【文献】
Chantrapromma, Kan; Ollis, W. David; Sutherland, Ian O.,Base catalyzed rearrangements involving ylide intermediates. Part 18. Competing [1,2], [1,3], and [1,4] rearrangements of ammonium ylides,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry (1972-1999),1983年,(5),1049-61
【文献】
Mageswaran, Sivapathasuntharam et al.,Base catalyzed rearrangements involving ylide intermediates. Part 11. Rearrangements of 3-phenylprop-2-ynylammonium ylides,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry (1972-1999),1981年,(7),1969-80
【文献】
Dominianni, Samuel J.; Yen, Terence T.,Oral hypoglycemic agents. Discovery and structure-activity relationships of phenacylimidazolium halides,Journal of Medicinal Chemistry ,1989年,32(10),2301-6
【文献】
Katritzky, Alan R. et al.,Reactions of 4-dimethylaminopyridine with electrophiles,Chemica Scripta,1984年,24(1),7-10
【文献】
Piskunova, Zh. P. et al.,Kinetics of interaction of α-halodeoxybenzoins with aliphaticamines. 1. Structure effect of amine,Organic Reactivity (Tartu),1984年,21(4),418-27
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について、その好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の新規化合物は、上記一般式(1)又は(2)で表されるものである。該新規化合物は、上記一般式(1)又は(2)で表されるものだけに留まらず、合成過程で用いた塩基種が、更に配位したものも含まれるが、本発明はこれらを区別するものではない。
【0014】
上記一般式(1)及び(2)中のAr
1又はAr
2で表される置換基を有していてもよい芳香族環としては、無置換の芳香族炭化水素環、無置換の芳香族複素環、又は置換基を有する芳香族炭化水素環又は置換基を有する芳香族複素環が挙げられる。
Ar
1及びAr
2で表される基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であれば、特に限定されないが、通常、炭素原子数4〜40であり、好ましくは炭素原子数4〜30であり、更に好ましくは炭素原子数4〜20である。
無置換の芳香族炭化水素環としては、フェニル、ナフチル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル等が挙げられ、無置換の芳香族複素環としては、フラン、チエニル、ベンゾチエニル等が上げられる。
【0015】
Ar
1又はAr
2が置換基を有する芳香族炭化水素環又は芳香族複素環である場合は、上記無置換の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環の水素原子をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR、−SR、−COOR、−SO
2R、−COR、−NRR’、炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換したもの等が挙げられる。
R及びR’は、水素原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
尚、炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、以下で説明するR
1が取り得る基が挙げられる。
【0016】
上記一般式(1)及び(2)中の、R
1、R
2及びR
3並びに上記一般式(1)中のXで表される置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基は、置換基を有していない又は置換基を有しているものであり、置換基を有していない炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル等の脂肪族炭化水素;フェニル、ナフチル等の芳香族炭化水素;ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、3−フェニルプロパン−1−イル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル等のアルキル鎖で連結された芳香族炭化水素等が挙げられ、
置換基を有している炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、上記置換基を有していない炭化水素基のアルキル鎖が、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CS−、−S−、−SO−、−SO
2−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−COO−、−OCO−NR−又は−SiRR’−で中断されている、及び/又は、炭化水素基中の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、−NH
2、−COOH又は−SO
2Hで置換されているものが挙げられる。R及びR’は、水素原子又は上記置換基を有していない炭素原子数1〜20の炭化水素基である。尚、中断される基及び置換する基に炭素原子を含む場合、中断する基及び置換する基を含めた炭素原子数が1〜20となる。
【0017】
上記一般式(1)中の、R
4、R
5、R
6、X、上記一般式(2)中のAr
3並びに上記構造式(3)、(9)、(12)〜(15)及び(18)中のR
7で表される炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、R
1で説明した脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられ、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスレニル、ベンジル、フェニルエチル、又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR、−SR、−COOR、−SO
2R、−COR、−NRR’若しくは上記脂肪族炭化水素基で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル、ベンジル、フェニルエチル等が挙げられる。R及びR’は、上記と同様の基である。尚、炭素原子数1〜20は、置換する基を含めたR
4、R
5、R
6、X又はR
7での基全体の炭素原子数を表す。
【0018】
上記一般式(1)中の、R
4、R
5及びR
6で表される炭素原子数2〜20の複素環基としては、脂肪族複素環基又は芳香族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基としては、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリル等が挙げられ、芳香族複素環基としては、ピリジル、ピリミジル、フリル、チエニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル等が挙げられる。これらの複素環基は上記脂肪族炭化水素、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、−COOR又は−SO
2Hで1又は複数箇所置換されていてもよい。
【0019】
上記一般式(1)中の、R
1、R
2及びR
3が互いに連結して形成し得る環としては、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミノ環、ピロリジン環、アザシクロオクタン環、チアゾリン環、ピラゾリン環、ピロリン環、チアゾリン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環等が挙げられる。
また、上記一般式(1)中の、R
4が、−X−を介して隣接するベンゼン環の炭素原子の1つと結合して形成し得る環としては、カルバゾール環、チオキサントン環、フルオレン環、アントロン環、ジヒドロアントラセン環、ジベンゾアジピン環等が挙げられる。
【0020】
上記一般式(1)中の、R
4とR
5が一緒になって形成し得る環、R
31、R
32、R
33及びR
34が隣接するベンゼン環と一緒になって形成し得る環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等の5〜7員環が好ましく挙げられる。
【0021】
上記一般式(1)中のAn
q-で表されるq価の陰イオンとしては、例えば、例えば、塩素陰イオン、臭素陰イオン、ヨウ素陰イオン、フッ素陰イオン等のハロゲンイオン;過塩素酸陰イオン、塩素酸陰イオン、チオシアン酸陰イオン、六フッ化リン酸陰イオン、六フッ化アンチモン陰イオン、六フッ化ヒ素陰イオン、四フッ化ホウ素陰イオン等の無機ハロゲン化陰イオン;メタンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸陰イオン、トルエンスルホン酸陰イオン、1−ナフチルスルホン酸陰イオン、2−ナフチルスルホン酸陰イオン、トリフルオロメタンスルホン酸陰イオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸陰イオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸陰イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸陰イオン、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸陰イオン、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸陰イオン、ペンタデカフルオロヘプタンスルホン酸陰イオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸イオン、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、N−アルキル(又はアリール)ジフェニルアミン−4−スルホン酸陰イオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸陰イオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、特開2004−53799号公報に記載されたスルホン酸陰イオン、カンファースルホン酸陰イオン、フルオロベンゼンスルホン酸陰イオン、ジフルオロベンゼンスルホン酸陰イオン、トリフルオロベンゼンスルホン酸陰イオン、テトラフルオロベンゼンスルホン酸陰イオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸陰イオン等のスルホン酸陰イオン;オクチルリン酸陰イオン、ドデシルリン酸陰イオン、オクタデシルリン酸陰イオン、フェニルリン酸陰イオン、ノニルフェニルリン酸陰イオン、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスホン酸陰イオン等のリン酸陰イオン;ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドイオン、フタルイミドイオン、o−スルホベンズイミド、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホン)イミドイオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホン)イミドイオン、ビス(ウンデカフルオロペンタンスルホン)イミドイオン、ビス(ペンタデカフルオロヘプタンスルホン)イミドイオン、ビス(トリデカフルオロヘキサンスルホン)イミドイオン、ビス(ヘプタデカフルオロオクタンスルホンイミド)イオン、(トリフルオロメタンスルホン)(ノナフルオロブタンスルホン)イミドイオン、(メタンスルホン)(トリフルオロメタンスルホン)イミドイオン、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド陰イオン等のイミドイオン;テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸陰イオン、テトラキス(4−フルオロフェニル)ホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、特開2007−112854号公報に記載されたホウ酸陰イオン、特開平成6−184170号公報に記載されたホウ酸陰イオン、特表2002−526391号公報に記載されたホウ酸陰イオン、特願2007−285538号公報に記載されたホウ酸陰イオン等のテトラアリールホウ酸陰イオン;安息香酸陰イオン、トリフルオロ酢酸陰イオン、2−オキソ−2−フェニル酢酸陰イオン等のカルボン酸陰イオン;N,N−ジエチルジチオカルバミド酸陰イオン等のジチオカルバミド酸陰イオン;トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、トリス(メタンスルホニル)メチド等の有機スルホニルメチドイオン等が挙げられ、更に、アルキルスルホン酸イオンやフルオロ置換アルキルスルホン酸イオン、アルキルスルホンイミド、フルオロ置換アルキルスルホンイミドが、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基で置換されたものや、ノルボルニル基、アダマンチル基等の脂肪族環状アルキル基で置換されたものが挙げられる。また、励起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するクエンチャー陰イオンやシクロペンタジエニル環にカルボキシル基やホスホン酸基、スルホン酸基等の陰イオン性基を有するフェロセン、ルテオセン等のメタロセン化合物陰イオン等も、必要に応じて用いることができる。
An
q-で表されるq価の陰イオンの中でも、発生する塩基による樹脂組成物の硬化性が高い点から、ハロゲンイオン、無機ハロゲン化陰イオン、スルホン酸陰イオン、テトラアリールホウ酸陰イオン、カルボン酸陰イオン及びジチオカルバミド酸陰イオンが好ましく、テトラアリールボランアニオン、トリアリールアルキルボランアニオン、チオシアネートアニオン、ジチオカルバミン酸アニオン、フタルイミドアニオン、ヨウ素アニオン、スルホベンズイミドアニオン、テトラフルオロホウ素アニオン、6フッ化リンアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオンがより好ましく、中でも、テトラアリールボランアニオン、トリフェニルアルキルボランアニオン、チオシアネートアニオンが特に好ましい。
【0022】
上記一般式(1)で表される新規化合物のカチオンとしては、UV感度、発生する塩基の強塩基性、硬化性、保存安定性、不揮発性に優れる点から、R
1、R
2若しくはR
3が、アルキル、アルキル鎖を介したジアミン;R
1、R
2若しくはR
3が互いに結合し環を形成したイミダゾール、トリアゾール、アザビシクロアミン、グアニジン及びこれらの基をアルキル基で置換した基であるカチオンが好ましく、中でもR
1、R
2若しくはR
3が互いに結合し環を形成したイミダゾール、トリアゾール、アザビシクロアミン、グアニジン及びこれらの基をアルキル基で置換した基であるカチオンがより好ましい。
また、UV感度に優れる点から、Xが、硫黄原子又はNR
33(R
33が、アルキル基又はフェニル基であるもの、特にアルキル基であるもの)であるカチオンが好ましい。
また、UV感度に優れ、吸収波長の長波長化及び樹脂への溶解性に優れる点から、Ar
1がフェニル、ナフチル、又はニトロ基、−COOH若しくは炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基(−O−、−COO−、−OCO−、−CO−で中断されているいるものを含む)で置換されたフェニル若しくはナフチルであるカチオンが好ましく、フェニル又はナフチルであるカチオンがより好ましい。
また、UV感度に優れ、吸収波長の長波長化及び樹脂への溶解性に優れる点から、R
4又はR
5が、水素原子、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基又は炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基(−S−、−CO−で中断されているものを含む)であるカチオンが好ましく、水素原子、ニトロ基、チオール基又は炭素原子数1〜20の無置換脂肪族炭化水素基であるカチオンがより好ましい。
また、UV感度に優れ、製造が容易な点から、R
6が、水素原子、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基(−O−で中断されているものを含む)又は炭素原子数1〜20の無置換芳香族炭化水素基であるカチオンが好ましく、水素原子又は炭素原子数1〜20の無置換脂肪族炭化水素であるカチオンがより好ましい。
【0023】
上記一般式(2)で表される新規化合物のカチオンとしては、UV感度、発生する塩基の強塩基性、硬化性、保存安定性、不揮発性に優れる点から、R
1、R
2若しくはR
3が、アルキル、アルキル鎖を介したジアミン;R
1、R
2若しくはR
3が互いに結合し環を形成したイミダゾール、トリアゾール、アザビシクロアミン、グアニジン及びこれらの基をアルキル基で置換した基であるカチオンが好ましく、中でもR
1、R
2若しくはR
3が互いに結合し環を形成したイミダゾール、トリアゾール、アザビシクロアミン、グアニジン及びこれらの基をアルキル基で置換した基であるカチオンがより好ましい。
また、UV感度に優れ、吸収波長の長波長化及び樹脂への溶解性に優れる点から、Ar
2がフェニル、ナフチル、又はニトロ基、−COOH若しくは炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基(−O−、−COO−、−OCO−、−CO−で中断されているいるものを含む)で置換されたフェニル若しくはナフチルであるカチオンが好ましく、フェニル又はナフチルであるカチオンがより好ましい。
また、UV感度に優れる点から、Ar
3がフェニル、ナフチル又はニトロ基若しくはチオール基で置換されたフェニル若しくはナフチルであるカチオンが好ましく、ナフチル又はニトロ基若しくはチオール基で置換されたナフチルであるカチオンがより好ましい。
また、UV感度に優れ、製造が容易な点から、R
6が、水素原子、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基(−O−で中断されているものを含む)又は炭素原子数1〜20の無置換芳香族炭化水素基であるカチオンが好ましく、水素原子又は炭素原子数1〜20の無置換脂肪族炭化水素であるカチオンがより好ましい。
【0024】
上記一般式(1)又は(2)で表される新規化合物のカチオンとして具体例としては、以下の化合物No.1〜No.26が挙げられる。但し、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0027】
上記一般式(1)で表される新規化合物は、特に限定されないが、例えば、下記〔化5〕の方法で製造できる。
即ち、原料1を臭素により臭素化物1とし、アミンと反応させることで上記一般式(1)で表される新規化合物を得る。
【0028】
【化5】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、Ar
1、a、b及びXは上記一般式(1)と同じである。)
【0029】
また、本発明の新規化合物は、上記合成過程において用いるアミンが更に配位したものとして、取り出されることがあるが、該新規化合物が用いられる用途において、同様に用いることが出来る。例えば、上記化合物No.1においては、下記〔化6〕のような配位状態であると考えられる。
【0031】
本発明の新規化合物は、以下で説明する光塩基発生剤及びラジカル発生剤である光開始剤として好適に用いることが出来るほか、化学増幅型レジスト等に用いることが出来る。
【0032】
次に、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。尚、特に説明しない点については、本発明の新規化合物における説明が適宜適用される。
【0033】
<(A)光開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)光開始剤は上記一般式(1)又は(2)で表される新規化合物を少なくとも1種含んでいるものである。光開始剤中における上記一般式(1)又は(2)で表される新規化合物の含有量は、好ましくは1〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。
(A)光開始剤としては、上記一般式(1)で表される新規化合物が、感光性樹脂の硬化性に優れる点で好ましく、エネルギー線に対する感度も高い。
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)光開始剤の含有量は、(B)感光性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。(A)光開始剤の含有量が、1質量部未満であると、感度不足による硬化不良などが起こる可能性があり、20質量部を超えると光照射時又は加熱時の揮発物が多くなる可能性がある。
【0034】
<(B)感光性樹脂>
本発明で用いられる(B)感光性樹脂は、上記(A)光開始剤にエネルギー線を照射することで生ずる活性種(塩基及びラジカル)により重合する樹脂又は該活性種を触媒として硬化温度が低温化する樹脂である。塩基活性種により重合する樹脂及び塩基活性種を触媒として硬化温度が低温化する樹脂は、アニオン重合性官能基を有するものであり、該アニオン重合性官能基としては、例えば、エポキシ基、エピスルフィド基、環状モノマー(σ-バレロラクトン、ε-カプロラクタム)、イソシアネートとアルコールによるウレタン結合形成の触媒、(メタ)アクリル基のマイケル付加触媒、等を有するものが挙げられる。感光性樹脂の例としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、速やかに反応が進行することや接着性が良好であるという点から、エポキシ樹脂が好適である。
また、ラジカル活性種により重合する樹脂は、不飽和二重結合基を有するものであり、該不飽和二重結合基としては、例えば、メタクリル基、アクリル基、アリル基等を有するものが挙げられる。感光性樹脂の例としては、例えば、メタクリレート、アクリレート、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、速やかに反応が進行することから、メタクリレート、アクリレートが好適である。
【0035】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族又は脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類、及びグリシジルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化アクリロニトリル−ブタジエン共重合物、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物が挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂は末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの或いは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)で高分子量化したものでもよい。
上記エポキシ樹脂の中では、硬化性に優れる点から、グリシジル基を有するものが好ましく、2官能以上のグリシジル基を有するものがより好ましい。
【0036】
上記ポリイミド樹脂としては、酸二無水物としてはエチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2,3,3−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジアミンとしては、(o−,m−若しくはp−)フェニレンジアミン、(3,3'−若しくは4,4’−)ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノベンゾフェノンノン、(3,3’−若しくは4,4’−)ジアミノジフェニルメタン等を原料とする樹脂が挙げられる。
【0037】
上記ポリウレタン樹脂としては、ジイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリオール(多官能アルコール)とを原料とする樹脂等が挙げられる。
また、上記ナイロン樹脂としては、ε―カプロラクタム、ラウリルラクタム等の環状モノマーを原料とした樹脂等が挙げられる。
また、上記ポリエステル樹脂としては、δ―バレロラクトン、β―プロピオラクトン等の環状モノマーを原料とした樹脂等が挙げられる。
【0038】
上記メタクリレート、アクリレートとしては特に限定されず、例えば、ウレタン結合を有するウレタンメタクリレート、ウレタンアクリレート、グリシジル基を有する化合物とアクリル酸とから誘導されるエポキシアクリレート等が挙げられる。
【0039】
上記ウレタンメタクリレート、ウレタンアクリレートとしては特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートと、アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート等のイソシアネートと付加反応する反応性化合物との誘導体等が挙げられる。これらの誘導体はカプロラクトンやポリオール等で鎖延長させてもよい。市販品としては、例えば、U−122P、U−3,40P、U−4HA、U−1084A(以上、新中村化学工業社製);KRM7595、KRM7610、KRM7619(以上、ダイセルサイテック社製)等が挙げられる。
【0040】
上記エポキシアクリレートとしては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂と、メタクリル酸又はアクリル酸とから誘導されたエポキシメタクリレート、エポキシアクリレート等が挙げられる。
また、市販品としては、例えば、EA−1020、EA−6320、EA−5520(以上、新中村化学工業社製);エポキシエステル70PA、エポキシエステル3002A(以上、共栄社化学社製)等が挙げられる。
また、その他のメタクリレート、アクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、グリセリンジメタクリレート等が挙げられる。
【0041】
また、上記(B)感光性樹脂としては、1分子内にアニオン重合性官能基と不飽和二重結合基とをそれぞれ1つ以上有する樹脂も好適に用いることができる。
そのような樹脂としては、例えば、上記エポキシ樹脂のエポキシ基の一部分を常法に従って、塩基性触媒の存在下メタクリル酸又はアクリル酸と反応させることにより得られる化合物、2官能以上のイソシアネート1モルに水酸基を有するメタクリルモノマー又はアクリルモノマーを1/2モル、続いてグリシドールを1/2モル反応させて得られる化合物、イソシアネート基を有するメタクリレート又はアクリレートにグリシドールを反応させて得られる化合物等が挙げられる。上記エポキシ/メタクリル樹脂又はエポキシ/アクリル樹脂の市販品としては、例えば、UVAC1561(ダイセルサイテック社製)、4HBAGE(日本化成社製)等が挙げられる。
【0042】
本発明で用いられる(B)感光性樹脂としては、上記で説明した具体的な樹脂を自由に混合して用いることができる。
【0043】
<(C)連鎖移動剤又は増感剤>
本発明の感光性組成物には、連鎖移動剤又は増感剤を用いることができる。
【0044】
上記連鎖移動剤又は増感剤としては、一般的に硫黄原子含有化合物が用いられる。例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4−メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、下記化合物No.C1、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の脂肪族多官能チオール化合物、昭和電工社製カレンズMT BD1、PE1、NR1等が挙げられる。
【0046】
さらに、増感剤としては、インドリン類、チアジン類、トリアリールメタン類、キサントン類、チオキサントン類、オキサジン類、アクリジン類、フェナジン類、ローダミン類等を挙げることもでき、中でも、チオキサントン類、オキサジン類、アクリジン類、フェナジン類、ローダミン類を好ましく用いることができる。
【0047】
本発明の感光性樹脂組成物において、(C)連鎖移動剤又は増感剤の使用量は、(A)光重合開始剤100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましい。
【0048】
<(D)添加剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、任意成分として、無機化合物、色材、潜在性エポキシ硬化剤、溶剤等の添加剤を用いることができる。
【0049】
上記無機化合物としては、例えば、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;層状粘土鉱物、ミロリブルー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コバルト系、マンガン系、ガラス粉末(特にガラスフリット)、マイカ、タルク、カオリン、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、水酸化アルミニウム、白金、金、銀、銅等が挙げられる。これらの無機化合物は、例えば、充填剤、反射防止剤、導電材、安定剤、難燃剤、機械的強度向上剤、特殊波長吸収剤、発インク剤等として用いられる。
【0050】
上記色材としては、顔料、染料、天然色素等が挙げられる。これらの色材は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0051】
上記顔料としては、例えば、ニトロソ化合物;ニトロ化合物;アゾ化合物;ジアゾ化合物;キサンテン化合物;キノリン化合物;アントラキノン化合物;クマリン化合物;フタロシアニン化合物;イソインドリノン化合物;イソインドリン化合物;キナクリドン化合物;アンタンスロン化合物;ペリノン化合物;ペリレン化合物;ジケトピロロピロール化合物;チオインジゴ化合物;ジオキサジン化合物;トリフェニルメタン化合物;キノフタロン化合物;ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;ファーネス法、チャンネル法又はサーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック又はランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整又は被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂で分散処理し、20〜200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性又はアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のカーボンブラック、950℃における揮発分中のCO及びCO
2から算出した全酸素量が、表面積100m
2当たり9mg以上であるカーボンブラック;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン;アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック;酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー等の有機又は無機顔料を用いることができる。これらの顔料は単独で、或いは複数を混合して用いることができる。
【0052】
上記顔料としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ−ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0053】
上記染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0054】
上記潜在性エポキシ硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、変性ポリアミン、ヒドラジド類、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、三フッ化ホウ素アミン錯塩、イミダゾール類、グアナミン類、イミダゾール類、ウレア類及びメラミン等が挙げられる。
【0055】
上記溶媒としては、通常、上記の各成分((A)光開始剤、(B)感光性樹脂及び(C)連鎖移動剤又は増感剤等)を溶解又は分散しえる溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒;アニリン;トリエチルアミン;ピリジン;酢酸;アセトニトリル;二硫化炭素;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシド;水等を用いることができ、これらの溶媒は1種で又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
これらの中でも、アルカリ現像性、パターニング性、製膜性、溶解性の点から、ケトン類、エーテルエステル系溶媒等、特にプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、溶媒の含有量は、特に制限されず、各成分が均一に分散又は溶解され、また本発明の感光性樹脂組成物が各用途に適した液状ないしペースト状を呈する量であればよいが、通常、本発明の感光性樹脂組成物中の固形分(溶媒以外の全成分)の量が10〜90質量%となる範囲で溶媒を含有させることが好ましい。
【0056】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ウレタン樹脂、ポリカーボネートポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記有機重合体を使用する場合、その使用量は、(B)感光性樹脂100質量部に対して、好ましくは10〜500質量部である。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物には、更に、界面活性剤、シランカプリング剤、メラミン化合物等を併用することができる。
【0058】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤;高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤;高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤;両性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0059】
上記シランカップリング剤としては、例えば信越化学社製シランカップリング剤を用いることができ、その中でも、KBE−9007、KBM−502、KBE−403等の、イソシアネート基、メタクリロイル基又はエポキシ基を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
【0060】
上記メラミン化合物としては、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CH
2OH基)の全部又は一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物等を挙げることができる。
ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基又はブチル基が挙げられ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合していてもよく、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されていてもよい。
具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。
これらの中でも、溶媒への溶解性、感光性樹脂組成物から結晶析出しにくいという点から、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のアルキルエーテル化されたメラミンが好ましい。
【0061】
本発明の感光性樹脂組成物において、(A)光開始剤、(B)感光性樹脂及び(C)連鎖移動剤又は増感剤以外の任意成分(但し、無機化合物、色材、及び溶媒は除く)の使用量は、その使用目的に応じて適宜選択され特に制限されないが、好ましくは、(B)感光性樹脂100質量部に対して合計で50質量部以下とする。
【0062】
本発明の感光性樹脂組成物は、エネルギー線を照射して硬化物とすることができる。該硬化物は、用途に応じた適宜な形状として形成される。例えば膜状の硬化物を形成する場合には、本発明の感光性樹脂組成物は、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0063】
本発明の感光性樹脂組成物を硬化させる際に用いられるエネルギー線の光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、キセノンアーク灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストロームから7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を利用することができるが、好ましくは、波長300〜450nmの光を発光する超高圧水銀ランプ、水銀蒸気アーク灯、カーボンアーク灯、キセノンアーク灯等が用いられる。
【0064】
更に、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用であり、そのレーザー光としては、340〜430nmの波長の光が好適に使用されるが、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー及びYAGレーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いることができる。これらのレーザー光を使用する場合には、好ましくは、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。
【0065】
また、本発明の感光性樹脂組成物の硬化には、上記エネルギー線の照射後、加熱することが通常必要であり、40〜150℃程度の加熱が硬化率の点で好ましい。
【0066】
本発明の感光性樹脂組成物は、光硬化性塗料又はワニス;光硬化性接着剤;プリント基板;カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示素子におけるカラーフィルタ;CCDイメージセンサのカラーフィルタ;プラズマ表示パネル用の電極材料;粉末コーティング;印刷インク;印刷版;接着剤;歯科用組成物;ゲルコート;電子工学用のフォトレジスト;電気メッキレジスト;エッチングレジスト;ドライフィルム;はんだレジスト;種々の表示用途用のカラーフィルタを製造するための或いはプラズマ表示パネル、電気発光表示装置、及びLCDの製造工程においてそれらの構造を形成するためのレジスト;電気及び電子部品を封入するための組成物;ソルダーレジスト;磁気記録材料;微小機械部品;導波路;光スイッチ;めっき用マスク;エッチングマスク;カラー試験系;ガラス繊維ケーブルコーティング;スクリーン印刷用ステンシル;ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料;ホログラフィ記録用材料;画像記録材料;微細電子回路;脱色材料;画像記録材料のための脱色材料;マイクロカプセルを使用する画像記録材料用の脱色材料;印刷配線板用フォトレジスト材料;UV及び可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料;プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料又は保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0067】
本発明の感光性樹脂組成物は、液晶表示パネル用スペーサーを形成する目的及び垂直配向型液晶表示素子用突起を形成する目的で使用することもできる。特に垂直配向型液晶表示素子用の突起とスペーサーを同時に形成するための感光性樹脂組成物として有用である。
【0068】
上記の液晶表示パネル用スペーサーは、(1)本発明の感光性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程、(2)該塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介してエネルギー線(光)を照射する工程、(3)露光後のベーク工程、(4)露光後の被膜を現像する工程、(5)現像後の該被膜を加熱する工程により好ましく形成される。
【0069】
色材を添加した本発明の感光性樹脂組成物は、カラーフィルタにおけるRGB等の各画素を構成するレジストや、各画素の隔壁を形成するブラックマトリクス用レジストとして好適に用いられる。更に、撥インク剤を添加するブラックマトリクス用レジストの場合、プロファイル角が50°以上であるインクジェット方式カラーフィルタ用隔壁に好ましく用いられる。該撥インク剤としては、フッ素系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有する組成物が好適に用いられる。
【0070】
上記インクジェット方式カラーフィルタ用隔壁に用いた場合、本発明の感光性樹脂組成物から形成された隔壁が被転写体上を区画し、区画された被転写体上の凹部にインクジェット法により液滴を付与して画像領域を形成する方法により光学素子が製造される。この際、上記液滴が着色剤を含有し、上記画像領域が着色されていることが好ましく、その場合には、上記の製造方法により作製された光学素子は、基板上に複数の着色領域からなる画素群と該画素群の各着色領域を離隔する隔壁を少なくとも有するものとなる。
【0071】
本発明の感光性樹脂組成物は、保護膜又は絶縁膜用組成物としても用いることができる。この場合、紫外線吸収剤、アルキル化変性メラミン及び/又はアクリル変性メラミン、分子中にアルコール性水酸基を含有する1又は2官能の(メタ)アクリレートモノマー及び/又はシリカゾルを含有することができる。
【0072】
上記絶縁膜は、剥離可能な支持基材上に絶縁樹脂層が設けられた積層体における該絶縁樹脂層に用いられ、該積層体は、アルカリ水溶液による現像が可能なものであり、絶縁樹脂層の膜厚が10〜100μmであることが好ましい。
【0073】
本発明の感光性樹脂組成物は、無機化合物を含有させることで、感光性ペースト組成物として用いることができる。該感光性ペースト組成物は、プラズマディスプレイパネルの隔壁パターン、誘電体パターン、電極パターン及びブラックマトリックスパターン等の焼成物パターンを形成するために用いることができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
尚、実施例26及び27は参考例である。
【0075】
実施例1〜41は、本発明の新規化合物(光開始剤)の合成例を示し、実施例42〜48並びに比較例1及び2は、本発明及び比較の感光性樹脂組成物の調製例及び評価を示し、実施例49及び50は、本発明の新規化合物の評価を示す。
【0076】
〔実施例1〕化合物No.1の臭素塩の合成
<ステップ1>2−ブロモ−2−フェニル−1−(4−(フェニルチオ)フェニル)エタノンの合成
100mlの4つ口反応フラスコに、2−フェニル−1(4−(フェニルチオ)フェニル)エタノン6.0g及びクロロホルム30gを加え撹拌しながら、10℃以下で臭素4.05gを滴下した。
滴下後、2時間室温にて反応させた後、10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50mlで処理し、中性となるまで水洗した。エバポレーターでクロロホルムを留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒トルエン)で精製し、2−ブロモ−2−フェニル−1−(4−(フェニルチオ)フェニル)エタノン4.5gを得た。
<ステップ2>化合物No.1の臭素塩の合成
30mlの2つ口反応フラスコに、<ステップ1>で得られた化合物1.0g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3g及びTHF10gを撹拌しながら、室温10時間反応させた。反応液を濃縮し、得られた粘調液体をジエチルエーテルで洗浄し、0.8gの液体を得た。得られた液体が目的物であることは、
1H−NMR及び赤外吸収スペクトルにより確認した。これらの結果を〔表1〕、〔表2A〕及び〔表3〕に示す。尚、目的物は、
1H−NMRより、化合物No.1の臭素塩と2−エチル−4−メチルイミダゾールの錯体であることが確認された。
【0077】
〔実施例2〕化合物No.1のテトラフェニルボレート塩の合成
30mlの2つ口反応フラスコに、実施例1で製造した化合物No.1の臭素塩0.8g及びメタノール10mlを撹拌しながら、10%ナトリウムテトラフェニルホウ素水溶液5mlを滴下した。滴下後2時間室温で撹拌した後、クロロホルムを加え油水分離し、クロロホルム層をイオン交換水20mlで3回洗浄した。クロロホルム層を留去し、0.4gの固体を得た。得られた固体が目的物であることは、
1H−NMR、赤外吸収スペクトル及び質量分析(MALDI−TOF−MS)により確認した。これらの結果を〔表1〕、〔表2A〕、〔表3〕及び〔表4〕に示す。尚、目的物は、
1H−NMRより化合物No.1のテトラフェニルボレート塩と2−エチル−4−メチルイミダゾールの錯体であることが確認された。
【0078】
〔実施例3〕化合物No.2の臭素塩の合成
30mlの三口反応フラスコに、実施例1の<ステップ1>で合成した2−ブロモ−2−フェニル−1−(4−(フェニルチオ)フェニル)エタノン1.0g、ジメチルブチルアミン0.4g及びTHF10mlを加え、室温で12時間撹拌した。THF溶液を留去し、得られた固体をジエチルエーテル10mlで2回洗浄し、目的物である化合物No.2の臭素塩1.22g(収率96%)を得た。得られた目的物の確認は、
1H−NMR及び赤外吸収スペクトルにより確認した。これらの結果を〔表1〕、〔表2A〕及び〔表3〕に示す。
【0079】
〔実施例4〕化合物No.2のテトラフェニルボレート塩の合成
実施例2と同様の手法により、実施例3で得られた化合物とナトリウムテトラフェニルホウ素を反応させ目的物である化合物No.2のテトラフェニルボレート塩を収率99%で得た。得られた目的物の確認は、
1H−NMR、赤外吸収スペクトル及び質量分析(MALDI−TOF−MS)により行った。これらの結果を〔表1〕、〔表2A〕、〔表3〕及び〔表4〕に示す。
【0080】
〔実施例5〜41〕
上記実施例1〜4と同様の手法により、対応する原料及びアミンを用いて〔表1〕に記載の目的物を得た。得られた目的物の確認は、
1H−NMR及び赤外吸収スペクトルにより行った。これらの結果を〔表1〕〔表2A〕又は〔表2B〕及び〔表3〕に示す。得られた目的物のうち、原料として、イミダゾール類のアミンを用いたものは錯体を形成していた。これらの点については、〔表1〕に示す。
実施例8、10、14及び23の化合物については、質量分析(MALDI−TOF−MS)も行い、実施例2、4〜6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、29〜37、39〜41の化合物については、UV吸収スペクトルの測定も行った。これらの結果を〔表4〕及び〔表5〕に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2A】
【0083】
【表2B】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
〔実施例42〜45及び比較例1〕感光性樹脂組成物の製造及び評価
(A)光開始剤成分として、下記〔表6〕に記載の化合物を5重量部、(B)感光性樹脂成分として、EP−4901(ADEKA社製、ビスフェノールF型グリシジルエーテル)52重量部、及び(C)添加剤成分として、カレンズMT BD1(昭和電工社製、増感剤)43重量部を混合し、三本ロールミルにて混練して、実施例26〜29及び比較例1の感光組成樹脂組成物をそれぞれ得た。得られた感光性樹脂組成物について、高圧水銀ランプによるUV光の照射なし及び200mJ/cm
2の(i線における積算光量)のUV光照射後に60℃にて60分間加熱し、硬化率を測定した。硬化率は、5000mJ/cm
2のUV光照射後、120℃で60分硬化させたときのFI−IRにおける(3450cm
-1のピーク強度)/(1510cm
-1のピーク強度)の値を硬化率100%として、相対値として求めた。結果を〔表6〕に示す。
【0088】
【表6】
【0089】
【化8】
【0090】
上記〔表6〕の結果より、UV光を照射しない場合、いずれも硬化しなかったが、照射後に加熱した場合、本発明の感光性樹脂組成物は高い硬化率を示した。
【0091】
〔実施例46〜47及び比較例2〕感光性樹脂組成物の製造及び評価2
(A)光開始剤成分として、下記〔表7〕に記載の化合物を5重量部、(B)感光性樹脂成分として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製、NKエステル A−DPH)を95重量部を混合し、ホモジナイザーで攪拌した。その後、樹脂組成物を2枚のガラス板により挟み、高圧水銀ランプによるUV光を500mJ/cm
2(i線における積算光量)の条件で照射した。
評価は、硬化性として、UV光により硬化した場合を○、硬化しなかった場合を×とした。また、透明性として、光照射前後の樹脂組成物を目視で確認し、透明の場合を○、不透明である場合を×として評価した。
【0092】
【表7】
【0093】
【化9】
【0094】
比較例2より、比較化合物No.2は、樹脂との相溶性が低いため、完全に溶解せず、樹脂組成物の透明性を低下させてしまうが、本発明の新規化合物は、樹脂との相溶性が高い。
【0095】
〔実施例48〕感光性樹脂組成物の製造及び評価3
<ステップ1>アルカリ現像性樹脂の製造
反応容器に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量231、上記一般式(3)で表されるエポキシ化合物)184g、アクリル酸58g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.26g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド0.11g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート23gを仕込み、120℃で16時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート35g、ビフタル酸無水物59g及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド0.24gを加えて、120℃で4時間攪拌した。更に、テトラヒドロ無水フタル酸20gを加え、120℃で4時間、100℃で3時間、80℃で4時間、60℃で6時間、40℃で11時間攪拌した後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート90gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物のアルカリ現像性樹脂を得た(Mw=5000、Mn=2100、酸価(固形分)92.7mgKOH/g)。
<ステップ2>
(A)成分として、実施例4の化合物0.71g、(B)成分として、ステップ1で製造したアルカリ現像性樹脂1.54g、EP−4901(ADEKA社製、ビスフェノールF型グリシジルエーテル)1.54g、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製、NKエステル A−DPH)1.41g、(C)成分として、カレンズMT BD−1(増感剤;昭和電工社製)0.26g、(D)成分として、カーボンブラックMA100(色材;三菱化学社製)12g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(溶剤)82.5gを加えてよく攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
<フォトリソグラフィー性>
ガラス基板上に、ステップ2で得られた感光性樹脂組成物をスピンコート(500rpm、7秒間)し、ホットプレートを用いて90℃で90秒間プリベークを行った。次いで、光源として高圧水銀ランプを用いてマスクを介して100〜800mJ/cm
2で露光し、現像液として2.5質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、スピン現像機で45秒間現像し、よく水洗した。次いでオーブンを用いて230℃で30分ポストベークを行い、パターンを定着させた。得られたパターンについて、露光量の違いによるフォトリソグラフィー性を目視にて確認したところ、露光量が400mJ/cm
2でパターンの線幅が、マスク開口線幅を超え、また、非露光部のガラス面には残渣が無く現像性は良好であった。
【0096】
実施例48より、本発明の新規化合物は、色材を用いた感光性樹脂組成物においても、硬化が可能であり、アルカリ現像性樹脂と併せて用いることで、パターニングが可能であることが確認された。
【0097】
〔実施例49〕アミン発生の確認
実施例21の化合物0.04mmol(30mg)にメタノール28gを加えて完全に溶解した。この溶液3.5gを20mlバイアルに取り、HOYA社製UV照射機UL−750にて10000mJのUV照射を行った。照射後の溶液を2.8g取り、メタノールで希釈して平沼産業社製自動滴定装置COM−1600を用いて、実施例21の化合物からの塩基(アミン)発生量の測定を行った(滴定溶液:0.01mol/L塩酸)。別途、実施例21の化合物の替わりに1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセンを用いて同様の操作を行った値を100%とした場合、実施例21の化合物からの塩基発生量は16%であった。
【0098】
〔実施例50〕増感剤によるアミン発生量向上の確認
実施例49における実施例21の化合物をメタノールを加えて溶解する際に、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン(DETXO、チオキサントン系増感剤)を0.3mg加え、同様の操作を行ったところ、塩基発生量は57%であった。
【0099】
以上より、本発明の新規化合物は、高感度であり、溶解性に優れるため、光開始剤として優れていることは明白である。