(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)以外の他のエポキシ樹脂であって、(E)室温で液状のエポキシ樹脂を配合した際、(A)と(E)の混合物のエポキシ当量が180g/eq.〜2000g/eq.であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記一般式(1)で表されるエポキシ当量が200g/eq.〜2000g/eq.であるエポキシシリコーン樹脂を必須成分として含有する。
以下、このエポキシシリコーン樹脂を(A)又は(A)成分と、酸無水物系硬化剤を(B)又は(B)成分と、硬化促進剤を(C)又は(C)成分と、酸化防止剤を(D)及び(D)成分と記すことがある。なお、本明細書でいうエポキシ樹脂とエポキシ化合物は同一の意味を有する場合があると理解される。したがって、エポキシ樹脂又はエポキシ化合物は両者を代表する意味で使用されることがある。なお、(A)成分はエポキシ樹脂又はエポキシ化合物の1種である。
【0019】
一般式(1)中、R
1は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n―ブチル基、ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基などがあげられるがこれらに限定されず、各々同一でも異なっていても良い。好ましいR
1としては、入手の容易性及び熱硬化性樹脂組成物とし、熱処理を施して得られる硬化物としたときの耐熱着色性、耐光着色性などの物性の観点から、メチル基である。
【0020】
一般式(1)中、nは0〜100の数を表す。好ましいm、nの数は硬化物としたときの耐熱着色性、耐光着色性、機械物性の観点から、0<n≦30、より好ましくは0<n≦20である。更に好ましくは、nは0.5〜10、特に好ましくは1〜5である。なお、nは通常平均値である。本明細書において、平均値の場合は数平均を意味する。
【0021】
一般式(1)中、R
2は炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、内部にエーテル結合性酸素原子を1〜3個有していても良い。このような構造としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、イソプロピリデン基、ブチレン基、イソブチレン基、へキシレン基、キシリレン基、ドデシレン基、下記一般式(8a)で示される基などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいR
2としては、硬化物としたときの物性から、プロピレン基である。
【化8】
(式中、hは1〜3の数を表す。)
【0022】
一般式(1)中、Zは2価の有機残基を表し、内部に炭素―珪素結合および酸素―珪素結合を有していてもよい。このような置換基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、デシレン基、ドデシレン基、下記一般式(8)〜(19)で示される基等が挙げられるが、これらに限定されず、2種以上の構造が配されていてもよい。これらのうち、好ましい構造としては、入手の容易性、製造の容易性、硬化物とした際の耐熱着色性、耐光着色性、機械物性の観点から、Zは一般式(18)または一般式(19)で表される構造が好ましく、より好ましくは一般式(5)または一般式(6)で表される構造である。一般式(5)中のR
3がメチル基、0≦k≦20、好ましくは1〜10であり、一般式(6)中のR
4がメチル基、i=1、j=1であることがより好ましい。
【0023】
【化9】
(式中、R
7は炭素数1〜17の炭化水素基である。)
【化10】
(式中、R
7は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、内部に酸素原子を有していても良い。)
【0024】
【化11】
(式中、R
8は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、内部に酸素原子を有していても良い。Xは炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、あるいは単結合を表す。)
【化12】
(式中、R
9は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、内部に酸素原子を有していても良い。)
【0025】
【化13】
(式中、R
10は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、内部に酸素原子を有していても良い。Xは一般式(10)における説明と同義である。)
【化14】
(式中、R
11は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、内部に酸素原子を有していても良い。)
【0026】
【化15】
(式中、R
12は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、内部に酸素原子を有していても良い。)
【化16】
(式中、R
13は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、内部に芳香族環を有していても良い。R
14は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表わす。)
【0027】
【化17】
(式中、R
15は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、内部に芳香族環を有していても良い。R
16はフェニレン基またはナフチレン基を表し、R
17は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表わす。)
【化18】
(式中、R
18は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、内部に芳香族環を有していても良い。R
19は炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、内部に芳香族環を有していてもよく、エーテル結合性酸素原子を有していても良い。R
20は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表わす。)
【0028】
【化19】
(式中、R
3およびkは一般式(5)における表記と同義であり、R
21は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
【化20】
(式中、R
6、i、jは一般式(6)における説明と同義であり、R
22は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。)
【0029】
一般式(1)において、E1はエポキシ基を少なくとも1つ有する1価の有機残基であるが、好ましくは式(4)で表されるエポキシイソシアヌル基である。
【0030】
本発明に使用するエポキシシリコーン樹脂は、例えば以下の製造方法により有利に製造することが出来る。下記一般式(20)で表される両末端SiH含有環状オルガノシロキサンに、両末端ビニル基含有化合物を理論量未満で反応させ、ついで残存するSiH基を、1分子中にエポキシ基を少なくとも1つ以上有し、かつ炭素―炭素2重結合を1分子中に1つ有するSiH基と反応性のエポキシ樹脂を用いて末端封止反応を行うものである。
【化21】
(式中、R
1,m、lは一般式(1)と同義である。)
【0031】
上記両末端ビニル基含有化合物としては、一般式(21)または一般式(22)で表される両末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサンが好ましく挙げられるが、これらに限定されない。一般式(21)または(22)で表される両末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサンは、一般式(5)又は(6)で表されるZを与えるので、一般式(5)又は(6)と同じ記号は同じ意味を有する。上記一般式(8)〜(19)で表されるZを与える両末端ビニル基含有化合物は、上記から理解される。
【化22】
(式中、R
5およびkは一般式(5)における説明と同義である。)
【化23】
(式中、R
6、iおよびjは一般式(6)における説明と同義である)
【0032】
このとき、両末端SiH基含有ポリオルガノシロキサンを先に反応系内に投入しておき、ついで必ず未反応のSiH基が残存する両を用いて、両末端ビニル基化合物を逐次添加し、反応が完結したことを確認してから、SiH基と反応性のエポキシ樹脂を用い末端封止反応を行うことが特に好ましい。両末端ビニル基含有化合物の使用量は、2重結合を有するエポキシ樹脂で末端封止した際、上記エポキシ当量を満たすものであれば特に限定されないが、両末端ビニル基含有化合物との反応が終了した際、両末端SiH基含有ポリオルガノシロキサンのSiH基が20〜80%残存していることが好ましい。また、前述の理由から、E
1は一般式(4)で表されるエポキシイソシアヌル基、R
2がプロピレン基、R
1がメチル基、m=1、l=1となる原料を使用することが好ましい。また、Zが一般式(5)又は一般式(6)であることがよく、そのR
5がメチル基、0≦k≦20、一般式(6)のR
6がメチル基、i=1、j=1となる原料を使用することが好ましい。一般式(21)または一般式(22)で表されるポリオルガノシロキサンは、2種以上を併用しても良い。
【0033】
上記SiH基と反応性のエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ樹脂を少なくとも1つ以上有し、かつSiH基と反応性を有する炭素―炭素2重結合を1分子中に1つ有するものである。たとえば、−アリルフェニルグリシジルエーテル、2−アリル−4−メチルフェニルグリシジルエーテル、2−アリルー5−メチルフェニルグリシジルエーテル、2−アリル−6−メチルフェニルグリシジルエーテルなどの単環型エポキシ樹脂およびその核水素化したエポキシ樹脂、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンオキシド、1,4−ジメチル−4−ビニルシクロヘキセンオキシド、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−オキシド、ビニルノルボルネンモノオキシド、ジシクロペンタジエンモノオキシドなどの環状構造を含むオレフィン化合物から誘導されるエポキシ樹脂、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートなどの環構造中にヘテロ原子を含むエポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのエポキシ樹脂は2種以上を併用して反応に用いても良い。この中で、特に好ましいSiH基と反応性のエポキシ樹脂は、一般式(4)で表される有機残基を与えるモノアリルジグリシジルイソシアヌレートである。
【0034】
上記以外の方法、たとえば反応時、両末端SiH基含有環状オルガノシロキサン、両末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートを一括して反応系内に投入してヒドロシリル化反応を行ったり、SiH基と反応性を有する炭素―炭素2重結合を有する成分である両末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートを混合して反応系内に投入し、ついで両末端SiH基含有ポリオルガノシロキサンを投入してヒドロシリル化を行った場合、ヒドロシリル化反応の反応速度がモノアリルジグリシジルイソシアヌレートに対して両末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサンの方が著しく早いため、反応系内にエポキシ基を有さないシロキサン樹脂が選択的に生成しやすくなる。このため、得られるエポキシシリコーン樹脂が相分離を起こし白濁し、透明性が失われること、また白濁を生じなくとも硬化物物性の面で本発明の効果が得られないため好ましくない。
【0035】
ヒドロシリル付加反応は、貴金属触媒の存在下で進行することが広く知られている。触媒としては、公知のものであれば種々の貴金属又はその錯体化合物を使用することができる。貴金属触媒としては、例えば、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム又はイリジウムなどが挙げられるがこれらに限定されず、必要に応じて2種以上用いても良い。また、これらの金属を微粒子状担体材料、例えばカーボン、活性炭、酸化アルミニウム、シリカなどに固定化されたものを用いても良い。
【0036】
貴金属の錯体化合物としては、白金ハロゲン化合物(PtCl
4、H
2PtCl
6・6H
2O、Na
2PtCl
6・4H
2O等)、白金―オレフィン錯体、白金―アルコール錯体、白金―アルコラート錯体、白金―エーテル錯体、白金―カルボニル錯体、白金―ケトン錯体、白金―1,3−ジビニルー1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなどの白金―ビニルシロキサン錯体、ビス(γ―ピコリン)―白金ジクロライド、トリメチレンジピリジン−白金ジクロライド、ジシクロペンタジエン−白金ジクロライド、シクロオクタジエン−白金ジクロライド、シクロペンタジエン−白金ジクロライド、ビス(アルキニル)ビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体、ビス(アルキニル)(シクロオクタジエン)白金錯体、塩化ロジウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムクロライド、テトラキスアンモニウムーロジウムクロライド錯体などが挙げられるが特に限定されず、必要に応じて2種以上使用しても良い。
【0037】
上記貴金属触媒はそれぞれ単独で、あるいは溶解する溶媒にあらかじめ溶解させておき、しかる後反応系内に投入してもよい。貴金属触媒の使用割合は特に限定されないが、通常反応に用いた原料の合計重量に対して、0.1ppm〜100000ppm、好ましくは1ppmから10000ppmの範囲である。
【0038】
ヒドロシリル付加反応は、無溶媒でも反応を行うことができるが、必要に応じて有機溶媒にて反応系を希釈してもよく、反応に悪影響を与える化合物でなければ特に制限されない。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどの脂肪族ケトン類、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチルなどのエステル類が挙げられる。これらの有機溶媒は、2種以上を選択して混合溶媒として使用してもよい。
【0039】
ヒドロシリル付加反応における温度条件については、特に限定されないが、通常0℃〜200℃、好ましくは30℃〜180℃である。0℃以下では反応の進行に時間を要し経済的ではない。200℃以上で反応を行うとエポキシ基とヒドロシリル部位との付加反応が進行し、反応をコントロールすることが困難となる。
【0040】
本発明で使用するエポキシシリコーン樹脂(A)は、エポキシ当量が200g/eq.〜2000g/eq.である。この範囲であることで、透明性、耐熱着色性、ガラス転移点温度、曲げたわみに優れた硬化物を得ることができる。エポキシ当量がこの範囲から外れる場合は、硬化物が脆くなる、または表面硬度が低くなりべたつきを生じる、耐熱着色性が悪くなるなどの理由で好ましくない。
【0041】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれる(B)酸無水物系硬化剤としては、公知のものであれば種々の化合物を選択できる。例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ナジック酸、水素化無水ナジック酸、無水トリメリット酸、水素化無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、水素化無水ピロメリット酸などを適用することができ、必要に応じて2種類以上を用いてもよい。特に、本発明における透明性、耐熱着色性、耐光着色性を得るための好ましい(B)酸無水物硬化剤は無水ヘキサヒドロフタル酸、メチル化無水ヘキサヒドロフタル酸、水素化無水ナジック酸である。
【0042】
本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれる(C)硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の硬化促進剤とし公知のものであれば種々の化合物を適用できる。例えば、3級アミン及びその塩類、イミダゾール類及びその塩類、有機ホスフィン化合物及びその塩類、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズなどの有機金属塩が挙げられ、必要に応じて2種類以上を用いてもよい。特に、本発明の効果を得るための好ましい硬化促進剤は、4級アンモニウム塩類、有機ホスフィン化合物、4級ホスホニウム塩類であり、更に好ましくは4級ホスホニウム塩類である。
【0043】
本発明の熱硬化性樹脂に含まれる酸化防止剤(D)は、一般式(2)で表される特定のフェノール性化合物、又は一般式(3)で表されるリン酸エステル系化合物のうち、少なくとも1つ以上から適用できるが、一般式(2)で表される特定のフェノール性化合物、及び一般式(3)で表されるリン酸エステル系化合物を併用することが好ましい。
【0044】
一般式(2)で表される特定のフェノール性化合物としては、公知のものであれば特に限定はされないが、例えば下記式(23)〜(26)で表わされる化合物が挙げられ、必要に応じて2種以上用いても良い。一般式(2)及び式(23)〜(26)において、末端の炭素はスピロ結合に関与してスピロ環を形成する。
【0045】
【化24】
(式中、R
3は一般式(2)における説明と同義である。)
【化25】
(式中、R
3は一般式(2)における説明と同義である。)
【化26】
(式中、R
3は一般式(2)における説明と同義である。)
【0046】
上記フェノール性化合物のうち、本発明の効果を得るための、特に好ましい構造は、下記式(26)で表される3,9−ビス(2−(3−(3−テトラブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンである。
【化27】
【0047】
一般式(3)で表されるリン酸エステル系化合物としては、公知のものであれば種々の化合物を選択できる。例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリヘキシル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等が上げられるが、これらに限定されない。本発明の効果を得るための、特に好ましい構造は、リン酸トリフェニルであり、一般式(3)におけるR
4がフェニル基で表される化合物である。
【0048】
本発明の熱硬化樹脂組成物は、上記(A)、(B)(C)及び(D)成分を必須成分とするが、粘度、硬化速度の調整等、当業者に好ましい形態とすることを目的として、(E)成分として、(A)成分以外の1分子中に2個以上のエポキシ基を有する室温で液状のエポキシ樹脂またはエポキシ化合物を用いてもよい。このとき、(A)と(E)の混合物でエポキシ当量が180g/eq.〜2000g/eq.の範囲であることで、本発明の効果が得られる。
【0049】
(E)成分は、(A)成分とは異なるエポキシ樹脂であり、単独あるいは混合して室温で液状を有するものであれば種々の化合物を選択できる。たとえば、レソルシノール、ハイドロキノン、2,5−ジターシャリブチルヒドロキノンなどの単環型二価フェノール類から誘導されるエポキシ樹脂の芳香環を核水素化したもの、1,3−ナフタレンジオール、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオールなどのナフタレンジオール類から誘導されるエポキシ樹脂、およびその芳香環を核水素化したもの、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、4,4’−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール等のビスフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、およびその芳香族環を核水素化したエポキシ樹脂が挙げられる。
【0050】
好適な(E)成分には、下記一般式(27)〜(31)で表わされる脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
【0051】
【化28】
(式中、h、gは1〜20の整数を表す。)
【0052】
更に、(E)成分には、下記一般式(32)で表されるエポキシシリコーン樹脂が挙げられる。
(R
23SiO
3/2)
w(R
24R
25SiO)
x(Me
3SiO
1/2)
y (32)
(式中、R
23〜R
25は、それぞれ内部にエポキシ基を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、芳香族基であり、内部にエーテル性酸素原子を1〜3個有していても良い。ただし、R
23〜R
25のうち、1つ以上は必ずエポキシ基を含む。またR
24、R
25が同時にエポキシ基を有することはない。w〜yは、w+x+y=1,0≦w<1、0<x<1、0<y0.75を満たす数である。)
【0053】
(E)成分は、上記のエポキシ樹脂に限定されず、必要に応じて2種以上を用いても良い。
【0054】
本発明における熱硬化性樹脂組成物をLED封止用途として使用する際には、上記記載の酸化防止剤(D)の他に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の酸化防止剤をを配合し、当業者にとって好ましい形態で実施することも出来る。
【0055】
(D)成分以外の他の酸化防止剤としては、公知のものであれば種々の化合物を適用できる。例えば、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−tert−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのモノフェノール類、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などの高分子型フェノール類、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのオキサホスファフェナントレンオキサイド類、ジラウリル3,3’―ジラウリル3,3’―チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’―ジラウリル3,3’―チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’―ジラウリル3,3’―チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3―ラウリルチオプロピオネート)等のエステル骨格含有チオエーテル化合物類、酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤は必要に応じて2種類以上を用いてもよい。
【0056】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には他の熱硬化性樹脂を配合することもできる。このような熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性アミノ樹脂、熱硬化性メラミン樹脂、熱硬化性ウレア樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、熱硬化性オキセタン樹脂、熱硬化性エポキシ/オキセタン複合樹脂、熱硬化性シアネート樹脂等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0057】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分を必須成分とするが、樹脂成分(樹脂の他、硬化して樹脂の一部となる成分、例えば、モノマー、硬化剤、硬化促進剤を含むが、溶剤、充填剤は含まない)の60wt%以上、好ましくは80wt%以上、より好ましくは90wt%以上が(A)成分〜(B)成分であることがよい。また、(A)成分、(B)成分(C)成分、及び(D)成分の配合割合は、次のようにして決めることがよい。
【0058】
(A)成分のエポキシ基と(B)成分の硬化剤中の酸無水物官能基が当量比で0.8〜1.5の範囲であることが好ましい。この範囲外では硬化後も未反応のエポキシ基、又は硬化剤中の官能基が残留し、硬化物としたときの硬度や耐熱性等の機能が低下するため好ましくない。また、硬化促進剤である(C)成分の配合割合としては、(A)成分と(B)成分の合計に対して、0.1wt%〜5wt%の範囲が好ましい。0.1wt%未満ではゲル化時間が遅くなって硬化時の剛性低下による作業性の低下をもたらし、逆に5.0wt%を超えると成形途中で硬化が進んでしまい、未充填が発生し易くなる。
【0059】
(D)成分である酸化防止剤の配合割合としては、(A)成分に対し、0.001wt.%〜10wt%、好ましくは0.1wt%〜5wt%である。0.001wt%未満の場合は本発明の効果が得られなく、逆に10wt%を超えると透明性、耐熱着色性の点で好ましくない。なお、(E)成分を配合する場合は、(A)成分のエポキシ基と(E)成分のエポキシ基との合計に対し、上記の割合で(B)成分及び(D)成分を配合することがよい。
【0060】
本発明の熱硬化性樹脂を電子部品として適用する場合、その用途、製造プロセスについては公知のものであれば特に限定されるものではない。たとえば、半導体封止材料であれば本発明の熱硬化性樹脂組成物にシリカなどのフィラーを混合し、ニーダーや熱3本ロールにて混練したのち、タブレット化して封止用金型のキャビティに送り込み熱硬化させるトランスファーモールド方式をとることができる。また、室温で液状である硬化剤と混合し、必要に応じてシリカ、アルミナ、酸化チタンなどのフィラー等を用いて所望の粘度としたのち、所定の位置に樹脂を注入するディスペンス方式をとることが出来る。
【0061】
また、回路基板としては、たとえばガラスクロスなどの基材に本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸させた後、銅箔をプレス成型により貼り合わせる方法や、銅箔に本発明の熱硬化性樹脂組成物をキャスト法などにより塗布し、所望の基材と貼り合わせる方法をとることが出来る。
【0062】
また、基板と半導体の接合部を封止・保護するアンダーフィル材として使用する場合には、室温で液状である硬化剤と混合し、必要に応じてシリカ、アルミナ、酸化チタン、ゴム粒子などのフィラー等を用いて所望の粘度としたのち、所定の位置に樹脂を注入するディスペンス方式をとることが出来る。
【0063】
また、光学部品用途としては、たとえば光学レンズ、光半導体用封止材、光半導体用白色成型材料、光半導体接着剤などがあげられるがその用途についてはこれらに限定されず、公知の用途、製造プロセスであれば適用が可能である。
【0064】
たとえば、光学レンズ材料としては、ディスペンス方式、トランスファーモールド方式等の公知のプロセスにより製造が可能である。
【0065】
光半導体装置(LED装置)用封止材としては、光半導体素子を金ワイヤー等で外部電極に接続したのち、トランスファーモールド方式、ポッティング方式等公知の技術を用いて充填する方法が適用できる。この際、本発明の熱硬化性樹脂組成物に、光半導体素子から発光する光を変換する目的で、各種公知の蛍光粉末を用いてもよい。また、適度なチクソ性を発現させるため、シリカ、エアロジルなどの公知のフィラーやシランカップリング材、界面活性剤などの公知の添加剤を加えてもよい。
【0066】
光半導体用白色成型材料としては、本発明の熱硬化性樹脂組成物に、シリカ、酸化チタン、アルミナなどのフィラーを混合し、ニーダーや熱3本ロールにて混練したのち、タブレット化して封止用金型のキャビティに送り込み熱硬化させるトランスファーモールド方式等を適用できる。
【0067】
光半導体装置用接着剤としては、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、必要に応じてシリカ、酸化チタン、アルミナ、銀粉などのフィラーを用いてロール等による混練によりペースト化したものをディスペンス等の方法で基材に塗布、またはさらに公知のフィルム材を用いてフィルム状としたものを、基材の上に貼り合わせ、光半導体素子をマウントし熱硬化させる方法等を適用できる。
【0068】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、フッ素樹脂板、PETフィルム、ポリイミド等の基材上に、スピンコーター、バーコーター等を用いて薄膜状に塗布し、熱硬化させた後、基材をはがすことでフィルム体を得ることが出来る。
【0069】
上記手法により得られた熱硬化性樹脂及び熱硬化フィルムは、公知の電子部品用途、光学部品用途であれば種々の用途に適用でき、フレキシブルプリント配線板、異方性導電フィルム、カバーレイフィルム、ダイアタッチフィルム、層間絶縁材料等の電子部品用途、透明保護フィルム、光導波路用フィルム、光半導体フィルム等の光学部品用途に適用可能である。
【実施例】
【0070】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0071】
合成例1
一般式(20)において、R
1がメチル基、m=1、l=1で表される、両末端にSiH基を有する環状オルガノシロキサン33重量部(SiH基として0.25当量)、ジオキサン120重量部、カーボン担持白金(白金担持量3%)0.17重量部を攪拌モーター、還流冷却管、窒素ラインを装着した500mLのセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら100℃に昇温した。ついで、一般式(21)において、R
5がメチル基、kの平均値が4で表されるオルガノシロキサン35重量部(ビニル基として0.14当量)を、1時間かけて反応系内に投入した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、分子量の増大が停止したことを確認した後、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート31重量部(ビニル基として0.11当量)をジオキサン57重量部に溶解させた溶液を1時間かけて投入した。投入終了後、内温を110℃まで昇温し、ジオキサンを還流させながら反応を行った。0.1規定の水酸化カリウム/メタノール溶液に反応液を滴下し、水素ガスの発生がなくなったことを確認して、残存する白金触媒をセライトを用いてろ過した。エバポレータを用いて、ろ液の溶媒留去を行うことで、一般式(1)中、l=1、m=1、nの平均値が1.3、R
1がメチル基、R
2がプロピル基、E
1が一般式(4)で表される置換基、Zが一般式(5)で表され、R
5がメチル基、kの平均値が4である、両末端にエポキシ基含有イソシアヌル環を配したエポキシシリコーン樹脂(ES1)を88重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は439g/eq.室温での粘度は29Pa・sであった。
【0072】
合成例2
一般式(20)において、R
1がメチル基、m=1、l=1で表される、両末端にSiH基を有する環状オルガノシロキサン28重量部(SiH基として0.21当量)、ジオキサン150重量部、カーボン担持白金(白金担持量3%)0.32重量部を攪拌モーター、還流冷却管、窒素ラインを装着した500mLのセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら100℃に昇温した。ついで、一般式(21)において、R
5がメチル基、kの平均値が8で表されるオルガノシロキサン47重量部(ビニル基として0.12当量)を、1時間かけて反応系内に投入した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、分子量の増大が停止したことを確認後、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート25重量部(ビニル基として0.09当量)をジオキサン44重量部に溶解させた溶液を1時間かけて投入した。投入終了後、内温を110℃まで昇温し、ジオキサンを還流させながら反応を行った。0.1規定の水酸化カリウム/メタノール溶液に反応液を滴下し、水素ガスの発生がなくなったことを確認して、残存する白金触媒をセライトを用いてろ過した。エバポレータを用いて、ろ液の溶媒留去を行うことで、一般式(1)中、l=1、m=1、nの平均値が1.3、R
1がメチル基、R
2がプロピル基、E
1が一般式(4)で表される置換基、Zが一般式(5)で表され、R
5がメチル基、kの平均値が8である、両末端にエポキシ基含有イソシアヌル環を配したエポキシシリコーン樹脂(ES2)を91重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は552g/eq.室温での粘度は7.3Pa・sであった。
【0073】
合成例3
一般式(20)において、R1がメチル基、m=1、l=1で表される、両末端にSiH基を有する環状オルガノシロキサン36重量部(SiH基として0.27当量)、ジオキサン160重量部、カーボン担持白金(白金担持量3%)0.30重量部を0.32重量部を攪拌モーター、還流冷却管、窒素ラインを装着した500mLのセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら100℃に昇温した。ついで、一般式(22)において、R
6がメチル基、i=1、j=1で表される、両末端にビニル基を有する環状オルガノシロキサン30重量部(ビニル基として0.19当量)を、1時間かけて反応系内に投入した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、分子量の増大が停止したことを確認後、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート22重量部(ビニル基として0.08当量)をジオキサン44重量部に溶解させた溶液を1時間かけて投入した。投入終了後、内温を110℃まで昇温し、ジオキサンを還流させながら反応を行った。0.1規定の水酸化カリウム/メタノール溶液に反応液を滴下し、水素ガスの発生がなくなったことを確認して、残存する白金触媒をセライトを用いてろ過した。エバポレータを用いて、ろ液の溶媒留去を行うことで、一般式(1)中、l=1、m=1、nの平均値が2.4、R
1がメチル基、R
2がプロピル基、E
1が一般式(4)で表される置換基、Zが一般式(6)で表され、R
6がメチル基、i=1、j=1である、両末端にエポキシ基含有イソシアヌル環を配したエポキシシリコーン樹脂(ES3)を91重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は548g/eq.室温では流動性を示さない半固形状の樹脂であった。
【0074】
実施例1〜3
(A)成分として合成例1〜3で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES3)を99.7重量部使用し、更に(D)成分として3,9−ビス(2−(3−(3−テトラブチルー4−ヒドロキシー5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(酸化防止剤OI1という)を0.3重量部配合して樹脂液とした。この樹脂液とメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)を用いて、エポキシ当量と酸無水物当量の比が1:1となるように加え、よく混合し、さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.5重量%投入し、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0075】
実施例4〜6
合成例1〜3で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES3)を99.7重量部使用し、更に(D)成分として燐酸トリフェニル(酸化防止剤OI2という)を0.3重量部配合して樹脂液とした。この樹脂液とメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)を用いて、エポキシ当量と酸無水物当量の比が1:1となるように加え、よく混合し、さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.5重量%投入し、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0076】
実施例7〜9
合成例1〜3で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES3)を99.4重量部使用し、更に(D)成分として酸化防止剤Ol1を0.3重量部と、酸化防止剤Ol2を0.3重量部配合して樹脂液とした。この樹脂液とメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)を用いて、エポキシ当量と酸無水物当量の比が1:1となるように加え、よく混合し、さらに硬化促進剤としてテトラ−n−ブチルホスホニウムo,o’−ジエチルホスホロジチオネートを全体の0.5重量%投入し、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0077】
実施例10
合成例2で得られたエポキシリリコーン樹脂(ES2)を70重量部、(E)成分として3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(EpC)を29.4重量部混合し、エポキシ当量が280g/eq.の樹脂液とした。この樹脂液に酸化防止剤Ol1を0.3重量部、酸化防止剤Ol2を0.3重量部を投入し、実施例5と同様の操作を行い厚さ1mmおよび4mmの樹脂板を作成した。
【0078】
比較例1〜3
合成例1〜3で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES3)とメチル化ヘキサヒドロ無水フタル酸(MH:酸無水物当量168g/eq.)を用い、(D)成分を用いない他は、実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0079】
比較例4〜6
合成例1〜3で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES3)を、99.7重量部使用し、更に(D)成分として2,6−ジーtertーブチル−p−クレゾール(酸化防止剤OI3)を0.3重量部配合して樹脂液とした。この樹脂液を用いた他は実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0080】
比較例7〜9
合成例1〜3で得られたエポキシシリコーン樹脂(ES1〜ES3)を、99.7重量部使用し、更に(D)成分として亜リン酸トリフェニル(酸化防止剤OI4)を0.3重量部配合して樹脂とした。この樹脂液を用いた他は実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0081】
比較例10
(A)成分を使用せず、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(EpC)を99.4重量部用いた。更に(D)成分を用いない他は、実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0082】
比較例11
(A)成分を使用せず、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(EpC)を99.4重量部、酸化防止剤OI1を0.3重量部、酸化防止剤OI2を0.3重量部用いた他は、実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0083】
比較例12
(A)成分を使用せず、トリグリシジルイソシアヌレート(EpT、エポキシ当量100g/eq.)を99.4重量部用いた。更に(D)成分を用いない他は、実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0084】
比較例13
(A)成分を使用せず、トリグリシジルイソシアヌレート(EpT、エポキシ当量100g/eq.)を99.4重量部用いた他は、実施例7と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0085】
比較例14
(A)成分を使用せず、下記式(32)で表されるエポキシシリコーン樹脂(CES、エポキシ当量502g/eq.)を99.4重量部用いた。更に(D)成分を用いない他は、実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【化29】
【0086】
比較例15
(A)成分を使用せず、式(32)で表されるエポキシシリコーン樹脂(CES、エポキシ当量502g/eq.)を99.4重量部、酸化防止剤OI1を0.3重量部、酸化防止剤OI2を0.3重量部を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0087】
比較例16
下記式(33)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン26.4重量部(SiH基として0.2当量)、ジオキサン78重量部、カーボン担持白金(白金担持量3%)0.14重量部を攪拌モーター、還流冷却管、窒素ラインを装着した500mLのセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながら100℃に昇温した。ついで、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート56.2重量部(ビニル基として0.2当量)をジオキサン56重量部に溶解させた溶液を1時間かけて投入した。投入終了後、内温を110℃まで昇温し、ジオキサンを還流させながら反応を行った。0.1規定の水酸化カリウム/メタノール溶液に反応液を滴下し、水素ガスの発生がなくなったことを確認して、残存する白金触媒をセライトを用いてろ過した。エバポレータを用いて、ろ液の溶媒留去を行うことで、両末端および側鎖にエポキシ基含有イソシアヌル環を配したエポキシシリコーン樹脂(ES4)を74重量部得た。この樹脂のエポキシ当量は203g/eq.室温では流動性を示さない半固形状であった。このエポキシシリコーン樹脂(ES4)を99,4重量部用い、(D)成分を用いない他は、実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【化30】
【0088】
比較例17
(A)成分を使用せず、エポキシシリコーン樹脂(ES4)を99.4重量部用い、酸化防止剤OI1を0.3重量部、酸化防止剤OI2を0.3重量部を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0089】
比較例18
((Me
2CH
2=CH)SiO
1/2)
1.0(MeSiO
3/2)
1.11(Me
2SiO)
0.05で表されるシリコーンレジン100重量部、ビニル当量が1,400g/eq.である両末端ビニル基含有ジメチルシロキサンオイル20重量部、ヒドロシリル当量が64g/eq.であるメチルハイドロジェンシリコーンオイル48重量部を用い、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0090】
比較例19
((Me
2CH
2=CH)SiO
1/2)
1.0(MeSiO
3/2)
1.11(Me
2SiO)
0.05で表されるシリコーンレジン100重量部、ビニル当量が1,400g/eq.である両末端ビニル基含有ジメチルシロキサンオイル20重量部、ヒドロシリル当量が64g/eq.であるメチルハイドロジェンシリコーンオイル48重量部、(D)成分として酸化防止剤OI1を0.42重量部、酸化防止剤OI2を0.42重量部、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0091】
比較例20
(C
6H
5)
0.62(CH
2=CH)
0.38(CH
3)
0.38SiO
1.31で表されるフェニルシリコーンレジン30重量部と、ヒドロシリル当量が163g/eq.で表されるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを16重量部用い、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0092】
比較例21
(C
6H
5)
0.62(CH
2=CH)
0.38(CH
3)
0.38SiO
1.31で表されるフェニルシリコーンレジン99.4重量部と、ヒドロシリル当量が163g/eq.で表されるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを53重量部、(D)成分として酸化防止剤OI1を0.3重量部、酸化防止剤OI2を0.3重量部を用い、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃で4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0093】
比較例22
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンと、過剰量のビニルノルボルネンのヒドロシリル化反応生成物(VNS1、ビニル当量:250g/eq.)25重量部、及び過剰の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとビニルノルボルネンのヒドロシリル化反応生成物(SiH当量:160g/eq.)とのヒドロシリル化反応生成物(VNS2、SiH当量:160g/eq.)16重量部を用い、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0094】
比較例23
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンと、過剰量のビニルノルボルネンのヒドロシリル化反応生成物(VNS1、ビニル当量:250g/eq.)99.4重量部、及び過剰の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとビニルノルボルネンのヒドロシリル化反応生成物(SiH当量:160g/eq.)とのヒドロシリル化反応生成物(VNS2、SiH当量:160g/eq.)63.6重量部を用い、(D)成分として酸化防止剤OI1を0.3重量部、酸化防止剤OI2を0.3重量部用い、硬化触媒として白金―テトラビニルジシロキサン錯体のキシレン溶液を、全重量に対し20ppm加え、真空脱気して金型内で、120℃4時間、更に160℃で12時間硬化して厚さ1mm及び4mmの樹脂板を作成した。
【0095】
硬化した樹脂板の物性測定は以下の方法にて行った。
(1)硬化物のガラス転移温度(Tg)の測定
セイコー電子工業(株)製熱応力歪測定装置TMA/SS120Uを用いて30℃から270℃の範囲で測定し、線膨張率の変化した温度をガラス転移温度とした。昇温速度は5℃/分とした。
【0096】
(2)線膨張率の測定
セイコー電子工業(株)製熱応力歪測定装置TMA/SS120U(新しい型番を調べる)を用いて30℃から270℃の範囲で測定し、40℃と60℃の2点で結ばれた直線の傾きから線膨張率を算出した。昇温速度は5℃/分とした。
【0097】
(3)硬化物の初期透過度
日立製作所製自記分光光度計U−3410を用いて、厚さ1mm硬化物の400nmの透過度を測定した。
【0098】
(4)耐UV性の測定
厚さ4mmの硬化物をQパネル社製耐候性試験機QUVを用いて、600時間UV照射した後の400nmの透過度を、初期透過度と同様にして測定した。QUVのランプにはUVA340nmを用い、ブラックパネル温度は55℃とした。
【0099】
(5)初期耐熱性の測定
1mm厚の硬化物を150℃の環境下にさらし、72時間後の400nmの透過度を、初期透過度と同様にして測定した。
【0100】
(6)長期耐熱性の測定
1mm厚の硬化物を150℃の環境下にさらし、480時間後の400nmの透過度を、初期透過度と同様にして測定した。
【0101】
(7)硬度の測定
テクロック(株)性硬度計TYPE−Dを用いて、室温での硬化物の表面硬度を測定した。
【0102】
(8)硬化物形状
金型取り外し後の硬化物の均一性や硬化収縮による硬化物の割れを目視にて判定した。○:均一な硬化物である。△:金型の形状を保っているが硬化物中にクラックが生じている。×:金型の形状を保たず、樹脂が割れている。
【0103】
(9)曲げ、たわみ特性試験
JIS−7171に準拠し、80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、オートグラフ(島津製作所(株)製)により曲げ弾性率、曲げ強度、曲げたわみを測定した。曲げたわみ試験で破断せずは、NBと記載する。
【0104】
実施例1〜10により得られた硬化物の各試験の測定結果を表1に示す。表中の配合の記載で−は無しを意味する。
【0105】
【表1】
【0106】
比較例1〜23により得られた硬化物の各試験の測定結果を表2、表3、表4に示す。なお、NMは測定不可を意味する。
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
実施例11〜20、比較例24〜46
実施例1〜10、比較例1〜22の配合により得られた配合物を、底辺部が銀メッキされた青色LED用プレモールドパッケージも。注型により充填し、100℃2時間、150℃5時間硬化させて封止して、LED装置を作成した。
【0111】
封止されたLED装置の物性測定は以下の方法にて行った。
(10)リフロー試験
封止されたLEDパッケージを、260℃を15秒保持するよう設定されたリフロー炉に連続して3回通過させたとき、封止材の着色、クラック、剥がれの有無を確認した。結果を表5に示す。
(11)熱衝撃試験の測定
封止されたLEDパッケージを、−40℃〜120℃、500サイクルの試験に供し、顕微鏡にてクラック及び封止材の剥がれの有無を確認した。結果を表6に示す。
表5及び表6において、○は無しを、×は有りを意味する。また、配合において、Ex1は実施例1の配合を、Ex2は実施例2の配合を意味し、C1は比較例1の配合を、C2は比較例2の配合を意味し、以下同様である。
【0112】
【表5】
【0113】
【表6】