(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
薄膜形成装置の反応室内に成膜用ガスを供給して被処理体にアモルファスカーボン膜を形成した後、装置内部に付着した付着物を除去する薄膜形成装置の洗浄方法であって、
前記反応室内を800℃〜900℃に加熱するとともに、前記反応室に接続された排気管内を200℃〜400℃に加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱された反応室内および排気管内を1.33Pa〜2660Paに維持した状態で、酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニングガスを供給してクリーニングガスを加熱することにより、酸素活性種を含む活性種を発生させ、該発生した活性種により装置内部に付着した付着物を除去する除去工程と、
を備える、ことを特徴とする薄膜形成装置の洗浄方法。
薄膜形成装置の反応室内に成膜用ガスを供給して被処理体にアモルファスカーボン膜を形成するとともに、該アモルファスカーボン膜の形成により装置内部に付着した付着物を除去する薄膜形成装置であって、
前記反応室内および前記反応室に接続された排気管内を所定の温度に加熱する加熱手段と、
前記反応室内および排気管内を所定の圧力に設定する圧力設定手段と、
酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給手段と、
装置各部を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記加熱手段を制御して前記反応室内を800℃〜900℃に加熱するとともに前記排気管内を200℃〜400℃に加熱し、前記圧力設定手段を制御して当該反応室内および排気管内を1.33Pa〜2660Paに維持した状態で、前記クリーニングガス供給手段を制御して前記クリーニングガスを供給することにより酸素活性種を含む活性種を発生させ、該発生した活性種により装置内部に付着した付着物を除去する、ことを特徴とする薄膜形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の薄膜形成装置の洗浄方法、薄膜形成方法、及び、薄膜形成装置について説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
本実施の形態では、薄膜形成装置として、
図1に示すバッチ式の縦型の熱処理装置を用いる場合を例に本発明を説明する。また、本実施の形態では、熱処理装置1の処理ガス導入管13から成膜用ガスを供給して被処理体上に所定厚のアモルファスカーボン膜を形成した後、処理ガス導入管13から酸素(O
2)ガスと水素(H
2)ガスとを含むクリーニング用ガスを供給して装置内部に付着した付着物を除去する場合を例に本発明を説明する。
【0015】
図1に示すように、熱処理装置1は、長手方向が垂直方向に向けられた略円筒状の反応管2を備えている。反応管2は、内管3と、内管3を覆うとともに内管3と一定の間隔を有するように形成された有天井の外管4とから構成された二重管構造を有する。内管3及び外管4は、耐熱及び耐腐食性に優れた材料、例えば、石英により形成されている。
【0016】
外管4の下方には、筒状に形成されたステンレス鋼(SUS)からなるマニホールド5が配置されている。マニホールド5は、外管4の下端と気密に接続されている。また、内管3は、マニホールド5の内壁から突出するとともに、マニホールド5と一体に形成された支持リング6に支持されている。
【0017】
マニホールド5の下方には蓋体7が配置され、ボートエレベータ8により蓋体7は上下動可能に構成されている。このため、ボートエレベータ8により蓋体7が上昇すると、マニホールド5の下方側(炉口部分)が閉鎖され、ボートエレベータ8により蓋体7が下降すると、マニホールド5の下方側(炉口部分)が開口される。
【0018】
蓋体7には、例えば、石英からなるウエハボート9が載置されている。ウエハボート9は、被処理体、例えば、半導体ウエハ10が垂直方向に所定の間隔をおいて複数枚収容可能に構成されている。
【0019】
反応管2の周囲には、反応管2を取り囲むように断熱体11が設けられている。断熱体11の内壁面には、例えば、抵抗発熱体からなる昇温用ヒータ12が設けられている。この昇温用ヒータ12により反応管2の内部が所定の温度に加熱され、この結果、半導体ウエハ10が所定の温度に加熱される。
【0020】
マニホールド5の側面には、複数の処理ガス導入管13が挿通(接続)されている。なお、
図1では処理ガス導入管13を1つだけ描いている。処理ガス導入管13は、内管3内を臨むように配設されている。例えば、
図1に示すように、処理ガス導入管13は、支持リング6より下方(内管3の下方)のマニホールド5の側面に挿通されている。
【0021】
処理ガス導入管13は、図示しないマスフローコントローラ等を介して、図示しない処理ガス供給源が接続されている。このため、処理ガス供給源から処理ガス供給管13を介して所望量の処理ガスが反応管2内に供給される。処理ガス導入管13から供給される処理ガスとしては、アモルファスカーボン膜を成膜する成膜用ガス、アモルファスカーボン膜の形成により装置内部に付着した付着物を除去するクリーニング用ガス等がある。成膜用ガスとしては、例えば、エチレン(C
2H
4)、イソプレン(C
5H
8)、プロピレン(C
3H
6)、アセチレン(C
2H
2)等が用いられる。クリーニング用ガスとしては、酸素(O
2)ガスを含むガス、酸素ガスと水素(H
2)ガスとを含むガス等が用いられる。
【0022】
マニホールド5の側面には反応管2内のガスを排気するための排気口14が設けられている。排気口14は支持リング6より上方に設けられており、反応管2内の内管3と外管4との間に形成された空間に連通する。そして、内管3で発生した排ガス等が内管3と外管4との間の空間を通って排気口14に排気される。
【0023】
マニホールド5の側面の排気口14の下方には、パージガス供給管15が挿通されている。パージガス供給管15には、図示しないパージガス供給源が接続されており、パージガス供給源からパージガス供給管15を介して所望量のパージガス、例えば、窒素ガスが反応管2内に供給される。このパージガスは、後述する成膜工程では成膜用ガスのキャリアガス、希釈ガス、クリーニング工程では活性種濃度の調整用ガス、安定化工程、パージ工程では圧力調整用ガス、常圧復帰用ガスとしての役割を果たす。
【0024】
排気口14には排気管16が気密に接続されている。排気管16には、その上流側から、バルブ17と、真空ポンプ18とが介設されている。バルブ17は、排気管16の開度を調整して、反応管2内の圧力を所定の圧力に制御する。真空ポンプ18は、排気管16を介して反応管2内のガスを排気するとともに、反応管2内の圧力を調整する。
【0025】
また、排気管16の周囲には、排気管用ヒータ19が設けられている。排気管用ヒータ19は、排気管16の内部を所定の温度に加熱する。このように、本実施の形態の熱処理装置1では、排気管用ヒータ19により、反応管2内とは独立して排気管16内の温度を所定の温度に設定することができる。
【0026】
なお、排気管16には、さらに図示しないトラップ、スクラバー等が介設されており、反応管2から排気された排ガスを、無害化した後、熱処理装置1外に排気するように構成されている。
【0027】
また、熱処理装置1は、装置各部の制御を行う制御部100を備えている。
図2に制御部100の構成を示す。
図2に示すように、制御部100には、操作パネル121、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、ヒータコントローラ124、MFC制御部125、バルブ制御部126等が接続されている。
【0028】
操作パネル121は、表示画面と操作ボタンとを備え、オペレータの操作指示を制御部100に伝え、また、制御部100からの様々な情報を表示画面に表示する。
【0029】
温度センサ(群)122は、反応管2内、排気管16内等の各部の温度を測定し、その測定値を制御部100に通知する。
圧力計(群)123は、反応管2内、排気管16内等の各部の圧力を測定し、その測定値を制御部100に通知する。
【0030】
ヒータコントローラ124は、昇温用ヒータ12、排気管用ヒータ19を個別に制御するためのものであり、制御部100からの指示に応答して、これらに通電してこれらを加熱する。また、ヒータコントローラ124は、これらの消費電力を個別に測定して、制御部100に通知する。
【0031】
MFC制御部125は、処理ガス導入管13、及び、パージガス供給管15に設けられた図示しないマスフローコントローラ(MFC)を制御して、これらに流れるガスの流量を制御部100から指示された量にするとともに、実際に流れたガスの流量を測定して、制御部100に通知する。
【0032】
バルブ制御部126は、各管に配置されたバルブの開度を制御部100から指示された値に制御する。
【0033】
制御部100は、レシピ記憶部111と、ROM112と、RAM113と、I/Oポート114と、CPU115と、これらを相互に接続するバス116とから構成されている。
【0034】
レシピ記憶部111には、セットアップ用レシピと複数のプロセス用レシピとが記憶されている。熱処理装置1の製造当初は、セットアップ用レシピのみが格納されている。セットアップ用レシピは、各熱処理装置に応じた熱モデル等を生成する際に実行されるものである。プロセス用レシピは、ユーザが実際に行う熱処理(プロセス)毎に用意されるレシピであり、例えば、反応管2への半導体ウエハ10のロードから、処理済みの半導体ウエハ10をアンロードするまでの、各部の温度の変化、圧力の変化、処理ガスの供給の開始及び停止のタイミングと供給量などを規定する。
【0035】
ROM112は、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、CPU115の動作プログラム等を記憶する記録媒体である。
RAM113は、CPU115のワークエリアなどとして機能する。
【0036】
I/Oポート114は、操作パネル121、温度センサ122、圧力計123、ヒータコントローラ124、MFC制御部125、バルブ制御部126等に接続され、データや信号の入出力を制御する。
【0037】
CPU(Central Processing Unit)115は、制御部100の中枢を構成し、ROM112に記憶された制御プログラムを実行し、操作パネル121からの指示に従って、レシピ記憶部111に記憶されているレシピ(プロセス用レシピ)に沿って、熱処理装置1の動作を制御する。すなわち、CPU115は、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、MFC制御部125等に反応管2内、処理ガス導入管13内、及び、排気管5内等の各部の温度、圧力、流量等を測定させ、この測定データに基づいて、ヒータコントローラ124、MFC制御部125、バルブ制御部126等に制御信号等を出力し、上記各部がプロセス用レシピに従うように制御する。
バス116は、各部の間で情報を伝達する。
【0038】
次に、以上のように構成された熱処理装置1を用いた薄膜形成装置の洗浄方法、薄膜形成方法について説明する。
図3に本実施の形態の薄膜形成装置の洗浄方法を含む薄膜形成方法を説明するためのレシピを示す。
【0039】
本実施の形態では、処理ガス導入管13から成膜用ガス、例えば、エチレン(C
2H
4)を供給して、半導体ウエハW上に所定厚のアモルファスカーボン膜を形成した後、処理ガス導入管13から酸素(O
2)ガスと水素(H
2)ガスとを含むクリーニング用ガスを供給して、熱処理装置1の内部に付着した付着物、例えば、炭素と水素とを含む反応副生成物を除去する場合を例に本発明を説明する。
【0040】
なお、以下の説明において、熱処理装置1を構成する各部の動作は、制御部100(CPU115)により制御されている。また、各処理における反応管2内の温度、圧力、ガスの流量等は、前述のように、制御部100(CPU115)がヒータコントローラ124(昇温用ヒータ12、排気管用ヒータ19)、MFC制御部125、バルブ制御部126、真空ポンプ18等を制御することにより、
図3に示すレシピに従った条件になる。
【0041】
まず、反応管2(内管3)内を所定の温度、例えば、
図3(a)に示すように、300℃に設定する。また、
図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3(反応管2)内に所定量の窒素を供給する。次に、半導体ウエハ10が収容されているウエハボート9を蓋体7上に載置する。そして、ボートエレベータ8により蓋体7を上昇させ、半導体ウエハ10(ウエハボート9)を反応管2内にロードする(ロード工程)。
【0042】
続いて、
図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、
図3(a)に示すように、700℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、
図3(b)に示すように、13300Pa(100Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(安定化工程)。
【0043】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量の成膜用ガス、例えば、
図3(d)に示すように、エチレン(C
2H
4)を1slm供給する(成膜工程)。反応管2内に供給されたエチレンは、反応管2内で熱分解し、半導体ウエハ10上にアモルファスカーボン膜が形成される。
【0044】
半導体ウエハ10に所定量のアモルファスカーボン膜が形成されると、処理ガス導入管13からの成膜用ガスの供給を停止する。次に、
図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、
図3(a)に示すように、300℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、
図3(b)に示すように、常圧に戻す(パージ工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0045】
そして、ボートエレベータ8により蓋体7を下降させることにより、半導体ウエハ10(ウエハボート9)を反応管2内からアンロードする(アンロード工程)。これにより、アモルファスカーボン膜の成膜処理が終了する。
【0046】
以上のような成膜処理を複数回行うと、成膜処理によって生成される反応生成物、反応副生成物等の炭素と水素とを含む化合物が半導体ウエハ10の表面だけでなく、内管3の内壁及び外壁、外管4の内壁、排気管16の内壁等にも堆積(付着)する。このため、成膜処理を所定回数行った後、熱処理装置1の内部に付着した付着物を除去する洗浄処理を行う。
【0047】
まず、反応管2(内管3)内を所定の温度、例えば、
図3(a)に示すように、300℃に設定する。また、
図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3(反応管2)内に所定量の窒素を供給する。次に、半導体ウエハ10が収容されていないウエハボート9を蓋体7上に載置する。そして、ボートエレベータ8により蓋体7を上昇させ、ウエハボート9を反応管2内にロードする(ロード工程)。
【0048】
続いて、
図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、
図3(a)に示すように、800℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、
図3(b)に示すように、46.55Pa(0.35Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(安定化工程)。
【0049】
ここで、反応管2内の温度は、350℃〜900℃であることが好ましく、350℃〜800℃であることがさらに好ましい。反応管2内の温度をかかる範囲にすることにより、クリーニング用ガス中の酸素ガス及び水素ガスが活性化され、効果的に熱処理装置1の内部に付着した付着物を除去できるためである。また、反応管2内の圧力は、1.33Pa〜2660Pa(0.01Torr〜20Torr)であることが好ましく、1.33Pa〜665Pa(0.01Torr〜5Torr)であることがさらに好ましい。反応管2内の圧力をかかる範囲にすることにより、除去しにくい箇所に付着した付着物も除去できるためである。特に、反応管2内の温度を350℃以上、例えば、350℃〜900℃に設定するとともに、反応管2内の圧力を1.33Pa〜2660Pa(0.01Torr〜20Torr)に設定することが好ましい。かかる温度及び圧力にすることにより、クリーニング用ガス中の酸素ガス及び水素ガスから活性種(O
*活性種、OH
*活性種)がより多く生じ、効果的に熱処理装置1の内部に付着した付着物を除去できるためである。
【0050】
なお、本実施の形態では、排気管16は排気管用ヒータ19により加熱されていない。すなわち、排気管16内の温度は常温である。これは、反応管2内の温度が800℃と高く設定されていることから、その余熱で排気管16内が熱せられるためである。排気管16は、排気管用ヒータ19により加熱されていることが好ましい。排気管16内の温度は、200℃〜400℃であることが好ましく、200℃〜300℃であることがさらに好ましい。排気管16内の温度をかかる範囲にすることにより、クリーニング用ガス中の酸素ガス及び水素ガスが活性化され、効果的に排気管16の内部に付着した付着物を除去できるためである。また、排気管16内の温度を高くすると、排気管16に取り付けられるOリング等の部材を劣化させてしまうためである。
【0051】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量のクリーニング用ガス、例えば、
図3(e)に示すように、水素(H
2)ガスを1slmと、
図3(f)に示すように、酸素(O
2)ガスを1.7slmとを供給する(クリーニング工程)。
【0052】
ここで、水素ガス、及び、酸素ガスの流量は、水素ガスの流量と酸素ガスの流量との合計の逆数が0.2〜0.5となるように設定することが好ましい。かかる範囲にすることにより、O
*活性種、OH
*活性種等の活性種濃度が高くなるためである。水素ガス、及び、酸素ガスの流量は、水素ガスの流量と酸素ガスの流量との合計の逆数が0.25〜0.4となるように設定することがさらに好ましく、0.3〜0.35となるように設定することが最も好ましい。0.3〜0.35とすることにより、O
*活性種、OH
*活性種等の活性種濃度が最大となるためである。本例では、水素ガスの流量と酸素ガスの流量との合計の逆数=1/(1+1.7)=1/2.7=0.37(37%)であり、O
*活性種、OH
*活性種等の活性種濃度が高くなるように設定されている。
【0053】
反応管2内に供給されたクリーニング用ガスは、内管3内で加熱され、クリーニング用ガス中の水素ガス及び酸素ガスが活性化、すなわち、反応性を有するフリーな原子である活性種(O
*活性種、OH
*活性種)が生じ、活性種を多数有した状態になる。そして、この活性種を含むクリーニングガスが、内管3内から、内管3と外管4との間に形成された空間を介して排気管17に供給されることにより、内管3の内壁及び外壁、外管4の内壁、排気管16の内壁、ウエハボート9、保温筒等の各種の治具の熱処理装置1の内部に付着した付着物(炭素と水素とを含む化合物)をエッチングする。これにより、熱処理装置1の内部に付着した付着物が除去される。
【0054】
熱処理装置1の内部に付着した付着物が除去されると、処理ガス導入管13からのクリーニング用ガスの供給を停止する。次に、
図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、
図3(a)に示すように、300℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、
図3(b)に示すように、常圧に戻す(パージ工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0055】
そして、ボートエレベータ8により蓋体7を下降させることにより、ウエハボート9を反応管2内からアンロードし(アンロード工程)、洗浄処理が終了する。
【0056】
次に、本実施の形態の効果を確認するため、装置内部に所定量の付着物が付着している状態で、本実施の形態の洗浄処理を行い、付着物が除去できるまでの時間を測定した。なお、測定箇所は、付着物が付着しやすく、除去しづらい箇所である、排気管16の排気口14近傍の内壁で行った。また、比較のため、クリーニング用ガスを酸素ガス1slm、かつ、水素ガス0slm、反応管2内の圧力を13300Pa(100Torr)とした以外、本実施の形態と同様の洗浄処理を行った場合(比較例)についても、付着物が除去できるまでの時間を確認した。本実施の形態では、2時間以内で完全に付着物が除去できていたが、比較例では32時間後であっても付着物が完全に除去できていなかった。このように、本実施の形態の洗浄処理により短時間で完全に付着物を除去できることが確認できた。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態によれば、処理ガス導入管13から酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニング用ガスを供給しているので、装置内部に付着した付着物を短時間で完全に除去することができる。このため、メンテナンス作業の労力を低減するとともに、ダウンタイムを短くすることができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、薄膜形成装置として、
図4に示すバッチ式の縦型の熱処理装置51を用いる場合を例に本発明を説明する。熱処理装置51は、排気管16にクリーニング用ガス導入管21が接続されている点を除いて、
図1に示す熱処理装置1と同一である。本実施の形態では、第1の実施の形態との相違する点を中心に説明し、共通する部材については同一の番号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0059】
図4に示すように、熱処理装置51の排気管16には、クリーニング用ガス導入管21が接続されている。クリーニング用ガス導入管21は、排気管16の排気口14近傍に接続されている。クリーニング用ガス導入管21は、図示しないマスフローコントローラ等を介して、図示しないクリーニング用ガス供給源が接続されている。クリーニング用ガス導入管21に接続されるマスフローコントローラは、MFC制御部125により制御されている。MFC制御部125は、マスフローコントローラを制御して、クリーニング用ガス供給源からクリーニング用ガス導入管21に流れるクリーニング用ガスの流量を制御部100から指示された量にする。クリーニング用ガスは、クリーニング用ガス導入管21から排気口14近傍の排気管16内に供給され、バルブ17、真空ポンプ18を介して、熱処理装置51の外部に排気される。なお、クリーニング用ガスとしては、第1の実施の形態と同様に、酸素(O
2)ガスを含むガス、酸素(O
2)ガスと水素(H
2)ガスとを含むガス等が用いられる。このように、本実施の形態の熱処理装置51は、処理ガス導入管13とは独立して排気管16内にクリーニング用ガスを導入することができる。
【0060】
次に、以上のように構成された熱処理装置51を用いた薄膜形成装置の洗浄方法、薄膜形成方法について説明する。本実施の形態では、処理ガス導入管13から成膜用ガス、例えば、エチレン(C
2H
4)を供給して、半導体ウエハW上に所定厚のアモルファスカーボン膜を形成した後、処理ガス導入管13から酸素(O
2)ガスを含むクリーニング用ガスを供給する第1クリーニング工程と、クリーニング用ガス導入管21から酸素(O
2)ガスと水素(H
2)ガスとを含むクリーニング用ガスを供給する第2クリーニング工程とを有する場合を例に本発明を説明する。
【0061】
なお、本実施の形態では、成膜処理については第1の実施の形態と同様であることから、成膜処理の後に行われる洗浄処理について説明する。
図5に本実施の形態の洗浄処理を説明するためのレシピを示す。
【0062】
成膜処理が終了し、熱処理装置51の内部に付着物が付着すると、まず、反応管2(内管3)内を所定の温度、例えば、
図5(a)に示すように、300℃に設定する。また、
図5(d)に示すように、パージガス供給管15から内管3(反応管2)内に所定量の窒素を供給する。次に、半導体ウエハ10が収容されていないウエハボート9を蓋体7上に載置する。そして、ボートエレベータ8により蓋体7を上昇させ、ウエハボート9を反応管2内にロードする(ロード工程)。
【0063】
続いて、
図5(d)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、
図5(a)に示すように、800℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、
図5(c)に示すように、13300Pa(100Torr)に減圧する。さらに、排気管16内を所定の温度、例えば、
図5(b)に示すように、250℃に設定する。そして、反応管2内及び排気管16内をこの温度及び圧力で安定させる(安定化工程)。
【0064】
ここで、反応管2内の温度は、350℃〜900℃であることが好ましく、350℃〜800℃であることがさらに好ましい。また、反応管2内の圧力は、665Pa(5Torr)〜常圧であることが好ましい。反応管2内の温度及び圧力をかかる範囲にすることにより、クリーニング用ガス中の酸素ガスが活性化され、熱処理装置1の内部に付着した付着物を除去できるためである。なお、付着物が付着しやすく、除去しにくい箇所である排気管16については、クリーニング用ガス導入管21から供給されたクリーニング用ガスにより除去されることから、反応室2内の圧力を低圧にする必要がなくなる。
【0065】
また、排気管16内の温度は、200℃〜400℃であることが好ましく、200℃〜300℃であることがさらに好ましい。排気管16内の温度をかかる範囲にすることにより、クリーニング用ガス中の酸素ガス及び水素ガスが活性化され、効果的に排気管16の内部に付着した付着物を除去できるためである。また、排気管16内の温度を高くすると、排気管16に取り付けられるOリング等の部材を劣化させてしまうためである。
【0066】
反応管2内及び排気管16内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量のクリーニング用ガス、例えば、
図5(e)に示すように、酸素(O
2)ガスを1slm供給する(第1クリーニング工程)。
【0067】
反応管2内に供給されたクリーニング用ガスは、内管3内で加熱され、クリーニング用ガス中の酸素ガスが活性化し、この活性化された酸素ガスを含むクリーニングガスにより、内管3の内壁等の反応管2の内部に付着した付着物(炭素と水素とを含む化合物)をエッチングする。
【0068】
内管3の内壁等の反応管2の内部に付着した付着物が除去されると、処理ガス導入管13からのクリーニング用ガスの供給を停止する。次に、反応管2内のガスを排出するとともに、
図5(d)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給して、反応管2内を所定の圧力、例えば、
図5(c)に示すように、46.55Pa(0.35Torr)に設定する(パージ工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0069】
ここで、反応管2(排気管16)内の圧力を1.33Pa〜2660Pa(0.01Torr〜20Torr)に設定することが好ましい。かかる圧力にすることにより、第2クリーニング工程でクリーニング用ガス導入管21から供給されるクリーニング用ガス中の酸素ガス及び水素ガスから活性種(O
*活性種、OH
*活性種)がより多く生じやすくなり、効果的に排気管16の内部に付着した付着物を除去できるためである。
【0070】
次に、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止し、クリーニング用ガス導入管21から排気管16内に所定量のクリーニング用ガス、例えば、
図5(f)に示すように、水素(H
2)ガスを1slmと、
図5(g)に示すように、酸素(O
2)ガスを1.7slmとを供給する(第2クリーニング工程)。
【0071】
排気管16内に供給されたクリーニング用ガスは、クリーニング用ガス中の水素ガス及び酸素ガスが活性化し、O
*活性種、OH
*活性種を多数有した状態になる。そして、この活性種を含むクリーニングガスにより、付着物を除去しにくい箇所である排気管16の内壁等に付着した付着物(炭素と水素とを含む化合物)をエッチングする。このため、熱処理装置1の内部に付着した付着物が完全に除去される。
【0072】
熱処理装置1の内部に付着した付着物が除去されると、クリーニング用ガス導入管21からのクリーニング用ガスの供給を停止する。次に、
図5(d)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、
図5(a)に示すように、300℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2内を所定の圧力、例えば、
図5(c)に示すように、常圧に戻す(パージ工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0073】
そして、ボートエレベータ8により蓋体7を下降させることにより、ウエハボート9を反応管2内からアンロードし(アンロード工程)、洗浄処理が終了する。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態によれば、処理ガス導入管13から酸素ガスを含むクリーニング用ガスを供給して反応管2の内部に付着した付着物を除去する第1のクリーニング工程と、クリーニング用ガス導入管21から酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニング用ガスを供給して排気管16の内部に付着した付着物を除去する第2のクリーニング工程とを実行しているので、装置内部に付着した付着物を短時間で完全に除去することができる。このため、メンテナンス作業の労力を低減するとともに、ダウンタイムを短くすることができる。
【0075】
なお、本実施の形態では、反応管2の内部に付着した付着物を除去する第1のクリーニング工程を実行した後に、排気管16の内部に付着した付着物を除去する第2のクリーニング工程とを実行している場合を例に本発明を説明したが、例えば、第1のクリーニング工程と、第2のクリーニング工程とを同時に実行してもよい。この場合、装置内部に付着した付着物をさらに短時間で完全に除去することができる。
【0076】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、薄膜形成装置として、第2の実施の形態と同様に、
図4に示すバッチ式の縦型の熱処理装置51を用いる場合を例に本発明を説明する。本実施の形態では、処理ガス導入管13から成膜用ガス、例えば、エチレン(C
2H
4)を供給して、半導体ウエハW上に所定厚のアモルファスカーボン膜を形成した後、処理ガス導入管13からクリーニング用ガスを供給せずに、クリーニング用ガス導入管21から酸素(O
2)ガスと水素(H
2)ガスとを含むクリーニング用ガスを供給して、排気管16の内部に付着した付着物、例えば、炭素と水素とを含む反応副生成物を除去する場合を例に本発明を説明する。すなわち、本実施の形態では、付着物が付着しやすく、除去しにくい箇所である排気管16の内部に付着した付着物を除去する場合を例に本発明を説明する。
【0077】
なお、本実施の形態では、第2の実施の形態の熱処理装置51を用いており、成膜処理については第1の実施の形態と同様であることから、成膜処理の後に行われる洗浄処理について説明する。
図6に本実施の形態の洗浄処理を説明するためのレシピを示す。
【0078】
成膜処理が終了し、熱処理装置51の内部に付着物が付着すると、ボートエレベータ8により蓋体7が上昇し、炉口部分が閉鎖状態で、
図6(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、排気管16内を所定の温度、例えば、
図6(a)に示すように、250℃に設定する。また、排気管16内を所定の圧力、例えば、
図6(b)に示すように、266Pa(2Torr)に減圧する。そして、排気管16内をこの温度及び圧力で安定させる(安定化工程)。
【0079】
排気管16内の温度は、第2の実施の形態と同様に、200℃〜400℃であることが好ましく、200℃〜300℃であることがさらに好ましい。また、 排気管16内の圧力も、第2の実施の形態と同様に、1.33Pa〜2660Pa(0.01Torr〜20Torr)であることが好ましく、13.3Pa〜400Pa(0.1Torr〜3Torr)であることがさらに好ましい。
【0080】
排気管16内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、クリーニング用ガス導入管21から排気管16内に所定量のクリーニング用ガス、例えば、
図6(d)に示すように、水素(H
2)ガスを1slmと、
図6(e)に示すように、酸素(O
2)ガスを1.7slmとを供給する(クリーニング工程)。
【0081】
排気管16内に供給されたクリーニング用ガスは、クリーニング用ガス中の水素ガス及び酸素ガスが活性化し、O
*活性種、OH
*活性種を多数有した状態になる。そして、この活性種を含むクリーニングガスにより、付着物が付着しやすく、除去しにくい箇所である排気管16の内壁等に付着した付着物(炭素と水素とを含む化合物)をエッチングする。このため、付着物が付着しやすく、除去しにくい箇所である排気管16に付着した付着物が完全に除去される。
【0082】
排気管16の内部に付着した付着物が除去されると、クリーニング用ガス導入管21からのクリーニング用ガスの供給を停止する。次に、
図6(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2及び排気管16を、例えば、常圧に戻すことにより(パージ工程)、洗浄処理が終了する。
【0083】
なお、本実施の形態において、洗浄処理後に、半導体ウエハ10が収容されたウエハボート9を蓋体7上に載置してロードすることにより、付着物が付着しやすい排気管16の内部に付着物が付着していない状態で、半導体ウエハ10上にアモルファスカーボン膜を形成する成膜処理を行うことが可能になる。この結果、反応管2内のクリーニングの頻度を低くすることができるので、メンテナンス作業の労力を低減するとともに、ダウンタイムを短くすることができる。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態によれば、クリーニング用ガス導入管21から酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニング用ガスを供給しているので、排気管16の内部に付着した付着物を短時間で完全に除去することができる。このため、メンテナンス作業の労力を低減するとともに、ダウンタイムを短くすることができる。
【0085】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な他の実施の形態について説明する。
【0086】
上記実施の形態では、第1の実施の形態で処理ガス導入管13から酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニング用ガスを供給し、第2の実施の形態で処理ガス導入管13から酸素ガスを含むクリーニング用ガスを供給するとともにクリーニング用ガス導入管21から酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニング用ガスを供給し、第3の実施の形態でクリーニング用ガス導入管21から酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニング用ガスを供給した場合を例に本発明を説明したが、処理ガス導入管13とクリーニング用ガス導入管21との少なくとも一方から酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニング用ガスを供給して、排気管16等の内部に付着した付着物を除去できればよく、酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニング用ガスを供給していないガス導入管から、付着物を除去可能な他のクリーニングガスを供給してもよい。
【0087】
上記実施の形態では、酸素ガスと水素ガスとを含むクリーニング用ガスとして、水素ガス1slmと酸素ガス1.7slmとからなるクリーニングガスを用いた場合を例に本発明を説明したが、例えば、クリーニング用ガスに、窒素のような不活性ガスからなる希釈用ガスを含んでいてもよい。
【0088】
第3の実施の形態では、成膜処理の後の洗浄処理の場合を例に本発明を説明したが、例えば、成膜工程中に、クリーニング用ガス導入管21から排気管16内にクリーニング用ガスを供給してもよい。この場合、アモルファスカーボン膜を形成すると同時に、付着物が付着しやすい排気管16の内部に付着した付着物を除去することができる。
【0089】
上記実施の形態では、成膜用ガスとしてエチレンを用いた場合を例に本発明を説明したが、イソプレン(C
5H
8)、プロピレン(C
3H
6)、アセチレン(C
2H
2)等、アモルファスカーボン膜を形成可能なガスであれば、他のガスを用いてもよい。
【0090】
上記実施の形態では、熱処理装置として、二重管構造のバッチ式縦型熱処理装置を用いた場合を例に本発明を説明したが、例えば、本発明を単管構造のバッチ式熱処理装置に適用することも可能である。また、枚葉式の熱処理装置に適用することも可能である。
【0091】
本発明の実施の形態にかかる制御部100は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部100を構成することができる。
【0092】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。