(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜13のいずれか一項に記載の1種または2種以上のポリマー、および半導体、電荷輸送、ホールまたは電子輸送、ホール/電子ブロッキング、ホール/電子輸送、導電性、光伝導性または発光特性を有する1種または2種以上の化合物またはポリマーを含む、混合物または混合品。
請求項1〜15のいずれか一項に記載のポリマー、混合物、混合品または処方物の、電荷輸送、半導体、導電性、光伝導性または発光材料としての、光学的、電気光学的、電子的、エレクトロルミネッセンスの、またはフォトルミネッセンスの構成要素またはデバイスにおける、使用。
請求項1〜15のいずれか一項に記載の1種または2種以上のポリマー、混合物、混合品または処方物を含む、光学的、電気光学的または電子的構成要素またはデバイス。
有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、集積回路(IC)、論理回路、キャパシタ、電波認識(RFID)タグ、デバイスまたは部品、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、フラットパネルディスプレイ、ディスプレイのバックライト、有機光起電デバイス(OPV)、太陽電池、レーザーダイオード、光伝導体、光検出器、電子写真装置、電子写真記録装置、有機記憶装置、センサーデバイス、電荷注入層、電荷輸送層またはポリマー発光ダイオード(PLED)中の中間層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、ポリマー電解膜(PEM)、伝導性基板、伝導性パターン、電池における電極材料、整列層、バイオセンサー、バイオチップ、セキュリティマーキング、セキュリティーデバイス、ならびにDNA配列を検出し、識別するための部品またはデバイスからなる群から選択される、請求項17に記載の構成要素またはデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、例1.4のOFETについての、電流−電圧特性(A)、線形移動度(B)および飽和移動度(C)を示す。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明のモノマーおよびポリマーは、合成するのが容易であり、いくつかの有利な特性、例えば低いバンドギャップ、高い電荷担体移動度、有機溶媒への高い溶解性、デバイス製造プロセスのための良好な加工性、高い酸化安定性および電子デバイスにおける長い寿命を示す。
【0022】
さらに、それらは、以下の有利な特性を示す:
i)式Iで表される単位は、縮合し、それ自身がポリマーの骨格内に含有される2個の5員環からなる。式Iで表される単位の予め決められたキノン型バンド構造は、得られるポリマーのキノン型バンド構造を増加させ、したがって、得られるポリマーのバンドギャップを低下させ、これにより、集光能の改善をもたらす。
【0023】
ii)さらなる溶解性を、可溶化基を含有する共単位(co-unit)(アリールおよびヘテロアリールなどのもの)の包含により、ポリマー中に導入することができる。
iii)式Iで表される単位は、より高い電荷担体移動度の形態におけるより良好な電荷輸送特性を導く固体状態での、強いパイ−パイスタッキングを可能にする平面構造を有する。
【0024】
iii)式Iで表される単位上での、特定の位置(3位および6位)への反応的官能性の付加により、立体規則性またはランダムな、化学重合されたホモポリマーおよびコポリマーの調製を可能にするであろう。かかるポリマーを、山本、鈴木またはスティルカップリング重合法を使用して得ることができる。これらの調製方法により、立体規則性ポリマーは、非選択的重合法を使用して合成された立体規則性材料と比較して、固体状態でより高い構造秩序を有するであろう。これは、OFETおよびOPVデバイスにおける用途のための、より高い電荷担体移動度を有するポリマーを導くであろう。
【0025】
iv)式Iで表される単位の両側上のアリールおよびヘテロアリール単位(Ar
1−Ar
2などのもの)の慎重な選択、または適切なコモノマー(単数および複数)での共重合のいずれかによる、電子エネルギー(HOMO/LUMO準位)の付加的な微調整によって、有機光起電用途のための候補材料を得ることができなければならない。
式Iで表される単位、その官能性誘導体、ホモポリマーおよびこーポリマーの合成は、以下にさらに説明されるように、当業者に知られ、および文献に記載された方法に基づいて達成されることができる。
【0026】
本明細書において、用語「ポリマー」は一般的に、構造が実際にまたは概念的に本質的に低い相対分子量の分子から誘導された単位の複数の繰り返しを含む高い相対分子量の分子を意味する(PAC, 1996, 68, 2291)。用語「オリゴマー」は一般的に、構造が実際にまたは概念的に本質的により低い相対分子量の分子から誘導された少数の複数の単位を含む中間的な相対分子量の分子を意味する(PAC, 1996, 68, 2291)。本発明による好ましい意味において、ポリマーは、>1個、好ましくは≧5個の繰り返し単位を有する化合物を意味し、オリゴマーは、>1個および<10個、好ましくは<5個の繰り返し単位を有する化合物を意味する。
【0027】
「繰り返し単位」および「モノマー単位」の用語は、構成的繰り返し単位(CRU)を意味し、それは、反復が規則的な巨大分子、規則的なオリゴマー分子、規則的なブロックまたは規則的な鎖を構成する最小の構成単位である(PAC, 1996, 68, 2291)。
【0028】
「脱離基」の用語は、特定の反応に関与する分子の残余の部分または主要な部分であると考えられるものにおける原子から分離される原子または基(帯電したかまたは帯電していない)を意味する(PAC, 1994, 66, 1134をも参照)。
【0029】
「共役」の用語は、主としてsp
2混成(または任意にまたsp混成)を有するC原子を含む化合物を意味し、それはまた、ヘテロ原子によって置き換えられていてもよい。最も単純な場合において、これは、例えば交互のC−C単結合および二重結合(または三重結合)を有する化合物であるが、また1,3−フェニレンのような単位を有する化合物を含む。「主として」は、これに関連して、共役の中断をもたらし得る自然に(自発的に)生じる欠陥を有する化合物が、尚共役化合物と見なされることを意味する。
【0030】
他に述べない限り、分子量を、数平均分子量M
nまたは重量平均分子量M
Wとして示し、それを、溶離剤溶媒、テトラヒドロフラン、トリクロロメタン(TCM、クロロホルム)、クロロベンゼンまたは1,2,4−トリクロロ−ベンゼンなどにおけるポリスチレン基準に対してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定する。他に述べない限り、1,2,4−トリクロロ−ベンゼンは溶媒として使用される。重合度は、n=M
n/M
Uとして示した数平均重合度を意味し、式中M
nは、数平均分子量であり、M
Uは、単一の繰り返し単位の分子量であり、J. M. G. Cowie, Polymers: Chemistry & Physics of Modern Materials, Blackie, Glasgow, 1991を参照のこと。
【0031】
本明細書中で使用する「カルビル基」の用語は、いかなる非炭素原子をも有しない(例えば−C≡C−)か、または任意に少なくとも1個の非炭素原子、例えばN、O、S、P、Si、Se、As、TeもしくはGeと組み合わされた(例えばカルボニルなど)、少なくとも1個の炭素原子を含む、あらゆる1価の、または多価の有機ラジカル部分を示す。「ヒドロカルビル基」の用語は、1個または2個以上のH原子をさらに含み、任意に1個または2個以上のヘテロ原子、例えばN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeを含むカルビル基を示す。
【0032】
3個または4個以上のC原子の鎖を含むカルビルまたはヒドロカルビル基はまた、直鎖状、分枝状ならびに/またはスピロおよび/もしくは縮合環を含む環状であってもよい。
【0033】
好ましいカルビルおよびヒドロカルビル基は、各々が任意に置換されており、1〜40個、好ましくは1〜25個、極めて好ましくは1〜18個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ、さらに6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有する任意に置換されたアリールまたはアリールオキシ、さらに各々が任意に置換されており、6〜40個、好ましくは7〜40個のC原子を有するアルキルアリールオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシを含み、ここですべてのこれらの基は、好ましくはN、O、S、P、Si、Se、As、TeおよびGeから選択された1個または2個以上のヘテロ原子を任意に含む。
【0034】
カルビルまたはヒドロカルビル基は、飽和の、もしくは不飽和の非環式基、または飽和の、もしくは不飽和の環式基であってもよい。不飽和の非環式または環式基、特にアリール、アルケニルおよびアルキニル基(特にエチニル)が、好ましい。C
1〜C
40カルビルまたはヒドロカルビル基が非環式である場合において、当該基は、直鎖状または分枝状であってもよい。C
1〜C
40カルビルまたはヒドロカルビル基は、例えば以下のものを含む:C
1〜C
40アルキル基、C
1〜C
40アルコキシまたはオキサアルキル基、C
2〜C
40アルケニル基、C
2〜C
40アルキニル基、C
3〜C
40アリル基、C
4〜C
40アルキルジエニル基、C
4〜C
40ポリエニル基、C
6〜C
18アリール基、C
6〜C
40アルキルアリール基、C
6〜C
40アリールアルキル基、C
4〜C
40シクロアルキル基、C
4〜C
40シクロアルケニル基など。先の基の中で好ましいのは、それぞれC
1〜C
20アルキル基、C
2〜C
20アルケニル基、C
2〜C
20アルキニル基、C
3〜C
20アリル基、C
4〜C
20アルキルジエニル基、C
6〜C
12アリール基およびC
4〜C
20ポリエニル基である。また含まれるのは、炭素原子を有する基とヘテロ原子を有する基との組み合わせ、例えばシリル基で置換されたアルキニル基、好ましくはエチニル、好ましくはトリアルキルシリル基である。
【0035】
アリールおよびヘテロアリールは、好ましくは、4〜30個の環C原子を有し、また縮合環を含んでいてもよく、任意に1個または2個以上の基Lで置換されている単環式、二環式または三環式の芳香族またはヘテロ芳香族基を示し、ここでLは、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
0R
00、−C(=O)X
0、−C(=O)R
0、−NH
2、−NR
0R
00、−SH、−SR
0、−SO
3H、−SO
2R
0、−OH、−NO
2、−CF
3、−SF
5、任意に置換され、任意に1個もしくは2個以上のヘテロ原子を含む、1〜40個のC原子を有する、任意に置換されたシリル、カルビルまたはヒドロカルビル、あるいは本明細書において示された意味を有するR
0、R
0、X
0、PおよびSpである、P−Spから選択される。
【0036】
極めて好ましい置換基Lは、ハロゲン、最も好ましくはF、または1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、チオアルキル、フルオロアルキルおよびフルオロアルコキシまたは2〜12個のC原子を有するアルケニル、アルキニルから選択される。
【0037】
特に好ましいアリールおよびヘテロアリール基は、フェニル、ここでさらに、1個または2個以上のCH基は、Nによって置き換えられていてもよく、ナフタレン、チオフェン、セレノフェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、フルオレンおよびオキサゾールであり、それらのすべては、非置換であるか、上に定義したLで単置換または多置換され得る。極めて好ましい環は、ピロール、好ましくはN−ピロール、ピリジン、好ましくは2−または3−ピリジン、ピリミジン、チオフェン、好ましくは2−チオフェン、セレノフェン、好ましくは2−セレノフェン、チエノ[3,2−b]チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾールおよびオキサジアゾール、特に好ましくはチオフェン−2−イル、5−置換チオフェン−2−イルまたはピリジン−3−イルから選択され、それらのすべては、非置換であるか、上に定義したLで単置換または多置換され得る。
【0038】
アルキルまたはアルコキシラジカル、すなわちここで末端CH
2基が−O−によって置き換えられているものは、直鎖状または分枝状であり得る。それは、好ましくは直鎖状であり、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、したがって好ましくは例えばエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシまたはオクトキシ、さらにメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0039】
1つまたは2つ以上のCH
2基が−CH=CH−によって置き換えられているアルケニル基は、直鎖状または分枝状であり得る。それは、好ましくは直鎖状であり、2〜10個のC原子を有し、したがって好ましくはビニル、プロパ−1−またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0040】
特に好ましいアルケニル基は、C
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニル、C
5〜C
7−4−アルケニル、C
6〜C
7−5−アルケニルおよびC
7−6−アルケニル、特にC
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニルおよびC
5〜C
7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基についての例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までのC原子を有する基が、一般的に好ましい。
【0041】
オキサアルキル基、すなわちここで1個のCH
2基が−O−によって置き換えられているものは、好ましくは、例えば直鎖状2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−オキサデシルである。オキサアルキル、すなわちここで1つのCH
2基が−O−によって置き換えられているものは、好ましくは、例えば直鎖状2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−オキサデシルである。
【0042】
1個のCH
2基が−O−によって置き換えられており、1個が−C(O)−によって置き換えられているアルキル基において、これらのラジカルは、好ましくは隣接している。したがって、これらのラジカルは、一緒にカルボニルオキシ基−C(O)−O−またはオキシカルボニル基−O−C(O)−を形成する。好ましくは、この基は直鎖状であり、2〜6個のC原子を有する。それは、したがって好ましくはアセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシ−カルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0043】
2個または3個以上のCH
2基が−O−および/または−C(O)O−によって置き換えられているアルキル基は、直鎖状または分枝状であり得る。それは、好ましくは直鎖状であり、3〜12個のC原子を有する。したがって、それは、好ましくはビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0044】
チオアルキル基、すなわちここで1個のCH
2基が−S−によって置き換えられているものは、好ましくは直鎖状チオメチル(−SCH
3)、1−チオエチル(−SCH
2CH
3)、1−チオプロピル(=−SCH
2CH
2CH
3)、1−(チオブチル)、1−(チオペンチル)、1−(チオヘキシル)、1−(チオヘプチル)、1−(チオオクチル)、1−(チオノニル)、1−(チオデシル)、1−(チオウンデシル)または1−(チオドデシル)であり、ここで好ましくはsp
2混成ビニル炭素原子に隣接しているCH
2基は、置き換えられている。
【0045】
フルオロアルキル基は、好ましくは、式中iが1〜15の整数である直鎖状パーフルオロアルキルC
iF
2i+1、特にCF
3、C
2F
5、C
3F
7、C
4F
9、C
5F
11、C
6F
13、C
7F
15またはC
8F
17、極めて好ましくはC
6F
13である。
【0046】
前述のアルキル、アルコキシ、アルケニル、オキサアルキル、チオアルキル、カルボニルおよびカルボニルオキシ基は、アキラルな、またはキラルな基であり得る。特に好ましいキラルな基は、例えば2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチル−バレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサ−ヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。極めて好ましいのは、2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシである。
【0047】
好ましいアキラルな分枝状基は、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、tert.ブチル、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0048】
本発明の他の好ましい態様において、R
1は、1〜30個のC原子を有する第一、第二または第三級アルキルまたはアルコキシから選択され、ここで1個または2個以上のH原子は、任意にF、または任意にアルキル化もしくはアルコキシル化されており、4〜30個の環原子を有するアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールオキシによって置き換えられている。このタイプの極めて好ましい基は、以下の式からなる群から選択される。
【化4】
【0049】
式中、「ALK」は、1〜20個、好ましくは1〜12個のC原子、第三級基の場合においては極めて好ましくは1〜9個のC原子を有する、任意にフッ素化された、好ましくは直鎖状のアルキルまたはアルコキシを示し、点線は、これらの基が結合している環への結合を示す。これらの基中で特に好ましいのは、すべてのALK従属基が同一であるものである。
−CY
1=CY
2−は、好ましくは−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
【0050】
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはI、好ましくはF、ClまたはBrである。
−CO−、−C(=O)−および−C(O)−は、カルボニル基、すなわち
【化5】
を示す。
【0051】
ポリマーはまた、重合性であるかまたは架橋性の反応性基で置換されていてもよく、それは、任意にポリマーを生成するプロセスの間保護されている。このタイプの特定の好ましいポリマーは、R
1がP−Spを示す式Iで表されるものである。これらのポリマーは、半導体または電荷輸送材料として特に有用である。その理由は、それらが、例えばポリマーを半導体部品のための薄膜に加工している間またはその後のin situでの重合によって、基Pを介して架橋して、高い電荷担体移動度ならびに高い熱的、機械的および化学的安定性を有する架橋したポリマーフィルムを生成することができるからである。
【0052】
好ましくは、重合性であるかまたは架橋性の基Pは、CH
2=CW
1−C(O)−O−、CH
2=CW
1−C(O)−、
【化6】
CH
2=CW
2−(O)
k1−、CW
1=CH−C(O)−(O)
k3−、CW
1=CH−C(O)−NH−、CH
2=CW
1−C(O)−NH−、CH
3−CH=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−OC(O)−、(CH
2=CH−CH
2)
2CH−O−C(O)−、(CH
2=CH)
2CH−O−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−C(O)−、HO−CW
2W
3−、HS−CW
2W
3−、HW
2N−、HO−CW
2W
3−NH−、CH
2=CH−(C(O)−O)
k1−Phe−(O)
k2−、CH
2=CH−(C(O))
k1−Phe−(O)
k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW
4W
5W
6Si−から選択され、
【0053】
W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCH
3であり、W
2およびW
3は、互いに独立してHまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W
4、W
5およびW
6は、互いに独立してCl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、W
7およびW
8は、互いに独立してH、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルであり、Pheは、上に定義した1個または2個以上の基Lによって任意に置換されている1,4−フェニレンであり、k
1、k
2およびk
3は、互いに独立して0または1であり、k
3は好ましくは1であり、k
4は1〜10の整数である。
【0054】
あるいはまた、Pは、本発明のプロセスのために記載した条件の下で非反応性であるこれらの基の保護された誘導体である。好適な保護基は、通常の専門家に知られており、文献、例えばGreen, ‘‘Protective Groups in Organic Synthesis’’, John Wiley and Sons, New York (1981)に記載されており、例えばアセタールまたはケタールである。
【0055】
特に好ましい基Pは、CH
2=CH−C(O)−O−、CH
2=C(CH
3)−C(O)−O−、CH
2=CF−C(O)−O−、CH
2=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−O−C(O)−、(CH
2=CH)
2CH−O−および
【化7】
またはその保護された誘導体である。さらなる好ましい基Pは、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシ基からなる群から、極めて好ましくはアクリレートまたはメタクリレート基から選択される。
【0056】
基Pの重合を、通常の専門家に知られており、文献、例えばD. J. Broer; G. Challa; G. N. Mol, Macromol. Chem, 1991, 192, 59に記載されている方法によって行うことができる。
【0057】
「スペーサー基」の用語は、従来技術において知られており、好適なスペーサー基Spは、通常の専門家に知られている(例えばPure Appl. Chem. 73(5), 888 (2001)を参照)。スペーサー基Spは、好ましくは式Sp’−X’で表され、したがってP−Sp−はP−Sp’−X’−であり、ここで
【0058】
Sp’は、非置換であるか、またはF、Cl、Br、IもしくはCNによって単置換もしくは多置換されている、30個までのC原子を有するアルキレンであり、また1個または2個以上の隣接していないCH
2基が、各場合において互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR
0−、−SiR
0R
00−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−OC(O)−O−、−S−C(O)−、−C(O)−S−、−CH=CH−または−C≡C−によって、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置き換えられていることが可能であり、
【0059】
X’は、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−O−C(O)O−、−C(O)−NR
0−、−NR
0−C(O)−、−NR
0−C(O)−NR
00−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
1=CY
2−、−C≡C−、−CH=CH−C(O)O−、−OC(O)−CH=CH−または単結合であり、
【0060】
R
0およびR
00は、互いに独立してHまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
Y
1およびY
2は、互いに独立してH、F、ClまたはCNである。
X’は、好ましくは−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−
、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
1=CY
2−、−C≡C−または単結合、特に−O−、−S−、−C≡C−、−CY
1=CY
2−または単結合である。他の好ましい態様において、X’は、共役系を形成することができる基、例えば−C=C−もしくは−CY
1=CY
2−、または単結合である。
【0061】
典型的な基Sp’は、例えば−(CH
2)
p−、−(CH
2CH
2O)
q−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−S−CH
2CH
2−または−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−または−(SiR
0R
00−O)
p−であり、pは2〜12の整数であり、qは1〜3の整数であり、R
0およびR
00は上に示した意味を有する。
【0062】
好ましい基Sp’は、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0063】
好ましくは、基R
1は、1〜35個のC原子を有する、直鎖状、分枝状または環状アルキルから選択され、ここで、1個または2個以上の隣接していないC原子が、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−CR
0=R
00−または−C≡C−によって任意に置き換えられ、およびここで、1個または2個以上のH原子が、F、Cl、Br、IまたはCNによって任意に置き換えられているか、あるいは非置換であるかもしくは1個または2個以上の非芳香族性基Lにより置換された、4〜30個の環原子を有するアリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルまたはヘテロアリールオキシカルボニルを示す。
【0064】
本発明の好ましいポリマーは、1個または2個以上の式I1:
【化8】
式中、
Uは、式Iで表される単位であり、好ましくは、式Ia〜Idで表される単位から選択され、
Ar
1、Ar
2、Ar
3は、各出現において同一であるかまたは異なり、互いに独立して、好ましくは5〜30個の環原子を有する、アリールまたはヘテロアリールであり、任意に、好ましくは1個または2個以上の基R
1により、置換され、
【0065】
R
1は、各出現において同一であるかまたは異なり、F、Br、Cl、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
0R
00、−C(O)X
0、−C(O)R
0、−NH
2、−NR
0R
00、−SH、−SR
0、−SO
3H、−SO
2R
0、−OH、−NO
2、−CF
3、−SF
5、任意に置換され、任意に1個もしくは2個以上のヘテロ原子を含む、1〜40個のC原子を有する、任意に置換されたシリル、カルビルまたはヒドロカルビル、あるいはP−Spであり、
R
0およびR
00は、互いに独立して、Hまたは任意に置換されたC
1〜
40カルビルもしくはヒドロカルビルであり、
【0066】
Pは、重合可能なまたは架橋可能な基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
X
0は、ハロゲン、好ましくは、F、ClまたはBrであり、
a、b、cおよびdは、各出現において同一であるかまたは異なり、0、1または2であり、ここで、少なくとも1個の繰り返し単位bは、1である、
で表される繰り返し単位を含有する。
【0067】
本発明のさらに好ましいポリマーは、式IまたはI1で表される単位に加え、任意に置換された、単環式または多環式アリールまたはヘテロアリール基から選択される、1個または2個以上のさらなる繰り返し単位を含有する。
【0068】
これらのさらなる繰り返し単位は、好ましくは、式II
【化9】
式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a、b、cおよびdは、式I1において定義したとおりであり、Mは、任意に、本明細書において定義される1個または2個以上の基R
1により置換された、5〜30個の環原子を有する、アリールまたはヘテロアリール基であり、好ましくは、電子受容体特性を有するアリールまたはヘテロアリール基から選択される、
で表されるものである。
【0069】
本発明の共役ポリマーは、好ましくは、式III:
【化10】
【0070】
式中、
Aは、式IもしくはI1またはその好ましい従属式で表される単位であり、
Bは、任意に置換された、好ましくは式IIで表されるものから選択された、1個または2個以上のアリールまたはヘテロアリール基を含む単位であり、
xは、>0および≦1であり、
yは、≧0および<1であり、
x+yは、1であり、および
nは、>1の整数である、
で表されるものから選択される。
【0071】
式IIIで表される好ましいポリマーは、式IIIa
【化11】
式中、U、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a、b、cおよびdは、式I1において定義したとおりであり、nは、式IIIにおいて定義したとおりであり、ここで、ポリマー中の個別の繰り返し単位[(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]は、互いに同一であるかまたは異なるものであり得る、
で表されるものから選択される。
【0072】
式IIIで表されるさらに好ましいポリマーは、式IIIb
【化12】
式中、U、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a、b、cおよびdは、式I1において定義したとおりであり、Mは、式IIにおいて定義したとおりであり、x、yおよびnは、式IIIにおいて定義したとおりである、
から選択される。
【0073】
式IIIで表される好ましいポリマーは、式IV
【化13】
式中、A、B、x、yおよびnは、式IIIにおいて定義したとおりであり、R
2およびR
3は、互いに独立して、R
1の意味の1個、好ましくは、F、BrまたはClを有し、あるいはH、−CH
2Cl、−CHO、−CH=CH
2、−SiR’R’’R’’’、−SnR’R’’R’’’、−BR’R’’、−B(OR’)(OR’’)、−B(OH)
2またはP−Spを示し、式中、PおよびSpは、上記で定義したとおりであり、R’、R’’およびR’’’は、互いに独立して、上記で定義したR
0の意味の1個を有し、R’、R’’およびR’’’の2個は、それらが結合しているヘテロ原子と一緒になって環を形成してもよい、
から選択される。
【0074】
式IVで表される好ましいポリマーは、式IVaおよびIVb
【化14】
式中、U、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a、b、cおよびdは、式I1において定義したとおりであり、Mは、式IIにおいて定義したとおりであり、x、yおよびnは、式IIIにおいて定義したとおりであり、ならびにR
2およびR
3は式IVにおいて定義したとおりである、
で表されるものから選択される。
【0075】
本発明のポリマーにおいて、繰り返し単位nの総数は、好ましくは、2〜10,000である。前述のnの下限および上限のあらゆる組み合わせを含めて、好ましくは≧5、極めて好ましくは≧10、最も好ましくは≧50、および好ましくは≦500、極めて好ましくは≦1,000、最も好ましくは≦2,000である。
【0076】
本発明のポリマーは、ホモポリマーならびにコポリマー、例えば統計またはランダムコポリマー、交互コポリマーおよびブロックコポリマー、ならびにその組み合わせを含む。
【0077】
式IIIもしくはIVまたはそれらの従属式により表されるポリマーにおいて、xは、単位Aのモル画分を示し、yは、単位Bのモル画分を示し、nは、単位AおよびBの重合度または総数を示す。これらの式には、AおよびBのブロックコポリマー、AおよびBのランダムまたは統計コポリマーおよび交互コポリマーが含まれ、xが、>0およびyが0である場合についてのAのホモポリマーと同様である。
【0078】
よって、本発明のポリマーにおいて、個別の繰り返し単位を、ポリマーが、同一のおよび/または異なる繰り返し単位を含み得るように、互いに独立して選択することができる。よって、ポリマーには、
− 統計またはランダムコポリマー、例えば、−Ar
1−U−U−Ar
2−U−Ar
3−Ar
1−Ar
2−Ar
3−M−などのモノマー配列を伴うもの、
− 単位(Ar
1−U−Ar
2−Ar
3)および単位(Ar
1−M−Ar
2−Ar
3)で表される統計または交互コポリマー、
【0079】
− 交互コポリマー、例えば、−Ar
1−U−Ar
1−U−Ar
1−U−、−Ar
1−U−Ar
2−Ar
1−U−Ar
2−または−Ar
1−U−Ar
2−Ar
3−Ar
1−U−Ar
2−Ar
3などの配列を伴うもの、これらは、それぞれ繰り返し単位(Ar
1−U)、(Ar
1−U−Ar
2)および(Ar
1−U−Ar
2−Ar
3)のホモポリマーとしても捉えることができ、あるいは−(Ar
1−U−Ar
2)−(Ar
1−U)−(Ar
1−U−Ar
2)−(Ar
1−U)−などの配列を伴うもの、および
− ブロックコポリマー、例えば、−Ar
1−Ar
1−U−U−U−U−Ar
2−Ar
2−Ar
2−Ar
3−Ar
3−Ar
3−Ar
3(Ar
1、U、Ar
2およびAr
3が繰り返し単位と捉えられる場合である)などの配列を伴うもの、あるいは−(Ar
1−U)−(Ar
1−U)−(Ar
1−U)−(Ar
1−U−Ar
2)−(Ar
1−U−Ar
2)−(Ar
1−U−Ar
2)など(例えば、(Ar
1−U)および(Ar
1−U−Ar
2)が繰り返し単位と捉えられる場合である)の配列を伴うもの、
【0080】
ここで、基Ar
1、U、Ar
2およびAr
3は、一緒になって、共役系を形成し、およびここで、さらに、1より多く出現する基(例えば、配列−Ar
1−Ar
1−Ar
1−における、各基Ar
1)は、互いに同一または異なり得る、
の例などのホモポリマーおよびコポリマーが含まれる。
【0081】
特に、好ましいのは、同一の繰り返し単位からなる、式(Ar
1−U)
n、(Ar
1−U−Ar
2)
n、(Ar
1−U−Ar
3)
n、(Ar
1−U−Ar
2−Ar
3)
nで表されるポリマーである。
【0082】
さらに好ましいのは、以下の式
【化15】
式中、U、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a、b、cおよびdは、式I1において定義したとおりであり、Mは、式IIにおいて定義したとおりであり、x、yおよびnは、式IIIにおいて定義したとおりであり、ここで、これらのポリマーは、交互またはランダムコポリマーであり得る、
で表されるコポリマーである。
【0083】
本発明の別の側面は、式V
【化16】
式中、U、Ar
1、Ar
2、R
2およびR
3は、式I1およびIVで表される意味を、または本明細書において記載するとおりの好ましい意味を有する、
で表されるモノマーに関する。
【0084】
特に好ましいのは、式Vで表されるモノマーであって、ここで、R
2およびR
3は、好ましくは、互いに独立して、Cl、Br、I、O−トシラート、O−トリフラート、O−メシラート、O−ノナフラート、−SiMe
2F、−SiMeF
2、−O−SO
2Z
1、−B(OZ
2)
2、−CZ
3=C(Z
3)
2、−C≡CHおよび−Sn(Z
4)
3からなる群から選択され、ここで、Z
1〜4は、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、その各々が、任意に置換され、2個のZ
2はまた、環式基を形成してもよい。
【0085】
式I、I1、II、II、IV、Vおよびそれらの従属式で表される、好ましい繰り返し単位、モノマーおよびポリマーは、好ましい態様の以下の:
− yは、≧0および≦1であり、
− b=d=1およびa=c=0、好ましくは、全ての繰り返し単位において、
− a=b=c=d=1、好ましくは、全ての繰り返し単位において、
− a=b=d=1およびc=0、好ましくは、全ての繰り返し単位において、
− a=b=c=1およびd=0、好ましくは、全ての繰り返し単位において、
− a=c=2、b=1およびd=0、好ましくは、全ての繰り返し単位において、
− a=c=2およびb=d=1、好ましくは、全ての繰り返し単位において、
【0086】
− Ar
1およびAr
2は、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、フラン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、またはセレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジイルからなる群から選択され、それらの全ては非置換であるか、または好ましくは、本明細書において定義されるとおりのR
1で、一置換または多置換され、
【0087】
− Ar
3は、1,4−フェニレン、2,3−ジシアノ−1,4−フェニレン、2,5−ジシアノ、2,3−ジフルロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラフルオロ、3,4−ジフルオロチオフェン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、フラン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル、ベンゾ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2,7−ジイル、2,2−ジチオフェン、2,2−ジセレノフェン、ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール−5,5−ジイル、ジチエノ[3,2−b;2’,3’−d]ピロール−5,5−ジイル、4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、インダセノ[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェン−2,7−ジイル、
【0088】
ベンゾ[1’’,2’’:4,5;4’’,5’’:4’,5’]ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)−2,7−ジイル、フェナントロ[1,10,9,8−c,d,e,f,g]カルバゾール−2,7−ジイル、ジヒドロベンゾ[def]カルバゾール−2,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]セレナジアゾール−4,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]オキサジアゾール−4,7−ジイル、2H−ベンゾトリアゾール−4,7−ジイル、キノキサリン−5,8−ジイル、チエノ[3,4−b]ピラジン−2,5−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−4,6−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−6,4−ジイル、チエノ[2,1,3]チアジアゾール−2,5−ジイル、ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン−3,6−ジイル、または[1,3]チアゾロ[5,4−d][1,3]チアゾール−2,5−ジイル、チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン−1,3−ジイル、4−オキサ−1,8−ジチア−as−インダセン−2,7−ジイル、ベンゾ[c]クロメン−3,8−ジイルからなる群から選択され、それらの全ては非置換であるか、または好ましくは本明細書において定義されるとおりのR
1で、一置換または多置換され、
【0089】
− Mは、1,4−フェニレン、2,3−ジシアノ−1,4−フェニレン、2,5−ジシアノ、2,3−ジフルロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラフルオロ、3,4−ジフルオロチオフェン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、フラン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、
【0090】
セレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル、ベンゾ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−2,7−ジイル、2,2−ジチオフェン、2,2−ジセレノフェン、ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール−5,5−ジイル、ジチエノ[3,2−b;2’,3’−d]ピロール−5,5−ジイル、4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル、カルバゾール−2,7−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、インダセノ[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェン−2,7−ジイル、ベンゾ[1’’,2’’:4,5;4’’,5’’:4’,5’]ビス(シロロ[3,2−b:3’,2’−b’]チオフェン)−2,7−ジイル、フェナントロ[1,10,9,8−c,d,e,f,g]カルバゾール−2,7−ジイル、ジヒドロベンゾ[def]カルバゾール−2,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル、
【0091】
ベンゾ[2,1,3]セレナジアゾール−4,7−ジイル、ベンゾ[2,1,3]オキサジアゾール−4,7−ジイル、2H−ベンゾトリアゾール−4,7−ジイル、キノキサリン−5,8−ジイル、チエノ[3,4−b]ピラジン−2,5−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−4,6−ジイル、チエノ[3,4−b]チオフェン−6,4−ジイル、チエノ[2,1,3]チアジアゾール−2,5−ジイル、ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン−3,6−ジイル、または[1,3]チアゾロ[5,4−d][1,3]チアゾール−2,5−ジイル、チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン−1,3−ジイル、4−オキサ−1,8−ジチア−as−インダセン−2,7−ジイル、ベンゾ[c]クロメン−3,8−ジイルからなる群から選択され、それらの全ては非置換であるか、または好ましくは本明細書において定義されるとおりのR
1で、一置換または多置換され、
【0092】
− nは、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、極めて好ましくは少なくとも50であり、2,000まで、好ましくは500までであり、
− M
wは、少なくとも5,000、好ましくは少なくとも8,000、極めて好ましくは少なくとも10,000であり、好ましくは300,000まで、極めて好ましくは100,000までであり、
− R
1は、1〜30個のC原子を有する、第一級アルキルまたはアルコキシ、3〜30個のC原子を有する、第二級アルキルまたはアルコキシ、および4〜30個のC原子を有する、第三級アルキルまたはアルコキシからなる群から選択され、ここで、これらの全ての基において、1個または2個以上のH原子は、任意にFにより置き換えられ、
【0093】
− R
1は、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシからなる群から選択され、その各々は、任意にアルキル化またはアルコキシ化され、4〜30個の環原子を有し、
【0094】
− R
1は、F、Cl、Br、I、CN、R
4、−C(O)−R
4、−C(O)−O−R
4、または−O−C(O)−R
4であり、ここで、R
4は、1〜30個のC原子を有する、直鎖状、分枝状または環状アルキルであり、ここで、1個または2個以上の隣接していないC原子は、任意に、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−CR
0=CR
0−または−C≡C−によって置き換えられ、ここで、1個または2個以上のH原子は、任意に、F、Cl、Br、IまたはCNにより置き換えられ、あるいはR
1は、4〜30個の環原子を有する、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシであり、これらは、非置換であるか、または1個または2個以上のハロゲン原子により、もしくは上記で定義したとおりの1個または2個以上の基R
4、−C(O)−R
4、−C(O)−O−R
4、もしくは−O−C(O)−R
4により置換され、
【0095】
− R
4は、1〜30個のC原子を、極めて好ましくは1〜15個のC原子を有する第一級アルキル、3〜30個のC原子を有する第二級アルキル、または4〜30個のC原子を有する第三級アルキルであり、ここで、これらの全ての基において、1個または2個以上のH原子は、任意に、Fにより置き換えられ、
− R
0およびR
00は、HまたはC
1〜C
10アルキルから選択され、
【0096】
− R
2およびR
3は、H、ハロゲン、−CH
2Cl、−CHO、−CH=CH
2−SiR’R’’R’’’、−SnR’R’’R’’’、−BR’R’’、−B(OR’)(OR’’)、−B(OH)
2、P−Sp、C
1〜C
20−アルキル、C
1〜C
20−アルコキシ、C
2〜C
20−アルケニル、C
1〜C
20−フルオロアルキルおよび任意に、置換されたアリールまたはヘテロアリールからなる群から選択され、
【0097】
− R
2およびR
3は、好ましくは互いに独立して、Cl、Br、I、O−トシラート、O−トリフラート、O−メシラート、O−ノナフラート、−SiMe
2F、−SiMeF
2、−O−SO
2Z
1、−B(OZ
2)
2、−CZ
3=C(Z
4)
2、−C≡CHおよび−Sn(Z
4)
3からなる群から選択され、ここで、Z
1〜4は、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、その各々が、任意に置換され、2個のZ
2はまた、環式基を形成してもよく、極めて好ましくはBrである、
リストから選択される。
【0098】
式IIIで表される好ましいポリマーは、以下の式:
【化17】
【0099】
【化18】
【0100】
【化19】
【0101】
【化20】
【0102】
【化21】
【0103】
【化22】
【0104】
式中、n、xおよびyは、式IIIにおいて示された意味の1個または本明細書において示された好ましい意味の1個を有し、R、R’、R’’、R’’’、R’’’’、R’’’’’、R’’’’’’、R’’’’’’’およびR’’’’’’’’は、各出現において同一であるかまたは異なり、互いに独立して、Hを示すか、または式IIにおいて示されたR
1の意味の1個または本明細書において示されたR
1の好ましい意味の1個を有し
からなる群から選択される。
【0105】
式III1〜III26において、R、R’、R’’、R’’’、R’’’’、R’’’’’、R’’’’’’、R’’’’’’’およびR’’’’’’’’は、Hとは異なる場合には、好ましくは、1〜30個のC原子を有する、第一級アルキルまたはアルコキシ、3〜30個のC原子を有する、第二級アルキルまたはアルコキシ、および4〜30個のC原子を有する、第三級アルキルまたはアルコキシからなる群から選択され、ここで、これらの全ての基において、1個または2個以上のH原子は、任意にFにより置き換えられている。
【0106】
式IIIで表されるさらに好ましいポリマーは、式
R
2−chain−R
3
式中、「chain」は、上記の式III1〜III26から選択されたポリマー鎖であり、R
2およびR
3は、式IVにおいて示した意味の1個または本明細書において示した好ましい意味の1個を有する、
で表されるものから選択される。
【0107】
本発明のポリマーを、当業者に知られており、文献に記載されている方法に従って、またはそれと同様にして合成することができる。他の調製方法を、例から採用することができる。例えば、それらを、アリール−アリールカップリング反応、例えば山本カップリング、鈴木カップリング、スティルカップリング、薗頭カップリング、ヘックカップリングまたはバックウォルドカップリングによって好適に調製することができる。鈴木カップリング、スティルカップリングおよび山本カップリングが、特に好ましい。
【0108】
重合させてポリマーの繰り返し単位を形成するモノマーを、当業者に知られている方法に従って調製することができる。
好ましくは、ポリマーを、式Iaで表されるモノマーまたは本明細書中に記載したその好ましい態様から調製する。
【0109】
本発明の他の側面は、式Iで表される1個もしくは2個以上の同一であるかもしくは異なるモノマー単位または式Iaで表されるモノマーを、互いに、および/または1種もしくは2種以上のコモノマーと、重合反応において、好ましくはアリール−アリールカップリング反応においてカップリングさせることによる、ポリマーを調製する方法である。
【0110】
好適であり、好ましいコモノマーは、式
R
2−Ar
3−R
3
式中、R
2およびR
3は、式IVの意味の1個または本明細書中に示した好ましい意味の1個を有し、Ar
3は、式IIの意味の1個、または本明細書中に示した好ましい意味の1個を有する、
で表されるものである。
【0111】
重合のための好ましい方法は、C−CカップリングまたはC−Nカップリングをもたらすもの、例えば、例えばWO 00/53656に記載されている鈴木重合、例えばT. Yamamoto et al., Progress in Polymer Science 1993, 17, 1153-1205またはWO 2004/022626 A1に記載されている山本重合、およびスティルカップリングである。例えば、直線状重合体を山本重合によって合成する場合には、2個の反応性ハロゲン化物基R
2およびR
3を有する上に記載したモノマーを、好ましくは使用する。直線状重合体を鈴木重合によって合成する場合には、好ましくは上に記載したモノマーを使用し、ここで少なくとも1個の反応性基R
2またはR
3は、ボロン酸またはボロン酸誘導体基である。
【0112】
鈴木重合を使用して、ホモポリマー、ならびに統計、交互およびブロックランダムコポリマーを調製してもよい。統計またはブロックコポリマーを、例えば式Vで表され、ここで反応性基R
2およびR
3の一方がハロゲンであり、他方の反応性基がボロン酸またはボロン酸誘導体基である上記のモノマーから調製することができる。統計、交互およびブロックコポリマーの合成は、例えばWO 03/048225 A2またはWO 2005/014688 A2に詳細に記載されている。
【0113】
鈴木重合は、Pd(0)錯体またはPd(II)塩を使用する。好ましいPd(0)錯体は、少なくとも1個のホスフィン配位子を保有するもの、例えばPd(Ph
3P)
4である。他の好ましいホスフィン配位子は、トリス(オルト−トリル)ホスフィン、すなわちPd(o−Tol)
4である。好ましいPd(II)塩は、酢酸パラジウム、すなわちPd(OAc)
2を含む。鈴木重合を、塩基、例えば炭酸ナトリウム、リン酸カリウムまたは有機塩基、例えばテトラエチルアンモニウムカーボネートの存在下で行う。山本重合は、Ni(0)錯体、例えばビス(1,5−シクロオクタジエニル)ニッケル(0)を使用する。
【0114】
上に記載したハロゲンの代替として、式−O−SO
2Z
1で表される脱離基を使用することができ、ここでZ
1は上に記載したとおりである。そのような脱離基の特定の例は、トシラート、メシラートおよびトリフラートである。
式I、I1、II、III、IVおよびVで表される、繰り返し単位、モノマーおよびポリマーの特に好適で好ましい合成方法を、以下に示す合成スキーム中で図解し、ここで、Ar
1、Ar
2およびAr
3は、式IIにおいて定義したとおりである。
【0115】
3,6−ジブロモ−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジオンおよび3,6−ジヨード−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジオンが、Guenther, Erhard; Huenig, Siegfried. Chemische Berichte 1992, 125, 1235-41において記載されてきた。3,6−ジブロモ−フロ[3,2−b]フラン−2,5−ジオンが、Stachel, Hans-Dietrich; Jungkenn, Michael; Koser-Gnoss, Christiane; Poschenrieder, Hermann; Redlin, Jutta. Liebigs Annalen der Chemie 1994, 961-4において記載されてきた。代替的に、対称または非対称な3,6−ジアリール−フロ[3,2−b]フラン−2,5−ジオン核の一般的調製が、例えば、US 3,780,064において記載されてきた。
【0116】
チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジオン核のさらなる感応化のための合成スキームを、スキーム1および2において示し、ここで、Xは、ハロゲン、例えばヨウ素または臭素などであり、あるいはXは、スルホナート、例えばトリファートまたはノナフラートなどである。対応するフロ[3,2−b]フラン−2,5−ジオン核を、これと同様に官能化させることができる。
【0117】
【化23】
【0118】
チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジオンの共重合のための合成スキームを、スキーム3および4において示す。フロ[3,2−b]フラン−2,5−ジオンの対応するコポリマーを、これと同様に調製することができる。
【0119】
【化24】
【0120】
本明細書において記載したモノマーおよびポリマーの調製の新規な方法は、本発明の別の側面である。
本発明のポリマーをまた、混合物またはポリマー混合品において、例えばモノマー化合物と一緒に、または電荷輸送、半導体、導電性、光伝導性および/または発光半導体特性を有する他のポリマーと一緒に、または例えばOLED装置において中間層もしくは電荷遮断層として使用するための正孔遮断もしくは電子遮断特性を有するポリマーと共に使用することができる。
【0121】
したがって、本発明の他の観点は、前述の特性の1つまたは2つ以上を有する本発明の1種または2種以上のポリマーおよび1種または2種以上のさらなるポリマーを含むポリマー混合品に関する。これらの混合品を、従来技術に記載されており、当業者に知られている慣用の方法によって調製することができる。典型的には、ポリマーを、互いに混合するかまたは好適な溶媒に溶解し、溶液を合わせる。
【0122】
本発明の他の側面は、本明細書中に記載した1種または2種以上のポリマー、混合物またはポリマー混合品および1種または2種以上の有機溶媒を含む処方物に関する。
【0123】
好ましい溶媒は、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エーテルおよびその混合物である。使用することができる付加的な溶媒は、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ペンチルベンゼン、メシチレン、クメン、シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、デカリン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾトリフルオリド、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロ−メチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、
【0124】
4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、N,N−ジメチルアニリン、安息香酸エチル、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、N−メチルピロリジノン、3−フルオロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ジオキサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロピリジン、
【0125】
トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロトルエン、4−イソプロピルビフェニル、フェニルエーテル、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレンまたはo−、m−およびp−異性体の混合物を含む。比較的低い極性を有する溶媒が、一般的に好ましい。インクジェット印刷のために、高い沸点を有する溶媒および溶媒混合物が、好ましい。スピンコーティングのために、アルキル化ベンゼン、例えばキシレンおよびトルエンが、好ましい。
【0126】
特に好ましい溶媒の例は、限定されずにジクロロメタン、トリクロロメタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、メシチレンおよび/またはその混合物を含む。
【0127】
ポリマーの溶液中の濃度は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。任意に、当該溶液はまた、例えばWO 2005/055248 A1に記載されているように、レオロジー特性を調整するための1種または2種以上の結合剤を含む。
【0128】
適切な混合および熟成の後に、溶液を、以下のカテゴリーの1つとして評価する:完全な溶液、境界的な溶液または不溶物。等高線を描画して、溶解性と不溶性とを分割する溶解度パラメーター−水素結合限界の外形を描く。溶解性領域内にある「完全な」溶媒を、例えば’’Crowley, J.D., Teague, G.S. Jr and Lowe, J.W. Jr., Journal of Paint Technology, 38, No 496, 296 (1966)’’に公表されている文献値から選択することができる。溶媒混合品をまた使用してもよく、’’Solvents, W.H.Ellis, Federation of Societies for Coatings Technology, p9-10, 1986’’に記載されているように同定することができる。少なくとも1種の真溶媒を混合品中に有するのが望ましいが、そのような手順によって、本発明の両方のポリマーを溶解する「非」溶媒の混合品がもたらされ得る。
【0129】
本発明のポリマーをまた、本明細書中に記載したデバイス中のパターン形成したOSC層において使用することができる。現代のマイクロエレクトロニクスの用途のために、小さい構造またはパターンを生成して、コスト(より大きいデバイス/単位面積)および電力消費を低下させることが、一般的に望ましい。本発明のポリマーを含む薄層のパターン形成を、例えばフォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィーまたはレーザーパターニング(laser patterning)によって行うことができる。
【0130】
電子または電気光学的デバイスにおいて薄層として使用するために、本発明のポリマー、ポリマー混合品または処方物を、任意の好適な方法によって堆積させてもよい。デバイスの液体コーティングは、真空蒸着手法よりも望ましい。溶液堆積法が、特に好ましい。本発明の処方物によって、多数の液体コーティング手法の使用が可能になる。
【0131】
好ましい堆積手法は、限定されずに浸漬コーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、文字プレス印刷(letter-press printing)、スクリーン印刷、ドクターブレードコーティング、ローラー印刷、逆ローラー印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷(web printing)、スプレーコーティング(spray coating)、はけ塗りまたはパッド印刷を含む。インクジェット印刷は、それによって高解像度層およびデバイスを製造することが可能になるので、特に好ましい。
【0132】
本発明の選択された処方物を作成済みのデバイス基板に、インクジェット印刷またはマイクロディスペンシングによって適用してもよい。好ましくは、産業用圧電型印字ヘッド、例えば、しかし限定されずにAprion、日立工機、InkJet Technology、On Target Technology、Picojet、Spectra、Trident、Xaarによって供給されているものを使用して、有機半導体層を基板に適用してもよい。さらに、準工業ヘッド、例えばブラザー、エプソン、コニカ、セイコーインスツル、東芝TECによって製造されているものまたは単一ノズルマイクロディスペンサー、例えばMicrodropおよびMicrofabによって生産されているものを、使用してもよい。
【0133】
インクジェット印刷またはマイクロディスペンシングによって適用するために、ポリマーを、先ず好適な溶媒に溶解しなければならない。溶媒は、上に述べた要件を満たさなければならず、選択した印字ヘッドに対していかなる有害な効果をも有してはならない。さらに、溶媒は、>100℃、好ましくは>140℃およびより好ましくは>150℃の沸点を有して、印字ヘッドの内側で乾燥する溶液によって引き起こされた操作性の問題を防止しなければならない。上記で述べた溶媒とは別に、好適な溶媒は、置換および非置換のキシレン誘導体、ジ−C
1〜2−アルキルホルムアミド、置換および非置換アニソールおよび他のフェノールエーテル誘導体、置換複素環式化合物、例えば置換ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジノン、置換および非置換N,N−ジ−C
1〜2−アルキルアニリンおよび他のフッ素化または塩素化芳香族化合物を含む。
【0134】
本発明のポリマーをインクジェット印刷によって堆積させるための好ましい溶媒は、1つまたは2つ以上の置換基によって置換されており、ここで当該1つまたは2つ以上の置換基中の炭素原子の総数が少なくとも3であるベンゼン環を有するベンゼン誘導体を含む。例えば、ベンゼン誘導体は、プロピル基または3つのメチル基で置換されていてもよく、いずれの場合においても、合計で少なくとも3個の炭素原子がある。そのような溶媒によって、ポリマーを有する溶媒を含むインクジェット流体が生成することが可能になり、それによって、噴霧の間のジェットの目詰まりおよび部品の分離が低減または防止される。
【0135】
溶媒(単数または複数)は、例の以下のリストから選択されたものを含んでもよい:ドデシルベンゼン、1−メチル−4−tert−ブチルベンゼン、テルピネオールリモネン、イソズレン(isodurene)、テルピノレン、シメン、ジエチルベンゼン。溶媒は溶媒混合物であり得、それは2種または3種以上の溶媒の組み合わせであり、各溶媒は好ましくは>100℃、より好ましくは>140℃の沸点を有する。そのような溶媒(単数または複数)はまた、堆積した層におけるフィルム形成を増強し、層中の欠陥を低減する。
【0136】
インクジェット流体(それは溶媒、結合剤および半導体化合物の混合物である)は、好ましくは20℃で1〜100mPa・s、より好ましくは1〜50mPa・sおよび最も好ましくは1〜30mPa・sの粘度を有する。
【0137】
本発明のポリマーまたは処方物はさらに、例えば界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤(hydrophobing agent)、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、反応性または非反応性であり得る希釈剤、補助剤、着色剤、染料または顔料、感光剤、安定剤、ナノ粒子または阻害剤から選択された1種または2種以上のさらなる構成成分または添加剤を含むことができる。
【0138】
本発明のポリマーは、光学的、電気光学的、電子的、エレクトロルミネセントまたはフォトルミネセント部品またはデバイスにおける電荷輸送、半導体、導電性、光伝導性または発光材料(light mitting material)として有用である。これらのデバイスにおいて、本発明のポリマーを、典型的には薄層またはフィルムとして適用する。
【0139】
したがって、本発明はまた、電子デバイスにおける半導体ポリマー、ポリマー混合品、処方物または層の使用を提供する。当該処方物を、様々なデバイスおよび機器における高移動度の半導体材料として使用してもよい。当該処方物を、例えば半導体層またはフィルムの形態で使用してもよい。したがって、他の側面において、本発明は、電子デバイスにおいて使用するための半導体層を提供し、当該層は、本発明のポリマー、ポリマー混合品または処方物を含む。層またはフィルムは、約30ミクロン未満であり得る。様々な電子デバイス用途のために、厚さは、厚さ約1ミクロン未満であり得る。当該層を、例えば電子デバイスの部分上に、前述の溶液コーティングまたは印刷手法のいずれかによって堆積させてもよい。
【0140】
本発明はさらに、本発明のポリマー、ポリマー混合品、処方物または有機半導体層を含む電子デバイスを提供する。特に好ましいデバイスは、OFET、TFT、IC、論理回路、キャパシタ、RFIDタグ、OLED、OLET、OPED、OPV、太陽電池、レーザーダイオード、光伝導体、光検出器、電子写真装置、電子写真記録装置、有機記憶装置、センサーデバイス、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、伝導性基板および伝導性パターンである。
【0141】
特に好ましい電子デバイスは、OFET、OLEDおよびOPVデバイス、特にバルクヘテロ接合(bulk heterojunction)(BHJ)OPVデバイスである。OFETにおいて、例えば、ドレインとソースとの間の活性な半導体チャネルは、本発明の層を含んでもよい。他の例として、OLEDデバイスにおいて、電荷(正孔または電子)注入または輸送層は、本発明の層を含んでもよい。
【0142】
OPVデバイスにおいて使用するために、本発明のポリマーを、好ましくはp型(電子供与)半導体およびn型(電子受容)半導体を含む(comprise)かまたは含有し(contain)、より好ましくは本質的にそれからなり、極めて好ましくは専らそれからなる処方物中で使用する。p型半導体を、本発明のポリマーによって構成する。n型半導体は、無機物質、例えば酸化亜鉛もしくはセレン化カドミウム、または有機物質、例えばフラーレン誘導体、例えば、例えばG. Yu, J. Gao, J.C. Hummelen, F. Wudl, A.J. Heeger, Science 1995、第270巻、p. 1789 ffに開示されている「PCBM」もしくは「C
60PCBM」としても知られており、例えば(6,6)−フェニル−酪酸メチルエステル誘導体化されたメタノC
60フラーレンのようなフラーレン誘導体、または、例えばC
70フラーレン基を有する構造的に類似した化合物(C
70PCBM)、またはポリマーであり得る(例えばCoakley, K. M.およびMcGehee, M. D. Chem. Mater. 2004, 16, 4533を参照)。
【0143】
【化25】
このタイプの好ましい材料は、本発明のポリマーの、C
60もしくはC
70フラーレンまたは修飾フラーレン、例えばPCBMとの混合品または混合物である。好ましくは、ポリマー:フラーレンの比率は、重量比で2:1〜1:2、より好ましくは重量比で1.2:1〜1:1.2、最も好ましくは重量比で1:1である。配合された混合物について、任意のアニーリングステップが、混合化された形態およびしたがってOPVデバイス性能を最適化するために必要であり得る。
【0144】
OPVデバイスは、例えば文献から知られている任意のタイプであり得る[例えばWaldauf et al., Appl. Phys. Lett. 89, 233517 (2006)を参照]。
本発明の第1の好ましいOPVデバイスは、以下のものを含む:
− 一方が透明である、低い仕事関数の電極(11)(例えば金属、例えばアルミニウム)および高い仕事関数の電極(12)(例えばITO)、
− 好ましくはOSC材料から選択され、電極(11、12)間に位置する正孔輸送材料および電子輸送材料を含む層(13)(また「活性層」と称される);当該活性層は、例えば二重層もしくは2つの別個の層またはp型およびn型半導体の混合品もしくは混合物として存在することができ、バルクヘテロ接合(BHJ)を形成する(例えばCoakley, K. M.およびMcGehee, M. D. Chem. Mater. 2004, 16, 4533を参照)、
【0145】
− 例えばPEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート))の混合品を含み、活性層(13)と高い仕事関数の電極(12)との間に位置して、高い仕事関数の電極の仕事関数を修正して、正孔についての抵抗接点を提供する、任意の導電性ポリマー層(14)、
− 電子についての抵抗接点を提供するための、活性層(13)に面する低い仕事関数の電極(11)の側の任意のコーティング(15)(例えばLiFの)。
【0146】
本発明の第2の好ましいOPVデバイスは、逆OPVデバイスであり、以下のものを含む:
− 一方が透明である、低い仕事関数の電極(21)(例えば金属、例えば金)および高い仕事関数の電極(22)(例えばITO)、
− 正孔輸送材料および電子輸送材料を含み、好ましくはOSC材料から選択され、電極(21、22)間に位置する層(23)(また「活性層」と称される);当該活性層は、例えば二重層もしくは2つの別個の層またはp型およびn型半導体の混合品もしくは混合物として存在することができ、BHJを形成する、
【0147】
− 例えばPEDOT:PSSの混合品を含み、活性層(23)と低い仕事関数の電極(21)との間に位置して、電子についての抵抗接点を提供する、任意の導電性ポリマー層(24)、
− 正孔についての抵抗接点を提供するための、活性層(23)に面する高い仕事関数の電極(22)の側の任意のコーティング(25)(例えばTiOxの)。
【0148】
本発明のOPVデバイスにおいて、p型およびn型半導体材料を、好ましくは、上で記載したように、材料、例えばポリマー/フラーレン系から選択する。二重層が混合品である場合には、任意のアニーリングステップが、デバイス性能を最適化するために必要であり得る。
【0149】
本発明の化合物、処方物および層はまた、OFETにおいて半導体チャネルとして使用するのに適している。したがって、本発明はまた、ゲート電極、絶縁(またはゲート絶縁体)層、ソース電極、ドレイン電極および、ソース電極とドレイン電極とを接続する有機半導体チャネルを含むOFETであって、有機半導体チャネルが、本発明のポリマー、ポリマー混合品、処方物または有機半導体層を含む、前記OFETを提供する。OFETの他の特徴は、当業者に周知である。
【0150】
OSC材料がゲート誘電体とドレインおよびソース電極との間に薄膜として配置されているOFETは、一般的に知られており、例えばUS 5,892,244、US 5,998,804、US 6,723,394および背景の章において引用されている参考文献に記載されている。利点、例えば本発明の化合物の可溶特性を使用した低コスト生産およびしたがって大きい表面の加工性により、これらのFETの好ましい用途は、例えば集積回路工学、TFTディスプレイおよびセキュリティー用途である。
【0151】
OFETデバイス中のゲート、ソースおよびドレイン電極ならびに絶縁および半導体層を、任意の順序で配置してもよく、ただしソースおよびドレイン電極をゲート電極から絶縁層によって分離させ、ゲート電極および半導体層は共に、絶縁層と接触しており、ソース電極およびドレイン電極は共に、半導体層と接触している。
【0152】
本発明のOFETデバイスは、好ましくは以下のものを含む:
− ソース電極、
− ドレイン電極、
− ゲート電極、
− 半導体層、
− 1つまたは2つ以上のゲート絶縁体層、
− 任意に基板。
ここで半導体層は、好ましくは、本明細書中に記載したポリマー、ポリマー混合品または処方物を含む。
【0153】
OFETデバイスは、最上部のゲートデバイスまたは底部のゲートデバイスであり得る。OFETデバイスの好適な構造および製造方法は、当業者に知られており、文献、例えばUS 2007/0102696 A1に記載されている。
【0154】
ゲート絶縁体層は、好ましくはフルオロポリマー、例えば商業的に入手できるCytop 809M(登録商標)またはCytop 107M(登録商標)(旭硝子から)を含む。好ましくは、ゲート絶縁体層を、例えばスピンコーティング、ドクターブレーディング、ワイヤー棒コーティング(wire bar coating)、噴霧もしくは浸漬コーティングまたは他の既知の方法によって、絶縁体材料および1個または2個以上のフッ素原子を有する1種または2種以上の溶媒(フルオロ溶媒(fluorosolvent))、好ましくはパーフルオロ溶媒(perfluorosolvent)を含む処方物から堆積させる。好適なパーフルオロ溶媒は、例えばFC75(登録商標)(Acrosから入手可能、カタログ番号12380)である。他の好適なフルオロポリマーおよびフルオロ溶媒は、従来技術において知られており、例えばパーフルオロポリマーTeflon AF(登録商標)1600もしくは2400(DuPontから)またはFluoropel(登録商標)(Cytonixから)またはパーフルオロ溶媒FC 43(登録商標)(Acros、番号12377)である。特に好ましいのは、例えばUS 2007/0102696 A1またはUS 7,095,044に開示されているように、1.0〜5.0、極めて好ましくは1.8〜4.0の低い誘電率(または誘電定数)を有する有機誘電材料(「low k材料」)である。
【0155】
セキュリティー用途において、本発明の半導性材料を有するOFETおよび他のデバイス、例えばトランジスタまたはダイオードを、RFIDタグまたはセキュリティーマーキングのために使用して、有価証券、例えば銀行券、クレジットカードまたは身分証明書、国家のID文書、免許証または金銭的価値を有する任意の製品、例えば切手、チケット、株式、小切手などを確証し、偽造を防止することができる。
【0156】
あるいはまた、本発明の材料を、OLEDにおいて、例えばフラットパネルディスプレイ用途におけるアクティブディスプレイ材料として、またはフラットパネルディスプレイ、例えば液晶ディスプレイのバックライトとして使用することができる。一般的なOLEDを、多層構造を使用して実現する。発光層は、一般的に1つまたは2つ以上の電子輸送および/または正孔輸送層の間にはさまれている。電気的電圧を印加することによって、電荷担体としての電子および正孔は、発光相の方向に移動し、ここでそれらの再結合によって、発光層中に含まれるルモフォア(lumophor)単位の励起およびしたがってルミネセンスがもたらされる。
本発明の化合物、材料およびフィルムを、それらの電気的および/または光学的特性に対応して、電荷輸送層の1つもしくは2つ以上において、および/または発光層において使用してもよい。
【0157】
さらに、本発明の化合物、材料およびフィルムがそれら自体エレクトロルミネセント特性を示すかまたはエレクトロルミネセント基もしくは化合物を含む場合には、発光層内でのそれらの使用は、特に有利である。OLEDにおいて使用するのに適しているモノマー、オリゴマーおよびポリマー化合物または材料の選択、特徴づけおよび加工は、当業者によって一般的に知られている。例えばMeerholz, Synthetic Materials, 111-112, 2000, 31-34, Alcala, J. Appl. Phys., 88, 2000, 7124-7128およびそこに引用されている文献を参照。
【0158】
他の使用において、本発明の材料、特にフォトルミネセント特性を示すものを、例えばEP 0 889 350 A1に、またはC. Weder et al., Science, 279, 1998, 835-837によって記載されているように、ディスプレイデバイスにおいて光源の材料として使用してもよい。
【0159】
本発明のさらなる側面は、本発明の化合物の酸化形態および還元形態の両方に関する。電子の損失または獲得のいずれかの結果、高い伝導性を有する高度に非局在化されたイオン形態の生成がもたらされる。これは、一般的なドーパントへの接触で生じ得る。ドーピングの好適なドーパントおよび方法は、例えばEP 0 528 662、US 5,198,153またはWO 96/21659から当業者に知られている。
【0160】
ドーピングプロセスは、典型的には半導体材料を酸化還元反応において酸化剤または還元剤で処理して、材料中に非局在化されたイオン中心を形成し、対応する対イオンは、適用されたドーパントから誘導されることを意味する。好適なドーピング方法は、例えばドーピング蒸気への大気圧における、または減圧における曝露、ドーパントを含む溶液中での電気化学的ドーピング、ドーパントを半導体材料と接触させて熱的に拡散させること、およびドーパントの半導体材料中へのイオン注入を含む。
【0161】
電子を担体として使用する場合には、好適なドーパントは、例えばハロゲン(例えばI
2、Cl
2、Br
2、ICl、ICl
3、IBrおよびIF)、ルイス酸(例えばPF
5、AsF
5、SbF
5、BF
3、BCl
3、SbCl
5、BBr
3およびSO
3)、プロトン酸、有機酸またはアミノ酸(例えばHF、HCl、HNO
3、H
2SO
4、HClO
4、FSO
3HおよびClSO
3H)、遷移金属化合物(例えばFeCl
3、FeOCl、Fe(ClO
4)
3、Fe(4−CH
3C
6H
4SO
3)
3、TiCl
4、ZrCl
4、HfCl
4、NbF
5、NbCl
5、TaCl
5、MoF
5、MoCl
5、WF
5、WCl
6、UF
6およびLnCl
3(ここでLnはランタノイドである)、アニオン(例えばCl
−、Br
−、I
−、I
3−、HSO
4−、SO
42−、NO
3−、ClO
4−、BF
4−、PF
6−、AsF
6−、SbF
6−、FeCl
4−、Fe(CN)
63−および様々なスルホン酸のアニオン、例えばアリール−SO
3−である。正孔を担体として使用する場合には、ドーパントの例は、カチオン(例えばH
+、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+およびCs
+)、アルカリ金属(例えばLi、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ土類金属(例えばCa、SrおよびBa)、O
2、XeOF
4、(NO
2+)(SbF
6−)、(NO
2+)(SbCl
6−)、(NO
2+)(BF
4−)、AgClO
4、H
2IrCl
6、La(NO
3)
3・6H
2O、FSO
2OOSO
2F、Eu、アセチルコリン、R
4N
+(Rはアルキル基である)、R
4P
+(Rはアルキル基である)、R
6As
+(Rはアルキル基である)およびR
3S
+(Rはアルキル基である)である。
【0162】
本発明の化合物の伝導性形態を、OLED用途における電荷注入層およびITO平坦化層、フラットパネルディスプレイのためのフィルムおよびタッチスクリーン、帯電防止フィルム、印刷された伝導性基板、電子的用途、例えば印刷回路板およびコンデンサーにおけるパターンまたは区域を含むが、これらに限定されない用途における有機「金属」として使用することができる。
【0163】
本発明の化合物および処方物はまた、例えばKoller et al., Nature Photonics 2008(2008年9月28日にオンラインで公表された)に記載されているように、有機プラスモン発光ダイオード(OPED)において使用するのに好適であり得る。
【0164】
他の使用において、本発明の材料を、例えばUS 2003/0021913に記載されているように、LCDまたはOLEDデバイスにおける整列層において、または整列層として、単独でまたは他の材料と一緒に使用することができる。本発明の電荷輸送化合物の使用によって、整列層の電気伝導率を増大させることができる。LCDにおいて使用した場合には、この増大した電気伝導率によって、切り替え可能なLCDセルにおける悪影響の残留dc効果を低減させ、画像固着(image sticking)を抑制させるか、または、例えば強誘電体LCDにおいては、強誘電体LCの自発的な分極電荷の切り替えによって発生した残留電荷を低減させることができる。
【0165】
整列層上に提供された発光材料を含むOLEDデバイスにおいて使用した場合には、この増大した電気伝導率によって、発光材料のエレクトロルミネセンスを増強させることができる。メソゲン性または液晶特性を有する本発明の化合物または材料は、上に記載したように配向した異方性フィルムを形成することができ、それは、前記異方性フィルム上に提供された液晶媒体における整列を誘発または増強するための整列層として特に有用である。本発明の材料をまた、US 2003/0021913に記載されているように、光配向層において、または光配向層として使用するための光異性体化可能な(photoisomerisable)化合物および/または発色団と組み合わせてもよい。
【0166】
他の使用において、本発明の材料、特にそれらの水溶性誘導体(例えば極性もしくはイオン性側基を有する)またはイオン的にドープした形態を、DNA配列を検出し、識別するための化学的センサーまたは材料として使用することができる。そのような使用は、例えばL. Chen, D. W. McBranch, H. Wang, R. Helgeson, F. WudlおよびD. G. Whitten, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1999, 96, 12287;D. Wang, X. Gong, P. S. Heeger, F. Rininsland, G. C. BazanおよびA. J. Heeger, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2002, 99, 49;N. DiCesare, M. R. Pinot, K. S. SchanzeおよびJ. R. Lakowicz, Langmuir 2002, 18, 7785;D. T. McQuade, A. E. Pullen, T. M. Swager, Chem. Rev. 2000, 100, 2537に記載されている。
【0167】
文脈が他に明白に示さない限り、本明細書中で使用した用語の複数形は、本明細書中で単数形を含むものと解釈するべきであり、逆もまた同様である。
本明細書の記載および特許請求の範囲の全体にわたって、「含む(comprise)」および「含有する(contain)」の語ならびに例えば当該語の変化形、例えば「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、「含むがこれらには限定されない」を意味し、他の構成成分を除外することを意図しない(および除外しない)。
【0168】
本発明の先の態様に対する変法を、尚本発明の範囲内にある一方で、なすことができることが、認識される。本明細書中に開示した各特徴は、他に述べない限り同一であるか、同等であるかまたは同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられ得る。したがって、他に述べない限り、開示した各特徴は、同等であるかまたは同様の特徴の包括的な一連のもののみの1つの例である。
【0169】
本明細書中に開示したすべての特徴を、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除き、あらゆる組み合わせにおいて組み合わせてもよい。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明のすべての観点に適用可能であり、あらゆる組み合わせにおいて使用され得る。同様に、本質的でない組み合わせにおいて記載した特徴を、別個に(組み合わせにおいてではなく)使用してもよい。
【0170】
上に記載した特徴の、特に好ましい態様の多くが、独立して進歩性を有し、本発明の態様の一部であるに過ぎないわけではないことが、認識される。独立した保護が、これらの特徴について、目下クレームされているあらゆる発明に加えて、またはその代替として求められ得る。
【0171】
本発明をここで、以下の例への参照によってより詳細に記載し、それは例示的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定しない。
【0172】
例1
1.1 3,6−ビス−(3−オクチル−チオフェン−2−イル)−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジオン
【化26】
【0173】
3,6−ジヨード−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジオン(1.000g;2.370mmol)、トリブチル−(3−オクチル−チオフェン−2−イル)−スタンナン(Bras, Jerome; Guillerez, Stephane; Pepin-Donat, Brigitte. Chem. Mater. 2000, 12, 2372-2384)(2.977g;5.213mmol)、PdCl
2(PPh
3)
2(166mg;0.237mmol)、ヨウ化銅(45mg;0.237mmol)およびトルエン(100cm
3)を、250cm
3フラスコ中に加える。得られた混合物を、30分間注意深く脱気し、次いで窒素保護下で、90℃で16h加熱する。シリカを加え、溶媒を真空中で除去する。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:石油エーテル 40〜60:DCM;70:30の比)、赤色粉末として純粋な生成物を回収する(612mg、収率:46%)。
【数1】
【0174】
1.2 3,6−ビス−(5−ブロモ−3−オクチル−チオフェン−2−イル)−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジオン
【化27】
【0175】
3,6−ビス−(3−オクチル−チオフェン−2−イル)−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジオン(1.1)(418mg;0.748mmol)を、不活性雰囲気および光の保護下で1−ブロモ−ピロリジン−2,5−ジオン(NBS)(253mg;1.421mmol)を1回でゆっくりと加える前に、無水DMF中に60℃で溶解する。24h後、反応混合物を、チオ硫酸ナトリウムの5%水溶液に注ぐ。水層を、DCM(3×100cm
3)で抽出し、合わせた有機画分を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で除去する。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより数回精製し(溶離剤:石油エーテル 40〜60:DCM;70:30の比)、赤色粉末として純粋な生成物を回収する(205mg、収率:38%)。
【数2】
【0176】
1.3 ポリ(2,6−[4,8−ジドデシル−ベンゾ{1,2−b;4,5−b’}ジチオフェン]−alt−[5,5’−(3,6−ビス−{3−オクチル−チオフェン−2−イル}−チエノ{3,2−b}チオフェン−2,5−ジオン)])
【化28】
【0177】
マイクロ波管中に、4,8−ジドデシル−2,6−ビス−トリメチルスタンナニル−ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン(237.9mg;0.279mmol)、3,6−ビス−(5−ブロモ−3−オクチルチオフェン−2−イル)−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジオン(200.0mg;0.279mmol)、Pd
2dba
3(2.6mg;0.003ミリモル)およびトリ−o−トリル−ホスフィン(3.4mg;0.011mmol)を、脱気したトルエン(8.0cm
3)および脱気したDMF(2.0cm
3)に溶解する。反応混合物を、30分間さらに脱気し、反応混合物を、マイクロ波(Initiator, Biotage AB)で、180℃で20分間加熱する。ポリマーを、メタノール(150cm
3)中への沈殿により精製し、ろ過し、アセトン、石油エーテル 40〜60、クロロホルムおよびクロロベンゼンでのソックスレー抽出を介して連続的に洗浄する。クロロベンゼン画分を、真空中でより小さな体積に減少させ、メタノール(200cm
3)中へ沈殿させる。沈殿したポリマーを、ろ過し、真空下で、25℃で一晩乾燥し、生成物(188mg、収率62%)を得る。GPC(140℃、1,2,4−トリクロロベンゼン)M
n:68.4kg.mol
−1、Mw:185.9kg.mol
−1、PDI:2.71
【0178】
1.4 トランジスタ作製および測定
トップゲート薄膜有機電界効果トランジスタ(OFET)を、Auソースドレイン電極をフォトリソグラフィー的に定義したガラス基板上に作製する。薄膜半導体を、次いで、o−ジクロロベンゼン(7mg・cm
−3)中のポリマー(1.3)の溶液をスピンコーティングすることにより、基板上へ堆積させる。サンプルを、次いで乾燥し、100℃で、窒素下で10分間アニールする。次に、フルオロポリマー誘電材料(Lisicon(商標) D139 Merck KGaAからのもの)を、上にスピンコーティングする。最後に、フォトリソグラフィー的に定義したAuゲート電極を、堆積させる。
【0179】
トランジスタデバイスの電気特性評価を、外気雰囲気中で、コンピュータ制御されたAgilent 4155C Semiconductor Parameter Analyserを使用して行う。電界効果移動度を、飽和領域(V
d>(V
g−V
0))において、方程式(1):
【数3】
式中、Wは、チャネル幅であり、Lは、チャネル長であり、C
iは、絶縁層のキャパシタンスであり、V
gは、ゲート電圧であり、V
0は、起動電圧であり、μ
satは、飽和領域における電荷担体移動度である。起動電圧(V
0)を、ソース−ドレイン電流の開始として決定する、
を使用して算出する。
【0180】
ポリマー(1.3)について、7×10
−3cm
2・V
−1・s
−1の飽和領域(μ
sat)における電界効果移動度を、算出し、1×10
4の電流のオン/オフ比を観測する。
図1は、ポリマー(1.3)でのOFETについての、電流−電圧特性(A)、線形移動度(B)および飽和移動度(C)を示す。