(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流モニタ回路は、前記第1および第2のノンオーバーラップ制御の期間において前記負荷に流れる電流をそれぞれ検出することを特徴とする請求項1に記載のH型ブリッジ回路。
前記第1および第2のノンオーバーラップ制御の期間は、前記電流モニタ回路の出力信号と予め定めてある遅延時間とに応じて決定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載のH型ブリッジ回路。
前記第1及び第3のトランジスタはPMOSトランジスタであり、前記第2及び第4のトランジスタはNMOSトランジスタであり、前記第1の電源は正電源であり、前記第2の電源は負電源又はグランドであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載のH型ブリッジ回路。
前記第2及び第4のトランジスタはNMOSトランジスタであり、前記第1及び第3のトランジスタはNMOSトランジスタであり、前記第1の電源は正電源であり、前記第2の電源は負電源又はグランドであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載のH型ブリッジ回路。
【背景技術】
【0002】
従来、モータなどを駆動するための回路として、モータなどのコイルに電流を供給するH型ブリッジ回路(フルブリッジ回路)が知られている。
図19〜
図22、そのH型ブリッジ回路の各動作時における電流経路を示す。
このH型ブリッジ回路は、例えば
図19に示すように、P型のMOSトランジスタTr1、Tr2と、N型のMOSトランジスタTr3、Tr4とを備え、電源VDDと電源VSSとに接続される。そして、MOSトランジスタTr1、Tr3のドレイン同士の接続部と、MOSトランジスタTr2、Tr4のドレイン同士の接続部との間に、負荷としてコイル5が接続される。
【0003】
MOSトランジスタTr1、Tr2のゲートには制御信号PG1、PG2が入力され、MOSトランジスタTr3、Tr4のゲートには制御信号NG1、NG2が入力される。また、MOSトランジスタTr1〜Tr4のそれぞれは、寄生ダイオードD1〜D4を有する。
【0004】
次に、このような従来のH型ブリッジ回路において、負荷としてモータのコイル5を接続し、モータを駆動制御する場合の動作例について説明する。
図23は、この動作例の場合の各部の信号の波形例を示す。
図23において、OUT1、OUT2はモータのコイル5の両端の電圧、IDDは電源VDDからH型ブリッジ回路に供給される電流、ILはモータのコイル5に流れる電流を示す。
図19〜
図23を参照して、モータが正転動作から逆転動作に移行する時の電流経路について説明する。
【0005】
図23の時刻t1以前のモータの正転動作時には、MOSトランジスタTr1、Tr3の各ゲートの制御信号PG1、NG1はLレベル、MOSトランジスタTr2、Tr4の各ゲートの制御信号PG2、NG2はHレベルとなる(
図23(A)〜(D)参照)。このときには、MOSトランジスタTr1、Tr4はオンであり、MOSトランジスタTr2、Tr3はオフである。
【0006】
したがって、モータの正転動作時の電流経路は、
図19に示すように、電源VDDからの電流が、MOSトランジスタTr1、コイル5、およびMOSトランジスタTr4を経由して電源VSSに至る。
その後、
図23の時刻t1において、モータが正転動作から逆転動作に切り換わるときには、MOSトランジスタTr1、Tr3の各ゲートの制御信号PG1、NG1はLレベルからHレベルに変化し、MOSトランジスタTr2、Tr4の各ゲートの制御信号PG2、NG2はHレベルからLレベルに変化する。このときには、MOSトランジスタTr1、Tr4はオンからオフに切り換わり、MOSトランジスタTr2、Tr3はオフからオンに切り換わる。
【0007】
しかし、その切り換わる瞬間には、
図20に示すように、電源VSSからMOSトランジスタTr3の寄生ダイオードD3、コイル5、MOSトランジスタTr2の寄生ダイオードD2、および電源VDDの電流経路で逆流電流が流れる。この逆流電流は、コイル5に蓄積された電荷が無くなるまで流れ続ける。
図23の時刻t2において、コイル5の電荷が無くなると、
図21に示すように、電源VDDからの電流が、MOSトランジスタTr2、コイル5、およびMOSトランジスタTr3を経由して電源VSSに至るようになる。
【0008】
その後、
図23の時刻t3において、モータが逆転動作から正転動作に切り換わる瞬間においても、
図22に示すように、電源VSSからMOSトランジスタTr4の寄生ダイオードD4、コイル5、MOSトランジスタTr1の寄生ダイオードD1、および電源VDDの電流経路で逆流電流が流れる。この逆流電流は、
図23の時刻t4まで流れ続けることになる。
【0009】
このようなH型ブリッジ回路における逆流電流を防止する方法として、モータの正転動作と逆転動作の切り換え時に、ノンオーバーラップ期間を設ける方法が知られている(例えば特許文献1)。
この従来方法では、
図24に示すH型ブリッジ回路のMOSトランジスタTr1〜Tr4の駆動制御は、
図25に示すような制御信号PG1、PG2、NG1、NG2が使用される。また、その駆動制御には、モータの正転動作と逆転動作の切り換えを行う正逆制御信号HALLが使用される。
【0010】
この従来方法では、
図25に示すように、第1動作モード期間T1と第2動作モード期間T2とがある。そして、正逆制御信号HALLがLレベルのときには第1動作モード期間T1となり、正逆制御信号HALLがHレベルのときには第2動作モード期間T2となる。
また、第1動作モード期間T1は、
図25に示すように、PWM制御期間T11、ノンオーバーラップ期間T12、PWM制御期間T13、および正転動作期間T14からなる。第2動作モード期間T2は、
図25に示すように、PWM制御期間T21、ノンオーバーラップ期間T22、PWM制御期間T23、および逆転動作期間T24からなる。
【0011】
図25の時刻t1以前であって、第1動作モード期間T1内の正転動作期間T14には、MOSトランジスタTr1、Tr3の制御信号PG1、NG1はLレベル、MOSトランジスタTr2、Tr4の制御信号PG2、NG2はHレベルとなる(
図25(B)〜(E)参照)。このときには、MOSトランジスタTr1、Tr4はオンであり、MOSトランジスタTr2、Tr3はオフである。したがって、モータの正転動作時の電流経路は、電源VDDからの電流が、MOSトランジスタTr1、コイル5、およびMOSトランジスタTr4を経由して電源VSSに至る。
【0012】
しかし、時刻t1において、正逆制御信号HALLがLレベルからHレベルに変化して、第1動作モード期間T1から第2動作モード期間T2に変化すると、上記の電流経路が変更を開始する。
第2動作モード期間T2のうち、最初のPWM制御期間T21では、制御信号PG1がPWM信号となり(
図25(B)参照)、これによりMOSトランジスタTr1がPWM制御される。PWM制御期間T21が終了すると、ノンオーバーラップ期間T22に移行するが、このノンオーバーラップ期間T22は予め設定された任意の時間である。
【0013】
ノンオーバーラップ期間T22の初期におけるコイル5の電流の経路は、
図24に示すように、電源VSS、MOSトランジスタTr3の寄生ダイオードD3、コイル5、およびMOSトランジスタTr4を経由して電源VSSに戻り、時間の経過とともにコイル5の電流ILは減少する(
図25(I)参照)。
図25の時刻t2において、コイル5の電流ILがほぼ0〔mA〕になったときに(
図25(I)参照)、制御信号NG1をLレベルからHレベルに切り換え、制御信号NG2をHレベルからLレベルに切り換え、H型ブリッジ回路のローサイド側のMOSトランジスタTr3、Tr4のオンオフが切り換える。この場合には、ローサイド側のMOSトランジスタTr3、Tr4のオンオフが切り換わっても、電源VDDへの逆転電流は発生しない。また、H型ブリッジ回路の出力端子のキックバック電圧も発生しない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態の構成)
図1は、本発明のH型ブリッジ回路の第1実施形態の構成を概要を示す図である。
この第1実施形態に係るH型ブリッジ回路は、
図1に示すように、H型ブリッジ1と、電流モニタ回路2、3と、制御回路4とを備えている。
【0027】
H型ブリッジ1は、
図1に示すように、P型のMOSトランジスタTr1、Tr2と、N型のMOSトランジスタTr3、Tr4とを備えている。MOSトランジスタTr1〜Tr4のそれぞれは、寄生ダイオードD1〜D4を有する。
MOSトランジスタTr1とMOSトランジスタTr3とは直列接続され、この直列回路が高電位側の電源VDDと低電位側の電源VSSとの間に接続される。また、MOSトランジスタTr2とMOSトランジスタTr4とは直列接続され、この直列回路が高電位側の電源VDDと低電位側の電源VSSとの間に接続される。
【0028】
このH型ブリッジ1では、MOSトランジスタTr1とMOSトランジスタTr3の共通接続部が出力端子6と接続され、MOSトランジスタTr2とMOSトランジスタTr4の共通接続部が出力端子7と接続されている。そして、その接続端子6、7間に負荷としてコイル5が接続される。
電流モニタ回路2は、コイル5に流れる電流を検出(測定)し、この検出に応じた信号を電流判定信号MONI2として出力する。電流モニタ回路3は、コイル5に流れる電流を検出し、この検出に応じた電流判定信号MONI2として出力する。
【0029】
制御回路4は、負荷であるコイル5の通電方向を切り換える切換信号HALLと、電流モニタ回路2、3から出力される電流判定信号MONI1、MONI2とを入力する。そして、制御回路4は、それらの入力信号にしたがって、MOSトランジスタTr1、Tr2を駆動制御する制御信号PG1、PG2と、MOSトランジスタTr3、Tr4を駆動制御する制御信号NG1、NG2をそれぞれ生成する。
【0030】
この生成された制御信号PG1、PG2は、MOSトランジスタTr1、Tr2のゲートに入力され、駆動制御される。また、制御信号NG1、NG2は、MOSトランジスタTr3、Tr4のゲートに入力され、駆動制御される。
図2は、第1実施形態のH型ブリッジ1および電流モニタ回路2、3の具体的な構成を示す図である。
【0031】
図2に示すH型ブリッジ1では、
図1に示すローサイド側のMOSトランジスタTr3、Tr4のそれぞれは、トランジスタサイズが異なる大小2つのN型のMOSトランジスタから構成される。
MOSトランジスタTr3は、MOSトランジスタTr31と、MOSトランジスタTr31に比べてトランジスタサイズが小さな電流測定用のMOSトランジスタTr32とからなり、これらが並列に接続されている。MOSトランジスタTr31、Tr32は、寄生ダイオードD31、D32を有する。また、MOSトランジスタTr31のゲートと電源VSSとの間にプルダウン抵抗R31が接続されている。
【0032】
同様に、MOSトランジスタTr4は、MOSトランジスタTr41と、MOSトランジスタTr41に比べてトランジスタサイズが小さな電流測定用のMOSトランジスタTr42とからなり、これらが並列に接続されている。MOSトランジスタTr41、Tr42は、寄生ダイオードD34、D42を有する。また、MOSトランジスタTr41のゲートと電源VSSとの間にプルダウン抵抗R41が接続されている。
【0033】
電流モニタ回路2は、
図2に示すように、電流検出用のMOSトランジスタTr32と、スイッチ部21と、電流判定部22と、を備えている。
スイッチ部21は、制御信号NG1が入力される入力端子210と、制御回路4によってオンオフ制御される4つのスイッチSW1〜SW4とを備えている。
スイッチSW1は、入力端子210とMOSトランジスタTr31のゲートとの間に接続され、オンすることにより制御信号NG1をMOSトランジスタTr31のゲートに印加できるようになっている。スイッチSW2は、入力端子210とMOSトランジスタTr32のゲートとの間に接続され、オンすることにより制御信号NG1をMOSトランジスタTr32のゲートに印加できるようになっている。
【0034】
スイッチSW3は、MOSトランジスタTr32のゲートとドレインとの間に接続され、オンすることによりMOSトランジスタTr32をダイオード接続することができるようになっている。スイッチSW4は、MOSトランジスタTr32のゲートと電流判定部22との間に接続され、オンすることによりMOSトランジスタTr32のゲートと電流判定部22とを電気的に接続できるようになっている。
【0035】
電流モニタ回路3は、
図2に示すように、電流検出用のMOSトランジスタTr42と、スイッチ部31と、電流判定部32と、を備えている。
スイッチ部31は、制御信号NG2が入力される入力端子310と、制御回路4によってオンオフ制御される4つのスイッチSW5〜SW8とを備えている。
スイッチSW5は、入力端子310とMOSトランジスタTr41のゲートとの間に接続され、オンすることにより制御信号NG2をMOSトランジスタTr41のゲートに印加できるようになっている。スイッチSW6は、入力端子310とMOSトランジスタTr42のゲートとの間に接続され、オンすることにより制御信号NG2をMOSトランジスタTr42のゲートに印加できるようになっている。
【0036】
スイッチSW7は、MOSトランジスタTr42のゲートとドレインとの間に接続され、オンすることによりMOSトランジスタTr42をダイオード接続することができるようになっている。スイッチSW8は、MOSトランジスタTr42のゲートと電流判定部32との間に接続され、オンすることによりMOSトランジスタTr42のゲートと電流判定部32とを電気的に接続できるようになっている。
【0037】
次に、電流判定部22、32の具体的な構成について、
図2を参照して説明する。
電流判定部22は、
図2に示すように、N型のMOSトランジスタTr8とP型のMOSトランジスタTr9とが直列に接続され、この直列回路が電源VDDと電源VSSとの間に接続される。また、P型のMOSトランジスタTr10と抵抗Rと直列に接続され、この直列回路が電源VDDと電源VSSとの間に接続される。
【0038】
MOSトランジスタTr9とMOSトランジスタTr10とは、カレンミラーを構成するようになっている。このため、MOSトランジスタTr9、Tr10の各ゲートは共通接続され、この共通接続部がMOSトランジスタTr9のドレインに接続されている。
MOSトランジスタTr10と抵抗Rとの共通接続部がシュミットトリガ回路SH2の入力端子に接続され、シュミットトリガ回路SH2の出力端子から電流判定信号MONI2を出力するようになっている。シュミットトリガ回路SH2の出力端子と電源VSSとの間にプルダウンスイッチSW22が接続されている。
【0039】
電流判定部32は、
図2に示すように、N型のMOSトランジスタTr5とP型のMOSトランジスタTr6とが直列に接続され、この直列回路が電源VBBと電源VSSとの間に接続される。また、P型のMOSトランジスタTr7と抵抗Rと直列に接続され、この直列回路が電源VDDと電源VSSとの間に接続される。
MOSトランジスタTr6とMOSトランジスタTr7とは、カレンミラーを構成するようになっている。このため、MOSトランジスタTr6、Tr7の各ゲートは共通接続され、この共通接続部がMOSトランジスタTr6のドレインに接続されている。
【0040】
MOSトランジスタTr7と抵抗Rとの共通接続部がシュミットトリガ回路SH1の入力端子に接続され、シュミットトリガ回路SH1の出力端子から電流判定信号MONI1を出力するようになっている。シュミットトリガ回路SH1の出力端子と電源VSSとの間にプルダウンスイッチSW32が接続されている。
【0041】
(第1実施形態の動作)
次に、第1実施形態の動作例について、図面を参照して説明する。
この動作例は、H型ブリッジ1の負荷であるコイル5としてモータのコイルを接続し、モータを駆動制御する場合について説明する。
このモータの駆動制御のために、制御回路4にはモータの正転と逆転の動作を切り換える切換信号HALLと、電流モニタ回路2、3から出力される電流判定信号MONI1、MONI2とが入力される。
【0042】
制御回路4は、切換信号HALLと電流判定信号MONI1、MONI2とにしたがって、
図3に示すように、MOSトランジスタTr1、Tr2を駆動制御する制御信号PG1、PG2と、MOSトランジスタTr3、Tr4を駆動制御する制御信号NG1、NG2とを、それぞれ生成する。
この動作例では、
図3に示すように、第1動作モード期間T1と第2動作モード期間T2とがあり、切換信号HALLがLレベルのときに第1動作モード期間T1となり、切換信号HALLがHレベルのときに第2動作モード期間T2となる。
【0043】
また、第1動作モード期間T1は、
図3に示すように、PWM制御期間T11、ノンオーバーラップ期間T12、PWM制御期間T13、および正転動作期間T14からなる。第2動作モード期間T2は、
図3に示すように、PWM制御期間T21、ノンオーバーラップ期間T22、PWM制御期間T23、および逆転動作期間T24からなる。
図3の時刻t1以前であって、第1動作モード期間T1内の正転動作期間T14には、
図3(B)(D)のように制御信号PG1、NG1はLレベルになり、
図3(C)(E)のように制御信号PG2、NG2はHレベルになる。このときには、制御回路4が、スイッチ部21のスイッチSW1、SW2をオンにし、スイッチSW3、SW4をオフにし、スイッチ部31のスイッチSW5、SW6をオンにし、スイッチSW7、SW8をオフにする。
【0044】
このため、正転動作期間T14には、MOSトランジスタTr1、Tr41、Tr42はオンになり、MOSトランジスタTr2、Tr31、Tr32はオフになる。したがって、モータの正転動作時の電流経路は、
図4に示すように、電源VDDからの電流IDDが、MOSトランジスタTr1、コイル5、およびMOSトランジスタTr41、Tr42を経由して電源VSSに至る。このときには、コイル5の両端の出力電圧OUT1、OUT2は、HレベルとLレベルになる(
図3(F)(G)参照)。
【0045】
また、このときには、電流モニタ回路2、3はコイル5に流れる電流ILをモニタしておらず、スイッチSW22、S32はオンしているので、電流判定部22、32から出力される電流判定信号MONI1、MONI2はLレベルとなる(
図3(H)(I)参照)。
図3の時刻t1において、切換信号HALLがLレベルからHレベルに変化すると、第1動作モード期間T1から第2動作モード期間T2に変化する。
【0046】
第2動作モード期間T2のうち、最初のPWM制御期間T21では、制御信号PG2、NG1、NG2に変化はなく(
図3(C)〜(E)参照)、制御信号PG1だけがLレベルからPWM信号に変化する(
図3(B)参照)。PWM信号は、
図3(B)示すようにHレベルとLレベルを交互に繰り返す信号である。
このため、PWM制御期間T21では、MOSトランジスタTr1がオンのときには電源VDDからの電流IDDが流れ、MOSトランジスタTr1がオフのときにはその電流IDDが0〔mA〕となる(
図3(J)参照)。これに伴い、コイル5の両端の電圧OUT1が
図3(F)のように変化し、その電圧OUT2はLレベルを維持する(
図3(G)参照)。
【0047】
このようにPWM制御期間T21では、MOSトランジスタTr1はオフとオンの期間を交互に繰り返す。
このため、制御信号PG1がHレベルであってMOSトランジスタTr1がオフのときには、電源VDDから電流IDDの供給がないが、コイル5は電源VDDからの電流供給が断たれてから放電を開始する。したがって、MOSトランジスタTr1がオフのときには、
図5に示すように、電源VSS、MOSトランジスタ31の寄生ダイオードD31およびMOSトランジスタ32の寄生ダイオードD32、コイル5、MOSトランジスタ41、42、および電源VSSの経路で電流ILが回生電流として流れる。
【0048】
ここで、寄生ダイオードD31、D32のしきい値電圧をVF、MOSトランジスタTr41のオン抵抗をR41、MOSトランジスタTr42のオン抵抗をR42とすると、コイル5に蓄積されたエネルギー損失ELは、次式のようになる。
EL=(VF×IL)+IL
2 ×〔R41×R42/(R41+R42)〕
このため、コイル5に蓄積されたエネルギーは上記のエネルギー損失ELによって消失するので、コイル5の電流ILは時間の経過とともに減少する(
図3(K)参照)。
【0049】
一方、制御信号PG1がLレベルであってMOSトランジスタTr1がオンのときには、再び電源VDDからの電流供給が開始される。すなわち、
図4に示すように、電源VDDからの電流IDDが、MOSトランジスタTr1、コイル5、およびMOSトランジスタTr41、Tr42を経由して電源VSSに至る。このとき、コイル5の電流ILは時間の経過とともに増加する(
図3(K)参照)。
【0050】
このように、PWM制御期間T21には、MOSトランジスタTr1はPWM信号によりPWM駆動をするので、
図3(K)に示すようにコイル5の電流ILは増減を繰り返す。しかし、PWM信号のデューティー比が小さくなっていくため、PWM制御期間T21の終了時は開始時と比較して電流ILは小さくなる。
また、PWM制御期間T21内であって、電源VDDからの最後の電流IDDの供給中に、スイッチ部31のスイッチSW5をオンからオフに切り換える。これにより、MOSトランジスタTr41は、制御信号NG2の供給が停止されるので、オンからオフに切り換わる。
【0051】
さらに、この時には、スイッチ部31のスイッチSW6をオンからオフ、スイッチSW7オフからオンにそれぞれ切り換える。これにより、MOSトランジスタTr42は、制御信号NG2の供給が停止されるので、オンからダイオード接続に変更される。また、スイッチSW8はオフからオンになり、スイッチSW32はオンからオフに切り換えるので、電流モニタ回路3はコイル5に流れる電流ILの検出(モニタ)ができるようになる。
【0052】
このときのH型ブリッジ1のMOSトランジスタTr42と電流判定部32との接続状態を示すと、
図10のようになる。
このときには、
図10に示すように、H型ブリッジ1には、電源VDD、MOSトランジスタTr1、コイル5、MOSトランジスタTr42、および電源VSSの経路で電流が流れている。また、H型ブリッジ1のMOSトランジスタTr42のゲートは、MOSトランジスタTr42のドレインと電流判定部32のMOSトランジスタTr5のゲートに接続された状態である。このとき、MOSトランジスタTr42は、飽和領域で動作している。飽和ドレイン電圧をVdsat、MOSトランジスタTr42の閾値をVtとすると、OUT2からVdsat+Vt〔V〕が出力される。
【0053】
H型ブリッジ1のMOSトランジスタTr42のサイズ(トランジスタサイズ)と電流判定部32のMOSトランジスタTr5のサイズの比をN:1にすることにより、電流判定部32のMOSトランジスタTr5には、H型ブリッジ1に流れる電流の1/N倍のミラー電流が流れる。さらに、このミラーした電流は抵抗Rによって電圧に変換され、シュミットトリガ回路SH1に入力される。
【0054】
その後、
図3の時刻t2になると、PWM制御期間T21が終了し、ノンオーバーラップ期間T22に移行する。
ノンオーバーラップ期間T22に移行すると、
図8に示すように、電源VSS、MOSトランジスタTr31、Tr32の寄生ダイオードD31、D32、コイル5、MOSトランジスタTr42、および電源VSSの電流経路で電流ILが回生電流として流れる。この回生電流ILは、時間の経過に伴い減少し、
図3(K)に示すようにほぼ0〔mA〕となる。
【0055】
ノンオーバーラップ期間T22中におけるH型ブリッジ1のMOSトランジスタTr42と電流判定部32との接続状態を示すと、
図11のようになる。
このときには、
図11に示すように、H型ブリッジ1には、電源VSS、寄生ダイオードD31、D32、コイル5、MOSトランジスタTr42、および電源VSSの経路で電流が流れている。また、H型ブリッジ1のMOSトランジスタTr42のゲートは、MOSトランジスタTr42のドレインと電流判定部32のMOSトランジスタTr5のゲートに接続された状態である。
【0056】
そして、コイル5に流れる電流ILがほぼ0〔mA〕になると、電流判定部32のMOSトランジスタTr7に流れる電流はほぼ0〔mA〕になる。このため、抵抗Rで変換される電圧も0〔V〕付近の電圧となる。この0〔V〕付近の電圧が、シュミットトリガ回路SH1に入力される。これにより、シュミットトリガ回路SH1から出力される電流判定信号MONI1は、LレベルからHレベルに変化する(
図3(H)参照)。電流判定信号MONI1は、
図2に示すように制御回路4に入力される。
【0057】
そして、
図3の時刻t3において、電流判定信号NONI1がLレベルからHレベルに変化すると、制御回路4は、制御信号NG1をLレベルからHレベルに切り換えるとともに、制御信号NG2をHレベルからLレベルに切り換える。
このときには、スイッチ部21では、スイッチSW1、SW2をオフからオンに切り換え、スイッチSW3、SW4をオフのままとする。また、スイッチ部31では、スイッチSW5、SW6をオフからオンに切り換え、スイッチSW7、SW8をオンからオフに切り換える。これにより、MOSトランジスタTr31、Tr32はオフからオンになり、MOSトランジスタTr41、Tr42はオンからオフになる。また、電流判定部22のスイッチSW22はオンのままとし、電流判定部32のスイッチSW32はオフからオンにする。
【0058】
しかし、このときには、回生電流は完全に消費しているため、上記のようにH型ブリッジ1のローサイド側のMOSトランジスタのオンオフを切り換えても、逆流電流やキックバック電圧は発生しない。
このため、モータの電気的時定数、モータの動作電圧や温度などの動作環境にかかわらず、最適なタイミングでローサイド側のMOSトランジスタのオンオフの切り換えを行うことができる。
【0059】
ここで、
図3の時刻t3において、上記のようにH型ブリッジ1のローサイド側のMOSトランジスタのオンオフを切り換え、これと同時にMOSトランジスタTr2をオンにすると、MOSトランジスタTr2とMOSトランジスタTr42に貫通電流が流れ、H型ブリッジ1が故障するおそれがある。
そこで、制御回路4は、時刻t3においてH型ブリッジ1のローサイド側のMOSトランジスタのオンオフを切り換えたのち、貫通電流が発生しない程度の遅延時間tdを持たせ、時刻t4において、制御信号PG2をHレベルからLレベルに切り換え(
図3(C)参照)、MOSトランジスタTr2をオンさせている。
【0060】
このため、制御回路4は、電流モニタ回路3から出力される電流判定信号NONI1と予め定めてある遅延時間tdとに応じて、ノンオーバーラップ期間T22を決定することになる。このため、ノンオーバーラップ期間T22の最適化を図ることができる。
図3の時刻t4において、ノンオーバーラップ期間T22が終了すると、PWM制御期間T23に移行する。
【0061】
PWM制御期間T23では、制御信号PG1、NG1、NG2に変化はなく(
図3(B)(D)(E)参照)、制御信号PG2だけがHレベルからPWM信号に変化する(
図3(C)参照)。PWM信号は、
図3(C)示すようにHレベルとLレベルを交互に繰り返す信号である。
このため、PWM制御期間T23では、MOSトランジスタTr2がオンのときには電源VDDからの電流IDDが流れ、MOSトランジスタTr2がオフのときにはその電流IDDが0〔mA〕となる(
図3(J)参照)。これに伴い、コイル5の両端の電圧のうち電圧OUT1が
図3(F)はLレベルを維持し、その電圧OUT2は変化する(
図3(G)参照)。
【0062】
このようにPWM制御期間T23では、MOSトランジスタTr2はオフとオンの期間を交互に繰り返す。
このため、PWM制御信号PG2がHレベルであってMOSトランジスタTr2がオフのときには、
図7に示すように、電源VSS、寄生ダイオードD41、D42、コイル5、MOSトランジスタTr41、Tr42、および電源VSSの経路で電流ILが回生電流として流れる。このコイル5の電流ILは時間の経過とともに減少する(
図3(K)参照)。
【0063】
一方、制御信号PG2がLレベルであってMOSトランジスタTr2がオンのときには、再び電源VDDからの電流供給が開始される。すなわち、
図6に示すように、電源VDDからの電流IDDが、MOSトランジスタTr2、コイル5、およびMOSトランジスタTr31、Tr32を経由して電源VSSに至る。このとき、コイル5の電流ILは時間の経過とともに増加する(
図3(K)参照)。
【0064】
このように、PWM制御期間T23には、MOSトランジスタTr2はPWM信号によりPWM駆動をするので、
図3(K)に示すようにコイル5の電流ILは増減を繰り返す。しかし、PWM信号のデューティー比が大きくなっていくため、PWM制御期間T23の終了時は開始時と比較して電流ILは大きくなる。
そして、
図3の時刻t5になると、PWM制御期間T23を終了し、逆転動作期間T24に移行する。
【0065】
逆転動作期間T24には、制御信号PG1、NG1はHレベルであり(
図3(B)(D)参照)、制御信号PG2、NG2はLレベルとなる(
図3(C)参照)。
このため、逆転動作期間T24には、MOSトランジスタTr1、Tr41、Tr42はオフになり、MOSトランジスタTr2、Tr31、Tr32はオンになる。したがって、モータの逆転動作時の電流経路は、
図6に示すように、電源VDDからの電流IDDが、MOSトランジスタTr2、コイル5、およびMOSトランジスタTr31、Tr32を経由して電源VSSに至る。
【0066】
また、このときには、電流モニタ回路2、3はコイル5に流れる電流ILをモニタしておらず、SW22、23はオンしているので、電流判定部22、32から出力される電流判定信号MONI1、MONI2はLレベルとなる(
図3(H)(I)参照)。
図3の時刻t6において、切換信号HALLがHレベルからLレベルに変化すると、第2動作モード期間T2から第1動作モード期間T1に移行する。
【0067】
第1動作モード期間T1に移行すると、PWM制御期間T11では、制御信号PG1、NG1はHレベルであり(
図3(B)(D)参照)、制御信号PG2がPWM信号となり(
図3(C)参照)、NG2はLレベルである(
図3(E)参照)。このため、MOSトランジスタTr1、Tr41、Tr42はオフを維持し、MOSトランジスタTr2はPWM駆動され、MOSトランジスタTr31、Tr32はオンを維持する。
【0068】
また、PWM制御期間T11内であって、電源VDDからの最後の電流IDDの供給中に、スイッチ部21のスイッチSW1をオンからオフに切り換える。これにより、MOSトランジスタTr31は、制御信号NG1の供給が停止されるので、オンからオフに切り換わる。
さらに、この時には、スイッチ部21のスイッチSW2をオンからオフ、スイッチSW3をオフからオンにそれぞれ切り換える。これにより、MOSトランジスタTr32は、制御信号NG1の供給が停止されるので、オンからダイオード接続に変更される。また、スイッチSW4はオフからオンになり、スイッチSW22はオンからオフに切り換えるので、電流モニタ回路2はコイル5に流れる電流ILのモニタができるようになる。
【0069】
そして、
図3の時刻t7になると、PWM制御期間T11が終了し、ノンオーバーラップ期間T12に移行する。
ノンオーバーラップ期間T12に移行すると、
図9に示すように、電源VSS、MOSトランジスタTr41、Tr42の寄生ダイオードD41、D42、コイル5、MOSトランジスタTr32、および電源VSSの電流経路で電流ILが回生電流として流れる。この回生電流ILは、時間の経過に伴い減少し、
図3(K)に示すようにほぼ0〔mA〕となる。
【0070】
ノンオーバーラップ期間T12中の時刻t8において、コイル5の電流ILが0〔mA〕になると(
図3(K)参照)、電流モニタ回路2の電流判定部22から出力される電流判定信号MONI2がLレベルからHレベルに変化する(
図3(I)参照)。このとき、制御回路4は、制御信号NG1をHレベルからLレベルに切り換えるとともに、制御信号NG2をLレベルからHレベルに切り換える。
【0071】
また、このときには、スイッチ部21では、スイッチSW1、SW2をオフからオンに切り換え、スイッチSW3、SW4をオンからオフに切り換える。また、スイッチ部31では、スイッチSW5、SW6をオフからオンに切り換え、スイッチSW7、SW8をオフに保つ。これにより、MOSトランジスタTr31、Tr32はオンからオフになり、MOSトランジスタTr41、Tr42はオフからオンになる。また、電流判定部22のスイッチSW22はオフからオンとし、電流判定部32のスイッチSW32はオンに保つ。
【0072】
図3の時刻t9になると、ノンオーバーラップ期間T12を終了し、PWM制御期間T13に移行する。
PWM制御期間T13では、制御信号PG2、NG2はHレベルであり(
図3(C)(E)参照)、制御信号PG1がPWM信号となり(
図3(B)参照)、制御信号NG2はHレベルである(
図3(E)参照)。このため、MOSトランジスタTr1はPWM駆動され、MOSトランジスタTr2、Tr31、Tr32はオフを維持し、MOSトランジスタTr41、Tr42はオンを維持する。
【0073】
図3の時刻t10になると、PWM制御期間T13を終了し、上記の正転動作期間T14となる。
以上のように、第1実施形態では、ノンオーバーラップ期間T22、T12において、電流モニタ回路2、3がコイル5に流れる電流をそれぞれ検出し、コイル5に電流が流れなくなったときに電流判定信号MONI1、MONI2を出力するようにした。
【0074】
このため、第1実施形態では、ノンオーバーラップ期間T22、T12において、コイルの電流がほぼ0〔mA〕になったときに、ローサイド側のトランジスタTr31、Tr41のオンオフを切り換えることができるので、電源VDD側に対して逆流電流が流れるのを防止ができ、コイルの両端にキックバック電圧が発生することを防止できる。
したがって、第1実施形態によれば、モータの電気的時定数、モータの動作電圧や温度などの動作環境にかかわらず、最適なノンオーバーラップ期間を設定することができ、モータの回転効率の低下を防止することができる。
【0075】
(第2実施形態の構成)
図12は、本発明のH型ブリッジ回路の第2実施形態の構成を概要を示す図である。
この第2実施形態に係るH型ブリッジ回路は、
図12に示すように、H型ブリッジ1と、電流モニタ回路2A、3Aと、制御回路4Aとを備えている。
H型ブリッジ1は、
図1に示すH型ブリッジ1と構成が同一であるので、同一構成要素には同一符号を付してその説明は省略する。
電流モニタ回路2Aは、コイル5に流れる電流を検出(測定)し、その検出に応じた信号を電流判定信号MONI1として出力する。電流モニタ回路3Aは、コイル5に流れる電流を検出し、その検出に応じた電流判定信号MONI2として出力する。
【0076】
制御回路4Aは、コイル5の通電方向を切り換える切換信号HALLと、電流モニタ回路2A、3Aから出力される電流判定信号MONI1、MONI2とを入力する。そして、制御回路4Aは、それらの入力信号にしたがって、MOSトランジスタTr1、Tr2を駆動制御する制御信号PG1、PG2と、MOSトランジスタTr3、Tr4を駆動制御する制御信号NG1、NG2をそれぞれ生成する。
【0077】
この生成された制御信号PG1、PG2は、MOSトランジスタTr1、Tr2のゲートに入力され、駆動制御される。また、制御信号NG1、NG2は、MOSトランジスタTr3、Tr4のゲートに入力され、駆動制御される。
電流モニタ回路2Aは、
図12に示すように、抵抗R1と、抵抗R2と、スイッチSW11と、基準電圧発生回路25と、比較回路(コンパレータ)26と、プルダウン用のスイッチSW27を備えている。
【0078】
抵抗R1、抵抗R2は直列に接続され、抵抗R1の一端がMOSトランジスタTr1のソースに接続され、もう一端はMOSトランジスタTr1のドレインに接続されている。抵抗R1、R2の共通接続部は、スイッチSW11を介して比較回路26の一方の入力端子に接続されている。スイッチSW27は比較回路26の出力MONI1と電源VSSとの間に接続されている。
【0079】
基準電圧発生回路25は、基準電圧REF1は発生し、これを比較回路26の他方の入力端端子に出力する。比較回路26は、スイッチSW11がオンのときに、抵抗R1、R2の共通接続部の電圧を入力し、この入力電圧を基準電圧REF1と比較し、この比較に応じた信号を電流判定信号MONI1として出力する。
電流モニタ回路3Aは、
図12に示すように、抵抗R3と、抵抗R4と、スイッチSW12と、基準電圧発生回路35と、比較回路36と、プルダウン用のスイッチSW37を備えている。
【0080】
抵抗R3、抵抗R4は直列に接続され、抵抗R3の一端がMOSトランジスタTr2のソースに接続され、もう一端はMOSトランジスタTr2のドレインに接続されている。抵抗R3、R4の共通接続部は、スイッチSW12を介して比較回路36の一方の入力端子に接続されている。スイッチSW37は比較回路36の出力MONI2と電源VSSとの間に接続されている。
【0081】
基準電圧発生回路35は、基準電圧REF2は発生し、これを比較回路36の他方の入力端端子に出力する。比較回路36は、スイッチSW12がオンのときに、抵抗R3、R4の共通接続部の電圧を入力し、この入力電圧を基準電圧REF2と比較し、この比較に応じた信号を電流判定信号MONI2として出力する。
【0082】
(第2実施形態の動作)
次に、第2実施形態の動作例について、図面を参照して説明する。
この動作例は、H型ブリッジ1の負荷であるコイル5としてモータのコイルを接続し、モータを駆動制御する場合について説明する。
このモータの駆動制御のために、制御回路4Aにはモータの正転と逆転の動作を切り換える切換信号HALLと、電流モニタ回路2A、3Aから出力される電流判定信号MONI1、MONI2とが入力される。
【0083】
制御回路4Aは、切換信号HALLと電流判定信号MONI1、MONI2とにしたがって、
図13に示すように、MOSトランジスタTr1、Tr2を駆動制御する制御信号PG1、PG2と、MOSトランジスタTr3、Tr4を駆動制御する制御信号NG1、NG2とを、それぞれ生成する。
この動作例では、
図13に示すように、第1動作モード期間T3と第2動作モード期間T4とがあり、切換信号HALLがLレベルのときに第1動作モード期間T3となり、切換信号HALLがHレベルのときに第2動作モード期間T4となる。
【0084】
また、第1動作モード期間T3は、
図13に示すように、ノンオーバーラップ期間T31と正転動作期間T32からなる。第2動作モード期間T4は、
図13に示すように、ノンオーバーラップ期間T41と逆転動作期間T42からなる。
図13の時刻t1以前であって、第1動作モード期間T3内の正転動作期間T32には、
図13(B)(D)のように制御信号PG1、NG1はLレベルになり、
図13(C)(E)のように制御信号PG2、NG2はHレベルになる。このため、正転動作期間T32には、MOSトランジスタTr1、Tr4はオンになり、MOSトランジスタTr2、Tr3はオフになる。
【0085】
したがって、モータの正転動作時の電流経路は、
図14に示すように、電源VDDからの電流IDDが、MOSトランジスタTr1、コイル5、およびMOSトランジスタTr4を経由して電源VSSに至る。このときには、コイル5の両端の電圧OUT1、OUT2は、HレベルとLレベルになる(
図13(F)(G)参照)。
また、このときには、スイッチSW11、SW12はオフ、スイッチSW27、SW37はオンしており、電流モニタ回路2A、3Aはコイル5に流れる電流ILをモニタしていないので、比較回路26、36から出力される電流判定信号MONI1、MONI2はLレベルとなる(
図13(H)(I)参照)。
【0086】
図13の時刻t1において、切換信号HALLがLレベルからHレベルに変化すると、第1動作モード期間T3から第2動作モード期間T4に移行する。
第2動作モード期間T4のノンオーバーラップ期間T41に移行しても、制御信号PG2、NG1、NG2に変化はなく(
図13(C)〜(E)参照)、時刻t1において制御信号PG1だけがLレベルからHレベルに変化する(
図13(B)参照)。これにより、コイル5の一端の電圧OUT1はLレベルよりもダイオード電圧分だけ低いレベルとなり、その他端の電圧OUT2はLレベルのままである(
図13(G)(H)参照)。
【0087】
このため、ノンオーバーラップ期間T41には、
図15に示すように、電源VSS、寄生ダイオードD3、コイル5、MOSトランジスタTr4、および電源VSSの経路で電流ILが回生電流として流れる。このコイル5の電流ILは時間の経過とともに減少する(
図13(K)参照)。
また、ノンオーバーラップ期間T41が開始されると、制御回路4Aは電流モニタ2AのスイッチSW11をオンし、スイッチSW27をオフする。電流モニタ回路2Aはコイル5に流れる電流(回生電流)のモニタリングを開始する。このモニタリングが開始されると、比較回路26は、MOSトランジスタTr1のソース−ドレイン間の電圧を抵抗R1、R2で分圧した電圧と基準電圧REF1との比較を開始する。
【0088】
このとき、コイル5に流れる電流ILは寄生ダイオードD3を経由しているので、寄生ダイオードD3のしきい値電圧をVF〔V〕とすると、コイル5の一端の電圧OUT1は−VF〔V〕となり、電源VDDと出力端子6との間の電圧は、(VDD+VF)〔V〕となる。このため、比較回路26の入力電圧は、(R2×VDD−R1×VF)/(R1+R2)〔V〕となる。
【0089】
コイル5に流れる電流ILは、寄生ダイオードD3とMOSトランジスタTr4を通過するため、時間の経過に伴い小さくなり、ほぼ0〔mA〕になると出力端子6の電圧OUT1は0〔V〕となる。その電圧OUT1が0〔V〕になると、比較回路26の入力電圧は基準電圧REF1よりも高くなるので、時刻t2において、比較回路26から出力される電流判定信号MONI1はLレベルからHレベルに変化する(
図13(H)参照)。
【0090】
制御回路4Aは、電流判定信号MONI1がLレベルからHレベルに変化するタイミングで、制御信号NG1をLレベルからHレベルに切り換え、かつ、制御信号NG2をHレベルからLレベルに切り換える。これにより、MOSトランジスタTr3はオフからオンに切り換わり、MOSトランジスタTr4はオンからオフに切り換わる。また、SW11をオンからオフに切り換え、SW27をオフからオンに切り換える。この時、H型ブリッジ1を流れる回生電流は完全に消費しているため、H型ブリッジ1のローサイド側のMOSトランジスタTr3、Tr4のオンオフを切り替えても、逆流電流やキックバック電圧は発生しない。
【0091】
このため、モータの電気的時定数、モータの動作電圧や温度などの動作環境にかかわらず、最適なタイミングでローサイド側のMOSトランジスタのオンオフの切り換えを行うことができる。
ここで、
図13の時刻t2において、上記のようにH型ブリッジ1のローサイド側のMOSトランジスタTr3、Tr4のオンオフを切り換え、これと同時にMOSトランジスタTr2をオンにすると、MOSトランジスタTr2とMOSトランジスタTr4に貫通電流が流れ、H型ブリッジ1が故障するおそれがある。
【0092】
そこで、制御回路4Aは、時刻t2においてH型ブリッジ1のローサイド側のMOSトランジスタのオンオフを切り換えたのち、貫通電流が発生しない程度の遅延時間tdを持たせ、時刻t3において、制御信号PG2をHレベルからLレベルに切り換え(
図13(C)参照)、MOSトランジスタTr2をオンさせている。
このため、制御回路4Aは、電流モニタ回路2Aから出力される電流判定信号NONI1と予め定めてある遅延時間tdとに応じて、ノンオーバーラップ期間T41を決定することになる。このため、ノンオーバーラップ期間T41の最適化を図ることができる。
【0093】
図13の時刻t3において、ノンオーバーラップ期間T41が終了すると、逆転動作期間T42に移行する。
逆転動作期間T42には、
図13(B)〜(E)に示すように、制御信号PG1、NG1はHレベル、制御信号PG2、NG2はLレベルである。このため、MOSトランジスタTr2、Tr3はオンとなり、MOSトランジスタTr1、Tr4はオフとなる。したがって、モータの正転動作時の電流経路は、
図16に示すように、電源VDDからの電流IDDが、MOSトランジスタTr2、コイル5、およびMOSトランジスタTr3を経由して電源VSSに至る。このときには、出力端子6、7の電圧OUT1、OUT2は、LレベルとHレベルになる(
図13(F)(G)参照)。
【0094】
図13の時刻t4において、切換信号HALLがHレベルからLレベルに変化すると、制御回路4Aは、
図13(C)に示すように制御信号PG2をLレベルからHレベルに切り換えるので、MOSトランジスタTr2がオンからオフになる。
また、時刻t4には逆転動作期間T42が終了し、第2動作モード期間T4から第1動作モード期間T3に移行する。
【0095】
第1動作モード期間T3のノンオーバーラップ期間T31に移行しても、制御信号PG1、NG1、NG2に変化はなく(
図13(C)〜(E)参照)、時刻t4において制御信号PG2だけがLレベルからHレベルに変化する(
図13(C)参照)。これにより、コイル5の一端の電圧OUT1はLレベルよりもダイオード電圧分だけ低いレベルとなり、その他端の電圧OUT2はHレベルのままである(
図13(F)(G)参照)。
【0096】
このため、ノンオーバーラップ期間T31には、
図17に示すように、電源VSS、寄生ダイオードD4、コイル5、MOSトランジスタTr3、および電源VSSの経路で電流ILが回生電流として流れる。このコイル5の電流ILは、時間の経過とともに0〔mA〕に近づいていく(
図13(K)参照)。
また、ノンオーバーラップ期間T31が開始されると、制御回路4Aは電流モニタ3AのスイッチSW12をオンし、スイッチSW37をオフする。電流モニタ回路3Aはコイル5に流れる電流のモニタリングを開始する。このモニタリングが開始されると、比較回路36は、MOSトランジスタTr2のソース−ドレイン間の電圧を抵抗R3、R4で分圧した電圧と基準電圧REF2との比較を開始する。
【0097】
コイル5に流れる電流ILは、時間の経過に伴い小さくなり、ほぼ0〔mA〕になると出力端子6の電圧OUT2は0〔V〕となる。その電圧OUT2が0〔V〕になると、比較回路36の入力電圧は基準電圧REF2よりも高くなるので、時刻t5において、比較回路36から出力される電流判定信号MONI2はLレベルからHレベルに変化する(
図13(I)参照)。
【0098】
制御回路4Aは、電流判定信号MONI2がLレベルからHレベルに変化するタイミングで、制御信号NG1をHレベルからLレベルに切り換え、かつ、制御信号NG2をLレベルからHレベルに切り換える。これにより、MOSトランジスタTr3はオンからオフに切り換わり、MOSトランジスタTr4はオフからオンに切り換わる。また、スイッチSW12をオンからオフに切り換え、SW37をオフからオンに切り換える。
【0099】
この時、H型ブリッジ1を流れる回生電流は完全に消費しているため、H型ブリッジ1のローサイド側のMOSトランジスタTr3、Tr4のオンオフを切り替えても、逆流電流やキックバック電圧は発生しない。
このため、モータの電気的時定数、モータの動作電圧や温度などの動作環境にかかわらず、最適なタイミングでローサイド側のMOSトランジスタのオンオフの切り換えを行うことができる。
【0100】
図13の時刻t6において、制御回路4Aは、
図13(B)に示すように制御信号PG1をHレベルからLレベルに切り換えるので、MOSトランジスタTr1がオフからオンになる。また、時刻t6にはノンオーバーラップ期間T31が終了し、正転動作期間T32に移行する。
【0101】
以上のように、第2実施形態では、ノンオーバーラップ期間T41、T31において、電流モニタ回路2A、3Aがコイル5に流れる電流をそれぞれ検出し、コイル5に電流が流れなくなったときに電流判定信号MONI1、MONI2を出力するようにした。
このため、第2実施形態では、ノンオーバーラップ期間T41、T31において、コイルの電流がほぼ0〔mA〕になったときに、ローサイド側のトランジスタTr3、Tr4のオンオフを切り換えることができるので、電源VDD側に対して逆流電流が流れるのを防止ができ、コイルの両端にキックバック電圧が発生することを防止できる。
【0102】
したがって、第2実施形態によれば、モータの電気的時定数、モータの動作電圧や温度などの動作環境にかかわらず、最適なノンオーバーラップ期間を設定することができ、モータの回転効率の低下を防止することができる。
【0103】
(その他の実施形態など)
(1)上記の実施形態では、H型ブリッジ1のハイサイド側のトランジスタをP型のMOSトランジスタTr1、Tr2とし、そのローサイド側のトランジスタをN型のMOSトランジスタTr3、Tr4とした。この場合には、電源VDDは正の電源となり、電源VSSは負の電源またはグランドとなる。
(2)上記の実施形態の変形例として、H型ブリッジ1のハイサイド側のトランジスタをP型のMOSトランジスタTr1、Tr2からN型のMOSトランジスタに置き換えても良い。
(3)本発明の第2実施形態の変形例について、
図18を参照して説明する。
この変形例は、
図12に示す第2実施形態の構成を基本にし、以下の構成を追加したものである。すなわち、
図18に示すように、抵抗R2と出力端子6との間にスイッチSW28を接続し、抵抗R4と出力端子7との間にスイッチSW38を接続し、スイッチSW28はスイッチSW11と、スイッチSW38はスイッチSW22と同期させてスイッチングさせるようにした。
H型ブリッジ回路1の各トランジスタとコイル5の抵抗成分よりも電流モニタ回路2A、3Aの抵抗R1、R2、R3、R4の抵抗値がが十分に大きい場合は、
図12の第2実施形態2の構成で良いが、チップ面積の制約上、抵抗R1、R2、R3、R4を大きくできない場合、リーク電流が発生し、H型ブリッジ回路1の動作に影響を及ぼすおそれがある。その場合は、
図18の変形例のように、スイッチSW28、スイッチ38を追加することにより、リーク電流を抑制することが可能となる。