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特許5917629光伝送システム集積回路および光伝送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917629
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】光伝送システム集積回路および光伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04J 3/00 20060101AFI20160428BHJP
   H04J 14/08 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   H04J3/00 A
   H04J3/00 Q
   H04B9/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-167771(P2014-167771)
(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-46590(P2016-46590A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2014年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTエレクトロニクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 靖行
(72)【発明者】
【氏名】池田 将之
(72)【発明者】
【氏名】木坂 由明
(72)【発明者】
【氏名】山崎 悦史
(72)【発明者】
【氏名】相澤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】富澤 将人
【審査官】 阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/141061(WO,A1)
【文献】 特開2001−186518(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/145218(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 3
H04J 14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送システムであって、
送信側の第1の光伝送システム集積回路および第2の光伝送システム集積回路と、
受信側の第3の光伝送システム集積回路および第4の光伝送システム集積回路と
を備え、
前記第1の光伝送システム集積回路は、
クライアント信号を入力する入力部と、
前記クライアント信号を分離して複数の送信信号を出力する分離部と、
前記複数の送信信号のうちの第1の送信信号を入力とする第1のデジタルコヒーレント信号処理部であって、波長多重される複数の波長チャネルのうちの第1の波長チャネルに対応する第1の光変調器へ入力される変調信号を生成する第1のデジタルコヒーレント信号処理部と、
前記第2の光伝送システム集積回路とインターフェースするための信号転送処理部であって、前記第2の光伝送システム集積回路へ、前記複数の送信信号のうちの第2の送信信号を送信する第1の信号転送処理部と
を備え、
前記第2の光伝送システム集積回路は、
前記第1の光伝送システム集積回路とインターフェースし、前記第1の信号転送処理部から、前記複数の送信信号のうちの前記第2の送信信号を受信する第2の信号転送処理部と、
前記第2の送信信号を入力とする第2のデジタルコヒーレント信号処理部であって、前記波長多重される複数の波長チャネルのうちの第2の波長チャネルに対応する第2の光変調器へ入力される変調信号を生成する第2のデジタルコヒーレント信号処理部と、
を備え、
前記第3の光伝送システム集積回路は、
前記第の送信信号を伝送する前記第の波長チャネルに対応する第の受光部からの信号を処理して、第の受信信号を出力する第3のデジタルコヒーレント信号処理部と、
前記第4の光伝送システム集積回路とインターフェースするための第3の信号転送処理部であって、前記第の受信信号を、前記第4の光伝送システム集積回路の第4の信号転送処理部へ送信する第3の信号転送処理部と
を備え、
前記第4の光伝送システム集積回路は、
前記第の送信信号を伝送する前記第の波長チャネルに対応する第の受光部からの信号を処理して、第の受信信号を出力する第4のデジタルコヒーレント信号処理と、
前記第3の光伝送システム集積回路とインターフェースするための前記第4の信号転送処理部であって、前記第2の受信信号を、前記第3の信号転送処理部から、受信する第4の信号転送処理部と、
前記第1の受信信号を一時格納し、前記第2の受信信号のビットとのタイミングを調整するデスキューバッファと、
タイミングを調整された前記第1の受信信号と前記第2の受信信号とを統合して前記クライアント信号を再生する統合部と、
再生された前記クライアント信号を出力する出力部と
を備えた、
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
光伝送システムであって、
送信側の第1の光伝送システム集積回路および第2の光伝送システム集積回路と、
受信側の第3の光伝送システム集積回路および第4の光伝送システム集積回路と
を備え、
前記第1の光伝送システム集積回路は、
クライアント信号を入力する入力部と、
前記クライアント信号を分離して複数の送信信号を出力する分離部と、
前記複数の送信信号のうちの第1の送信信号を入力とする第1のデジタルコヒーレント信号処理部であって、波長多重される複数の波長チャネルのうちの第1の波長チャネルに対応する第1の光変調器へ入力される変調信号を生成する第1のデジタルコヒーレント信号処理部と、
前記第2の光伝送システム集積回路とインターフェースするための信号転送処理部であって、前記第2の光伝送システム集積回路へ、前記複数の送信信号のうちの第2の送信信号を送信する第1の信号転送処理部と
を備え、
前記第2の光伝送システム集積回路は、
前記第1の光伝送システム集積回路とインターフェースし、前記第1の信号転送処理部から、前記複数の送信信号のうちの前記第2の送信信号を受信する第2の信号転送処理部と、
前記第2の送信信号を入力とする第2のデジタルコヒーレント信号処理部であって、前記波長多重される複数の波長チャネルのうちの第2の波長チャネルに対応する第2の光変調器へ入力される変調信号を生成する第2のデジタルコヒーレント信号処理部と、
を備え、
前記第3の光伝送システム集積回路は、
前記第1の送信信号を伝送する前記第1の波長チャネルに対応する第1の受光部からの信号を処理して、第1の受信信号を出力する第3のデジタルコヒーレント信号処理部と、
前記第4の光伝送システム集積回路とインターフェースするための第3の信号転送処理部であって、前記第1の受信信号を、前記第4の光伝送システム集積回路の第4の信号転送処理部へ送信する第3の信号転送処理部と
を備え、
前記第4の光伝送システム集積回路は、
前記第2の送信信号を伝送する前記第2の波長チャネルに対応する第2の受光部からの信号を処理して、第2の受信信号を出力する第4のデジタルコヒーレント信号処理と、
前記第3の光伝送システム集積回路とインターフェースするための前記第4の信号転送処理部であって、前記第の受信信号を、前記第3の信号転送処理部から、受信する第4の信号転送処理部と、
前記第2の受信信号を一時格納し、前記第1の受信信号のビットとのタイミングを調整するデスキューバッファと、
前記第1の受信信号とタイミングを調整された前記第2の受信信号とを統合して前記クライアント信号を再生する統合部と、
再生された前記クライアント信号を出力する出力部と
を備えた、
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項3】
光伝送システム集積回路であって、
波長多重された複数の波長チャネルのうちの1つに対応する受光部からの信号を受信して第1の受信信号を出力するデジタルコヒーレント信号処理部と、
他の光伝送システム集積回路とインターフェースするための信号転送処理部であって、前記他の光伝送システム集積回路において処理された前記複数の波長チャネルのうちの他の1つに対応する第2の受信信号を、前記他の光伝送システム集積回路の信号転送処理部から受信する信号転送処理部と、
前記第1の受信信号を一時格納し、前記第2の受信信号のビットとのタイミングを調整するデスキューバッファと、
タイミングを調整された前記第1の受信信号と前記第2の受信信号とを統合してクライアント信号とする統合部と、
前記クライアント信号を出力する出力部と
を備えた、ことを特徴とする光伝送システム集積回路。
【請求項4】
前記信号転送処理部は、前記他の光伝送システム集積回路の信号転送処理部から受信した前記第2の受信信号に対して誤り訂正処理を行う、ことを特徴とする請求項に記載の光伝送システム集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システム集積回路、光伝送システムおよび光伝送方法に関し、より詳細には、クライアントデータを複数の分割データに分割して複数サブキャリアを用いて伝送する光伝送システム集積回路、光伝送システムおよび光伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光伝送システムの大容量化することが可能なWDM(波長分割多重)技術の研究開発が行われている。また、WDM技術と同様に光伝送システムを大容量化することが可能な技術として、コヒーレント通信技術も研究開発も盛んに行われている。光伝送システムの大容量化と平行して、LAN等で通信されるクライアントデータのビットレートも大容量化している。今日では、大容量化したクライアントデータ(例えば、100Gbps)を光伝送システムのライン信号に直接収容して伝送したいというニーズも高まっており、これを実現すべく研究も盛んに行われている。
【0003】
図5は、複数サブキャリアを用いてクライアントデータを伝送する光伝送システム集積回路(LSI)の概略構成図である。図5の光伝送システムLSI(10)は、送信用と受信用に100Gbps高速I/F(12,22)をそれぞれ1つずつ備える。これらの100Gbps高速I/Fを介して、クライアントの機器(例えば、ルータ)と光伝送システムLSI(10)との間で100Gbpsのクライアント信号の入出力が行われる。
【0004】
図5において光変調器/光源150は、光源とIQ変調器の組を2つ構え、IQ変調器からの出力を偏波多重して伝送路へ出力する。受光器180は、光ファイバ伝送路から入射する光(対向する光変調器/光源で偏波多重された伝送路を伝播した光)を光電変換して出力する。
【0005】
100G用シンボルマッピング部14は、100Gbpsのクライアント信号が2ビット毎にマッピングされる(割り当てられる)QPSK変調のシンボルを決定し、決定したシンボルに相当する振幅と位相(角度)を出力する。各偏波に2ビットが割り当てられるので、100G用シンボルマッピング部12におけるシンボルレートは、25Gsps(シンボル/秒)である。
【0006】
デジタルコヒーレント信号処理部16は、100G用シンボルマッピング部14からのシンボルに基づき、変調器/光源150へ供給される変調信号を生成して出力する。
【0007】
デジタルコヒーレント信号処理部26は、受光器180からの信号に基づいて、歪補償、クロック抽出、位相推定、及びシンボル識別などのデジタル信号処理を行い、識別されたシンボルを出力する。
【0008】
100G用シンボルデマッピング部24は、デジタルコヒーレント信号処理部26から出力されたシンボルをデマッピングしてビット値を出力する(シンボルに割り当てられたビット値を決定して出力する)。
【0009】
100Gbps高速I/F(22)は、100G用シンボルデマッピング部24からのビット値を、光伝送システムLSI(10)の外に受信したクライアント信号として出力するために用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、光伝送システムのライン信号のビットレートは、光ファイバ伝送路における伝送特性や変調方式に起因する制限が存在し、クライアント信号のすべてを光伝送システムのライン信号に直接収容しきれない場合があるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、クライアントデータを複数の分割データに分割して複数サブキャリアを用いて伝送する光伝送システム集積回路、光伝送システムおよび光伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、光伝送システム集積回路である。この態様の光伝送システム集積回路は、光伝送システムの送信側に配置され用いることができる。この態様の光伝送システム集積回路は、クライアント信号を入力する入力部と、クライアント信号を分離して複数の送信信号を出力する分離部とを備える。この態様の光伝送システム集積回路は、複数の送信信号のうちの第1の送信信号を入力とするデジタルコヒーレント信号処理部を備えるとともに、他の光伝送システム集積回路とインターフェースして、複数の送信信号のうちの第1の入力信号以外の送信信号を通信する信号転送処理部を備える。
【0013】
一実施形態では、信号転送処理部は、第1の送信信号以外の送信信号(例えば、第2の送信信号)に誤り訂正処理を行い、他の光伝送システム集積回路の信号転送処理部へ送信する。デジタルコヒーレント信号処理された後、第2の送信信号は、光伝送システム集積回路のデジタルコヒーレント信号処理部へ入力される。
【0014】
一実施形態では、信号転送処理部は、他の光伝送システム集積回路の信号転送処理部から送信信号を受信して誤り訂正処理を行うように構成しても良く、デジタルコヒーレント信号処理部は、第1の入力信号に代えて、他の光伝送システム集積回路からの送信信号を入力とするように構成しても良い。
【0015】
一実施形態では、光伝送システム集積回路が有するデジタルコヒーレント信号処理部は、波長多重される複数の波長チャネルのうちの1つに対応する光変調器へ入力される変調信号を生成する。また、上記の他の光伝送システム集積回路のデジタルコヒーレント信号処理部は、複数の波長チャネルのうちの他の1つに対応する変調器へ入力される光変調信号を生成する。
【0016】
この態様の光伝送システム集積回路を送信側にペアで用いても良い。あるいは、本態様の光伝送システム集積回路の構成を省略して上記の他の光伝送システム集積回路を構成し、本態様の光伝送システム集積回路と組み合わせて送信側で用いても良い。
【0017】
したがって、本願発明の第2の態様は、本願発明の第1の態様の光伝送システム集積回路の構成の一部を省略した光伝送システム集積回路(上記の他の光伝送システム集積回路)である。
【0018】
本発明の第3の態様は、光伝送システムの受信側に配置され用いることができる光伝送システム集積回路である。この態様の光伝送システム集積回路は、波長多重された複数の波長チャネルのうちの1つに対応する受光部からの信号を受信して処理して第1の受信信号を出力するデジタルコヒーレント信号処理部と、他の光伝送システム集積回路とインターフェースして、他の光伝送システム集積回路において処理された前記複数の波長チャネルのうちの他の1つに対応する第2の受信信号を、受信する信号転送処理部と、第1の受信信号と第2の受信信号とを統合してクライアント信号とする統合部とを備える。
【0019】
一実施形態では、第1の受信信号は、送信側の第1の光伝送システム集積回路において元のクライアント信号から分離された複数の送信信号のうちの1つに対応し、送信側の第1の光伝送システム集積回路と送信側の第2の光伝送システム集積回路との間で通信された後に、波長多重された複数の波長チャネルのうちの1つで伝送された信号である。また、第2の受信信号は、送信側の第1の光伝送システム集積回路において元のクライアント信号から分離された複数の送信信号のうちの他の1つに対応し、送信側の第1の光伝送システム集積回路と送信側の第2の光伝送システム集積回路との間で通信されることなく、波長多重された複数の波長チャネルのうちの他の1つで伝送された信号である。
【0020】
この態様の光伝送システム集積回路を受信側にペアで用いても良い。あるいは、本態様の光伝送システム集積回路の構成を省略して上記の他の光伝送システム集積回路を構成し、本態様の光伝送システム集積回路と組み合わせて受信側で用いても良い。
【0021】
したがって、本願発明の第4の態様は、本願発明の第3の態様の光伝送システム集積回路の構成の一部を省略した光伝送システム集積回路(上記の他の光伝送システム集積回路)である。
【0022】
また、本発明の第4の態様は、上記の第1乃至第4の態様の光伝送システム集積回路を備えた光伝送システムである。
【0023】
さらに、本発明の第5の態様は、光伝送システムにおける光伝送方法である。本体用の光伝送方法は、送信側の第1の光伝送システム集積回路および第2の光伝送システム集積回路と、受信側の第3の光伝送システム集積回路および第4の光伝送システム集積回路とを含む光伝送システムにおいて、第1の光伝送システム集積回路において、クライアント信号を分離して複数の送信信号を出力し、複数の送信信号のうちの第1の送信信号をデジタルコヒーレント信号処理して、波長多重される複数の波長チャネルのうちの第1の波長チャネルに対応する第1の光変調器へ入力される変調信号を生成し、上記第2の光伝送システム集積回路へ複数の送信信号のうちの第2の送信信号を送信することを含む。また、本形態の光伝送方法は、第2の光伝送システム集積回路において、第1の光伝送システム集積回路から第2の送信信号を受信し、デジタルコヒーレント信号処理し、複数の波長チャネルのうちの第2の波長チャネルに対応する第2の光変調器へ入力される変調信号を生成することを含む。
【0024】
さらに、本態様の光伝送方法は、第3の光伝送システム集積回路において、第1の送信信号を伝送する第1の波長チャネルに対応する第1の受光部からの信号をデジタルコヒーレント信号処理して第1の受信信号として、第4の光伝送システム集積回路へ送信することを含む。さらにまた、本態様の光伝送方法は、第4の光伝送システム集積回路において、第2の送信信号を伝送する第2の波長チャネルに対応する第2の受光部からの信号を処理して第2の受信信号とし、第3の光伝送システム集積回路受信した第1の受信信号と第2の受信信号を統合してクライアント信号を再生することを含む。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、クライアントデータを複数の分割データに分割して複数サブキャリアを用いて伝送する光伝送システム集積回路、光伝送システムおよび光伝送方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態にかかる光伝送システム集積回路を用いた伝送システムを示す構成図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる光伝送システム集積回路を用いた伝送システムを示す構成図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる光伝送システム集積回路を用いた伝送システムを示す構成図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる光伝送システム集積回路を用いた伝送システムを示す構成図である。
図5】複数サブキャリアを用いてクライアントデータを伝送する光伝送システム集積回路の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。図面において同一または類似する符号は、同一または類似する要素を示す。したがって、同一または類似する要素についての繰り返しの説明は省略する。以下の説明では、100Gbpsのクライアント信号を送信側のクライアント機器から受信側のクライアント機器へ伝送する光伝送システムにおいて、クライアント信号を2つの50Gbpsの信号(本明細書において「送信信号」ともいう。)に分離して、それぞれλ1およびλ2の波長帯域のサブキャリア(本明細書において「波長チャネル」とも言う。)を用いてコヒーレント通信方式でそれぞれ伝送する例を説明する。しかしながら、本願発明は、このような具体的な数値例に限定されるものではなく、一般性を失うことは他の数値においても実施することもできることは言うまでもない。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態にかかる光伝送システム集積回路を用いた光伝送システムを示す構成図である。光伝送システム集積回路(100T)は送信側のクライアント機器(例えば、ルータ)との間でクラアント信号の入出力を行うLSIであり、光伝送システム集積回路(100R)は受信側のクライアント機器との間でクラアント信号の入出力を行うLSIである。
【0029】
光伝送システムLSI(第1の光伝送システムLSI(100T−1))は、クライアント信号を入力する100Gbps高速I/F(102)と、クライアント信号を2つの50Gbpsの送信信号に分離する50G分離部104と、一方の送信信号(第1の送信信号)に対してデジタルコヒーレント処理を行うデジタルコヒーレント処理部106−1と、他の光伝送システムLSI(第2の光伝送システムLSI(100T−2))との間で他方の送信信号(第2の送信信号)を通信するチップ間転送処理部108−1とを備える。
【0030】
光伝送システムLSI(100T−1)は、50G分離部104とデジタルコヒーレント処理を行うデジタルコヒーレント処理部106−1との間に、50Gbpsの第1の送信信号のビットを変調方式(BPSK)のシンボルにマッピングする(割り当てる)50Gマッピング回路(不図示)が備えられている。
【0031】
また、光伝送システムLSI(100T−1)は、100Gbps高速IF102とデジタルコヒーレント処理部106−1との間に、100Gbpsの送信信号のビットを変調方式(QPSK)のシンボルにマッピングする(割り当てる)100Gマッピング回路(不図示)を備えるとともに、デジタルコヒーレント信号処理部106−1への入力を50Gマッピング回路と100Gマッピング回路との間で切り替えるセレクタをさらに備えても良い。これにより、100Gbpsの光伝送が可能な場合には、クライアント信号がマッピングされたQPSK変調のシンボルがデジタルコヒーレント信号処理部106−1へ供給され、100Gbpsの光伝送が不可能な場合には、クライアント信号がマッピングされたBPSK変調のシンボルがデジタルコヒーレント信号処理部106−1へ供給されるようにすることができ、光伝送システムLSI(100T−1)の適用性を高めることができる。
【0032】
デジタルコヒーレント処理部106−1は、送信信号に対してデジタルコヒーレント処理を行うものであり、変調方式にしたがって変調信号(例えば、振幅と位相)に対してデジタルコヒーレント信号処理を実行し出力する。デジタルコヒーレント信号処理部106−1からの変調信号は、光変調器/光源150−1へ供給される。これにより、第1の送信信号(あるいは、100Gbpsのクライアント信号)は、光変調器/光源150−1からのλ1の波長帯域のサブキャリア(波長チャネル)により伝送される。
【0033】
チップ間転送処理部108−1は、クライアント信号から分離された他方の送信信号(第2の送信信号)を光伝送システムLSI(100T−2)との間で50Gbpsのレートにおいて通信する際に必要となる、第2の送信信号に対するレーン化処理、誤り訂正処理、フレーム化処理等を行う。
【0034】
光伝送システムLSI(100T−2)は、チップ間転送処理部108−2と、デジタルコヒーレント処理部106−2とを備える。光伝送システムLSI(100T−2)は、チップ間転送処理部108−2とデジタルコヒーレント処理を行うデジタルコヒーレント処理部106−2との間に、50Gbpsの第2の送信信号のビットを変調方式(BPSK)のシンボルにマッピングする(割り当てる)50Gマッピング回路(不図示)が備えられている。
【0035】
チップ間転送処理部108−2は、チップ間転送処理部108−1と対向し、第2の送信信号を復号する処理を行う。
【0036】
デジタルコヒーレント処理部106−2は、デジタルコヒーレント処理部106−1と同様に、第2の送信信号に対応する変調信号(例えば、振幅と位相)に対してデジタルコヒーレント信号処理を実行し出力する。デジタルコヒーレント信号処理部106−2からの変調信号は、光変調器/光源150−2へ供給される。これにより、第2の送信信号は、光変調器/光源150−2からのλ2の波長帯域のサブキャリア(波長チャネル)により伝送される。
【0037】
λ1の波長チャネルとλ2の波長チャネルは、波長多重装置160で合波され波長多重信号として波長分離装置170まで光ファイバを伝播する。λ1の波長チャネルは、受光器180−1で光電変換され、光伝送システムLSI(100R−1)へ入力される。λ2の波長チャネルは、受光器180−2で光電変換され、光伝送システムLSI(100R−2)へ入力される。
【0038】
光伝送システムLSI(100R−1)は、デジタルコヒーレント処理部126−1と、50G多重部(50G統合部)124と、チップ間転送処理部128−1と、100Gbps高速I/F(122)とを備える。また、光伝送システムLSI(100R−1)には、デジタルコヒーレント処理部126−1の後段に50Gデマッピング回路(不図示)を備え、50G多重部124の前段に50Gデマッピング回路の出力を格納するデスキューバッファ125を備える。
【0039】
デジタルコヒーレント処理部126−1は、受光器180−1からの信号に基づいて、歪補償、クロック抽出、位相推定、及びシンボル識別などのデジタル信号処理を行い、識別されたシンボルを出力する。識別されたシンボルは、50Gデマッピング回路(不図示)において受信信号(第1の受信信号)のビットにデマッピングされ(復号され)デスキューバッファ125に一時格納され、光伝送システムLSI(100R−2)のデジタルコヒーレント処理部126−2において識別されたシンボルからデマッピングされた受信信号(第2の受信信号)のビットとのタイミングが調整される。
【0040】
50G多重部124は、第1の受信信号と第2の受信信号とを多重(合成)して100Gbpsのクライアント信号を再生する。再生された100Gbpsのクライアント信号は、100Gbps高速IF(122)から受信側のクライアント装置へ出力される。
【0041】
光伝送システムLSI(100R−2)は、デジタルコヒーレント処理部126−2と、チップ間転送処理部128−2とを備える。また、光伝送システムLSI(100R−2)には、デジタルコヒーレント処理部126−2とチップ間転送処理部128−2との間に50Gデマッピング回路(不図示)を備える。
【0042】
デジタルコヒーレント処理部126−2は、デジタルコヒーレント処理部126−1と同様に受光器180−2からの信号に基づいて、歪補償、クロック抽出、位相推定、及びシンボル識別などのデジタル信号処理を行い、識別されたシンボルを出力する。識別されたシンボルは、50Gデマッピング回路(不図示)において受信信号(第2の受信信号)のビットにデマッピングされる(復号される)。
【0043】
チップ間転送処理部128−1およびチップ間転送処理部128−2は、光伝送システムLSI(100R−1)と光伝送システムLSI(100R−2)の間で50Gbpsのレートにおいて通信する際に必要となる、第2の受信信号に対するレーン化処理、誤り訂正処理、フレーム化処理等を行う。
【0044】
光伝送システムLSI(100R−1)は、光伝送システムLSI(100T−1)と同様に、100Gbps高速IF122とデジタルコヒーレント処理部126−1との間に、変調方式(QPSK)のシンボルを100Gbpsの受信信号のビットにデマッピングする(復号される)100Gデマッピング回路(不図示)を備えるとともに、デジタルコヒーレント信号処理部126−1からの出力を50Gデマッピング回路(不図示)と100Gデマッピング回路(不図示)との間で切り替えるセレクタをさらに備えても良い。これにより、100Gbpsの光伝送が可能な場合には、デジタルコヒーレント信号処理部126−1からQPSK変調のシンボルが100Gデマッピング回路へ供給され、100Gbpsの光伝送が不可能な場合には、デジタルコヒーレント信号処理部126−1からBPSK変調のシンボルが50Gデマッピング回路へ供給されるようにすることができ、光伝送システムLSI(100R−1)の適用性を高めることができる。同時に、デジタルコヒーレント信号処理部126−1を共有することにより、LSI全体に対する占有割合が比較的高いデジタルコヒーレント信号処理部を複数用いる場合に比べて、光伝送システムLSI(100R−1)の回路規模を小さくすることできる。
【0045】
上述した図1の光伝送システムにおいては、第2の送信信号および第2の受信信号は、送信側および受信側のチップ間転送処理部において、レーン化処理、誤り訂正処理、フレーム化処理が行われるため、光伝送システムLSI(100R−1)のでデスキューバッファを大きくする必要がある。
【0046】
図2は、図1を参照して説明した光伝送システムLSI(100T−1)と同様の構成の光伝送システムLSI(100T−2)を送信側に用い、同様に図1を参照して説明した光伝送システムLSI(100R−1)と同様の構成の光伝送システムLSI(100R−2)を受信側に用いた光伝送システムの構成を示す。図2の光伝送システムでは、クライアントは、光伝送システムLSI(100T−1)へ入力され、分離されて複数のサブキャリア(複数の波長チャネル)を用いて伝送され、光伝送システムLSI(100R−2)にいて再生され出力される。図2に示す2つの光伝送システムLSI(100R)は、チップ間転送処理部128と50G多重部124の間にもデスキューバッファ127を備える。図1の光伝送システムLSI(100R−1)においても、同様とすることができる。
【0047】
図2の光伝送システムによれば、チップ間転送処理部において、レーン化処理、誤り訂正処理、フレーム化処理が行われる回数は、λ2の波長チャネルで伝送される第2の送信信号が送信側で1回となり、λ1の波長チャネルで伝送された第1の受信信号が受信側で1回となるため、光伝送システムLSI(100R)のでスキューバッファ125を小さくことができる。ただし、伝送路の状況等により、λ1の波長チャネルとλ2の波長チャネルのいずれが遅延するか分からないので、上述したように、デスキューバッファ125、127を備えている。遅延差を吸収するようにしている。
【0048】
図3は、図1の光伝送システムに類似する光伝送システムの構成を示す。図3の光伝送システムでは、受光器180−1がλ2の波長チャネルを受光するように波長分離装置に接続されている。受光器180−2がλ1の波長チャネルを受光するように波長分離装置に接続されている。波長選択性のある波長分離装置170を用いることで、図1の光伝送システムを図3の光伝送システムのように構成することができる。この場合も、図2の光伝送システムと同様に、光伝送システムLSI(100R−1)のデスキューバッファ125,127を小さくすることができる。
【0049】
図4は、図2の光伝送システムに類似する光伝送システムの構成であり、図3を参照して上述したような波長選択性のある波長分離装置170を用いたシステム構成例を示す。図4の光伝送システムでは、クライアントは、光伝送システムLSI(100T−1)へ入力され、分離されて複数のサブキャリア(複数の波長チャネル)を用いて伝送され、光伝送システムLSI(100R−1)にいて再生され出力される。この場合も、図2の光伝送システムと同様に、光伝送システムLSI(100R)のデスキューバッファ125,127を小さくすることができる。
【0050】
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、一組の光伝送システムLSI(100T−1,100T−2,100R−1,100R−2)を1つの基板上にしてそれぞれ送信側と受信側に用いても良く、2つの光伝送システムLSI(100T,100R)を1つの基板上に配置して、2枚の基板を1組としてそれぞれ送信側と受信側に用いても良い。さらに光伝送システムLSIの構成例としては100T−1および100R−1をワンチップ化するとともに100T−2は100T−1を、100R−2は100R−1を流用できるようにしたものを用意してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 光伝送システム集積回路(LSI)
12 100Gbps高速インターフェース(I/F)
14 100G用シンボルマッピング部
16 デジタルコヒーレント処理部
22 光伝送システム集積回路(LSI)
24 100G用シンボルデマッピング部
26 デジタルコヒーレント処理部
150 光変調器/光源
160 波長多重部
170 波長分離部
180 受光器
100T,100R 光伝送システム集積回路(LSI)
102、122 100Gbps高速インターフェース(I/F)
104 50G分離部
106,126 デジタルコヒーレント処理部
108,128 チップ間転送処理部
124 50G多重部(50G統合部)
125,127 デスキューバッファ
図1
図2
図3
図4
図5