(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマー除去工程では、プラズマエッチング処理、または有機溶剤の供給により前記親水性ポリマー又は前記疎水性ポリマーのいずれかを選択的に除去することを特徴とする、請求項4に記載の基板処理方法。
前記ポリマー除去装置は、プラズマエッチング処理装置、または有機溶剤を供給して前記親水性ポリマー又は前記疎水性ポリマーのいずれかを選択的に除去する溶剤供給装置であることを特徴とする、請求項15に記載の基板処理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら本発明者らによれば、上述のようにレジストをガイドパターンとして中性層上にブロック共重合体を塗布し、ブロック共重合体を相分離させた場合、所望のパターンでラメラ構造に分離できない場合があることが確認された。通常は、現像後のレジストパターンは疎水性であるため、疎水性のポリマーがレジストパターンの長手方向に沿って配列し、それによりレジストパターンの長手方向に沿ってラメラ構造が形成される。しかしながら、レジストパターンの長手方向に沿って親水性ポリマー及び疎水性ポリマーが配列せずに、レジストパターンに対して無秩序にラメラ構造が形成されてしまうことがある。
【0007】
この点について本発明者らが鋭意調査したところ、レジストパターンの側壁に、レジストの物性が変化して必ずしも疎水性となっていない部分が存在していることが確認された。これは、
図19に示すように、ウェハW上のレジスト膜Rを露光処理する際に、露光される露光領域600とマスク601により光が遮られて露光されない未露光領域602の中間の領域(以下、このような中間の領域を「中間露光領域」ということがある)603において物性が変化したレジストが生成されることによるものと推察される。なお、
図19における符号604は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を持つ中性層である。
【0008】
そして、レジスト膜を現像する際に、この中間露光領域603のレジスト膜は現像されずにレジストパターンの表面全体に残ったり、レジストパターンの表面に中間露光領域603と未露光領域602とが混在したりしてしまう。その結果、親水性ポリマーと疎水性ポリマーがレジストパターンに対して無秩序に配列してしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理において、基板上に所定のパターンを適切に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する方法であって、前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する中性層を基板上に形成する中性層形成工程と、中性層上に形成されたレジスト膜を露光処理し、次いで露光処理後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、前記レジストパターンに極性を有する有機溶剤を供給して前記レジストパターンを表面処理するレジストパターン処理工程と、前記ブロック共重合体を前記中性層上に塗布するブロック共重合体塗布工程と、前記中性層上の前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、
前記レジストパターン形成工程の後で且つレジストパターン処理工程の前に、前記レジストパターンに紫外線を照射して、当該レジストパターンの表面を改質処理するレジスト改質処理工程と、を有し、前記レジストパターンは、ArFレジストにより形成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、レジストパターン処理工程において極性を有する有機溶剤を供給してレジストパターンを表面処理するので、レジストパターンの表面に残存する、レジストが変質し必ずしも疎水性となっていない(疎水度が弱い)部分を除去して、十分な疎水度を有する未露光領域を露出させることができる。したがって、疎水性を有するレジストパターンに対して疎水性ポリマーが引き寄せられやすくなり、ブロック共重合体を相分離させた際に各ポリマーが無秩序に配列することを防止して、所望のパターンを形成できる。このように基板上に所定の微細なパターンを適切に形成することができるので、当該親水性ポリマー又は疎水性ポリマーのパターンをマスクとした被処理膜のエッチング処理を適切に行うことができ、被処理膜に所定のパターンを形成することができる。
【0014】
前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマー又は前記疎水性ポリマーのいずれかを選択的に除去するポリマー除去工程を有していてもよい。
【0015】
前記ポリマー除去工程では、プラズマエッチング処理、または有機溶剤の供給により前記親水性ポリマー又は前記疎水性ポリマーのいずれかを選択的に除去してもよい。
【0016】
前記レジストパターンは、平面視において直線状のライン部と直線状のスペース部を有するパターンであり、前記ブロック共重合体における前記親水性ポリマーの分子量の比率は、40%〜60%であってもよい。また、前記レジストパターンは、平面視において円形状のスペース部を有するパターンであり、前記ブロック共重合体における前記
親水性ポリマーの分子量の比率は、20%〜40%であってもよい。
【0017】
前記親水性ポリマーはポリメタクリル酸メチルであり、前記疎水性ポリマーはポリスチレンであってもよい。
【0018】
別な観点による本発明によれば、前記基板処理方法を基板処理システムによって実行させるために、当該基板処理システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0019】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0020】
前記目的を達成するため、本発明は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理するシステムであって、前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する中性層を基板上に形成する中性層形成装置と、中性層上に形成された露光処理後のレジスト膜を現像処理してレジストパターンを形成する現像装置と、前記現像処理後のレジストパターンに極性を有する有機溶剤を供給して前記レジストパターンを表面処理するレジストパターン処理装置と、中性層上に形成された露光処理後前記ブロック共重合体を前記中性層上に塗布するブロック共重合体塗布装置と、前記中性層上の前記ブロック共重合体を前記
親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離装置と、
前記レジストパターン形成後で且つ前記レジストパターンに前記有機溶剤を供給する前に、前記レジストパターンに紫外線を照射して、当該レジストパターンの表面を改質処理するレジスト改質処理装置と、を有し、
前記レジストパターンは、ArFレジストにより形成されていることを特徴としている。
前記レジストパターン処理装置では、前記レジスト膜の露光領域と未露光領域との中間の領域に存在するレジスト膜を除去して、前記未露光領域のレジスト膜の表面を露出させるようにしてもよい。
【0023】
前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマー又は前記疎水性ポリマーのいずれかを選択的に除去するポリマー除去装置を有していてもよい。
【0024】
前記ポリマー除去装置は、プラズマエッチング処理装置、または有機溶剤を供給して前記親水性ポリマー又は前記疎水性ポリマーのいずれかを選択的に除去する溶剤供給装置であってもよい。
【0025】
前記レジストパターンは、平面視において直線状のライン部と直線状のスペース部を有するパターンであり、前記ブロック共重合体における前記親水性のポリマーの分子量の比率は、40%〜60%であってもよい。また、前記レジストパターンは、平面視において円形状のスペース部を有するパターンであり、前記ブロック共重合体における前記
親水性ポリマーの分子量の比率は、20%〜40%であってもよい。
【0026】
前記親水性ポリマーはポリメタクリル酸メチルであり、前記疎水性ポリマーはポリスチレンであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理において、基板上に所定のパターンを適切に形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる基板処理システム1の構成の概略を示す説明図である。
【0030】
基板処理システム1は、
図1に示すように基板としてのウェハにフォトリソグラフィー処理を行う塗布現像処理装置2と、ウェハにエッチング処理を行うエッチング処理装置3とを有している。なお、基板処理システム1で処理されるウェハ上には、予め被処理膜(図示せず)が形成されている。
【0031】
塗布現像処理装置2は、
図2に示すように例えば外部との間で複数枚のウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション10と、フォトリソグラフィー処理の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション11と、処理ステーション11に隣接する露光装置12との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション13とを一体に接続した構成を有している。
【0032】
カセットステーション10には、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20には、複数、例えば4つのカセット載置板21が設けられている。カセット載置板21は、水平方向のX方向(
図2中の上下方向)に一列に並べて設けられている。これらのカセット載置板21には、塗布現像処理装置2の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。
【0033】
カセットステーション10には、
図2に示すようにX方向に延びる搬送路22上を移動自在なウェハ搬送装置23が設けられている。ウェハ搬送装置23は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板21上のカセットCと、後述する処理ステーション11の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0034】
処理ステーション11には、各種装置を備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション11の正面側(
図2のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション11の背面側(
図2のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション11のカセットステーション10側(図
2のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション11のインターフェイスステーション13側(
図2のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0035】
例えば第1のブロックG1には、
図3に示すように複数の液処理装置、例えばウェハWを現像処理する現像装置30、現像後のレジストパターンに極性を有する有機溶剤を供給してレジストパターンを表面処理するレジストパターン処理装置としての有機溶剤供給装置31、ウェハW上に反射防止膜を形成する反射防止膜形成装置32、ウェハW上に中性剤を塗布して中性層を形成する中性層形成装置33、ウェハW上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置34、ウェハW上にブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布装置35が下から順に重ねられている。なお、本実施の形態におけるレジストは、例えばポジ型レジストであるArFレジストが用いられる。
【0036】
例えば現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら現像装置30、
有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35の数や配置は、任意に選択できる。
【0037】
これら現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35では、例えばウェハW上に所定の塗布液を塗布するスピンコーティングが行われる。スピンコーティングでは、例えば塗布ノズルからウェハW上に塗布液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、塗布液をウェハWの表面に拡散させる。これら液処理装置の構成については後述する。
【0038】
なお、ブロック共重合体塗布装置35でウェハW上に塗布されるブロック共重合体は、疎水性を有する(極性を有さない)疎水性(無極性)ポリマーと親水性(極性)を有する親水性(有極性)ポリマーとを有する。本実施の形態では、親水性ポリマーとして例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)が用いられ、疎水性ポリマーとしては例えばポリスチレン(PS)が用いられる。また、ブロック共重合体における親水性ポリマーの分子量の比率は40%〜60%であり、ブロック共重合体における疎水性ポリマーの分子量の比率は60%〜40%である。そして、ブロック共重合体は、これら親水性ポリマーと疎水性ポリマーが、直線的に化合した高分子である。
【0039】
また、中性層形成装置33でウェハW上に形成される中性層は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する。本実施の形態では、中性層として例えばポリメタクリル酸メチルとポリスチレンとのランダム共重合体や交互共重合体が用いられる。以下において、「中性」という場合は、このように親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有することを意味する。
【0040】
例えば第2のブロックG2には、
図4に示すようにウェハWの熱処理を行う熱処理装置40、ウェハW上のレジストパターンに紫外線を照射して当該レジストパターンの表面を改質処理するレジスト改質処理装置としての紫外線照射装置41、ウェハWを疎水化処理するアドヒージョン装置42、ウェハWの外周部を露光する周辺露光装置43、ブロック共重合体塗布装置35でウェハW上に塗布されたブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離装置44が上下方向と水平方向に並べて設けられている。熱処理装置40は、ウェハWを載置して加熱する熱板と、ウェハWを載置して冷却する冷却板を有し、加熱処理と冷却処理の両方を行うことができる。なお、ポリマー分離装置44もウェハWに対して熱処理を施す装置であり、その構成は熱処理装置40と同様である。紫外線照射装置41は、ウェハWを載置する載置台と、載置台上のウェハWに対して、例えば波長が172nm又は222nmの紫外線を照射する紫外線照射部を有している。また、熱処理装置40、紫外線照射装置41、アドヒージョン装置42、周辺露光装置43、ポリマー分離装置44の数や配置は、任意に選択できる。
【0041】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置50、51、52、53、54、55、56が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置60、61、62が下から順に設けられている。
【0042】
図
2に示すように第1のブロックG1〜第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばウェハ搬送装置70が配置されている。
【0043】
ウェハ搬送装置70は、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0044】
ウェハ搬送装置70は、例えば
図4に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1〜G4の同程度の高さの所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0045】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置80が設けられている。
【0046】
シャトル搬送装置80は、例えばY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置80は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡し装置52と第4のブロックG4の受け渡し装置62との間でウェハWを搬送できる。
【0047】
図1に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側の隣には、ウェハ搬送装置100が設けられている。ウェハ搬送装置100は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置100は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置にウェハWを搬送できる。
【0048】
インターフェイスステーション13には、ウェハ搬送装置110と受け渡し装置111が設けられている。ウェハ搬送装置110は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置110は、例えば搬送アームにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置、受け渡し装置111及び露光装置12との間でウェハWを搬送できる。
【0049】
エッチング処理装置3は、
図5に示すようにエッチング処理装置3に対するウェハWの搬入出を行うカセットステーション200、ウェハWの搬送を行う共通搬送部201、ウェハW上で相分離したブロック共重合体にエッチング処理を行い、親水性ポリマーまたは疎水性ポリマーのいずれかを選択的に除去するポリマー除去装置としてのエッチング装置202、203、ウェハW上の被処理膜を所定のパターンにエッチングするエッチング装置204、205を有している。
【0050】
カセットステーション200は、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構210が内部に設けられた搬送室211を有している。ウェハ搬送機構210は、ウェハWを略水平に保持する2つの搬送アーム210a、210bを有しており、これら搬送アーム210a、210bのいずれかによってウェハWを保持しながら搬送する構成となっている。搬送室211の側方には、ウェハWを複数枚並べて収容可能なカセットCが載置されるカセット載置台212が備えられている。図示の例では、カセット載置台212には、カセットCを複数、例えば3つ載置できるようになっている。
【0051】
搬送室211と共通搬送部201は、真空引き可能な2つのロードロック装置213a、213bを介して互いに連結させられている。
【0052】
共通搬送部201は、例えば上方からみて略多角形状(図示の例では六角形状)をなすように形成された密閉可能な構造の搬送室チャンバー214を有している。搬送室チャンバー214内には、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構215が設けられている。ウェハ搬送機構215は、ウェハWを略水平に保持する2つの搬送アーム215a、215bを有しており、これら搬送アーム215a、215bのいずれかによってウェハWを保持しながら搬送する構成となっている。
【0053】
搬送室チャンバー214の外側には、エッチング装置202、203、204、205、ロードロック装置213b、213aが、搬送室チャンバー214の周囲を囲むように配置されている。エッチング装置202、203、204、205、ロードロック装置213b、213aは、例えば上方からみて時計回転方向においてこの順に並ぶように、また、搬送室チャンバー214の6つの側面部に対してそれぞれ対向するようにして配置されている。
【0054】
なお、エッチング装置202〜205としては、例えば例えばRIE(Reactive Ion E
tching)装置が用いられる。すなわち、エッチング装置202〜205では、例えば酸素(O
2)などの反応性の気体(エッチングガス)やイオン、ラジカルによって、疎水性ポリマーや被処理膜をエッチングするドライエッチングが行われる。
【0055】
次に、上述した現像装置30の構成について説明する。現像装置30は、
図6に示すように側面にウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器130を有している。
【0056】
処理容器130内には、ウェハWを保持して回転させるスピンチャック140が設けられている。スピンチャック140の上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWがスピンチャック140上に吸着保持される。
【0057】
スピンチャック140は、例えばモータなどのチャック駆動部141により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部141には、シリンダなどの昇降駆動源(図示せず)が設けられており、スピンチャック140は昇降自在になっている。
【0058】
スピンチャック140の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ142が設けられている。カップ142は、上面にスピンチャック140が昇降できるようにウェハWよりも大きい開口部が形成されている。カップ142の下面には、回収した液体を排出する排出管143と、カップ142内の雰囲気を排気する排気管144が接続されている。
【0059】
図7に示すようにカップ1
42のX方向負方向(
図7の下方向)側には、Y方向(
図7の左右方向)に沿って延伸するレール150が形成されている。レール150は、例えばカップ142のY方向負方向(
図7の左方向)側の外方からY方向正方向(
図7の右方向)側の外方まで形成されている。レール150には、例えば二本のアーム151、152が取り付けられている。
【0060】
第1のアーム151には、
図6及び
図7に示すように現像液を供給する供給ノズル153が支持されている。第1のアーム151は、
図7に示すノズル駆動部154により、レール150上を移動自在である。これにより、供給ノズル153は、カップ1
42のY方向正方向側の外方に設置された待機部155からカップ142内のウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、第1のアーム151は、ノズル駆動部154によって昇降自在であり、供給ノズル153の高さを調整できる。
【0061】
供給ノズル153には、
図6に示すように、現像液供給源156に連通する現像液供給管157が接続されている。なお、現像液としては、例えばアルカリ性のTMAH現像液が用いられる。
【0062】
第2のアーム152には、洗浄液、例えば純水を供給する洗浄液ノズル160が支持されている。第2のアーム152は、
図7に示すノズル駆動部161によってレール150上を移動自在であり、洗浄液ノズル160を、カップ142のY方向負方向側の外方に設けられた待機部162からカップ142内のウェハWの中心部上方まで移動させることができる。また、ノズル駆動部161によって、第2のアーム152は昇降自在であり、洗浄液ノズル160の高さを調節できる。
【0063】
洗浄液ノズル160には、
図6に示すように洗浄液供給源163に連通する洗浄液供給管164が接続されている。洗浄液供給源163内には、洗浄液が貯留されている。洗浄液供給管164には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群165が設けられている。なお、以上の構成では、現像液を供給する供給ノズル153と洗浄液を供給する洗浄液ノズル160が別々のアームに支持されていたが、同じアームに支持され、そのアームの移動の制御により、供給ノズル153と洗浄液ノズル160の移動と供給タイミングを制御してもよい。
【0064】
他の液処理装置である有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、中性層形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35の構成は、ノズルから供給される液が異なる点以外は、上述した現
像装置30の構成と同様であるので説明を省略する。なお、有機溶剤供給装置31では、供給ノズル153から供給される処理液として、TMAH現像液にイソプロピルアルコール(IPA)を20wt%混合したものが用いられる。
【0065】
以上の基板処理システム1には、
図1に示すように制御部300が設けられている。制御部300は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、基板処理システム1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、基板処理システム1における後述の
基板処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部300にインストールされたものであってもよい。
【0066】
次に、以上のように構成された
基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。
図8は、かかるウェハ処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0067】
先ず、複数のウェハWを収納したカセットCが、塗布現像処理装置2のカセットステーション10に搬入され、所定のカセット載置板21に載置される。その後、ウェハ搬送装置23によりカセットC内の各ウェハWが順次取り出され、処理ステーション11の受け渡し装置53に搬送される。
【0068】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理装置40に搬送され、温度調節される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって反射防止膜形成装置32に搬送され、
図9に示すようにウェハW上に反射防止膜400が形成される(
図8の工程S1)。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、加熱され、温度調節される。
【0069】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって中性層形成装置33に搬送される。中性層形成装置33では、
図9に示すようにウェハWの反射防止膜400上に中性剤が塗布されて、中性層401が形成される(
図8の工程S2)。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、加熱され、温度調節され、その後受け渡し装置53に戻される。
【0070】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置100によって受け渡し装置54に搬送される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によってアドヒージョン装置42に搬送され、アドヒージョン処理される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によってレジスト塗布装置34に搬送され、ウェハWの中性層401上にレジスト液が塗布されて、レジスト膜が形成される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理装置40に搬送されて、プリベーク処理される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置55に搬送される。
【0071】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって周辺露光装置43に搬送され、周辺露光処理される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置56に搬送される。
【0072】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置100によって受け渡し装置52に搬送され、シャトル搬送装置80によって受け渡し装置62に搬送される。
【0073】
その後ウェハWは、インターフェイスステーション13のウェハ搬送装置110によって露光装置12に搬送され、露光処理される。
【0074】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置110によって露光装置12から受け渡し装置60に搬送される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理装置40に搬送され、露光後ベーク処理される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって現像装置30に搬送され、現像される。現像終了後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理装置40に搬送され、ポストベーク処理される。こうして、
図10に示すようにウェハWの中性層401上に所定のレジストパターン402が形成される(
図8の工程S3)。
【0075】
なお、現像処理を終えた段階のレジストパターン402の表面の側壁には、レジスト膜の物性が変化した部分である変質部RMが存在している。具体的には、露光処理により感光した領域(露光領域)とマスクにより光が遮られて露光されていない領域(未露光領域)との中間の領域である中間露光領域において、以下のような状態のレジスト膜が生成されていることによる。即ち、第1に、十分に露光は足りていて本来は現像液に十分溶解するが、露光されていない領域との界面であるがゆえに溶解せずに残ってしまった状態、第2に、露光はされているが露光量が十分ではなく、現像液に対して十分に溶解せずに残ってしまった状態、第3に、露光がほとんどされておらず現像液に対して溶解せずに残ってしまった状態であり、これらの状態のレジスト膜が混在したものが変質部RMである。そして、この変質部RMにおいては、レジスト膜の状態によりその疎水度が異なっている。
【0076】
なお、本実施の形態では、レジストパターン402は、平面視において直線状のライン部402aと直線状のスペース部402bを有し、いわゆるラインアンドスペースのレジストパターンである。また、スペース部402bの幅は、後述するようにスペース部402bに親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406がレジストパターン402の長手方向に沿って交互に奇数層に配置されるように設定される。
【0077】
レジストパターン402が形成されたウェハWは、ウェハ搬送装置70によって紫外線照射装置41に搬送される。紫外線照射装置41では、レジストパターン402に紫外線が照射される。このとき、172nmの波長を有する紫外線が例えば5秒間照射される。そうすると、中間露光領域において生成された変質部RMにおける露光量が十分でなかった部分や露光がほとんどされていなかった部分も含めて改質処理され、ネガ化される。(
図8の工程S4)。
【0078】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって有機溶剤供給装置31に搬送される。有機溶剤供給装置31では、ウェハW上にTMAH現像液にイソプロピルアルコールを20wt%混合した処理液が供給され、レジストパターン402の表面処理が行われる。これにより、
図11に示すようレジストパターン402の表面に残存していた変質部RMが除去される(
図8の工程S5)。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置50に搬送される。
【0079】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置100によって受け渡し装置55に搬送される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によってブロック共重合体塗布装置35に搬送される。ブロック共重合体塗布装置35では、
図12に示すようにウェハWの中性層401上にブロック共重合体404が塗布される(
図8の工程S6)。
【0080】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によってポリマー分離装置
44に搬送される。ポリマー分離装置
44では、ウェハWに所定の温度の熱処理が行われる。そうすると、
図13及び
図14に示すようにウェハW上のブロック共重合体404が、親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406に相分離される(
図8の工程S7)。
【0081】
ここで、上述したようにブロック共重合体404において、親水性ポリマー405の分子量の比率は40%〜60%であり、疎水
性ポリマー406の分子量の比率は60%〜40%である。そうすると、工程S6において、
図13及び
図14に示すように親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406はラメラ構造に相分離される。また、上述した工程S3においてレジストパターン402のスペース部402bの幅が所定の幅に形成されているので、中性層401上には、親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406が交互に奇数層配置される。この際、レジストパターン402の表面から変質部RMが除去されて未露光部であるレジストパターン402が露出しているので、レジストパターン402表面の側壁で疎水度がばらつくことがない。そのため、レジストパターン402は側壁の全面にわたって十分に高い疎水性を有している。そのため、レジストパターン402に対して
疎水性ポリマー406が引き寄せられやすくなり、当該レジストパターン402に隣接して
疎水性ポリマー406が配置される。そして、その隣に親水性ポリマー405と疎水性ポリマー40
6が交互に配置され、中性層401のその他の領域上にも、親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406が交互に配置される。
【0082】
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置50に搬送され、その後カセットステーション10のウェハ搬送装置23によって所定のカセット載置板21のカセットCに搬送される。
【0083】
塗布現像処理装置2においてウェハWに所定の処理が行われると、ウェハWを収納したカセットCは、塗布現像処理装置2から搬出され、次にエッチング処理装置3に搬入される。
【0084】
エッチング処理装置3では、先ず、ウェハ搬送機構210によって、カセット載置台212上のカセットCから1枚のウェハWが取り出され、ロードロック装置213a内に搬入される。ロードロック装置213a内にウェハWが搬入されると、ロードロック装置213a内が密閉され、減圧される。その後、ロードロック装置213a内と所定の真空度に排気された搬送室チャンバー214内とが連通させられる。そして、ウェハ搬送機構215によって、ウェハWがロードロック装置213aから搬出され、搬送室チャンバー214内に搬入される。
【0085】
搬送室チャンバー214内に搬入されたウェハWは、次にウェハ搬送機構215によってエッチング装置202に搬送される。エッチング装置202では、ウェハWにエッチング処理を行い、
図15に示すように親水性ポリマー405とレジストパターン402を選択的に除去し、疎水性ポリマー406の所定のパターンが形成される(
図8の工程S8)。
【0086】
その後ウェハWは、ウェハ搬送機構215によってエッチング装置204に搬送される。エッチング装置204では、ウェハW上の疎水性ポリマー406をマスクとして、ウェハW上の被処理膜がエッチングされる。その後、疎水性ポリマー406及び反射防止膜が除去されて、被処理膜に所定のパターンが形成される(
図8の工程S9)。
【0087】
その後ウェハWは、ウェハ搬送機構215によって再び搬送室チャンバー214内に戻される。そして、ロードロック装置213bを介してウェハ搬送機構210に受け渡され、カセットCに収納される。その後、ウェハWを収納したカセットCがエッチング処理装置3から搬出されて一連のウェハ処理が終了する。
【0088】
以上の実施の形態によれば、工程S5において極性を有する有機溶剤としてイソプロピルアルコールを供給してレジストパターン402の表面の変質部RMを除去し、レジストパターン402の側壁全体にわたって未露光領域、即ち疎水性を有する現像後のレジストパターン402表面を露出させるので、工程S7でブロック共重合体404を相分離させる際に、ポリマー405、406が無秩序に配列することを防止して、所望のパターンを形成できる。その結果、工程S9において当該パターンをマスクとした被処理膜のエッチング処理を適切に行うことができ、被処理膜に所定のパターンを形成することができる。
【0089】
なお、以上の実施の形態では、変質部RMの改質に172nmの紫外線を照射したが、発明者らが確認したところ、紫外線照射は必ずしも必要ではなく、TMAH現像液にイソプロピルアルコールを20wt%混合した処理液を供給することで変質部RMを除去できることがわかった。上述の、露光がほとんどされていない領域のレジストはTMAH現像液に不溶であるがイソプロピルアルコールに可溶であり、また、露光はされているが露光量が十分ではない領域のレジストは、TMAH現像液にもイソプロピルアルコールにも若干溶けるものであると推察される。そして、TMAH現像液とイソプロピルアルコールとの混合液を供給することで、変質部RMのうち、それぞれの液に対して可溶な部分が溶解するためであると考えられる。しかしながら、紫外線を照射して変質部RMを改質することで、より確実に且つ短時間で変質部RMを除去できるので、紫外線照射を行なうことが好ましい。
【0090】
また、変質部RMの改質に用いる紫外線の波長は、172nmでなくてもよく、例えば222nmの波長であってもよい。なお、222nmの波長の紫外線により変質部RMを改質した場合、TMAH現像液をウェハWに供給することで変質部RMが除去できることが確認された。これは、222nmの波長の紫外線をレジストパターン402に照射することで、変質部RMが確実にポジからネガに改質され、ネガ化した変質部RMがTMAH現像液により洗い流されるためであると考えられる。
【0091】
なお、以上の実施の形態では、レジストパターン402の現像処理後のウェハWに有機溶剤を供給して変質部RMを除去したが、レジストパターン402の現像処理時に、TMAH現像液にイソプロピルアルコールを20wt%混合した処理液を供給することでレジストパターン402を現像してもよい。発明者らによれば、現像後に紫外線を照射したレジストパターン402に、TMAH現像液にイソプロピルアルコールを20wt%混合した処理液を供給した場合と、露光処理後で現像前のウェハWにこの処理液を供給した場合とでは、変質部RMの除去に関して違いが確認されなかった。
【0092】
以上の実施の形態では、レジストパターン402の現像処理後のウェハWに対して、TMAH現像液にイソプロピルアルコールを20wt%混合した状態で供給したが、先ずイソプロピルアルコールを現像処理後のレジストパターン402に供給し、その後さらにTMAH現像液を供給してもよい。かかる場合においても、TMAH現像液にイソプロピルアルコールを20wt%混合した処理液を供給した場合と同様に、変質部RMを除去できることが確認された。なお、上述のように、変質部RMにおいてはTMAH現像液に可溶な部分とイソプロピルアルコールに可溶な部分が混在しているため、その両方の部分を並行して溶解させる観点から、TMAH現像液とイソプロピルアルコールは混合して供給することがより好ましい。
【0093】
以上の実施の形態では、親水性ポリマー405を選択的に除去するにあたりエッチング処理装置3においていわゆるドライエッチング処理を行ったが、親水性ポリマー405の除去は、ウェットエッチング処理により行ってもよい。
【0094】
具体的には、工程S7においてブロック共重合体404を相分離したウェハWを、工程S8においてエッチング処理装置3に変えて紫外線照射装置41に搬送する。そして、ウェハWに紫外線を照射することで、親水性ポリマー405であるポリメタクリル酸メチルの結合鎖を切断すると共に、疎水性ポリマー406であるポリスチレンを架橋反応させる。その後、ウェハWを再度有機溶剤供給装置31に搬送し、当該有機溶剤供給装置31においてウェハWに例えば極性有機溶剤であるイソプロピルアルコール(IPA)を供給する。これにより、紫外線照射で結合鎖が切断された親水性ポリマー405が溶解除去される。
【0095】
親水性ポリマー405をいわゆるドライエッチング処理により除去する場合、親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406の選択比は例えば3〜7:1程度であるため、疎水性ポリマー406の膜べりが避けられない。その一方、親水性ポリマー405を、有機溶剤を用いたいわゆるウェットエッチングにより除去する場合は、疎水性ポリマー406は極性を有さないためほとんど有機溶剤に溶解せず、膜べりを避けることができる。その結果、その後の工程において疎水性ポリマー406のパターンをマスクとして被処理膜のエッチング処理を行なう際に、マスクとしての十分な膜厚を確保することができる。
【0096】
また、親水性ポリマー405をウェットエッチングにより除去することで、上述した塗布現像処理装置2からエッチング処理装置3へのウェハWの搬送を省略することができる。したがって、基板処理システム1におけるウェハ処理のスループットを向上させることができる。
【0097】
以上の実施の形態では、工程S9においてウェハW上の被処理膜をエッチングしていたが、本発明のウェハ処理方法はウェハW自体をエッチングする際にも適用することができる。
【0098】
以上の実施の形態では、ウェハW上のブロック共重合体404をラメラ構造の親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406に相分離する場合の一例について説明したが、本発明のウェハ処理方法は、ブロック共重合体404をシリンダ構造の親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406に相分離する場合にも適用できる。
【0099】
親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406をシリンダ構造に相分離する場合のブロック共重合体404は、親水性ポリマー405の分子量の比率が20%〜40%であり、疎水
性ポリマー406の分子量の比率が80%〜60%である。かかる場合、工程S3では、
図16、
図17に示すようにウェハW上に、平面視において円形状のスペース部402cを有するレジストパターン402が形成される。そして、このレジストパターン402の表面の側壁にも変質部RMが存在する。したがって、工程S4〜工程S5において変質部RMの改質、除去を行う
【0100】
次に、工程S6において、変質部RMが除去されたレジストパターン402のスペース部402cにブロック共重合体404が塗布される。その後、工程S7においてブロック共重合体404を相分離する。この際、変質部RMが既に除去されているので、親水性ポリマー405と疎水性ポリマー406がレジストパターン402に対して無秩序に配列してしまうことを防止できる。そして、疎水性ポリマー406は疎水性を有するレジストパターン402に引き寄せられやすいため、
図18に示すように、スペース部402c内においてレジストパターン402の側壁側に疎水性ポリマー406が円筒形状に配列し、スペース部402cの中心に円柱形状の親水性ポリマー405が配列する。
【0101】
なお、その他の工程程S1〜S2、S8〜S9の工程は上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0102】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。