(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラズマ処理装置は、前記処理室内のクリーニング時に、前記ガス吐出機能付電極からクリーニングガスを導入することにより発生するガス衝撃力を用いたクリーニングを行うことを特徴とする請求項16または請求項17に記載のプラズマ処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。この説明において、参照する図面全てにわたり、同一の部分については同一の参照符号を付す。
【0016】
図1は、この発明の実施形態に係るプラズマ処理装置の一例を概略的に示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、処理装置は平行平板型のプラズマ処理装置1である。プラズマ処理装置1は、被処理体、本例では、処理ガスを用いて半導体ウエハWに対してプラズマエッチング処理やプラズマ成膜処理を施す処理室2と、処理室2に処理ガスを供給する処理ガス供給源、本例ではガスボックス3とを備えている。
【0018】
処理室2内には、ウエハWを載置する載置台4、及び載置台4に対向して配置され、処理室2の内部に処理ガスを吐出する処理ガス吐出機能付電極、本例ではシャワーヘッド5が設けられている。シャワーヘッド5はガスボックス3にガス供給管31を介して接続されている。
【0019】
シャワーヘッド5は、平行平板の上部電極を構成しており、本例では、接地電位に接続される。
【0020】
一方、載置台4は平行平板の下部電極を構成しており、本例では、整合器6、7を介して第1の高周波電源8、及び第2の高周波電源9に接続される。第1の高周波電源8は、例えば100MHzの周波数の高周波を出力し、第2の高周波電源9は、例えば3.2MHzの周波数の高周波を出力する。
【0021】
また、処理室2には排気口10を介して排気装置11に接続されている。処理室2は内部を所望の真空度に減圧できる真空容器として構成されている。排気装置11は、真空容器として構成された処理室2の内部を排気し、処理室2の内部を所望の真空度に減圧する。
【0022】
プラズマ処理装置1は、例えばマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ100により制御される。プロセスコントローラ100には、ユーザーインターフェース101、及び記憶部102が接続されている。ユーザーインターフェース101は、オペレータがプラズマ処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を含む。記憶部102は、プラズマ処理装置1で実行される処理を、プロセスコントローラ100の制御にて実現する制御プログラムや、処理条件に応じてプラズマ処理装置1の各構成部に処理を実行させるためのプログラム、即ちレシピが格納される。レシピは、例えば、記憶部102の中の記憶媒体に記憶される。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。レシピは、必要に応じて、ユーザーインターフェース101からの指示等にて記憶部102から読み出され、読み出されたレシピに従った処理をプロセスコントローラ100が実行することで、プラズマ処理装置1は、コントローラ100の制御のもと、所望の処理を実行する。
【0023】
図2は、この発明の実施形態に係るプラズマ処理装置が備えるガス吐出機能付電極の一例を示す断面図である。
【0024】
図2に示すように、ガス吐出機能付電極、本例ではシャワーヘッド5は、ウエハWをプラズマ処理する処理空間に面して配置される電極カバー部材51と、この電極カバー部材51が固定される金属製、例えばアルミニウム製のベース材52とを含んで構成されている。電極カバー部材51は複数のガス穴53を有し、ベース材52もまた、電極カバー部材51の複数のガス穴53それぞれに対応する複数のガス穴54を有している。
【0025】
ベース材52の内部にはガス拡散空間55が設けられている。ガス拡散空間55の処理空間と反対側(上面)はガス供給管31に接続されており、ガス拡散空間55には、ガスボックス3からの処理ガスが供給される。ガス拡散空間55の処理空間側(下面)は、上記複数のガス穴54に通じている。ガス拡散空間55に供給された処理ガスは、複数のガス穴54に送られる。
【0026】
電極カバー部材51は、ベース材52の下面に、例えば、着脱自在に固定されており、プラズマにより消耗した場合には交換が可能な構成となっている。交換可能な電極カバー部材51は、例えば、脆性材により形成される。脆性材の例としては、石英、アルミナ、イットリウム焼結体、窒化アルミ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ素、及びフッ化カルシウムの少なくともいずれか一つを含む材料を挙げることができる。
【0027】
電極カバー部材51の複数のガス穴53は、上記ベース材52のガス穴54にそれぞれ通じており、複数のガス穴54に送られた処理ガスは、複数のガス穴53に送られて、処理空間に向けて吐出される。
【0028】
(第1の実施形態)
図3は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第1の実施形態の一例を示している。
【0029】
図3に示すように、本例では、電極カバー部材51のガス穴53のガス穴径φAが、ベース材52のガス穴54のガス穴径φBよりも大きい。サイズの一例を挙げれば、例えば、ガス穴径φAは、ガス穴径φBの1倍を超え3倍以下である。
【0030】
ガス穴径φAがガス穴径φBの1倍を超える根拠は、電極カバー部材51のガス穴53のコンダクタンスを、ベース材52のガス穴54のコンダクタンスよりも大きくするためである。このように電極カバー部材51のガス穴53のコンダクタンスを、ベース材52のガス穴54のコンダクタンスよりも大きくすることで、ガス吐出時に、電極カバー部材51が処理ガスによる差圧(応力)を受けない、という利点を得ることができる。処理ガスによる差圧を受けない、という利点をより良く得ようとする場合には、ガス穴径φAは、ガス穴径φBの1.5倍以上とされることが良い。
【0031】
電極カバー部材51が処理ガスによる差圧を受けない本例によれば、差圧に起因した電極カバー部材51の割れを考慮しなくて良い。このため、最大ガス流量を制限せずに済み、最大ガス流量に関する自由度を向上できる、という利点を得ることができる。
【0032】
さらに、電極カバー部材51に差圧がかからないため、電極カバー部材51自体の薄型化も可能となる、という利点を得ることができる。厚さについては、例えば、3mm〜15mm程度の薄い電極カバー部材51も実現可能である。
【0033】
さらに、本例では、電極カバー部材51のガス穴53のコンダクタンスが、ベース材52のガス穴54のコンダクタンスよりも大きいので、処理室2内に導入される処理ガスの吐出速度は、ベース材52のガス穴54が決める。このため、電極カバー部材51がプラズマによって消耗し、電極カバー部材51のガス穴53がラッパ状に拡がった場合でも、処理ガスの吐出速度は変わり難い。つまり、本例は、処理空間側の電極カバー部材51のガス穴53が処理ガスの吐出速度を決める構成ではなく、ベース材52のガス穴54が処理ガスの吐出速度を決める。この構成を備えることで、本例では、ガス導入時の処理室内におけるガス挙動が経時的に変化してしまう、という事情も抑制することができる。
【0034】
また、本例において、ガス穴径φAをガス穴径φBの3倍以下とする根拠は、ガス穴53が処理空間に面しているため、ガス穴径φAが大きくなりすぎると、ガス穴53の中でプラズマが発生する可能性があるためである。ガス穴53の中でのプラズマ発生を抑制するためには、プラズマ生成条件、プロセス条件によって異なるが、ガス穴径φAをガス穴径φBの、概ね3倍以下とされると良い。
【0035】
なお、電極カバー部材51のガス穴53のガス穴径φAの一例を述べれば、1mm以上2mm以下である。
【0036】
また、本例では、ベース材52のガス穴54の、電極カバー部材51との接合面側に、電極カバー部材51のガス穴53のガス穴径φAよりも大きい凹状のクリアランス部56が設けられている。このようなクリアランス部56を設けることで、ベース材52に対する電極カバー部材51の取り付け位置がずれた場合や、熱膨張の差に起因したガス穴のずれが生じた場合でも、ベース材52の小さいガス穴54を、電極カバー部材51のガス穴53に確実に連通させることができる、という利点を得ることができる。
【0037】
さらに、本例では、電極カバー部材51のガス穴53が大きい。このため、ガス穴53にプラズマ中の荷電粒子、例えば、電子、イオンなどが入り込み、ベース材52に損傷を与えたり、ベース材52と電極カバー部材51とで構成された複合型のガス吐出機能付電極、本例ではシャワーヘッド5の内部において異常放電を発生させたりする可能性がある。このような可能性は、例えば、凹状のクリアランス部56の、電極カバー部材51との接合面側に、耐消耗被膜処理を施すと良い。
図3には、耐消耗被膜処理により形成された被膜57が示されている。この被膜57は、例えば、酸化イットリウム溶射被膜、アルミナ溶射被膜、フッ化イットリウム溶射被膜、及び陽極酸化被膜の少なくともいずれか一つを含む膜である。
【0038】
(第2の実施形態)
図4は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第2の実施形態の一例を示している。
【0039】
被膜57は、
図3に示したように、凹状のクリアランス部56の底から側壁にかけて形成されても良いし、
図4に示すように、凹状のクリアランス部56の底のみに形成しても良い。
【0040】
また、被膜57を、例えば、溶射により形成した場合、
図4に示すように、クリアランス部56に連通するガス穴54の出口付近の内部にも被膜57が形成されることがある。被膜57は、ガス穴54の内部にも形成されても構わない。被膜57をガス穴54の出口付近の内部に形成した場合には、ガス穴54の出口付近をもプラズマから保護できる、という利点を得ることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
図5は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第3の実施形態の一例を示している。
【0042】
図5に示すように、クリアランス部56の外周側の深さD1を、クリアランス部56の内側の深さD2よりも浅くするようにしても良い。このように、クリアランス部56の外周側の深さD1を内側の深さD2よりも浅くすることで、クリアランス部56の内部に入り込んだプラズマが、クリアランス部56の側壁まで到達し難くなる、という利点を得ることができる。このような利点は、例えば、被膜57がクリアランス部56の側壁にない構成において、特に有用である。
【0043】
また、
図4及び
図5に示すように、電極カバー部材51のガス穴53のベース材52との接合面側に、この電極カバー部材51のガス穴53のガス穴径φAよりも大きく、かつ、凹状のクリアランス部の穴径φCより小さい穴径を持つテーパ状の面取り部58を設けるようにしても良い。このような面取り部58を設けることで、ベース材52に対する電極カバー部材51の取り付け位置がずれた場合や、熱膨張の差に起因したガス穴のずれが生じた場合でも、ベース材52の小さいガス穴54を通ってきた処理ガスを、電極カバー部材51のガス穴53に確実に引き込むことができる、という利点を得ることができる。
【0044】
(第4の実施形態)
<第1例>
図6は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第4の実施形態の第1例を示している。
【0045】
図6に示すように、電極カバー部材51のガス穴53の向きは、電極カバー部材51の途中で傾けられていても良い。ガス穴53を傾ける理由は、矢印61に示されるように処理空間のプラズマ中から逆流してきた荷電粒子60が、ベース材52のガス穴54に直接に入らないようにするためである。本例では、ガス穴53のクリアランス部56側が水平面に対して60°、同じくガス穴53の処理空間側が水平面に対して60°傾けられている。このため、ガス穴53の断面形状は、電極カバー部材51の途中に“60° + 60° = 120°”の折り曲がりがある形状となる。また、ガス穴53のガス穴径φAの一例は1mm、ガス穴54のガス穴径φBの一例は0.6mmである。
【0046】
このように、ガス穴53を、電極カバー部材51の途中で傾けることにより、プラズマ中から逆流してきた荷電粒子60が、ベース材52のガス穴54に直接に入らないようにすることができ、ベース材52を、プラズマ中の荷電粒子60、例えば、電子、イオンなどの衝撃や異常放電などから、よりよく保護することが可能となる。これにより、ベース材52や電極カバー部材51が、さらに損傷し難くなる、という利点を得ることができる。
【0047】
また、ガス穴53を直線で形成した場合には、ガス穴53を介して、処理空間側からクリアランス部56の内部が直接に見えてしまう領域の平面面積は、ガス穴53自体の平面面積と同じとなる。
【0048】
これに対して、第4の実施形態の第1例のように、ガス穴53を電極カバー部材51の途中で傾けると、ガス穴53を介して、処理空間側からクリアランス部56の内部が直接に見えてしまう領域の平面面積は、ガス穴53自体の面積よりも小さくすることができる。もしくは、全く見えないようにすることもできる。
【0049】
このように、ガス穴53を電極カバー部材51の途中で傾け、処理空間側からクリアランス部56の内部が直接に見えてしまう領域の平面面積を、ガス穴53を直線で形成した場合に比較して小さくする、もしくは見えないようにする。このような工夫によっても、プラズマ中の荷電粒子60が、ガス穴53を介してクリアランス部56に達してしまうことを、ガス穴53を直線で形成した場合に比較して、より低減することができる。この結果、本第1例においては、ベース材52を、プラズマ中の荷電粒子60、例えば、電子、イオンなどの衝撃や異常放電などから保護できる、という利点を、より良く得ることができる。
【0050】
さらに、第4の実施形態の第1例においては、ベース材52のガス穴54が処理空間側から直接に見えないように、電極カバー部材51の傾いたガス穴53が、ベース材52のガス穴54からずらされている。このような工夫をさらに施すと、
図6中の矢印61aに示すように、荷電粒子60がガス穴53の内部を直線的に進んできたとしても、この荷電粒子60は、ベース材52のガス穴54に直接に入ることがない。このため、ベース材52を、荷電粒子60、例えば、電子、イオンなどの衝撃や異常放電などから保護できる、という利点を、さらにより良く得ることが可能となる。
【0051】
なお、本例においては、ガス穴53の処理空間側が60°傾けられているので、ガス穴53から吐出されるガスの向きは、矢印62に示すように、電極カバー部材51の処理空間側表面に対して120°傾いたものとなる。
【0052】
<第2例>
図7は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第4の実施形態の第2例を示している。
【0053】
第4の実施形態の第1例においては、ガス穴53のクリアランス部56側を水平面に対して60°傾けたが、ガス穴53を傾ける角度は60°に限られるものではない。例えば、
図7に示すように、ガス穴53のクリアランス部56側を水平面に対して45°傾けるようにすることも可能である。つまり、傾ける角度は、荷電粒子60が、ベース材52のガス穴54に直接に入らないようにすることができる角度であれば良い。
【0054】
また、ガス穴53の処理空間側は水平面に対して90°、即ち、処理空間に対して垂直となるようにすることも可能である。これにより、本例のガス穴53の断面形状は、途中に“45° + 90° = 135°”の折り曲がりがある形状となる。また、ガス穴53のガス穴径φAの一例は第1例と同様に1mm、ガス穴54のガス穴径φBの一例も第1例と同様に0.6mmである。
【0055】
本第4の実施形態の第2例においてもガス穴53の向きを、電極カバー部材51の途中で傾けるので、上記第1例と同様にベース材52を、プラズマ中の荷電粒子60、例えば、電子、イオンなどの衝撃や異常放電から、よりよく保護することが可能となる。
【0056】
また、本第4の実施形態の第2例のように、ガス穴53の処理空間側は水平面に対して90°、即ち、処理空間に対して垂直とすることもできる。ガス穴53の処理空間側を処理空間に対して垂直とすると、ガス穴53から吐出されるガスの向きは、矢印62に示すように、電極カバー部材51の処理空間側表面に対して垂直とすることができる。
【0057】
また、第4の実施形態の第2例においても、ガス穴53を電極カバー部材51の途中で傾ける。このため、処理空間側からクリアランス部56の内部が直接に見えてしまう領域の平面面積を、ガス穴53を直線で形成した場合に比較して小さくする、もしくは見えないようにすることができる。
【0058】
このため、本第2例においても、第4の実施形態の第1例と同様に、プラズマ中の荷電粒子60が、ガス穴53を介してクリアランス部56に達してしまうことを、ガス穴53を直線で形成した場合に比較して、より低減することができ、ベース材52を、プラズマ中の荷電粒子60、例えば、電子、イオンなどの衝撃や異常放電などから保護できる、という利点を、より良く得ることができる。
【0059】
さらに、本第2例においても、第4の実施形態の第1例と同様に、電極カバー部材51の傾いたガス穴53が、ベース材52のガス穴54からずらされている。このため、上記第1例と同様に、
図7中の矢印61aに示すように、荷電粒子60がガス穴53の内部を直線的に進んできたとしても、この荷電粒子60は、ベース材52のガス穴54に直接に入ることがない。このため、ベース材52を、荷電粒子60、例えば、電子、イオンなどの衝撃や異常放電などから保護できる、という利点を、さらにより良く得ることが可能となる。
【0060】
<第3例>
図8は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第4の実施形態の第3例を示している。
【0061】
電極カバー部材51のガス穴53が、例えば、直線状であると、ガス穴53の処理空間側から、ガス穴53を介してベース材52のガス穴54が直接見えてしまうことがある。ガス穴54が処理空間側から直接見えてしまうと、ガス穴54の内部に荷電粒子60が直接に入る可能性が高まる。
【0062】
このような事情に対して、
図8に示す第3例においては、上記第4の実施形態の第1例及び第2例と同様に、ガス穴53を電極カバー部材51の途中で傾ける。さらに、第3例においては、傾けたガス穴53の側面63を利用して、ベース材52のガス穴54を処理空間側から直接に見えないように隠す。このように傾けたガス穴53の側面63を利用して、ベース材52のガス穴54を処理空間側から直接に見えないように隠すことで、荷電粒子60がガス穴54に直接に入ってしまうような逆流経路を、ガス穴53の側面63によって確実に遮断することができる。
【0063】
このような第4の実施形態の第3例によれば、傾けたガス穴53の側面63を利用してベース材52のガス穴54が処理空間側から直接に見えないように隠すので、ガス穴54を隠さない場合に比較して、荷電粒子60が、ベース材52のガス穴54に直接に入ってしまうことを、より確実に防止できる、という利点を得ることができる。
【0064】
<第4例>
図9は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第4の実施形態の第4例を示している。
【0065】
図9に示すように、第4の実施形態の第4例は、上記第4の実施形態の第3例と同様に、傾けたガス穴53の側面63を利用して、ベース材52のガス穴54を処理空間側から直接に見えないように隠した例である。異なるところは、第3例では、ガス穴53のベース材52側、及び処理空間側の相当ともに水平面に対して90°以外の角度に傾けたのに対し、第4例では、第2例と同様に、ガス穴53の処理空間側については水平面に対して90°、即ち、処理空間に対して垂直としたことである。
【0066】
本第4の実施形態の第4例のように、第4の実施形態の第2例と第3例とを組み合わせることも可能である。
【0067】
(第5の実施形態)
<第1例>
図10Aは
図2中の破線枠III内を処理空間側から見た拡大平面図、
図10Bは
図10A中の10B−10B線に沿う断面図であり、ガス吐出機能付電極の第5の実施形態の第1例を示している。
【0068】
第1〜第4の実施形態は、ベース材52のガス穴54と電極カバー部材51のガス穴53とを、“1対1”で対応させた例であった。
【0069】
しかしながら、ベース材52のガス穴54の1つに対して電極カバー部材51のガス穴53を複数、つまり、ガス穴54とガス穴53とを、“1対多”で対応させることも可能である。
【0070】
図10A及び
図10Bに示す第5の実施形態の第1例においては、電極カバー部材51が、ベース材52のガス穴54の1つに対応する2つのガス穴53-1及び53-2を含むガス穴群70を有している。電極カバー部材51には、このようなガス穴群70が複数形成される。
【0071】
さらに、第5の実施形態の第1例においては、ガス穴群70に含まれたガス穴53-1及び53-2が、ベース材52のガス穴54と重なり合わないように、ガス穴54からずれた位置に配置されている。本例では、ガス穴53-1とガス穴53-2とを一直線上に並べて配置し、ベース材52のガス穴54については、ガス穴53-1とガス穴53-2との間、例えば、ガス穴53-1とガス穴53-2との中間点に位置するように配置している。ガス穴53-1の外周からガス穴53-2の外周までの離間距離Lの一例は1.5mmである。また、ガス穴53-1及び53-2それぞれのガス穴径φAの一例は0.5mm、ガス穴54のガス穴径φBの一例は0.6mmである。
【0072】
第5の実施形態の第1例においては、まず、1つのガス穴54に対して複数のガス穴53、本例では2つのガス穴53-1及び53-2を対応させる。このような構成においては、電極カバー部材51のガス穴群70のコンダクタンスは、ガス穴53-1及びガス53-2それぞれのコンダクタンスの合計値となる。このため、ガス穴群70のコンダクタンスを、ベース材52の1つのガス穴54のコンダクタンスよりも大きくするために、ガス穴53-1及び53-2それぞれの穴径φAを、ガス穴54の穴径φBよりも大きくする必要はなくなる。つまり、ガス穴53-1及び53-2の穴径φAを、ガス穴54の穴径φB以下にすることが可能となる。
【0073】
このように、ガス穴径φAとガス穴径φBとの関係を“φA≦φB”とした場合には、例えば、電極カバー部材51のガス穴群70に含まれるガス穴53-1及び53-2それぞれのコンダクタンスを合計した合成コンダクタンスを、ベース材52の、ガス穴群70に対応する1つのガス穴54のコンダクタンスよりも大きくしておく。このようにすることで、第1例と同様に、ガス吐出時に、電極カバー部材51が処理ガスによる差圧(応力)を受けない、という利点を得ることができる。
【0074】
また、ガス穴53のガス穴径φAをガス穴54のガス穴径φB以下にした場合の、さらなる利点として、ガス穴径φAがガス穴径φB以下となるために、ガス穴径φAがガス穴径φBよりも大きい場合に比較して、処理空間のプラズマからの荷電粒子60が、電極カバー部材51のガス穴53に入り難くなる、もしくは全く入らないガス穴径φAとすることができる、ということを挙げることができる。荷電粒子60が、電極カバー部材51のガス穴53に入り難くなる、もしくは全く入らないと、プラズマから逆流してきた荷電粒子60に起因したベース材52の損傷や、ベース材52の、例えば、ガス穴54の内部における異常放電を抑制する効果を、さらに高めることができる。
【0075】
ガス穴53のガス穴径φAの具体的な径の一例は、0.1mm〜1.0mmである。好ましくは、0.1mm〜0.6mmである。さらに好ましくは、0.3mm〜0.6mmである。
【0076】
また、ガス穴54のガス穴径φBの具体的な径の一例は、0.5mm〜1.0mmである。
【0077】
ガス穴径φAおよびガス穴径φBを上記の範囲として、ガス穴径φAをガス穴径φB以下とされることが実用的という観点で好ましい。
【0078】
また、第5の実施形態の第1例においては、ガス穴53-1及び53-2をガス穴54からずらす。これにより、電極カバー部材51のガス穴53の処理空間側からは、ベース材52のガス穴54が直接見えることがない(
図10A参照)。このため、第5の実施形態の第1例においても、プラズマ中から逆流してきた荷電粒子60が、ベース材52のガス穴54に直接に入らないようにすることができる、という利点をも得ることができる。
【0079】
よって、第5の実施形態の第1例においても、ベース材52を、プラズマ中の荷電粒子60、例えば、電子、イオンなどの衝撃や、ベース材52の、例えば、ガス穴54の内部での異常放電の発生などから保護することが可能となり、ベース材52が損傷し難くなる、という利点を得ることができる。
【0080】
<第2例>
図11は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第5の実施形態の第2例を示している。
【0081】
上記第5実施形態の第1例のように、1つのガス穴54に対して、複数のガス穴53-1及び53-2を対応させるようにすると、
図10Bに示したように、ガス穴53-1及び53-2が、クリアランス部56の外周側に設けられた深さの浅い部分(深さD1の部分)に重なり合ってしまうことがある。ガス穴53-1及び53-2は、深さの浅い部分に重なり合ってもかまわない。しかしながら、ガス穴53-1及び53-2が深さの浅い部分に重なり合わない場合に比較して、プラズマがクリアランス部56の側壁に到達しやすくなることも予想される。
【0082】
このような事情を解消したい場合には、
図11に示すように、例えば、クリアランス部56の穴径φCを大きくし、深さの浅い部分71が、ガス穴53-1及び53-2を含んだガス穴群70の外側に形成されるようにすると良い。
【0083】
<第3例>
図12Aは
図2中の破線枠III内を処理空間側から見た拡大図、
図12Bは
図12A中の12B−12B線に沿う断面図であり、ガス吐出機能付電極の第5の実施形態の第3例を示している。
【0084】
図12A及び
図12Bに示すように、第5の実施形態の第3例は、ガス穴群70に3つのガス穴53-1〜53-3を含ませた例である。本例においては、3つのガス穴53-1〜53-3を、例えば、正三角形の3つの頂点の位置にそれぞれ配置し、ベース材52のガス穴54については、上記正三角形の重心の位置に配置するようにしている。ガス穴53-1〜53-3の外周相互の離間距離Lの一例は1.0mmである。ガス穴53-1〜53-3それぞれのガス穴径φAの一例は0.5mm、ガス穴54のガス穴径φBの一例は0.6mmである。
【0085】
このような第5の実施形態の第3例においても、ガス穴53-1〜53-3それぞれが、ガス穴54からずれており、また、ガス穴53のガス穴径φAがガス穴54のガス穴径φB以下であるので、第5の実施形態の第1例と同様の利点を得ることができる。
【0086】
<第4例>
図13Aは
図2中の破線枠III内を処理空間側から見た拡大平面図、
図13Bは
図13A中の13B−13B線に沿う断面図であり、ガス吐出機能付電極の第5の実施形態の第4例を示している。
【0087】
図13A及び
図13Bに示すように、第5の実施形態の第4例は、ガス穴群70に4つのガス穴53-1〜53-4を含ませた例である。本例においては、4つのガス穴53-1〜53-4を、例えば、正四角形の4つの頂点の位置にそれぞれ配置し、ベース材52のガス穴54については、上記正四角形の重心の位置に配置するようにしている。ガス穴53-1〜53-4の相互の離間距離Lの一例は1.0mmである。ガス穴53-1〜53-4のガス穴径φAの一例は0.5mm、ガス穴54のガス穴径φBの一例は0.6mmである。
【0088】
このような第5の実施形態の第4例においても、ガス穴53-1〜53-4それぞれが、ガス穴54からずれており、また、ガス穴53のガス穴径φAがガス穴54のガス穴径φB以下であるので、第5の実施形態の第1例と同様の利点を得ることができる。
【0089】
<第5例>
図14は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第5の実施形態の第5例を示している。
【0090】
上記第5の実施形態の第1例〜第4例においては、ガス穴径φAがガス穴径φB以下であったが、もちろん、
図14に示すように、ガス穴径φAをガス穴径φBよりも大きくすることも可能である。
図14は、代表的な一例として、第5の実施形態の第4例において、ガス穴径φAをガス穴径φBよりも大きくした例を示している。
【0091】
ガス穴径φAをガス穴径φBよりもどの程度大きくするか、についてであるが、これは、第1の実施形態で説明した通りの条件を採用することができる。即ち、ガス孔径φAの大きさは、1mm以上2mm以下、そして、ガス穴径φAは、ガス穴径φBの1倍を超え、概ね3倍以下とされると良い。より好ましくは、ガス穴径φAは、ガス穴径φBの1.5倍以上3倍以下である。
【0092】
<第6例>
図15は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第5の実施形態の第6例を示している。
【0093】
図10A〜
図14を参照して説明した第5の実施形態については、
図15に示すように、第3の実施形態において説明した面取り部58を設けることも可能である。
図15には、代表的な一例として、第5の実施形態の第1例に対して、面取り部58を設けた例を示している。
【0094】
このような第5の実施形態の第6例においては、第5の実施形態の第1例〜第5例と同様の利点に加え、ベース材52に対する電極カバー部材51の取り付け位置がずれた場合や、熱膨張の差に起因したガス穴のずれが生じた場合でも、ベース材52の小さいガス穴54を通ってきた処理ガスを、電極カバー部材51のガス穴53に確実に引き込むことができる、という利点を得ることができる。
【0095】
<第7例>
図16は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第5の実施形態の第7例を示している。
【0096】
図10A〜
図15を参照して説明した第5の実施形態については、
図16に示すように、第4の実施形態において説明したように、複数のガス穴53-1及び53-2を、電極カバー部材51の途中で傾けることも可能である。
図16には、代表的な一例として、第5の実施形態の第1例におけるガス穴53-1及び53-2を、電極カバー部材51の途中で傾けた例を示している。
【0097】
このような第5の実施形態の第7例においては、第5の実施形態の第1例〜第6例と同様の利点に加え、ガス穴53-1及び53-2を、電極カバー部材51の途中で傾けるので、プラズマ中から逆流してきた荷電粒子60が、ベース材52のガス穴54に直接に入らないようにできる、という利点を、より良く得ることができる。
【0098】
(第6の実施形態)
図17は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第6の実施形態の一例を示している。
【0099】
第5の実施形態においては、電極カバー部材51のガス穴53と、ベース材52のガス穴54とが重なり合わないように、ガス穴53とガス穴54とをずらして配置すると、プラズマ中から逆流してきた荷電粒子60が、ベース材52のガス穴54に直接に入らないようにできることを説明した。
【0100】
この観点は、ベース材52のガス穴54と電極カバー部材51のガス穴53とを“1対1”で対応させた場合にも応用することができる。
図17に示す第6の実施形態においては、電極カバー部材51の1つのガス穴53と、ベース材52の1つのガス穴54とが重なり合わないように、ガス穴53とガス穴54とをずらして配置されている。これにより、プラズマ中から逆流してきた荷電粒子60が、ベース材52のガス穴54に直接に入らないようにすることができる、という利点を得ることができる。
【0101】
(第7の実施形態)
図18は、
図2中の破線枠III内を拡大して示す拡大図であり、ガス吐出機能付電極の第7の実施形態の一例を示している。
【0102】
第1〜第6の実施形態においては、凹状のクリアランス部56を、ベース材52の電極カバー部材51との接合面側に形成した。しかし、
図18に示すように、凹状のクリアランス部56は、電極カバー部材51のベース材52との接合面側に形成することも可能である。この場合、耐消耗被膜処理により形成される被膜57は、例えば、クリアランス部56に露出されるベース材52の部分に形成される。
図18には、代表的な一例として、第2の実施形態の一例のクリアランス部56を、ベース材52に代えて電極カバー部材51に形成した例を示している。本第7の実施形態は、特に図示しないが、第1〜第6の実施形態の全ての例において、適用することが可能である。
【0103】
このようにクリアランス部56を、電極カバー部材51に形成した第7の実施形態においても、第1〜第6の実施形態において説明した利点と同様の利点を得ることができる。
【0104】
なお、クリアランス部56は、ベース材52の電極カバー部材51との接合面側、および電極カバー部材51のベース材52との接合面側の双方に、それぞれ形成することも可能である。この場合には、上記被膜57は、第1〜第6の実施形態と同様に、ベース材52のクリアランス部56の、電極カバー部材51との接合面側に形成されれば良い。
【0105】
以上、この発明の、特に、第1〜第3の実施形態によれば、電極カバー部材51のガス穴53のガス穴径φAを、ベース材52のガス穴54のガス穴径φBよりも大きくすることで、最大ガス流量に関する自由度に富み、電極カバー部材51の薄型化も可能であり、かつ、ガス導入時の処理室2内におけるガス挙動の経時的な変化も発生し難いガス吐出機能付電極、本一実施形態においてはシャワーヘッドを提供できる。また、そのようなガス吐出機能付電極を備えたプラズマ処理装置を提供できる。
【0106】
さらに、この発明の、特に、第4の実施形態によれば、ガス穴53を、電極カバー部材51の途中で傾けることで、プラズマ中から逆流してきた荷電粒子60が、ベース材52のガス穴54に直接に入らないようにすることができる。これにより、ベース材52を、プラズマ中の荷電粒子60、例えば、電子、イオンなどの衝撃や異常放電などから、よりよく保護することが可能となり、ベース材52や電極カバー部材51がさらに損傷し難くなる、という利点を得ることができる。
【0107】
さらに、この発明の、特に、第5の実施形態によれば、1つのガス穴54に対して複数のガス穴53、本例では2つのガス穴53-1及び53-2を対応させることで、複数のガス穴53の合成コンダクタンスを、1つのガス穴54のコンダクタンスよりも大きくした状態で、複数のガス穴53-1及び53-2それぞれの穴径φAを、ガス穴54の穴径φB以下にすることができる。このように、複数のガス穴53-1及び53-2それぞれの穴径φAを、ガス穴54の穴径φB以下にすることによっても、プラズマ中の荷電粒子60が直接にガス穴54に入ることを抑制できる。よって、ベース材52を、プラズマ中の荷電粒子60、例えば、電子、イオンなどの衝撃や異常放電などから、よりよく保護することが可能となり、ベース材52や電極カバー部材51がさらに損傷し難くなる、という利点を得ることができる。
【0108】
このようなガス吐出機能付電極、及びそのようなガス吐出機能付電極を備えたプラズマ処理装置にあっては、例えば、パージ処理において、スループットを向上させるために、大量のパージガスを処理室2に導入し、処理室2内のガスを急速に置換する必要がある場合などに有利である。
【0109】
また、処理装置のクリーニング手法の一つであり、ガス吐出機能付電極、本例ではシャワーヘッド5から大量のクリーニングガスを処理室2内に急激に導入することにより発生するガス衝撃力を用いたNPPC(Non Plasma Particle Cleaning)処理を、プラズマ処理装置に実行させる場合にも、特に有利である。
【0110】
このように、プロセス中に行われるパージ処理については、ガス吐出機能付電極から大量のパージガスを処理室2内に導入できるので、プロセス時間短縮を図ることができ、スループットの向上に有効である。
【0111】
また、プラズマ処理装置をクリーニングする時には、処理室2内に大量のガスを導入することによるガス衝撃力を用いたNPPC処理のシーケンスを、電極カバー部材51の損傷を抑制しつつ適用することも可能となる。つまり、大量のガスを電極カバー部材51のガス穴53から吐出させても、電極カバー部材51が割れ難くなる。
【0112】
なお、NPPC処理の処理条件の一例を挙げるならば、
クリーニングガス : N
2(不活性ガス)
クリーニングガス流量: 2000〜10000sccm
クリーニング時間 : 1sec〜10min (好ましくは1sec〜3min)
クリーニング温度 : 室温〜300℃ (室温は25℃)
処理空間の状態 : ノンプラズマ状態
である。このように、NPPC処理においては、特に、クリーニングガスを2000sccm〜10000といった大流量で急激に処理室2内に一気に導入する。上記実施形態に係るガス吐出機能付電極は、プラズマ処理装置に、例えば、NPPC処理のシーケンスを適用する場合において、特に、有用である。
【0113】
NPPC処理の具体的な一例を説明する。まず、例えば、
図1に示したプラズマ処理装置1の処理室2内を、排気装置11を用いて真空引きする。次いで、例えば、排気装置11内に設けられた図示せぬ排気経路中にある排気バルブを閉める。次いで、排気装置11を止める。次いで、上記排気バルブを閉めた状態で、クリーニングガスとして、例えば、不活性ガスであるN
2ガスを用い、このN
2ガスを、ガス流量2000sccmで30sec間、ガス吐出機能付電極、例えば、シャワーヘッド5から一気に処理室2内に吐出させる。また、処理室2内の温度は、例えば、100℃とする。このようなN
2ガスの吐出の際のガス衝撃力を利用して、処理室2の内部にあるパーツ(例えば、載置台4やシャワーヘッド5)の表面や、処理室2の内壁に付着したパーティクル、及び堆積された膜をとばす。次いで、N
2ガスの吐出を止める。次いで、上記排気バルブを開けて処理室2内から、とばされたパーティクルや膜を、排気装置11を用いて処理室2の外部へ排気する。
【0114】
例えば、このようなNPPC処理により、処理室2の内部をクリーニングすることができる。
【0115】
なお、NPPC処理におけるクリーニングガスとしては、上述のとおり、不活性ガスを利用することも可能であるが、一般的なクリーニングに使用されるクリーニングガス、例えば、構成元素にフッ素と酸素を含むガス等も用いることができる。このようなガスとしては、例えば、フッ素化合物および/または酸素と、キャリヤーとしての不活性ガスとの混合ガスが挙げられ、好適なものとして、
NF
3/O
2/He
NF
3/O
2/Ar
NF
3/He
NF
3/Ar
COF
2/He
COF
2/Ar
CF
4/He
CF
4/Ar
CF
4/O
2/He
CF
4/O
2/Ar
等の混合ガスを例示することができる。
【0116】
なお、この発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。また、この発明の実施形態は上記実施形態が唯一の実施形態でもない。
【0117】
例えば、上記実施形態では、プラズマ処理装置として平行平板型の容量結合プラズマ処理装置を例示したが、これに限られるものではない。ガス吐出機能付電極を備えたプラズマ処理装置であれば、この発明は適用することができる。例えば、この発明は、ガス吐出機能付電極を備えた誘導結合プラズマ処理装置や、同じくガス吐出機能付電極を備えたマイクロ波プラズマ処理装置などにも適用することができる。
その他、この発明はその要旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。