(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶は、印加された電圧によって、そのような物質の光学的特性を改変できるため、主にディスプレイ装置の中の誘電体として使用されている。液晶に基づく電気光学的装置は当業者に極めて既知であり、種々の効果に基づくことができる。そのような装置の例は、動的散乱を有するセル、DAP(配向相の変形:deformation of aligned phases)セル、ゲスト/ホストセル、ツイストネマチック構造を有するTNセル、STN(スーパーツイストネマチック:supertwisted nematic)セル、SBE(超複屈折効果:superbirefringence effect)セルおよびOMI(光学モード干渉:optical mode interference)セルである。最も一般的なディスプレイ装置はSchadt−Helfrich効果に基づき、ツイストネマチック構造を有する。加えて、例えば、IPS(面内スイッチング:in−plane switching)セルなどの基板および液晶面に平行な電界で動作するセルもある。特に、TN、STN、FFS(フリンジ場スイッチング:fringe field switching)およびIPSセルが、本発明による媒体にとって、現在、商業的に興味が持たれている用途分野である。
【0003】
液晶材料は、良好な化学的および熱的安定性および電界および電磁線放射に対して良好な安定性を有していなければならない。更に、液晶材料は、セル中で、低い粘度を有し、短いアドレス時間、低い閾電圧および高いコントラストを有していなければならない。
【0004】
液晶材料は、更に、通常の動作温度において、即ち、室温より上および下の出来る限り広い範囲において、適切な中間相、例えば上記のセル用のネマチックまたはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は一般に複数成分の混合物として使用されるため、成分が互いに容易に混和することが重要である。導電性、誘電異方性および光学異方性などの更なる特性は、セルの型および用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。例えば、ツイストネマチック構造を有するセル用の材料は、正の誘電異方性および低い導電率を有していなければならない。
【0005】
例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリクス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的低い複屈折率、非常に高い比抵抗、良好なUVおよび温度安定性および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。
【0006】
このタイプのマトリクス液晶ディスプレイは既知である。それぞれのピクセルを個々にスイッチングするために使用できる非線形素子の例は、アクティブ素子(即ち、トランジスタ)である。なお、用語「アクティブマトリクス」は、2つのタイプに区別できる場合において使用される:
1.基板としてのシリコンウエハー上のMOS(金属酸化物半導体:metal oxide semiconductor)または他のダイオード、
2.基板としてのガラスプレート上の薄膜トランジスター(TFT:thin−film transistor)。
【0007】
基板材料として単結晶シリコンを使用すると、色々な部品ディスプレイのモジュール組み立て品の場合であっても接続部での問題が生じるため、ディスプレイの大きさが制限される。
【0008】
好適であってより有望な第2のタイプの場合には、使用される電気光学的効果は、通常、TN効果である。区別される2つの技術がある:例えば、CdSeなどの化合物半導体を含むTFTと、多結晶またはアモルファスシリコンに基づくTFTとである。後者の技術について、世界的に集中した研究がなされている。
【0009】
TFTマトリクスは、ディスプレイの一方のガラスプレートの内側に塗工され、他方のガラスプレートは、その内側に透明な対向電極を有する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも拡張でき、このディスプレイでは、フィルター素子がスイッチング可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置される。
【0010】
TFTディスプレイは、通常、透過光に対して直交した偏光子を備えるTNセルとして動作し、バックライトで照らされる。
【0011】
本明細書においてMLCディスプレイとの用語は、集積非線形素子を備える任意のマトリクスディスプレイを包含し、即ち、アクティブマトリクスに加えて、バリスターまたはダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal)などのパッシブ素子を備えるディスプレイも包含する。
【0012】
このタイプのMLCディスプレイは、特にテレビ用途(例えば、ポケットテレビ)またはコンピュータ用途(ラップトップ)および自動車または航空機内における高度情報ディスプレイに適している。コントラストの角度依存性および応答時間に関する問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題もある[TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.およびSHIMIZU,H.、Proc.Eurodisplay、第84巻、1984年9月、第A210〜288号、Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings、第141ff頁、パリ(非特許文献1);STROMER,M.、Proc.Eurodisplay、第84巻、1984年9月、Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays、第145ff頁、パリ(非特許文献2)]。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化し、また、残像消去の問題も生じ得る。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命に渡って低下するので、許容される耐用年数を達成するためには、高い(初期)抵抗が非常に重要である。特に、低電圧用混合物の場合には、非常に高い抵抗値を達成することは従来不可能であった。更に、温度の上昇および加熱および/またはUV照射後に、比抵抗が可能な限り小さい上昇を示すことも重要である。また、先行技術からの混合物の低温特性も特に良くない。たとえ低温であっても、結晶および/またはスメクチック相が生じないこと、および、粘度の温度依存性も可能な限り低いことが要求される。よって、先行技術からのMLCディスプレイは今日の必要条件を満たさない。
【0013】
バックライトを使用する、即ち、透過的および所望により半透過的に動作する液晶ディスプレイに加え、反射型液晶ディスプレイにも特に興味がもたれている。これらの反射型液晶ディスプレイは、情報表示のために周囲光を使用する。それらは、よって、対応する大きさおよび解像度を有するバックライト液晶ディスプレイよりも、消費エネルギーが著しく少ない。TN効果はコントラストが非常によいことで特徴付けられるため、このタイプの反射型ディスプレイは、明るい周囲状況下においてでさえ良好に読むことができる。これは、例えば、時計およびポケット計算機において使用されている通りの、単純な反射型TNディスプレイとして既に知られている。しかしながら、また、当該原理は、例えば、TFTディスプレイなどの高品質で、より高解像度のアクティブマトリックスでアドレスされるディスプレイにも適用できる。ここで、一般的には従来のものである透過型TFT−TNディスプレイにおいて既にそうである通り、低い複屈折率(Δn)の液晶を使用することが、低い光学的リターデーション(d・Δn)を達成するために必要である。この低い光学的リターデーションの結果、通常は、コントラストの視野角依存性が許容できる程度に低くなる(ドイツ国特許第30 22 818号明細書(特許文献1)参照)。反射型ディスプレイにおいて、光が通過する有効な層の厚さは、同じ層厚を有する透過型ディスプレイの約2倍の反射型ディスプレイにおける大きさであるため、低複屈折率の液晶を使用することが透過型ディスプレイよりも更に重要である。
【0014】
TVおよびビデオ用途に対して、例えば、映画およびビデオゲームなどのマルチメディアコンテンツを現実に近い品位で再生できるためには、速い応答時間を有するディスプレイが必要となる。そのような短い応答時間は、粘度、特に回転粘度γ
1に対して低い値を有し、高い光学的異方性(Δn)有する液晶媒体を使用すると、特に達成できる。
【0015】
よって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲において、低温においても短い応答時間および低い閾電圧を有しており、これらの不都合を示さないか、低減された程度にのみ示すMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。
【0016】
TN(Schadt−Helfrich)セルの場合、セル中で以下の利点を促進する媒体が望まれる:
−広げられたネマチック相範囲(特に、低い温度まで)
−極めて低温におけるスイッチ能力(屋外用途、自動車、航空機)
−UV照射に対する増大された耐性(より長い寿命)
−低い閾電圧。
【0017】
先行技術から入手可能な媒体では、同時に他のパラメータを保持しながら、これらの利点を達成することはできない。
【0018】
スーパーツイスト(STN)セルの場合、より大きなマルチプレックス性および/またはより低い閾電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能とする媒体が望まれる。この目的のために、利用可能なパラメータの自由度(透明点、スメクチック−ネマチック相転移または融点、粘度、誘電パラメータ、弾性パラメータ)を一層広げることが、至急望まれている。
【0019】
特に、テレビおよびビデオ用途(例えば、LCD TV、モニター、PDA、ノート型パソコン、ゲーム機コンソール)向けのLCディスプレイの場合、応答時間を著しく短縮することが望まれる。理論的にはLCセルにおけるLC媒体の層厚d(「セルギャップ」)を小さくすると結果として応答時間がより速くなるが、適切な光学的リターデーション(d・Δn)を確実とするためには、高い複屈折率Δnを有するLC媒体が必要となる。しかしながら、従来技術より既知の高い複屈折率のLC材料は一般に同時に回転粘度も高く、応答時間に悪影響を有することとなる。従って、速い応答時間、低い回転粘度および高い複屈折率を同時に有するLC媒体に対する要求がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体に関する。
【0025】
【化1】
式中、
R
0は、1〜15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH
2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接つながらないようにして、−C≡C−、−CF
2O−、−CH=CH−、
【0026】
【化2】
−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子によって置き換えられていてもよく、
X
0は、F、Cl、CN、SF
5、SCN、NCS、6個までのC原子を有するハロゲン化されたアルキル基、ハロゲン化されたアルケニル基、ハロゲン化されたアルコキシ基またはハロゲン化されたアルケニルオキシ基を表し、および
L
1〜6は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。
【0027】
驚くべきことに、式Iの化合物を含むLC媒体は、回転粘度γ
1および透明点の非常に良好な比、光学的異方性Δεに対する高い値および高い複屈折率Δn、ならびに速い応答時間、低い閾電圧、高い透明点、高い正の誘電異方性および広いネマチック相範囲を有することが見出された。更に、式Iの化合物は、液晶媒体中に非常に容易に溶解することができる。
【0028】
式Iの化合物は、広範囲の用途分野を有する。置換基の選択に応じて、それらは液晶媒体を主に構成する基礎材料となり得るが、例えば、この型の誘電体の誘電的および/または光学的異方性を修正したり、および/またはそれの閾電圧および/または粘度を最適化するために、他に分類される化合物からの液晶基礎材料を式Iの化合物に加えることもできる。
【0030】
【化3】
式中、R
0は上において示される意味を有し、好ましくは、直鎖状のアルキルを表す。好ましくは、R
0がC
2H
5、n−C
3H
7またはn−C
5H
11を表す式I−2およびI−4の化合物が特に好ましい。
【0031】
純粋な状態で、式Iの化合物は無色であり、電気光学的な使用のために好ましい温度範囲で液晶中間相を形成する。それらは、化学的に、熱的に、および光に対して安定である。
【0032】
式Iの化合物は、文献(例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの標準的な著作)に記載される通り、それ自身は既知の方法により、正確には既知で前記反応に適する反応条件により調製される。ここで、それ自身は既知で、本明細書では更に非常に詳細には述べていない変法も使用できる。
【0033】
上および下において式中のR
0がアルキル基および/またはアルコキシ基を表している場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。それは、好ましくは、直鎖状で、2、3、4、5、6または7個のC原子を有しており、従って、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシを表し、更に、メチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシまたはテトラデシルオキシを表す。
【0034】
オキサアルキルは、好ましくは、直鎖状の2−オキサプロピル(即ち、メトキシメチル)、2−(即ち、エトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち、メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルを表す。
【0035】
R
0がアルキル基を表し、1個のCH
2基が−CH=CH−基で置き換えられている場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。それは、好ましくは、直鎖状で、2〜10個のC原子を有している。従って、それは、特に、ビニル、プロパ−1−または−2−エニル、ブタ−1−、−2−または−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−または−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−エニル、ヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−エニル、オクタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−または−7−エニル、ノナ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−エニル、デカ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−または−9−エニルを表す。また、これらの基は、一置換または多置換されていてもよい。
【0036】
R
0がアルキルまたはアルケニル基を表し、それがハロゲンによって少なくとも一置換されている場合、この基は好ましくは直鎖状であり、ハロゲンは好ましくはFまたはClである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくはFである。また、結果として得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。一置換の場合、フッ素または塩素置換基は任意の所望の箇所で構わないが、好ましくはω位である。
【0037】
上および下の式において、X
0は、好ましくは、F、Clまたは一フッ素化または多フッ素化された1、2または3個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基または一フッ素化または多フッ素化された2または3個のC原子を有するアルケニル基である。X
0は、特に好ましくは、F、Cl、CF
3、CHF
2、OCF
3、OCHF
2、OCFHCF
3、OCFHCHF
2、OCFHCHF
2、OCF
2CH
3、OCF
2CHF
2、OCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCF
2CF
2CH
2F、OCFHCF
2CF
3、OCFHCF
2CHF
2、OCH=CF
2、OCF=CF
2、OCF
2CHFCF
3、OCF
2CF
2CF
3、OCF
2CF
2CClF
2、OCClFCF
2CF
3、CF=CF
2、CF=CHFまたはCH=CF
2、非常に特に好ましくは、FまたはOCF
3である。
【0038】
X
0がFまたはOCF
3を表す式Iの化合物が特に好ましい。式Iの更に好ましい化合物は、R
0が直鎖状で1〜8個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシまたは直鎖状で2〜7個のC原子を有するアルケニルまたはアルケニルオキシを表すものである。式Iの化合物において、L
5およびL
6は、好ましくは両者がHを表し、L
3は、好ましくはFを表す。L
1およびL
2は、好ましくは両者がFを表す。
【0040】
−媒体は、式IIおよび/またはIIIの1種類以上の中性化合物を追加的に含む。
【0041】
【化4】
式中、
Aは、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンを表し、
aは、0または1であり、および
R
3は、2〜9個のC原子を有するアルケニルを表し、
および、R
4は式I中のR
0について示される意味を有し、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキルまたは2〜9個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0042】
−式IIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0043】
【化5】
式中、R
3aおよびR
4aは、それぞれ互いに独立に、H、CH
3、C
2H
5またはC
3H
7を表し、および「alkyl」は、1〜8個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。特に好ましくは、式IIaおよびIIfの化合物、特に式中R
3aがHまたはCH
3を表すもの、および式IIcの化合物、特に式中R
3aおよびR
4aがH、CH
3またはC
2H
5を表すものである。
【0044】
更に、アルケニル側鎖において非末端の二重結合を有する式IIの化合物が好ましい。
【0045】
【化6】
式IIの非常に特に好ましい化合物は、下式の化合物である。
【0048】
【化9】
−式IIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0049】
【化10】
式中、「alkyl」およびR
3aは上で示される意味を有し、R
3aは、好ましくは、HまたはCH
3を表す。式IIIbの化合物が特に好ましい。
【0050】
−媒体は、以下の式より選択される1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0051】
【化11】
式中、
R
0およびX
0は、式Iにおいて示される意味を有し、および
Y
1〜6は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
Z
0は、−C
2H
4−、−(CH
2)
4−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C
2F
4−、−CH
2CF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−CF
2O−または−OCF
2−を表し、式VおよびVIにおいては単結合も表し、および
rは、0または1を表す。
【0052】
式IV〜VIIIの化合物において、X
0は、好ましくは、FまたはOCF
3、更に、OCHF
2、CF
3、CF
2H、Cl、OCH=CF
2を表す。R
0は、好ましくは、直鎖状で6個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルである。
【0053】
−式IVの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0054】
【化12】
式中、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。
【0055】
好ましくは、式IVにおけるR
0は、1〜8個のC原子を有するアルキルを表し、X
0は、F、Cl、OCHF
2またはOCF
3、更には、OCH=CF
2を表す。式IVbの化合物において、R
0は、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表す。式IVdの化合物において、X
0は、好ましくは、Cl、更には、Fを表す。
【0056】
−式Vの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0057】
【化13】
式中、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。好ましくは、式VにおけるR
0は1〜8個のC原子を有するアルキルを表し、X
0はFを表す。
【0058】
−媒体は、式VI−1の1種類以上の化合物を含む。
【0059】
【化14】
特に好ましくは、以下の式より選択されるものである。
【0060】
【化15】
式中、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。好ましくは、式VIにおけるR
0は1〜8個のC原子を有するアルキルを表し、X
0はF、更には、OCF
3を表す。
【0061】
−媒体は、式VI−2の1種類以上の化合物を含む。
【0062】
【化16】
特に好ましくは、以下の式より選択されるものである。
【0063】
【化17】
式中、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。好ましくは、式VIにおけるR
0は1〜8個のC原子を有するアルキルを表し、X
0はFを表す。
【0064】
−媒体は、好ましくは、Z
0が−CF
2O−、−CH
2CH
2または−COO−を表す式VIIの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは、以下の式より選択されるものである。
【0065】
【化18】
式中、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。好ましくは、式VIIにおけるR
0は1〜8個のC原子を有するアルキルを表し、X
0はF、更には、OCF
3を表す。
【0066】
式VIIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0067】
【化19】
式中、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。R
0は、好ましくは、1〜8個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、X
0は、好ましくは、Fを表す。
【0068】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0069】
【化20】
式中、R
0、X
0、Y
1およびY
2は、上で示される意味を有し、および
【0070】
【化21】
は、それぞれ互いに独立に、
【0071】
【化22】
を表し、
ただし、環AおよびBは、両者が同時にはシクロヘキシレンを表さない。
【0072】
−式IXの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0073】
【化23】
式中、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R
0は1〜8個のC原子を有するアルキルを表し、X
0はFを表す。式IXaの化合物が特に好ましい。
【0074】
−媒体は、以下の式より選択される1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0075】
【化24】
式中、R
0、X
0およびY
1〜4は、式Iにおいて示される意味を有し、および
【0076】
【化25】
は、それぞれ互いに独立に、
【0078】
−式X、XIおよびXIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0080】
【化28】
式中、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R
0は1〜8個のC原子を有するアルキルを表し、X
0はFを表す。特に好ましい化合物は、Y
1がFを表し、Y
2がHまたはF、好ましくはFを表すものである。X
0がFである式XIbの1種類以上の化合物を含む媒体が特に好ましい。
【0081】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0082】
【化29】
式中、R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立に、それぞれ9個までのC原子を有するn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1〜8個のC原子を有するアルキルを表す。Y
1は、HまたはFを表す。
【0083】
式XIIIの好ましい化合物は、下式の化合物である。
【0084】
【化30】
式中、
alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、および
alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。
【0085】
式XIII−1および/またはXIII−3の1種類以上の化合物を含む媒体が特に好ましい。
【0086】
−媒体は、以下の式より選択される1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0087】
【化31】
式中、R
0、X
0、Y
1およびY
2は、上で示される意味を有する。好ましくは、R
0は1〜8個のC原子を有するアルキルを表し、X
0はFまたはClを表す。
【0088】
−式XIV、XVおよびXVIの化合物は、好ましくは、下式の化合物より選択される。
【0089】
【化32】
式中、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。R
0は、好ましくは、1〜8個のC原子を有するアルキルを表す。式XIVの化合物において、X
0は、好ましくは、FまたはClを表す。
【0090】
−媒体は、以下の式D1および/またはD2の1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0091】
【化33】
式中、Y
1、Y
2、R
0およびX
0は、上で示される意味を有する。好ましくは、R
0は1〜8個のC原子を有するアルキルを表し、X
0はFを表す。下式の化合物が、特に好ましい。
【0092】
【化34】
式中、R
0は上で示される意味を有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル、特には、C
2H
5、n−C
3H
7またはn−C
5H
11を表す。
【0093】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0094】
【化35】
式中、Y
1、R
1およびR
2は、上で示される意味を有する。R
1およびR
2は、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1〜8個のC原子を有するアルキルを表す。
【0095】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0096】
【化36】
式中、X
0、Y
1およびY
2は上で示される意味を有し「alkenyl」はC
2〜7アルケニルを表す。以下の式の化合物が、特に好ましい。
【0097】
【化37】
式中、R
3aは上で示される意味を有し、好ましくはHを表す。
【0098】
−媒体は、式XX〜XXVIより選択される1種類以上の四環式化合物を追加的に含む。
【0099】
【化38】
式中、Y
1〜4、R
0およびX
0は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味の1つを有する。X
0は、好ましくは、F、Cl、CF
3、OCF
3またはOCHF
2である。R
0は、好ましくは、それぞれ8個までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表す。
【0100】
好ましい媒体は、下式の1種類以上の化合物を含む。
【0101】
【化39】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0103】
【化40】
式XXVIIの化合物は、好ましくは0.5〜30重量%、特には3〜25重量%の量で使用される。
【0106】
−R
0は、好ましくは、2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルケニルである。
【0107】
−X
0は、好ましくは、F、更には、OCF
3、ClまたはCF
3である。
【0108】
−媒体は、好ましくは、1種類、2種類または3種類の式Iの化合物を含む。
【0109】
−媒体は、好ましくは、式I、II、III、V、VI−1、VI−2、XIII、XIV、XV、XVIII、XXIV、XXVI、XXVIIの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0110】
−媒体は、好ましくは、式VI−1の1種類以上の化合物を含む。
【0111】
−媒体は、好ましくは、式VI−2の1種類以上の化合物を含む。
【0112】
−媒体は、好ましくは、1〜25重量%、好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%の式Iの化合物を含む。
【0113】
−混合物全体における式II〜XXVIIの化合物の割合は、好ましくは、20〜99重量%である。
【0114】
−媒体は、好ましくは、25〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%の式IIおよび/またはIIIの化合物を含む。
【0115】
−媒体は、好ましくは、5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%の式Vの化合物を含む。
【0116】
−媒体は、好ましくは、3〜30重量%、特に好ましくは6〜25重量%の式VI−1の化合物を含む。
【0117】
−媒体は、好ましくは、2〜30重量%、特に好ましくは4〜25重量%の式VI−2の化合物を含む。
【0118】
−媒体は、5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%の式XIIIの化合物を含む。
【0119】
−媒体は、好ましくは、1〜25重量%、特に好ましくは2〜15重量%の式XIVの化合物を含む。
【0120】
−媒体は、好ましくは、5〜45重量%、特に好ましくは10〜35重量%の式XVの化合物を含む。
【0121】
−媒体は、好ましくは、1〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%の式XVIIの化合物を含む。
【0122】
−媒体は、式St−1〜St−3の1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0123】
【化42】
式中、R
0、Y
1、Y
2およびX
0は、上で示される意味を有する。R
0は、好ましくは、1〜6個のC原子を好ましくは有する直鎖状のアルキルを表す。X
0は、好ましくは、FまたはOCF
3である。Y
1は、好ましくは、Fを表す。Y
2は、好ましくは、Fを表す。Y
1がFおよびY
2がHである化合物が、更に好ましい。式St−1〜St−3の化合物は、好ましくは3〜30重量%、特には5〜25重量%の濃度において本発明による混合物中で使用される。
【0124】
−媒体は、下式の1種類以上のピリミジン化合物を含む。
【0125】
【化43】
式中、R
0は、好ましくは、2〜5個のC原子を有する直鎖状のアルキルである。好ましい混合物は、3〜30重量%、特には5〜20重量%の、この(これらの)ピリミジン化合物(1種類または複数)を含む。
【0126】
−特に好ましい媒体は、下式の1種類以上の化合物を含む。
【0127】
【化44】
式中、Y
1およびY
2は、好ましくは、両方がフッ素を表し、X
0は、好ましくはフッ素、更にはOCF
3を表す。化合物XIbおよびXXVにおけるR
0は、好ましくは、1〜6個のC原子、特には2〜5個のC原子を有する直鎖状のアルキル基である。
【0128】
−好ましい媒体は、少なくとも1種類の式Iの化合物と、少なくとも1種類の式XIbの化合物と、少なくとも1種類の式XXVIの化合物と、および加えて、少なくとも1種類の下式の化合物とを含む。
【0129】
【化45】
式中、好ましくは、X
0は、フッ素、更にはOCF
3を表し、R
0は、1〜6個のC原子、特には2〜5個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0130】
たとえ比較的少ない量であっても式Iの化合物を、従来の液晶材料、しかしながら特に式II〜XXVIIの1種類以上の化合物と混合することにより、結果として光安定性が著しく増加し複屈折率の値が低くなり、同時に低いスメクチック−ネマチック転移温度を有する広範囲のネマチック相が観測され、貯蔵寿命が改良されることが判明した。同時に、混合物は、非常に低い閾電圧およびUVに曝露した際に非常に優れるVHRの値を示す。
【0131】
用語「アルキル(alkyl)」または「アルキル
*(alkyl
*)」は、本出願において、1〜7個の炭素原子を有する直鎖状および分岐状のアルキル基、特に、直鎖状の基であるメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルを包含する。1〜6個の炭素原子を有する基が、一般に好ましい。
【0132】
用語「アルケニル(alkenyl)」または「アルケニル
*(alkenyl
*)」は、本出願において、2〜7個の炭素原子を有する直鎖状および分岐状のアルケニル基、特に直鎖状の基を包含する。好ましいアルケニル基は、C
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニル、C
5〜C
7−4−アルケニル、C
6〜C
7−5−アルケニルおよびC
7−6−アルケニル、特に、C
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニルおよびC
5〜C
7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までの炭素原子を有する基が、一般に好ましい。
【0133】
用語「フルオロアルキル(fluoroalkyl)」は、本出願において、少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは末端フッ素を有する直鎖状の基、即ち、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを包含する。しかしながら、フッ素の他の位置を除外するものではない。
【0134】
用語「オキサアルキル(oxaalkyl)」または「アルコキシ(alkoxy)」は、本出願において、式C
nH
2n+1−O−(CH
2)
mの直鎖状の基を包含し、ただし、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6を表し、mは0を表す場合もある。好ましくは、nは1でmは1〜6であるか、mが0でnが1〜3である。
【0135】
R
0およびX
0の意味を適切に選択することにより、アドレス時間、閾電圧、透過特性曲線の急峻性などを所望の様式に修正することができる。例えば、1E−アルケニル基、3E−アルケニル基、2E−アルケニルオキシ基などは、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、一般により短いアドレス時間、ネマチック性向の改善、および弾性定数k
33(ベンド)とk
11(スプレイ)との間のより高い比率を結果として与える。4−アルケニル基、3−アルケニル基などは、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、一般により低い閾電圧およびより低い値のk
33/k
11を与える。本発明による混合物は、特に高いk
1値で特徴付けられ、よって、先行技術からの混合物より極めてより速い応答時間を有する。
【0136】
上述の式の化合物の最適な混合比は、所望の特性、上述の式の成分の選択、および存在する場合もある任意の更なる成分の選択に実質的に依存する。
【0137】
上で示される範囲内での適切な混合比は、場合ごとに容易に決めることができる。
【0138】
本発明による混合物中の上述の式の化合物の総量は、決定的なものではない。従って、混合物は、様々な特性の最適化の目的のために、1種類以上の更なる成分を含むことができる。しかしながら、上述の式の化合物の総濃度が高くなるほど、混合物の特性の好ましい改良における観測される効果は、一般に大きくなる。
【0139】
特に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、X
0が、F、OCF
3、OCHF
2、OCH=CF
2、OCF=CF
2またはOCF
2−CF
2Hを表す式IV〜VIIIの化合物を含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果により、特に有利な特性が結果として得られる。特に、式I、VIおよびXIの化合物を含む混合物は、それらの閾電圧が低いことで特徴付けられる。
【0140】
本発明による媒体で使用できる上述の式およびそれのサブ式の個々の化合物は既知であるか、既知の化合物に類似して調製できる。
【0141】
本発明は、また、例えば、TN、STN、FFS、OCB、IPS、TN−TFTまたはMLCディスプレイなどで、外枠と共にセルを構成する2枚の平行な外板、各ピクセルをスイッチングするための外板上の集積非線形素子、およびセル中に配置されて正の誘電異方性および高い比抵抗を有するネマチック液晶混合物を備え、この型の媒体を含有している電気光学的ディスプレイと、これらの媒体を電気光学的目的のために使用することにも関する。
【0142】
本発明による液晶混合物によって、利用できるパラメータの自由度を著しく広げることができる。透明点、低温における粘度、熱的およびUV安定性および高い光学的異方性の実現可能な組み合わせは、先行技術からの以前の材料より極めて優れている。
【0143】
本発明による混合物は、例えば、PDA、ノート型パソコン、LCDテレビおよびモニターなどの携帯用途およびΔnの高いTFT用途に特に適している。
【0144】
本発明による液晶混合物は、−20℃まで、好ましくは−30℃まで、特に好ましくは−40℃までネマチック相を保持し、70℃以上、好ましくは75℃以上の透明点を有し、同時に、120mPa・s以下、特に好ましくは100mPa・s以下の回転粘度γ
1を達成でき、速い応答時間を達成する優れたMLCディスプレイが可能となる。
【0145】
本発明による液晶混合物の誘電異方性Δεは、好ましくは+5以上、特に好ましくは+10以上である。加えて、混合物は低い動作電圧で特徴付けられる。本発明による液晶混合物の閾電圧は、好ましくは1.5V以下、特には1.2V以下である。
【0146】
本発明による液晶混合物の複屈折率Δnは、好ましくは0.10以上、特に好ましくは0.11以上である。
【0147】
本発明による液晶混合物のネマチック相の範囲は、好ましくは少なくとも90°の幅であり、特には少なくとも100°である。この範囲は、好ましくは、少なくとも−25℃から+70℃に及んでいる。
【0148】
言うまでもなく、本発明による混合物の成分を適切に選択することにより、他の有利な性質を保持しながら、より高い閾電圧において、より高い透明点(例えば、100℃を超える)を達成できるか、または、より低い閾電圧においてより低い透明点を達成することも可能である。粘度の対応する上昇を僅かにして、より高いΔεと従ってより低い閾電圧を有する混合物を得ることも同様に可能である。本発明によるMLCディスプレイは、好ましくは、グーチおよびタリーの第1次透過極小で動作させ[C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Electron.Lett.、第10巻、第2〜4頁、1974年;C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Appl.Phys.、第8巻、第1575〜1584頁、1975年]、ただし、例えば、特性線の高い急峻性およびコントラストの低視野角依存性(ドイツ国特許第30 22 818号明細書)などの特に好ましい電気光学的特性に加え、第2次極小で類似するディスプレイと同じ閾電圧において、より低い誘電異方性で十分である。このため、第1次極小で本発明による混合物を使用することにより、シアノ化合物を含む混合物の場合よりも、極めて高い比抵抗値を達成することができる。個々の成分およびその重量比を適切に選択することにより、当業者は簡単な日常的方法を使用してMLCディスプレイの予め指定された層厚に必要な複屈折率を設定することができる。
【0149】
電圧保持率(HR)の測定[S.Matsumotoら、Liquid Crystals、第5巻、第1320頁(1989年);K.Niwaら、Proc.SID
Conference、サンフランシスコ、1984年6月、第304頁(1984年);G.Weberら、Liquid Crystals、第5巻、第1381頁(1989年)]によって、下式
【0150】
【化46】
のシアノフェニルシクロヘキサン類、または下式
【0151】
【化47】
のエステル類を式Iの化合物の代わりに含む類似混合物よりも、式Iの化合物を含む本発明による混合物の方が、UVの曝露によるHRの低下が著しく小さい挙動を示すことが示された。
【0152】
本発明による混合物の光安定性およびUV安定性は極めて優れており、即ち、それらは、光またはUVに暴露されてもHRの低下が著しく小さい挙動を示す。混合物中の式Iの化合物の濃度が低い(10重量%未満)場合においても、先行技術からの混合物と比較して、6%以上HRが増加する。
【0153】
偏光板、電極基板および表面処理された電極からの本発明によるMLCディスプレイの構成は、この型のディスプレイの通常の設計に対応する。通常の設計との用語は、本明細書においては広い意味で用いられ、MLCディスプレイに関する全ての派生および改変も包含し、特に、多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子を含む。
【0154】
しかしながら、本発明によるディスプレイと、ツイストネマチックセルに基づくこれまでの従来ディスプレイとの大きな相違点は、液晶層の液晶パラメータの選択にある。
【0155】
本発明によって使用できる液晶混合物は、例えば、式Iの1種類以上の化合物を、式II〜XXVIIの1種類以上の化合物と、または更なる液晶化合物および/または添加剤と混合し、それ自体従来の方法で調製される。一般に、より少ない量で使用される成分の所望の量を、主要な組成を構成する成分中で、好ましくは加温して溶解する。また、有機溶媒中、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノール中で成分溶液を混合し、完全に混合後、例えば蒸留によって溶媒を再び除去することも可能である。
【0156】
また、誘電体は、当業者に既知で文献に記載される更なる添加剤、例えば、チバ社製Tinuvin(登録商標)などのUV安定化剤、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、ナノ微粒子などを含んでもよい。例えば、0〜15%の多色性色素またはキラルドーパントを加えることができる。適切な安定化剤およびドーパントは、下の表Cおよび表Dにおいて述べられている。
【0157】
本出願中および下の例中において、液晶化合物の構造は略号で示されており、化学式への変換は下の表AおよびBに従って行われる。全ての基C
nH
2n+1およびC
mH
2m+1は、nおよびm個のC原子をそれぞれ有する直鎖状のアルキル基であり、n、mおよびkは整数で、好ましくは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を表す。表B中のコードは、それ自体で明らかである。表A中には、親構造にかかわる略号のみが示されている。それぞれの場合において、この親構造の略号の後に、ダッシュにより分離されて、置換基R
1*、R
2*、L
1*およびL
2*のためのコードが続く。
【0158】
【表1】
好ましい混合物成分を表AおよびBで与える。
【0168】
【表11】
式Iの化合物に加え、表Bからの少なくとも1、2、3または4種類以上の化合物を含む液晶混合物が特に好ましい。
【0169】
表Cには、本発明による混合物に一般的に添加される可能なドーパントを示す。混合物は、好ましくは0〜10重量%、特には0.01〜5重量%、特に好ましくは0.01〜3重量%のドーパントを含む。
【0171】
【表13】
例えば、0〜10重量%の量で本発明による混合物に添加できる安定化剤を下に述べる。
【0176】
【表18】
以下の例は、制限することなく、本発明を説明することを意図する。
【0177】
上および下において、パーセンテージのデータは重量パーセントを表す。全ての温度は摂氏度で与えられる。m.p.は融点を表わし、cl.p.は透明点である。更に、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、およびIは等方相である。これらの記号間のデータは転移温度を表す。更に、
−Δnは、589nmおよび20℃における光学的異方性を表わし、
−γ
1は、20℃における回転粘度(mPa・s)を表わし、
−V
10は、10%透過(基板表面に垂直な視角)における電圧(V)を表し(閾電圧)、
−Δεは、20℃および1kHzにおける誘電異方性(Δε=ε
‖ε−ε
⊥、ここでε
‖は分子の長軸に平行な誘電率、ε
⊥はそれに垂直な誘電率を表す)を表す。
【0178】
電気光学的データは、明らかに別に示さない限り、20℃において第1次極小(即ち、0.5μmのd・Δn値において)でTNセル中において測定する。光学的データは、明らかに別に示さない限り、20℃で測定する。全ての物理的特性は、「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社に従って決定され、、明らかに別に示さない限り、20℃の温度を適用する。
【実施例】
【0179】
【表19】
【0180】
【表20】
【0181】
【表21】
【0182】
【表22】
【0183】
【表23】
【0184】
【表24】
【0185】
【表25】
【0186】
【表26】
【0187】
【表27】
【0188】
【表28】
【0189】
【表29】
【0190】
【表30】
【0191】
【表31】
【0192】
【表32】
【0193】
【表33】
例1〜15は、特に、TN−TFT用途に適する。
【0194】
【表34】
【0195】
【表35】
【0196】
【表36】
【0197】
【表37】