特許第5912498号(P5912498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912498
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】不定形液体容器の保持治具
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   B65D77/06 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-276833(P2011-276833)
(22)【出願日】2011年12月19日
(65)【公開番号】特開2013-126884(P2013-126884A)
(43)【公開日】2013年6月27日
【審査請求日】2014年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】服部 真人
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−184048(JP,A)
【文献】 特開2001−163357(JP,A)
【文献】 特開平10−218236(JP,A)
【文献】 実開昭53−100358(JP,U)
【文献】 特開2006−182416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/00−77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟なフィルム状部材からなる袋部と、該袋部の口に装着された筒状の首部と該首部の上端外周から外側へ張り出す環状フランジ部を備える注出口と、から構成された不定形液体容器を収容して固定するための不定形液体容器の保持治具であって、
底部と該底部の周囲に立設される側壁部からなり上面が開口した箱体と、
該側壁部の上端から該開口の中央に向かって張り出すように該箱体に固定され、該箱体に収容される該不定形液体容器の該注出口が係合する注出口係合部と、を備え、
該注出口係合部は、
該環状フランジ部の外径より小さく該首部の直径より大きい幅の案内溝と、
該不定形液体容器を該箱体に着脱する際に該開口を遮らない液体容器着脱位置に移動可能な位置付け手段と、を有するとともに、
該箱体の該側壁部に上下方向に移動可能に配設され、
収容する該不定形液体容器の高さに応じて、該注出口係合部の該側壁部への固定部分に過度の過重が掛からないように設置位置が調整される、ことを特徴とする不定形液体容器の保持治具。
【請求項2】
前記保持治具は搬送を容易にする移動補助機構を備え、
該移動補助機構は、前記箱体の前記側壁部に配設された取手部及び/又は前記箱体の前記底部に配設された摩擦低減機構とからなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の不定形液体容器の保持治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の入った柔軟なフィルム状の不定形液体容器を固定するための治具に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水や燃料用の灯油、工業用の薬液等の液体を保存、搬送等するために、缶やビン、硬質の樹脂製ボトル等の様々な定型型容器が使用されているが、空となった容器の容易な廃棄や、容器自体の軽量化のため、近年では柔軟なフィルム状の袋状容器が広い用途で使用され始めている(例えば、特許文献1)。
【0003】
こうした容器は、使用後折りたたんで収納可能であり、容器自体の重さが非常に軽いため、輸送コストの大幅削減等の大きな効果が発揮されている。また、こうした柔軟なフィルム状の袋状容器の中に保存された液体、例えば飲料水や工業用の薬液等を外部に送出する液体供給装置も発売されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−204120号公報
【特許文献2】特開2011−184048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、不定形な液体容器を用いた液体供給装置の場合、容器自体の形状が不定形であるという特徴から、定型容器とは違った工夫が必要となる。例えば、容器の固定方法の工夫、容器の搬送方法の工夫等である。
【0006】
そして、容器自体の形状が不定形であるため、容器の固定については、何らかの枠体内に載置して液体供給装置内部の所定の設置場所に設置するか、又は箱体に予め収容したうえで箱体ごと液体供給装置内部の所定の設置場所に設置する必要が生じる。
【0007】
しかしながら、内容物が液体であるためその重量は重い場合が多く、例えば液体供給装置内が狭い空間である場合などでは、重量のある柔軟な容器を液体供給装置内の所定の設置場所に直接設置することは難しい。
【0008】
他方、予め箱体に容器を収容したうえで、その箱体ごと所定の設置場所に設置する形態を採用する場合でも、箱体の重量を含む全体としての重量について、作業者の負担を軽減させる手段が必要である。
【0009】
さらに、容器は容量等によってサイズ(外形寸法)が異なる場合がるため、箱体については、種々のサイズの容器や、種々のサイズの容器に設けられる注出口に対応可能であることが求められる。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易に不定形液体容器の出し入れが可能など、工夫の凝らされた保持治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、柔軟なフィルム状部材からなる袋部と、袋部の口に装着された筒状の首部と首部の上端外周から外側へ張り出す環状フランジ部を備える注出口と、から構成された不定形液体容器を収容して固定するための不定形液体容器の保持治具であって、底部と底部の周囲に立設される側壁部からなり上面が開口した箱体と、側壁部の上端から開口の中央に向かって張り出すように箱体に固定され、箱体に収容される不定形液体容器の注出口が係合する注出口係合部と、を備え、注出口係合部は、環状フランジ部の外径より小さく首部の直径より大きい幅の案内溝と、不定形液体容器を箱体に着脱する際に開口を遮らない液体容器着脱位置に移動可能な位置付け手段と、を有するとともに、箱体の側壁部に上下方向に移動可能に配設され、収容する不定形液体容器の高さに応じて、注出口係合部の側壁部への固定部分に過度の過重が掛からないように設置位置が調整される、ことを特徴とする不定形液体容器の保持治具が提供される。
【0012】
好ましくは、保持治具は搬送を容易にする移動補助機構を備え、移動補助機構は、箱体の側壁部に配設された取手部及び/又は箱体の底部に配設された摩擦低減機構とからなることとする。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の不定形液体容器の保持治具を用いれば、保持治具内に不定形液体容器を出し入れする際には、注出口係合部は保持治具の開口を妨げない位置に移動させることができるため、容易に不定形液体容器の出し入れが可能となる。
【0015】
ポンプを備えたパイプ等を注出口に挿入し、液体を外部へ排出するに際しても、保持治具の開口中央に張り出すように位置付けた注出口係合部に注出口を引っかけることで注出口が固定されるため、不定形液体容器でも安定して液体を排出できる。
【0016】
また、取手部及び/又は移動補助機構が設けられているため、所定の設置場所への不定形液体容器の搬送(設置)の作業は、保持治具の箱体内に不定形液体容器を収容したまま可能であり、重量のある不定形液体容器の搬送が取手部及び/又は移動補助機構によって容易に行える。
【0017】
さらに、注出口係合部の高さを上下方向に移動可能に配設することにより、不定形液体容器のサイズが異なっても、注出口係合部に液体重量を含む不定形液体容器の全重量が掛かるようにぶら下がることがないため、注出口係合部に重量が掛かり注出口係合部が破損する、といった不具合が回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の保持治具の使用形態について示す斜視図である。
図2】本発明の保持治具が使用される例である混合液供給装置の全体構成図である。
図3】不定形液体容器の一例を示す斜視図である。
図4】本発明の保持治具の構成について示す斜視図である。
図5】液体供給装置内に不定形液体容器を装着した状態の斜視図である。
図6図6(A)は、注出口係合部を高い位置に設定した場合について示す図である。図6(B)は、注出口係合部を低い位置に設定した場合について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1では、本発明の不定形液体容器の保持治具6の実施態様が示されており、保持治具6の箱体7に不定形液体容器8を収容した使用形態を示している。
【0020】
そして、この保持治具6は、不定形液体容器8を容易に持ち運ぶことが可能であり、一般家庭や、学校、病院などの各種施設における多目的用途での使用形態が想定されるほか、図2に示されるように、工作機械(研磨装置4)に対して専用液体(研磨剤)を製造する混合液供給装置などでの使用形態も想定される。
【0021】
図2において、符号2で示された混合液供給装置は、研磨装置4に液体と研磨剤が混合された混合液(スラリー)を供給する。後に詳細に説明する不定形液体容器の保持治具6内には、純水等の液体とシリカ等の研磨剤が混合された濃度の高い研磨剤原液9が収容された不定形液体容器8が収容されている。
【0022】
10は希釈タンクであり、不定形液体容器8内の濃度の高い研磨剤原液9が管路(研磨剤原液供給路)14を介して希釈タンク10内に供給されるとともに、液体供給源15から液体供給路16を介して純水等の液体が希釈タンク10内に供給され、研磨剤原液9が液体により希釈され、希釈タンク10は濃度が希釈されたスラリー(混合液)18を収容する。
【0023】
希釈タンク10内には図示しない攪拌装置が設置されており、この攪拌装置で研磨剤原液9と液体供給路16を介して送られた液体とを攪拌して、濃度が希釈された一様濃度のスラリー18とする。20は吸い上げポンプであり、管路14には開閉弁22が挿入されている。一方、液体供給路16には流量調整弁24が挿入されている。
【0024】
希釈タンク10からは管路(第1混合液供給路)26を介して希釈された混合液(スラリー)18が供給タンク12に供給され、供給タンク12は濃度の希釈された混合液18を収容する。管路26にはポンプ28及び開閉弁30が挿入されている。
【0025】
供給タンク12からは管路(第2混合液供給路)32を介して濃度の希釈された混合液(スラリー)18が研磨装置4に供給され、研磨装置4で半導体ウエーハ等の板状物の研磨が実施される。管路32にはポンプ34及び開閉弁36が挿入されている。
【0026】
不定形液体容器8を保持した保持治具6は重量測定器38上に搭載されている。同様に、希釈タンク10も重量測定器40上に搭載されている。重量測定器38,40は制御手段(コントローラ)42に接続されている。
【0027】
制御手段42のメモリには予め保持治具6の重量と不定形液体容器8本体の重量の和が記憶されており、制御手段42では重量測定器38で測定した保持治具6と研磨剤原液9を含む不定形液体容器8の総重量から保持治具6と不定形液体容器8本体の重量を減算することにより、研磨剤原液9の正確な残量を算出することができ、この研磨剤原液の残量は液晶ディスプレイ等の残量表示手段44に表示される。
【0028】
供給タンク12には、複数の液面センサ46a,46b,46c,46dが設置されている。液面センサ46a〜46dは制御手段42に接続されており、供給タンク12内の混合液(スラリー)18の液面が液面センサ46cと46dの間に来た場合に、制御手段42で開閉弁30を開くとともにポンプ28を駆動して、希釈タンク10内の混合液(スラリー)18を供給タンク12内に供給する。
【0029】
ポンプ20,28,34は制御手段42に接続されており、制御手段42によりその駆動が制御される。流量調整弁24も制御手段42に接続されており、流量調整弁24で純水等の液体の供給量を調整して、研磨剤原液9を所望の濃度の混合液(スラリー)18に調整する。
【0030】
希釈タンク10内の混合液(スラリー)18の残量は、重量測定器40上に希釈タンク10を搭載することにより、不定形液体容器8内の研磨剤原液の残量と同様な方法により、制御手段42で容易に算出することができる。
【0031】
希釈タンク10内の混合液(スラリー)18の濃度調整は、ポンプ20の駆動時間及び流量調整弁24を介して供給される液体の量を制御するとともに、更に希釈タンク10内の混合液(スラリー)18の残量に基づいて、所望の濃度に調整することができる。
【0032】
特に図示しないが、研磨剤原液供給路14及び液体供給路16中に流量計を設けて、希釈タンク10内に供給される研磨剤原液9及び液体供給源15から供給される純水等の液体の量を正確に測定することにより、希釈タンク10内の混合液(スラリー)18の濃度をより正確に調整することができる。
【0033】
以上の説明は、本発明の不定形液体容器8の保持治具6を混合液供給装置2の研磨剤原液の供給に適用した例についての説明であるが、以下では、保持治具6の詳細な構造について説明する。
【0034】
図3を参照すると、不定形液体容器8の一例の斜視図が示されている。不定形液体容器8は、柔軟なフィルム状部材からなる袋部48と、袋部48の口に装着された筒状の首部52と首部52の上端外周から外側へ張り出す環状フランジ部54とを備えた注出口50とを有している。袋部48内には、上述した研磨剤原液のほか、飲料水、燃料用の灯油、工業用の薬液等の液体49が収容されることができる。
【0035】
図4を参照すると、本発明実施形態の保持治具6の斜視図が示されている。保持治具6は、不定形液体容器8(図3)を収容するための収容空間63を構成する箱体7を有して構成される。箱体7は、板状の底部56と、底部56の周囲に立設される側壁部58とからなり、上面が開口(開口62)している。
【0036】
箱体7の側壁部58には、箱体7を搬送する際に用いる取手部59,59が設けられる。本実施形態では、箱体7の前面側と後面側に回動支点を備えた回動式の一対の取手部59,59を有して構成され、搬送の際には、取手部59,59を立ち上げることで箱体7を吊り下げるようにして搬送可能となる。
【0037】
一方、取手部59,59は、箱体7を設置した際に横に倒れるように配置され、コンパクトに設置することが可能となっている。また、取手部59,59が横に倒れることで、箱体7の開口62が開放され、不定形液体容器8の収容、取り出しが容易に可能となる。
【0038】
箱体7の底部56には、移動補助機構として機能する摩擦低減機構55,55が設けられる。本実施形態では、フッ素樹脂からなるシート部材を底部56の下面に貼設することで構成され、例えば、箱体7を床面上に載置した際に、その載置床面上をスムーズに滑るように移動可能な構成としている。なお、このほかにも、テフロン(登録商標)樹脂などの摩擦係数の低い合成樹脂を貼設することや、車輪などを設けることとしてもよい。
【0039】
以上のようにして、所定の設置場所への不定形液体容器8の搬送(設置)の作業は、保持治具6の箱体7内に不定形液体容器8を収容したまま可能であり、重量のある不定形液体容器8の搬送が移動補助機構によって容易に行えることになる。なお、取手部59,59と摩擦低減機構55,55は、いずれか一方が設けられる、或いは、両方が設けられることとしてもよい。
【0040】
箱体7の前面側には、縦方向のスリット部64が形成され、スリット部64の両側が側壁部58によって挟まれるような配置とされている。このスリット部64によって、図5に示すように、箱体7の前面側から収容空間63内に収容された不定形液体容器8の側面を視認でき、不定形液体容器8が透明、又は、半透明に構成される場合には、容器内の液体の残量が容易に確認できる。
【0041】
箱体7の後面側には、箱体7の後面を構成する側壁部58の上端から開口62の中央に向かって張り出し箱体7に収容される不定形液体容器8の注出口50(図3)が係合する注出口係合部65が設けられる。注出口係合部65は、環状フランジ部54の外径より小さく首部52の直径より大きい幅の平面視略U字状の案内溝65bと、不定形液体容器8を箱体7に着脱する(出し入れがなされる)際に、開口62を遮らない液体容器着脱位置に移動可能な位置付け部材(位置付け手段)65aを有している。
【0042】
本実施形態の位置付け部材65aは板状部材にて構成され、箱体7の後面を構成する側壁部58に対し回動可能に設けられており、位置付け部材65aの板面65cを立ち上げるように回動させることで、位置付け部材65aが液体容器着脱位置に移動可能となっている。
【0043】
これにより、保持治具6内に不定形液体容器8を出し入れする際には、位置付け部材(位置付け手段)65aを保持治具の開口を妨げない位置に移動させることができるため、容易に不定形液体容器8の出し入れが可能となる。
【0044】
一方で、位置付け部材65aは、不定形液体容器8が箱体7に収容された際には、図5に示すように、位置付け部材65aの板面65cが略水平になるように移動可能となっている。そして、位置付け部材65aの案内溝65bには、不定形液体容器8の首部52が挿入されるとともに、位置付け部材65aの板面65cの上側に環状フランジ部54が配置されることで、注出口50が注出口係合部65(位置付け部材65a)に係合される。
【0045】
さらに、図6(A)(B)に示すように、注出口係合部65の位置付け部材65aは、箱体7の後面を構成する側壁部58に上下方向に移動可能に配置され、収容する不定形液体容器8の高さに応じて設置位置を調整し、注出口係合部65の側壁部58への固定部分70に過度の過重が掛かることを防止する構成となっている。
【0046】
本実施形態では、側壁部58に、その上端部から下方に向かう開口部58mが設けられ、開口部58mを横方向に跨ぐように固定板71が側壁部58に固定される。固定板71は、側壁部58の上下方向の複数箇所に設けられた固定部58v,58vに対し、固定具71v,71vにて着脱可能となっており、上下方向の固定位置が調整可能となっている。
【0047】
固定板71には、連結板72、及び、蝶板機構73を介して位置付け部材65aが固定されており、これにより、位置付け部材65aが固定板71に対して回動可能に構成される。そして、固定板71の上下方向の固定位置の調整に応じて蝶板機構73の上下位置が調整され、これに伴って、位置付け部材65aの上下位置も調整可能となっている。
【0048】
例えば、不定形液体容器8のサイズが小さい場合(例えば、容量が10リットルの容器)であって、環状フランジ部54(図5参照)が低い位置に配置されるような場合において、注出口係合部65(位置付け部材65a)が高い位置にあると、注出口係合部65に環状フランジ部54が引っかかるようにして、不定形液体容器8をぶら下げた状態で保持してしまうことになる。そうすると、不定形液体容器8、及び、その中の液体の全重量を注出口係合部65で支えることになり、注出口係合部65の固定部分70に過度の荷重が掛かることになってしまう。
【0049】
そこで、このような場合には、図6(B)のように固定板71を下側の位置に固定することによって、倒された注出口係合部65の板面65cの位置を低くすることで、注出口係合部65の固定部分70に過度の荷重が掛かることを防止できる。
【0050】
逆に、不定形液体容器8のサイズが大きい場合(例えば、容量が30リットルの容器)であって、環状フランジ部54(図5参照)が高い位置に配置されるような場合には、不定形液体容器8の袋部48によって、注出口係合部65を押し上げる荷重が作用することになる。
【0051】
このような場合には、図6(A)のように固定板71を上側の位置に固定することによって、倒された注出口係合部65の板面65cの位置を高くすることで、注出口係合部65の固定部分70に過度の荷重が掛かることを防止できる。
【0052】
なお、注出口係合部65の位置付け部材65aには、側面視において三角形状のストッパー65d,65d(図4)が設けられており、位置付け部材65aを倒して板面65cが略水平となる際には、ストッパー65d,65dが固定板71に当接するようになっている。これにより、位置付け部材65aが倒された際には、板面65cが略水平の状態となるように維持され、略水平の状態を超えて倒れ込んでしまわないようになっている。
【0053】
そして、図1に示されるように、保持治具6に収容された不定形液体容器8の注出口50に液体供給手段66を取り付けることで、不定形液体容器8の内部の液体49を送出することが可能となる。
【0054】
液体供給手段66は、不定形液体容器8の注出口50から袋部48内に挿入される送出用パイプ68と、送出用パイプ68の途中に介装された吸い上げポンプ20と、送出用パイプ68の出口部近傍に設けられるコック(栓)70と、を有して構成することができる。
【0055】
以上のような実施形態で構成される保持治具6を用いれば、保持治具6内に不定形液体容器8を出し入れする際には、注出口係合部65は保持治具の開口を妨げない位置に移動させることができるため、容易に不定形液体容器8の出し入れが可能となる。
【0056】
吸い上げポンプ20を備えた送出用パイプ68を注出口50に挿入し、液体を外部へ排出するに際しても、保持治具6の開口中央に張り出すように位置付けた注出口係合部65に注出口50を引っかけることで注出口50が固定されるため、不定形液体容器8でも安定して液体を排出できる。
【0057】
また、取手部59及び/又は移動補助機構(摩擦低減機構55)が設けられているため、所定の設置場所への不定形液体容器8の搬送(設置)の作業は、保持治具6の箱体7内に不定形液体容器8を収容したまま可能であり、重量のある不定形液体容器8の搬送が取手部59及び/又は移動補助機構(摩擦低減機構55)によって容易に行える。
【0058】
さらに、注出口係合部65の高さを上下方向に移動可能に配設することにより、不定形液体容器8のサイズが異なっても、注出口係合部65に液体重量を含む不定形液体容器8の全重量が掛かるようにぶら下がることがないため、注出口係合部65に重量が掛かり注出口係合部65が破損する、といった不具合が回避できる。
【符号の説明】
【0059】
6 保持治具
7 箱体
8 不定形液体容器
48 袋部
49 液体
50 注出口
52 首部
54 環状フランジ部
55 摩擦低減機構
56 底部
58 側壁部
58m 開口部
59 取手部
62 開口
63 収容空間
64 スリット部
65 注出口係合部
66 液体供給手段
68 送出用パイプ
70 固定部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6