリックLC混合物について上記に直接記載したように、色素を含有するこれらの重合可能なLC混合物色素を、各々セル中に満たし、80℃に加熱し、25℃に冷却する。次に、コレステリックLC構造を、UVによる照射への曝露によって開始される重合によって安定化させる。365nmの波長を有するUV放射を用い、曝露の線量は、(2,000±50)mJ/cm
2である。
【0161】
次に、セルを分解し、安定化したフィルムを分離し、それらの光学的特性を調査する。その後、これらのフィルムを各々、電気光学的スイッチング液晶試験セルに取り付け、バックライトをシミュレートする励起のための光を、観測の方向の反対側から導入する。
【0162】
電気光学的スイッチングLCセルとして用いる液晶セルは、垂直配向モードにおいて作動する。それらは、垂直配向を導入するポリイミド層で被覆されたITOのパターン化された電極を有する2つのガラス基板からなる。セルギャップは、4.9μmである。セル中で用いる液晶材料は、0.0649の複屈折(Δn)および−3.1の誘電異方性(Δε)を有するネマティック混合物M−3である。この混合物の組成および物理特性を、以下の表(表4)に示す。
【0163】
表4:混合物M−3の組成および特性
【表4】
【0164】
3つの着色されたコレステリックLCフィルムの各々の1つは、そのそれぞれのコレステリックピッチと整合する波長を有する色素を含む。それらのそれぞれの色素を含む3つの着色されたコレステリックLCフィルムの光学的特性を、以下のように調査する。BDH1281は、右回りのねじれ方向を有するキラルならせんを誘起するキラルドーパントであり、それをここで確認する。あるいはまた、共に株式会社美舘イメージング、日本国からのL円偏光子およびR円偏光子を用いる。L円偏光子は、直線偏光子と4分の1波長板との組み合わせからなり、ここで4分の1波長板の遅軸は、偏光子の吸収軸に対して45°回転しており、一方R円偏光子は、直線の偏光子および4分の1波長板からなり、ここで4分の1波長板の遅軸は、偏光子の吸収軸に対して135°回転している。
【0165】
R円偏光子またはL円偏光子のいずれかを、着色され、染められたコレステリックLCフィルム上に、コレステリックフィルムに面するその4分の1波長板の側で配置する。次に、アセンブリ(積み重ね)を、試料の後側から励起光によって照射し、コレステリックLCフィルムから発せられ、用いる円偏光子(R円偏光子またはL円偏光子のいずれか)を透過する光を、試料平面に対して法線において、輝度計CS−1000(コニカミノルタホールディングス株式会社、日本国)を用いて測定する。試料の光反射を、同一のシステムを用いるが、試料を斜め方向から、励起ランプのスイッチをオンにせずに照射して測定する。365nmの波長を有する放射線での励起についての異なったフィルムについての発光の強度および1mW/cm
2の曝露の強度の結果を、表5に示す。
【0166】
表5:発光の強度
【表5】
注:この表中に示す結果は、各々示す第3桁まで有意である。
【0167】
反射の測定についての結果を、表6に示す。
表6:反射の強度
【表6】
注:この表中に示す結果は、各々示す第3桁まで有意である。
【0168】
反射の測定の場合において、表面からの反射の影響のために、明確な結論は出されない場合がある。しかし、透過、それぞれ発光の測定の場合において、右回りの円偏光を有する光は、青色および緑色に染色されたコレステリックフィルムについての顕著により高い強度を有すると見られ、一方左回りの円偏光した光は、赤色に染色されたコレステリックフィルムについてより強いと見られ、左回りの円偏光を有する光は、より高い強度を有すると見られる。しかし、右回りの円偏光した光と左回りの円偏光した光との間の強度の差異は、さほど大きいわけではなく、したがって染色されたコレステリックLC層から発せられる光は、ほとんど円偏光しない。
【0169】
以下の比較1において議論するように、固定されたセルギャップを有するLCセルを、コレステリック液晶のために用いて、その形態および層の厚さを精密に制御し、等方性相に加熱した後の冷却速度をまた精密に制御する場合には、選択的反射のバンドの長いほうの端部における増強された発光ピークは、くぼみ効果のために明瞭に観測される。
【0170】
例2におけるように分解可能なセルを用いる場合には、くぼみ効果は、セルギャップの不十分な制御のために観測されない。等方性相からコレステリックLC相への冷却速度を、上記で適用した値と比較して5倍に増大させる、即ち0.5℃/分に増大させて、セルの作製のために必要な時間を減少させる場合においても、フィルムの光学特性の有意な変化は認められない。
【0171】
次に、色素を含むコレステリックLCフィルムと組み合わせた電気光学的スイッチングLCセルの光学的特性を決定する。R円偏光子を、垂直配向モードにおいて作動するLCセルに取り付けて、円偏光子の4分の1波長板が、コレステリック液晶フィルムに面して、円偏光した光を直線偏光した光に変換するようにする。したがって、アセンブリの構造は、以下の通りである:バックライトシステム、コレステリック液晶フィルム、R円偏光子(4分の1波長板を含む)、LCスイッチングセルおよび直線偏光子。
【0172】
上記で記載したフィルム自体の光学特性の決定と同様に、ここでLCセルを含むアセンブリを透過する光およびアセンブリから反射される光を共に、輝度計を用いて測定する。
【0173】
電圧がLCセルに印加されない場合には、完全に黒色の状態が達成される。適切な電圧がLCセルに印加される場合には、透過した光の、および反射した光の強度は、共に増大する。したがって、染色されたコレステリック層と組み合わせたセルの作動の透過モードおよび反射モードが共に、LCセルの応答に従って作動することは、明らかである。
【0174】
LCセルに印加される4Vの作動電圧(V
op)についての各々のピクセルの、それぞれ透過光および反射光についての輝度の値を、表7に列挙する。バックライトおよび周囲照明の両方が、LCセルに印加される4Vの作動電圧についてオンである場合の輝度の値もまた、表7に列挙する。
【0175】
当該結果は、バックライトおよび周囲光が共にオンである場合に得られた輝度値が、あるいはまたこれらの2つの光源の一方(バックライトまたは周囲光のいずれか)のみがオンである場合におけるそれぞれの輝度値の合計とほぼ等しいことを明瞭に示す。したがって、本例である例2において製作した、LCセル、円偏光子およびコレステリック液晶フィルムからなるLCDは、透過モードおよび反射モードの両方を同時に利用する。実際に、このLCDを明るい周囲光条件下で、例えば開放された太陽光条件下で観測する場合には、明瞭な可視性を有する明瞭な画像が達成される。特に、直射日光条件下では、バックライトをスイッチオフにした場合であっても、明瞭な画像が表示される。
【0176】
表7:試験セルの性能
【表7】
注:この表中に示す結果は、各々示す第3桁まで有意である。*)計算値;
§)測定値。
【0177】
比較例1
再び、例2にしたがった記載と同様の方法において、LCセルを作製する。しかし、ここで、10μmの直径を有するスペーサーを用いて、染色さられたコレステリック層を安定化するために用いるセルのセルギャップを固定する。基板を、十分な圧力を加える適切な設備を用いて一緒に保持し、一方適切な熱硬化性密封剤を、150℃の温度にて1時間重合させる。この方法によって、得られたセルギャップの改善された制御が可能になる。重合可能なコレステリックLC混合物を、次にLCセルに満たす。これらのLCセルを、80℃の温度に再び加熱し、ここで当該LCは、その等方性相にあり、次に0.1℃/分の冷却速度で25℃に冷却する。得られたコレステリック液晶相を、上記で記載したように365nmの波長を有するUV放射に曝露することによって安定化させ、(2,000±50)mJ/cm
2の線量に曝露する。
【0178】
LCセルの光学特性を、上記の例2にしたがって記載したように決定する。反射下での特性は、例2において得られたものと大幅に異ならない。しかし、透過下、それぞれ発光についての性能は、例2のフィルムのものに対する明白な差異を示す。青色、緑色および赤色の染色されたコレステリック層について、右回りの円偏光した光のみが、鋭く、かつ増強された発光のピークを示す。右回りの円偏光した光について観測されたピーク発光強度は、左回りの円偏光した光のものの2倍強い。良好に制御されたセルギャップを有する染色さられたコレステリックセルにおける発光ピークの強度のこの増強は、すでに上述したくぼみ効果に起因し得る。輝度の絶対値は、本例のセルについてより小さいことが観測され、それについて、くぼみ効果は、例2のフィルムのものと比較して観測される。これは、スペクトル狭小化と呼ばれる効果によって説明され得る。そのようなより狭いスペクトルの結果、比較的小さい輝度値が得られる。したがって、くぼみ効果自体は、それぞれのLCDの性能の改善に関与するとは予期されていない。
【0179】
例3
例2において作製したコレステリックLC層の発光特性を、再び決定するが、ここでバックライトのための源として青色LEDを用いる。用いるLEDは、470nmの波長にて発光ピークを有し、強度は2.9mW/cm
2である。結果を、表8に示す。
【0180】
表8:発光の強度
【表8】
注:この表中に示す結果は、各々示す第3桁まで有意である。
【0181】
極めて強度の発光が各々の色について得られることは、明らかである。緑色または赤色色素のいずれかを含む染色されたコレステリック層について、これは、470nmの励起の波長についてのこれらの色素の高い蛍光効率によって説明され得る。青色色素であるBBOTを含む染色されたコレステリック層についての選択的反射の領域は、470nmの波長を含まない。したがって、当該層は、470nmの波長を有する光と相互作用せず、それはしたがってコレステリックLC(光変換)層を通過する。試料の反射特性は、例2のフィルムのものと同様である。青色LEDを備えたコレステリックLCフィルムが、明るい周囲光条件下での明瞭な可視性を長期間の信頼性と共に有する明るいLCDのためのバックライトシステムとして優れた特性を備えていることが示される。
【0182】
例4
例2において作製したコレステリックLC層の発光特性を、例3におけるように再び決定する。しかし、ここで、400nmの波長において発光ピークを有する青色LEDを、バックライト源として用いる。用いる強度は、ここでは5.3mW/cm
2である。結果を、表9に示す。
【0183】
表9:発光の強度
【表9】
注:この表中に示す結果は、各々示す第3桁まで有意である。
【0184】
したがって、発光は例3におけるものよりも弱いが、尚極めて強度のものが、365nmの波長における源での励起を用いる例2と比較して、すべての色について得られることが、明白に示される。ここで、例4において、例3において達成することができなかった、短い波長を有する青色光が得られることに注意することが重要である。LCDは、そのような濃い青色の表現を必要とするものもあり、例4におけるこのバックライトシステムは好ましい。反射特性は、例2のものと類似している。例3におけるのと同様に、400nmの波長において発光するLEDを備えたコレステリックLCフィルムは、明るい周囲光条件下での明瞭な可視性を長期間の信頼性と共に有する明るいLCDのためのバックライトシステムとしての優れた特性によって特徴づけられることが示される。
【0185】
例5
例2と同様にして、コレステリックフィルムを調製する。しかし、ここで、キラルドーパントBDH1281の量を、4.08重量%に変更し、ペリレンを青色色素として用いる。ペリレン(1.44重量%)を、重合可能なLC混合物に加え、混合物を、PGMEAに溶解し、50重量%の含量を有する溶液を得る。ポリビニルアルコールを、ガラス基板上に回転塗布し、80℃にて30分間焼いた後、基板をラビングする。重合可能なLC混合物の溶液を、ポリビニルアルコール配向層上に回転塗布する。100℃にて3分間乾燥した後、コレステリックLC構造を、窒素流下で365nmの波長および(2,000±50)mJ/cm
2の曝露の線量にてUV放射に曝露することによって安定化させて、コレステリック相を光重合によって安定化させる。
【0186】
得られたフィルムの光学的特性を、例4にしたがって上記で記載したようにして調査する。結果を、表10に示す。
【0187】
表10:発光の強度
【表10】
注:この表中に示す結果は、各々示す第3桁まで有意である。
【0188】
例4のものと比較してより高い輝度が得られ、選択的反射の波長の領域は、450nmに近く、それは、スペクトルの青色領域における反射が例2におけるものよりも見るのが容易であることを意味する。反射特性は、例2とほぼ同一である。このバックライトシステムが明るい周囲光条件下で良好な可視性を有する明るいLCDに極めて良好に適することが、明白に示される。
【0189】
例6
例2と同様にして、コレステリックフィルムを調製する。しかし、ここで、キラルドーパントBDH1281の濃度を、3.66重量%に変更し、クマリン6を緑色色素として用いる。0.44重量%のクマリン6を、反応性LC混合物に加え、混合物を、PGMEAに溶解し、50重量%の含量を有する溶液を得る。例2においてすでに用いたポリイミドSE−7492を、ガラス基板上に回転塗布し、次に100℃にて3分間加熱し、次に200℃にて硬化させ、次に基板をラビングする。重合可能なLC混合物の溶液を、ラビングしたポリイミド配向層上に回転塗布する。100℃にて3分間乾燥した後、コレステリックLC構造を、窒素流下で365nmの波長および(2,000±50)mJ/cm
2の曝露の線量にてUV放射に曝露することによって安定化させて、コレステリック相を光重合によって安定化させる。
【0190】
得られたフィルムを、4分の1波長板ならびに最上部および底部の偏光子を共に有するVAタイプの液晶セルと組み合わせる。バックライトとして、例2に記載したように、365nmの波長を有する放射線の源を用いる。液晶スイッチングセルに、電圧でアドレスする。印加する電圧を、それぞれ0Vから3Vに、および5Vに変化させる。あるいはまた、有利に、同一の有効電圧(「rms」、二乗平均平方根)を有する交流を、セルに印加してもよい。
【0191】
アセンブリの透過を、輝度計CS−1000(コニカミノルタホールディングス株式会社、日本国)を用いて決定し、その後、アセンブリからの反射を、励起ランプをスイッチオンせずに斜め方向から試料を照射する同一のセットのアドレッシング条件下で調査する。透過における作動についての結果を、
図12(a)に示し、一方反射について得られたそれぞれの結果を、
図13(a)に示す。これらの2つの図面12(a)および13(a)において調査した作動のそれぞれのモードを、それぞれの対応する図面12(b)および13(b)に図式的に示す。
【0192】
5Vの作動電圧について、最大ピークは、透過について510.5nmの波長におけるものであり、一方それは、反射について約551.5nmにおけるものである。ピークが透過においてある程度狭く、40.4nm(FWHM、492.5nm〜533nmの範囲内である)の幅を有する一方、それは反射において顕著により広く、66nm(FWHM、523nm〜589nm)の幅を有する。同様の挙動が、3Vの作動電圧について観測される。
【0193】
ここで、最大ピークは、透過について511.5nmの波長におけるものであり、これと共に41.5nm(FWHM、491.5nm〜533nmの範囲内である)の幅であり、一方反射において、ピークの最大は、5Vにおける作動と比較してより短波長に変化する。それはここで、約541nmの波長におけるものである。同時に、ピークの幅は、約101nm(FWHM、515nm〜616nmの範囲内である)に増大する。反射光のスペクトルのスペクトル形状は、基本的に平坦である。それを、用いるキラルドーパントの量によって容易に調整することができる。これらのデータを、以下の表にまとめる。
【0194】
表11:スペクトル特性
【表11】
注:この表中に示す波長についての結果は、各々示す第3桁まで有意である。
【0195】
2つの図面、即ち
図12.a)および13.a)から明らかなように、透過した光の、およびアセンブリから反射した光の両方の強度は、液晶スイッチング層のアドレスされた状態に、明白に追随する。したがって、それぞれのディスプレイ素子は、バックライトでの透過モードにおいて、およびまた反射モードにおける明るい周囲光条件下で、良好に作動可能である。
【0196】
例7
例5と同様にして、コレステリックフィルムを調製するが、異なる青色色素を用いる。
Merck KGaA, Germanyからの二色性色素F357を、例2に記載した液晶混合物M−3中に包含させる。用いる二色性色素の濃度は、3.0%である。あるいはまた、共にMerck KGaA, Germanyからの2種の液晶混合物ZLI−3449−100およびMLC−15600−040の各々1種を、ホスト混合物として用いる。また、これらの2つの場合において、二色性色素の濃度を、3.0%に保持する。2種の追加の液晶ホスト混合物(即ちZLI−3449−100およびMLC−15600−040)のうち、選択されたいくつかの物理特性を、以下の表12に示す。
【0197】
表12:2種の液晶ホスト混合物の選択された物理特性
【表12】
【0198】
本例において、2種の異なる種類のセルを、作製する。それらの3つのタイプはすべて、均一な配向を誘起するポリイミドで被覆され、その後すべての場合においてラビングによって均一な配向のために処理したそれらの2つの基板の各々のものの内側に、パターン化されたITO電極を有する。しかし、2種類のセルは、以下の表にまとめたように、それらの基板のアセンブリにおいて、および/またはそれらのセルギャップにおいて異なる。
【0199】
表13:種々の試験セルの特性
【表13】
【0200】
二色性色素の二色性比および吸収波長の範囲をチェックするために、ホスト混合物ZLI−3449−100中の二色性色素F357の10%の混合物を用いる。この得られた混合物を、セル中に導入し、直線偏光した光についてのその吸収スペクトルを、セルの基板のラビング方向に対して平行に、または垂直に配向した偏光した光の偏光軸の配向について決定する。結果を、以下の表14に示す。当該結果から、二色性色素F357が可視スペクトルの青色領域における吸収を有することは、明らかである。
【0201】
表14:ZLI−3449−100のF357のスペクトル特性
【表14】
【0202】
二色性色素をドープした3種の異なる液晶混合物を、異なるタイプのセルの各々1つの中に注入する。TNタイプのセルを、LCスイッチング層として用い、一方均一な配向を有するセルを用いて、液晶混合物中の二色性色素F357の二色性比および吸収波長範囲をチェックする。
【0203】
次に、青色蛍光色素をドープしたコレステリック液晶層を、例5に記載したのと同様にして調製する。しかし、ここで、株式会社インデコ、日本国を介するExciton Corporation, USAからのクマリン−500を、青色色素として用い、その濃度を、2.74%に固定する。例2および5におけるように、再び用いるキラルドーパントは、BDH1281である。ここで用いるキラルドーパントの濃度は、4.54%である。コレステリック液晶を有するセルを、400nmの波長を有するバイオレット色の光を発するLEDを用いて励起する。
【0204】
色素をドープしたコレステリック液晶層の発光スペクトルを、表15に示す。発光ピークは、約466nmの波長に位置する。最大値は、約26.66・10
−3sr・m
2・nmにおいてである。
【0205】
表15:コレステリックLCセルの発光スペクトル
【表15】
【0206】
表16は、3つの場合についての色素をドープしたコレステリック液晶層の反射スペクトルを示す:それぞれ偏光子を適用しない場合、右回りの円偏光子を適用した場合および左回りの円偏光子を適用した場合である。ここで観測される反射は、明らかに選択的反射である。反射ピークは、すべての場合において約460nmの波長におけるものである。
【0207】
表16:コレステリックLCセルの反射スペクトル
【表16】
【0208】
二色性色素をドープしたMLC−15600−040を有するTNセルを、青色色素クマリン−500をドープしたコレステリック液晶を有するセルの前に配置した場合の、透過における、および反射におけるスペクトルについての結果を、それぞれ表17(透過スペクトル)および18(反射スペクトル)に示す。これらの結果から、増大する電圧を印加することによって透過および反射が共に顕著に増大することが、明らかである。
【0209】
表17:印加した種々の電圧についての、TNセルおよびコレステリックLCセルのアセンブリの発光スペクトル
【表17】
【0210】
表18:印加した種々の電圧についての、TNセルおよびコレステリックLCセルのアセンブリの反射スペクトル
【表18】