(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912076
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】卵スプレッド
(51)【国際特許分類】
A23L 15/00 20160101AFI20160414BHJP
【FI】
A23L1/32 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-259660(P2012-259660)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-103899(P2014-103899A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大橋 重夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴比古
(72)【発明者】
【氏名】滝本 修史
(72)【発明者】
【氏名】川崎 翔太
【審査官】
川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−200122(JP,A)
【文献】
特開平10−174566(JP,A)
【文献】
特開平10−286083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコン酸、米を原料とする醸造酢及び果実を原料とする醸造酢を含有する、卵スプレッド。
【請求項2】
請求項1に記載の卵スプレッドにおいて、
前記グルコン酸及び米を原料とする醸造酢が、米を原料とし、グルコン酸濃度1.5%以上であるグルコン酸高産生醸造酢である、
卵スプレッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は卵風味に優れた卵スプレッドに関する。
【背景技術】
【0002】
卵スプレッド、タルタルソース等の卵スプレッドは、卵風味と酸味が調和して人気があり需要が高い。
【0003】
より濃厚な風味を嗜好する消費者に応えるため、これらの卵スプレッドでは酸味を抑え、卵風味を高めることが必要となっている。消費者が求める卵風味は特に茹卵の卵黄特有の甘いコク味である。しかし、卵の配合量を高めることで解決を図ると、食感等の物性が本来のものと異なってしまう。
【0004】
卵の配合量を高めることなく卵風味を高める方法として、シュクラロースを卵配合食品に配合する方法が特許文献1で提案されているが、卵スプレッドでは卵風味の向上がみられなかった。また、割卵したホール生卵を加熱処理して製した加熱凝固卵を用い、該加熱凝固卵の品温50℃以上の截断物と、酸性水中油型乳化状調味料とを混合処理した後、混合処理を開始してから60分以内に品温を30℃以下とするタマゴサラダの製造方法が特許文献2で提案されている。この方法によりある程度の卵風味の向上がみられたが、更なる卵風味向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−196240号公報
【特許文献2】特開2007−143444号公報
【特許文献3】特許第2537545号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、卵の配合量を高めずとも、卵風味に優れた卵スプレッドを提供するものである。特に、茹卵の卵黄特有の甘いコク味に優れた卵スプレッドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、グルコン酸、米を原料とする醸造酢及び果実を原料とする醸造酢を含有するならば、意外にも、卵風味に優れた卵スプレッドが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)グルコン酸、米を原料とする醸造酢及び果実を原料とする醸造酢を含有する、卵スプレッド、
(2)請求項1に記載の卵スプレッドにおいて、
前記グルコン酸及び米を原料とする醸造酢が、米を原料とし、グルコン酸濃度1.5%以上であるグルコン酸高産生醸造酢である、
卵スプレッド、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、卵風味に優れた卵スプレッドを提供できる。特に、茹卵の卵黄特有の甘いコク味に優れた卵スプレッドを提供できる。
これにより、卵スプレッドやタルタルソース等の卵スプレッド市場の更なる需要拡大が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の卵スプレッドを詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
【0011】
<本発明の特徴>
本発明は、グルコン酸、米を原料とする醸造酢及び果実を原料とする醸造酢を含有することにより、卵風味に優れた卵スプレッドを提供するものである。特に、茹卵の卵黄特有の甘いコク味に優れた卵スプレッドを提供するものである。
【0012】
<卵スプレッド>
本発明の卵スプレッドは、加熱凝固卵白や加熱凝固卵黄等の加熱凝固卵の截断物と酸性水中油型乳化状調味料とを混合した食品であり、サンドウィッチ等のフィリングとして用いられる卵スプレッドの他に、タルタルソースも含まれる。このような本発明の卵スプレッドとしては、使用用途に特に制限はなく、例えば、食パン等に塗り広げて使用するスプレッド、サンドイッチ等のフィリング、コロッケ等の具、各種料理のトッピング等として各種用途に用いられているものが含まれる。また、前記加熱凝固卵の截断物に加えて、野菜等の截断物等を配合したものであってもよい。
【0013】
<グルコン酸>
本発明の卵スプレッドに用いるグルコン酸は、グルコースの1位の炭素を酸化することによって生成するカルボン酸のことであり、一般的に市販されているものであれば、特に限定されない。
【0014】
<卵スプレッドにおけるグルコン酸の含有量>
本発明の卵スプレッドに対するグルコン酸は、0.003〜0.15%含むことができ、さらに0.01〜0.15%含むことができる。グルコン酸の含有量が前記範囲より少ないと、卵風味を感じられない場合がある。一方、グルコン酸の含有量が前記範囲より多いと、含有量に応じた効果が得られない場合がある。
【0015】
<米を原料とする醸造酢>
本発明の卵スプレッドに用いる米を原料とする醸造酢は、米、玄米、又はそれらの加工品(糠、細米、粉米、破砕米など)等の米を少なくとも原料として使用し、通常の方法で製造される醸造酢である。本発明では、原料の一部に米を用いる醸造酢であればいずれの醸造酢であっても良いが、米、小麦、大麦、コーン等の穀物の使用量が醸造酢1Lにつき20g以上である醸造酢が良く、更に、米の使用量が醸造酢1Lにつき20g以上である醸造酢がよい。
また、穀物の総使用量が醸造酢1Lにつき40g以上である穀物酢であると特に良く、穀物酢の中でも原料の穀物に対する米の割合が50%以上、80%以上、95%以上のものがよい。更に穀物酢の中でも米の使用量が、醸造酢1Lにつき40g以上である米酢を用いると特に良い。
本発明では、米を原料とする醸造酢に、上記グルコン酸を予め添加したものを用いることもできる。また、本発明で用いる米を原料とした醸造酢と後述の果実を原料とした醸造酢として、米と果実を予め混合した原料を醸造した酢も用いることができる。
【0016】
<卵スプレッドにおける米を原料とする醸造酢の含有量>
本発明の卵スプレッドに用いる、米を原料とする醸造酢は、0.15〜3%含有することができ、さらに0.4〜2.5%含有することができる。米を原料とする醸造酢の含有量が前記範囲より少ないと、卵風味を感じられない場合がある。一方、米を原料とする醸造酢の含有量が前記範囲より多いと、酸味が増す場合がある。
【0017】
<果実を原料とする醸造酢>
本発明で用いる果実を原料とする醸造酢は、原料として、果実を用いるものであれば良いが、その使用総量が醸造酢1Lにつき果実の搾汁として150g以上の醸造酢が良く、300g以上の果実酢であればさらに良い。代表的な果実酢としてブドウ酢、リンゴ酢が挙げられるが、その他、パインアップル、うめ、レモン、グレープフルーツ、梨、ざくろ等の果実を原料としたものも挙げられる。本発明において、卵スプレッドの卵風味を良好にするためには、特にブドウを原料とする醸造酢を用いるとよく、さらにブドウ酢を用いると特に良い。
また、本発明で用いる果実を原料とした醸造酢と前述の米を原料とした醸造酢として、米と果実を予め混合した原料を醸造した酢も用いることができる。
【0018】
<卵スプレッドにおける果実を原料とする醸造酢の含有量>
本発明で用いる卵スプレッドに用いる果実を原料とする醸造酢は、0.01〜1.5%含むことができ、さらに0.04〜1%含むことができる。果実を原料とする醸造酢の含有量が、前記範囲より少ないと、良好な卵風味を得られ難い場合がある。一方、果実を原料とする醸造酢の含有量が、前記範囲より多いと、酸味が増す場合がある。
【0019】
<卵スプレッドにおけるグルコン酸と米を原料とする醸造酢との含有割合(質量比)>
本発明において、グルコン酸と米を原料とする醸造酢との含有割合は、1:10〜1:100(質量比)とすることができ、さらに1:20〜1:70(質量比)とすることができる。前記含有割合の範囲外であると、卵風味が損なわれる場合がある。
【0020】
<卵スプレッドにおける米を原料とする醸造酢と果実を原料とする醸造酢との含有割合(質量比)>
米を原料とする醸造酢と果実を原料とする醸造酢との含有割合は、1:1〜10:1(質量比)とすることができ、さらに3:1〜10:1(質量比)とすることができる。
すなわち、果実を原料とする醸造酢よりも米を原料とする醸造酢の含有量が多くなるように調製すると良い。前記含有割合より米を原料とする醸造酢が多いと、米特有の香りが目立つ場合がある。一方、前記含有割合より、果実を原料とする醸造酢が多いと、果実特有の香りが目立つ場合がある。
【0021】
<米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢>
本発明の卵スプレッドは、グルコン酸、米を原料とする醸造酢、及び果実を原料とする醸造酢を含有することを特徴とする。特に、本発明では前記グルコン酸及び米を原料とする醸造酢が、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢であると、より卵風味、具体的には茹卵の卵黄特有の甘いコク味に優れるため、良い。なお、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢と共に、グルコン酸及び米を原料とする醸造酢を併用することもできる。
ここで、本発明における米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢とは、米、玄米、又はそれらの加工品等の米を少なくとも原料とした醸造酢のうち、発酵によってグルコン酸を高濃度に産生させるものである。つまり、米を少なくとも原料とし、発酵中に産生されたグルコン酸を含み、その濃度が1.5%以上のものをいう。また、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢におけるグルコン酸は、グルコース含有原料、及び公知の酢酸菌を用いて静置発酵法や通気発酵法等の発酵処理を施す際に産生されるものであり、グルコン酸高産生醸造酢の製造方法は、発酵工程中にグルコン酸が産生されるものであれば、公知の方法を用いることができる。
なお、グルコン酸高産生醸造酢に用いる原料は、グルコン酸濃度が1.5%以上であり、少なくとも米を使用するが、米、小麦、大麦、コーン等の穀物の総使用量が醸造酢1Lにつき20g以上である醸造酢が良く、更に、米の使用量が醸造酢1Lにつき20g以上である醸造酢が良い。
また、グルコン酸高産生醸造酢としては、穀物の総使用量が醸造酢1Lにつき40g以上である穀物酢が良く、穀物酢の中でも原料の穀物に対する米の使用割合が、50%以上、80%以上、95%以上であるとより良い。
更に、グルコン酸高産生醸造酢としては、穀物酢の中でも、食酢品質表示基準の定める米酢であると、特に良い。つまり、米の使用量が醸造酢1Lにつき40g以上である穀物酢である。本発明では、グルコン酸濃度が1.5%以上のグルコン酸高産生醸造酢のうち米酢であるものは、グルコン酸高産生米酢という。
【0022】
<米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢のグルコン酸濃度>
米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢のグルコン酸濃度は、上記のとおり1.5以上である。
また、上限値については、15%以下、10%以下、3%以下とすることができる。
【0023】
<卵スプレッドにおける米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢の含有量>
本発明の卵スプレッドに用いる、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢は、上述のグルコン酸の含有量、及び米を原料とする醸造酢の含有量の範囲であれば、特に限定されるものではないが、0.15〜3%含有することができ、さらに0.4〜2.5%含有することができる。米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢の含有量が前記範囲より少ないと、卵風味を感じられない場合がある。一方、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢の含有量が前記範囲より多いと、酸味が増す場合がある。
【0024】
<卵スプレッドにおける、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢と果実を原料とする醸造酢との含有割合(質量比)>
米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢と果実を原料とする醸造酢との含有割合は、1:1〜10:1(質量比)とすることができ、さらに3:1〜10:1(質量比)とすることができる。前記含有割合より米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢が多いと、米特有の香りが目立つ場合がある。一方、前記含有割合より、果実を原料とする醸造酢が多いと、果実特有の香りが目立つ場合がある。
【0025】
<卵スプレッドの製造方法>
本発明の卵スプレッドの製造方法は、特に限定するものではなく、上記原料(グルコン酸、米を原料とする醸造酢、果実を原料とする醸造酢、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢)を含有するものであれば、いずれの製造方法であってもよい。
本発明の卵スプレッドの製造方法としては、例えば、加熱凝固卵の截断物、酸性水中油型乳化状調味料、グルコン酸、米を原料とする醸造酢、及び果実を原料とする醸造酢を常法により混合して製造する方法が挙げられる。
また、酸性水中油型乳化状調味料の水相原料液に予めグルコン酸、米を原料とする醸造酢、及び果実を原料とする醸造酢を含有させて製した酸性水中油型乳化状調味料を、加熱凝固卵の截断物と常法により混合して製造する方法が挙げられる。
本発明においては、本発明の効果を奏する観点から、酸性水中油型乳化状調味料の水相原料液に予めグルコン酸、米を原料とする醸造酢及び果実を原料とする醸造酢を含有させ製した酸性水中油型乳化状調味料を、加熱凝固卵の截断物と常法により混合して製造する方法が良い。
また、酸性水中油型乳化状調味料の水相原料液に米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢、及び果実を原料とする醸造酢を含有させて製した酸性水中油型乳化状調味料を、加熱凝固卵の截断物と常法により混合して製造する方法が、更に良い。
【0026】
<卵スプレッドに用いる加熱凝固卵の截断物>
本発明において加熱凝固卵の截断物に用いる加熱凝固卵とは、脱殻した茹卵、温泉卵はもちろんのこと、液卵黄若しくは液卵白、又は当該液卵黄若しくは液卵白にその他の食品原料を添加したものを別々に加熱凝固し、該加熱凝固したものを混ぜ合わせたものも含まれる。
【0027】
加熱凝固卵の截断物の截断処理の手段や截断物の形状等に特に制限は無く、例えば、ダイサー等の截断処理機を用い、立方体や直方体の形状に適宜截断条件を調節して截断されたものであればよい。また、前記截断物の大きさは、用途により適宜調節すればよいが、酸性水中油型乳化状調味料と和えた時の卵スプレッドとしての一体感が得られ易いことから、0.1〜30cm
3がよい。
【0028】
<卵スプレッドに用いる酸性水中油型乳化状調味料>
本発明で用いる酸性水中油型乳化状調味料としては、一般的に酸性水中油型乳化状調味料と称されるpHが3〜5の半固体状又は液状の乳化状調味料のことであり、このような酸性水中油型乳化状調味料としては、具体的には、マヨネーズやサラダクリーム等の半固体状ドレッシング、サウザンドレッシングやフレンチドレッシング等の乳化液状ドレッシング等が挙げられる。
酸性水中油型乳化状調味料の製造は、一般的な酸性水中油型乳化状調味料の製造方法に準じて行うことができる。例えば、食酢、砂糖、食塩、各種エキス、増粘剤、清水等を常法に準じて水相原料液を調製した後、該水相原料液と食用油脂とを乳化処理して製造することができる。
【0029】
<加熱凝固卵の截断物と酸性水中油型乳化状調味料との含有割合>
本発明の卵スプレッドにおける加熱凝固卵の截断物と酸性水中油型乳化状調味料の含有割合は、卵スプレッドを用いる用途等により適宜調節すればよいが、卵の風味と酸味のバランスを考慮して、加熱凝固卵の截断物100部に対して、酸性水中油型乳化状調味料を10〜100部とすることができ、さらに15〜90部とすることができる。
【0030】
<卵スプレッドに用いる他の食品原料>
本発明の卵スプレッドには、上述の原料以外に、本発明の効果を損なわない範囲で一般的に卵スプレッドに使用されている原料を適宜選択し用いればよい。具体的には、例えば、クエン酸等の酸味料、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖等の各種調味料、動植物等のエキス類、加工澱粉、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム等の増粘剤、からし粉、胡椒等の香辛料、糖アルコール、オリゴ糖、水飴等の糖類、菜種油、大豆油等の食用油脂、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、玉ねぎ、人参、キュウリ等の具材等が挙げられる。上記他の原料は、酸性水中油型乳化状調味料の水相原料液に混合することができるし、卵スプレッドを製造する際に混合することもできる。
なお、工業製品として保存性を高める必要がある場合には、卵スプレッドの酸度を調整する必要がある。そのためにアルコール醸造酢等の高酸度の醸造酢を適宜使用することができる。
【実施例】
【0031】
以下に本発明の卵スプレッドを実施例及び試験例に基づき詳述する。なお、本発明はこれに限定するものではない。
【0032】
[実施例1]
配合表1に基づき、実施例1の卵スプレッドを以下に説明するように製造した。
【0033】
1.酸性水中油型乳化状調味料の調製
配合表1の食用油以外の原料を用いて酸性水中油型乳化状調味料を製した。つまり、まず、全卵、グルコン酸高産生米酢(グルコン酸濃度2%、醸造酢1Lにつき米の使用量が40g以上)、ブドウ酢(醸造酢1Lにつきブドウの使用量が40g以上)、食塩、清水をミキサーで均一に混合し水相原料液を調製した後、当該水相原料液を撹拌させながら食用油を徐々に注加して粗乳化物を製した。次いで、得られた粗乳化物をコロイドミルで仕上げ乳化することにより酸性水中油型乳化状調味料を製した。
【0034】
2.卵スプレッドの調製
まず、殻付生鶏卵を95℃の湯中で12分間茹でた後、4℃の冷水にて冷却し、殻を剥いて茹卵を得、更に、一辺が約lcmのダイス状に截断することにより加熱凝固卵の截断物を調製した。
次いで、加熱凝固卵の截断物80%と1.で調製した酸性水中油型乳化状調味料20%とを常法に従い混合して、本発明の卵スプレッドを製した。
【0035】
[実施例2]〜[実施例5]、[比較例1]、[比較例2]
下記配合表1の原料を用いて、実施例1の製造方法に準じて、卵スプレッドを製した。
【0036】
[試験例1]
本発明の効果である、卵風味が良好か否かを調べるため、実施例1〜5及び比較例1、2の卵スプレッドを喫食し、下記評価基準に従って、官能評価を行った。結果は表1に示す。
【0037】
[評価基準]
◎:茹卵の卵黄特有の甘いコク味が非常に感じられ、非常に良好な卵風味を呈していた。
○:茹卵の卵黄特有の甘いコク味が感じられ、良好な卵風味を呈していた。
△:茹卵の卵黄特有の甘いコク味が若干感じられ、問題ない程度の卵風味がした。
×:茹卵の卵黄特有の甘いコク味が感じられず、良好な卵風味がしなかった。
【0038】
【表1】
【0039】
表1より、グルコン酸、米を原料とする醸造酢、及び果実を原料とする醸造酢を含む卵スプレッドは、卵風味が良好であることが理解できる(実施例1〜5)。また、酸性水中油型乳化状調味料の水相原料液にグルコン酸、米を原料とする醸造酢、及び果実を原料とする醸造酢を含有させ製した酸性水中油型乳化状調味料を用いた卵スプレッドは、卵風味がより良好で、好ましいことが理解できる(実施例1、3、5)。更に、酸性水中油型乳化状調味料の水相原料液に、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢及び果実酢を含有させ製した酸性水中油型乳化状調味料を用いる卵スプレッドは、特に卵風味に優れており、より好ましいことが理解できる(実施例1及び5)。
一方、米を原料とする醸造酢を含まない場合、及び果実を原料とする醸造酢を含まない場合は、良好な卵風味が得られず、好ましくないことが理解できる(比較例1及び2)。
【0040】
[試験例2]
グルコン酸、米を原料とする醸造酢、及び果実を原料とする醸造酢の含有量、及び含有割合の違いによる、本発明の効果への影響を調べた。具体的には、グルコン酸、米を原料とする醸造酢、果実を原料とする醸造酢の含有量を下記表2に示す量に変更した以外は、実施例3に準じて卵スプレッドを製した。次いで、試験例1に従って、卵スプレッドを喫食し、同様の評価基準で評価した。結果は表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
表2より、グルコン酸:米を原料とする醸造酢の含有割合が1:10〜1:100(質量比)、米を原料とする醸造酢:果実を原料とする醸造酢の含有割合が、1:1〜10:1(質量比)であると、卵風味が良好で好ましいことが理解できる。
【0043】
[試験例3]
米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢と果実を原料とする醸造酢との含有割合(質量比)の違いによる、本発明の効果への影響を調べた。具体的には、グルコン酸高産生米酢(グルコン酸濃度2%、醸造酢1Lにつき米の使用量が40g以上)とブドウ酢(醸造酢1Lにつきブドウ果汁の使用量が300g以上)との含有量を下記表3に示す量に変更した以外は、実施例1に準じて卵スプレッドを製した。次いで、試験例1に従って、卵スプレッドを喫食し、同様の評価基準で評価した。結果は表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表3より、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢と果実を原料とする醸造酢との含有割合が、1:1〜10:1の場合、卵風味が良好であることが理解できる(No.2〜4)。特に、3:1〜10:1の場合に、より好ましい卵風味が得られることが理解できる(実施例1、No.2〜No.4)。
一方、米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢と果実を原料とする醸造酢との含有割合が、1:1より果実を原料とする醸造酢が多い場合、及び10:1より米を原料とするグルコン酸高産生醸造酢が多い場合、卵風味が劣ることが理解できる(No.1及び5)。