(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(A)第1実施形態の構成の説明
図1は、本発明の第1実施形態の構成例を示す図である。この図に示すように、第1実施形態に係る車載装置10は、車両に搭載され、他の車両との間で車車間通信により情報を授受することが可能とされている。車載装置10は、アンテナ11aを有する通信部11、インタフェース部12、制御処理部13、I/F(Interface)部14、CAN(Car Network)15、レーダ装置16、撮像装置17、アンテナ18aを有するGPS(Global Positioning System)18を主要な構成要素としている。
【0016】
ここで、通信部11は、アンテナ11aを介して、付近を走行する他の車両に搭載された車載装置との間でアンテナ11aを介して無線によって通信する。インタフェース部12は、例えば、液晶ディスプレイや、スピーカ等によって構成され、運転者に視覚情報または音声情報を提示する。
【0017】
制御処理部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、および、ROM(Read Only Memory)等によって構成され、ROMに格納されているプログラムに基づいて装置の各部を制御するとともに、通信部11、レーダ装置16、および、撮像装置17からの情報に基づいて自車両周辺の交通状況を判断する。
【0018】
I/F部14は、GPS部18から供給される位置情報のデータ形式を変換して入力するとともに、CAN15との間で情報を授受する。CAN15は、車両内に配設されたネットワークであり、レーダ装置16および撮像装置17等が接続され、これらとI/F部14との間で情報を授受する。
【0019】
レーダ装置16は、例えば、電波または超音波を用いた自律式のパルスレーダ装置等によって構成され、車両の周辺に存在するターゲット(対象物)に対して高周波パルスを照射し、反射波を受信して解析することで、ターゲットの位置、速度、方向等の情報を取得して出力する。
【0020】
撮像装置17は、車両の周辺に存在するターゲットを撮像し、ターゲットの画像を解析することで、対象物の位置、速度、方向等の情報を取得して出力する自律式のセンサである。
【0021】
GPS部18は、複数の人工衛星から送信される信号を受信し、それらの信号の時間差から自車両の位置を特定し、緯度および経度情報を生成して出力する。
【0022】
(B)第1実施形態の動作の説明
つぎに、第1実施形態の動作について説明する。以下では、まず、第1実施形態の概略の動作について説明した後、詳細な動作について説明する。
【0023】
まず、第1実施形態の概略の動作について説明する。第1実施形態では、制御処理部13は、GPS部18からの情報に基づいて自車両の位置を求め、また、車速センサからの情報に基づいて速度を求め、舵角センサにより進行方向を求め、衝突センサからの情報に基づいて衝突の有無を求め、これらの情報を通信部11を介して他の車両に車車間通信にて送信する。他の車両も同様の処理を行うことから、車載装置10は、他の車両に搭載されている車載装置との間で通信(車車間通信)を行うことで、近くを走行する他の車両の位置、速度、進行方向、および、走行状況を示す情報を取得する。また、車載装置10は、レーダ装置16によって取得される周辺に存在するターゲット(例えば、他の車両、歩行者、障害物等)に関する情報を取得する。同様に、車載装置10は、撮像装置17によって撮像されて取得されるターゲットに関する情報を取得する。
【0024】
制御処理部13は、車車間通信によって他の車両から取得した情報と、レーダ装置16および撮像装置17によって取得した情報とを統合する処理を行い、統合後の情報に基づいて自車両周辺の交通状況を判断する。具体的には、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報は、電波の届く範囲または撮像可能な範囲に関する情報であることから、運転者が視認可能な範囲に近い範囲の情報である。一方、車車間通信によって他の車両から取得される情報は、運転者が視認可能な範囲のみならず、視認できない範囲の情報も含まれている。そこで、制御処理部13は、これら3種類の情報の重複する範囲については、統合処理により、情報同士を補完することで、ターゲットをより精度よく検出する。また、重複しない範囲については、その範囲について情報を取得可能な装置からの情報に基づいてターゲットを検出する。一例として、自車両の周辺に存在する他車両に関する情報は、レーダ装置16および撮像装置17の双方によって取得可能であり、また、車車間通信によって当該車両から取得することができるため、制御処理部13は、これら3種類の情報に基づいて判断を行う。一方、例えば、建物の陰に隠れている他車両については、レーダ装置16および撮像装置17では検出できないが、車車間通信によって検出することができる。そこで、制御処理部13は、このような車車間通信によって取得した建物の陰に隠れた車両に関する情報に基づいて判断を行う。
【0025】
このような状態において、例えば、
図2に示すように、見通しの悪いカーブにて、車両Aと車両Bが追突事故を起こしたとする。その場合、車両Aと車両Bは他の車両(
図2の例では、車両C〜E)に対して事故の発生を通知するために、通常よりも高い頻度で車車間通信を実行する。また、車両C〜Eの相互間においても、事故の発生を通知するために、通常よりも高い頻度で、車車間通信が実行される。この結果、通信の頻度が一時的に増加することから、車両A〜Eの間における車車間通信に輻輳が発生する。
図2の例では、車両の台数が少ないが、車両の台数が多い場合には、輻輳が顕著となる。通信に輻輳が発生すると、パケット伝送に遅延が発生し、取得される情報が必ずしも新しいものではなくなる。これによって、情報の信頼性が低下する場合がある。
【0026】
そこで、第1実施形態では、通信の輻輳が発生していることを検出した場合には、制御処理部13は、通信部11によって取得される情報の優先度を低くし、その一方で、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報の優先度を高く設定する。具体的には、前述したように、通信部11、レーダ装置16、および、撮像装置17によって取得した情報のうち、重複する範囲の情報については、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報を優先する。これにより、例えば、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報と、通信部11によって取得される情報が食い違っている場合には、通信部11によって取得される情報は無視され、レーダ装置16および撮像装置17によって取得された情報によって判断がなされる。また、重複しない範囲については、例えば、判断が保留される。
【0027】
以上のような動作により、車車間通信の輻輳が発生した場合には、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報を優先して用いて判断を行うことにより、信頼性が低下した情報に基づいて誤った判断がなされることを防止することができる。
【0028】
つぎに、
図3を参照して、第1実施形態の詳細な動作について説明する。
図3に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0029】
ステップS10では、制御処理部13は、通信の輻輳が発生しているか否かを判定し、通信の輻輳が発生していると判定した場合(ステップS10:Yes)にはステップS14に進み、それ以外の場合(ステップS10:No)にはステップS11に進む。なお、輻輳が発生しているか否かを判定する方法としては、例えば、再送パケットの比率に基づいて判定することができる。なお、再送パケット比率とは、送信したトータルのパケットのうち、再送したパケットの割合(比率)を示す。つまり、輻輳が生じている場合には送信するパケットにタイムアウトが発生し、その場合にはパケットを再送する処理が実行される。このため、再送パケット比率が高くなると、輻輳が発生していることを示す。
【0030】
図4は、通信の状態の時間的変化と再送パケット比率の関係を示す図である。この図において、横軸は通信状態の時間的変化を示し、縦軸は再送パケット比率を示している。この
図4に示すように、通常状態から輻輳状態に変化し、そして、通常状態に変化する場合、パケット再送比率が増加して減少する。第1実施形態では、例えば、再送パケット比率が70%を上回った場合には輻輳が発生していると判定し、その後、30%を下回った場合には輻輳が解消したと判定する。なお、このように閾値にヒステリシスを持たせることにより、閾値近傍で状態が推移した場合でも、輻輳状態と通常状態の間で状態が行き来し、動作が不安定になることを防止できる。
【0031】
ステップS11では、通信部11は、他車両から車車間通信によって情報を取得する。具体的には、他車両との車車間通信により、他車両の位置、速度、進行方向、および、走行状況を示す情報(例えば、事故の発生を示す情報等)を取得する。
【0032】
ステップS12では、制御処理部13は、レーダ装置16および撮像装置17から情報を取得する。具体的には、レーダ装置16および撮像装置17から、自車両の周辺に存在するターゲットの位置、速度、および、進行方向等に関する情報を取得する。
【0033】
ステップS13では、制御処理部13は、通信部11による車車間通信によって取得された情報、レーダ装置16および撮像装置17によって取得された3種類の情報に基づいて、周囲の状況を判断する。つまり、これら3種類の情報の重複する範囲については、3種類の情報によって補完を行うことで検出の精度を向上させる。また、重複しない範囲については、単独の情報に基づいてターゲットを検出する。具体例としては、例えば、レーダ装置16および撮像装置17によって検出が可能な範囲については、これらの情報と車車間通信で得られた情報に基づいて検出処理を実行し、例えば、建物の陰に隠れたターゲットについては車車間通信によって得られた情報に基づいて判断を行う。
【0034】
ステップS14では、制御処理部13は、車車間通信によって他車両から情報を取得する。具体的には、ステップS11と同様の情報を取得する。
【0035】
ステップS15では、制御処理部13は、レーダ装置16および撮像装置17から情報を取得する。具体的には、ステップS12と同様の情報を取得する。
【0036】
ステップS16では、制御処理部13は、通信部11によって取得された情報、レーダ装置16および撮像装置17によって取得された3種類の情報のうち、レーダ装置16および撮像装置17を優先して周囲の状況を判断する。つまり、これら3種類の情報の重複する範囲については、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報と、通信部11によって取得される情報が食い違っている場合には、通信部11によって取得される情報は無視され、レーダ装置16および撮像装置17によって取得された情報によって判断がなされる。また、重複しない範囲については、判断が保留される。
【0037】
ステップS17では、制御処理部13は、ステップS13またはステップS16における判断結果をインタフェース部12によって運転者に提示する。具体的には、他の車両または歩行者等と接触または衝突の可能性がある場合には、インタフェース部12に注意を促すメッセージを提示するとともに、音声によって警告することができる。なお、注意を促すのではなく、例えば、制御処理部13が車両の制御部を制御することにより、ブレーキによって制動をかけたり、ハンドルによって進行方向を変えたり、あるいは、シートベルトをロックすることによって運転者や同乗者を固定したり、あるいは、エアバッグを作動させたりすることができる。
【0038】
ステップS18では、制御処理部13は、処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合(ステップS18:No)にはステップS10に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS18:Yes)には処理を終了する。
【0039】
以上の処理によれば、パケット再送比率に基づいて、輻輳が発生したと判定した場合にはレーダ装置16および撮像装置17からの情報を優先して使用して判断を行うようにしたので、輻輳によって車車間通信による情報に遅延が生じた場合であっても、誤判断を生じることを防止できる。
【0040】
また、パケット再送比率に基づいて判断を行うことで、輻輳の発生を迅速かつ確実に検出することができる。
【0041】
(C)第2実施形態の構成の説明
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態の構成例を示す図である。なお、
図5において
図1と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。第2実施形態では、通信部11およびアンテナ11aが通信部51およびアンテナ51aに置換されるとともに、センタ装置20、ネットワーク30、および、基地局装置40が追加されている。
【0042】
ここで、通信部51は、アンテナ51aを介して基地局装置40との間で情報を無線により授受する。基地局装置40は、所定の面積を有するエリア(半径数百m〜数kmのエリア)毎に配置され、アンテナ40aを介して通信部51との間で無線により情報を授受する。ネットワーク30は、例えば、専用回線またはインターネット等によって構成され、センタ装置20と基地局装置40との間でパケットによって情報を授受する。センタ装置20は、各基地局装置40からネットワーク30を介して情報を収集し、収集した情報に基づいて各車両の走行状態に関する交通情報を生成し、ネットワーク30および基地局装置40を介して各車両に配信する。
【0043】
(D)第2実施形態の動作の説明
つぎに、第2実施形態の動作について説明する。以下では、まず、第2実施形態の概略の動作について説明した後、詳細な動作について説明する。
【0044】
まず、第2実施形態の概略の動作について説明する。車載装置10は、自車両の位置、速度、進行方向、および、走行状況等を示す情報をセンタ装置20に路車間通信によって送信する。センタ装置20は、各車両から送信されるこのような情報を受信して記憶する。そして、センタ装置20は、各車両の周辺に存在する他の車両に関する情報を、それぞれの車両に対して交通情報として送信する。車載装置10では、このような情報を路車間通信によって受信することで、自車両の周辺に存在する他の車両に関する情報を得る。
【0045】
また、車載装置10は、第1実施形態の場合と同様に、レーダ装置16および撮像装置17からターゲットに関する情報を取得し、これらの情報と路車間通信で取得した情報を統合する処理を行い、統合後の情報に基づいて自車両周辺の状況を判断する。なお、統合処理の詳細は、前述の場合と同様である。
【0046】
このような状態において、例えば、
図6に示すように、見通しが悪いカーブで、車両Aと車両Bが追突事故を起こしたとする。その場合、車両Aと車両Bからセンタ装置20に対して、事故が発生したことを通知すると、センタ装置20は、事故現場の周辺を走行する全ての車両に対して、同報通信(ブロードキャスト)によって、事故の発生を通知する。このような通知がなされると、他の車両C〜Eは、事故の状況に関する詳細な情報を得るためと、自車両の走行状況に関する情報を他の車両に通知するために、通常よりも高い頻度で、路車間通信が実行される。この結果、事故現場周辺の車両A〜Eとセンタ装置20との間で通信の輻輳が発生する。
図6に示す例では、車両の台数が少ないが、車両の台数が多い場合には輻輳が顕著となる。通信に輻輳が発生すると、パケット伝送に遅延が発生し、取得される情報が必ずしも最新のものではなくなる。これによって、情報の信頼性が低下する。
【0047】
そこで、第2実施形態では、通信の輻輳が発生していることを検出した場合には、制御処理部13は、通信部51によって取得される情報の優先度を低くし、その一方で、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報の優先度を高く設定する。具体的には、前述したように、通信部51、レーダ装置16、および、撮像装置17によって取得した情報のうち、重複する範囲の情報については、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報を優先する。これにより、例えば、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報と、通信部11によって取得される情報が食い違っている場合には、通信部11によって取得される情報は無視され、レーダ装置16および撮像装置17によって取得された情報によって判断がなされる。また、重複しない範囲については、判断が保留される。
【0048】
以上のような動作により、路車間通信の輻輳が発生した場合には、レーダ装置16および撮像装置17によって取得される情報を優先して判断を行うことにより、信頼性が低下した情報に基づいて誤った判断がなされることを防止することができる。
【0049】
つぎに、
図7を参照して、第2実施形態の詳細な動作について説明する。なお、
図7において
図3と共通する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示すフローチャートでは、
図3に示すフローチャートと比較すると、ステップS11およびステップS14がステップS31およびステップS34に置換されている。その他のステップは、
図3の場合と同様である。
【0050】
ステップS31およびステップS34では、制御処理部13は、基地局装置40およびネットワーク30を介してセンタ装置20から情報を取得する。具体的には、基地局装置40との路車間通信により、他車両の位置、速度、進行方向、および、走行状況を示す情報を取得する。
【0051】
ステップS12以降の処理では、ステップS12においてレーダ装置16および撮像装置17から情報を取得し、ステップS13において、レーダ装置16および撮像装置17から得られた情報と、路車間通信によって得られた3種類の情報に基づいて、自車両の状況が判断される。一方、ステップS15以降の処理では、ステップS15においてレーダ装置16および撮像装置17から情報を取得し、ステップS16においてレーダ装置16および撮像装置17から得られた情報を、路車間通信によって得られた情報よりも優先して統合処理を実行することにより、自車両の状況が判断される。
【0052】
なお、ステップS10における通信の輻輳の判定については、
図3のステップS10の場合と同様であり、基地局装置40との間のパケット再送比率に応じて判定することができる。つまり、一例として、パケット再送比率が70%以上になった場合には輻輳が発生したと判定し、その後、パケット再送比率が30%以下になった場合には輻輳が解消したと判定することができる。
【0053】
以上に説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、路車間通信に輻輳が生じた場合には、レーダ装置16および撮像装置17から得られる情報を優先して統合処理を行うことにより、誤った判断がなされることを防止できる。
【0054】
(D)変形実施形態
なお、上記の実施形態は、一例であって、これ以外にも各種の変形実施態様が存在する。例えば、以上の各実施形態では、車車間通信および路車間通信のいずれか一方を用いるようにしたが、これら双方を用いるようにしてもよい。すなわち、
図3,7のステップS13,S16の処理では、車車間通信および路車間通信によって得た情報、ならびに、レーダ装置16および撮像装置17からの情報の4種類の情報に基づいて判断を行うようにしてもよい。また、以上の各実施形態では、レーダ装置16および撮像装置17の双方の情報に基づいて判断するようにしたが、これらのいずれか一方の情報に基づいて判断するようにしてもよい。具体的には、一例として、レーダ装置16と撮像装置17の少なくとも一方と、車車間通信と路車間通信の少なくとも一方の情報に基づいて判断することができる。
【0055】
また、以上の各実施形態では、輻輳が発生しているか否かを、パケット再送比率に基づいて判定するようにしたが、これ以外の基準によって判断するようにしてもよい。例えば、送信要求を行ってから実際に通信を行うまでの待ち時間に基づいて輻輳の有無を判定したり、パケットのエラー率に基づいて判定したり、あるいは、パケット到着遅延に基づいて判定したりすることができる。すなわち、通信の輻輳が発生すると、パケットの送信要求を行ってから送信を行うまでの待ち時間が長くなるので、例えば、平均待ち時間を計算して、平均待ち時間が所定の閾値よりも大きくなった場合には輻輳が発生したと判定し、その後に前述の閾値よりも小さい閾値以下になった場合には輻輳が解消されたと判定することができる。また、エラー率については、輻輳が発生すると一定時間内にパケットが届かないことによるエラーが発生する割合が高くなるので、前述の場合と同様に、エラー発生率が所定の閾値よりも大きくなった場合には輻輳が発生したと判定し、その後、前述の閾値よりも小さい閾値以下になった場合には輻輳が解消されたと判定することができる。また、パケットを送信してから到着するまでのパケット到着時間が所定の閾値よりも大きい場合には輻輳が発生していると判定し、その後、前述の閾値よりも小さい閾値以下になった場合には輻輳が解消されたと判定することができる。なお、1種類の指標を用いるのではなく、複数の指標に基づいて判定するようにしてもよい。例えば、エラー率とパケット再送比率の双方を参照し、これらの双方がそれぞれ所定の閾値以上になった場合に輻輳が発生していると判定するようにしてもよい。そのような方法によれば、誤判定を少なくすることができる。また、複数の指標の組み合わせ方として、例えば、輻輳の発生を判定する場合と、輻輳の解消を判定する場合で異なる指標を用いるようにしてもよい。
【0056】
また、以上の各実施形態では、パケット再送比率が70%以上になった場合に通信の輻輳が発生したと判定し、その後、30%以下になった場合に通信の輻輳が解消されたと判定するようにしたが、これらの値は一例であって、これら以外の値に設定するようにしてもよい。また、これらの閾値を、固定ではなく、例えば、環境に応じて可変するようにしてもよい。具体的には、事故現場に近い車ほど判定の基準を高くし、遠い車ほど判定の基準を低くするようにしてもよい。そのような実施形態によれば、事故現場の近くを走行する車ほど、車車間通信または路車間通信によって情報を得られる可能性が高くなるので、正確な判断をすることができ、多重衝突等の事態を回避できる。
【0057】
また、以上の各実施形態では、車車間通信または路車間通信に輻輳が発生した場合には、レーダ装置16および撮像装置17の情報を優先して処理するようにしたが、この優先する処理には、車車間通信または路車間通信による通信の頻度を一時的に低下させることも含まれる。そのような実施形態によれば、通信の頻度を下げることで、輻輳を解消することができる。また、通信の頻度の下げ方については、例えば、前述のように事故現場から遠い位置を走行する車両ほど頻度を下げるようにしてもよい。そのような実施形態によれば、事故現場の近くを走行する車両ほど有用な情報を得やすくなるので、前述のように多重衝突等の発生を回避できる。
【0058】
また、以上の各実施形態では、車車間通信または路車間通信に輻輳が発生した場合には、レーダ装置16および撮像装置17の情報を優先して処理するようにしたが、この優先する処理には、車車間通信または路車間通信による情報を無視することも含まれる。あるいは、各情報に対して重み付けを行い、輻輳が発生した場合には、車車間通信または路車間通信による情報の重み付けを低くすることにより、これらの優先順位を下げるようにしてもよい。