(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912981
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】排ガス希釈装置及びPM測定システム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/22 20060101AFI20160414BHJP
G01M 15/10 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
G01N1/22 M
G01M15/10
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-173896(P2012-173896)
(22)【出願日】2012年8月6日
(65)【公開番号】特開2014-32140(P2014-32140A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100113468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 樹
【審査官】
渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/112286(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0107762(US,A1)
【文献】
特開平06−294718(JP,A)
【文献】
実開平04−071147(JP,U)
【文献】
実開平05−006349(JP,U)
【文献】
特開2004−205253(JP,A)
【文献】
特開2000−329661(JP,A)
【文献】
特表2012−522229(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0036836(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44
G01M 15/00 − 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈用空気が供給され、エンジンからの排ガスを希釈するための希釈トンネルと、
第1エンジンから排出された第1排ガスを前記希釈トンネルに導入する第1排ガス導入路と、
第2エンジンから排出された第2排ガスが希釈されたものである第2希釈排ガスを前記希釈トンネルに導入する第2希釈排ガス導入路とを備え、
前記希釈トンネルが、前記第1排ガス導入路により導入された第1排ガス及び前記希釈用空気を混合するガス混合部とを有し、
前記第2希釈排ガス導入路が、前記希釈トンネルにおける前記ガス混合部よりも上流側に前記第2希釈排ガスを導入するものであり、
前記第1排ガス導入路及び前記第2希釈排ガス導入路が、前記希釈トンネル内において合流している排ガス希釈装置。
【請求項2】
前記第1排ガス導入路及び前記第2希釈排ガス導入路が、それらの合流部において滑らかに合流している請求項1記載の排ガス希釈装置。
【請求項3】
前記ガス混合部が、前記第1排ガス導入路のガス導入口の近傍にオリフィスが配置されたオリフィス板により構成されている請求項1又は2記載の排ガス希釈装置。
【請求項4】
希釈用空気が供給され、エンジンからの排ガスを希釈するための希釈トンネルと、
第1エンジンから排出された第1排ガスを前記希釈トンネルに導入する第1排ガス導入路と、
第2エンジンから排出された第2排ガスが希釈されたものである第2希釈排ガスを前記希釈トンネルに導入する第2希釈排ガス導入路と、
前記希釈トンネルの下流側に設けられて、希釈された排ガスをPM測定機器に導入する希釈排ガスサンプリング路とを備え、
前記希釈トンネルが、前記第1排ガス導入路により導入された第1排ガス及び前記希釈用空気を混合するガス混合部とを有し、
前記第2希釈排ガス導入路が、前記希釈トンネルにおける前記ガス混合部よりも上流側に前記第2希釈排ガスを導入するものであり、
前記第1排ガス導入路及び前記第2希釈排ガス導入路が、前記希釈トンネル内において合流しているPM測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンから排出される排ガスを希釈する排ガス希釈装置、及び当該排ガス希釈装置を用いたPM測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の排ガス希釈装置としては、エンジンから排出される排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を測定するものとして、特許文献1に示すように、希釈トンネルと、当該希釈トンネルに排ガスを導入するための排ガス導入管と、当該排ガス導入管の導入口近傍に設けられたオリフィスが形成されたオリフィス板とを有するものがある。
【0003】
ここで、特許文献2に示すように、単一の希釈トンネルに、第1排ガスを導入する第1排ガス導入管及び第2排ガスを導入する第2排ガス導入管を設け、これら排ガス導入管を切り替え弁によって切り替えることにより、各エンジンからの排ガスを選択的に希釈及び測定できるように構成したものがある。そして、この排ガス希釈装置では、第1排ガス及び希釈用空気を混合するオリフィスの下流側に、第2排ガス導入管が接続されている。
【0004】
しかしながら、オリフィスの下流側に第2排ガス導入管が接続されているため、第1排ガスのPM測定を行う場合には、オリフィスにより希釈された第1排ガスが、第2排ガス導入管の開口空間に滞留し、又は当該開口空間を形成する内面に付着して、第1排ガスのPM測定に測定誤差が生じてしまうという問題がある。つまり、第1排ガスと希釈ガスとが混合される混合部より下流では、希釈ガスにより排ガスが冷却され、PMが生成される。そのような混合部よりも下流側にデッドスペースを設けると、そのデッドスペースにPMが付着してしまい、測定誤差となるのである。また、第1排ガスのPM測定終了後に、第2排ガスのPM測定を行う場合には、当該第2排ガス導入管の開口空間に残留又は付着した第1排ガス由来のPMが、第2排ガスに含まれるPMとして測定される恐れがあり、第2排ガスのPM測定に測定誤差が生じてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−329661号公報
【特許文献2】国際公開WO2010/112286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、複数のエンジンから排出される排ガスの排ガス計測において、希釈トンネルを共通化することによって生じる例えばPM測定等といった排ガス測定における誤差を低減することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る排ガス希釈装置は、希釈用空気が供給され、エンジンからの排ガスを希釈するための希釈トンネルと、第1エンジンから排出された第1排ガスを前記希釈トンネルに導入する第1排ガス導入路と、第2エンジンから排出された第2排ガスが希釈されたものである第2希釈排ガスを前記希釈トンネルに導入する第2希釈排ガス導入路とを備え、前記希釈トンネルが、前記第1排ガス導入路により導入された第1排ガス及び前記希釈用空気を混合するガス混合部とを有し、前記第2希釈排ガス導入路が、前記希釈トンネルにおける前記ガス混合部よりも上流側に前記第2希釈排ガスを導入するものであ
り、前記第1排ガス導入路及び前記第2希釈排ガス導入路が、前記希釈トンネル内において合流していることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、単一の希釈トンネルを用いて第1エンジン及び第2エンジンから排出される排ガスを測定することができる。これにより、例えば第1排ガス及び第2希釈排ガス中に含まれる例えばPM測定等の排ガス測定を行う場合に、それぞれに対応した専用の希釈トンネルを用意する必要が無く、コスト削減及びシステムの小型化を実現することができる。また、第2希釈排ガス導入路が、希釈トンネルにおけるガス混合部の上流側に第2希釈排ガスを導入することから、第1排ガス測定において、ガス混合部の下流側に第2希釈排ガス導入路を開口させた場合に生じるPM測定誤差を低減することができる。例えば、第1排ガスのPM測定において、第2希釈排ガス導入路の開口空間に第1排ガスのPM等の測定成分が滞留又は付着することにより生じる測定誤差を低減することができる。また、第2希釈排ガスの例えばPM測定等の排ガス測定において、第2希釈排ガス導入路の開口空間に残留又は付着した第1排ガス由来のPM等の測定成分が、第2希釈排ガスに含まれるPM等の測定成分として測定されることを防止して排ガス測定における誤差を低減することができる。
【0009】
近年では、直接噴射式エンジン等のガソリンエンジンから排出されるガソリン排ガスに含まれるPMに関する規制強化が進んでおり、当該ガソリン排ガスに含まれるPMを測定する要求がある。この要求を本発明により好適に対処するためには、前記第1エンジンがディーゼルエンジンであり、第2エンジンがガソリンエンジンであることが望ましい。これならば、ディーゼルエンジンから排出されるディーゼル排ガスを希釈する排ガス希釈装置と、ガソリンエンジンから排出されるガソリン排ガスを希釈する排ガス希釈装置を別個に準備する必要が無く、コスト削減及びシステムの小型化を実現することができる。さらに、第2希釈排ガス導入路の開口空間によるデッドスペースのPM等の滞留又は付着という課題は、ディーゼルエンジンからの排ガスにおいて、より顕著に表れるものであり、ディーゼルエンジンからの希釈排ガス混合部下流側にデッドスペースを設けないことによる効果は大きい。
【0010】
第2希釈排ガス導入路を希釈トンネルの側壁に開口させることによってガス混合部の上流側に第2希釈排ガスを導入することも考えられるが、そうすると、第2希釈排ガスに含まれるPM等の測定成分が希釈トンネルの内壁面に付着してしまい、PM測定等の排ガス測定における誤差の要因となる。このため、前記第1排ガス導入路及び前記第2希釈排ガス導入路が、前記希釈トンネル内において合流していることが望ましい。
【0011】
ここで、従来の排ガスのPM測定においては、排ガス導入路の導入口とガス混合部との間には、PMが付着するような構造物を設けないという技術常識がある。このため、第1排ガス導入路及び第2希釈排ガス導入路を合流させて導入口を共通化させることにより、第2希釈排ガス導入路の導入口とガス混合部との間にPMが付着するような構造物の無い構成とすることができる。したがって、第2希釈排ガスに含まれるPMが希釈トンネル内の内壁に付着することを防止して測定誤差を低減することができる。
【0012】
第1排ガス導入路及び第2希釈排ガス導入路を合流させた場合に、一方の導入路に付着したPM等の測定成分が、他方の導入路から希釈トンネル内に排ガスを導入する際に、巻き込まれて混入してしまう恐れがあり、そうすると、測定誤差の要因となってしまう。この問題を解決するためには、前記第1排ガス導入路及び前記第2希釈排ガス導入路が、それらの合流部において同一方向を向くように滑らかに合流していることが望ましい。
【0013】
希釈トンネル内の構成を可及的に簡略化して、各排ガスに含まれるPM等の測定成分の付着を防止するためには、前記ガス混合部が、前記第1排ガス導入路のガス導入口の近傍にオリフィスが配置されたオリフィス板により構成されていることが望ましい。
【0014】
また本発明に係るPM測定システムは、希釈用空気が供給され、エンジンからの排ガスを希釈するための希釈トンネルと、第1エンジンから排出された第1排ガスを前記希釈トンネルに導入する第1排ガス導入路と、第2エンジンから排出された第2排ガスが希釈されたものである第2希釈排ガスを前記希釈トンネルに導入する第2希釈排ガス導入路と、前記希釈トンネルの下流側に設けられて、希釈された排ガスをPM測定機器に導入する希釈排ガスサンプリング路とを備え、前記希釈トンネルが、前記第1排ガス導入路により導入された第1排ガス及び前記希釈用空気を混合するガス混合部とを有し、前記第2希釈排ガス導入路が、前記希釈トンネルにおける前記ガス混合部よりも上流側に前記第2希釈排ガスを導入するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、単一の希釈トンネルを用いて第1エンジン及び第2エンジンから排出される排ガス計測を行うことができるとともに、ガス混合部の下流側に第2希釈排ガスを導入しないようにしていることから、当該第2希釈排ガス導入路が第1排ガスのPM測定等の排ガス測定に与える影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の排ガス希釈装置を用いたPM計測システムの模式図。
【
図2】同実施形態の各排ガス導入路の合流点近傍の構成を示す模式図。
【
図3】変形実施形態の排ガス希釈装置を用いたPM計測システムの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係る排ガス希釈装置を用いたPM計測システムについて図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態のPM計測システム100は、ディーゼルエンジンDEから排出されるディーゼル排ガス又はガソリンエンジンGEから排出されるガソリン排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を計測するものである。
【0019】
具体的にこのものは、
図1に示すように、希釈用空気が供給され、各種エンジンからの排ガスを希釈するための希釈トンネル2と、第1エンジンであるディーゼルエンジンDEからのディーゼル排ガス(第1排ガス)を前記希釈トンネル2に導入する第1排ガス導入路3(以下、ディーゼル排ガス導入路3という。)と、第2エンジンであるガソリンエンジンGEからのガソリン排ガスを希釈して当該希釈されたガソリン排ガス(第2希釈排ガス)を前記希釈トンネル2に導入する第2希釈排ガス導入路4(以下、ガソリン排ガス導入路4という。)と、前記希釈トンネル2の下流側に設けられて、希釈された排ガスをPM測定機器6に導入する希釈排ガスサンプリング路5とを備えている。
【0020】
希釈トンネル2は、概略円筒形状をなすものである。そして、希釈トンネル2の上流側には、空気清浄フィルタFを介して希釈用空気を導入するための希釈用空気導入路7が接続されている。また、希釈トンネル2の下流側には、ベンチュリ流量計(例えば、臨界流量ベンチュリ方式(CFV))及び吸引ポンプからなる定流量採取装置(CVS)8が接続されている。なお、前記希釈用空気導入路7には、当該希釈用空気導入路7の開閉を行う電磁弁等の開閉弁71が設けられている。
【0021】
また、希釈トンネル2の内部には、ディーゼル排ガス導入路3により導入されたディーゼル排ガス及び希釈用空気を混合するガス混合部21が設けられている。このガス混合部21は、
図2に示すように、希釈用空気導入路7から導入された希釈用空気を絞るためのオリフィス201が形成された断面円形のオリフィス板200により形成されている。つまり、ガス混合部21は、前記オリフィス201及びその下流側領域からなる。このオリフィス板200は、希釈トンネル2の内部を2分するように設けられている。そして、このオリフィス201によって希釈用空気導入路7から導入された希釈用空気が乱流となり、当該希釈用空気が、ディーゼル排ガス導入路3により導入されたディーゼル排ガス又はガソリン排ガス導入路4により導入された希釈ガソリン排ガスと混合される。
【0022】
ディーゼル排ガス導入路3は、ディーゼルエンジンDEに接続された排気管からのディーゼル排ガスを希釈トンネル2に導入するものであり、前記ディーゼルエンジンDEの排気管から排出されるディーゼル排ガスを導入するディーゼル排ガス導入ポート31を一端に有する。また、ディーゼル排ガス導入路3の下流側には、当該ディーゼル排ガス導入路3の開閉を行う電磁弁等の開閉弁32が設けられている。
【0023】
また、ディーゼル排ガス導入路3における希釈トンネル2内の他端開口(ディーゼルガス導入口33)は、
図2に示すように、前記ガス混合部21を構成するオリフィス201の近傍に開口している。つまり、オリフィス201がディーゼル排ガス導入路3の導入口33近傍に位置するように設けられている。具体的には、オリフィス201と導入口33とは同軸上に配置されており、オリフィス201の上流側近傍に導入口33が配置される場合、オリフィス201の下流側近傍に導入口33が配置される場合、オリフィス201内に導入口33が配置される場合が考えられる。
【0024】
ガソリン排ガス導入路4は、ガソリンエンジンGEに接続された排気管からのガソリン排ガスを希釈トンネル2に導入するものであり、前記ガソリンエンジンGEの排気管から排出されるガソリン排ガスを導入するガソリン排ガス導入ポート41を一端に有する。
【0025】
また、ガソリン排ガス導入路4には、当該ガソリン排ガス導入ポート41から導入されたガソリン排ガスを希釈するための希釈用空気導入路9が接続されている。このように、導入ポート41に導入されたガソリン排ガスを、ガソリン排ガス導入路4上で希釈することにより、当該ガソリン排ガスに含まれる水分がガソリン排ガス導入路4上で凝集してしまうことを防止している。さらに、ガソリン排ガス導入路4の下流側には、当該ガソリン排ガス導入路4の開閉を行う電磁弁等の開閉弁42が設けられている。なお、前記希釈用空気導入路9には、当該希釈用空気導入路9の開閉を行う電磁弁等の開閉弁91が設けられている。また、前記希釈用空気導入路7及び前記希釈用空気導入路9は、それら開閉弁71及び開閉弁91の上流側で合流しており、開閉弁71及び開閉弁91の開閉を切り替えることによって、希釈トンネル2への希釈用空気の導入及びガソリン排ガス導入路4への希釈用空気の導入を選択できるように構成されている。
【0026】
さらに、ガソリン排ガス導入路4における希釈トンネル2内の他端開口(ガソリン排ガス導入口43)は、ガス混合部21の上流側において開口しており、希釈トンネル2におけるガス混合部21よりも上流側に希釈されたガソリン排ガスを導入するように構成されている。
【0027】
そして、ディーゼル排ガス導入路3に設けられた開閉弁32及びガソリン排ガス導入路4に設けられた開閉弁42の開閉を切り替えることによって、ディーゼル排ガス中のPM計測及び希釈されたガソリン排ガス中のPM計測を択一的に行うように構成される。
【0028】
希釈排ガスサンプリング路5は、希釈トンネル2によって希釈されたディーゼル排ガス又は希釈されたガソリン排ガスを、PM測定機器6に導くものである。本実施形態の希釈排ガスサンプリング路5は、希釈トンネル2におけるガス混合部21の下流側に開口するサンプリングポート51を一端に有し、他端が、2つに分岐され、それぞれの分岐路52、53に希釈された排ガス中に含まれるPMを捕集するためのフィルタ61、62(PM測定機器6)が設けられている。一方の分岐路52は、PM採取時(排ガス測定時)のサンプルガス(サンプリングポート51により採取されたガス)を流すためのサンプルガス流路を構成し、他方の分岐路53は、PM非採取時(レファレンス測定時)のサンプルガスを流すためのバイパス流路を構成する。また、それぞれの分岐路52、53の下流端には、回転数制御によって吸引能力が可変の吸引ポンプ(例えばルーツブロアポンプ)54、55が設けられている。
【0029】
この吸引ポンプ54、55は、図示しない制御機器(PIDコントローラ)によって制御することにより、フィルタ61を通過するガス流量を、希釈トンネル2内のガス流量に対して常に一定の比例関係を持って追従させるようにしている。つまり、希釈排ガスサンプリング路5の下流側に設けられる図示しない流量計によって測定されるガス流量が、定流量採取装置(CVS)8によって測定されるガス流量と一定の比例関係となるように流量制御されている。
【0030】
しかしてディーゼル排ガス導入路3及びガソリン排ガス導入路4は、
図2に示すように、希釈トンネル2内において合流しており、ディーゼル排ガス導入路3の導入口33及びガソリン排ガス導入路4の導入口43が共通の開口となるように構成されている。
【0031】
具体的に各排ガス導入路3、4における合流点MPよりも下流側は、直線状の共通流路となるように構成されている。また、各排ガス導入路3、4における合流点MPよりも上流側は、希釈トンネル2の側壁に略垂直に貫通しており、その希釈トンネル2の側壁側から前記合流点MPに至るまで曲線状に構成されている。そして、2つの排ガス導入路3、4が、合流点MPに向かって同一方向を向くように、滑らかに合流するように構成されている。具体的には、2つの排ガス導入路のうち一方の排ガス導入路が、他方の排ガス導入路の接線方向を向くように合流するように構成されている。これにより、ディーゼル排ガス導入路3及びガソリン排ガス導入路4を合流させた場合に、一方の導入路から希釈トンネル2内に排ガスを導入する際に、他方の導入路内面に付着したPMが巻き込まれて混入することを防止している。
【0032】
また、本実施形態では、2つの排ガス導入路3、4が、希釈トンネル2内において対称形状となるように構成されており、具体的には、2つの排ガス導入路3、4が、希釈トンネル2の中心軸(オリフィス201の開口中心を通る軸線)に対して対称となるように構成されている。これにより、ディーゼル排ガス導入路3及びガソリン排ガス導入路4は、希釈トンネル2における互いに対向する側壁に接続されることとなり、希釈トンネル2の外部における配管を容易にできる。
【0033】
このように構成した本実施形態に係るPM計測システム100によれば、単一の希釈トンネル2を用いてディーゼルエンジンDE及びガソリンエンジンGEから排出される排ガスを測定することができる。これにより、例えばガソリン排ガス中に含まれるPM測定及びディーゼル排ガスに含まれるPM測定を行う場合に、それぞれに対応した専用の希釈トンネルを用意する必要が無く、コスト削減及びシステムの小型化を実現することができる。
【0034】
また、ガソリン排ガス導入路4が希釈トンネル2において、ガス混合部21の上流側に希釈されたガソリン排ガスを導入することから、ディーゼル排ガス測定において、ガス混合部21の下流側にガソリン排ガス導入路4を開口させた場合に生じるPM測定誤差を低減することができる。例えば、ディーゼル排ガスのPM測定において、ガソリン排ガス導入路4の開口空間にディーゼル排ガスのPMが滞留又は付着することにより生じる測定誤差を低減することができる。また、希釈されたガソリン排ガスのPM測定において、ガソリン排ガス導入路4の開口空間に残留又は付着したディーゼル排ガス由来のPMが、希釈されたガソリン排ガスに含まれるPMとして測定されることを防止して測定誤差を低減することができる。
【0035】
前記ディーゼル排ガス導入路3及び前記ガソリン排ガス導入路4が、前記希釈トンネル2内において合流しているので、ガソリン排ガス導入路4の導入口43及びディーゼル排ガス導入路3の導入口33を共通化させることができる。これにより、希釈されたガソリン排ガスに含まれるPMが、希釈トンネル2の内部におけるガス混合部21の上流側の内壁に付着することを防止して、測定誤差を低減することができる。また、2つの排気ガス導入路3、4を希釈トンネル2内で合流させることによって、共通流路部分を可及的に短くすることができ、各種ガスに含まれるPMの相互干渉を防ぐことができる。
【0036】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0037】
例えば、前記実施形態では、2つの導入路3、4が希釈トンネル2内で合流するものであったが、ガソリン排ガス導入路4を希釈トンネル2内において、ディーゼル排ガス導入路3とは異なる位置に開口させるように構成しても良いし、
図3に示すように、希釈トンネル2の側壁に開口するように構成しても良い。その他、2つの導入路3、4を希釈トンネル2の外部で合流させて、その合流路を希釈トンネル内に導入するように構成しても良い。
【0038】
また、前記実施形態では、1つの希釈トンネル2に2つの排ガス導入路3、4を設けた構成を示したが、3つ以上の排ガス導入路を設けたものであっても良い。例えば、2つのディーゼル排ガス導入路3及び1つのガソリン排ガス導入路4を備えるものであっても良い。つまり、複数の第1エンジンからの第1排ガスを1つの希釈トンネルを用いて希釈する場合には、複数の第1エンジンそれぞれに対応する第1排ガス導入路を複数設けて、それら複数の第1排ガス導入路を希釈トンネルに接続しても良い。又は複数の第2エンジンからの第2希釈排ガスを1つの希釈トンネルを用いて希釈する場合には、複数の第2エンジンそれぞれに対応する第2希釈排ガス導入路を複数設けて、それら複数の第2希釈排ガス導入路を希釈トンネルに接続しても良い。
【0039】
また、前記実施形態では第1エンジンをディーゼルエンジンとし、第2エンジンをガソリンエンジンとした場合を示しているが、第1エンジン及び第2エンジンともにディーゼルエンジンであっても良いし、第1エンジン及び第2エンジンともにガソリンエンジンであっても良い。
【0040】
さらに、前記実施形態では、ディーゼル排ガス導入路3及びガソリン排ガス導入路4が希釈トンネル2に対して互いに対向するように接続されているが、希釈トンネル2に対して同一方向から接続されるものであっても良い。これならば、2つの排ガス導入路が同一方向を向いて合流するので、一方の導入路から希釈トンネル2内に排ガスを導入する際に、他方の導入路内面に付着したPMが巻き込まれて混入することをより一層防止することができる。
【0041】
その上、前記実施形態のガソリン排ガス導入路(第2希釈排ガス導入路)は、ガソリン排ガスを希釈するための希釈用空気導入路が接続されて、当該第2希釈排ガス導入路においてガソリン排ガスを希釈するものであったが、その他、別に設けた希釈装置によって希釈されたガソリン排ガスを受け取り、その希釈された排ガスを希釈トンネルに導入するものであっても良い。
【0042】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0043】
100・・・PM計測システム
DE ・・・ディーゼルエンジン(第1エンジン)
GE ・・・ガソリンエンジン(第2エンジン)
2 ・・・希釈トンネル
21 ・・・ガス混合部
3 ・・・ディーゼル排ガス導入路(第1排ガス導入路)
4 ・・・ガソリン排ガス導入路(第2希釈排ガス導入路)
MP ・・・合流部
5 ・・・希釈排ガスサンプリング路
6 ・・・PM測定機器