【実施例1】
【0040】
(ア)
イオン液体の合成 [N(C
2H
5)(CH
3)
2(C
2H
4OC
2H
4OCH
3)]
+ [N(SO
2CF
3)
2]
−(ジメチルエチル(メトキシエトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド)の合成
1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタン128.1g(0.70モル)、N,N−ジメチルエチルアミン51.2g(0.70モル)及びアセトニトリル102gの混合物を、80℃で24時間撹拌した。その後、得られた反応混合物を濃縮し、残渣を減圧下に乾燥してジメチルエチル(メトキシエトキシエチル)アンモニウムブロミド179.3g(0.70モル)を得た。
上記で得たジメチルエチル(メトキシエトキシエチル)アンモニウムブロミド179.3g(0.70モル)にイオン交換水359g及び活性炭2gを加えて室温で1時間撹拌し、濾過した。濾液にビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド酸リチウム[(CF
3SO
2)
2NLi]203.83g(0.71モル)を加え室温で1時間撹拌し、得られた混合物に塩化メチレン359gを加えて混合した後、分液して得られた有機層をイオン交換水359gで3回洗浄した。その後、有機層から塩化メチレンを留去して油状のジメチルエチル(メトキシエトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド264.7g(0.58モル、収率83%)を得た。
得られたジメチルエチル(メトキシエトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドのNMRの分析結果を次に示す。なお、ジメチルエチル(メトキシエトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドを、以降、[N
112A][NTf
2]と表記する。
得られたイオン液体のNMRデータを下記する。なお、用いたNMRは日本ブルカー株式会社製「AVANCE400」である(以下同様)。
【0041】
1H−NMR(CDCl
3)δppm:3.90(bm、2H)、3.66−3.64(m、2H)、3.54−3.48(m、6H)、3.34(s、3H)、3.12(s、6H)、1.39(t、3H)
【0042】
(イ)
(イオン液体の二酸化炭素吸収)
図2に示される装置の所定容器に実施例1のイオン液体を収容させ、所定圧力、所定温度下、気液平衡状態を確認できるまで二酸化炭素をイオン液体に接触させた。
【0043】
(ウ)(イオン液体の二酸化炭素吸収能の測定)
上記気液平衡確認後のイオン液体に吸収された二酸化炭素を、イオン液体における二酸化炭素のモル分率として評価した。前記二酸化炭素のモル分率(x
CO2)を上記式(1)から決定した。
測定結果を
図3に示した。
図3は40℃で測定したときの結果である。
【0044】
上記式(1)に基づいて二酸化炭素のモル分率を算出するために必要な、気液平衡確認後のイオン液体に吸収された二酸化炭素の物質量(n
2)を下記式(3)より決定した。
【0045】
(式(3))
式(3)は下記のように記載してもよい。
n
2=n
1−[V
3−V
IL(T)×(1+ΔV(T,p))]/ v
2(T,p) 式(3)
上記式中、n
1はガスチャンバーに導入された二酸化炭素の物質量を意味し、v
2(T,p)は二酸化炭素のモル体積を意味し、ΔV(T,p)はイオン液体の体積膨張率を意味し、V
3はガスチャンバー部と高圧セル部3(容積:V
2)の容積の合計であり、n
1は下式(4)から求めた。
【0046】
(式(4))
式(4)は下記のように記載してもよい。
n
1=V
1/ v
1(T,p) (式4)
上記式中、V
1はガスチャンバーの容積、v
1(T,p)は二酸化炭素のモル体積。なお、モル体積はガスの種類、温度、圧力のみで決定される。Tは温度、pは圧力である。
【0047】
V
IL(T)はガスを吸収する前のイオン液体の体積であり、以下の式(5)で求められる。
(式(5))
式(5)は下記のように記載してもよい。
V
IL(T)=w
IL /ρ(T)
式(5)
上記式中、w
IL はイオン液体の仕込み量であり、下記操作(1)(下記段落番号0050の(1))で決定したものであり、ρ(T)はイオン液体の密度であり、温度のみの関数であり、密度の測定結果から決定し、Tは温度、pは圧力である。ΔV(T,p)はイオン液体の体積膨張率であり、温度と圧力の関数であり、体積膨張率の測定結果から決定した。
【0048】
以下、具体的な操作を説明する。
(
二酸化炭素の溶解に伴うイオン液体の体積膨張率の測定)
体積膨張率(ΔV)は以下の式(6)で定義される。
【0049】
(式(6))
式(6)は下記のように記載してもよい。
ΔV=(V(p,T)−V(p
0,T))/V(p
0,T) 式(6)
上記式中、V(p,T)は平衡圧力p、測定温度Tにおける液相の体積、V(p
0,T)は大気圧(0.1
MPa(すなわち、二酸化炭素が存在しない))、測定温度Tにおける液相の体積である。
【0050】
二酸化炭素の溶解に伴うイオン液体の体積膨張率の測定を、
図1に示す装置を用いて行った。
(
平衡圧力における液相の体積の算出)
(1)十分に露点が低いグローブボックス内で、サファイア製チューブセル4に、事前に十分に乾燥したイオン液体を所定量(約0.6
cc)仕込み、セルのバルブ8を閉じた。仕込み量を電子天秤で正確に測定した。
(2)セルをガス導入ラインに接続し、恒温水槽6内部に設置し、バルブ9とバルブ10を開け、ガス導入ライン内を十分に脱気した。その後、バルブ10を閉じた。
(3)バルブ9を開けてガス導入ラインに0.2 MPa程度の二酸化炭素を導入し、バルブ9を閉じた。
(4)バルブ8を開けてセル内部に二酸化炭素を導入し、イオン液体を撹拌子3で1分撹拌した後、バルブ10を開けて0.1
MPa程度まで減圧した。
(5)バルブ8を閉じ、ガス導入ラインを再び脱気した後、バルブ10を閉じた。
(6)(2)から(5)の作業を5回繰り返した。
(7)バルブ9を開けて、ガス導入ラインに1.0 MPa程度の二酸化炭素を導入した。
(8)バルブ9を閉じ、バルブ8を開けて、セル4内に二酸化炭素を導入した。
(9)セル4外部の永久磁石5をモーター(
図1に示していない)で上下に動かし、セル4内部の撹拌子3を上下振動させ、イオン液体相を撹拌した。
(10)この際、撹拌子3が液面から出ないよう、永久磁石5の位置を調整した。
(11)恒温水槽6の温度を40℃(精度 0.01℃)に保ち、撹拌を継続しつつ、セル4内の圧力を圧力計12にて測定した。
(12)気液平衡状態に到達したことは、圧力変化が1時間あたり0.0001 MPa以下になったことで判断した。
(13)気液平衡状態に到達した後、カセトメーター2による目視で液相の高さ(H)を計測した。
液相の高さ(H)と液相の体積(V)には直線関係があり、実験前に作成した検量線と液相の高さ(H)から液相の体積(V)を求めた。
【0051】
(
体積膨張率(ΔV)の算出)
(14)体積膨張率(ΔV)は上記式(6)で定義される。体積膨張率(ΔV)は温度と圧力に依存する関数であり、ガスとイオン液体の種類に依存するが、仕込んだイオン液体の量には全く影響されない。
上記体積(V)の値を基にし、上記式(6)から体積膨張率(ΔV)を算出した。V(p
0,T)は予め決定されていた。
(15)1時間ごとに(13)と(14)を、合計3回以上行い、その平均を体積膨張率(ΔV)として採用した。
【0052】
(
上記と異なる平衡条件下における液相の体積(V)の算出及び体積膨張率(ΔV)の算出)
上記と異なる圧力又は温度の基に体積(V)の値を算出し、該体積(V)の値を基にし、上記式(6)から体積膨張率(ΔV)を算出した。
(16)バルブ8を閉じ、バルブ9を開けて、2.0 MPa程度まで二酸化炭素で加圧した。
(17)バルブ9を閉じ、バルブ8を開けて、セル内に二酸化炭素を導入し、加圧した。
(18)(9)から(15)を行った。
(19)バルブ8を閉じ、バルブ9を開けて、3.0 MPa程度まで二酸化炭素で加圧した。
(20)バルブ9を閉じ、バルブ8を開けて、セル内に二酸化炭素を導入し、加圧した。
(21)(9)から(15)を行った。
(22)バルブ8を閉じ、バルブ9を開けて、4.0 MPa程度まで二酸化炭素で加圧した。
(23)バルブ9を閉じ、バルブ8を開けて、セル内に二酸化炭素を導入し、加圧した。
(24)(9)から(15)を行った。
(25)バルブ8を閉じ、バルブ9を開けて、5.0 MPa程度まで二酸化炭素で加圧した。
(26)バルブ9を閉じ、バルブ8を開けて、セル内に二酸化炭素を導入し、加圧した。
(27)(9)から(15)を行った。
(28)バルブ8を閉じ、バルブ9を開けて、5.5 MPa程度まで二酸化炭素で加圧した。
(29)バルブ9を閉じ、バルブ8を開けて、セル内に二酸化炭素を導入し、加圧した。
(30)(9)から(15)を行った。
(31)バルブ10を開け、ガス導入ラインおよびセル内を0.1 MPaまで徐々に減圧した。
(32)セルをガス導入ラインから取り外し、セルの洗浄と乾燥を十分に行った。
(33)(1)から(10)の作業を行った。
(34)恒温水槽の温度を60 ℃(精度 0.01℃)に保ち、撹拌を継続しつつ、セル内の圧力を圧力計にて測定した。
(35)(12)から(32)の作業を行った。
(36)(1)から(10)の作業を行った。
(37)恒温水槽の温度を25 ℃(精度 0.01℃)に保ち、撹拌を継続しつつ、セル内の圧力を圧力計にて測定した。
(38)(12)から(32)の作業を行った。
【0053】
イオン液体に対する二酸化炭素の溶解量の測定は、まず上記式(3)に基づき、イオン液体に吸収された二酸化炭素の物質量を決定した。
次いで、上記式(1)に基づき、イオン液体における二酸化炭素のモル分率として評価した。
【0054】
イオン液体に対する二酸化炭素の溶解量の測定を、
図2に示す装置を用いて行った。
(
イオン液体に吸収された二酸化炭素の物質量の決定)
(1)十分に露点が低いグローブボックス内で、窓付き高圧セル15に、事前に十分に乾燥したイオン液体を所定量(約15cc)仕込み、セル15を閉じ、さらにバルブ6を閉じ、電子天秤でイオン液体の仕込み量を正確に測定した。
(2)セル15を装置に接続し、バルブ6、7、8、9、10を開け、真空ポンプ1で系内を脱気した。系内の圧力は圧力計12と真空計2で計測し、圧力計の表示が0.0000
MPa、真空計の指示が2
Pa以下に到達した後、さらに6時間以上脱気操作を続けた。
(3)バルブ8と10を閉じ、12時間以上放置し、圧力計の表示値の変化が0.0001
MPa/12 h以下であることを確認した。
(4)バルブ6と9を閉じ、バルブ8を開けて二酸化炭素を6.0 MPa程度導入した。
(5)バルブ8を閉じ、恒温水槽5の温度を40℃(精度 0.01℃)に保ち、圧力を圧力計12で計測した。また、セル15内部を、撹拌子(
図2に示していない)を回転させ、撹拌した。撹拌子の回転にはマグネチックスターラー16を使用した。以降、撹拌は測定終了まで継続した。
【0055】
(6)圧力変化が1時間あたり0.0001 MPa以下になった際、ガスチャンバー部4が熱平衡に到達したと見なし、圧力を圧力計12で測定した。ガスチャンバー部4とは、
図2のバルブ8とバルブ9で仕切られた破線で囲まれた部分である。
(7)温度と圧力から二酸化炭素のモル体積(v
1)を決定した。モル体積(v
1)の決定にNIST REFPROP
Ver. 9.0を利用した。
(8)ガスチャンバー部の容積(V
1)は事前に決定しており、上記式(4)に基づき、ガスチャンバー部の容積(V
1)をモル体積(v
1)で除することで、ガスチャンバー部に導入された二酸化炭素の物質量(n
1)を求めた。
(9)1時間ごとに(7)と(8)を、合計3回以上繰り返し、その平均値を物質量(n
1)として採用した。
【0056】
(10)バルブ9、バルブ6の順に開け、二酸化炭素をイオン液体に吸収させた。
(11)圧力変化が1時間あたり0.0001MPa以下になった際、気液平衡状態に到達したと見なし、圧力を圧力計12で測定した。
(12)温度と圧力から二酸化炭素のモル体積(v
2)を決定した。モル体積(v
2)の決定にNIST REFPROP
Ver. 9.0を利用した。モル体積はガスの種類、温度、圧力のみで決定される。
(13)イオン液体に吸収された二酸化炭素の物質量(n
2)は上記式(4)より決定した。
なお、V
3はガスチャンバー部4と高圧セル部3(容積:V
2)の容積の合計である。ここで、ΔV(T,p)はイオン液体の体積膨張率であり、温度と圧力の関数であり、体積膨張率の測定結果から決定した。また、V
IL(T)はガスを吸収する前のイオン液体の体積であり、上記式(5)で求められる。
【0057】
上記式(5)中のw
ILはイオン液体の仕込み量であり、操作(1)(段落番号0054の(1))で決定したものである。
(14)1時間ごとに(11)から(13)を、合計3回以上繰り返し、その平均値をイオン液体に吸収された二酸化炭素の物質量(n
2)として採用した。
【0058】
すなわち、前記(9)(段落番号0055の(9))で決定したチャンバー部4に導入された二酸化炭素の物質量(n
1)、上記式(6)から決定されたガスを吸収する前のイオン液体の体積(V
IL(T)、前記体積膨張率の測定結果から決定したΔV(T,p)、前記(12)(段落番号0056の(12))で決定した二酸化炭素のモル体積(v
2)を基にして、イオン液体に吸収された二酸化炭素の物質量を決定した。なお、ガスチャンバー部の容積(V
1)は事前に決定していた。
【0059】
(
二酸化炭素を吸収したイオン液体における二酸化炭素のモル分率の算出)
(15)二酸化炭素のモル分率(x
CO2)は上記式(1)から決定した。x
CO2は温度と圧力のみの関数であり、イオン液体とガスの種類に依存する。
上記イオン液体に吸収された二酸化炭素の物質量(n
2)及びw
IL/M
ILから決定されたn
ILから、二酸化炭素を吸収したイオン液体における二酸化炭素のモル分率を算出した。なお、w
ILはイオン液体の仕込み量を意味し、M
ILはイオン液体のモル質量である。
【0060】
(
イオン液体中の二酸化炭素の濃度の算出)
(16)以下、イオン液体相の密度の算出について具体的に説明する。イオン液体相中の二酸化炭素の濃度(C
CO2)は上記式(2)で表され、温度と圧力の関数であり、イオン液体とガスの種類に依存する。
【0061】
(
イオン液体相の密度の算出)
(17)イオン液体相の密度(ρ
IL)は温度と圧力のみの関数であり、イオン液体とガスの種類に依存し、下記式(7)から決定した。
式(7))
前記式(7)は下式のように記載してもよい。
ρ
IL=[w
IL+n
2×M
CO2]/ [V
IL(T)×(1+ΔV(T,p)] 式(7)
上記式中、ρ
ILは温度と圧力のみの関数であり、イオン液体とガスの種類に依存する。ここで、M
CO2は二酸化炭素のモル質量である。w
IL 、n
2 、V
IL(T)、ΔV(T,p)は上記と同じである。
【0062】
(
異なる平衡圧力下でのモル分率、濃度、密度の測定)
(18)バルブ9を閉じ、バルブ10を徐々に開け、高圧セル部3の圧力を0.1 MPaまで徐々に減圧した。
(19)バルブ10を完全に開放し、真空ポンプにて高圧セル部3を脱気した。真空計2の指示値が2
Pa以下に到達した後、さらに3時間以上脱気を継続し、二酸化炭素を十分に取り除いた。
(20)バルブ6および10を閉じた。
【0063】
(21)(6)から(19)を4回繰り返し、各圧力にて二酸化炭素のモル分率(x
CO2)、二酸化炭素の濃度(C
CO2)とイオン液体相の密度(ρ
IL)を決定した。
(22)バルブ6、7、9、10を開け、真空ポンプ1にて高圧セル部3およびガスチャンバー部4を脱気した。真空計2の指示値が2
Pa以下に到達した後、さらに3時間以上脱気を継続し、二酸化炭素を十分に取り除いた。
(23)バルブ6、9、10を閉じ、バルブ8を開けて二酸化炭素を5.5 MPa程度導入した。
(24)(5)から(19)を4回繰り返し、各圧力にて二酸化炭素のモル分率(x
CO2)とイオン液体相の密度(ρ
IL)を決定した。
【0064】
(
ヘンリー定数の決定)
(25) ヘンリー定数は、下式(8)に基づいて決定される。
(式(8))
式中、フガシティ(f(T,p))は温度と圧力の関数であり、ガスの種類に依存する。二酸化炭素のフガシティ(f(T,p))はNIST REFPROP Ver. 9.0により決定した。x
CO2は二酸化炭素のモル分率である。ヘンリー定数(k
H)は温度のみの関数であり、イオン液体とガスの種類に依存する。一定温度におけるヘンリー定数の大小でガス吸収能を比較でき、ガスの溶解量が多いほど値は小さい。
ヘンリー定数の具体的な決定法は以下のとおりである。
横軸を圧力(p)、縦軸を(f(T,p)/x
CO2)とするグラフを作成し、プロットを二次関数でフィッティングした際、二次関数曲線と縦軸の交点がk
Hである。
【0065】
(
異なる温度条件下でのモル分率、濃度、密度の測定)
(26)(2)から(4)の作業を行った。
(27)バルブ8を閉じ、恒温水槽5の温度を60 °C(精度
0.01 °C)に保ち、圧力を圧力計12で計測した。また、セル15内部を、撹拌子を回転させ、撹拌した。撹拌子の回転にはマグネチックスターラー16を使用した。以降、撹拌は測定終了まで継続した。
(28)(6)から(19)を5回繰り返し、各圧力にて二酸化炭素のモル分率(x
CO2)、二酸化炭素の濃度(C
CO2)とイオン液体相の密度(ρ
IL)を決定した。
(29)(22)から(25)を行った。
60°Cにおける[N
112A][NTf
2]の二酸化炭素に対するヘンリー定数は5.09
MPaであった。
【0066】
(
異なる温度条件下でのモル分率、濃度、密度の測定2)
(30)(2)から(4)の作業を行った。
(31)バルブ8を閉じ、恒温水槽5の温度を25℃精度0.01℃)に保ち、圧力を圧力計12で計測した。また、セル15内部を、撹拌子を回転させ、撹拌した。撹拌子の回転にはマグネチックスターラー16を使用した。以降、撹拌は測定終了まで継続した。
(32)(6)から(19)を5回繰り返し、各圧力にて二酸化炭素のモル分率(x
CO2)、二酸化炭素の濃度(C
CO2)とイオン液体相の密度(ρ
IL)を決定した。
(33)(22)から(25)を行った。
25°Cにおける[N
112A][NTf
2]の二酸化炭素に対するヘンリー定数は2.90MPaであった。
(34)[N
112A][NTf
2]の二酸化炭素の吸収量(x
CO2)、二酸化炭素の濃度(C
CO2)、イオン液体相の密度(r
IL)を表1に示す。
【0067】
(表1)
【0068】
(
熱力学パラメータの決定)
以下、熱力学パラメータの決定について具体的に説明する。
(35)40、60、25 °Cで決定したヘンリー定数より、以下の式を用いて、熱力学パラメータを決定した。なお、ギブスエネルギー(ΔG)、エンタルピー(ΔH)、エントロピー(ΔS)は、いずれも温度のみの関数であり、イオン液体とガスの種類に依存する。
【0069】
(式(9))
式(9)は下記のように記載してもよい。
ΔG=RTln(k
H(T,p)/ p
0) 式(9)
【0070】
(式(10))
式(10)は下記のように記載してもよい。
ΔH=- RT
2(∂/∂T)[(ln(k
H(T)/p
0)]、 式(10)
【0071】
(式(11))
式(11)は下記のように記載してもよい。
ΔS=- RT(∂/∂T)[(ln(k
H(T)/p
0)]−R[ln(k
H(T,p)/p
0)] 式(11)
上記式(9)、(10)、(11)において、p
0は圧力、k
H(T)は各温度におけるヘンリー定数を意味する。また、縦軸にln(k
H/p
0)を、横軸にTをとり、プロットを二次関数でフィッティングすることでln(k
H(T)/p
0)を求める。さらに、二次関数を微分することで、(∂/∂T)[ln(k
H(T)/p
0)]を得る。ΔGが小さいほど、ガスの溶解量は大きくなる。なお、p
0は0.1 MPaである。
40℃において、[N
112A][NTf
2]の熱力学パラメータは次のとおりであった。ΔG=9.48kJ mol
-1, ΔH=-13.6 kJ mol
-1, ΔS=-73.7Jmol
-1 K
-1
【0072】
(
大気圧下の密度と粘性率の測定)
大気圧にて、イオン液体の密度(ρ)を、振動管式密度計(Anton
Paar,DMA 5000M)を用いて測定した。試料の封入は十分に露点が低いグローブボックス内で行った。また、装置定数は乾燥空気と超純水(Millipore
SimpliLab Purification Pack)で決定した。
【0073】
大気圧にて、イオン液体の粘性率(η)を、回転シリンダー式粘度計(Anton Paar, Stabinger
SVM3000)で測定した。試料の封入は十分に露点が低いグローブボックス内で行った。粘度計の健全性は、標準試料(Cannon
InstrumentCompany)で確認した。
[N
112A][NTf
2]の密度、粘性率を表2に示す。
【0074】
(表2)
【実施例2】
【0075】
(ア)
イオン液体の合成[N(C
2H
5)(CH
3)
2(C
2H
4OCOCH
3)]
+ [N(SO
2CF
3)
2]
− (ジメチルエチル(アセトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド)の合成
酢酸2−ブロモエチル133.6g(0.80モル)、N,N−ジメチルエチルアミン70.2g(0.96モル)及びアセトニトリル401gの混合物を、75℃で24時間撹拌した。その後、得られた反応混合物を濃縮、乾燥し、残渣184.0gを得た。この残渣にイオン交換水184g及びトルエン364gを加えて撹拌し、分液した。分液して得た水層をトルエン364gで洗浄し、ジメチルエチル(アセトキシエチル)アンモニウムブロミド水溶液365.1gを得た。
上記で得たジメチルエチル(アセトキシエチル)アンモニウムブロミド水溶液365.1gに、塩化メチレン551g及び73.4%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド酸リチウム[(CF
3SO
2)
2NLi]水溶液314.7g(0.80モル)を加え室温で9時間撹拌し、分液した。分液して得られた有機層をイオン交換水185gで2回洗浄した。その後、有機層から塩化メチレンを留去して油状のジメチルエチル(アセトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド328.7g(0.75モル、収率93%)を得た。得られたジメチルエチル(アセトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドのNMRの分析結果を次に示す。なお、ジメチルエチル(アセトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドを、以降、[N
112B][NTf
2]と表記する。
【0076】
1H−NMR(CD
3OD)δppm:4.52−4.48(m、2H)、3.68−3.65(m、2H)、3.48(q、2H)、3.13(s、6H)、2.10(s、3H)、1.41−1.36(m、3H)
【0077】
(イ)(
イオン液体の二酸化炭素吸収)
実施例1と同様に操作し、二酸化炭素を[N
112B][NTf
2]に接触させた。
【0078】
(ウ)(
イオン液体の二酸化炭素吸収能の測定)
実施例1と同様に操作を行い、[N
112B][NTf
2]の二酸化炭素のモル分率(x
CO2)、二酸化炭素の濃度(C
CO2)とイオン液体相の密度(r
IL)を求めた。その結果を
図3及び表3に示した。また、40℃、60℃、25℃における[N
112B][NTf
2]の二酸化炭素に対するヘンリー定数は、それぞれ、4.41MPa、6.01MPa、3.38MPaであった。
【0079】
(表3)
【0080】
(
熱力学パラメータの決定)
実施例1と同様に操作を行い、[N
112B][NTf
2]の熱力学パラメータを決定した。
その結果、40℃において、[N
112B][NTf
2]の熱力学パラメータは次のとおりであった。
ΔG=9.86kJmol
-1,ΔH=-13.7kJmol
-1,ΔS=-75.3Jmol
-1K
-1
【0081】
(大気圧下の密度と粘性率の測定)
実施例1と同様に操作を行い、[N
112B][NTf
2]の密度、粘性率を決定した。
その結果を表4に示す。
(表4)
【0082】
(比較例1〜2)
イオン液体として、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、及びジメチルホルムアミドビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドを選んだ。なお、前者を[bmim][NTf
2]、後者を[DMFH][NTf
2]と表記する。
[bmim][NTf
2]を、実施例1と同様に操作し、[bmim][NTf
2]の二酸化炭素のモル分率(x
CO2)を求めた。また、[DMFH][NTf
2]については、特許文献6に記載の情報より、[DMFH][NTf
2]の二酸化炭素のモル分率(x
CO2)を求めた。
その結果を
図3に示した。
【0083】
図3から、実施例1及び2のイオン液体([N
112A][NTf
2];実施例1、[N
112B][NTf
2];実施例2)は、比較例2のイオン液体([DMFH][NTf
2])と比較して、同圧力におけるCO
2のモル分率が大きく、優れたCO
2吸収能を有することがわかる。また、[N
112A][NTf
2]は、一般的に優れた二酸化炭素吸収液とされる[bmim][NTf
2]よりも多く二酸化炭素を吸収することがわかる。
【0084】
表5に40℃におけるギブスエネルギー(ΔG)、エンタルピー(ΔH)、エントロピー(ΔS)を示す。
[N
112A][NTf
2]と[N
112B][NTf
2]は、[DMFH][NTf
2]と比較して、エンタルピーが大きく、エントロピーが小さい。
すなわち、[DMFH][NTf
2]と比較して、エンタルピー効果に優れるため、優れたCO
2吸収能を示すと考えられる。また、[N
112A][NTf
2]のエンタルピーは[bmim][NTf
2]と同程度であるが、エントロピーは[bmim][NTf
2]よりも大きい。すなわち、エントロピー効果により、[bmim][NTf
2]と比較して、二酸化炭素吸収能が改善されていると考えられる。
【0085】
(表5)
【0086】
(比較例3〜8)
比較例3〜8として表6に記載のイオン液体のヘンリー定数及び粘性率は、表6のとおりである(非特許文献6)。 [N
WXYZ]は炭素数がW、X、Y、Zの直鎖炭化水素基を有するアンモニウムカチオンを意味する。例えば、[N
1136]はメチル基が2つ、プロピル基が1つ、ヘキシル基が1つの四級アンモニウムである。なお、分かりやすいように、実施例1の結果も表6に記載した。
【0087】
(表6)
番号 イオン液体 ヘンリー定数 粘性率 温度
(MPa) (mPas) (K)
比較例3 [N
1134][NTf
2] 6.5 85 303.15
比較例4 [N
1136][NTf
2] 5.5 126 303.15
比較例5 [N
113(10)][NTf
2] 4.4 183 303.15
比較例6 [N
1114][NTf
2] 6.2 71 303.15
比較例7 [N
111(10)][NTf
2] 4.5 173 303.15
比較例8 [N
2226][NTf
2] 6.1 167 303.15
実施例1 [N
112A][NTf
2] 3.22 47.2 303.15
【0088】
表6に示す通り、[N
1136][NTf
2]を基準にすると、アルキル鎖を伸長させた[N
113(10)][NTf
2]ではヘンリー定数の低下が約20
%に留まるのに対し、エステルを導入した[N
112B][NTf
2]では約30
%、エーテルを2つ導入した[N
112A][NTf
2]は約40
%の低下が認めらる。[N
112B][NTf
2]および[N
112A][NTf
2]の鎖長は[N
113(10)][NTf
2]よりも短く、エーテル基及び/又はエステル基を導入することで、非常に長いアルキル鎖を導入することなく、二酸化炭素吸収能を改善できた。
【0089】
表6の比較例に示す通り、ヘンリー定数が低下すると、粘性率が増加する。一方、エーテル基を導入した[N
112A][NTf
2]は、ヘンリー定数と粘性率が共に低下している。[N
1136][NTf
2]を基準にすると、[N
112A][NTf
2]はヘンリー定数が約40%低下し、さらに、粘性率が37%まで低下する。
【0090】
(比較例9)
(ア)
イオン液体の合成[N(C
2H
5)(CH
3)
2(C
7H
15)]
+ [N(SO
2CF
3)
2]
−(ジメチルエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド)の合成
1−ブロモヘプタン124.8g(0.70モル)及びアセトニトリル377gの混合物を60℃に加熱し、N,N−ジメチルエチルアミン65.7g(0.90モル)を1.5時間かけて滴下し、その後70℃で24時間撹拌した。その後、得られた反応混合物を濃縮、乾燥し、残渣173.9gを得た。この残渣にイオン交換水180g及びトルエン366gを加えて撹拌し、分液した。分液して得た水層をトルエン340gで洗浄し、ジメチルエチルヘプチルアンモニウムブロミド水溶液364.7gを得た。
上記で得たジメチルエチルヘプチルアンモニウムブロミド水溶液364.7gに、塩化メチレン527g及び74.9%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド酸リチウム[(CF
3SO
2)
2NLi]水溶液278.0g(0.73モル)を加え室温で9時間撹拌し、分液した。分液して得られた有機層をイオン交換水175gで2回洗浄した。その後、有機層から塩化メチレンを留去して油状のジメチルエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド305.2g(0.67モル、収率96%)を得た。得られたジメチルエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドのNMRの分析結果を次に示す。なお、ジメチルエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドを、以降、[N
1127][NTf
2]と表記する。
【0091】
1H−NMR(CDCl
3)δppm:3.40(q、2H)、3.26−3.20(m、2H)、3.06(s、6H)、1.76−1.66(m、2H)、1.45−1.24(m、11H)、0.89(t、3H)
【0092】
(比較例10)
(ア)
イオン液体の合成[N(C
2H
5)(CH
3)
2(C
5H
11)]
+ [N(SO
2CF
3)
2]
−(ジメチルエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド)の合成
1−ブロモペンタン98.2g(0.65モル)及びアセトニトリル295gの混合物を60℃に加熱し、N,N−ジメチルエチルアミン58.2g(0.80モル)を2時間かけて滴下し、その後70℃で24時間撹拌した。その後、得られた反応混合物を濃縮、乾燥し、残渣144.6gを得た。この残渣にイオン交換水146g及びトルエン328gを加えて撹拌し、分液した。分液して得た水層をトルエン299gで洗浄し、ジメチルエチルペンチルアンモニウムブロミド水溶液287.9gを得た。
上記で得たジメチルエチルペンチルアンモニウムブロミド水溶液287.9gに、塩化メチレン446g及び74.9%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド酸リチウム[(CF
3SO
2)
2NLi]水溶液261.3g(0.68モル)を加え室温で9時間撹拌し、分液した。分液して得られた有機層をイオン交換水145gで2回洗浄した。その後、有機層から塩化メチレンを留去して油状のジメチルエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド266.3g(0.63モル、収率97%)を得た。得られたジメチルエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドのNMRの分析結果を次に示す。なお、ジメチルエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドを、以降、[N
1125][NTf
2]と表記する。
【0093】
1H−NMR(CDCl
3)δppm:3.40(q、2H)、3.26−3.20(m、2H)、3.07(s、6H)、1.76−1.66(m、2H)、1.45−1.32(m、7H)、0.94(t、3H)
【0094】
比較例9〜10のイオン液体の二酸化炭素の体積濃度および粘性率を実施例1と同様な操作により測定した。その結果を表7に示した。なお、分かりやすいように、実施例1の結果も表7に記載した。
【0095】
(表7)
番号 イオン液体 T/K η/mPa s p/MPa C
CO2/mol dm
-3
比較例9 [N
1127][NTf
2] 298.15 167.6 0.5468 0.522
1.4159 1.359
2.3687 2.289
3.7019 3.619
4.5914 4.529
比較例10 [N
1125][NTf
2] 298.15 127.6 0.5468 0.549
1.4159 1.410
2.3687 2.347
3.7019 3.670
4.5914 4.575
実施例1 [N
112A][NTf
2] 298.15 32.03 0.5468 0.577
1.4159 1.501
2.3687 2.522
3.7019 3.959
4.5914 4.925
【0096】
表7から、カチオンの側鎖がすべてアルキル基である[N
1125][NTf
2]や[N
1127][NTf
2]の二酸化炭素の体積濃度は同程度であり、本発明のイオン液体よりも約7〜10%低く、粘性率は約4〜5倍も高いことがわかる。この表7からも、エーテル基を有する本発明のイオン液体は、二酸化炭素の吸収量だけでなく、二酸化炭素の吸放出速度も向上していることがわかる。
【0097】
本発明を以下のように記載することができる。
(1)(i)エーテル基及び/又はエステル基を有するカチオン及び(ii)アニオンから構成されるイオン液体を含む酸性ガス吸収液であって、カチオンが下記一般式(c)又は(d)にて表わされるカチオンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする酸性ガス吸収液。
[N(R
11R
21R
31R
41)]
+ (c)
[P(R
12R
22R
32R
42)]
+ (d)
式中、R
11、R
12は同一又は異なってもよく、エーテル基及び/又はエステル基を有する炭素数が2〜8の炭化水素基を示し、R
21、R
31、R
41、R
22、R
32、R
42は同一又は異なっており、水素原子又はエーテル基及び/又はエステル基を有してもよい炭素数が1〜8の炭化水素基を意味する。なお、エーテル基及び/又はエステル基を有さないR
21、R
31、R
41から選ばれる二つが相互に結合して環状の化合物を形成してもよく、エーテル基及び/又はエステル基を有さないR
22、R
32、R
42から選ばれる二つが相互に結合して環状の化合物を形成してもよい。R
21、R
31、R
41、R
22、R
32、R
42は同一又は異なっており、エーテル基及び/又はエステル基を有してもよい炭素数が1〜8の炭化水素基が好ましい。
(2)(1)記載のイオン液体又は酸性ガス吸収液を酸性ガスと接触させて、前記酸性ガスを前記イオン液体に吸収させることを特徴とする酸性ガス吸収方法。
【0098】
(3)(i)エーテル基及び/又はエステル基を有するカチオン及び(ii)アニオンから構成されるイオン液体と酸性ガスを含有する混合ガスと接触させ、前記混合ガスから前記酸性ガスを選択的に前記イオン液体に吸収させ、分離する前記混合ガスからの酸性ガス分離法であって、前記カチオンは、下記一般式(c)又は(d)にて表わされるカチオンから選ばれる1種又は2種以上でことを特徴とする酸性ガス分離法。
[N(R
11R
21R
31R
41)]
+ (c)
[P(R
12R
22R
32R
42)]
+ (d)
式中、R
11、R
12は同一又は異なってもよく、エーテル基及び/又はエステル基を有する炭素数が2〜8の炭化水素基を示し、R
21、R
31、R
41、R
22、R
32、R
42は同一又は異なっており、水素原子又はエーテル基及び/又はエステル基を有してもよい炭素数が1〜8の炭化水素基を意味する。なお、エーテル基及び/又はエステル基を有さないR
21、R
31、R
41から選ばれる二つが相互に結合して環状の化合物を形成してもよく、エーテル基及び/又はエステル基を有さないR
22、R
32、R
42から選ばれる二つが相互に結合して環状の化合物を形成してもよい。R
21、R
31、R
41、R
22、R
32、R
42は同一又は異なっており、エーテル基及び/又はエステル基を有してもよい炭素数が1〜8の炭化水素基が好ましい。
(4)(i)エーテル基及び/又はエステル基を有するカチオン及び(ii)アニオンから構成されるイオン液体と酸性ガスを含有する混合ガスと接触させ、前記混合ガスから前記酸性ガスを選択的に前記イオン液体に吸収させ、分離回収する酸性ガス分離回収法であって、前記カチオンは、下記一般式(c)又は(d)にて表わされるカチオンから選ばれる1種又は2種以上でことを特徴とする酸性ガス分離回収法。
[N(R
11R
21R
31R
41)]
+ (c)
[P(R
12R
22R
32R
42)]
+ (d)
式中、R
11、R
12は同一又は異なってもよく、エーテル基及び/又はエステル基を有する炭素数が2〜8の炭化水素基を示し、R
21、R
31、R
41、R
22、R
32、R
42は同一又は異なっており、水素原子又はエーテル基及び/又はエステル基を有してもよい炭素数が1〜8の炭化水素基を意味する。なお、エーテル基及び/又はエステル基を有さないR
21、R
31、R
41から選ばれる二つが相互に結合して環状の化合物を形成してもよく、エーテル基及び/又はエステル基を有さないR
22、R
32、R
42から選ばれる二つが相互に結合して環状の化合物を形成してもよい。R
21、R
31、R
41、R
22、R
32、R
42は同一又は異なっており、エーテル基及び/又はエステル基を有してもよい炭素数が1〜8の炭化水素基が好ましい。