(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかるレジスト塗布処理装置が搭載された塗布現像処理システム1の構成の概略を示す平面図である。
【0029】
塗布現像処理システム1は、
図1に示すように例えば複数のガラス基板Gをカセット単位で外部に対して搬入出するためのカセットステーション2と、フォトリソグラフィー工程の中で枚葉式に所定の処理を施す各種処理装置が配置された処理ステーション3と、処理ステーションに3に隣接して設けられ、処理ステーション3と露光装置4との間でガラス基板Gの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
【0030】
カセットステーション2には、カセット載置台10が設けられ、当該カセット載置台10は、複数のカセットCをX方向(
図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。カセットステーション2には、搬送路11上をX方向に向かって移動可能な基板搬送体12が設けられている。基板搬送体12は、カセットCに収容されたガラス基板Gの配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり、X方向に配列された各カセットC内のガラス基板Gに対して選択的にアクセスできる。
【0031】
基板搬送体12は、Z軸周りのθ方向に回転可能であり、後述する処理ステーション3側のエキシマUV照射装置20や第6の熱処理装置群34の各装置に対してもアクセスできる。
【0032】
処理ステーション3は、例えばY方向(
図1の左右方向)に延びる2列の搬送ラインA、Bを備えている。この搬送ラインA、Bにおいては、コロ搬送やアームによる搬送などにより、ガラス基板Gを搬送できる。処理ステーション3の正面側(X方向負方向側(
図1の下側))の搬送ラインAには、カセットステーション2側からインターフェイスステーション5側に向けて順に、例えばガラス基板G上の有機物を除去するエキシマUV照射装置20、ガラス基板Gを洗浄するスクラバ洗浄装置21、第1の熱処理装置群22、第2の熱処理装置群23、ガラス基板Gに塗布液としてのレジスト液を塗布する塗布処理装置としてのレジスト塗布処理装置24、ガラス基板Gを減圧乾燥する減圧乾燥装置25及び第3の熱処理装置群26が直線的に一列に配置されている。
【0033】
第1及び第2の熱処理装置群22、23には、ガラス基板Gを加熱又は冷却する複数の熱処理装置が多段に積層されている。第1の熱処理装置群22と第2の熱処理装置群23との間には、この装置群22、23間のガラス基板Gの搬送を行う搬送体27が設けられている。第3の熱処理装置群26にも同様に、熱処理装置が多段に積層されている。
【0034】
処理ステーション3の背面側(X方向正方向側(
図1の上方側))の搬送ラインBには、インターフェイスステーション5側からカセットステーション2側に向けて順に、例えば第4の熱処理装置群30、ガラス基板Gを現像処理する現像処理装置31、ガラス基板Gの脱色処理を行うi線UV照射装置32、第5の熱処理装置群33及び第6の熱処理装置群34が直線状に一列に配置されている。
【0035】
第4〜第6の熱処理装置群30、33、34には、それぞれ熱処理装置が多段に積層されている。また、第5の熱処理装置群33と第6の熱処理装置群34との間には、この装置群33、34間のガラス基板Gの搬送を行う搬送体40が設けられている。
【0036】
搬送ラインAの第3の熱処理装置群26と搬送ラインBの第4の熱処理装置群30との間には、この装置群26、30間のガラス基板Gの搬送を行う搬送体41が設けられている。この搬送体41は、後述するインターフェイスステーション5のエクステンション・クーリング装置60に対してもガラス基板Gを搬送できる。
【0037】
搬送ラインAと搬送ラインBとの間には、Y方向に沿った直線的な空間50が形成されている。空間50には、ガラス基板Gを載置して搬送可能なシャトル51が設けられている。シャトル51は、処理ステーション3のカセットステーション2側の端部からインターフェイスステーション5側の端部まで移動自在であり、処理ステーション3内の各搬送体27、40、41に対してガラス基板Gを受け渡すことができる。
【0038】
インターフェイスステーション5には、例えば冷却機能を有しガラス基板Gの受け渡しを行うエクステンション・クーリング装置60と、ガラス基板Gを一時的に収容するバッファカセット61と、外部装置ブロック62が設けられている。外部装置ブロック62には、基板Gに生産管理用のコードを露光するタイトラーと、ガラス基板Gの周辺部を露光する周辺露光装置が設けられている。インターフェイスステーション5には、上記エクステンション・クーリング装置60、バッファカセット61、外部装置ブロック62及び露光装置4に対して、ガラス基板Gを搬送可能な基板搬送体63が設けられている。
【0039】
次に、上述したレジスト塗布処理装置24の構成について説明する。
【0040】
レジスト塗布処理装置24には、例えば
図2及び
図3に示すように搬送ラインAに沿ったY方向に延伸する基板搬送路としてのステージ70が設けられている。ステージ70は、搬入ステージ70a、塗布ステージ70b及び搬出ステージ70cを搬送ラインAの上流側(Y方向負方向側)から下流側(Y方向正方向側)に向けて順に備えている。搬入ステージ70aと搬出ステージ70cの上面には、
図3に示すように多数のガス噴出口71が形成されている。塗布ステージ70bの上面には、ガス噴出口71と吸引口72が形成されている。ガス噴出口71からガスを噴出することにより、ステージ70全面においてガラス基板Gを浮上させることができる。また、塗布ステージ70bにおいては、ガス噴出口71によるガスの噴出と吸引口72による吸引を調整することにより、ガラス基板Gをより塗布ステージ70bに近づけ安定した高さに浮上させることができる。そして、ステージ70は、ガラス基板Gを搬送ラインAに沿った水平方向に搬送できる。
【0041】
ステージ70の幅方向(X方向)の両側には、Y方向に延伸する一対のレール73が形成されている。各レール73には、ガラス基板Gの幅方向の端部を保持して移動する保持アーム74が設けられている。ステージ70上で浮上したガラス基板Gの両端部を保持アーム74により保持して、そのガラス基板Gをレール73に沿ってY方向に移動させることができる。
【0042】
塗布ステージ70bの上方には、ガラス基板Gにレジスト液を吐出する2つのノズル80、81が設けられている。第1のノズル80は、例えば
図3及び
図4に示すようにX方向に向けて長い略直方体形状に形成されている。第1のノズル80は、例えばガラス基板GのX方向の幅よりも長く形成されている。第1のノズル80の下端部には、
図4に示すようにスリット状の吐出口80aが形成されている。第1のノズル80の上部には、レジスト液供給源82に通じるレジスト液供給管83が接続されている。
【0043】
第2のノズル81は、第1のノズル80と同様の構成を有し、第2のノズル81の下端部には、吐出口81aが形成され、第2のノズル81の上部には、レジスト液供給源82に通じるレジスト液供給管83が接続されている。
【0044】
図3及び
図5に示すように第1のノズル80と第2のノズル81は、塗布ステージ70bのX方向の両側に亘って架け渡された門型のノズル支持機構としてのガントリ部材90によって支持されている。例えば第1のノズル80は、ガントリ部材90に対して搬送ラインAの上流側に配置され、第2のノズル81は、ガントリ部材90に対して搬送ラインAの下流側に配置されている。
【0045】
ガントリ部材90は、塗布ステージ70b上方でX方向の水平方向に延伸して形成された水平部90aと、水平部90aの両端部から鉛直方向下方に延伸して形成された鉛直部90bとを備えている。各鉛直部90bの下端部には、第1の移動機構91が設けられている。第1の移動機構91は、例えばアクチュエータを備えている。また第1の移動機構91は、Y方向に延伸する第1のガイドレール92に取り付けられている。この第1の移動機構91により、ガントリ部材90は、第1のガイドレール92に沿って移動可能になっている。なお、第1のガイドレール92は、ステージ70とレール73の下方に設けられた、後述する架台140の上面に設けられている。
【0046】
ガントリ部材90の鉛直部90bには、第1のノズル80と第2のノズル81を支持して昇降させる昇降機構93が設けられている。昇降機構93は、鉛直部90bに対して搬送ラインAの上流側の側面と下流側の側面にそれぞれ設けられている。第1のノズル80と第2のノズル81は、各々の昇降機構93により昇降し、下方を通過するガラス基板Gの表面に対し進退できる。
【0047】
図2及び
図3に示すように第1のノズル80のY方向負方向側には、第1のノズル80に対して所定の処理を行う第1のノズル処理部100が設けられている。第1のノズル処理部100は、
図6に示すように第1のノズル80の先端部に付着したレジスト液を均一化するプライミング処理を行う第1のプライミングローラ101と、プライミング処理中の雰囲気を排気する第1の排気ダクト102と、第1のノズル80の先端部を収容して、当該第1のノズル80を待機させる第1の待機バス103と、第1のノズル80の先端部を洗浄する第1の洗浄機構104とを有している。これら第1のプライミングローラ101、第1の排気ダクト102、第1の待機バス103、第1の洗浄機構104は、Y方向負方向にこの順で第1の容器105に収容されている。
【0048】
図2及び
図3に示すように第2のノズル81のY方向正方向側には、第2のノズル81に対して所定の処理を行う第2のノズル処理部110が設けられている。第2のノズル処理部110は、
図6に示すように第2のノズル81の先端部に付着したレジスト液を均一化するプライミング処理を行う第2のプライミングローラ111と、プライミング処理中の雰囲気を排気する第2の排気ダクト112と、第2のノズル81の先端部を収容して、当該第2のノズル81を待機させる第2の待機バス113と、第2のノズル81の先端部を洗浄する第2の洗浄機構114とを有している。これら第2の排気ダクト112、第2のプライミングローラ111、第2の待機バス113、第2の洗浄機構114は、Y方向負方向にこの順で第2の容器115に収容されている。
【0049】
プライミングローラ101、111は、それぞれ回転可能に構成されている。そして、プライミングローラ101、111の直上にノズル80、81の吐出口80a、81aを対峙させて、吐出口80a、81aからプライミングローラ101、111に対してレジスト液を吐出する。そして、プライミングローラ101、111を回転させて前記レジスト液を巻き取ることで、吐出口80a、81aにおけるレジスト液の付着状態が整えられ、吐出口80a、81aにおけるレジスト液の吐出状態を安定化させることができる。
【0050】
排気ダクト102、112は、バルブ120を介して、それぞれ例えば真空ポンプなどの負圧発生装置121に連通している。そして、バルブ120を操作することで、排気ダクト102、112のいずれか又は両方からプライミング処理中の雰囲気が排気される。
【0051】
待機バス103、113には、それぞれ供給管122が接続されている。供給管122は、バルブ123を介して、内部にレジスト液の溶剤(気体状)を貯留する溶剤供給源124に連通している。そして、バルブ123を操作することで、待機バス103、113のいずれか又は両方に溶剤供給源124から溶剤が供給される。このように待機バス103、113の内部が溶剤雰囲気に維持されると、待機バス103、113に各ノズル80、81を待機させる際、当該ノズル80、81の吐出口80a、81aにおけるレジスト液の吐出状態を維持することができる。
【0052】
洗浄機構104、114には、それぞれ供給管125が接続されている。供給管125は、バルブ126を介して、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源127に連通している。そして、バルブ126を操作することで、洗浄機構104、114のいずれか又は両方に洗浄液供給源127から洗浄液が供給され、この洗浄液によって各ノズル80、81の先端部が洗浄される。
【0053】
図2及び
図3に示すように第1のノズル処理部100及び第2のノズル処理部110の両端部には、それぞれ保持部材130が設けられている。保持部材130の下端部には、第2の移動機構131が設けられている。第2の移動機構131は、例えばアクチュエータを備えている。また第2の移動機構131は、Y方向に延伸する第2のガイドレール132に取り付けられている。この第2の移動機構131により、各ノズル処理部100、110は、それぞれ第2のガイドレール132に沿って移動可能になっている。なお、第2のガイドレール132は、ステージ70とレール73の下方に設けられた、後述する架台140の上面に設けられている。
【0054】
上述したガントリ部材90、第1のノズル処理部100及び第2のノズル処理部110は、ステージ70とレール73の下方に設けられた架台140に支持されている。架台140の上面には、上述した一対の第1のガイドレール92と一対の第2のガイドレール132がそれぞれ設けられている。そして、ガントリ部材90、第1のノズル処理部100及び第2のノズル処理部110は、それぞれ第1の移動機構91と第2の移動機構131によって独立に移動可能に構成されている。
【0055】
以上の塗布現像処理システム1には、
図1に示すように制御部150が設けられている。制御部150は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、塗布現像処理システム1におけるガラス基板Gの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、塗布現像処理システム1における後述の基板処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部150にインストールされたものであってもよい。
【0056】
次に、以上のように構成されたレジスト塗布処理装置24の塗布処理プロセスを、塗布現像処理システム1で行われるフォトリソグラフィー工程のプロセスと共に説明する。
【0057】
先ず、カセットステーション2のカセットC内の複数のガラス基板Gが、基板搬送体12によって、順次処理ステーション3のエキシマUV照射装置20に搬送される。ガラス基板Gは、搬送ラインAに沿って、エキシマUV照射装置20、スクラバ洗浄装置21、第1の熱処理装置群22の熱処理装置、第2の熱処理装置群23の熱処理装置、レジスト塗布処理装置24、減圧乾燥装置25及び第3の熱処理装置群26の熱処理装置に順に搬送され、各処理装置において所定の処理が施される。第3の熱処理装置群26で熱処理の終了したガラス基板Gは、搬送体41によって、インターフェイスステーション5に搬送され、基板搬送体63によって露光装置4に搬送される。
【0058】
露光装置4において露光処理の終了したガラス基板Gは、基板搬送体63によってインターフェイスステーション5に戻され、搬送体41によって処理ステーション3の第4の熱処理装置群30に搬送される。ガラス基板Gは、搬送ラインBに沿って、第4の熱処理装置群30の熱処理装置、現像処理装置31、i線UV照射装置32、第5の熱処理装置群33の熱処理装置及び第6の熱処理装置群34の熱処理装置に順に搬送され、各処理装置において所定の処理が施される。第6の熱処理装置群34で熱処理の終了したガラス基板Gは、基板搬送体12によってカセットステーション2のカセットCに戻されて、一連のフォトリソグラフィー工程が終了する。
【0059】
次に、レジスト塗布処理装置24における塗布処理プロセスについて説明する。
なお、本実施の形態では、
図7に示すように初期状態において、第1のノズル処理部100は、例えば第1のプライミングローラ101が第1のノズル80のプライミング処理を行う位置、第1の処理位置P
1で待機している。また第2のノズル処理部110は、例えば第2のプライミングローラ111が第2のノズル81のプライミング処理を行う位置、第2の処理位置P
2で待機している。さらに、後述するように第1のノズル80と第2のノズル81からガラス基板Gにレジスト液が吐出される塗布位置P
3は、第1のノズル80と第2のノズル81で共通である。
【0060】
先ず、第1のノズル80のプライミング処理が行われる。この際、
図7に示すように第1のノズル処理部100の第1のプライミングローラ101は、第1の処理位置P
1に待機している。また、ガントリ部90をY方向負方向側に移動させ、第1のノズル80を第1の処理位置P
1に移動させる。その後、第1のノズル80を下降させて、第1のノズル80の吐出口80aが第1のプライミングローラ101の上部表面に近接される。第1のプライミングローラ101が回転し、第1のノズル80から第1のプライミングローラ101にレジスト液が吐出されて、第1のノズル80の吐出状態が安定する。
【0061】
第1のノズル80のプライミング処理が終了すると、
図8に示すようにガントリ部90をY方向正方向側に移動させ、第1のノズル80を塗布位置P
3に移動させる。その後、第1のノズル80を下降させて、所定の高さの吐出位置に移動させる。これまでの間に、ガラス基板G
1は搬入ステージ70aに搬入されており、さらに搬入ステージ70aのガラス基板G
1が一定の速度でY方向正方向側に搬送される。そして、ガラス基板G
1が塗布ステージ70b上を移動し、第1のノズル80の下方を通過する際に、第1のノズル80からレジスト液が吐出され、ガラス基板G
1の上面の全面にレジスト液が塗布される。
【0062】
また、
図8に示したように第1のノズル80を塗布位置P
3に移動させると、これに伴い、第2のノズル81が第2の処理位置P
2に移動する。このとき、第2のノズル81の下方に、第2のノズル処理部110の第2のプライミングローラ111が配置されている。そして、第1のノズル80がガラス基板G
1にレジスト液を塗布している間に、第2のノズル81のプライミング処理が行われる。すなわち、第2のノズル81を下降させて、第2のノズル81の吐出口81aが第2のプライミングローラ111の上部表面に近接される。第2のプライミングローラ111が回転し、第2のノズル81から第2のプライミングローラ111にレジスト液が吐出されて、第2のノズル81の吐出状態が安定する。
【0063】
第2のノズル81のプライミング処理が終了すると、
図9に示すように第2のノズル処理部110をY方向負方向側に移動させ、第2の待機バス113を第2のノズル81の下方に移動させる。その後、第2のノズル81を下降させ、当該第2のノズル81の先端部が第2の待機バス113に収容される。このとき、第2の待機バス113の内部は溶剤の雰囲気に維持されている。そして、この溶剤雰囲気によって、プライミング処理された第2のノズル81の吐出口81aにおけるレジスト液が固化することがなく、吐出口81aの吐出状態を維持することができる。こうして、第2のノズル81が第2の待機バス113で待機する。
【0064】
なお、本実施の形態では、第2のノズル81のプライミング処理を行った後、第2のノズル81を第2の待機バス113で待機させていたが、第2のノズル81を第2の待機バス113で待機させた後、第2のノズル81からガラス基板Gにレジスト液を吐出する直前に、第2のノズル81のプライミング処理を行ってもよい。
【0065】
また、ガラス基板G
1の塗布処理が行われている間、
図8及び
図9に示すように次のガラス基板G
2が搬入ステージ70aに搬入される。
【0066】
ガラス基板G
1が第1のノズル80の下方を通過し終えてレジスト液の塗布が終了すると、
図10に示すようにガントリ部90をY方向負方向側に移動させ、第2のノズル81を塗布位置P
3に移動させる。その後、第2のノズル81を下降させて、所定の高さの吐出位置に移動させる。このように第2のノズル81が所定の位置に配置された状態で、ガラス基板G
1に連続して次のガラス基板G
2が搬入ステージ70aから塗布ステージ70b側に搬送される。そして、ガラス基板G
2が第2のノズル81の下方を通過する際に、第2のノズル81からレジスト液が吐出され、ガラス基板G
2の上面の全面にレジスト液が塗布される。
【0067】
また、
図10に示したように第2のノズル81を塗布位置P
3に移動させると、これに伴い、第1のノズル81が第1の処理位置P
1に移動する。このとき、第1のノズル80を上昇させて、第1のノズル80の吐出口80aが第1のプライミングローラ101の上部表面に近接される。そして、第2のノズル81がガラス基板G
2にレジスト液を塗布している間に、第1のノズル80のプライミング処理が行われる。さらに第1のノズル80のプライミング処理が終了すると、第1のノズル処理部100をY方向正方向側に移動させ、第1の待機バス103を第1のノズル80の下方に移動させる。その後、第1のノズル80を下降させ、当該第1のノズル80の先端部が第1の待機バス103に収容された状態で、第1のノズル80が第1の待機バス103で待機する。なお、これら第1のノズル80のプライミング処理及び待機は、上述した第2のノズル81のプライミング処理及び待機と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0068】
また、ガラス基板G
2の塗布処理が行われている間、
図10に示すように次のガラス基板G
3が搬入ステージ70aに搬入される。先のガラス基板G
1は、搬出ステージ70cから次の減圧乾燥装置25に搬送される。
【0069】
ガラス基板G
2が第2のノズル81の下方を通過し終え、レジスト液の塗布が終了すると、第1のノズル80が塗布位置P
3に移動し、当該第1のノズル80によって次のガラス基板G
3に塗布処理が行われる。一方、第2のノズル81は第2の処理位置P
2に移動し、当該第2のノズル81のプライミング処理が行われる。
【0070】
このように第1のノズル80と第2のノズル81による塗布処理が交互に行われて、塗布処理を行っていないノズルについては、プライミング処理等の所定の処理が行われる。すなわち、ガラス基板Gへのレジスト液の塗布処理と、ノズル80、81に対する所定の処理が並行して行われる。
【0071】
なお、所定枚数、例えば1ロットのガラス基板Gに塗布処理が行われると、第1のノズル80と第2のノズル81が洗浄される。具体的には、第1のノズル処理部100を移動させて、第1の洗浄機構104を第1のノズル80の下方に配置する。そして、第1の洗浄機構104によって第1のノズル80が洗浄される。同様に、第2のノズル処理部110を移動させて、第2の洗浄機構114を第2のノズル81の下方に配置し、当該第2の洗浄機構114によって第2のノズル82が洗浄される。
【0072】
以上の実施の形態によれば、レジスト塗布処理装置24の塗布ステージ70bの上方に2つのノズル80、81が設けられ、各ノズル80、81に対してノズル処理部100、110が設けられたので、一のノズルがレジスト液を塗布している間に他のノズルにプライミング処理等の所定の処理を行うことができる。これにより、一のノズルによる塗布処理が終了した後、直ちに他のノズルがレジスト液を吐出できるので、複数のガラス基板Gを待ち時間なしに連続して処理することができる。この結果、搬送ラインAにおけるレジスト塗布処理装置24の処理タクトを短縮できる。しかも、塗布処理は塗布ステージ70上を搬送中のガラス基板Gに対して行われるので、例えばガラス基板Gの搬送を停止した状態でノズルを走査させて塗布処理を行う場合に比べて、処理タクトをさらに短縮できる。したがって、基板処理のスループットを向上させることができる。
【0073】
ここで、例えばレジスト塗布処理装置24に単純に2つのノズルを設け、これら2つのノズルの位置を塗布ステージ70bに対して固定した場合、各ノズルからガラス基板Gにレジスト液が吐出される塗布位置は異なる位置となる。そうすると、この固定された2つのノズル間の距離の分だけ、レジスト塗布処理装置24の占有面積が大きくなる。特に塗布ステージ70bはガス噴出口71と吸引口72が形成されて高価であるため、レジスト塗布処理装置24の製造コストが高くなる。
【0074】
これに対して、本実施の形態における2つのノズル80、81は、ガントリ部材90と第1の移動機構91により搬送ラインAに沿って移動可能に構成されており、さらに2つのノズル80、81からガラス基板Gにレジスト液が吐出される塗布位置P
3は、2つのノズル80、81で共通である。したがって、上述したように2つのノズルの位置を固定した場合に比べて、レジスト塗布処理装置24の占有面積を小さくすることができる。さらに言えば、このようにレジスト液が吐出される塗布位置P
3が2つのノズル80、81で共通であるので、本実施の形態におけるレジスト塗布処理装置24の占有面積は、例えばレジスト塗布処理装置に1つのノズルを設けた場合の当該レジスト塗布処理装置の占有面積と変わらない。したがって、このようにレジスト塗布処理装置24の占有面積を小さく維持して、レジスト塗布処理装置24の製造コストを抑えることができる。
【0075】
また、2つのノズル80、81(ガントリ部材90)を搬送ラインAに沿って移動させる第1の移動機構91と、2つのノズル処理部100、110を搬送ラインAに沿って移動させる第2の移動機構131は、それぞれ独立して2つのノズル80、81と2つのノズル処理部100、110を移動させることができる。ここで、上述したように各ノズル80、81にはレジスト液供給管83が接続され、各ノズル処理部100、110には排気ダクト102、112と、待機バス103、113に連通する溶剤の供給管122と、洗浄機構104、114に連通する洗浄液の供給管125が接続される。本実施の形態では、このようにノズル80、81とノズル処理部100、110に種々の配管等が接続されても、ノズル80、81とノズル処理部100、110は独立して移動可能なので、これら配管を複雑に引き回す必要がない。このため、レジスト塗布処理装置24の構造を簡易にすることができる。また、このように簡易な構造となるので、ノズル80、81とノズル処理部100、110の作業性やメンテナンス性も向上する。
【0076】
また、各ノズル処理部100、110は、それぞれプライミングローラ101、111、待機バス103、113、洗浄機構104、114を有しているので、ノズル80、81に対して種々の処理を行うことができる。
【0077】
さらに、待機バス103、113の内部を溶剤雰囲気に維持できるので、プライミング処理されたノズル80、81の吐出口80a、81aにおけるレジスト液が固化することがなく、吐出口80a、81aの吐出状態を維持することができる。こうして待機バス103、113において、ノズル80、81を適切に待機させることができる。
【0078】
次に、別の実施の形態にかかるレジスト塗布処理装置24の構成について説明する。
【0079】
例えば
図11及び
図12に示すように、架台140上には、ガントリ部材90と2つのノズル処理部100、110とを支持する、一対の支持部材200、200が設けられている。支持部材200は、
図13に示すように平面視略矩形状の平板形状を有している。支持部材200は、架台140上においてY方向に延伸する第1のガイドレール201に取り付けられている。また支持部材200には、当該支持部材200を第1のガイドレール201に沿って移動させる第1の移動機構202が設けられている。第1の移動機構202は、例えばアクチュエータを備えている。
【0080】
図11及び
図12に示すように、ガントリ部材90の鉛直部90bの下端部には、固定部材210が設けられている。固定部材210は支持部材200上に固定されており、これによりガントリ部材90は支持部材200に対して固設されている。
【0081】
また第1のノズル処理部100と第2のノズル110に設けられた保持部材130の下端部には、第2の移動機構220が設けられている。第2の移動機構220は、例えばアクチュエータを備えている。また第2の移動機構220は、支持部材200上においてY方向に延伸する第2のガイドレール221に取り付けられている。この第2の移動機構220により、各ノズル処理部100、110は、それぞれ第2のガイドレール221に沿って移動可能になっている。
【0082】
なお、レジスト塗布処理装置24のその他の構成については、上記実施の形態のレジスト塗布処理装置24の構成と同様であるので説明を省略する。
【0083】
また、レジスト塗布処理装置24における塗布処理も、上記実施の形態の塗布処理と同様であるので説明を省略する。但し、ノズル80、81の移動は、第1の移動機構202によって支持部材200を移動させることで行われる。また、ノズル処理部100、110の移動は、第2の移動機構220によって行われる。
【0084】
かかる構成のレジスト塗布処理装置24では、第1の処理位置P
1と塗布位置P
3との間の第1のノズル80の移動、或いは第2の処理位置P
2と塗布位置P
3との間の第2のノズル81の移動は、ノズル80、81とノズル処理部100、110の相対的な位置関係のみで制御される。すなわち、架台140に対するノズル80、81の相対的な位置関係を考慮する必要がない。またノズル処理部100、110がノズル80、81との相対的な位置関係を崩すことなく、ノズル80、81の移動を行うことができる。このため、レジスト塗布処理装置24における塗布処理の制御を簡易にすることができる。
【0085】
また、本実施の形態のレジスト塗布処理装置24においても、上記実施の形態と同様の効果を享受することができる。すなわち、一のノズルによるガラス基板Gの塗布処理と、他のノズルに対するプライミング処理等の所定の処理を並行して行うことができるので、レジスト塗布処理装置24の処理タクトを短縮することができる。したがって、基板処理のスループットを向上させることができる。
【0086】
次に、さらに別の実施の形態にかかるレジスト塗布処理装置24の構成について説明する。
【0087】
例えば
図14に示すように、第1のノズル80と第1のノズル処理部100は、それぞれノズル支持機構としてのガントリ部材300に支持されている。ガントリ部材300は、
図14及び
図15に示すように塗布ステージ70b上方でX方向の水平方向に延伸して形成された水平部300aと、水平部300aの両端部から鉛直方向下方に延伸して形成された鉛直部300bとを備えている。各鉛直部300bの下端部には、第1の移動機構301が設けられている。第1の移動機構301は、例えばアクチュエータを備えている。また第1の移動機構301は、架台140上に設けられ、且つY方向に延伸するガイドレール302に取り付けられている。この移動機構301により、ガントリ部材300は、ガイドレール302に沿って移動可能になっている。
【0088】
ガントリ部材300の鉛直部300bには、第1のノズル80を昇降させる昇降機構303が設けられている。昇降機構303は、鉛直部300bに対して搬送ラインAの上流側の側面にそれぞれ設けられている。第1のノズル80は、昇降機構303により昇降し、下方を通過するガラス基板Gの表面に対し進退できる。
【0089】
また、ガントリ部材300の鉛直部300bには、ガントリ部材300に対して、第1のノズル処理部100を相対的に水平方向に移動させる第2の移動機構304が設けられている。第2の移動機構304は、例えばアクチュエータを備えている。
【0090】
第2のノズル81と第2のノズル処理部110も、上記ガントリ部材300と同じ構造を有するガントリ部材300に支持されている。そして、この第2のノズル81と第2のノズル処理部110を支持するガントリ部材300も、第1の移動機構301によりガイドレール302に沿って移動可能になっている。また、第2のノズル処理部110も、第2の移動機構304により、ガントリ部材300に対して相対的に移動可能になっている。なお、本実施の形態の第2のノズル処理部110では、これら第2のプライミングローラ111、第2の排気ダクト112、第2の待機バス113、第2の洗浄機構114は、Y方向負方向にこの順で第2の容器115に収容されている。
【0091】
なお、レジスト塗布処理装置24のその他の構成については、上記実施の形態のレジスト塗布処理装置24の構成と同様であるので説明を省略する。
【0092】
また、レジスト塗布処理装置24における塗布処理も、上記実施の形態の塗布処理と同様であるので説明を省略する。但し、ノズル80、81の移動は、第1の移動機構301によってガントリ部材300を移動させることで行われる。また、ノズル処理部100、110の移動は、第2の移動機構304によって行われる。
【0093】
かかる構成のレジスト塗布処理装置24では、第1のノズル80と第1のノズル処理部100は一のガントリ部材300に支持され、第2のノズル81と第2のノズル処理部110も一のガントリ部材300に支持されているので、レジスト塗布処理装置24を小型化することができ、当該レジスト塗布処理装置24の構造を簡易にすることができる。
【0094】
また、第1のノズル80と第1のノズル処理部100は一のガントリ部材300に支持されているので、第1のノズル80と第1のノズル処理部100の相対位置精度を向上させることができる。同様に第2のノズル81と第2のノズル処理部110も一のガントリ部材300に支持されているので、第2のノズル81と第2のノズル処理部110の相対位置精度を向上させることができる。したがって、レジスト塗布処理装置24における塗布処理を適切に行うことができる。
【0095】
さらに、本実施の形態のレジスト塗布処理装置24においても、上記実施の形態と同様の効果を享受することができる。すなわち、一のノズルによるガラス基板Gの塗布処理と、他のノズルに対するプライミング処理等の所定の処理を並行して行うことができるので、レジスト塗布処理装置24の処理タクトを短縮することができる。したがって、基板処理のスループットを向上させることができる。
【0096】
なお、このようにノズルとノズル処理部を一のガントリ部材で支持する構成は、例えばノズル塗布処理装置において、1つのノズルと1つのノズル処理部を設ける場合にも適用することができる。
【0097】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。例えば以上の実施の形態では、レジスト液の塗布処理を例に採って説明したが、本発明は、レジスト液以外の他の塗布液、例えば反射防止膜、SOG(Spin On Glass)膜、SOD(Spin On Dielectric)膜などを形成する塗布液の塗布処理にも適用できる。また本発明は、LCD基板以外の基板例えばフォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。さらに以上の実施の形態では、第1のノズル80と第2のノズル81によって複数のガラス基板Gに交互に塗布液を塗布したが、これら第1のノズル80と第2のノズル81で異なる塗布液を塗布するようにしてもよい。かかる場合、第1のノズル80と第2のノズル81から交互に塗布液を塗布することなく、塗布する塗布液に応じて第1のノズル80と第2のノズル81を使い分ければよい。