(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るカメラシステムの概略を示すブロック図である。このカメラシステムはレンズ交換式であり、Xタイプのカメラボディ101とYタイプのカメラボディ102とが含まれる。Xタイプのカメラボディ101には、Aタイプの撮影レンズ(交換レンズ、レンズ鏡筒)201が着脱可能である。また、Yタイプのカメラボディ102には、Bタイプの撮影レンズ(交換レンズ、レンズ鏡筒)202が着脱可能である。
【0009】
本カメラシステムには更に、中間アダプタ300が含まれている。この中間アダプタ300は、Xタイプのカメラボディ101に適合するAタイプの撮影レンズ201をYタイプのカメラボディ102に取り付けるためのものである。例えばXタイプのカメラボディ101およびAタイプの撮影レンズ201を所有していたユーザが、新たにYタイプのカメラボディ102を購入したとき、中間アダプタ300を用いることにより、これまで利用していたAタイプの撮影レンズ201をYタイプのカメラボディ102において引き続き利用することが可能になる。以下、これらの各構成要素について順に説明する。
【0010】
なお、以下の説明において、
図1に示したXタイプのカメラボディ101を、Xボディ101と表記する。同様に、Yタイプのカメラボディ102をYボディ102、Aタイプの撮影レンズ201をAレンズ201、Bタイプの撮影レンズ202をBレンズ202とそれぞれ表記する。
【0011】
(Aタイプの撮影レンズ201およびXタイプのカメラボディ101の説明)
図2は、Aタイプの撮影レンズ201およびXタイプのカメラボディ101の構成を示すブロック図である。なお、
図2では本発明の説明に必要な部材のみを図示しており、それ以外の部材については図示および説明を省略する。以下の各図についても同様である。
【0012】
Aレンズ201は、例えばバヨネット式のレンズマウントであるAマウント部28aにより、Xボディ101のXマウント部18aに着脱可能な撮影レンズである。Aレンズ201は、レンズ25aおよび振れ補正レンズ26aから成る撮影光学系24aと、Aレンズ201の各部を制御するAレンズ制御部21aとを有する。また、Aレンズ制御部21aには、Aレンズ201の振れを検出する振れ検出部22aと、振れ補正レンズ26aを駆動するレンズ駆動部23aが接続されている。なお、撮影光学系24aをより多数のレンズから構成されるようにしてもよい。
【0013】
Aレンズ制御部21aは、マイクロプロセッサおよびその周辺回路等から構成され、不図示の記憶部に記憶されている所定の制御プログラムを読み出して実行することにより、Aレンズ201の各部を制御する。振れ補正レンズ26aは、撮影光学系24aの光軸AXに対して垂直な方向に駆動可能に構成されたレンズである。Aレンズ201内に設けられた振れ検出部22aは、光軸AXに垂直な方向へのAレンズ201の振れ量を検出する。Aレンズ制御部21aは、検出された振れ量に応じてレンズ駆動部23aを制御し、振れ補正レンズ26aを、振れを相殺するよう駆動させる。これにより、撮影光学系24aの結像面に結像される被写体像の像振れが補正される。
【0014】
Xボディ101は、撮影光学系24aの結像面近傍に設けられた撮像素子12aと、Xボディ101の各部を制御するXボディ制御部11aとを備える。Xボディ制御部11aはマイクロプロセッサおよびその周辺回路から成り、不図示の記憶媒体に記憶されている所定の制御プログラムを読み込んで実行することにより、Xボディ101の各部を制御する。なお、Xボディ制御部11aやAレンズ制御部21aを、同様の制御を行う電子回路として構成することも可能である。
【0015】
撮影時、Xボディ制御部11aは撮像素子12aを制御し、被写体像を撮像させる。そして、撮像素子12aから出力される撮像信号に種々の画像処理を施して画像データを作成し、不図示の記憶媒体に記憶させる。
【0016】
Xボディ101のXマウント部18a近傍には、複数の電気接点から構成されるXBタイプ通信接点群17aが設けられている。また、Aレンズ201のAマウント部28a近傍には、上記のXBタイプ通信接点群17aに対応する位置に、複数の電気接点から構成されるXLタイプ通信接点群27aが設けられている。Aレンズ201をXボディ101に取り付けると、XBタイプ通信接点群17aはXLタイプ通信接点群27aに電気的に接続される。すなわち、XBタイプ通信接点群17aを構成する各々の電気接点が、XLタイプ通信接点群27aを構成する電気接点にそれぞれ接続される。Xボディ制御部11aはXBタイプ通信接点群17aを介して、Xボディ101に装着されたAレンズ201への電力供給と、Aレンズ201とのデータ通信を行う。
【0017】
(Bタイプの撮影レンズ202およびYタイプのカメラボディ102の説明)
図3は、Bタイプの撮影レンズ202およびYタイプのカメラボディ102の構成を示すブロック図である。Bレンズ202は、上述したAレンズ201と同様の構成を有するが、レンズマウントおよびその近傍に設けられた電気接点が、Aレンズ201とは異なっている。
【0018】
Bレンズ202は、例えばバヨネット式のレンズマウントであるBマウント部28bにより、Yボディ102のYマウント部18bに着脱可能な撮影レンズである。Bマウント部28bはAレンズ201のAマウント部28aとは形状や口径等が異なっているため、Bレンズ202をXボディ101のXマウント部18aに装着することはできない。逆も同様であり、Aレンズ201をYボディ102のYマウント部18bに装着することはできない。
【0019】
Yボディ102のYマウント部18b近傍には、複数の電気接点から構成されるYBタイプ通信接点群17bが設けられている。また、Bレンズ202のBマウント部28b近傍には、上記のYBタイプ通信接点群17bに対応する位置に、複数の電気接点から構成されるYLタイプ通信接点群27bが設けられている。Bレンズ202をYボディ102に取り付けると、YBタイプ通信接点群17bはYLタイプ通信接点群27bに電気的に接続される。YBタイプ通信接点群17bは、上述したXボディ101のXBタイプ通信接点群17aとは、電気接点の数や配列が異なっている。同様に、YLタイプ通信接点群27bは、上述したAレンズ201のXLタイプ通信接点群27aとは、電気接点の数や配列が異なっている。
【0020】
Bレンズ202がレンズ25bと振れ補正レンズ26bとから成る撮影光学系24bや振れ検出部22b、レンズ駆動部23b、およびBレンズ制御部21bを有している点については、Aレンズ201と同様であるため説明を省略する。また、Yボディ102がYボディ制御部11bや撮像素子12bを有している点についても、Xボディ101と同様である。
【0021】
(中間アダプタ300の説明)
前述の通り、Xボディ101向けに構成されているAレンズ201は、Yボディ102に適合するDレンズ204とは異なる構成となっている。以下では、Aレンズ201をYボディ102に装着するための中間アダプタについて説明する。
【0022】
図4は、中間アダプタ300を介してYボディ102にAレンズ201を装着した場合の全体構成を示すブロック図である。中間アダプタ300は、Xボディ101向けのAレンズ201を着脱可能な第1マウント部38aと、Yボディ102を着脱可能な第2マウント部38bとを有している。第1マウント部38aはXボディ101のXマウント部18aと略同一の構造となっており、第2マウント部38bはBレンズ202のBマウント部28bと略同一の構造となっている。
【0023】
中間アダプタ300の第1マウント部38a(Aレンズ201側)の近傍には、XBタイプ通信接点群37aが、Xボディ101のXマウント部18aの近傍と同様に配置されている。また、中間アダプタ300の第2マウント部38b(Yボディ102側)の近傍には、YLタイプ通信接点群37bが、Bレンズ202のBマウント部28bと同様に配置されている。第1マウント部38aにAレンズ201が装着されると、Aレンズ201のXLタイプ通信接点群27aがXBタイプ通信接点群37aに電気的に接続される。同様に、第2マウント部38bにYボディ102が装着されると、Yボディ102のYBタイプ通信接点群17bがYLタイプ通信接点群37bに電気的に接続される。
【0024】
中間アダプタ300は、中間アダプタ300の各部を制御するアダプタ制御部31を備える。アダプタ制御部31はマイクロプロセッサおよびその周辺回路から成り、不図示の記憶媒体に記憶されている所定の制御プログラムを読み込んで実行することにより、中間アダプタ300の各部を制御する。アダプタ制御部31はYLタイプ通信接点群37bおよびXBタイプ通信接点群37aに接続されており、Aレンズ201およびYボディ102とデータ通信を行うことができる。
【0025】
(像振れ補正制御の説明)
図5は、本実施形態のカメラシステムにおいてカメラボディと撮影レンズとの間で授受される振れ補正コマンドの一覧を示す図である。
図5(a)には、
図2に示したAレンズ201のAレンズ制御部21aが対応する振れ補正コマンドを示す。Aレンズ制御部21aは、半押し防振開始コマンドと、露光防振開始コマンドと、の2種類の振れ補正コマンドに対応している。以下、これらの各コマンドについて順に説明する。
【0026】
半押し防振開始コマンドは、露光防振開始コマンドに比べてやや弱めに像振れ補正を行うコマンドである。Xボディ制御部11aは、例えば不図示のレリーズスイッチが半押しされた場合や、動画撮影を開始した場合などに、この半押し防振開始コマンドを送信する。Aレンズ制御部21aは半押し防振開始コマンドを受信すると、振れ検出部22aにより検出された振れ量に応じてレンズ駆動部23aを制御する振れ補正制御を開始する。
【0027】
他方、露光防振開始コマンドは、半押し防振開始コマンドに比べてより強く防振を行うようAレンズ制御部21aに指示するコマンドである。Xボディ制御部11aは、例えば不図示のレリーズスイッチが全押しされ、静止画撮影を行う場合などに、この露光防振開始コマンドを送信する。Aレンズ制御部21aは露光防振開始コマンドを受信すると、まずレンズ駆動部23aにより振れ補正レンズ26aを可動域の中央に駆動させる、いわゆるセンタリング動作を行う。その後、半押し防振開始コマンドの場合と同様に、振れ検出部22aにより検出された振れ量に応じてレンズ駆動部23aを制御する振れ補正制御を開始する。ただし、振れ検出部22aにより検出された振れ量に対し、振れ補正レンズ26aをより大きく(強く)動かすことにより、Aレンズ201に加えられた振れをより確実に補正しようとする。
【0028】
上述した半押し防振開始コマンド、露光防振開始コマンドのいずれのコマンドも、付随するパラメータは存在しない。つまりAレンズ制御部21aは、半押し防振開始コマンドを受信した場合、露光防振開始コマンドに比べて弱い所定の強度で振れ補正制御を開始する。同様にAレンズ制御部21aは、露光防振開始コマンドを受信した場合、振れ補正レンズ26aのセンタリング動作を行った後、半押し防振開始コマンドに比べて強い所定の強度で振れ補正制御を開始する。
【0029】
次に、
図5(b)に示した、Bレンズ202のBレンズ制御部21bが対応する振れ補正コマンドについて説明する。Bレンズ制御部21bは、動画防振開始コマンドと、静止画防振開始コマンドと、の2種類の振れ補正コマンドに対応している。
【0030】
動画防振開始コマンドは、センタリング動作を行わずに像振れ補正を行うコマンドである。Yボディ制御部11bは、例えば不図示のレリーズスイッチが半押しされた場合や、動画撮影を開始した場合などに、この動画防振開始コマンドを送信する。Bレンズ制御部21bは動画防振開始コマンドを受信すると、振れ検出部22bにより検出された振れ量に応じてレンズ駆動部23bを制御する振れ補正制御を開始する。
【0031】
動画防振開始コマンドには、
図5(b)に示すように、「センタバイアス」と「防振効き具合」という2つのパラメータが含まれている。センタバイアスは振れ補正レンズ26bを可動範囲の中央に寄せる強さを指定するパラメータである。振れ補正レンズ26bは可動範囲の限界(端)を超えて駆動させることができない。従って、振れ補正中に大きな振れがカメラに印加されると、その可動範囲の端(最大可動範囲)にリミットされ、振れ補正が効かなくなる。センタバイアスを大きく設定すれば、より大きい振れに対しても最大可動範囲にリミットされて振れ補正が効かなくなる頻度が減少する。また、その振れ補正が効かない状態からの復帰時間も短縮できる。一方で、しっかりとカメラを構え、振れを小さく抑えているにもかかわらず、センタバイアスがあるために被写体像の振れが安定せず、振れ補正効果が減少する可能性がある。センタバイアスは、例えば「強」、「中」、「弱」の3段階のように、複数の強度からいずれかを指定することができる。
【0032】
防振効き具合は、振れ検出部22bにより検出された振れ量に対して振れ補正レンズ26bをどの程度駆動させるかを指定するパラメータである。この防振効き具合を弱くするほど、大きな振れに対して安定し、長時間安定するようになるが、細かな振れに対する振れ補正効果は減少する。他方、防振効き具合を強くすると、振れ補正効果は向上するが、大きな振れが入力した時の収束が遅くなり、長時間の振れ安定性が低下する。防振効き具合はセンタバイアスと同様に、例えば「強」、「中」、「弱」の3段階のように、複数の強度からいずれかを指定することができる。
【0033】
Aレンズ201が対応する「半押し防振開始コマンド」は、ちょうど「動画防振開始コマンド」のセンタバイアスおよび防振効き具合をそれぞれ「中」に設定した場合に相当する。つまり、Bレンズ制御部21bがセンタバイアス「中」、防振効き具合「中」の動画防振開始コマンドを受信した場合と、Aレンズ制御部21aが半押し防振開始コマンドを受信した場合とでは、振れ補正制御の内容はほぼ同一となる。
【0034】
Yボディ制御部11bは、例えば不図示のレリーズスイッチが半押しされた場合や、動画撮影を開始した場合などに、この動画防振開始コマンドを送信する。このとき、センタバイアスや防振効き具合等のパラメータは、Yボディ102に設定された各種の撮影モードや種々のセンサ(不図示)から検出された情報等に応じて、適切なものが設定される。Bレンズ制御部21bは動画防振開始コマンドを受信すると、振れ検出部22bにより検出された振れ量に応じてレンズ駆動部23bを制御する振れ補正制御を開始する。
【0035】
他方、静止画防振開始コマンドは、静止画の撮影に適した防振を行うようBレンズ制御部21bに指示するコマンドである。Yボディ制御部11bは、例えば不図示のレリーズスイッチが全押しされ、静止画撮影を行う場合などに、この静止画防振開始コマンドを送信する。静止画防振開始コマンドには、
図5(b)に示すように、「センタリング有無」いうパラメータが含まれている。センタリング有無は、振れ補正駆動の前に前述したセンタリング動作を行うか否かを指定するパラメータである。Yボディ制御部11bは、センタリングしないよう指定された静止画防振コマンドを受信した場合、前述したセンタリング動作を行わずに振れ補正制御を開始する。センタリングするよう指定された静止画防振コマンドを受信した場合には、前述の露光防振開始コマンドど同様の振れ補正制御を開始する。つまり、まず振れ補正レンズ26bのセンタリング動作を行い、その後、通常の振れ補正制御を開始する。
【0036】
Aレンズ201が対応する「露光防振開始コマンド」は、ちょうど「静止画防振開始コマンド」のセンタリング有無を「有」に設定した場合に相当する。つまり、Bレンズ制御部21bがセンタリング有無「有」の静止画防振開始コマンドを受信した場合と、Aレンズ制御部21aが露光防振開始コマンドを受信した場合とでは、振れ補正制御の内容はほぼ同一となる。
【0037】
次に、
図4に示した中間アダプタ300における振れ補正制御の内容を説明する。Yボディ制御部11bは、前述の通り、動画防振開始コマンドおよび静止画防振開始コマンドを送信する。アダプタ制御部31は動画防振開始コマンドを受信すると、その動画防振開始コマンドを前述の半押し防振開始コマンドに変換してAレンズ201に送信する。Aレンズ制御部21aはこの半押し防振開始コマンドを受信し、上述した振れ補正制御を開始する。同様に、アダプタ制御部31は静止画防振開始コマンドを受信すると、その静止画防振開始コマンドを前述の露光防振開始コマンドに変換してAレンズ201に送信する。Aレンズ制御部21aはこの露光防振開始コマンドを受信し、上述した振れ補正制御を開始する。すなわち、アダプタ制御部31はYボディ102から送信される種々のコマンドを受信し、当該コマンドをAレンズ201に対応するコマンドに変換してAレンズ201に送信する。
【0038】
なお、前述のように、Yボディ102から送信される動画防振開始コマンドおよび静止画防振開始コマンドには、
図5(b)に示した各パラメータが含まれている。アダプタ制御部31は、例えば防振効き具合(換言すれば、像振れの補正の強度)がそれぞれ異なる複数の種類の動画防振開始コマンドのいずれを受信した場合であっても、当該動画防振開始コマンドをパラメータが存在しない同一の半押し防振開始コマンドに変換してAレンズ201に送信する。
【0039】
上述した第1の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)第1マウント部38aには、被写体像の像振れを補正する振れ補正レンズ26aを有し、半押し防振開始コマンドに応じて振れ補正レンズ26aを用いた像振れの補正を開始するAレンズ201を着脱可能である。また第1マウント部38aとは別に設けられている第2マウント部38bには、Yボディ102を着脱可能である。アダプタ制御部31は、Yボディ102から送信される動画防振開始コマンドを受信すると、当該動画防振開始コマンドを半押し防振開始コマンドに変換して、Aレンズ201に半押し防振開始コマンドを送信する。このようにしたので、レンズ−ボディ間通信の差異を吸収する、使い勝手のよい中間アダプタを提供することができる。
【0040】
(2)アダプタ制御部31は、像振れの補正の強度がそれぞれ異なる複数の種類の動画防振開始コマンドを受信し、いずれの種類の動画防振開始コマンドを受信した場合であっても、当該動画防振開始コマンドを同一の半押し防振開始コマンドに変換する。このようにしたので、多数のパラメータを有しより高機能に撮影レンズを制御するカメラボディ(Yボディ102)が取り付けられた場合であっても、そのような多数のパラメータに対応していない撮影レンズを利用することが可能となる。
【0041】
(第2の実施の形態)
本発明を適用した第2の実施の形態のカメラシステムは、第1の実施の形態のカメラシステム(
図1)と同様の構成を有するが、Yボディ102から送信される静止画防振開始コマンドのパラメータと、アダプタ制御部31から送信されるコマンドの内容が、第1の実施の形態とは異なっている。以下、これらの点について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同様の各部については、第1の実施の形態と同一の符号を付し説明を省略する。
【0042】
図6(a)には、本実施形態においてYボディ102(Yボディ制御部11b)から送信される振れ補正コマンドの一覧が示されている。本実施形態では、静止画防振開始コマンドに、動画防振開始コマンドと同様の「防振効き具合」というパラメータが追加されている。Yボディ制御部11bは、種々の情報に応じてこの防振効き具合パラメータを設定し、静止画防振開始コマンドを送信する。
【0043】
図6(b)は、Yボディ制御部11bから送信されたコマンドを、アダプタ制御部31がどのコマンドに変換するかを示した対応表である。本実施形態のアダプタ制御部31は、防振効き具合パラメータに「強」が設定された動画防振開始コマンドを受信した場合、Aレンズ201(Aレンズ制御部21a)に対し露光防振開始コマンドを送信する。他方、それ以外のパラメータが設定された動画防振開始コマンドを受信した場合には、第1の実施の形態と同様に半押し防振開始コマンドを送信する。
【0044】
また、アダプタ制御部31は、防振効き具合パラメータに「弱」が設定された静止画防振開始コマンドを受信した場合、Aレンズ201(Aレンズ制御部21a)に対して半押し防振開始コマンドを送信する。他方、それ以外のパラメータが設定された静止画防振開始コマンドを受信した場合には、第1の実施の形態と同様に露光防振開始コマンドを送信する。
【0045】
上述した第2の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)アダプタ制御部31は、Yボディ102から送信されたコマンドのパラメータに応じて、当該コマンドをより相応しいコマンドに変換してAレンズ201に送信する。このようにしたので、Aレンズ201とYボディ102とを組み合わせて利用する場合に、Aレンズ201の制御がより適切に行われ、カメラシステムの使い勝手が向上する。
【0046】
(第3の実施の形態)
第3実施の形態のカメラシステムの説明において、第1−2の実施の形態と同様の各部については、第1−2の実施の形態と同一の符号を付し説明を省略する。
【0047】
図7は、Xタイプカメラボディ(Xタイプのカメラボディ101)又はアダプタ(中間アダプタ300)からAタイプレンズ(Aタイプの撮影レンズ201)に送信されるコマンドを示す図である。
図8は、Yタイプカメラボディ(Yタイプのカメラボディ102)からBタイプレンズ(Bタイプの撮影レンズ202)又はアダプタに送信されるコマンドを示す図である。
図9は、Yタイプカメラボディからアダプタに送信されるコマンド及びアダプタからAタイプレンズに送信されるコマンドを示す図である。下記の説明において、極めて大、大、中、小、極めて小の順番に小さな値に対応する。また、極めて高、高、中、低、極めて低の順に低い値に対応する。
【0048】
なお、Aタイプレンズ(Aタイプの撮影レンズ201)とは、例えば、レンズ交換式の一眼レフカメラ専用レンズ(Aレンズ201のマウントをAタイプマウントと称する)である。Bタイプレンズ(Bタイプの撮影レンズ202)とは、例えば、レンズ交換式の一眼ミラーレスタイプのカメラ専用レンズ(Bレンズ202のマウントをBタイプマウントと称する)である。
【0049】
図10は、
図7−9に示した速度バイアスについて説明する図、
図11は
図7−9に示したカットオフ周波数について説明する図、
図12は、
図7−9に示したカット露光前センタリングについて説明する図である。
【0050】
本実施例において、防振効き具合が大とは、検出した振れ信号に忠実に像ぶれ補正を制御するものを意味し、防振効き具合が小とは、検出した振れ信号に忠実に像ぶれ補正を制御しないものをいう。
【0051】
例えば、露光中防振開始時の防振制御において、速度バイアスを小、カットオフ周波数を低とした場合に、防振効き具合が大という。一方、半押し防振開始時の防振制御においては、露光中防振開始時の防振制御よりも防振レンズが制御範囲を超えるおそれが高いので、露光中防振開始時の防振制御よりも、速度バイアスを大、カットオフ周波数を高(防振効き具合を小)として、防振レンズが制御範囲を超えるおそれを低減させている。
【0052】
図7において、本実施例のXタイプカメラボディはAタイプレンズに、半押し防振開始コマンド及び露光中防振開始コマンドを送信する。半押し防振開始コマンドとは、Xタイプカメラボディ及びAタイプレンズを使用する場合において、撮影者が静止画撮影時の半押し動作をしたとき等に実行されるコマンドである。半押し防振開始コマンドは、速度バイアスが大であり、カットオフ周波数が高であり、露光前センタリングがないコマンドである。
【0053】
露光中防振開始コマンドとは、Xタイプカメラボディ及びAタイプレンズを使用する場合において、撮影者が静止画撮影時の全押し動作をしたとき等に実行されるコマンドである。露光中防振開始コマンドは、速度バイアスが小であり、カットオフ周波数が低であり、露光前センタリングがあるコマンドである。
【0054】
図8において、本実施例のYタイプカメラボディはBタイプレンズに、動画防振開始コマンド1−4、及び、静止画防振開始コマンド1−4を送信する。
【0055】
動画防振開始コマンド1−4とは、Yタイプカメラボディ及びBタイプレンズを使用する場合において、撮影者が動画撮影をしているとき等に実行されるコマンドである。動画防振開始コマンド1は速度バイアスが極めて大、カットオフ周波数が極めて高、露光前センタリングがなし、動画防振開始コマンド2は速度バイアスが大、カットオフ周波数が高、露光前センタリングがなし、動画防振開始コマンド3は速度バイアスが中、カットオフ周波数が中、露光前センタリングがなし、動画防振開始コマンド4は速度バイアスが中、カットオフ周波数が低、露光前センタリングがありとなるコマンドである。
【0056】
静止画防振開始コマンド1−4とは、Yタイプカメラボディ及びBタイプレンズを使用する場合において、撮影者が静止画撮影をしているとき等に実行されるコマンドである。静止画防振開始コマンド1は速度バイアスが中、カットオフ周波数が中、露光前センタリングがなし、静止画防振開始コマンド2は速度バイアスが小、カットオフ周波数が低、露光前センタリングがなし、静止画防振開始コマンド3は速度バイアスが小、カットオフ周波数が低、露光前センタリングがあり、静止画防振開始コマンド4は速度バイアスが極めて小、カットオフ周波数が極めて低、露光前センタリングがありとなるコマンドである。
【0057】
図9において、アダプタ300(中間アダプタ300)は、Yタイプカメラボディ(Yタイプのカメラボディ102)から上述した動画防振開始コマンド1−4、及び、静止画防振開始コマンド1−4が入力され、Aタイプレンズ(Aタイプの撮影レンズ201)に上述した半押し防振開始コマンド及び露光中防振開始コマンドを出力する。
【0058】
具体的には、Yタイプカメラボディから動画防振開始コマンド1−3が入力された場合、アダプタ300のアダプタ制御部31は、動画防振開始コマンド1−3に最も類似したコマンドが半押し防振開始コマンドであると判断し、Aタイプレンズに上述した半押し防振開始コマンドを出力する。
【0059】
一方、Yタイプカメラボディから動画防振開始コマンド4又は静止画防振開始コマンド1−4が入力された場合、アダプタ制御部31は、動画防振開始コマンド4及び静止画防振開始コマンド1−4に最も類似したコマンドが露光中防振開始コマンドであると判断し、Aタイプレンズに上述した露光中防振開始コマンドを出力する。
【0060】
本実施例において、アダプタ制御部31は、入力されたコマンドを半押し防振開始コマンド又は露光中防振開始コマンドに振り分けているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アダプタ制御部31は、Yタイプカメラボディから所定の防振開始コマンドが入力された場合であっても、Aタイプレンズに防振開始コマンドを出力すべきでないと判断した場合、半押し防振開始コマンド及び露光中防振開始コマンドを出力しない構成にしてもよい。半押し防振開始コマンド及び露光中防振開始コマンドが、前記所定の防振開始コマンドと類似するものでない場合には、半押し防振開始コマンド又は露光中防振開始コマンドを実行するよりも防振停止としたほうが好ましい場合があるからである。
【0061】
図10(a)、
図10(b)は、
図7−9に示した速度バイアスを説明する図である。
図10(a)は、振れ角速度ω(X)から補正レンズ目標位置LC(X)を算出する方法を示したブロック図である。尚、ω(X)、LC(X)等の「(X)」は、X軸方向に関する値であることを意味する。例えば、ω(X)はX軸方向の振れ角速度、LC(X)はX軸方向の補正レンズ目標位置である。以下用いられる記号の後の(X)も同様の意である。
【0062】
振れ角速度ω(X)は、角速度のディメンジョンを持ち、一方、補正レンズ704の制御目標となる補正レンズ目標位置LC(X)は、位置のディメンジョンを有する。従って、レンズ制御部(21a、21b)は、振れ角速度ω(X)を積分部600bにより積分し、乗算部600cにより補正レンズ目標位置LC(X)の単位に合わせる為の係数KLCを掛け算することにより、補正レンズ目標位置LC(X)を算出する。
【0063】
但し、補正レンズ目標位置LC(X)は、少なくとも補正レンズ704の可動範囲LRrange内でなくてはならない。そこで、リミット部600dは、後述する所定範囲±LCsrangeの範囲に補正レンズ目標位置LC(X)を制限する。尚、積分部600bは、所定間隔で積算することにより積分の作動を行っても構わない。ここで言う所定間隔とは、前述した振れ角速度ωの算出間隔で、例えば1ms程度の時間間隔とする。又、積分部600bの積分、又は、積算値の初期値は、振れ検出開始時に初期化される。例えば、補正レンズ目標位置LC(X)が可動範囲の中央位置となるように初期化する。
【0064】
ここで、振れ角速度ω(X)には、誤差が生じる。具体的には前述の通り、基準となる振れ角速度基準値ω0に誤差を生じているから、振れ角速度ω(X)を積分部600bで積分、又は、積算した場合、その誤差が累積し、補正レンズ目標位置LC(X)が±LCsrangeを越えてしまう場合がある。そこで目標位置算出部600は、補正レンズ目標位置LC(X)が極力補正レンズ704の可動中心となるよう、今現在の補正レンズ目標位置LC(X)の大きさに応じて変化する速度バイアス量ωbias(X)を与える。
【0065】
図10(a)に於ける速度バイアス部600e、及び、減算部600aは、この作動を行う。今、補正レンズ704の可動範囲の中央の座標を0として補正レンズ位置LR(X)、及び、補正レンズ目標位置LC(X)を定義した場合、速度バイアス部600eの出力である速度バイアス量ωbias(X)は次式(1)で、減算部600aの出力ω'は次式(2)で示される。ここで係数Kbiasは、適切に設定される係数である。
ωbias(X)=Kbias×LC(X)3 … (1)
ω'=ω(X)−ωbias(X) … (2)
【0066】
上述の式(2)で得られるω'には、補正レンズ目標位置LC(X)が補正レンズ704の可動中心位置(=座標0)から離れる程に速度バイアス量ωbias(X)が大きく、かつ、補正レンズ目標位置LC(X)を可動範囲中心位置(=座標0)に戻すよう作用する。尚、上式(1)に於ける係数Kbiasは、大きくする程、補正レンズ目標位置LC(X)が、リミット部600dによりその値を制限されることは無くなるが、一方、振れ補正の効果が劣化する為、適切に決められる。
【0067】
以上のような方法で、振れ角速度ω(X)が、補正レンズ目標位置LC(X)に変換される。この際、速度バイアス部600e及び減算部600aによる速度バイアスにより、補正レンズ目標位置LC(X)の算出過程において、リミット部600dが値を制限する状態が発生することを、効果的に抑制することができる。
【0068】
図10(b)は、
図10(a)に於ける目標位置算出部600の速度バイアス部600eの速度バイアス量ωbiasを変化させた図である。
【0069】
速度バイアス量ωbiasは、
図10(a)からも分かるとおり、補正レンズ目標位置LCを0、つまり、補正レンズ(26a、26b)の可動中心に極力近づけるよう作用する(補正レンズ目標位置LCが0から離れるほど、補正レンズ目標位置LCの絶対値を小さくする(補正レンズ(26a、26b)を可動中心に近づける)方向に、より大きく作用する)。
【0070】
振れ補正中、大きな振れがカメラに印加されると、その最大補正範囲(例えば、ソフト的なリミットやメカ的なリミット)にリミットされ、振れ補正が効かなくなる。これを避ける為に速度バイアス部600eは存在し、速度バイアス量ωbiasを大きく設定すれば、より大きい振れに対してもその最大補正範囲にリミットされて振れ補正が効かなくなる頻度が減少し、その振れ補正が効かない状態からの復帰時間も短縮できる。一方で、しっかりとカメラを構え、振れを小さく抑えているにもかかわらず、速度バイアス量ωbias(これは振れ補正に対しては誤差に相当)があるために、高精度に像ぶれ補正ができない状態が生じ、振れ補正効果が減少する。
【0071】
これを使用感で言い換えると、速度バイアス量ωbiasを小さくすると、大きな振れに対して不安定となる一方、振れ補正効果は大きくなり、速度バイアス量ωbiasを大きくすると、大きな振れに対して安定し、長時間安定して振れ補正効果が得られる一方、振れ補正効果は低下する。
【0072】
図11(a)、
図11(b)、
図11(c)は、
図7−9に示したカットオフ周波数を説明する図である。
【0073】
図11(a)は、振れ検出関連部分のブロック図である。振動ジャイロ200aは、本実施形態の撮像装置に生じた手振れによる角速度を検出し、検出結果に応じた信号を出力する。振動ジャイロ200aの出力は、まずLPF(ローパスフィルタ)2により、振れとは無関係な高周波がカットされる。そして、オフセット電圧調整部3により、振動ジャイロ200aのオフセット電圧が調整された後、振れ制御部710bのA/D変換器4により量子化される。以下、この量子化値を振れ量子化値ω1と呼ぶ。その後、振れ角速度基準値算出部5は、振れ量子化値ω1から、振れ量子化値ω1の基準となる振れ角速度基準値ω0を算出(演算)する。減算器7は、振れ量子化値ω1から振れ角速度基準値ω0を差し引くことで、振れ角速度ωを算出する。
【0074】
但し、振れ状態判定部6により振れ状態が構図変更中であると判定された場合、振れ角速度確定部11は振れ角速度ωをゼロとする。この場合、振れ補正は実質行われなくなる。これは、以下のような理由による動作である。ユーザが構図を変更する場合、本カメラに大きな振れ角速度が生じる。このときに振れ補正を行うと、補正レンズ(26a、26b)がその制御範囲リミットに到達し、それ以上振れ補正が行えなくなってしまう。このような動作は望ましいものではないため、本実施形態では、振れ状態判定部6により構図変更と判定されると、振れ角速度確定部11が振れ角速度ωをゼロとして、極力、補正レンズ704がその制御範囲リミットに到達しないようにする。
【0075】
振動ジャイロ200aの出力は、2次LPF2により、手振れとは無関係な高周波がカットされ、オフセット電圧調整部3に出力される。オフセット電圧調整部3は、LPF2の出力を反転増幅すると共に、不要な振動ジャイロ200aのオフセット電圧を調整する。オフセット電圧調整部3は、オフセット電圧調整部3の出力が、これに接続されるA/D変換器4の有効なレンジ内となるよう調整する。その調整方法等は、特開平10−228043号公報等に開示されている。振れ状態判定部6は、カメラの振れの状態、具体的には、本カメラが、三脚に固定された状態なのか、構図が安定した状態であるか、構図を変更している状態(流し撮り等も含む)であるか等を検出する。振れ状態判定部6の作動を具体的な振れ波形に対して話を進めてゆく。
【0076】
次に、振れ角速度基準値算出部5の作動を記す。
【0077】
図11(b)は、
図11(a)に於ける振れ角速度基準値算出部5と減算器7の構成を示すブロック図である。振れ角速度基準値算出部5は、
図11(a)に於けるA/D変換器4が出力する振れ量子化値ω1の高周波成分をカットするLPF(ローパスフィルタ)5aで構成される。減算器7は、振れ量子化値ω1からLPF5aの出力(これが振れ角速度基準値ω0となる)を減算することで振れ角速度ωを算出する。
【0078】
LPF5aのカットオフ周波数は、通常のカメラに生じる手振れであれば、0.1〜1Hz程度にするのが一般的である。尚、振れ角速度基準値算出部5と減算器7による
図11(b)の構成は、振れ量子化値ω1の低周波成分をカットしており、実質的にHPF(ハイパスフィルタ)である。従って、振れ角速度基準値算出部5による振れ角速度基準値ω0を特に区分して得る必要がなければ、振れ量子化値ω1にHPFを施し、振れ角速度ωを求めても構わない。
【0079】
図11(c)は、補正レンズ(26a、26b)が、
図11(b)に於ける振れ角速度基準値ω0を算出するためのLPF5aのカットオフ周波数(振れ角速度基準値算出部5のLPF5aの時間遅れ出力と減算器7とにより、実質的にHPF9が構成され、そのHPFカットオフ周波数と考えても良い)を可変する一例を示す図である。
【0080】
図11(b)に示される通り、結果的に振れ量子化値ω1にHPF9が施され、振れ角速度ωが得られる。得られた振れ角速度ωは、上記設定されたカットオフ周波数以下のDC成分を含む低周波成分がカットされ、振れが安定していれば一定の値近辺に収束し、その後、
図10(a)に示される目標位置算出部600により得られる補正レンズ目標位置LCは、補正レンズ704の可動中心近辺に収束する。この収束の急峻さは、上記カットオフ周波数に依存して決まり、カットオフ周波数を高くすれば、大きな振れが入力した時の収束が早くなり、大きな振れに対して安定し、長時間安定して振れ補正効果が得られるが、手振れ成分(通常の手振れ周波数帯域は0.1〜10数Hz程度であることが知られている)までカットされる為、振れ補正効果は低下する。逆に、カットオフ周波数を低くすれば、手振れ成分を犠牲にすることがなく、振れ補正効果は向上するが、大きな振れが入力した時の収束が遅くなり、長時間の振れ安定性が低下する。つまり、前述の速度バイアスを変更した場合とほぼ同様に像ぶれ補正の効果を変更することができる。例えば、カットオフ周波数が低く設定されれば、振れ補正効果が向上する。逆に、カットオフ周波数が高く設定されれば、大きな振れに対して安定し、長時間安定して振れ補正効果が得られる。
【0081】
図12は、
図7−9に示した露光前センタリングを説明する図である。ここで、露光前センタリングとは、静止画撮影の場合は、全押し操作後に記録する静止画の撮影開始前に補正レンズ(26a、26b)を略駆動中心、略制御中心等の所定位置(以下、可動中心と称する)に駆動することをいい、動画撮影の場合は、動画撮影操作後に記録する動画の撮影開始前に補正レンズを略駆動中心、略制御中心等の所定位置に駆動することをいう。
【0082】
図12において、レンズ制御部(21a、21b)は、必要なタイミング(
図12の時刻t38)で、レンズ駆動部(23a、23b)を制御することにより補正レンズ(26a、26b)を可動中心に駆動させる(露光前センタリングをする)。必要なタイミングとは、例えば、Aタイプレンズ201がXタイプカメラボディ101から「露光前センタリングする」に対応する指示コマンドを受信したとき、Aタイプレンズ201がアダプタ300を介してYタイプカメラボディ102から「露光前センタリングする」に対応する指示コマンドを受信したとき、Bタイプレンズ202がYタイプカメラボディ102から「露光前センタリングする」に対応する指示コマンドを受信したとき等である。
【0083】
図12において、レンズ制御部(21a、21b)は、レンズ駆動部(23a、23b)を制御することにより、時刻t38に露光前センタリングを開始し、少なくとも時刻t39までに露光前センタリングを完了し、補正レンズ(26a、26b)を可動中心近傍に保持するように制御を行い、時刻t39以降に「記録する静止画又は動画の撮影開始」に対応して像ぶれ補正制御を行う。
【0084】
このように、露光前センタリングにより補正レンズ(26a、26b)を可動中心近傍に移動させることにより、時刻t39以降は、最も光学性能が得られる状態となり、記録する静止画又は動画の撮影に適した防振制御が可能になる。
【0085】
(第4の実施形態)
次に、Yタイプカメラボディ102に、中間アダプタ300を装着し、Aタイプ撮影レンズ201を作動させた時の具体的な振れ補正の一連の作動について、Yタイプカメラボディ102に、Bタイプ撮影レンズが装着された場合の作動と比較しながら示す。
【0086】
前述の説明では、例えば、動画防振開始コマンド1、2、3というように、動画防振開始コマンドを複数設けた例で説明したが、本実施形態では、動画防振開始コマンドを1種類とし、そのコマンドに付随するパラメタにより、より細かい指示(センタバイアス、防振効き具合)を指示する構成とした。
【0087】
図13は、中間アダプタ300が、Yタイプカメラボディ102からのコマンド指示を受け、Aタイプ撮影レンズ201に指示するコマンドをまとめたものである。以下、
図13の中間アダプタ300のYタイプカメラボディ102からの各コマンド指示に対しての作動を図を用いて説明する。
【0088】
又、具体的に示す為、Aタイプレンズは、振れ補正を行っていない場合には、振れ補正レンズ26aが従来技術により電磁ロック機構(不図示)により、その可動中心近辺に繋止された状態にあり、振れ補正開始時に電磁的に繋止が解除され、又、振れ補正終了時に電磁的に繋止される機構を有する。
【0089】
一方、Bタイプ撮影レンズ202では、この電磁ロック機構を設けず、従って、振れ補正レンズ26bは、その自重により、重力方向に落下した状態にある。これは、
図2におけるXタイプカメラボディは、従来から一般的に用いられているタイプのカメラで、光学ファインダを持ち、これに対して、
図3におけるYタイプカメラボディは、ミラーレス一眼カメラと言われる近年増えつつあるディジタルカメラで、ファインダは、電子ビューファインダ等で構成される。前者のXタイプカメラボディでは、後述するように、撮影開始時に振れ補正レンズを可動中心に移動させた時の、その像の変化が光学ファインダにより見えてしまう。そのため、それに装着されることを想定したAタイプレンズは、電磁ロック機構を設け、振れ補正開始する前は、振れ補正レンズを可動中心付近に係止する。これに対し、電子ビューファインダ等で構成されるYタイプカメラボディに装着されることを想定したBタイプ撮影レンズ202は、振れ補正レンズを可動中心位置に移動させる間は、電子ビューファインダをoffするなどしてユーザに見せなくすることができる。
【0090】
図14は、Yタイプカメラボディ102が、撮影準備開始コマンド指示を行った場合の作動を示す。Yタイプカメラボディ102に、Bタイプ撮影レンズが装着された場合、Bタイプ撮影レンズは、撮影準備開始コマンドを指示されると、振れ補正レンズを、可動中心位置に移動させ、撮影が行える状態にする(以下、防振前センタリングと称する)。振れ補正レンズは、可動中心位置近傍にある場合、より光学性能を発揮することができ、逆に、可動範囲端に自重落下している場合、光学性能が得られない。従って、撮影前に振れ補正レンズを可動中心位置に移動させ、その位置に保持制御する。
【0091】
一方、Yタイプカメラボディ102に中間アダプタ300が装着され、これにAタイプ撮影レンズが装着された場合、中間アダプタ300は、Yタイプカメラボディ102からの撮影準備開始指示コマンドに対し、Aタイプ撮影レンズに指示を行わない。Aタイプ撮影レンズは、振れ補正レンズが可動中心付近に電磁ロックされた状態にあり、光学性能が得られていて、既に、撮影可能な状態である。
【0092】
図14に示したように、本実施例では、Yタイプカメラボディ102から「撮影準備開始コマンド」が出力された場合であっても、中間アダプタ300は、「防振前センタリング」に対応する指示をAタイプ撮影レンズに出力する必要がない、と判断し、Aタイプ撮影レンズに対して「防振前センタリング」に対応する指示(コマンドの送信)を行なわない。このため、Aタイプ撮影レンズは、必要のない「防振前センタリング」に対応するコマンドを受信しなくて済むので、その分だけAタイプ撮影レンズ内の通信処理負担が軽減されることになる。
【0093】
次に、
図15を用いて、振れ補正の開始、終了時の作動を説明する。
【0094】
図15は、Yタイプカメラボディ102が、動画防振開始コマンド、及び、防振終了コマンドの指示を行った場合の作動を示す。Yタイプカメラボディ102に、Bタイプ撮影レンズが装着された場合、Bタイプ撮影レンズは、動画防振開始コマンドを指示されると、現在、
図14で説明したとおり、現在、振れ補正レンズを可動中心位置に保持制御した状態から、振れ検出部22bにより検出された振れに応じて振れ補正レンズ26bを制御し、撮像面の振れを補正する動画防振の作動を開始する。この時、前述の通り、動画防振開始コマンドと共に、センタバイアス、防振効き具合がパラメタとして指示され、例えば、Yタイプカメラボディ102の撮影条件により、振れ補正の作動を最適化する。撮影シーンモードにより、例えば、スポーツに適したモードであれば、動きの速い被写体を扱うため、振れも大きくなり、センタバイアスを大きめに設定し、防振効き具合を小さくし、より大きな振れに対応する等である。
【0095】
一方、Yタイプカメラボディ102に中間アダプタ300が装着され、これにAタイプ撮影レンズが装着された場合、中間アダプタ300は、Yタイプカメラボディ102からの動画防振開始コマンドに対し、同時に指示されるパラメタ:センタバイアス、防振効き具合によらず、Aタイプ撮影レンズに半押し防振開始コマンドを指示する。
【0096】
次に、振れ補正を終了する場合、Yタイプカメラボディ102は、防振終了コマンドを指示する。Bタイプ撮影レンズが装着された場合、Bタイプ撮影レンズは、防振終了コマンドを指示されると、現在行われている振れ補正の作動を終了し、振れ補正レンズを可動中心位置に移動させ、その位置に制御し続ける。一方、Yタイプカメラボディ102に中間アダプタ300が装着され、これにAタイプ撮影レンズが装着された場合、中間アダプタ300は、Yタイプカメラボディ102からの防振終了コマンドに対し、Aタイプ撮影レンズに電磁ロック開始コマンドを指示する。これを受け、Aタイプ撮影レンズは、振れ補正を終了し、振れ補正レンズを可動中心付近に移動させ、電磁ロック機構を作動させ、振れ補正レンズを可動中心近辺に繋止する。
【0097】
図15に示したように、本実施例では、Yタイプカメラボディ102から「防振終了コマンド」が出力された場合であっても、中間アダプタ300は、「電磁ロック開始コマンド」に対応する指示をAタイプ撮影レンズに出力する必要がある、と判断し、Aタイプ撮影レンズに対して「防振終了コマンド」とは異なる「電磁ロック開始コマンド」に対応する指示(コマンドの送信)を行う。このため、Aタイプ撮影レンズは、「防振終了コマンド」を受信しないので「防振終了コマンド」に対する判断が不要になるので、その分だけAタイプ撮影レンズ内の信号処理負担が軽減されることになる。また、Aタイプ撮影レンズは、「防振終了コマンド」の代わりに、適切なタイミングで「電磁ロック開始コマンド」を受信するので、好適なタイミングで電磁ロックの開始をすることができる。
【0098】
次に、
図16を用いて、撮影終了時の作動を説明する。
【0099】
図16は、Yタイプカメラボディ102が、撮影終了コマンドの指示を行った場合の作動を示す。Yタイプカメラボディ102に、Bタイプ撮影レンズが装着された場合、Bタイプ撮影レンズは、撮影終了コマンドを指示されると、
図15で説明したとおり、現在、振れ補正レンズを可動中心位置に保持制御した状態から、振れ補正レンズを制御して、ゆっくりと重力方向に落下させて行く。これ以降撮影を行う必要がないから、この時点で振れ補正レンズの制御を停止してしまえば良いのだが、振れ補正レンズが可動範囲端に自重落下してぶつかる時の衝撃オン、振動を極力少なくするためのものである。
【0100】
一方、Yタイプカメラボディ102に中間アダプタ300が装着され、これにAタイプ撮影レンズが装着された場合、中間アダプタ300は、Yタイプカメラボディ102からの撮影終了コマンドに対し、Aタイプ撮影レンズには特に指示を行わない。既に振れ補正レンズは、電磁ロック機構により、可動中心位置に繋止されていて、振れ補正レンズの制御も終了しているためである。
【0101】
図16に示したように、本実施例では、Yタイプカメラボディ102から「撮影終了コマンド」が出力された場合であっても、中間アダプタ300は、「撮影終了コマンド」に対応する指示をAタイプ撮影レンズに出力する必要がない、と判断し、Aタイプ撮影レンズに対して「撮影終了コマンド」に対応する指示(コマンドの送信)を行なわない。このため、Aタイプ撮影レンズは、必要のない「撮影終了コマンド」に対応するコマンドを受信しなくて済むので、その分だけAタイプ撮影レンズ内の通信処理負担が軽減されることになる。
【0102】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0103】
(変形例1)
上述したAレンズ201およびBレンズ202は、レンズマウントの形状や電気接点の配列等を除き、ほぼ同一の構成としていた。これら2つの撮影レンズは、より異なる構成を有していてもよい。同様に、Xボディ101およびYボディ102が、異なるタイプのカメラボディであってもよい。例えばXボディ101をクイックリターンミラーを有する一眼レフレックスカメラとし、Yボディ102をクイックリターンミラーを持たないカメラボディとしてもよい。
【0104】
(変形例2)
カメラボディと撮影レンズとの間で授受されるコマンドは、
図5に示したコマンドに限定されない。例えば、より多数のコマンドがカメラボディと撮影レンズとの間で授受されるようにしてもよい。そのような場合であっても、中間アダプタ300を、カメラボディから送信されたコマンドを撮影レンズに適したコマンドに変換して撮影レンズへ送信するように構成することが可能である。
【0105】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。