特許第5918254号(P5918254)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918254
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】透過性領域を含む研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20160428BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20160428BHJP
   B24D 11/00 20060101ALI20160428BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20160428BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   B24B37/00 L
   B24B37/00 T
   B24D11/00 M
   B24B49/04 Z
   H01L21/304 622F
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-540037(P2013-540037)
(86)(22)【出願日】2011年11月18日
(65)【公表番号】特表2013-542863(P2013-542863A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】US2011061312
(87)【国際公開番号】WO2012068428
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年5月12日
(31)【優先権主張番号】61/415,015
(32)【優先日】2010年11月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】キャボット マイクロエレクトロニクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100186370
【弁理士】
【氏名又は名称】小久保 菜里
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ニューウェル
(72)【発明者】
【氏名】アバネシュウォー プラサド
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−110762(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0123300(US,A1)
【文献】 特表2008−512006(JP,A)
【文献】 特開2008−226911(JP,A)
【文献】 特開2007−313645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/24
B24B 37/26
B24D 11/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的透過性領域を含む研磨パッドであって、該研磨パッドが
(a)第一の領域及び第二の領域を含む研磨パッド本体であって、ここで該第一の領域が不透明であり、該第二の領域が光学的透過性であり、該第二の領域がそこに形成された少なくとも1つの凹部を有し、該少なくとも1つの凹部が、該第一の領域の一部圧縮された部分として形成されている、研磨パッド本体、及び
(b)該少なくとも1つの凹部に組み入れられた少なくとも1つの半透明のインサート
を含み、
ここで、該半透明のインサートが、該研磨パッド本体の調製に用いられた材料とは異なる多孔質材料を含み、該半透明のインサートの研磨表面に模様がついている、研磨パッド。
【請求項2】
該研磨パッド本体が第一の熱可塑性ポリマーを含み、該少なくとも1つの半透明のインサートが該第一の熱可塑性ポリマーとは異なる第二の熱可塑性ポリマーを含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
該半透明のインサートが第一の熱可塑性ポリマー及び第二の熱可塑性ポリマーを含み、該第一の及び第二の熱可塑性ポリマーが不混和性であって該半透明のインサート内で異なる相を形成する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
該半透明のインサートが該多孔質材料とは異なる材料の粒子をさらに含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
該粒子が水溶性の材料を含む、請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項6】
該半透明のインサートが0.1%〜10%の空隙容量を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
該第二の領域が、そこに形成されている第一の凹部及び第二の凹部を有し、該第一の凹部が、そこに組み入れられた第一の半透明のインサートを有し、該第二の凹部が、そこに組み込まれた第二の半透明のインサートを有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項8】
該第二の凹部を含む該研磨パッド本体の面が平面を規定し、該第二の半透明のインサートの表面が実質的に該平面と同一平面上にある、請求項に記載の研磨パッド。
【請求項9】
該第二の凹部を含む該研磨パッド本体の面が平面を規定し、該第二の半透明のインサートの表面が該平面を超えて伸びている、請求項に記載の研磨パッド。
【請求項10】
(a)第一の多孔質の材料を含む研磨パッド本体を提供するステップ、
(b)少なくとも1つの凹部を、該研磨パッド本体の一部の領域を圧縮することによって該研磨パッド本体内で該研磨パッドの研磨面に形成するステップ、
(c)該第一の多孔質材料とは異なる第二の多孔質材料を有する、少なくとも1つの半透明のインサートを提供するステップ、及び
(d)該少なくとも1つの半透明のインサートを該凹部に接着し、少なくとも1つの光学的透過性領域を有する研磨パッドを提供するステップ、
を含む、光学的透過性領域を有する研磨パッドの製造方法。
【請求項11】
該研磨パッド本体が第一の熱可塑性ポリマーを含み、該少なくとも1つの半透明のインサートが、該第一の熱可塑性ポリマーとは異なる第二の熱可塑性ポリマーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該半透明のインサートが第一の熱可塑性ポリマー及び第二の熱可塑性ポリマーを含み、該第一の及び第二の熱可塑性ポリマーが不混和性であって該半透明のインサート内で異なる相を形成する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
該半透明のインサートが、該第二の多孔質材料とは異なる材料の粒子をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
該半透明のインサートが、該半透明のインサートを該凹部に接着するよりも前に形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
該半透明のインサートが、該半透明のインサートの前駆体を該凹部内に配置し、次に該前駆体を該半透明のインサートに転化することにより形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
凹部を該研磨パッド本体内に形成するステップが、圧力、熱、高周波放射、超音波溶着、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるエネルギー入力の使用を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
該少なくとも1つの半透明のインサートを該凹部に接着するステップが、溶剤接着、圧力、熱、高周波放射、超音波溶着、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるエネルギー入力の使用を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
該半透明のインサートの研磨表面に模様がついている、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
化学的機械研磨(「CMP」)法は、マイクロエレクトロニクスデバイスの製造において、半導体ウエハー、電界放出ディスプレー、及び多くの他のマイクロエレクトロニクス基材上に平らな表面を形成するために用いられる。例えば、半導体デバイスの製造は一般に、様々なプロセス層の形成、それらの層の一部の選択的除去又はパターン形成、及び半導体基材の表面上へのさらなる追加のプロセス層の堆積を伴って、半導体ウエハーを形成する。プロセス層としては、例として、絶縁層、ゲート酸化物層、導電性層、及び金属又はガラスの層などが可能である。このウエハープロセスのあるステップにおいては、次に続く層の堆積のために、プロセス層の最上表面が平らであること、すなわち平坦であることが一般に望ましい。CMPはプロセス層を平坦化するために用いられ、堆積させた材料、例えば導電性又は絶縁材料などは、次に続く工程のステップのために研磨されてウエハーを平坦化する。
【背景技術】
【0002】
基材表面の研磨においては、その場で研磨プロセスをモニターすることがしばしば有利である。研磨プロセスをその場でモニターする1つの方法は、開口部又は窓を有する研磨パッドの使用を伴う。開口部又は窓は、研磨プロセスの間に光が通過し光検出システムによる基材表面の検査を可能にする門を提供する。開口部又は窓を有する研磨パッドは既知であり、基材、例えば半導体デバイスなどを研磨するのに用いられている。例えば、米国特許第6,171,181号は、半透明の領域及び不透明領域を有するワンピース成形品を含む研磨パッドを開示している。半透明の領域は、ポリマー材料の一部が、凝固後にその透明性を維持するように、最初は半透明の流動性ポリマー材料の凝固により形成される。流動性ポリマー材料の領域の急速冷却は、該領域の凝固をもたらし、該領域において材料の結晶化を最小限にする、及び非晶質半透明の領域を提供する。米国特許第6,840,843号は、半透明の領域を含む研磨パッドを開示しており、ここで半透明の領域は、半透明の領域を提供するために、多孔質のポリマー研磨パッド基材の領域を圧縮することにより調製される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、開口部又は窓は、研磨パッドの残りの部分とは異なる特性、例えば多孔性、硬度、摩耗耐性などをしばしば有する。これらの特性の相違点は、しばしば、基材の非均一な研磨をもたらす。また、開口部又は窓は、典型的にはターゲット基材及び検出器への光の透過を最大にできるように設計されている。この事実は、最適なエンドポイント検出のために、異なる基材及び異なる検出器が光の異なる質又は量を必要とする場合があることを考慮していない。従って、本技術分野において、光学的透過性領域を有する研磨パッドを改良することがいまだ求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、光学的透過性領域を含む研磨パッドを提供し、ここで該研磨パッドは、(a)第一の領域及び第二の領域を含む研磨パッド本体(ここで該第一の領域は不透明であり、該第二の領域は光学的透過性であり、該第二の領域はそこに形成された少なくとも1つの凹部を有する)、及び(b)該少なくとも1つの凹部に組み入れられた少なくとも1つの半透明のインサートを含み、ここで、該研磨パッド本体は第一の多孔質材料を含み、該少なくとも1つ半透明のインサートは該第一の多孔質材料とは異なる第二の多孔質材料を含む。
【0005】
本発明はまた、(a)研磨パッド本体(ここで該研磨パッド本体は第一の多孔質材料を含む)を提供するステップ、(b)該研磨パッド本体の少なくとも一部の該研磨パッド本体内に、少なくとも1つの凹部を形成させるステップ、(c)少なくとも1つの半透明のインサートを提供するステップ(ここで、該半透明のインサートは該第一の多孔質材料とは異なる第二の多孔質材料を含む)、及び(d)該少なくとも1つの半透明のインサートを該凹部に接着し、少なくとも1つの光学的透過性領域を有する研磨パッドを提供するステップ、を含む、光学的透過性領域を有する研磨パッドの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の一実施態様に従う、研磨パッドの断面図である。
【0007】
図2図2は、本発明の一実施態様に従う、研磨パッドの断面図である。
【0008】
図3A図3Aは、本発明のある実施態様に従う、半透明窓の代表的な表面模様を描いている。
図3B図3Bは、本発明のある実施態様に従う、半透明窓の代表的な表面模様を描いている。
図3C図3Cは、本発明のある実施態様に従う、半透明窓の代表的な表面模様を描いている。
【0009】
図4図4は、本発明の一実施態様に従う、研磨パッドの断面図である。
【0010】
図5図5は、本発明の一実施態様に従う、研磨パッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、光学的透過性領域を含む研磨パッドを提供する。該研磨パッドは、(a)第一の領域及び第二の領域を含む研磨パッド本体(ここで該第一の領域は不透明であり、該第二の領域は光学的透過性であり、該第二の領域は、その中に形成された少なくとも1つの凹部を含む)、及び(b)該少なくとも1つの凹部中に組み入れられた、少なくとも1つの半透明のインサート(ここで該研磨パッド本体は第一の多孔質材料を含み、該少なくとも1つの半透明のインサートは、該第一の多孔質材料とは異なる第二の多孔質材料を含む)を含む。
【0012】
研磨パッドは、任意の適切な寸法を有することができる。典型的には、研磨パッドは(ロータリー研磨工具において用いられるような)円形であるか、又は(リニア研磨工具において用いられるような)環状のリニアベルトとして製造される。好ましくは、研磨パッドは円形である。
【0013】
研磨パッド本体は任意の適切な材料を含むことができる。望ましくは、研磨パッド本体はポリマー樹脂を含む。ポリマー樹脂は、任意の適切なポリマー樹脂が可能である。典型的には、ポリマー樹脂は、熱可塑性エラストマー、熱硬化性ポリマー、ポリウレタン(例えば、熱可塑性ポリウレタン)、ポリオレフィン(例えば、熱可塑性ポリオレフィン)、ポリカーボネート、水溶性ポリマー(ポリエチレンオキシド、グリコール、ポリ(ビニルアルコール)など)、生分解性ポリマー(ポリ(乳酸)、ポリ(ヒドロキシルブチラート)など)、UV又はガンマ線によって架橋可能なポリマー、ポリシリコーン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ナイロン、弾性ゴム、弾性ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアリーレン、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物、からなる群より選択される。ポリマー樹脂は好ましくはポリウレタンであり、より好ましくは熱可塑性ポリウレタンである。
【0014】
研磨パッド本体は、任意の適切な技術を用いて製造することができ、それらの多くは本技術分野において既知である。例えば、研磨パッド本体は、注型及び押出などの方法により形成することができる。ポリマー樹脂は、それが流れる温度まで加熱され、次に注型又は押出によって望みの形状に形成される熱可塑性材料であってよい。ポリマー樹脂は、その自然の配置により、多孔質の構造を提供してよい。他の実施態様において、多孔質の構造は、本技術分野において既知の様々な製造技術(例えば、フォーミング(foaming)、ブローイング(blowing)など)の使用によって導入されてよい。独立気泡の細孔を含む多孔質の構造を提供する代表的な方法は、超臨界流体(SCF)法、転相法、スピノーダル又はバイモーダル分解法、又は加圧ガス注入法などの発泡法を含み、これらはすべて本技術分野において既知である。連続気泡の細孔を含む多孔質の構造を提供する代表的な方法は、ポリウレタンなどの熱可塑性ポリマーの粒子を焼結し、連続気泡の多孔質の構造を提供することを含む。
【0015】
パッドは、第一の領域及び第二の領域を含む本体を含み、ここで第一の領域は不透明であり、第二の領域は光学的透過性である。研磨パッド本体の第一の領域は多孔質であり、第一の空隙容量を有する。第一の空隙容量はゼロではなく、任意の適切なゼロでない空隙容量が可能である。例えば、第一の空隙容量は5%以上(例えば、10%以上、又は20%以上、又は30%以上、又は40%以上)が可能である。あるいは、又はその上、第一の空隙容量は、70%以下(例えば、60%以下、又は50%以下、又は45%以下、又は40%以下)が可能である。第一の空隙容量は、前述の空隙容量の任意の2つにより境界づけられることができる。従って、例えば、第一の空隙容量は、20%〜70%、又は20%〜60%、又は20%〜50%、又は25%〜70%、又は25%〜60%、又は25%〜50%が可能である。
【0016】
研磨パッド本体の第一の領域は、任意の適切な平均細孔サイズを有することができる。例えば、研磨パッド本体の第一の領域は、500μm以下(例えば、300μm以下、又は200μm以下)の平均細孔サイズを有することができる。1つの好ましい態様において、研磨パッド本体の第一の領域は、50μm以下(例えば、40μm以下、又は30μm以下)の平均細孔サイズを有する。別の好ましい態様において、研磨パッド本体の第一の領域は、1μm〜20μm(例えば、1μm〜15μm、又は1μm〜10μm)の平均細孔サイズを有する。
【0017】
典型的には、研磨パッド本体の第一の領域は、主に独立気泡(すなわち細孔)を含む。しかしながら、研磨パッド本体の第一の領域はまた、連続気泡を含むこともできる。好ましくは、研磨パッド本体の第一の領域は、全体の空隙容量あたり5%以上(例えば、10%以上)の独立気泡を含む。より好ましくは、研磨パッド本体の第一の領域は、全体の空隙容量あたり20%以上(例えば、30%以上、40%以上、又は50%以上)の独立気泡を含む。
【0018】
研磨パッド本体の第二の領域は、多孔質、実質的に非多孔質、又は完全に非多孔質が可能である。研磨パッド本体の第二の領域は、典型的には、研磨パッド本体の第一の領域の空隙容量よりも小さい空隙容量を有する。
【0019】
研磨パッド本体の第一の領域は、実質的に又は完全に不透明である。一つの実施態様において、研磨パッド本体の一部は、実質的に又は完全に不透明であるが、これは圧縮されて、光学的透過性である研磨パッド本体の第二の領域を形成する。明細書中で用いられる「光学的透過性」という用語は、研磨パッドの表面に接触する光の少なくとも一部を透過する能力を意味し、わずかに、部分的に、実質的に、及び完全に半透明の又は透明の材料を説明するように用いることができる。研磨パッド本体の少なくとも1つの第二の領域は、特に研磨パッドと共に用いられる研磨デバイス中で使用される際に、好ましくは少なくとも390〜3500nmの波長を有する光に光学的透過性であり、より好ましくは可視光、及び最も好ましくはレーザー光源からの可視光に光学的透過性である。
【0020】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、研磨パッド本体中の細孔は多孔質の構造を通過する光を散乱させ、それによって研磨パッド本体の透光性を減少させる又は研磨パッド本体を不透明にすると考えられている。光散乱の程度は、平均細孔サイズ及び平均細孔容積の関数であると考えられている。研磨パッド本体を圧縮することは、圧縮されている領域における研磨パッド本体の多孔性を減少させることにより、細孔の光散乱効果を減少させるとさらに考えられている、結果として、圧縮領域(すなわち、研磨パッド本体の第二の領域)は、圧縮されていない研磨パッド本体(すなわち、研磨パッド本体の第一の領域)と比較して、光透過率が増加している(すなわち、光散乱レベルが減少及び半透明性が増加している)。
【0021】
当業者によって理解されるであろうように、この方法で与えられた半透明性の程度は、少なくともある程度は、多孔質のポリマー構造が圧縮されている程度(すなわち、多孔質のポリマー構造の多孔性が減少させられている程度)に依存するだろう。例えば、研磨パッド本体は、その圧縮前の厚さ(すなわち、研磨パッド本体の非圧縮厚)の10〜50%(例えば、20〜40%)まで圧縮することができる。
【0022】
少なくとも1つの凹部を形成するための研磨パッド本体の圧縮は、本技術分野において既知の任意の適切な方法で実施することができる。当業者によって理解されるであろうように、圧縮の最も効果的な技術は、少なくともある程度は、研磨パッド本体の製造に用いられる特定のポリマーに依存するだろう。研磨パッド本体は、例えば、RF溶着技術の使用により、カレンダーローラーの使用により、又は段プレス、スタンピング機などの本技術分野において既知の様々なプレス装置の使用により、圧縮することができる。さらに、単独又は他の圧縮技術と併用して、熱を用い圧縮構造を達成することができる。例えば、研磨パッド本体を、研磨パッド本体の第二の領域の細孔を、研磨パッド本体の構造中に使用されているポリマーの重みで崩壊させるのに十分な時間の間、その軟化又は溶融温度に近づく、合致する又は超える温度に加熱することができる。あるいは、別の圧縮技術を用いて研磨パッド本体を圧縮する前、間、又は後に、研磨パッド本体に熱を加えることができる。例えば、RF溶着法は、1又は複数のダイをメガヘルツ領域の高周波エネルギーの印加と併用し、1又は複数のダイに接触する研磨パッド本体の加熱を引き起こして、研磨パッド本体の領域の圧縮を引き起こすことができる。別の例において、研磨パッド本体の領域を圧縮するために、熱プレス又は熱ローラーを用いて研磨パッド本体を圧縮することができる。熱を別の圧縮技術と併用して該研磨パッド本体を圧縮する際、研磨パッド本体は好ましくは、研磨パッド本体の軟化又は溶融温度に近づく、合致する、又は超える温度に加熱される。
【0023】
別の実施態様において、研磨パッド本体の第二の領域には、少なくとも1つの凹部が設けられ、ここで少なくとも1つの凹部が、研磨パッド本体の1つの面(すなわち、1つの表面)に形成される。前記凹部、又は陥凹された部分は、ルータ工具の使用などの任意の適切な方法を用い、パッドの面からパッド材料を取り除くことにより形成することができる。一つの実施態様において、材料は凹部部分から、コンピュータ数値制御された(CNC)ルータテーブルに備え付けられたロータリー切削工具によって取り除かれる。切削の深さ、凹部の位置、切削工具の回転速度及び凹部の平坦性が、プログラミングコー
ドにより制御される。別の実施態様において、研磨パッド本体の第二の領域には、第一の凹部及び第二の凹部が設けられ、ここで第一の及び第二の凹部は、研磨パッド本体の対向する面のパッド材料を取り除くことにより形成される。
【0024】
研磨パッドは、少なくとも1つの陥凹された部分に組み入れられた、少なくとも1つの半透明のインサートを含む。半透明の窓は、研磨パッド本体の調製において用いられる材料とは異なる、多孔質材料を含む。半透明のインサートは、任意の適切な材料を含むことができる。望ましくは、半透明のインサートは、ポリマー樹脂を含む。ポリマー樹脂は、明細書中で説明されるように、研磨パッド本体の調製において用いるためのものであることができる。好ましくは、半透明のインサートの調製において用いられるポリマー樹脂は、熱可塑性ポリマーである。
【0025】
図1は、本発明の研磨パッドの一実施態様を描いている。インサート20は、該研磨パッド本体中の凹部に組み入れられ、透過性領域を形成している。サブパッド30は研磨パッド本体10の底部表面に貼られている。
【0026】
半透明のインサートは、研磨パッド本体の調製のための、明細書中で説明される任意の方法などの、任意の適切な方法を用いて調製することができる。好ましい態様において、半透明のインサートは熱可塑性ポリマー樹脂(例えば、熱可塑性ポリウレタン)の注型又は押出によって調製され、その後に加圧ガス射出プロセスが続く。例えば、熱可塑性ポリマー樹脂は押出されて窓ブランク材料のシートを提供することができ、これは次に圧力室において高圧二酸化炭素にさらされ、その後に加熱が続き吸収された二酸化炭素を膨張させポリマー樹脂を発泡させる。このインサート材料は次に、研磨パッド本体の面上の凹部の最終形状に打ち抜かれ、RF溶着を用いて凹部に組み入れられる。
【0027】
半透明のインサートは、ゼロではない空隙容量を有する。例えば、半透明のインサートの空隙容量は、1%以上(例えば、2%以上、又は3%以上、又は4%以上、又は5%以上)が可能である。あるいは、又はその上、半透明のインサートの空隙容量は、25%以下(例えば、20%以下、又は15%以下)が可能である。半透明のインサートの空隙容量は、前述の空隙容量の任意の2つにより境界づけられることができる。従って、例えば、半透明のインサートの空隙容量は、1%〜25%、又は1%〜20%、又は1%〜15%、又は1%〜10%、又は25%〜60%、又は25%〜50%が可能である。
また、本発明の態様によっては、半透明のインサートは、0.1%〜10%の空隙容量を有する。
【0028】
半透明のインサートは、任意の適切な平均細孔サイズを有することができる。例えば、半透明のインサートは、50μm以下(例えば、40μm以下、又は30μm以下)の平均細孔サイズを有する細孔を含むことができる。好ましい態様において、半透明のインサートは、1μm〜20μm(例えば、1μm〜15μm、又は1μm〜10μm)の平均細孔サイズを有する細孔を含む。
【0029】
典型的には、半透明のインサートは主に独立気泡(すなわち、細孔)を含む。しかしながら、半透明のインサートはまた連続気泡を含むこともできる。好ましくは、半透明のインサートは、全体の空隙容量あたり、5%以上(例えば、10%以上)の独立気泡を含む。より好ましくは、半透明のインサートは、全体の空隙容量あたり、20%以上(例えば、30%以上、40%以上、又は50%以上)の独立気泡を含む。
【0030】
半透明のインサートは、任意の適切な技術の使用により、少なくとも1つの凹部に組み入れられることができる。適切な技術の限定されない例は、溶着技術及び接着剤の使用を含む。好ましくは、半透明のインサートは溶着技術の使用により、より好ましくはRF溶着又は超音波溶着の使用により、少なくとも1つの凹部に組み入れられる。RF溶着は、研磨パッド本体上の凹部の中に溶着されるべき半透明のインサートの位置決め及び溶着プロセスを管理するダイの使用を伴う。メガヘルツスケールの高周波が材料を通過させられ、その結果、ピースは加熱され、半透明のインサートが凹部に組み入れられる。超音波溶着は、凹部中の半透明の窓及び研磨パッド本体を含む材料を溶融する高周波音波の使用を伴い、それによって、半透明のインサートが凹部に組み入れられるように、材料を共に流れさせる。典型的には、超音波の源は、高周波の電気信号をキロヘルツスケールの音に変換する、音を発生させる金属同調デバイス(例えば、「ホーン」)であるが、任意の適切な超音波の源を用いることができる。ホーンは、任意の適切なホーン、例えば、ステンレス製のホーンが可能である。ホーンは、任意の適切な形状又は配置を有することができ、好ましくは半透明のインサートの形状と類似の形状、又は同一の形状すら有するように機械加工される。
【0031】
ある態様において、半透明のインサートは、研磨パッド本体中の凹部において、その場で形成される。凹部の形成の後、半透明のインサートの前駆体が凹部内に設置され、次に半透明のインサートに転化される。例えば、熱可塑性ポリウレタンの粒子を凹部に設置することができ、その後にRF溶着の使用によるなどの加熱及び/又は圧縮が続き、凹部に組み入れられた、焼結された半透明のインサートを提供する。
【0032】
ある態様において、研磨パッドは、研磨パッド本体の対向する面に形成された凹部に組み入れられた、少なくとも2つの半透明のインサートを含み、ここで、半透明のインサートは、望ましくはお互いに一直線に並んでいる。これらの態様において、少なくとも2つの半透明のインサートは、同一又は異なることが可能である。少なくとも2つの半透明のインサートは、同一又は異なるポリマー樹脂を含むことができる。少なくとも2つの半透明のインサートが異なる際、研磨パッドの前面にある半透明のインサートは多孔質であり、一方で研磨パッドの前面と対向する半透明のインサートは、多孔質であってよい、又は実質的に若しくは完全にさえ非多孔質であってよい。
【0033】
図2は、2つの半透明のインサートを含む、本発明の研磨パッドの一態様を描いている。半透明のインサート20及び40は、一直線に並べられ、研磨パッド本体10上の対向する凹部に組み入れられる。サブパッド30は、研磨パッド本体10の底部表面に貼られている。
【0034】
いくつかの態様において、半透明のインサートは表面模様を有する。表面模様は、半透明の窓の表面を横切る、研磨組成物、又は研磨剤粒子の水平輸送を容易にする。表面模様は、任意の適切な技術を用いて提供されることができ、その例は、半透明の窓の表面をエンボス加工することによるものである。エンボス加工は、図3A〜3Cで描かれているような、様々なパターンを提供することができる。例えば、エンボス加工は、図3Aに描かれているようなディンプルパターン、図3Bに描かれているような六角形パターン、又は図3Cに描かれているような反転六角形パターンを作り出すように用いることができる。他の適切な表面模様パターンは、当業者によって直ちに想像されることができる。
【0035】
表面模様は、半透明の窓を研磨パッド本体に組み入れる溶着プロセスの間に半透明の窓の表面に転写される特徴的形状を有するRF溶着工具を用いることにより、半透明の窓の表面にエンボス加工されることができる。あるいは、表面模様は、研磨パッド本体へ組み入れるよりも前に、半透明のインサートの表面にエンボス加工されることができる。さらに、発泡した半透明のインサートの表面上の表面模様の形成は、模様パターンの形成をもたらす異なる程度の圧縮に対応して、典型的には半透明のインサート内の、より高い及び低い多孔性の領域の形成をもたらす。
【0036】
半透明のインサートの表面模様は、所望の光透過の量を提供するように調整されることができる。表面模様の存在は、入射する放射ビームのより大きな光散乱をもたらすことができ、従って表面模様の密度及び種類は、所望の光透過特性を提供するように選択されることができる。その上、例えばエンボス加工による、半透明の窓の多孔性の程度の変更はまた、細孔により引き起こされる光散乱に影響を及ぼすこともできる。
【0037】
半透明のインサートは任意に、半透明のインサートに組み入れられている溶解性粒子を含む。存在する場合、溶解性粒子は好ましくは半透明のインサート全体に分散させられる。前記溶解性粒子は、化学的機械研磨の間に、部分的に又は完全に研磨組成物の液体キャリア中に溶解する。典型的には、溶解性粒子は水溶性粒子である。例えば、溶解性粒子は、任意の適切な水溶性粒子であることができ、例えばデキストリン、シクロデキストリン、マンニトール、ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、デンプン、タンパク質、非晶質非架橋ポリビニルアルコール、非晶質非架橋ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、水溶性感光性樹脂、スルホン酸化ポリイソプレン、及びスルホン酸化ポリイソプレンコポリマーから成る群より選択される材料の粒子などがある。溶解性粒子はまた、無機水溶性粒子であることができ、例えば酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、硝酸マグネシウム、炭酸カルシウム、及び安息香酸ナトリウムからなる群より選択される材料の粒子などがある。溶解性粒子が溶解する際、半透明の窓は、溶解性粒子のサイズに対応する開いた細孔を伴って残ることができる。
【0038】
一態様において、半透明のインサートは第一の熱可塑性ポリマー及び第二の熱可塑性ポリマーを含み、ここで第一の及び第二の熱可塑性ポリマーは不混和性であり、半透明のインサート内に異なる相を形成する。半透明のインサートの屈折率は、その構成に用いられている熱可塑性ポリマーの屈折率及びそれらの相対的な量に依存するだろう。そして、半透明のインサートの屈折率は、前述のパラメーターに基づき変化させることができる。
【0039】
半透明のインサートは任意の適切な形状、寸法、又は配置が可能である。例えば、半透明のインサートは、円、楕円、長方形、又は正方形の形状を有することができる。半透明のインサートが楕円又は長方形の形状の場合、インサートは典型的には、3cm〜8cmの最大長を有する。半透明のインサートが円又は正方形の形状の場合、半透明のインサートは典型的には、1cm〜4cmの直径又は幅を有する。半透明のインサートは典型的には、0.1cm〜5cm(例えば、0.1cm〜3cm、又は0.1cm〜1cm)の厚さを有する。
【0040】
研磨パッドは、任意の適切な数の半透明のインサートを含むことができる。1又は複数の半透明のインサートは、研磨パッド本体の任意の適切な場所に位置づけることができる。
【0041】
一態様において、研磨パッドは、透過性領域に設置されたウェアインジケーターをさらに含む。ウェアインジケーターは、望ましくは研磨装置により発生されるエンドポイント信号を変え、研磨パッドが新しい研磨パッドへ交換される準備ができていることを通知する。窓のウェアインジケーターは典型的には、陥凹された部分及び半透明のインサートとの間の、パッドの陥凹された部分に組み入れられる。適切なウェアインジケーターの限定されない例は、着色熱可塑性ウレタン層、極性熱可塑性ウレタン層、蛍光剤を含む熱可塑性ウレタン層、独特の光透過特性を有するポリマー層、酸化層、サーモクロミック色素を含むポリマー、窓のリークを検出するための湿気表示層、及び波長フィルタリング層を含む。図4は、半透明のインサート20と研磨パッド10との間に置かれたウェアインジケーター50を有し、研磨パッド本体10に組み入れられた対向する半透明のインサート20及び40を含む本発明の研磨パッドの一態様を描いている。サブパッド30は、研磨パッド10の底部表面に貼られている。
【0042】
研磨パッドが、お互いに対向するように配置され、研磨パッド本体の対向する面上に形成された第一及び第二の凹部に組み入れられた、2つの半透明のインサートを含むとき、研磨パッドの後面に組み入れられた半透明のインサートは、研磨パッドの後面と同一平面上にあることができ、研磨パッドの後面より陥凹されることができ、又は研磨パッドの後面を超えて伸びることができる。研磨パッドの後面を超えて伸びる半透明のインサートが、図5に描かれている。第一の半透明のインサート20は、研磨パッド本体10の研磨表面上で第一の凹部に組み入れられ、研磨表面と同一平面上にあり、第二の半透明のインサート40は、研磨パッド本体10の底部表面上の、第二の、対向する凹部に組み入れられ、研磨パッド本体10の底部表面を超えて伸びる。使用時に、貼られたサブパッド30の圧板(示していない)による圧縮は、圧板が第二の半透明のインサート40に圧力を加えることを可能にする。第二の半透明のインサート40に加えられる圧力は、第一の半透明のインサート20に伝えられ、第一の半透明のインサート20と、研磨される基材との間にエアポケットが形成されることを防ぐのを助けることができる。
【0043】
本発明に従う研磨パッドは、単独で用いることができるか、又は図1、2、4、及び5に図示されているように、多層積層研磨パッドの1つの層として任意に用いることができる。例えば、本発明の研磨パッドはサブパッドと組み合わせて使用することができる。サブパッドは、任意の適切なサブパッドが可能である。適切なサブパッドは、ポリウレタンフォームサブパッド、含浸フェルトサブパッド、微細多孔質ポリウレタンサブパッド、又は焼結ウレタンサブパッドを含む。サブパッドは典型的には本発明の研磨パッドよりも柔らかく、それゆえ研磨パッドよりも圧縮性が大きい。いくつかの態様において、サブパッドは研磨パッドよりも硬く、圧縮性が小さい。サブパッドは少なくとも1つの窓又は開口部を含み、研磨パッドの透過性領域を露出させている。サブパッドは、溝、流路、中空部分などを任意に含む。本発明の研磨パッドがサブパッドと組み合わせて使用される場合、典型的には、研磨パッド及びサブパッドと同一の広がりを持ち、かつその間にある、ポリエチレンテレフタラートフィルムなどの中間のバッキング層が存在する。
【0044】
本発明の研磨パッドは、研磨パッドの表面を横切る、研磨組成物の水平輸送を容易にする溝、流路、及び/又は穿孔を任意にさらに含む研磨表面を有する。このような溝、流路、又は穿孔は任意の適切なパターンが可能であり、任意の適切な深さ及び幅を有することができる。研磨パッドは2以上の異なる溝パターンを有することができる。例えば、大きい溝と小さい溝の組み合わせを用いることができる。溝は、斜めの溝、同心溝、らせん又は円形溝、XYクロスハッチパターンの形状が可能であり、連結性において、連続又は非連続であることができる。好ましくは、研磨パッドは標準的なパッド調整方法により作られた小さい溝を少なくとも含む研磨表面を有する。典型的には、半透明の窓は、研磨パッドに対するものと同じ溝、流路、及び/又は穿孔を備えていない。
【0045】
本発明はさらに、基材を研磨する方法を提供し、この方法は(i)研磨される基材を提供すること、(ii)該基材を明細書中で説明されている本発明の研磨パッド及び研磨組成物を含む研磨システムに接触させること、及び(iii)該研磨システムで該基材の少なくとも一部を摩耗させ、該基材を研磨すること、を含む。
【0046】
研磨組成物は、任意の適切な研磨組成物であることができる。研磨組成物は典型的には水性キャリヤ、pH調整剤、及び任意に研磨剤を含む。研磨されるワークピースの種類に依存して、研磨組成物は任意に、酸化剤、有機酸、錯化剤、pH緩衝剤、界面活性剤、腐食防止剤、消泡剤などをさらに含むことができる。
【実施例】
【0047】
以下の例は本発明をさらに説明するが、当然ながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0048】
例1
この例は、本発明の研磨パッドの透過性領域を通過するレーザー光の透過%に及ぼす半透明のインサートのテクスチャリングパターンの効果を明示している。
【0049】
多孔質のポリウレタンフォーム研磨パッド(D-200、Cabot Microelectronics、Aurora、IL)のピースを切削し、ルータ工具を用いて研磨表面側上に凹部を形成することによって、サンプルを調製した。凹部は30ミルの深さで、楕円の(oblong)形状に形成した。研磨パッドピースは53〜56ミルの厚さであった。
【0050】
55のショアーD硬度を有する熱可塑性ポリウレタンの半透明のインサートを、それらの表面に異なる模様パターンを形成させ調製した。模様は、パターンのあるアルミニウム工具を用い、RF溶着法によって形成した。パターンは、アルミニウム工具表面のレーザー彫刻又は化学エッチングのどちらかにより形成した。工具パターンは、Mold-Tech Inc.(Carol Stream、IL)により作成した。半透明のインサートを次に、RF溶着により研磨パッドピースに形成された凹部に組み入れ、試験用の透過性領域を形成した。
【0051】
655nmレーザー光源からのレーザー光を、試験される各透過性領域を通してあてた。透過したレーザー光を、Newport optical power meter、model 1931-C(Newport Corporation、Irvine、CA)を用いて検出した。試験の結果を表1に示している。Mold-Tech工具のパターン数を、模様パターンの説明とともに参考として与えている。このデータから見ることができるように、半透明のインサートに選択されたパターンに応じて広範囲の透過%の値を作り出すことができる。従って、異なるパターンのあるインサートを選択することができ、それゆえ異なる透過性領域が研磨パッドに形成され、最適透過%を提供し、研磨用途用のエンドポイント検出を最適化することができる。
【表1】
【0052】
刊行物、特許出願、及び特許を含む、明細書中で参照されているすべての参照は、各参照が個別に及び具体的に、参照により組み込まれると示されていた場合、及びその全体が本明細書中で説明されていた場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
「a」及び「an」及び「the」という用語の使用並びに本発明を説明する文脈における(特に以下の請求項の文脈における)類似の指示対象は、明細書中で他に示されていない限り又は文脈によって明確に矛盾していない限りは、単数及び複数の両方に及ぶものと解釈されるものである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」という用語は、他に言及されない限りは、オープンエンド形式の用語(すなわち、「含む、しかしそれに限定されない」ことを意味する)として解釈されるものである。本明細書中の数値範囲の記載は、明細書中で他に示されていない限りは、単にその範囲に含まれるそれぞれの別個の値を個別に参照する簡単な方法としての役割を果たすものと意図され、それぞれの別個の値は、それが個別に明細書中に記載されているとした場合と同じように、本明細書中に組み込まれる。明細書中で説明された全ての方法は、明細書中で他に示されていない限り又は文脈によって他に明確に矛盾していない限りは、任意の適切な順序で実施することができる。明細書中で提供される任意の及び全ての例の使用、又は例となる専門用語(例えば、「〜など(such as)」)は、他に主張されない限りは、単に本発明をより明らかにすることを意図されており、本発明の範囲に限定をもたらさない。本明細書中のいかなる専門用語も、本発明の実施に必須なものとして特許請求の範囲に記載していない構成要素を示しているように解釈されるべきではない。
【0054】
発明者らに知られた本発明を実施するためのベストモードを含んで、本発明の好ましい態様が明細書中に説明されており、これらの好ましい態様の変更は、前述の説明を読むことで当業者にとって明らかとなるだろう。本発明者らは、当業者が必要に応じてこのような変更を用いることを予期している、そして本発明者らは、明細書中で具体的に説明されているのとは異なるように本発明が実施されることを意図している。その結果、本発明は、適用法により許可されるものとして、ここに添付の請求項に記載されている特定事項のすべての変更及び同等物を含む。さらに、明細書中で他に示されていない限り又は文脈によって他に明確に矛盾していない限りは、それらの全ての可能性のある変更における上記の構成要素のいかなる組み合わせも、本発明に包含される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5