(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明はこれに限定されることはない。以下では、本発明に係る搬送装置を備え、感光剤を塗布された基板に対して液晶表示デバイス用パターンを露光する露光処理を行う露光装置について説明するとともに、本発明に係る搬送方法およびデバイス製造方法の一実施形態についても説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の露光装置の概略構成を示す断面平面図である。露光装置1は、
図1に示すように、基板に液晶表示デバイス用パターンを露光する露光装置本体3と、搬入部4と、搬出部5と、を備えており、これらは高度に清浄化され、且つ所定温度に調整されたチャンバ2内に収められている。本実施形態において、基板は、大型のガラスプレートであり、その一辺のサイズは、例えば500mm以上である。
【0018】
図2は、チャンバ2内の具体構成を示す外観斜視図である。露光装置本体3は、
図2に示すように、マスクMを露光光ILで照明する不図示の照明系と、液晶表示デバイス用パターンが形成されたマスクMを保持する不図示のマスクステージと、このマスクステージの下方に配置された投影光学系PLと、投影光学系PLの下方に配置されたベース部(不図示)上を2次元的に移動可能に設けられた基板ホルダとしてのプレートホルダ9と、プレートホルダ9を保持するとともに該プレートホルダ9をチャンバ2内において移動させる第1移動機構33とを備えている。
【0019】
なお、以下の説明においては、チャンバ2に設けられたベース部(不図示)に対するプレートホルダ9の2次元的な移動が水平面内で行われるものとし、この水平面内で互いに直交する方向にX軸およびY軸を設定している。基板Pに対するプレートホルダ9の保持面は、基準の状態(例えば、基板Pの受け渡しを行う時の状態)において水平面に平行とされる。また、X軸およびY軸と直交する方向にZ軸を設定しており、投影光学系PLの光軸はZ軸に平行とされている。なお、X軸、Y軸およびZ軸まわりの各方向を、それぞれθX方向、θY方向およびθZ方向と呼ぶ。
【0020】
第1移動機構33は、移動機構本体35と、移動機構本体35上に配置され、プレートホルダ9を保持する保持部34とを有する。移動機構本体35は、気体軸受によって、不図示のガイド面(ベース部)に非接触で支持されており、ガイド面上をXY方向に移動可能となっている。このような構成に基づき、プレートホルダ9は、基板Pを保持した状態で、光射出側(投影光学系PLの像面側)において、ガイド面の所定領域内を移動可能とされている。
【0021】
移動機構本体35は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含む粗動システムの作動により、ガイド面上でXY平面内を移動可能である。保持部34は、例えばボイスコイルモータ等のアクチュエータを含む微動システムの作動により、移動機構本体35に対してZ軸、θX、θY方向に移動可能である。保持部34は、粗動システム及び微動システムを含む基板ステージ駆動システムの作動により、基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、およびθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0022】
露光装置1は、上記プレートホルダ9上に長方形の基板Pが載置された状態でステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われ、マスクMに形成されたパターンが基板P上の複数、例えば4つの露光領域(パターン転写領域)に順次転写されるようになっている。すなわち、この露光装置1では、照明系からの露光光ILにより、マスクM上のスリット状の照明領域が照明された状態で、不図示のコントローラによって不図示の駆動系を介して、マスクMを保持するマスクステージと基板Pを保持するプレートホルダ9とを同期して所定の走査方向(ここではY軸方向とする)に移動させることにより、基板P上の1つの露光領域にマスクMのパターンが転写される、すなわち走査露光が行われる。なお、本実施形態に係る露光装置1は、投影光学系PLが複数の投影光学モジュールを有し、上記照明系が複数の投影光学モジュールに対応する複数の照明モジュールを含む、所謂マルチレンズ型スキャン露光装置を構成するものである。
【0023】
この1つの露光領域の走査露光の終了後に、プレートホルダ9を次の露光領域の走査開始位置まで所定量X方向に移動するステッピング動作が行われる。そして、露光装置本体3では、このような走査露光とステッピング動作を繰り返し行うことにより、順次4つの露光領域にマスクMのパターンが転写される。
【0024】
搬入部4は、
図2に示すように露光装置1に隣接配置されたコータ・デベロッパ(不図示)において感光剤が塗布された基板Pが搬入された際、該基板Pの一方の面(下面)を支持する搬入用テーブル40と、該搬入用テーブル40を移動する第2移動機構43
(搬入用移動機構)と、を備えている。なお、搬入部4は、搬入用テーブル40に搬入された基板Pの温度を調整可能となっている。
【0025】
第2移動機構43は、移動機構本体45と、移動機構本体45上に配置され、搬入用テーブル40を保持する保持部44とを有する。移動機構本体45は、気体軸受によって、不図示のガイド面に非接触で支持されており、ガイド面上をXY方向に移動可能となっている。このような構成に基づき、搬入用テーブル40は、基板Pを保持した状態で、ガイド面の所定領域内を移動可能となっている。なお、不図示のガイド面に対する移動機構本体45の支持は、気体軸受けによる支持に限定されるものではなく、気体軸受けとは異なる周知のガイド機構(ガイド面に対する駆動機構)を用いることもできる。
【0026】
移動機構本体45は、上記移動機構本体35と同一構成からなるものであり、ガイド面上でXY平面内を移動可能である。また、保持部44は、上記保持部34と同一構成からなるものであり、移動機構本体45に対してZ軸、θX、θY方向に移動可能である。保持部44は、基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、およびθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0027】
また、搬出部5は、
図2に示すように露光装置本体3によって露光処理が施された基板
Pが受け渡された際、該基板Pの一方の面(下面)を支持する搬出用テーブル50と、該
搬出用テーブル50を移動する第3移動機構53
(搬出用移動機構)と、を備えている。
【0028】
第3移動機構53は、移動機構本体55と、移動機構本体55上に配置され、搬出用テーブル50を保持する保持部54とを有する。移動機構本体55は、気体軸受によって、不図示のガイド面に非接触で支持されており、ガイド面上をXY方向に移動可能となっている。このような構成に基づき、搬出用テーブル50は、基板Pを保持した状態で、ガイド面の所定領域内を移動可能となっている。
【0029】
移動機構本体55は、上記移動機構本体35、45と同一構成からなるものであり、ガイド面上でXY平面内を移動可能である。また、保持部54は、上記保持部34、44と同一構成からなるものであり、移動機構本体55に対してZ軸、θX、θY方向に移動可能である。保持部54は、基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、およびθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0030】
次に、プレートホルダ9の周辺構成について
図3A及び
図3Bを参照しながら説明する。
図3Aはプレートホルダ9の平面構成を示す図であり、
図3Bはプレートホルダ9の側面構成を示す図である。
図3Aに示されるように、プレートホルダ9には、基板Pが載置される基板載置部31が形成されている。基板載置部31の上面は、基板Pに対するプレートホルダ9の実質的な保持面が良好な平面度を有するように仕上げられている。さらに、基板載置部31の上面には、基板Pをこの面に倣わせて密着させるための吸引孔K1が複数設けられている。各吸引孔K1は、不図示の真空ポンプに接続されている。
【0031】
また、基板載置部31の上面には、基板Pの下面に対してエアー等の気体を噴射することで、該気体を介して基板Pを浮上支持する気体噴射孔K2が複数設けられている。各気体噴射孔K2は、不図示の気体噴射用ポンプに接続されている。なお、吸引孔K1と気体噴射孔K2とは互いが千鳥状に配置されている。
【0032】
また、プレートホルダ9の周辺部には、基板Pの搬入時に該基板Pをガイドするためのガイド用ピン36と、プレートホルダ9の基板載置部31に対する基板Pの位置を規定する位置決めピン37とが設けられている。これらガイド用ピン36及び位置決めピン37は、露光装置本体3内をプレートホルダ9とともに移動可能とされている。
【0033】
プレートホルダ9は、
図3Bに示されるように、その側面部9aに、搬入用テーブル40及び搬出用テーブル50との相対位置を検出する位置検出センサ19を備えている。位置検出センサ19は、搬入用テーブル40及び搬出用テーブル50に対する相対距離を検出するための距離検出用センサ19aと、搬入用テーブル40及び搬出用テーブル50に対する相対高さを検出するための高さ検出用センサ19bとを含んでいる。なお、搬入用テーブル40及び搬出用テーブル50における位置検出センサ19に対応する位置には凹部が形成されており、これにより位置検出センサ19と搬入用テーブル40及び搬出用テーブル50とが干渉するのを防止している。
【0034】
次に、搬入部4の要部構成について
図4A及び
図4Bを参照しながら説明する。
図4Aは、搬入用テーブル40の周辺構成を示す平面図であり、
図4Bは
図4AのA−A線矢視による断面を示す図である。
【0035】
図4A及び4Bに示すように、搬入部4は、基板Pを搬入用テーブル40からプレートホルダ9へと移送する第1移送部
(搬入用移送機構)42が設けられている。第1移送部42は、ガイド部42aと、基板Pに当接する当接部42bと、を含む。
【0036】
搬入用テーブル40の上面には、一方向(同図で示されるY方向)に沿って形成される2つの溝状の凹部40aが形成されている。この凹部40a内には、上記ガイド部42aが設けられている。ガイド部42aには、搬入用テーブル40の上面から突出した状態で上記当接部42bが取り付けられている。当接部42bは、例えばゴム等の弾性部材から構成されるものであり、当接時における基板Pへのダメージを低減することができる。
【0037】
また、搬入用テーブル40の上面には、基板Pの下面に対してエアー等の気体を噴射することで、該気体を介して基板Pを浮上支持する気体噴射孔K3が複数設けられている。各気体噴射孔K3は、不図示の気体噴射用ポンプに接続されている。
【0038】
さらに、搬入用テーブル40の上面には、基板Pをこの面に倣わせて密着させるための吸引孔K4が複数設けられている。各吸引孔K4は、不図示の真空ポンプに接続されている。気体噴射孔K3と吸引孔K4とは、Y方向に沿って互いが千鳥状に配置されている。なお、気体噴射孔K3と吸引孔K4とは、かかる千鳥状の配置に限定されず、種々の形態で配置して構わない(例えばY方向に沿って交互に配置してもよい)。また、気体噴射孔K3と吸引孔K4とは、互いに独立して設けることに限定されず、同一の孔を気体噴射孔K3及び吸引孔K4として兼用してもよい。この場合、各孔を気体噴射用ポンプと真空ポンプとに適宜切り換え可能に接続するとよい。
【0039】
また、搬入用テーブル40には、後述するようにコータ・デベロッパ(不図示)との間で基板Pの受け渡しを行うための上下動機構の基板支持ピンを挿通可能とする貫通孔47が形成されている。
【0040】
次に、搬出部5の要部構成について
図5A及び
図5Bを参照しながら説明する。
図5A及び5Bに示すように、搬出部5は、基板Pをプレートホルダ9から搬出用テーブル50へと移送する第2移送部
(搬出用移送機構)52が設けられている。第2移送部52は、ガイド部52aと、基板Pを吸着保持する吸着部52bと、を含む。
【0041】
搬出用テーブル50の上面には、一方向(同図で示されるY方向)に沿って形成される2つの溝状の凹部50aが形成されている。この凹部50a内には、上記ガイド部52aが設けられている。ガイド部52aには、搬出用テーブル50の上面から突出した状態で上記吸着部52bが取り付けられている。吸着部52bは、例えば真空吸着により基板Pを吸着保持する真空吸着パッドを含む。
【0042】
また、吸着部52bには、基板搬出時にプレートホルダ9から押し出された基板Pに当接する当接部58が設けられている。この当接部58は、例えばゴム等の弾性部材から構成されている。
【0043】
また、搬出用テーブル50の上面には、基板Pの下面に対してエアー等の気体を噴射することで、該気体を介して基板Pを浮上支持する気体噴射孔K5が複数設けられている。各気体噴射孔K5は、不図示の気体噴射用ポンプに接続されている。
【0044】
さらに、搬出用テーブル50の上面には、基板Pをこの面に倣わせて密着させるための吸引孔K6が複数設けられている。各吸引孔K6は、不図示の真空ポンプに接続されている。なお、気体噴射孔K5と吸引孔K6とは互いが千鳥状に配置されている。
【0045】
また、搬出用テーブル50には、後述するようにコータ・デベロッパ(不図示)との間で基板Pの受け渡しを行うための上下動機構の基板支持ピンを挿通可能とする貫通孔57が形成されている。
【0046】
次に、露光装置1の動作について
図6〜
図15を参照にしながら説明する。具体的には搬入部4とプレートホルダ9との間における基板Pの受け渡し動作、及びプレートホルダ9と搬出部5との間における基板Pの受け渡し動作を主に説明する。なお、本実施形態においては、搬入部4の搬入用テーブル40と、搬出部5の搬出用テーブル50とが同一水平面内における異なる位置に配置されている。すなわち、搬入用テーブル40と搬出用テーブル50とは、平面視した状態(
図2に示される+Z方向から視た状態)で相互に重ならない位置に配置されている。
【0047】
まず、搬入部4にコータ・デベロッパ(不図示)において感光剤が塗布された基板Pを搬入する。このとき、搬入用テーブル40の下方に位置する上下動機構49は、貫通孔47を介して基板支持ピン49aを搬入用テーブル40の上方に配置しておく。続いて、コータ・デベロッパ(不図示)のアーム部48は、
図6に示すように基板支持ピン49aの間に挿入される。アーム部48は降下することで基板Pを基板支持ピン49aへと受け渡した後、搬入部4から退避する。上下動機構49は、基板Pを支持した基板支持ピン49aを降下することで搬入用テーブル40への基板Pの搬入動作が終了する。その後、真空ポンプが駆動されることにより、基板Pは、搬入用テーブル40の上面に吸引孔K4を介して吸着保持される。
【0048】
続いて、プレートホルダ9は、
図7Aに示すように、搬入部4の搬入用テーブル40に近接するように移動する。具体的に、第1移動機構33は、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40をY方向に沿って近接させた状態で配列する。ここで、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40が近接した状態とは、後述する基板Pの受け渡し時に基板Pの移動が円滑に行われる距離だけ離間した状態を意味する。
【0049】
また、搬入用テーブル40とプレートホルダ9とを配列する際、第2移動機構43を駆動することもできる。このようにすれば、搬入用テーブル40及びプレートホルダ9を基板Pの受け渡し位置に短時間で移動させることができ、基板Pの搬入動作に要する時間を短縮することができる。この場合、搬出用テーブル50は、搬入用テーブル40に干渉しない位置に退避する。
【0050】
また、基板Pは、吸引孔K4を介して搬入用テーブル40の上面に吸着保持されているので、第2移動機構43の駆動時に基板Pが搬入用テーブル40上において動いてしまうのを防止することができる。
【0051】
本実施形態では、
図7Bに示されるように、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40を近接させる際、基板Pがプレートホルダ9よりも高く配置している。すなわち、第1移動機構33は、基板Pを支持している搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなるようにプレートホルダ9を搬入用テーブル40に近接させる。なお、第2移動機構43により搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなるように搬入用テーブル40を上昇させることもできる。
【0052】
なお、第1移動機構33は、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40を接触させた状態で配列することもできる。このようにすれば、後述するプレートホルダ9及び搬入用テーブル40間における基板Pの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0053】
続いて、搬入用テーブル40は、
図8に示すように、上面に形成された複数の気体噴射孔K3から気体を噴射し、該気体を介して基板Pを浮上させた状態で支持する。一方、プレートホルダ9は、基板Pを受けとるに際し、上面に形成された複数の気体噴射孔K2から気体を噴射しておく。
【0054】
搬入部4は、搬入用テーブル40上に基板Pを浮上支持した状態で、
図9に示されるように、当接部42bを基板Pの一端部に当接させる。当接部42bは、凹部40a内のガイド部42aに沿って移動することで基板Pをプレートホルダ9側へと移動する。
【0055】
基板Pは搬入用テーブル40上に浮上した状態となっているので、当接部42bは基板Pをプレートホルダ9側にスムーズにスライドさせることができる。なお、プレートホルダ9の上面は、上述のように基板Pを浮上支持するようになっている。ここで、気体噴射孔K3,K2から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0056】
当接部42bにより搬入用テーブル40の上面をスライドする基板Pは、
図10に示されるように、プレートホルダ9の上面へとスムーズに乗り移ることとなる。本実施形態では、搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなっているので、基板Pはプレートホルダ9の側面に接触することなく、スムーズにプレートホルダ9上へと乗り移ることができる。
【0057】
基板Pは、
図9に示したように、プレートホルダ9の周辺部に設けられたガイド用ピン36により同図中X方向における位置が規定された状態でスライドする。当接部42bは、プレートホルダ9における基板搬送方向の下流側に設けられた位置決めピン37に当接させるまで基板Pを移動する。基板Pは、ガイド用ピン36により同図中X方向における位置が規定されるとともに、位置決めピン37及び当接部42bに挟まれることで同図中Y方向における位置が規定された状態となる。プレートホルダ9は、気体噴射孔K2からの気体噴射を停止する。基板Pは、
図11に示すように、基板載置部31に対して位置合わせされた状態で載置される。
【0058】
ところで、従来基板をプレートホルダに載置する場合、基板の載置ずれ(所定の載置位置からの位置ずれ)や基板の変形が生じる可能性があった。この載置ずれが生じる原因の一つとして、例えば基板の載置直前に基板とプレートホルダとの間に生じる薄い空気層によって基板が浮遊状態となることが考えられる。また、基板の変形を生じさせる原因の一つとして、例えば基板を載置した後に基板とプレートホルダとの間に空気溜りが介在することで基板が膨らんだ状態となることが考えられる。
【0059】
これに対し、本実施形態においては、基板Pが上述のように気体の噴射によって浮上した状態で搬送されるので、歪みが無く平面度の高い状態でプレートホルダ9に受け渡される。また、基板Pは浮上支持されていた高さから基板載置部31へと載置されるため、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止される。よって、基板Pが膨らんだ状態となることが抑制され、基板Pの載置ずれや変形の発生を防止することができる。よって、プレートホルダ9に対する所定の位置に平面度が高い状態で基板Pを載置することができる。その後、真空ポンプが駆動されることにより、基板Pは、基板載置部31の上面に吸引孔K1を介して吸着保持される。
【0060】
プレートホルダ9に基板Pを載置した後、マスクMは照明系からの露光光ILで照明される。露光光ILで照明されたマスクMのパターンは、プレートホルダ9に載置されている基板Pに投影光学系PLを介して投影露光される。
露光装置1では、上述のようにプレートホルダ9上に良好に基板Pを載置することができるため、基板P上の適正な位置に所定の露光を高精度に行うことができ、信頼性の高い露光処理を実現できる。
【0061】
本実施形態では、基板Pに露光処理を行っている最中、或いは後述するように露光処理済みの基板Pを搬出部5に搬送している間、コータ・デベロッパ(不図示)によって感光剤が塗布された次の基板Pが搬入部4の搬入用テーブル40上に載置することができる。
【0062】
次に、露光処理終了後のプレートホルダ9からの基板Pの搬出動作について説明する。
露光処理が終了すると、プレートホルダ9は、
図12に示されるように搬出部5の搬出用テーブル50に近接するように移動する。具体的に、第1移動機構33は、プレートホルダ9及び搬出用テーブル50をY方向に沿って近接させた状態で配列する。このとき、基板Pは、吸引孔K1を介して吸着保持されているので、第1移動機構33の駆動時に基板Pが基板載置部31上において動いてしまうのを防止することができる。
【0063】
また、搬出用テーブル50とプレートホルダ9とを配列する際、第3移動機構53を駆動することもできる。このようにすれば、搬入用テーブル40及びプレートホルダ9を基板Pの受け渡し位置に短時間で移動させることができ、基板Pの搬出動作に要する時間を短縮することができる。この場合、搬入用テーブル40は、搬出用テーブル50に干渉しない位置に退避する。
【0064】
本実施形態では、プレートホルダ9及び搬出用テーブル50を近接させる際、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40を近接させる際同様、基板Pの搬送先に相当するプレートホルダ9よりも基板Pを高く配置している。すなわち、第1移動機構33は、基板Pを支持しているプレートホルダ9の上面が搬出用テーブル50の上面よりも高くなるようにプレートホルダ9を搬出用テーブル50に近接させる。なお、第3移動機構53により搬出用テーブル50の上面がプレートホルダ9の上面よりも低くなるように搬出用テーブル50を下降させることもできる。
【0065】
第1移動機構33は、プレートホルダ9及び搬出用テーブル50を接触させた状態で配列することもできる。このようにすれば、後述するプレートホルダ9及び搬出用テーブル50間における基板Pの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0066】
プレートホルダ9は、真空ポンプの駆動を停止し、吸引孔K1を介した基板Pの基板載置部31に対する吸着保持を解除する。続いて、プレートホルダ9は、
図13に示すように、基板載置部31の上面に形成された複数の気体噴射孔K2から気体を噴射し、該気体を介して基板Pを浮上させた状態で支持する。一方、搬出部5は、基板Pを受けとるに際し、搬出用テーブル50の上面に形成された複数の気体噴射孔K5から気体を噴射しておく。
【0067】
搬出部5は、プレートホルダ9の基板載置部31上に浮上支持される基板P側に第2移送部52の吸着部52bをガイド部52aに沿って移動する。位置決めピン37は、
図14Aに示すように基板載置部31上に浮上する基板Pの端部を押圧する。これにより、基板載置部31上に浮上する基板Pは搬出用テーブル50側へとスライドし、
図14Bに示すように吸着部52bに取り付けられた当接部58に接触する。このように位置決めピン37を用いて基板Pを当接部58側にスライドさせることで、プレートホルダ9上の基板Pに対向する位置まで吸着部52bをガイド部52aに沿って移動させる必要が無い。当接部58に基板Pの端部が接触した後、吸着部52bは基板Pを吸着保持し、
図14Cに示すようにガイド部52aに沿って同図中Y方向に沿って移動する。
【0068】
このとき、基板Pはプレートホルダ9上に浮上した状態で支持されているので、吸着部52bは基板Pを搬出用テーブル50側にスムーズにスライドさせることができる。また、搬出用テーブル50の上面は、上述のように基板Pを浮上支持するようになっている。ここで、気体噴射孔K2,K5から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0069】
吸着部52bの移動により基板載置部31の上面をスライドする基板Pは、搬出用テーブル50の上面へとスムーズに乗り移ることとなる。本実施形態では、プレートホルダ9の上面が搬出用テーブル50の上面よりも高くなっているので、基板Pは搬出用テーブル50の側面に接触することなく、スムーズに搬出用テーブル50上へと乗り移ることができる。
【0070】
吸着部52bによる基板Pの移動が終了した後、搬出用テーブル50は、気体噴射孔K5からの気体噴射を停止するとともに、吸引孔K6を介して基板Pを吸着保持する。搬出部5は、基板Pを吸着保持した状態で、第3移動機構53を駆動し、搬出用テーブル50を基板Pの搬出位置へと移動する。
【0071】
露光装置1は、プレートホルダ9から基板Pを搬出部5へと受け渡した後、搬入部4の搬入用テーブル40にプレートホルダ9を近接するように移動する。そして、同様に、搬入用テーブル40とプレートホルダ9との間で基板Pの受け渡しを行い、プレートホルダ9に載置された基板Pに対して露光処理を行うことができる。
【0072】
本実施形態では、次の基板Pを搬入部4からプレートホルダ9に搬入している間、或いは該次の基板Pに対して露光処理を行っている間に、搬出用テーブル50に載置される露光処理済みの基板Pを搬出する。このとき、搬出用テーブル50の下方に位置する上下動機構60は、貫通孔57を介して、基板支持ピン60aを搬出用テーブル50の上方に配置する。これにより、基板Pは、基板支持ピン60aに支持されることで搬出用テーブル50の上方に保持されたものとなる。続いて、コータ・デベロッパ(不図示)のアーム部48は、
図15に示すように基板支持ピン60aの間に挿入される。その後、基板支持ピン60aを降下することにより、アーム部48に基板Pが受け渡される。アーム部48は、コータ・デベロッパ(不図示)内に基板Pを移動し、現像処理を行う。
【0073】
このように、プレートホルダ9は搬入部4と搬出部5とに対して同一水平面(XY平面)内を移動することで交互にアクセスすることで、露光装置本体3に対する基板Pの搬出入動作を行うことができる。本実施形態では、搬入部4及び搬出部5の配列方向に沿ってプレートホルダ9を移動する構成としたので、プレートホルダ9と搬入部4及び搬出部5とを近接或いは接触させた状態に配列することを短時間で行うことができる。よって、基板Pの搬出入動作に伴う処理時間(所謂、タクト)を短縮することができる。
【0074】
本実施形態によれば、浮上支持された基板Pをスライドすることで搬入部4からプレートホルダ9へと搬送することができるので、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止され、基板Pの載置ずれや変形の発生を防止できる。よって、信頼性の高い露光処理を行うことができる。
【0075】
なお、第1実施形態において、搬入用テーブル40からプレートホルダ9へと基板Pを搬送する際、搬入用テーブル40の上面を傾斜させることもできる。具体的には、第2移動機構43の保持部44は、気体噴射孔K3からの気体噴射によって浮上した状態で基板Pを支持する搬入用テーブル40の上面をプレートホルダ9側(θY方向)に傾斜させる。これにより、基板Pの自重を利用して該基板Pをプレートホルダ9側に移動させることができる。
【0076】
また、プレートホルダ9から搬出用テーブル50へと基板Pを搬送する際、プレートホルダ9の上面を傾斜させることもできる。具体的に、第1移動機構33の保持部34は、気体噴射孔K2からの気体噴射によって浮上した状態で基板Pを支持するプレートホルダ9の上面を搬出用テーブル50側(θY方向)に傾斜させる。これにより、基板Pの自重を利用して該基板Pを搬出用テーブル50側に移動させることができる。
【0077】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態においては、第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第2実施形態は、搬入部104における第1移送部149の構成が第1実施形態と異なっている。
【0078】
図16A及び
図16Bは、本実施形態に係る搬入部104の構成を示す図であり、
図16Aは搬入部104の平面構成を示す図であり、
図16Bは搬入部104の
図16A中A−A線矢視による側断面を示す図である。
【0079】
本実施形態に係る搬入部104の第1移送部149は、
図16A及び16Bに示すように、基板Pの一方の面に気体を噴射することで浮上支持する構成に代え、コロ機構148を有している。
【0080】
搬入用テーブル140の一端側には、
図16Aに示すように、複数の切欠141が形成されている。この切欠141の各々には、上記コロ機構148を構成するコロ142が軸143に回転可能に支持されており、コロ142は不図示の駆動機構により自転可能となっている。コロ機構148は、
図16Bに示すように、コロ142が基板Pに対して接触或いは離間可能に構成されている。
【0081】
このような構成に基づき、コロ機構148は、搬入用テーブル140上に支持される基板Pの下面に複数のコロ142を接触させつつ、所定方向に回転させることで、該基板Pをプレートホルダ9側に移動することができる。コロ142の形成材料としては、基板Pとの間で大きな摩擦力を生じる、例えばゴム等の弾性部材を用いることができる。このような弾性部材を用いてコロ142を構成することで、基板Pに対するダメージ(傷など)を防止することができる。また、搬入用テーブル140の上面には、上記吸引孔K4のみが設けられている。
【0082】
次に、本実施形態における露光装置1の動作について説明する。具体的には、第1実施形態と異なる、搬入部104とプレートホルダ9との間における基板Pの受け渡し動作について述べる。
【0083】
はじめに、コータ・デベロッパ(不図示)において感光剤を塗布した基板Pを搬入部104に搬入する。基板Pは、搬入用テーブル140の上面に吸引孔K4を介して吸着保持される。その後、プレートホルダ9は、搬入用テーブル140に近接するように移動する(
図7A参照)。
【0084】
本実施形態においても、基板Pを支持している搬入用テーブル140の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなるようにプレートホルダ9を搬入用テーブル140に近接させることが望ましい(
図7B参照)。
【0085】
しかしながら、本実施形態では、仮に、搬入用テーブル140の上面がプレートホルダ9の上面よりも低い場合でも、少なくともコロ142の上面がプレートホルダ9の上面より高ければ、コロ142上に乗り上がった基板Pを搬入用テーブル40側からプレートホルダ9側へと確実に搬送することができる。
【0086】
続いて、搬入用テーブル140は、
図17に示すように、コロ機構148のコロ142を基板Pの下面に当接させるとともに、所定方向に回転させる。一方、プレートホルダ9は、基板Pを受けとるに際し、上面に形成された複数の気体噴射孔K2から気体を噴射しておく。基板Pはコロ142との摩擦力によってプレートホルダ9側にスムーズにスライド移動する。
【0087】
ここで、基板Pの搬送先であるプレートホルダ9は、気体噴射孔K2から気体が噴射されることで基板載置部31上に基板Pが浮上支持されるようになっている。
したがって、コロ機構148により搬入用テーブル140の上面をスライドする基板Pは、プレートホルダ9の上面へとスムーズに乗り移ることとなる。
【0088】
基板Pは、
図18に示されるように、プレートホルダ9の周辺部に設けられたガイド用ピン36により同図中X方向における位置が規定された状態でスライドする。コロ機構148は、プレートホルダ9における基板搬送方向の下流側に設けられた位置決めピン37に当接させるまで基板Pを移動する。基板Pは、ガイド用ピン36により同図中X方向における位置が規定されるとともに、位置決めピン37及び当接部42bに挟まれることで同図中Y方向における位置が規定された状態となる。プレートホルダ9は、気体噴射孔K3からの気体噴射を停止する。これにより、基板Pは基板載置部31に対して位置合わせされた状態で載置される。
【0089】
本実施形態においても、基板Pが上述のように気体の噴射によって浮上した状態で搬送されるので、歪みが無く平面度の高い状態でプレートホルダ9に受け渡すことができ、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止される。よって、プレートホルダ9に対する所定の位置に平面度が高い状態で基板Pを載置することができる。したがって、基板P上の適正な位置に所定の露光を高精度に行うことができ、信頼性の高い露光処理を行うことができる。
なお、露光処理終了後のプレートホルダ9からの基板Pの搬出動作については第1実施形態と同様であるため、その説明を省略するものとする。
【0090】
なお、上記説明では、搬入部104の第1移送部149としてコロ機構148を採用する場合について説明したが、搬出部5の第2移送部52としてコロ機構を採用することもできる。また、搬入用テーブル140において第1実施形態同様、気体噴射により基板Pを浮上支持する構成を採用することもできる。この構成によれば、基板Pが浮上した状態でコロ機構148によって搬送されるので、基板Pをプレートホルダ9側にスムーズに搬送することができる。
【0091】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態においては、第1、2実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第3実施形態は、プレートホルダ9が第1移送機構を備える点が主に異なっている。
【0092】
図19は、本実施形態に係るプレートホルダ109の構成を示す図である。本実施形態に係るプレートホルダ109は、
図19に示すように基板Pを搬入用テーブル40からプレートホルダ9へと移送する第1移送部249を備えている。この第1移送部249は、基板Pの幅方向における両側部を吸着保持する吸着部250を含む。この吸着部250は、基板Pの面方向に沿うXY平面内において自由に移動可能とされている。
【0093】
また、本実施形態では、プレートホルダ9の周辺部に、第1移送部249により搬入される基板Pの基板載置部31に対する位置を検出するための位置検出センサ252が設けられている。この位置検出センサ252としては、例えばポテンショメータを例示することができ、本発明は接触方式或いは非接触方式のいずれのメータを用いることができる。
【0094】
吸着部250は、気体噴射孔K3からの気体噴射によって搬入用テーブル40上に浮上支持される基板Pの端部を吸着保持し、
図20Aに示すように搬入用テーブル40からプレートホルダ9側へと搬送する。一方、プレートホルダ9は、基板Pを受けとるに際し、上面に形成された複数の気体噴射孔K2から気体を噴射しておく。このとき、気体噴射孔K2,K3から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0095】
吸着部250は、
図20Bに示すように、基板Pの端部を位置検出センサ252に接触させることで、露光装置1は、基板Pにおける基板載置部31に対する位置ズレを検知することができる。なお、吸着部250は、上記位置検出センサ252の検出結果に基づいて駆動するように構成されている。
したがって、露光装置1は、位置検出センサ252の検出結果に基づき、吸着部250に保持された基板Pの基板載置部31に対する位置を補正することができる。
【0096】
本実施形態においても、基板Pが上述のように気体の噴射によって浮上した状態で搬送されるので、歪みが無く平面度の高い状態でプレートホルダ9に受け渡すことができ、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止される。よって、プレートホルダ9に対する所定の位置に平面度が高い状態で基板Pを載置することができる。したがって、基板P上の適正な位置に所定の露光を高精度に行うことができ、信頼性の高い露光処理を行うことができる。
なお、露光処理終了後のプレートホルダ9からの基板Pの搬出動作については第1実施形態と同様であるため、その説明を省略するものとする。
【0097】
(第4実施形態)
続いて、本発明の第4実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態においては、第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第4実施形態は、
図21に示すように、搬入用テーブル40及び搬出用テーブル50が平面視した状態で相互に重なる位置に配置される点が第1実施形態と主に異なっている。すなわち、プレートホルダ9との間で基板Pの受け渡しを行う際、搬入用テーブル40及び搬出用テーブル50がプレートホルダ9に対して上下動作を行うようになっている。
【0098】
以下、本実施形態における基板Pの受け渡し動作について
図22A、
図22B、及び
図22Cを参照にしつつ説明する。
プレートホルダ9に載置した基板Pに対する露光処理が終了した後、搬出用テーブル50はY方向に沿ってプレートホルダ9に近接した状態に配列する。本実施形態では、
図22Aに示すように、プレートホルダ9に対し、下方に待機している搬出用テーブル50を、基板Pを受け取り可能な位置まで上昇させる。このとき、搬出用テーブル50の上面をプレートホルダ9の上面よりも低く配置することもできる(
図13参照)。
【0099】
なお、基板Pに対する露光処理が行われている間、搬入用テーブル40にはコータ・デベロッパ(不図示)から次の基板Pが受け渡されている。これにより、搬入用テーブル40は、プレートホルダ9から搬出用テーブル50に基板Pを搬出している間、次の基板Pを載置した状態でプレートホルダ9の上方で待機している。
【0100】
プレートホルダ9は、真空ポンプの駆動を停止し、吸引孔K1を介した基板Pの基板載置部31に対する吸着保持を解除する。続いて、プレートホルダ9は、気体噴射孔K2から気体を噴射し、該気体を介して基板Pを浮上させた状態で支持する(
図14A−14C参照)。一方、搬出部5は、基板Pを受けとるに際し、搬出用テーブル50の上面に形成された複数の気体噴射孔K5から気体を噴射しておく。このとき、気体噴射孔K2,K5から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0101】
図22Bに示すように、搬出部5は、第1実施形態と同様に、吸着部52bが保持した基板Pを同図中Y方向に沿って移動する。このとき、基板Pはプレートホルダ9上に浮上した状態で支持されているので、基板Pは搬出用テーブル50上にスムーズにスライド移動する。また、搬出用テーブル50の上面は、上述のように基板Pを浮上支持するようになっている。したがって、基板Pは、搬出用テーブル50の上面へとスムーズに乗り移ることとなる。
【0102】
基板Pの移動が終了した後、搬出用テーブル50は気体噴射孔K5からの気体噴射を停止するとともに、吸引孔K6を介して基板Pを吸着保持する。搬出用テーブル50は、基板Pを吸着保持した状態で、
図22Cに示されるように基板Pを下方へと移動する。なお、基板Pのサイズが大きく、搬出用テーブル50の上面からはみ出た状態で載置されている場合においては、搬出用テーブル50は、基板Pがプレートホルダ9に干渉しないようにプレートホルダ9から離間する同図中+Y方向に退避した状態で上記下降動作を行う。
【0103】
一方、搬出用テーブル50が下降動作を開始するとともに、
図22Cに示すように、プレートホルダ9の上方で待機していた搬入用テーブル40がプレートホルダ9に対して基板Pを受け渡し可能な位置まで下降する。これにより、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40がY方向に沿って近接した状態で配列する。このとき、搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも低く配置することもできる(
図8参照)。
【0104】
搬入用テーブル40は、上面に形成された複数の気体噴射孔K3から気体を噴射し、該気体を介して基板Pを浮上させた状態で支持する。一方、プレートホルダ9は、基板Pを受けとるに際し、上面に形成された複数の気体噴射孔K2から気体を噴射しておく。このとき、気体噴射孔K2,K3から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0105】
搬入部4は、搬入用テーブル40上に基板Pを浮上支持した状態で、当接部42bを基板Pの一端部に当接させる。当接部42bは、凹部40a内のガイド部42aに沿って移動することで基板Pをプレートホルダ9側へと移動する(
図9,10参照)。
【0106】
基板Pは搬入用テーブル40上に浮上した状態となっているので、プレートホルダ9側にスムーズにスライド移動する。また、プレートホルダ9の上面は、上述のように基板Pを浮上支持するようになっているので、基板Pは、
図22Dに示すように搬入用テーブル40からプレートホルダ9へとスムーズに乗り移ることとなる。
【0107】
基板Pは、第1実施形態と同様、ガイド用ピン36及び位置決めピン37によって基板載置部31に対して所定の位置に位置合わせされた状態で載置することができる(
図9参照)。そして、基板Pに対して露光処理を行う。
【0108】
本実施形態では、基板Pを搬入部4からプレートホルダ9に搬入している間、或いは基板Pに対する露光処理の間に、搬出用テーブル50に載置される露光処理済みの基板Pを搬出する。
【0109】
本実施形態においては、このように搬入部4及び搬出部5をプレートホルダ9に対して高さ方向(Z方向)に移動して交互にアクセスすることで、露光装置本体3に対する基板Pの搬出入動作を行うことができる。また、搬入部4及び搬出部5は、非使用時にプレートホルダ9の上方に待機しており、それぞれが上下動作することでプレートホルダ9に対してアクセスできるので、基板Pの搬出入動作に伴う処理時間(所謂、タクト)を短縮することができる。
【0110】
なお、上述の実施形態においては、搬入用テーブル40及びプレートホルダ9が配列される第1方向と、搬出用テーブル50及びプレートホルダ9が配列される第2方向とが、平行となる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、上記第1方向と第2方向とが異なる方向(例えば、直交する)となる場合についても本発明は適応可能である。
【0111】
(第5実施形態)
続いて、本発明の第5実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態においては、第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第5実施形態は、搬入部或いは搬出部として機能する搬出入部を備える点が主に異なっている。
【0112】
図23は、チャンバ内部の構成を示す斜視図であり、
図24A及び
図24Bは搬出入部400の概略構成を示す平面図である。
図23に示されるように、搬出入部400は、基板載置テーブル401と、該基板載置テーブル401を移動する移動機構402と、を備えている。なお、移動機構402は、第1実施形態の第1、第2移動機構33,43と同一の構成からなるものである。このような構成に基づき、基板載置テーブル401は、基板Pを保持した状態で、光射出側(投影光学系PLの像面側)において、ガイド面の所定領域内を移動可能となっている。また、基板載置テーブル401はZ軸方向に沿っても移動可能となっている。したがって、基板載置テーブル401は、搬入用テーブル及び搬出用テーブルとして機能している。
【0113】
図24A及び24Bに示すように、搬出入部400は、基板Pを基板載置テーブル401からプレートホルダ9へと移送する移送部405を備えている。移送部405は、ガイド部406と、基板Pに吸着保持する吸着部408と、を含む。
【0114】
基板載置テーブル401の上面には、一方向(同図で示されるY方向)に沿って形成される2つの溝状の凹部401aが形成されている。この凹部401a内には、上記ガイド部406が設けられている。ガイド部406には、基板載置テーブル401の上面から突出した状態で上記吸着部408が取り付けられている。吸着部408は、例えば真空吸着により基板Pを吸着保持する真空吸着パッドを含む。
【0115】
また、基板載置テーブル401の上面には、基板Pの下面に対してエアー等の気体を噴射することで、該気体を介して基板Pを浮上支持する気体噴射孔K7が複数設けられている。各気体噴射孔K7は、不図示の気体噴射用ポンプに接続されている。さらに、基板載置テーブル401の上面には、基板Pをこの面に倣わせて密着させるための吸引孔K8が複数設けられている。各吸引孔K8は、不図示の真空ポンプに接続されている。なお、気体噴射孔K7と吸引孔K8とは互いが千鳥状に配置されている。
【0116】
また、基板載置テーブル401には、後述するようにコータ・デベロッパ(不図示)との間で基板Pの受け渡しを行うための上下動機構の基板支持ピンを挿通可能とする貫通孔407が形成されている。
【0117】
プレートホルダ9は、上述の実施形態と同様、その側面部に、基板載置テーブル401との相対位置を検出する上記位置検出センサ19を備えている。位置検出センサ19は、基板載置テーブル401に対する相対距離を検出するための距離検出用センサ19aと、基板載置テーブル401に対する相対高さを検出するための高さ検出用センサ19bとを含んでいる(
図3B参照)。
【0118】
次に、搬出入部400とプレートホルダ9との間における基板Pの受け渡し動作について図面を参照にしながら説明する。まず、搬出入部400にコータ・デベロッパ(不図示)において感光剤が塗布された基板Pを搬入する。このとき、基板載置テーブル401の下方に位置する上下動機構409は、貫通孔407を介して基板支持ピン410を基板載置テーブル401の上方に配置しておく。続いて、コータ・デベロッパ(不図示)のアーム部48は、
図25に示すように基板支持ピン410の間に挿入される。アーム部48は降下することで基板Pを基板支持ピン410へと受け渡した後、搬出入部400から退避する。上下動機構409は、基板Pを支持した基板支持ピン410を降下することで基板載置テーブル401への基板Pの搬入動作が終了する。その後、真空ポンプが駆動されることにより、基板Pは、基板載置テーブル401の上面に吸引孔K8を介して吸着保持される。
【0119】
続いて、プレートホルダ9は、搬出入部400の基板載置テーブル401に近接するように移動する。なお、基板載置テーブル401とプレートホルダ9とを配列する際、移送部405を駆動することで基板載置テーブル401及びプレートホルダ9を基板Pの受け渡し位置に短時間で移動させ、基板Pの搬入動作に要する時間を短縮するようにしてもよい。この場合、基板Pは吸引孔K8を介して基板載置テーブル401の上面に吸着保持されているので、移送部405の駆動時に基板Pが基板載置テーブル401上において動いてしまうことが防止される。
【0120】
本実施形態では、
図26に示すように、基板Pを支持している基板載置テーブル401の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなるように、プレートホルダ9が基板載置テーブル401に近接する。なお、プレートホルダ9及び基板載置テーブル401を接触させた状態で配列することで基板Pの移動距離を短くして受け渡しをよりスムーズに行うようにしてもよい。
【0121】
続いて、基板載置テーブル401は、
図26に示したように、上面に形成された複数の気体噴射孔K7から気体を噴射し、該気体を介して基板Pを浮上させた状態で支持する。一方、プレートホルダ9は、基板Pを受けとるに際し、上面に形成された複数の気体噴射孔K2から気体を噴射しておく。このとき、気体噴射孔K2,K7から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0122】
搬出入部400は、基板載置テーブル401上に基板Pを浮上支持した状態で、吸着部408により基板Pの一端部を吸着保持する。吸着部408は、凹部401a内のガイド部406に沿って移動することで基板Pをプレートホルダ9側へと移動する(
図24A及び24B参照)。
【0123】
基板Pは基板載置テーブル401上に浮上した状態となっているので、吸着部408は基板Pをプレートホルダ9側にスムーズにスライドさせることができる。また、プレートホルダ9の上面は、上述のように基板Pを浮上支持するようになっている。
【0124】
したがって、吸着部408により基板載置テーブル401の上面をスライドする基板Pは、プレートホルダ9の上面へとスムーズに乗り移ることとなる。本実施形態では、
図26に示したように基板載置テーブル401の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなっているので、基板Pはプレートホルダ9の側面に接触することなく、スムーズにプレートホルダ9上へと乗り移ることができる。
【0125】
基板Pは、プレートホルダ9の周辺部に設けられたガイド用ピン36及び位置決めピン37に当接することで基板載置部31に対して所定の位置に位置合わせされた状態とされる(
図9参照)。
【0126】
本実施形態においても、基板Pが上述のように気体の噴射によって浮上した状態で搬送されるので、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止され、基板Pの載置ずれや変形の発生を防止できる。よって、プレートホルダ9に対する所定の位置に平面度が高い状態で基板Pを載置することができる。その後、真空ポンプが駆動されることにより、基板Pは、基板載置部31の上面に吸引孔K1を介して吸着保持される。そして、プレートホルダ9に基板Pを載置した後、基板Pに対し、露光処理を行う。
【0127】
露光処理が終了すると、プレートホルダ9は、搬出入部400の基板載置テーブル401に近接するように移動する。本実施形態では、プレートホルダ9の上面が基板載置テーブル401の上面よりも高くなるようにプレートホルダ9及び基板載置テーブル401を近接させる。
【0128】
なお、基板載置テーブル401とプレートホルダ9とを配列する際、基板載置テーブル401を移動することで基板Pの搬出動作に要する時間を短縮することができる。また、プレートホルダ9及び基板載置テーブル401を接触させた状態で配列することもできる。このようにすれば、プレートホルダ9及び基板載置テーブル401間に隙間が形成されないため、基板Pの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0129】
プレートホルダ9は、真空ポンプの駆動を停止し、吸引孔K1を介した基板Pの基板載置部31に対する吸着保持を解除する。続いて、プレートホルダ9は、
図27に示すように、基板載置部31の上面に形成された複数の気体噴射孔K2から気体を噴射し、該気体を介して基板Pを浮上させた状態で支持する。一方、搬出部5は、基板Pを受けとるに際し、基板載置テーブル401の上面に形成された複数の気体噴射孔K7から気体を噴射しておく。このとき、気体噴射孔K2,K7から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0130】
搬出入部400は、プレートホルダ9の基板載置部31上に浮上支持される基板P側に移送部405の吸着部408をガイド部406に沿って移動する。吸着部408は基板Pを吸着保持し、同図中+Y方向に沿って基板Pを移動する(
図24A及び24B参照)。
【0131】
このとき、基板Pはプレートホルダ9上に浮上した状態で支持されているので、吸着部408は基板Pを基板載置テーブル401側にスムーズにスライドさせることができる。また、基板載置テーブル401の上面は、上述のように基板Pを浮上支持するようになっている。
【0132】
したがって、基板載置部31の上面をスライドする基板Pは、基板載置テーブル401の上面へとスムーズに乗り移ることとなる。本実施形態では、プレートホルダ9の上面が基板載置テーブル401の上面よりも高くなっているので、基板Pは基板載置テーブル401の側面に接触することなく、スムーズに基板載置テーブル401上へと乗り移ることができる。
【0133】
吸着部408による基板Pの移動が終了した後、基板載置テーブル401は、気体噴射孔K7からの気体噴射を停止するとともに、吸引孔K8を介して基板Pを吸着保持する。搬出入部400は、基板Pを吸着保持した状態で、移送部405を駆動し、基板載置テーブル401を基板Pの搬出位置へと移動する。
【0134】
続いて、基板載置テーブル401に載置される露光処理済みの基板Pを搬出する。このとき、基板載置テーブル401の下方に位置する上下動機構409は、貫通孔407を介して、基板支持ピン410を基板載置テーブル401の上方に配置する。これにより、基板Pは、基板支持ピン410に支持されることで基板載置テーブル401の上方に保持されたものとなる(
図25参照)。続いて、コータ・デベロッパ(不図示)のアーム部48が基板支持ピン410の間に挿入され、基板支持ピン410を降下することにより、アーム部48に基板Pが受け渡される。アーム部48は、コータ・デベロッパ(不図示)内に基板Pを移動し、現像処理を行う。
【0135】
本実施形態によれば、浮上支持された基板Pをスライドすることで搬出入部400からプレートホルダ9へと搬送することができるので、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止され、基板Pの載置ずれや変形の発生を防止できる。よって、信頼性の高い露光処理を行うことができる。また、搬出入部400が上記第1〜第3実施形態における搬入部4及び搬出部5を兼ねているので、装置構成を簡略化することができる。
【0136】
なお、第5実施形態においては、基板載置テーブル401からプレートホルダ9へと基板Pを搬送する際、基板載置テーブル401の上面を傾斜させることもできる。具体的には、移動機構402は、気体噴射孔K7からの気体噴射によって浮上した状態で基板Pを支持する基板載置テーブル401の上面をプレートホルダ9側(θY方向)に傾斜させる。これにより、基板Pの自重を利用して該基板Pをプレートホルダ9側に移動させることができる。
【0137】
また、プレートホルダ9から基板載置テーブル401へと基板Pを搬送する際、プレートホルダ9の上面を傾斜させることもできる。具体的に、第1移動機構33(保持部34)は、気体噴射孔K2からの気体噴射によって浮上した状態で基板Pを支持するプレートホルダ9の上面を基板載置テーブル401側(θY方向)に傾斜させる。これにより、基板Pの自重を利用して該基板Pを基板載置テーブル401側に移動させることができる。
【0138】
なお、本実施形態において、移送部405として、第2実施形態に示したようなコロ機構148を採用することもできる。また、移送部405として、第3実施形態に示したように移送部405を構成する吸着部408をプレートホルダ9側に設けることもできる。
【0139】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る構成について説明する。なお、以下の説明において、上述の実施形態の構成要素と同一または同様の要素については同一符号を付し、その説明を簡略または省略する。
【0140】
図28は、本実施形態の露光装置の概略構成を示す断面平面図であり、
図29は、チャンバ内の装置構成の概略を示す斜視図である。
上述した実施形態と同様に、露光装置1は、
図28に示すように、露光装置本体3と、搬入部4と、を備えている。また、本実施形態において、露光装置1は、搬出ロボット205を備えている。これらは高度に清浄化され、且つ所定温度に調整されたチャンバ2内に収められている。
【0141】
図29に示すように、搬出ロボット205は、例えば水平関節型構造を有するものであり、垂直な関節軸を介して連結された複数部分からなるアーム部10と、このアーム部10の先端に連結されるフォーク部12と、駆動装置13と、を備えている。アーム部10は、駆動装置13により例えば上下方向(Z軸方向)に移動可能となっている。駆動装置13は、不図示の制御装置により、その駆動が制御されている。これにより搬出ロボット205は基板Pをプレートホルダ9から受け取るようになっている。なお、搬出ロボット205は、水平関節型構造のロボットに限定されるものではなく、公知のロボット(一般には搬送機構)を適宜採用もしくは組み合わせて実現可能なものである。
【0142】
図30Aはプレートホルダ9の平面構成を示す図であり、
図30Bはプレートホルダ9の側面構成を示す図である。本実施形態において、
図30Aに示されるように、プレートホルダ9には、基板Pが載置される基板載置部31が形成されている。
【0143】
また、本実施形態において、プレートホルダ9には、基板Pの搬出時において、搬出ロボット205のフォーク部12を収容するための溝部30が形成されている。この溝部30は、フォーク部12の移動方向(同
図Y方向)に沿って形成されている。プレートホルダ9の上面における溝部30以外の領域は上記基板載置部31を構成している。
【0144】
なお、フォーク部12の厚さは、溝部30の深さよりも小さくなっている。これにより、後述するようにフォーク部12を溝部30内に収容した後、上昇させることで基板載置部31上に載置された基板Pがフォーク部12に受け渡されて載置されるようになっている。
【0145】
図3Bと同様に、プレートホルダ9は、
図30Bに示されるように、その側面部9aに、搬入用テーブル40との相対位置を検出する位置検出センサ19を備えている。位置検出センサ19は、搬入用テーブル40に対する相対距離を検出するための距離検出用センサ19aと、搬入用テーブル40に対する相対高さを検出するための高さ検出用センサ19bとを含んでいる。なお、搬入用テーブル40における位置検出センサ19に対応する位置には凹部が形成されており、これにより位置検出センサ19と搬入用テーブル40とが干渉するのを防止している。
【0146】
次に、本実施形態における露光装置1の動作について
図6、
図11、31A〜
図34を参照にしながら説明する。具体的には搬入部4とプレートホルダ9との間における基板Pの受け渡し動作、及びプレートホルダ9と搬出ロボット205との間における基板Pの受け渡し動作を主に説明する。
【0147】
まず、搬入部4にコータ・デベロッパ(不図示)において感光剤が塗布された基板Pを搬入する。このとき、搬入用テーブル40の下方に位置する上下動機構49は、貫通孔47を介して基板支持ピン49aを搬入用テーブル40の上方に配置しておく。続いて、コータ・デベロッパ(不図示)のアーム部48は、
図6に示すように基板支持ピン49aの間に挿入される。アーム部48は降下することで基板Pを基板支持ピン49aへと受け渡した後、搬入部4から退避する。上下動機構49は、基板Pを支持した基板支持ピン49aを降下することで搬入用テーブル40への基板Pの搬入動作が終了する。その後、真空ポンプが駆動されることにより、基板Pは、搬入用テーブル40の上面に吸引孔K4を介して吸着保持される。
【0148】
続いて、プレートホルダ9は、
図31Aに示すように、搬入部4の搬入用テーブル40に近接するように移動する。なお、
図31A及び31Bにおいては搬出ロボットの図示を省略している。
具体的に、第1移動機構33は、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40をY方向に沿って近接させた状態で配列する。ここで、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40が近接した状態とは、後述する基板Pの受け渡し時に基板Pの移動が円滑に行われる距離だけ離間した状態を意味する。
【0149】
また、搬入用テーブル40とプレートホルダ9とを配列する際、第2移動機構43を駆動することもできる。このようにすれば、搬入用テーブル40及びプレートホルダ9を基板Pの受け渡し位置に短時間で移動させることができ、基板Pの搬入動作に要する時間を短縮することができる。このとき、基板Pは、吸引孔K4を介して搬入用テーブル40の上面に吸着保持されているので、第2移動機構43の駆動時に基板Pが搬入用テーブル40上において動いてしまうのを防止することができる。
【0150】
本実施形態では、
図31Bに示されるように、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40を近接させる際、基板Pがプレートホルダ9よりも高く配置している。すなわち、第1移動機構33は、基板Pを支持している搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなるようにプレートホルダ9を搬入用テーブル40に近接させる。なお、第2移動機構43により搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなるように搬入用テーブル40を上昇させることもできる。
【0151】
また、第1移動機構33は、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40を接触させた状態で配列することもできる。このようにすれば、後述するプレートホルダ9及び搬入用テーブル40間における基板Pの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0152】
続いて、搬入用テーブル40は、
図32に示すように、上面に形成された複数の気体噴射孔K3から気体を噴射し、該気体を介して基板Pを浮上させた状態で支持する。一方、プレートホルダ9は、基板Pを受けとるに際し、上面に形成された複数の気体噴射孔K2から気体を噴射しておく。
【0153】
搬入部4は、搬入用テーブル40上に基板Pを浮上支持した状態で、
図33に示されるように、当接部42bを基板Pの一端部に当接させる。当接部42bは、凹部40a内のガイド部42aに沿って移動することで基板Pをプレートホルダ9側へと移動する。
【0154】
基板Pは搬入用テーブル40上に浮上した状態となっているので、当接部42bは基板Pをプレートホルダ9側にスムーズにスライドさせることができる。なお、プレートホルダ9の上面は、上述のように基板Pを浮上支持するようになっている。ここで、気体噴射孔K3,K2から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0155】
当接部42bにより搬入用テーブル40の上面をスライドする基板Pは、
図34に示されるように、プレートホルダ9の上面へとスムーズに乗り移ることとなる。本実施形態では、搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなっているので、基板Pはプレートホルダ9の側面に接触することなく、スムーズにプレートホルダ9上へと乗り移ることができる。
【0156】
基板Pは、
図33に示したように、プレートホルダ9の周辺部に設けられたガイド用ピン36により同図中X方向における位置が規定された状態でスライドする。当接部42bは、プレートホルダ9における基板搬送方向の下流側に設けられた位置決めピン37に当接させるまで基板Pを移動する。基板Pは、ガイド用ピン36により同図中X方向における位置が規定されるとともに、位置決めピン37及び当接部42bに挟まれることで同図中Y方向における位置が規定された状態となる。プレートホルダ9は、気体噴射孔K2からの気体噴射を停止する。基板Pは、
図11に示すように、基板載置部31に対して位置合わせされた状態で載置される。
【0157】
ところで、従来基板をプレートホルダに載置する場合、基板の載置ずれ(所定の載置位置からの位置ずれ)や基板の変形が生じる可能性があった。この載置ずれが生じる原因の一つとして、例えば基板の載置直前に基板とプレートホルダとの間に生じる薄い空気層によって基板が浮遊状態となることが考えられる。また、基板の変形を生じさせる原因の一つとして、例えば基板を載置した後に基板とプレートホルダとの間に空気溜りが介在することで基板が膨らんだ状態となることが考えられる。
【0158】
これに対し、本実施形態においては、基板Pが上述のように気体の噴射によって浮上した状態で搬送されるので、歪みが無く平面度の高い状態でプレートホルダ9に受け渡される。また、基板Pは浮上支持されていた高さから基板載置部31へと載置されるため、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止される。よって、基板Pが膨らんだ状態となることが抑制され、基板Pの載置ずれや変形の発生を防止することができる。よって、プレートホルダ9に対する所定の位置に平面度が高い状態で基板Pを載置することができる。その後、真空ポンプが駆動されることにより、基板Pは、基板載置部31の上面に吸引孔K1を介して吸着保持される。
【0159】
プレートホルダ9に基板Pを載置した後、マスクMは照明系からの露光光ILで照明される。露光光ILで照明されたマスクMのパターンは、プレートホルダ9に載置されている基板Pに投影光学系PLを介して投影露光される。
【0160】
上述のようにプレートホルダ9上に良好に基板Pが載置されるため、露光装置1は基板P上の適正な位置に所定の露光を高精度に行うことができ、信頼性の高い露光処理を実現できる。
【0161】
本実施形態では、基板Pに露光処理を行っている最中、或いは後述するように露光処理済みの基板Pを搬出ロボット205が搬送している間、コータ・デベロッパ(不図示)によって感光剤が塗布された次の基板Pが搬入部4の搬入用テーブル40上に載置することができる。
【0162】
次に、露光処理終了後のプレートホルダ9からの基板Pの搬出動作について説明する。
具体的には搬出ロボット205により基板Pを搬出する方法について説明する。
図35は搬出ロボット205の動作を説明するための斜視図であり、
図36A及び36Bは基板Pをプレートホルダ9から搬出する際にY軸方向から視た際の断面構成図であり、
図37は基板Pをプレートホルダ9から搬出する動作をX軸方向から視た際の側面図である。なお、
図35においてはフォーク部12のみを図示しており、搬出ロボット205の全体構成は省略している。また、
図36A及び36Bにおいては、便宜上、基板Pを支持するフォーク部12の図示を簡略化している。
【0163】
露光処理が終了すると、真空ポンプによる吸引孔K1の吸着が解除され、プレートホルダ9による基板Pの吸着が解除される。続いて、搬出ロボット205は、
図35に示すようにプレートホルダ9に形成された溝部30にフォーク部12を−Y方向側から挿入する。
【0164】
そして、駆動装置13はフォーク部12を所定量上方に移動することで、
図36Aに示すように基板Pの下面にフォーク部12を当接させる。また、
図36Bに示されるように、フォーク部12はさらに上方に移動することで基板Pをプレートホルダ9の上方に持ち上げて基板載置部31から離間させる。
【0165】
また、搬出ロボット205は、感光剤が塗布された次の基板Pを載置した搬入部4の搬入用テーブル40に接触しない高さまでフォーク部12を上昇(退避)させる。フォーク部12が搬入用テーブル40上の基板Pに接触しない位置まで上昇した後、
図37に示すように搬入部4の搬入用テーブル40はプレートホルダ9に近接するように移動し、上述のようにして基板Pをプレートホルダ9側へと搬送する。
【0166】
搬入部4からプレートホルダ9へと基板Pが搬送されている間、搬出ロボット205は、フォーク部12に載置された基板Pをコータ・デベロッパ(不図示)内に移動させる。以上のようにして、露光装置本体3からの基板Pの搬出動作が完了する。
【0167】
このように本実施形態によれば、浮上支持された基板Pをスライドすることで搬入部4からプレートホルダ9へと搬送することができるので、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止され、基板Pの載置ずれや変形の発生を防止できる。よって、信頼性の高い露光処理を行うことができる。
【0168】
また、本実施形態では、気体噴射を用いて基板Pを搬入部4からプレートホルダ9側へとスライドさせて搬入するため、従来のトレイを用いたプレートホルダへの基板搬入に比べてタクトタイムが長くなる。
【0169】
これに対し、本実施形態では、搬出ロボット205のフォーク部12を溝部30に挿入して基板Pを下面から持ち上げてプレートホルダ9から基板Pを退避させた状態で、搬入部4が次の基板Pをプレートホルダ9に搬入することができるので、プレートホルダ9に対する基板Pの搬出入に要する全体のタクトタイムが従来のトレイを用いた場合と略同等にすることができる。したがって、基板Pの搬出入時におけるタクトタイムを増加させることなく、基板Pを良好な状態でプレートホルダ9に搬入することができる。
【0170】
なお、本実施形態において、搬入用テーブル40からプレートホルダ9へと基板Pを搬送する際、搬入用テーブル40の上面を傾斜させることもできる。具体的には、第2移動機構43の保持部44は、気体噴射孔K3からの気体噴射によって浮上した状態で基板Pを支持する搬入用テーブル40の上面をプレートホルダ9側(θY方向)に傾斜させる。これにより、基板Pの自重を利用して該基板Pをプレートホルダ9側に移動させることができる。
【0171】
(第7実施形態)
続いて、本発明の第7実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態においては、第6実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第7実施形態は、搬入部の構成が第6実施形態と異なっている。
【0172】
本実施形態において、搬入部104は、
図16A及び
図16Bを用いて説明したものと同様である。
【0173】
また、本実施形態における露光装置1の動作についても、
図17及び
図18を用いて説明したものと同様である。
【0174】
本実施形態において、基板Pが上述のように気体の噴射によって浮上した状態で搬送されるので、歪みが無く平面度の高い状態でプレートホルダ9に受け渡すことができ、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止される。よって、プレートホルダ9に対する所定の位置に平面度が高い状態で基板Pを載置することができる。したがって、基板P上の適正な位置に所定の露光を高精度に行うことができ、信頼性の高い露光処理を行うことができる。
【0175】
(第8実施形態)
続いて、本発明の第8実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態においては、第6、7実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第8実施形態は、プレートホルダ9が移送部を備える点が第6及び第7実施形態と主に異なっている。
【0176】
図38は、本実施形態に係るプレートホルダ109の構成を示す図である。本実施形態に係るプレートホルダ109は、
図38に示すように基板Pを搬入用テーブル40からプレートホルダ9へと移送する第1移送部249を備えている。この第1移送部249は、基板Pの幅方向における両側部を吸着保持する吸着部250を含む。この吸着部250は、基板Pの面方向に沿うXY平面内において自由に移動可能とされている。
【0177】
また、本実施形態では、プレートホルダ9の周辺部に、第1移送部249により搬入される基板Pの基板載置部31に対する位置を検出するための位置検出センサ252が設けられている。この位置検出センサ252としては、例えばポテンショメータを例示することができ、本発明は接触方式或いは非接触方式のいずれのメータを用いることができる。
【0178】
吸着部250は、気体噴射孔K3からの気体噴射によって搬入用テーブル40上に浮上支持される基板Pの端部を吸着保持し、
図39Aに示すように搬入用テーブル40からプレートホルダ9側へと搬送する。一方、プレートホルダ9は、基板Pを受けとるに際し、上面に形成された複数の気体噴射孔K2から気体を噴射しておく。このとき、気体噴射孔K2,K3から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0179】
吸着部250は、
図39Bに示すように、基板Pの端部を位置検出センサ252に接触させることで、露光装置1は、基板Pにおける基板載置部31に対する位置ズレを検知することができる。なお、吸着部250は、上記位置検出センサ252の検出結果に基づいて駆動するように構成されている。
したがって、露光装置1は、位置検出センサ252の検出結果に基づき、吸着部250に保持された基板Pの基板載置部31に対する位置を補正することができる。
【0180】
本実施形態においても、基板Pが上述のように気体の噴射によって浮上した状態で搬送されるので、歪みが無く平面度の高い状態でプレートホルダ9に受け渡すことができ、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止される。よって、プレートホルダ9に対する所定の位置に平面度が高い状態で基板Pを載置することができる。したがって、基板P上の適正な位置に所定の露光を高精度に行うことができ、信頼性の高い露光処理を行うことができる。
なお、露光処理終了後のプレートホルダ9からの基板Pの搬出動作については第1実施形態と同様であるため、その説明を省略するものとする。
【0181】
(第9実施形態)
続いて、本発明の第9実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態においては、第6〜8実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第6実施形態は、露光装置本体の構成が第6〜8実施形態と主に異なっている。
図40は、本実施形態に係る露光装置本体3の概略構成を示す斜視図である。
【0182】
図40に示されるように、本実施形態の露光装置本体3は、プレートホルダ9と、該プレートホルダ9に設けられた基板持ち上げ機構150と、第1移動機構33と、を備えている。基板持ち上げ機構150は、基板Pを搬出する際に基板Pを上方に持ち上げるためのものである。
【0183】
図41はプレートホルダ9の平面構成を示す図であり、
図42A及び
図42Bはプレートホルダ9における側断面図であり、
図42Aは基板の受け渡し前の状態を示す図であり、
図42Bは基板の受け渡し後の状態を示す図である。
【0184】
持ち上げ機構150は、
図41、42A、及び42Bに示すように、基板Pを支持する複数の基板支持部材151と、該基板支持部材151を上下動する上下動作部152(
図43参照)と、を備えている。
【0185】
基板支持部材151は、軸部(上下動部材)155に対して
図41中X方向(第1方向)に架設される第1線状部材119と、
図41中Y方向(第2方向)に架設される第2線状部材120とを含んでおり、全体として略格子状に形成されている。これら第1線状部材119及び第2線状部材(第2架設部)120は、ここでは相互に溶接され、あるいは格子状に組み合わされている。各基板支持部材151は、複数(本実施形態では、例えば6つ)の軸部155間に架設されている。
【0186】
各基板支持部材151を構成する各格子形状は、いずれもが基板Pよりも小さい略矩形状の複数の開口部121を有している。なお、基板支持部材151の形状は
図41に示す形状に限定されることはなく、例えば開口部121が一つのみ形成された枠状の単一フレームであってもよい。
【0187】
本実施形態では、4つの基板支持部材151が、第2線状部材120の延在方向(
図41に示されるY方向)に沿って隙間Sを空けた状態で配置されている。このような基板支持部材151間の隙間Sは、後述するようにプレートホルダ9からの基板Pの搬出時にフォーク部12が挿入される空間を構成するためのものである。
【0188】
なお、基板支持部材151(第1線状部材119及び第2線状部材120)の形成材料としては、基板支持部材151が基板Pを支持した際に基板Pの自重による撓みを抑制することが可能な材料を用いることが好ましく、例えば各種合成樹脂、あるいは金属を用いることができる。具体的には、ナイロン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、繊維強化プラスチック、ステンレス鋼等が挙げられる。繊維強化プラスチックとしては、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic:ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック)やCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化熱硬化性プラスチック)が挙げられる。
【0189】
上下動作部152は、
図43に示すように軸部(上下動部材)155と、該軸部155を上下駆動する駆動装置153とを有している。駆動装置153は各軸部155に対して設けられており、これにより各軸部155は独立して上下動作を行う。
【0190】
この構成に基づき、基板支持部材151は、
図42A及び
図42Bに示すように上下動作部152(軸部155)の上下動に伴い、プレートホルダ9の基板載置部31に対し、上下動作を行うようになっている。
【0191】
一方、プレートホルダ9には、基板支持部材151を収容するための凹部130が形成されている。この凹部130は、基板支持部材151のフレーム構造に対応して格子状に設けられている。プレートホルダ9の上面における凹部130以外の領域(部分載置部)は、基板Pを保持する基板載置部31を構成している。
【0192】
基板支持部材151の厚さは、凹部130の深さよりも小さくなっている。これにより、
図42Bに示すように、基板支持部材151が凹部130内に収容されることで基板支持部材151上に載置された基板Pのみが基板載置部31に受け渡されて載置されるようになっている。
【0193】
また、基板載置部31は、基板Pに対するプレートホルダ9の実質的な保持面が良好な平面度を有するように仕上げられている。さらに、基板載置部31の基板保持面(上面)には、基板Pをこの面に倣わせて密着させるための吸引口、或いは後述の基板搬入時にエアー(気体)を噴射することで基板Pをこの面上に浮上支持する気体噴射口として機能する開口部K205が形成されている。開口部K205には、不図示の真空ポンプ及び気体噴射用ポンプがそれぞれ接続されており、これらポンプの駆動を切り替えることで開口部K205を上述のように吸引口或いは噴射口として機能させることができる。
【0194】
プレートホルダ9の周辺部には、基板Pの搬入時に該基板Pをガイドするためのガイド用ピン36と、プレートホルダ9の基板載置部31に対する基板Pの位置を規定する位置決めピン37とが設けられている(
図44A及び
図44B参照)。これらガイド用ピン36及び位置決めピン37は、露光装置本体3内をプレートホルダ9とともに移動可能とされている。
【0195】
次に、本実施形態の露光装置1の動作について
図44A〜
図50Bを参照にしながら説明する。具体的には搬入部4とプレートホルダ9との間における基板Pの受け渡し動作、及びプレートホルダ9と搬出ロボット205との間における基板Pの受け渡し動作を主に説明する。
【0196】
まず、第6実施形態と同様、搬入部4にコータ・デベロッパ(不図示)において感光剤が塗布された基板Pを搬入する。このとき、基板Pは搬入用テーブル40の上面に吸引孔K4を介して吸着保持される。
【0197】
続いて、プレートホルダ9は、
図44Aに示すように、搬入部4の搬入用テーブル40に近接するように移動する。なお、
図44A及び
図44Bにおいては搬出ロボットの図示を省略している。具体的に、第1移動機構33は、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40をY方向に沿って近接させた状態で配列する。このとき、第2移動機構43を駆動することで、搬入用テーブル40及びプレートホルダ9を基板Pの受け渡し位置に短時間で移動させ、基板Pの搬入動作に要する時間を短縮することができる。なお、基板Pは、吸引孔K4を介して搬入用テーブル40の上面に吸着保持されているので、第2移動機構43の駆動時に基板Pが搬入用テーブル40上において動いてしまうことがない。
【0198】
本実施形態では、
図44Bに示されるように、第1移動機構33は、基板Pを支持している搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなるようにプレートホルダ9を搬入用テーブル40に近接させる。なお、第2移動機構43により搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなるように搬入用テーブル40を上昇させることもできる。また、第1移動機構33は、プレートホルダ9及び搬入用テーブル40を接触させた状態で配列することもでき、これにより基板Pの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0199】
続いて、搬入用テーブル40は、
図45に示すように、上面に形成された複数の気体噴射孔K3から気体を噴射し、該気体を介して基板Pを浮上させた状態で支持する。一方、プレートホルダ9は、基板Pを受けとるに際し、不図示の気体噴射用ポンプを駆動し、基板載置部31に設けられた開口部K205からエアーを噴射しておく。
【0200】
搬入部4は、搬入用テーブル40上に基板Pを浮上支持した状態で、
図46に示されるように、当接部42bを基板Pの一端部に当接させる。当接部42bは、凹部40a内のガイド部42aに沿って移動することで基板Pをプレートホルダ9側へと移動する。
【0201】
基板Pは搬入用テーブル40上に浮上した状態となっているので、当接部42bは基板Pをプレートホルダ9側にスムーズにスライドさせることができる。なお、プレートホルダ9の上面は、上述のように基板Pを浮上支持するようになっている。ここで、気体噴射孔K3及び開口部K205から噴射する気体に指向性を持たせるようにしてもよい。
【0202】
当接部42bにより搬入用テーブル40の上面をスライドする基板Pは、
図47に示されるように、プレートホルダ9の上面へとスムーズに乗り移ることとなる。本実施形態では、搬入用テーブル40の上面がプレートホルダ9の上面よりも高くなっているので、基板Pはプレートホルダ9の側面に接触することなく、スムーズにプレートホルダ9上へと乗り移ることができる。
【0203】
基板Pは、ガイド用ピン36により同図中X方向における位置が規定されるとともに、位置決めピン37及び当接部42bに挟まれることで同図中Y方向における位置が規定された状態となる。プレートホルダ9は、開口部K205からの気体噴射を停止する。これにより、基板Pは基板載置部31に対して位置合わせされた状態で載置される。
【0204】
本実施形態においては、基板Pが上述のように気体の噴射によって浮上した状態で搬送されるので、歪みが無く平面度の高い状態でプレートホルダ9に受け渡される。また、基板Pは浮上支持されていた高さから基板載置部31へと載置されるため、基板Pと基板載置部31との間に空気溜りや空気層が生じることが防止される。よって、基板Pが膨らんだ状態となることが抑制され、基板Pの載置ずれや変形の発生を防止することができる。したがって、基板Pは、プレートホルダ9に対する所定の位置に平面度が高い状態で載置される。その後、真空ポンプが駆動されることにより、基板Pは、基板載置部31の上面に開口部K205を介して吸着保持される。
【0205】
プレートホルダ9に基板Pを載置した後、マスクMは照明系からの露光光ILで照明される。露光光ILで照明されたマスクMのパターンは、プレートホルダ9に載置されている基板Pに投影光学系PLを介して投影露光される。
【0206】
本実施形態に係る露光装置1は、上述のようにプレートホルダ9上に良好に基板Pが載置されるので、基板P上の適正な位置に所定の露光を高精度に行うことができ、信頼性の高い露光処理を実現できる。
【0207】
次に、露光処理終了後のプレートホルダ9からの基板Pの搬出動作について説明する。
具体的には搬出ロボット205により基板Pを搬出する方法について説明する。
図48は搬出ロボット205の動作を説明するための斜視図であり、
図49A、
図49B、及び
図49Cは基板Pをプレートホルダ9から搬出する際にY軸方向から視た際の断面構成図である。なお、
図48においてはフォーク部12のみを図示しており、搬出ロボット205の全体構成は省略している。本実施形態では、持ち上げ機構150の形状に対応し、フォーク部12における基板支持部が上記実施形態と異なっている。また、
図49A、
図49B、及び
図49Cにおいては、便宜上、基板Pを支持するフォーク部12の図示を簡略化している。
【0208】
露光処理が終了すると、真空ポンプによる開口部K205を介した吸着が解除され、プレートホルダ9による基板Pの吸着が解除される。続いて、持ち上げ機構150は、軸部155を駆動して基板支持部材151を上昇させる。このとき、
図49Aに示すように、基板支持部材151とともに基板載置部31上に載置されている基板Pが上方へと持ち上げられる。このとき、基板Pは、複数の基板支持部材151により支持されることで上方へと持ち上げられるので、剥離帯電の発生を防止することができる。また、従来のようにピンによって基板Pを持ち上げる場合に比べ、広い面で基板Pを支持することができるので、基板Pに生じる撓み量を低減することができ、基板Pに割れが生じるのを防止することができる。
【0209】
搬出ロボット205はフォーク部12を駆動し、
図48に示すように基板載置部31の上方に配置される基板支持部材151間の隙間S及びX軸方向両端部に向けてフォーク部12を−Y方向側から移動し、隙間S及び両端部にフォーク部12を挿入する(
図49B)。
【0210】
そして、駆動装置13がフォーク部12を所定量上方に移動すると、フォーク部12が基板Pの下面に当接する。さらにフォーク部12を上方に移動させると、
図49Cに示されるように、基板Pがプレートホルダ9の上方に持ち上げられることで持ち上げ機構150から離間する。
【0211】
持ち上げ機構150は、基板Pが離間した後、基板支持部材151を凹部130内に収容する。凹部130内に基板支持部材151を収容した後、プレートホルダ9は、搬入部4の搬入用テーブル40に近接するように移動し、上述のようにして基板Pをプレートホルダ9側へと搬送する。
【0212】
搬入部4からプレートホルダ9へと基板Pが搬送されている間、搬出ロボット205は、フォーク部12に載置された基板Pをコータ・デベロッパ(不図示)内に移動させる。以上のようにして、露光装置本体3からの基板Pの搬出動作が完了する。
【0213】
このように本実施形態によれば、浮上支持された基板Pをスライドすることで搬入部4からプレートホルダ9へと搬送するので、基板Pの載置ずれや変形の発生を防止できる。また、本実施形態においても、プレートホルダ9に対する基板Pの搬出入に要する全体のタクトタイムが従来のトレイを用いた場合と略同等とすることができる。よって、基板Pの搬出入時におけるタクトタイムを増加させることなく、基板Pを良好な状態でプレートホルダ9に搬入することができる。
【0214】
なお、上記実施形態では、基板載置部31のみに気体噴射口としての開口部K205を形成する場合について説明したが、基板支持部材151の上面に気体噴射口を形成することもできる。このようにすれば、基板Pをプレートホルダ9に搬入する際、基板搬送面に噴射される気体の量が増加するので、基板Pをよりスムーズに搬送することができる。
【0215】
(第10実施形態)
続いて、本発明の第10実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態においては、第6実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第10実施形態は、プレートホルダ9から基板Pを搬出する手段として非接触状態で基板Pを吸着する吸着機構を備える点が上記実施形態と主に異なっている。
【0216】
吸着機構は基板Pを保持し、基板Pをプレートホルダ9の基板載置部31から上方に持ち上げ、コータ・デベロッパ(不図示)内に移動させるためのものである。
図50Aは吸着面の構成を示し、
図50Bは吸着機構の全体構成を示す図である。
【0217】
図50A及び
図50Bに示されるように、吸着機構350は、非接触状態で基板Pを保持する複数の保持部351と、これら保持部351を保持するベース部352と、該ベース部352を移動可能な駆動機構355と、ベース部352を備えている。ベース部352は、基板Pと略同等の大きさを有する板状部材である。保持部351は、ベース部352上に規則的に配置されており、これにより基板Pを良好に保持できるようになっている。
【0218】
保持部351としては、所謂ベルヌーイチャックを用いた。保持部351は、圧縮空気を基板Pとの間に噴射することで基板Pとの間に負圧を発生させる。これにより、基板Pを保持部351側に押し付ける押し付け力を生じさせる。一方、保持部351は、基板Pとの隙間が小さくなると圧縮空気の流速が低下し、保持部351と基板Pとの間の圧力が上昇する。これにより、基板Pを保持部351から離そうとする力を生じさせる。保持部351は、このような2つの力の釣り合いを取るように圧縮空気を噴射することで、基板Pと保持部351との間隔を一定に保持した状態、すなわち非接触状態で基板Pを保持することができる。
【0219】
次に、露光装置1の動作について図面を参照にしながら説明する。なお、搬入部4とプレートホルダ9との間における基板Pの受け渡し動作については、第1実施形態と同様であることから説明を省略する。
【0220】
以下、プレートホルダ9から基板Pを搬出する動作について説明する。具体的に、上記吸着機構350により基板Pをプレートホルダ9から搬出する方法について説明する。
図51A及び
図51Bは基板Pをプレートホルダ9から搬出する動作をX軸方向から視た際の側面図である。
【0221】
露光処理が終了すると、真空ポンプによる吸引孔K1の吸着が解除され、プレートホルダ9による基板Pの吸着が解除される。続いて、吸着機構350はプレートホルダ9の上方に移動する。そして、吸着機構350は、
図51Aに示されるように保持部351が基板Pを保持可能な位置まで下降する。そして、複数の保持部351によって基板Pの上面を非接触状態で保持する。このとき、複数の保持部351は同時に駆動させる、或いは順次駆動させることで基板Pを保持することができる。
【0222】
吸着機構350は、複数の保持部251によって基板Pを保持した状態で、駆動機構355によって基板Pをプレートホルダ9の上方に持ち上げ、
図51Bに示すように基板載置部31から離間させる。このとき、保持部351は基板Pに非接触であるため、基板Pに吸着跡が残ることが無い。
【0223】
吸着機構350が搬入用テーブル40上の基板Pに接触しない位置まで上昇した後、搬入部4の搬入用テーブル40はプレートホルダ9に近接するように移動する。そして、上記実施形態と同様、基板Pを浮上支持した状態で搬入用テーブル40からプレートホルダ9へと搬送する。
【0224】
搬入部4からプレートホルダ9へと基板Pが搬送されている間、吸着機構350は、保持部351に保持された基板Pをコータ・デベロッパ(不図示)内に移動させる。以上のようにして、露光装置本体3からの基板Pの搬出動作が完了する。
【0225】
なお、
図52A及び
図52Bに示すように、ベース部352の周囲に基板Pの下面を支持する支持部材353を設けることもできる。支持部材353は、基板Pの周囲を囲む枠状部材からなり、基板Pの面方向に張り出した張り出し部354を複数有する。この張り出し部334は、基板Pの下面に当接するようになっている。この構成によれば、基板Pのダレが生じるおそれのある大型基板を保持する場合、基板Pの周端部が張り出し部354によって支持されるので、大型基板を保持する場合であっても、基板Pの端部にダレが生じるのを防止しつつ、保持部351によって平面度が高い状態で基板Pを保持することができる。
【0226】
また、上述の実施形態の基板Pとしては、ディスプレイデバイス用のガラス基板のみならず、半導体デバイス製造用の半導体ウエハ、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0227】
また、露光装置としては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを介した露光光ILで基板Pを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0228】
また、本発明は、米国特許第6341007号、米国特許第6208407号、米国特許第6262796号等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
【0229】
また、本発明は、米国特許第6897963号、欧州特許出願公開第1713113号等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと、基板を保持せずに、基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置を採用することができる。
【0230】
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
【0231】
上述の実施形態の露光装置は、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0232】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、
図53に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板(感光剤)を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。なお、ステップ204では、感光剤を現像することで、マスクのパターンに対応する露光パターン層(現像された感光剤の層)を形成し、この露光パターン層を介して基板を加工することが含まれる。
【0233】
なお、上述の実施形態及び変形例の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。