【実施例】
【0023】
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
【0024】
(実施例1)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、六方晶BN粉末(薄片状)を用意し、これらの粉末を70(50Fe−50Pt)−30BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末とBN粉末とをV型混合機で混ぜ合わせた後、さらに150μm目の篩を用いて混合し、この混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果を
図1に示す。
図1より、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのが分かる。また、
図1から六方晶BN相の平均厚みが3μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は657であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は54であって、その強度比は12.2であった。
次にこの焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のSi基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は250個と良好な結果が得られた。
【0025】
(実施例2)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、SiO
2粉末を用意した。これらの粉末を70(50Fe−50Pt)−5SiO
2−25BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末とSiO
2粉末とを粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末とBN粉末とをV型混合機で混ぜ合わせた後、さらに100μm目の篩を用いて混合し、この混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内SEMによって観察した。その結果を
図2に示す。
図2より、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのが分かる。また、
図2から六方晶BN相の平均厚みが9μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は566であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は45であって、その強度比は12.6であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は30個と良好な結果が得られた。
【0026】
(実施例3)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、Ag粉末、C(薄片化黒鉛)粉末を用意した。これらの粉末を58(35Fe−10Pt)−20Ag−20BN−2C(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末とC粉末とAg粉末とをV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢にて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果を
図3に示す。
図3より、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのが分かる。また、
図3から六方晶BN相の平均厚みが2.2μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は327であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は45であって、その強度比は7.3であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数25個と良好な結果が得られた。
【0027】
(実施例4)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、Ag粉末を用意した。これらの粉末を55(45Fe−45Pt−10Ag)−45BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末とAg粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、さらに150μm目の篩を用いて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのを確認した。また、六方晶BN相の平均厚みが6μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は713であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は52であって、その強度比は13.7であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数83個と良好な結果が得られた。
【0028】
(実施例5)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、Ag粉末、SiO
2粉末を用意した。これらの粉末を80(50Fe−40Pt−10Ag)−5SiO
2−15BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末とAg粉末とSiO
2をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢にて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのを確認した。また、六方晶BN相の平均厚みが2.4μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は158であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は46であって、その強度比は3.4であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数25個と良好な結果が得られた。
【0029】
(実施例6)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、Cu粉末を用意した。これらの粉末を80(50Fe−45Pt−5Cu)−20BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末とCu粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、さらに150μm目の篩を用いて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのを確認した。また、六方晶BN相の平均厚みが3μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は498であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は43であって、その強度比は11.6であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数126個と良好な結果が得られた。
【0030】
(実施例7)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、Au粉末を用意した。これらの粉末を80(50Fe−45Pt−5Au)−20BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末とAu粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、さらに150μm目の篩を用いて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのを確認した。また、六方晶BN相の平均厚みが2.5μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は523であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は46であって、その強度比は11.4であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数174個と良好な結果が得られた。
【0031】
(実施例8)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、Ru粉末、SiO
2粉末、TiO
2粉末を用意した。これらの粉末を74(48Fe−48Pt−4Ru)−3SiO
2−3TiO
2−20BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末とRu粉末とSiO
2粉末とTiO
2粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢にて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのを確認した。また、六方晶BN相の平均厚みが2.4μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は369であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は42であって、その強度比は8.8であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数36個と良好な結果が得られた。
【0032】
(実施例9)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、Cr
2O
3粉末を用意した。これらの粉末を75(55Fe−45Pt)−5Cr
2O
3−20BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末とCr
2O
3粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢にて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのを確認した。また、六方晶BN相の平均厚みが3.2μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は252であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は48であって、その強度比は5.3であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数76個と良好な結果が得られた。
【0033】
(実施例10)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、Ag粉末、TiN粉末を用意した。これらの粉末を75(45Fe−55Pt−10Ag)−3TiN−22BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末とTiN粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢にて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのを確認した。また、六方晶BN相の平均厚みが5μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は289であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は43であって、その強度比は6.7であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数129個と良好な結果が得られた。
【0034】
(実施例11)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)、Ag粉末、SiC粉末を用意した。これらの粉末を75(45Fe−55Pt−10Ag)−3TiN−22BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末とSiC粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢にて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのを確認した。また、六方晶BN相の平均厚みが4.2μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は304であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は49であって、その強度比は6.2であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数137個と良好な結果が得られた。
【0035】
(実施例12)
原料粉として、Fe−Pt合金粉末、BN粉末(薄片状)を用意した。これらの粉末を40(55Fe−45Pt)−60BN(mol%)となるように秤量した。
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5Lの媒体攪拌ミルに投入し、2時間、回転数300rpmで処理した。処理後のFe−Pt合金粉末の平均粒子径は10μmであった。そして媒体攪拌ミルから取り出した粉末と、BN粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、さらに150μm目の篩を用いて混合し、カーボン製の型に充填しホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向では層状構造になっておりBNが配向しているのを確認した。また、六方晶BN相の平均厚みが9.5μmであった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は810であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は53であって、その強度比は15.3であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数358個と良好な結果が得られた。
【0036】
(比較例1)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)、C粉末を用意した。これらの粉末を60(30Fe−70Pt)−5BN−35C(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果を
図4に示す。
図4から、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことが分かった。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は52であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は44であって、その強度比は1.2であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は1100個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0037】
(比較例2)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)、Ag粉末を用意した。これらの粉末を55(45Fe−45Pt−10Ag)−45BN(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことを確認した。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は67であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は52であって、その強度比は1.3であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は860個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0038】
(比較例3)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)、Ag粉末、SiO
2粉末を用意した。これらの粉末を80(50Fe−40Pt−10Ag)−5SiO
2−15BN(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことを確認した。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は58であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は46であって、その強度比は1.3であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は712個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0039】
(比較例4)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)、Cu粉末を用意した。これらの粉末を80(50Fe−45Pt−5Cu)−20BN(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことを確認した。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は71であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は43であって、その強度比は1.7であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は616個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0040】
(比較例5)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)、Au粉末を用意した。これらの粉末を80(50Fe−45Pt−5Au)−20BN(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことを確認した。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は64であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は46であって、その強度比は1.4であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は732個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0041】
(比較例6)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)、Ru粉末、TiO
2粉末、SiO
2粉末を用意した。これらの粉末を74(48Fe−48Pt−4Ru)−3TiO
2−3SiO
2−20BN(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことを確認した。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は46であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は42であって、その強度比は1.1であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は1047個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0042】
(比較例7)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)、Cr
2O
3粉末を用意した。これらの粉末を75(55Fe−45Pt)−5Cr
2O
3−20BN(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことを確認した。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は52であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は48であって、その強度比は1.1であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は823個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0043】
(比較例8)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)、Ag粉末、TiN粉末を用意した。これらの粉末を75(45Fe−55Pt−10Ag)−3TiN−22BN(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことを確認した。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は53であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は43であって、その強度比は1.2であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は1079個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0044】
(比較例9)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)、Ag粉末、SiC粉末を用意した。これらの粉末を75(45Fe−55Pt−10Ag)−3SiC−22BN(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことを確認した。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は77であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は49であって、その強度比は1.6であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は1055個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0045】
(比較例10)
原料粉として、平均粒子径5μmのFe粉末、平均粒子径6μmのPt粉末、BN粉末(薄片状)を用意した。これらの粉末を40(55Fe−45Pt)−60BN(mol%)となるように秤量した。
次に、秤量した粉末をV型混合機で混ぜ合わせた後、乳鉢で混合し、カーボン製の型に充填し、ホットプレスした。
ホットプレスの条件は、実施例1と同様に、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1200°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、実施例1と同様に、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
こうして得られた焼結体の端部を切り出し、その断面をSEMによって観察した。その結果、スパッタ面に対して垂直断面方向には層状構造にはなっていないことを確認した。次に、X線回折法(XRD)を用いて焼結体の断面を測定した。その結果、スパッタ面に対して水平面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は82であり、スパッタ面に対して
垂直断面のBN(002)面のX線回折ピーク強度は53であって、その強度比は1.5であった。
次に焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、実施例1と同様の条件で、スパッタリングを行った。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は2530個と、実施例に比べて著しく増加していた。
【0046】
【表1】