(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917199
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】焼き調理用から揚げミックス
(51)【国際特許分類】
A23L 7/157 20160101AFI20160422BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20160422BHJP
【FI】
A23L1/176
A23L1/48
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-45412(P2012-45412)
(22)【出願日】2012年3月1日
(65)【公開番号】特開2013-179880(P2013-179880A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】日清フーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】榊原 通宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 美和
(72)【発明者】
【氏名】福留 真一
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 泰義
(72)【発明者】
【氏名】伊東 貴史
【審査官】
星 浩臣
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−125667(JP,A)
【文献】
特開2008−011856(JP,A)
【文献】
特開昭63−233751(JP,A)
【文献】
特開2003−284518(JP,A)
【文献】
特開2004−208531(JP,A)
【文献】
柳原昌一著,「食用固型油脂−製パン・製菓のための油脂」,初版,株式会社建帛社,1975年,pp. 64-65, 72-73, 150-151
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00−7/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉由来の焼成粉砕物と、熱凝固性素材と、粉末油脂とを含有し、該熱凝固性素材の含有量が5〜30質量%である、焼き調理用から揚げミックス。
【請求項2】
前記熱凝固性素材の含有量が8〜25質量%である、請求項1記載のミックス。
【請求項3】
前記粉末油脂の含有量が3〜30質量%である、請求項1又は2記載のミックス。
【請求項4】
前記小麦粉由来の焼成粉砕物の含有量が20〜80質量%である、請求項1〜3のいずれか1項記載のミックス。
【請求項5】
前記小麦粉由来の焼成粉砕物が16メッシュパス以下の粒径を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載のミックス。
【請求項6】
前記熱凝固性素材が卵白粉である、請求項1〜5のいずれか1項記載のミックス。
【請求項7】
前記粉末油脂が融点30℃以上の油脂を粉末化させたものである、請求項1〜6のいずれか1項記載のミックス。
【請求項8】
具材にまぶして使用される請求項1〜7のいずれか1項記載のミックス。
【請求項9】
具材に請求項1〜8のいずれか1項記載の焼き調理用から揚げミックスがまぶされているノンフライから揚げ用食材。
【請求項10】
予め液体を付着させた具材に前記ミックスがまぶされている請求項9記載のノンフライから揚げ用食材。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項記載の焼き調理用から揚げミックスをまぶした具材を焼き調理することを特徴とする、ノンフライから揚げの製造方法。
【請求項12】
液体を付着させ、次いで前記ミックスをまぶした具材を焼き調理する、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1項記載の焼き調理用から揚げミックスをまぶした具材の焼き調理品であるノンフライから揚げ。
【請求項14】
予め液体を付着させた具材に該焼き調理用から揚げミックスがまぶされている、請求項13記載のノンフライから揚げ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油ちょうせずに、オーブン等で焼き調理するためのノンフライから揚げ用ミックスに関する。詳細には、食肉等の具材への付着性がよく、しかも外観が油調したから揚げに遜色なく且つ衣に粉っぽさや糊っぽさがなくクリスピーな食感を有するから揚げ様食品を提供することができる、焼き調理用から揚げミックスに関する。
【背景技術】
【0002】
から揚げは、通常、具材にそのまま、又は下味を付けた状態で、小麦粉、澱粉、調味料等の衣材を付着させ、次いで油ちょうして製造される。近年では、具材にまぶして油ちょうするだけでから揚げを簡便に得ることができる、小麦粉や澱粉に食塩、調味料、香辛料等を配合したから揚げ用ミックスも市販されている。
【0003】
しかし最近では、食事の低カロリー嗜好や油揚げ後の片づけの煩わしさの点から、油で揚げる料理は、特に家庭などでは敬遠される傾向がある。他方、料理にかける時間や手間を減らしたいという要望から、オーブンや電子レンジ等で調理が可能な食品が好まれるようになってきている。そのため、油で揚げずに調理する揚げ物様食品、いわゆるノンフライ揚げ物に対する需要が高まっている。から揚げについても、オーブンや電子レンジ、フライパン等で調理するためのノンフライから揚げ用のミックスや料理方法の開発が望まれている。
【0004】
ノンフライから揚げ用のミックスや製法については、これまでに種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、小麦粉由来の焼成粉砕物、粉末水飴等の潮解性素材、熱凝固性食品素材、油脂、及び膨張剤を含有したミックスを、具材にまぶしてオーブンで調理するノンフライから揚げ用ミックスが記載されている。しかしながらこのミックスでは、具材に液体を付着させずに、粉末化されていない油脂を用いているため、このミックスを用いて得られた食品は、外観のボリューム感と油調感に物足りない点があり、食感もベタつく場合があった。
特許文献2には、穀粉及び/又は澱粉、特定粒度の微粉パン粉、ならびに糖類を特定の量で含有するから揚げ様食品を製造するためのブレッダーミックスが記載されている。しかしながら、このミックスは、油脂を含有しないので具材への付着性が悪く、具材に予めバッターを付着させてからこのミックスを付着させる必要があるなど、操作性に劣るものであった。さらにこのミックスは、油脂を含有しないことから、から揚げ特有のカラッとした揚げ感において物足りないものであった。
特許文献3には、特定の固体脂含有率を有する油脂粉末を配合する、ノンフライ食品用バッターミックスが記載されている。しかしながらこのミックスはから揚げ用ではない。またこのミックスは、水に溶かしてバッター液として使用しなければならない。このミックスをバッター液とせずにそのまま具材にまぶして付着させた場合には、から揚げ様の外観及び食感を良好に備えた食品は得られない。
【0005】
従って、従来のミックスは、操作性に劣るため調理の手間が煩雑になる場合があることや、得られたから揚げ様食品が、外観、食感及び風味において通常の油ちょうしたから揚げと比べて充分とはいえないことから、未だ満足できるものではなかったのが実状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−284518号公報
【特許文献2】特開2009−106206号公報
【特許文献3】特開平4−131058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、油で揚げることなく、オーブンやフライパン等で簡便に焼き調理することができ、且つ良好な食感及び風味と外観とを有するから揚げ様食品を製造することができる、焼き調理用から揚げミックスを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、小麦粉由来の焼成粉砕物と、熱凝固性素材と、粉末油脂とを含有するミックスを具材にまぶし、これをオーブンやフライパン等で焼き調理すれば、油ちょうしたから揚げのような良好な食感、風味、及び外観を有するから揚げ様食品が簡便に得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、小麦粉由来の焼成粉砕物と、熱凝固性素材と、粉末油脂とを含有することを特徴とする焼き調理用から揚げミックスを提供することにより、上記課題を解決したものである。
また本発明は、具材に上記焼き調理用から揚げミックスをまぶしてなるノンフライから揚げ用食材を提供することにより、上記課題を解決したものである。
また本発明は、上記焼き調理用から揚げミックスをまぶした具材を焼き調理することを特徴とする、ノンフライから揚げの製造方法を提供することにより、上記課題を解決したものである。
また本発明は、上記焼き調理用から揚げミックスを用いて得られたノンフライから揚げを提供することにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の焼き調理用から揚げミックスを用いれば、油で揚げなくとも、オーブン、フライパン等で調理するだけで、油ちょうしたから揚げのような外観を呈し、且つ具材のジューシーで柔らかい食感と、粉っぽさや糊っぽさがなくクリスピーな衣の食感とを有するから揚げ様食品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の焼き調理用から揚げミックスは、油で揚げる調理を行うことなく製造されたから揚げ様食品(すなわち、ノンフライから揚げ)を製造するためのミックスである。
本発明の焼き調理用から揚げミックスは、小麦粉由来の焼成粉砕物と、熱凝固性素材と、粉末油脂とを含有する。
【0012】
上記小麦粉由来の焼成粉砕物の原料となる小麦粉としては、食品に通常用いられる小麦粉であればよく、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉、それらの混合物等が挙げられ、これらを適宜選択して用いることができる。
【0013】
上記小麦粉由来の焼成粉砕物としては、クラッカー類やパンなどの小麦粉由来の焼成物の粉砕物、例えば、クラッカー粉砕物、クラッカー粉、パン粉等が挙げられる。これらの焼成粉砕物は、いずれか1種類を使用してもよく、又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
当該小麦粉由来の焼成粉砕物は、粒径が16メッシュパス以下であればよいが、20メッシュパス以下が好ましい。粒径が16メッシュパスより大きいと、具材に当該ミックス粉をまぶしたときの付着性が悪く、調理中に具材表面から脱落しやすくなり、また得られるノンフライ唐揚げの外観や食感が悪くなる。
本発明の焼き調理用から揚げミックスにおける当該小麦粉由来の焼成粉砕物の含有量は、当該ミックス全質量中20〜80質量%であるのが好ましい。含有量が20質量%より少ないと、得られるノンフライから揚げの衣感が不足し、他方、80質量%より多いと具材へのミックスの付着むらが増大する。
【0014】
上記小麦粉由来の焼成粉砕物には、必要に応じて着色したものを用いると、調理後のノンフライから揚げの外観をよりから揚げらしいものにすることができるため、好ましい。用いる色素としては、カラメル色素、アナトー色素、クチナシ色素、カロチン色素、ビタミンB2等が挙げられる。から揚げらしい揚げ色を付与できるという点で、カラメル色素が好ましい。色素の含有量としては、当該小麦粉由来の焼成粉砕物全質量中、0.01〜2質量%であればよい。
【0015】
本発明の焼き調理用から揚げミックスに含まれる熱凝固性食品素材は、水に分散または溶解した後加熱すると凝固するものであればどのようなものでもよく、これらの食品素材としては卵白粉、全卵粉、乳蛋白、大豆蛋白、大豆粉等が挙げられる。これらの熱凝固性食品素材は、いずれか1種類を使用してもよく、又は2種類以上を組み合わせて使用してもよいが、加熱時の凝固力の強さの点から卵白粉が好ましい。
本発明のミックスにおける当該熱凝固性食品素材の含有量は、ミックス全質量中5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。含有量が5質量%より少ないか又は30質量%より多い場合、得られたノンフライから揚げの衣に引きが出て歯切れのよい食感が不足し、また肉の食感も低下する。
【0016】
本発明の焼き調理用から揚げミックスに含まれる粉末油脂は、通常食用に用いられる油脂を原料とし、これを公知の方法で粉末にしたものである。粉末油脂を本発明のミックスに配合することで、加熱調理時に当該粉末油脂が溶解して衣表面全体に広がるため、衣の色むらが少なく、且つ油ちょうしたから揚げに似た外観を有するノンフライから揚げが得られる。
本発明のミックスにおける当該粉末油脂の含有量は、ミックス全質量中3〜30質量%であればよく、10〜25質量%が好ましい。含有量が3質量%より少ないと、得られるノンフライから揚げの外観に色むらが生じ、油揚感が低下するとともに、衣及び肉層がパサついて硬くなりやすく、他方、30質量%より多いと、具材へのミックスの付着性が低下するとともにから揚げ独特のからっとした食感が減少し、風味も脂っこくなる。
【0017】
上記粉末油脂の原料油脂としては、例えば豚脂、牛脂等の動物油脂や、菜種油、大豆油、綿実油、コーン油、ひまわり油、米ぬか油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油、やし油、カカオ油等の植物油脂、これらの硬化油脂、及びこれらの混合油脂等が挙げられる。
当該原料油脂は、好ましくは融点30℃以上の油脂である。原料油脂の融点が30℃より低いと、ミックスへの配合やミックスを具材にまぶす際の作業性が低下し、且つ得られたノンフライから揚げが、油揚感に乏しいものとなるとともに、衣及び肉の食感がパサついて硬くなりやすい。融点30℃以上の油脂としては、融点30℃以上の各種動物若しくは植物油脂、その硬化油脂、又はそれらの組み合わせであってもよく、あるいは融点30℃以下の低融点の油脂(植物油等)とより高融点の油脂(例えば動物油脂や硬化油脂)とを混合して融点30℃以上の混合油脂を調製してもよい。
なお、本明細書において、油脂の融点とは、基準油脂分析試験法(2.2.4.2−1996)に基づく上昇融点を意味する。
【0018】
原料油脂の粉末化の方法としては、スプレードライ、スプレークール、粉砕法、デキストリンなどの油保持素材への吸着等が挙げられる。得られた粉末油脂は、さらに篩やスクリーン等を通過させて整粒した後に使用されてもよい。あるいは、本発明のミックスに含有される粉末油脂は、市販の粉末油脂であってもよい。
【0019】
本発明の焼き調理用から揚げミックスは、上述した小麦粉由来の焼成粉砕物、熱凝固性素材及び粉末油脂、さらに必要に応じて、から揚げの製造に通常用いられるその他の原材料を適宜混合することによって得ることができる。その他の原材料としては、例えば、小麦粉等の穀粉、澱粉、上記粉末油脂以外の他の油脂類、粉乳、乾燥卵、植物蛋白、小麦グルテン粉末、色素、香料、食塩、乳化剤、増粘剤、卵殻カルシウム、酵素、呈味剤、香辛料などを、所望のから揚げの品質に応じて適宜使用すればよい。但し、本発明の焼き調理用から揚げミックスは、予め液体を付着させた具材にまぶすため、デキストリン、粉末水飴、糖類のような、水分や湿気を吸収して湿潤する性質を有する潮解性素材は、そのものを原材料として配合しないでよい。特に、本発明のミックスは粉末水飴を含有しないでよい。
本発明のミックスの形態は、粉末、顆粒状など、具材にまぶすことができる形態であれば、特に限定されない。
【0020】
上記の如き組成からなる本発明の焼き調理用から揚げミックスを、具材に直接、又は必要に応じて液体を予め付着させた具材にまぶし、これを焼き調理することによって、本発明のノンフライから揚げを製造することができる。
本発明のミックスを付着させる具材としては、特に限定はなく、肉類、魚介類、野菜類等が挙げられ、好ましくは肉類及び魚介類である。具材は、必要に応じて予め下味が付けられていてもよい。
具材に予め付着させる液体の一例としては、水や調味液が挙げられ、このうち調味液が好ましい。調味液にはリン酸塩などの食肉改良剤を加えても良い。具材に予め付着させる液体の別の例としては、バッター液が挙げられる。バッター液としては、通常の揚げ物に用いられる、小麦粉等の穀粉や澱粉を水に溶いたものが好適に挙げられるが、卵液、カゼイン等の蛋白溶液などを用いることもできる。具材表面にこれらの液体を付着させるか、あるいはこれらの液体に具材を浸漬又はタンブリングし、具材全体に当該液体を浸透させる。次いで、この液体が付着した状態の具材に、本発明のミックスをまぶせばよい。また、まぶす際には、液体を付着させた肉にミックスをしっかりと揉み込みながら付着させてもよい。
【0021】
上述の手順で本発明の焼き調理用から揚げミックスをまぶした具材は、直ちに焼き調理に供されてもよく、又は冷蔵若しくは冷凍保存された後、焼き調理に供されてもよい。あるいは、本発明のミックスをまぶした具材を蒸し、これを冷蔵若しくは冷凍保存した後、焼き調理してもよい。上記本発明の焼き調理用から揚げミックスをまぶした具材は、焼き調理して食されるノンフライから揚げ用食材として、好ましくは冷蔵若しくは冷凍保存下で、流通又は提供され得る。また、焼き料理後に冷蔵若しくは冷凍流通され、再加熱、自然解凍又はそれらの組み合わせにより解凍され、食されても良い。
【0022】
焼き調理の手段としては、特に限定されることなく、オーブン、スチームコンベクションオーブン、オーブントースター、グリル、フライパン等が挙げられるが、オーブン、あるいはスチームコンベクションオーブンが好ましく、またはさらにスチームコンベクションオーブンでスチームを加えながら焼成してもよい。加熱調理の条件は、具材の種類や大きさ、使用する調理機器等に応じて調理者が適宜設定すればよい。当該加熱調理の際、さらに油を添加することは必要ない。
【0023】
斯くして、本発明の焼き調理用から揚げミックスを使用することによって、油ちょうや半油ちょうを必要とせずに焼き調理するだけで、簡便に、から揚げ様食品を調理することができる。さらに、本発明の焼き調理用から揚げミックスを用いて得られたノンフライから揚げは、油ちょうされたから揚げのような外観を呈し、且つ具材のジューシーで柔らかい食感と、歯切れがよくパリッとした衣の食感とをあわせ持つことで良好な風味と食味とを与えるものである。
【実施例】
【0024】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0025】
実施例1〜2
クラッカー粉(粒度42メッシュパス、カラメル色素(クラッカー粉全質量中1.0質量%)で色付け)、卵白粉、及び大豆硬化油をスプレードライして製造された粉末油脂(融点37℃)を、下記表1に示す配合量でミキサー混合して、焼き調理用から揚げミックスを調製した。
【0026】
比較例1〜2
粉末油脂の代わりに粉末化していない油脂(融点37℃及び20℃)を下記表1に示す配合量で用いて、実施例1と同じ手順でから揚げミックスを調製した。
【0027】
【表1】
【0028】
試験例1
重量比で、水:醤油:みりん=1:1:1の比率で混合して調味液を作製した。約25gの鶏モモ肉の表面にこの調味液を付着させた後、表1に示す焼き調理用から揚げミックスを満遍なくまぶし、軽くはたいて付着しなかったミックスを取り除いた。次いで鶏モモ肉へのミックスの付着性を、表2に示す評価基準に従って10名のパネルで評価し、その平均値を求めた。その後、この鶏モモ肉をオーブンで200℃、10分間加熱することでノンフライから揚げを得た。これらのノンフライから揚げの外観、肉の食感、及び衣の食感を、表2に示す評価基準に従って10名のパネルで官能的に評価し、その平均値を求めた。その結果は表3のとおりである。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
試験例2 熱凝固性食品素材の含有量の影響の評価
卵白粉の配合量を表4に示すように変えた以外は、実施例1と同様の手順でから揚げミックスを得た。このミックスを用いて試験例1と同様の手順でノンフライから揚げを得、外観と食感を評価した。結果を表4に示す。なお、表4中に実施例1の結果を再掲する。
【0032】
【表4】
【0033】
試験例3 粉末油脂の含有量の評価
粉末油脂の配合量を表5に示すように変えた以外は、実施例1と同様の手順でから揚げミックスを得た。このミックスを用いて試験例1と同様の手順でノンフライから揚げを得、ミックスの肉への付着性、外観及び食感を評価した。結果を表5に示す。なお、表5中に実施例1の結果を再掲する。
【0034】
【表5】
【0035】
試験例4 焼成粉砕物の粒径の影響の評価
クラッカー粉の粒度を表6に示すように変えた以外は、実施例1と同様の手順でから揚げミックスを得た。このミックスを用いて試験例1と同様の手順でノンフライから揚げを得、外観と食感を評価した。結果を表6に示す。なお、表6中に実施例1の結果を再掲する。
【0036】
【表6】
【0037】
試験例5 ミックスの付着に対する液体の影響の評価
実施例1のミックスを用いて、試験例1と同様に、但し具材に調味液を付けずにミックスを付着させて製造例21のノンフライから揚げを得、ミックスの肉への付着性、得られたノンフライから揚げの外観及び食感を評価した。結果を表7に示す。なお、表7中に実施例1の結果を再掲する。
【0038】
【表7】