特許第5915295号(P5915295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5915295
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】純水製造方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20060101AFI20160422BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   C02F1/42 B
   C02F1/44 J
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-60667(P2012-60667)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-193004(P2013-193004A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀樹
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−156357(JP,A)
【文献】 特開2001−145879(JP,A)
【文献】 特開2001−056323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/42−1/44
B01J39/00−49/02
B01D61/00−71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水にアルカリを目標pHとなるように添加した後、RO処理し、次いでアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが充填されたイオン交換装置でイオン交換処理する純水製造方法において、
イオン交換装置のイオン交換処理水の一部を分取して導電率又は比抵抗を測定し、この測定値が所定範囲であるときには現状の目標pHを維持し、
該測定値が該所定範囲を逸脱した場合には、
前記イオン交換処理水の一部を分取してカチオン交換カラムに通水した水の導電率又は比抵抗を測定して第1測定値を得る第1測定工程と、
前記イオン交換処理水の一部を分取してアニオン交換カラムに通水した水の導電率又は比抵抗を測定して第2測定値を得る第2測定工程と、
第1測定値のみがイオン交換処理水の測定値よりも高水質側の値となるときには目標pHを所定値だけ低下させ、第2測定値のみがイオン交換処理水の測定値よりも高水質側の値となるときには目標pHを所定値だけ高くし、第1測定値及び第2測定値の双方が高水質側の値となるときには現状の目標pHを維持する目標pH値見直し工程と
を行うことを特徴とする純水製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記目標pHを変更する際の前記所定値は、0.05〜0.2の間から選択された値であることを特徴とする純水製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記イオン交換処理水の一部を分取して測定した導電率のが前記所定範囲の限又はそれよりも低水質側に設定された基準値よりも低水質側となったとき、或いは、前記イオン交換処理水の一部を分取して測定した比抵抗の値が前記所定範囲の下限又はそれよりも低水質側に設定された基準値よりも低水質側となったときには、前記イオン交換装置の再生を行うことを特徴する純水製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は純水製造方法に係り、特に超純水製造装置における一次純水製造方法に適用するのに好適な純水製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体洗浄用水として用いられている超純水は、前処理システム、一次純水製造装置、二次純水製造装置(サブシステムと称されることも多い。)から構成される超純水製造装置で原水(工業用水、市水、井水等)を処理することにより製造される(特許文献1)。各システムの役割は次の通りである。
【0003】
凝集、加圧浮上(沈殿)、濾過(膜濾過)装置など(この従来例では凝集濾過装置)よりなる前処理システムでは、原水中の懸濁物質やコロイド物質の除去を行う。また、この過程では高分子系有機物、疎水性有機物などの除去も可能である。
【0004】
前処理された水は、逆浸透膜装置(RO装置)、イオン交換装置等を備える一次純水製造装置で、原水中のイオンや有機成分の除去を行う。逆浸透膜処理装置では、塩類を除去すると共に、イオン性、コロイド性のTOCを除去する。イオン交換装置では、塩類を除去すると共にイオン交換樹脂によって吸着又はイオン交換されるTOC成分の除去を行う。
【0005】
一次純水製造装置で製造された一次純水は、二次純水製造装置へ送水される。この二次純水製造装置は、サブタンク(純水タンクと称されることもある。)、低圧紫外線酸化装置(UV装置)、イオン交換装置及び限外濾過膜(UF膜)分離装置を備えている。低圧紫外線酸化装置では、低圧紫外線ランプより出される紫外線によりTOC成分を有機酸、さらにはCOまで分解する。分解により生成した有機物及びCOは後段のイオン交換装置で除去される。限外濾過膜分離装置では、微粒子が除去され、イオン交換樹脂からの流出粒子も除去される。この二次純水製造装置で製造された超純水がユースポイントに送られる。
【0006】
図2は、工業用水等の無機炭酸を含んだ原水を処理して純水を製造するための従来の純水製造装置のフロー図である。原水ライン1を流れる原水に対しアルカリ添加手段2からアルカリ(NaOH水溶液)が添加され、無機炭酸が重炭酸とされる。なお、アルカリ添加後の水のpHがpH計3で検出され、このpHが目標pHとなるように制御器4によってアルカリ添加手段2が制御される。アルカリが添加された水は、MF(精密濾過)装置5で懸濁物質、コロイド物質が除去され、さらにRO装置6で脱塩処理される。なお、この脱塩処理水の導電率が導電率計8で検知される。RO処理水は、混床式イオン交換装置7でイオン交換処理され、カチオン及びアニオンが除去され純水となり、一次純水ライン9によってサブシステムに送水される。
【0007】
この混床式イオン交換装置7は、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂が混合充填されたものである。この混床式イオン交換装置7からの純水の比抵抗が比抵抗計で計測され、この比抵抗が所定値以下となったときには、混床式イオン交換装置7の再生を行う。この再生は苛性ソーダ及び塩酸によって行われる。純水製造コスト低減のためには、この再生の頻度を少なくして混床式イオン交換装置7の採水率向上、再生薬品コスト及び再生廃液処理コストの低減を図ることが重要である。
【0008】
イオン交換の再生頻度低減(採水量の増大)のためにアルカリ添加手段2からのアルカリ添加によって無機炭酸を重炭酸に変換してRO装置6によって除去し、混床式イオン交換装置7に負荷されるアルカリ負荷を低下させている。無機炭酸除去量を多くするためには、アルカリ添加量を多くすればよいが、アルカリ添加量が過剰になるとRO装置7からのカチオンリーク量が多くなり、混床式イオン交換装置7のカチオン負荷が増大する。そこで、図2の純水製造装置では、導電率計8の検出導電率が最も低くなるpH値を見出し、このpH値となるようにアルカリ添加手段2を制御している。
【0009】
特許文献2には、被処理水にアルカリを添加した後、RO装置でRO処理し、このRO処理水をカチオン交換塔に通水した後、混床式イオン交換装置に通水する純水製造方法において、カチオン交換塔からの流出水の電気抵抗率を測定し、この電気抵抗率の測定値に基づいてアルカリ添加量を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−183245
【特許文献2】特開平11−156357
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図2の従来方法においては、導電率計8の導電率が最も低くなるpHとなるようにアルカリ添加制御が行われているが、原水水質(例えば無機炭酸濃度)によっては、導電率が最も低くなるpHと、混床式イオン交換装置7の採水量を最大とするpHとが合致しないことがあり、混床式イオン交換装置7の採水量が少なくなることがあった。
【0012】
特許文献2の純水製造方法においては、常にRO処理水の全量をカチオン交換塔及び混床式イオン交換装置に順次に通水しているので、イオン交換装置設備が過剰であり、設備コストが過大となる。
また、引用文献2では、カチオン交換塔流出水の電気抵抗によってアルカリ添加量を制御しているが、この方法はアルカリ添加量を増やしてもカチオン交換塔流出水の電気抵抗が変わらなくなる点を適切なアルカリ添加量とする。そのため、アルカリの添加量が多くなる傾向にあり、結果としてカチオン交換塔の負荷が増えるのでカチオン交換塔の採水量が減るという問題がある。
【0013】
本発明は、上記従来の問題を解決し、原水にアルカリを添加してRO処理する純水製造方法において、アルカリ添加量を簡易な設備で適正化することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の純水製造方法は、原水にアルカリを目標pHとなるように添加した後、RO処理し、次いでカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とが充填されたイオン交換装置でイオン交換処理する純水製造方法において、イオン交換装置のイオン交換処理水の一部を分取して導電率又は比抵抗を測定し、この測定値が所定範囲であるときには現状の目標pHを維持し、該測定値が該所定範囲を逸脱した場合には、前記イオン交換処理水の一部を分取してカチオン交換カラムに通水した水の導電率又は比抵抗を測定して第1測定値を得る第1測定工程と、前記イオン交換処理水の一部を分取してアニオン交換カラムに通水した水の導電率又は比抵抗を測定して第2測定値を得る第2測定工程と、第1測定値のみがイオン交換処理水の測定値よりも高水質側の値となるときには目標pHを所定値だけ低下させ、第2測定値のみがイオン交換処理水の測定値よりも高水質側の値となるときには目標pHを所定値だけ高くし、第1測定値及び第2測定値の双方が高水質側の値となるときには現状の目標pHを維持する目標pH値見直し工程とを行うことを特徴とするものである。
【0015】
前記目標pHを変更する際の前記所定値は、0.05〜0.2の間から選択された値であることが好ましい。
【0016】
前記イオン交換処理水の一部を分取して測定した導電率のが前記所定範囲の限又はそれよりも低水質側に設定された基準値よりも低水質側となったとき、或いは、前記イオン交換処理水の一部を分取して測定した比抵抗の値が前記所定範囲の下限又はそれよりも低水質側に設定された基準値よりも低水質側となったときには、前記イオン交換装置の再生を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
原水にアルカリを目標pHとなるように添加することにより無機炭酸がイオン化し、RO処理により他の塩類等と共に除去され、次いでカチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂が充填されたイオン交換装置でイオン交換処理することにより、残りのイオンも除去される。本発明では、このイオン交換装置のイオン交換処理水の一部を分取して導電率又は比抵抗を測定する。RO処理及びイオン交換処理によって炭酸及び塩類が十分に除去されているときには、イオン交換処理水の導電率又は比抵抗の測定値が所定範囲の高水質の値となるので、現状の目標pHを維持する。
【0018】
イオン交換装置から若干のカチオン又はアニオンがリークして該測定値が該所定範囲を逸脱するようになった場合には、前記イオン交換処理水の一部を分取してカチオン交換カラムに通水した水の導電率又は比抵抗を測定して第1測定値を得る第1測定工程と、前記イオン交換処理水の一部を分取してアニオン交換カラムに通水した水の導電率又は比抵抗を測定して第2測定値を得る第2測定工程と、目標pH見直し工程とを行う。
【0019】
第1測定値のみがイオン交換処理水の測定値よりも高水質側の値となるときには、イオン交換装置からカチオンが若干リークしていることになる。この時点では、イオン交換装置のカチオン交換樹脂が飽和に近づいているもののアニオン交換樹脂にはまだ十分のイオン交換容量が残っていることになる。そこで、この場合には、目標pHを所定値(例えば0.1)だけ低くし、アルカリ添加量を少なくし、イオン交換装置に加えられるカチオン負荷を小さくする。これにより、許容水質を維持しつつ、イオン交換装置の再生時期を遅らせ、イオン交換装置の採水量を多くすることができる。
【0020】
第2測定値のみがイオン交換処理水の測定値よりも高水質側の値となるときには、イオン交換装置からアニオンが若干リークしていることになる。この時点では、イオン交換装置のアニオン交換樹脂が飽和に近づいているもののカチオン交換樹脂にはまだ十分のイオン交換容量が残っていることになる。そこで、この場合には、目標pHを所定値(例えば0.1)だけ高くし、アルカリ添加量を多くし、RO装置での無機炭酸除去量を多くし、イオン交換装置に加えられるアニオン負荷を小さくする。これにより、許容水質を維持しつつ、イオン交換装置の再生時期を遅らせ、イオン交換装置の採水量を多くすることができる。
【0021】
第1測定値及び第2測定値の双方がイオン交換処理水の測定値よりも高水質側の値となるときには、イオン交換装置からアニオン及びカチオンの双方が若干リークしていることになるので、現状の目標pHを維持する。
【0022】
なお、アニオン及び/又はカチオンが上記のように若干リークしていても、イオン交換処理水(純水)の水質はまだ基準値よりも高水質となっている。
【0023】
本発明では、このように目標pHをイオン交換装置流出水の水質に応じて調整し、該イオン交換装置のアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂双方のイオン交換容量を十分に使い切る。その後、イオン交換処理水の一部を分取して測定した導電率のが前記所定範囲の限又はそれよりも低水質側に設定された基準値よりも低水質側となったとき、或いは、イオン交換処理水の一部を分取して測定した比抵抗の値が前記所定範囲の下限又はそれよりも低水質側に設定された基準値よりも低水質側となったときには、該イオン交換装置の再生を行うことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施の形態に係る純水製造方法のブロック図である。
図2】従来例のブロック図である。
図3】実施の形態に係る純水製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。この実施の形態においても、図2の場合と同じく、原水ライン1を流れる原水に対しアルカリ添加手段2からアルカリ(NaOH水溶液)が添加され、無機炭酸が重炭酸とされる。なお、アルカリ添加後の水のpHがpH計3で検出され、このpHが目標pHとなるように制御器4によってアルカリ添加手段2が制御される。アルカリが添加された水は、MF(精密濾過)装置5で懸濁物質、コロイド物質が除去され、さらにRO装置6で脱塩処理される。なお、この脱塩処理水の導電率が導電率計8で検知される。RO処理水は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが混合された状態で充填された混床式イオン交換装置7でイオン交換処理され、カチオン及びアニオンが除去され純水となり、一次純水ライン9によってサブシステムに送水される。
【0026】
この実施の形態においては、この一次純水ライン9から一部の一次純水を採取するように採取ライン11が分岐している。この採取ライン11に上流側から順次にカラム接続ポート12、弁13、カラム接続ポート14及び比抵抗計15が設けられている。この比抵抗計15の検出値は前記アルカリ添加制御器4に入力されている。
【0027】
カチオン交換カラム16又はアニオン交換カラム(図示略)が弁13を迂回するようにポート12,14に接続可能とされている。即ち、該交換カラムの上流端をポート12に接続し、下流端をポート14に接続し、弁13を閉めるとライン11を流れる一次純水が該交換カラムを通過し、比抵抗計15に向かって流れることになる。ポート12,14は開閉弁(図示略)付きの通水口よりなり、交換カラムを接続したときには開閉弁を開とし、取り外したときには閉とする。ポート12,14を三方弁にて構成すれば、弁13は省略される。
【0028】
なお、このように交換カラムを着脱式とするのではなく、弁13と並列にカチオン交換カラム及びアニオン交換カラムを常設してもよいが、このカチオン交換カラム及びアニオン交換カラムの使用頻度は低いので、必要なときだけ交換カラムをポート12,14に接続するようにしている。
【0029】
図示は省略するが、RO装置6の流出水を処理する混床式イオン交換装置7を並列に複数個設置し、一部の混床式イオン交換装置7を再生処理するときに他の混床式イオン交換装置7によってイオン交換処理を続行し、純水を連続生産できるようにしてもよい。この場合、各混床式イオン交換装置7の純水ライン9からそれぞれ採取ライン11を分岐させ、各分岐ライン11にポート12,14、弁13及び比抵抗計15を設けておく。
【0030】
このように構成された純水製造装置によって純水の製造を開始するには、カチオン交換カラム16及びアニオン交換カラムをポート12,14に接続せず、弁13を開としておく。そして、アルカリ添加後の目標pHの初期値をアルカリ添加制御器4に与えておき、この目標pHとなるように原水にアルカリを添加し、MF装置5、RO装置6、混床式イオン交換装置7に順次に通水し、純水ライン9から純水を得る。この純水の一部は採取ライン11に流れ、比抵抗計15で比抵抗が検出される。測定排水は系外に排出される。この目標pHの初期値は、予め実験的に求めておいた、導電率計8で検知される導電率が最低となる値とするのが好ましい。前述の通り、アルカリ添加により無機炭酸が重炭酸イオンとなり、RO装置6及び混床式イオン交換装置7で除去される。
【0031】
通水開始後かなりの期間は、混床式イオン交換装置7のイオン交換容量の残量が十分に多いので、比抵抗計15の検出比抵抗は十分に高い。通常は、この純水の比抵抗は17MΩ以上程度である。運転を継続すると、混床式イオン交換装置7から流出する純水中に若干量のカチオン及び/又はアニオンがリークし始め、比抵抗計15の検出比抵抗が低下し始める。ただし、比抵抗が低下し始めても、比抵抗そのものが十分に高いときには、純水製造をそのまま継続する。
【0032】
比抵抗計15の検出比抵抗Rが所定範囲を逸脱する、即ち、所定の比抵抗(例えば15〜16MΩの間から選定された値)よりも低い値となったときには、ポート12,14間にカチオン交換カラム16を接続し、弁13を閉とし、カチオン交換カラム16の通過水の比抵抗Rを比抵抗計15で検出する。次いでカチオン交換カラム16を外し、アニオン交換カラムを同様にポート12,14に接続し、アニオン交換カラムの通過水の比抵抗Rを比抵抗計15で検出する。
【0033】
カチオン交換カラム16通過水の比抵抗Rのみがイオン交換処理水の比抵抗Rよりもく、アニオン交換カラム通過水の比抵抗RはRと実質的に同一(例えば±3%の範囲)となるときには、混床式イオン交換装置7からカチオンが若干リークしていることになる。この時点では、混床式イオン交換装置7のカチオン交換樹脂が飽和に近づいているもののアニオン交換樹脂にはまだ十分のイオン交換容量が残っていることになる。そこで、この場合には、アルカリ添加時の目標pHを所定値(好ましくは0.05〜0.2の間から選定された値、例えば0.1)だけ低くし、アルカリ添加量を少なくし、混床式イオン交換装置7に加えられるカチオン負荷を小さくする。これにより、許容水質を維持しつつ、混床式イオン交換装置7の再生時期を遅らせ、混床式イオン交換装置7の採水量を多くすることができる。
【0034】
アニオン交換カラム通過水の比抵抗RのみがRよりも高く、カチオン交換カラム通過水の比抵抗と実質的に同一(例えば±3%の範囲)となるときには、混床式イオン交換装置7からアニオンが若干リークしていることになる。この時点では、混床式イオン交換装置7のアニオン交換樹脂が飽和に近づいているもののカチオン交換樹脂にはまだ十分のイオン交換容量が残っていることになる。そこで、この場合には、目標pHを所定値(例えば0.1)だけ高くし、アルカリ添加量を多くし、RO装置6での無機炭酸除去量を多くし、混床式イオン交換装置7に加えられるアニオン負荷を小さくする。これにより、許容水質を維持しつつ、混床式イオン交換装置の再生時期を遅らせ、混床式イオン交換装置の採水量を多くすることができる。
【0035】
及びRの双方がRよりも高くなるときには、混床式イオン交換装置からアニオン及びカチオンの双方が若干リークしていることになるので、現状の目標pHを維持する。
【0036】
このように目標pHを混床式イオン交換装置流出水の水質に応じて調整し、該混床式イオン交換装置のアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂双方のイオン交換容量を十分に使い切る。その後、混床式イオン交換装置7からの純水の比抵抗が前記所定範囲の下限値以下に設定された基準値(例えば14〜15MΩの間から選択された値)よりも低くなったときには、混床式イオン交換装置7の再生を行う。
【0037】
上記実施の形態では純水の比抵抗を測定して目標pHを変更しているが、純水の導電率を測定して目標pHを変更してもよい。また、上記実施の形態ではアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが充填されたイオン交換装置として、混床式イオン交換装置7を用いたが、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とがそれぞれ別々の複数の層を形成するようにした複層床式イオン交換装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0038】
2 アルカリ添加手段
5 MF装置
6 RO装置
7 混床式イオン交換装置
11 採取ライン
12,14 カラム接続ポート
図1
図2
図3