【文献】
株式会社クラレ,製品名 モビタール 製品安全データシート,2012年 5月 6日,検索日:2015年9月1日,URL,www.kuraray.co.jp/products/plastic/pdf/mowital_MSDS_jp.pdf
【文献】
株式会社ジェイプラス,製品紹介−DOP,2001年,検索日:2015年9月1日,URL,http://www.j-plus.co.jp/dop.html
【文献】
三菱化学株式会社,三菱化学 スペシャリティケミカルズ事業部「エポキシ樹脂」,「基本固形タイプ」の項、検索日:2015年9月1日,URL,http://www.mcc-epoxy.jp/products/epoxy_jer.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無機フィラー(II)が、金属粉、金属酸化物粉、金属窒化物粉、金属水酸化物粉、金属炭化物粉、炭素材料粉および鉱物粉からなる群より選ばれる少なくとも1種の粉体を含む、請求項1〜2のいずれか1項に記載の熱拡散性樹脂組成物。
前記無機フィラー(II)が、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、窒化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、酸化亜鉛粉、酸化マグネシウム粉、酸化ケイ素粉、ケイ酸塩粉、窒化ケイ素粉、炭化ケイ素粉、炭化タングステン粉、窒化ホウ素粉、水酸化アルミニウム粉、水酸化マグネシウム粉、酸化窒化アルミニウム粉、グラファイト粉、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド粉、炭素繊維、フラーレン、コーディエライト粉およびムライト粉からなる群より選ばれる少なくとも1種の粉体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱拡散性樹脂組成物。
前記無機フィラー(II)が窒化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、酸化亜鉛粉、酸化マグネシウム粉、炭化ケイ素粉、コーディエライト粉、ムライト粉および窒化ホウ素粉からなる群より選ばれる少なくとも1種の粉体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱拡散性樹脂組成物。
エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂およびポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(III)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱拡散性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0036】
1.熱拡散性樹脂組成物
本発明の熱拡散性樹脂組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、特定の構成単位を有するポリビニルアセタール樹脂(I)と特定量の無機フィラー(II)とを含み、必要に応じて樹脂(III)および/または添加剤を含有してもよい。
【0037】
また、本発明の組成物は、熱可塑性である。すなわち、加熱下で可塑性を有するため加工性やリワーク性が良好であり、押出成形や塗布工程等の作業性などに優れる。
【0038】
本発明の組成物によれば、該組成物から得られる成形体は、その厚みが薄くても、放熱特性および加工性に優れ、金属板、グラファイト板、樹脂性フィルム、特に金属板等との接着強度が高く、加工性に優れる。このため、本発明によれば、電子部品などの発熱体から発せられる熱が十分に除去され、軽量化、小型化可能な電子機器や、高エネルギー密度でも発熱によるトラブルが抑えられたバッテリーなどを提供することができる。
【0039】
1−1.ポリビニルアセタール樹脂(I)
前記ポリビニルアセタール樹脂(I)は、下記構成単位A、BおよびCを含む樹脂である。このような樹脂(I)は、靭性、耐熱性および耐衝撃性に優れ、汎用のポリマーに比較して密着性が高いため好ましい。
また、前記樹脂(I)を含む組成物は、アウトガスの問題が生じにくく、加工性やリワーク性に優れる。
【0041】
前記構成単位Aは、アセタール部位を有する構成単位であって、例えば、連続するポリビニルアルコール鎖単位とアルデヒド(R−CHO)との反応により形成され得る。
【0042】
構成単位AにおけるRは独立に、水素またはアルキルである。前記Rが嵩高い基(例えば炭素数が多い炭化水素基)であると、ポリビニルアセタール樹脂の軟化点が低下する傾向にある。また、前記Rが嵩高い基であるポリビニルアセタール樹脂は、溶媒への溶解性は高いが、一方で耐薬品性に劣ることがある。このため前記Rは、水素または炭素数1〜5のアルキルであることが好ましく、得られる組成物の靭性などの点から水素または炭素数1〜3のアルキルであることがより好ましく、水素、メチルまたはプロピルであることがさらに好ましく、得られる組成物の耐熱性などの点から水素であることが特に好ましい。
【0045】
前記樹脂(I)は、構成単位A〜Cに加えて、下記構成単位Dを含むことが、無機フィラー(II)、特に、金属水酸化物粉または鉱物粉等との密着性に優れる組成物を得ることができるなどの点から好ましい。
また、樹脂(I)が構成単位Dを含むと、グラファイト板等との接着性により優れる組成物を得ることができる。
【0046】
【化8】
前記構成単位D中、R
1は独立に水素または炭素数1〜5のアルキルであり、好ましくは水素または炭素数1〜3のアルキルであり、より好ましくは水素またはメチルであり、さらに好ましくは水素である。
【0047】
前記樹脂(I)における構成単位A、B、CおよびDの総含有率は、該樹脂の全構成単位に対して80〜100mol%であることが好ましい。
【0048】
前記樹脂(I)に含まれ得るその他の構成単位としては、構成単位A以外のビニルアセタール鎖単位(前記構成単位AにおけるRが水素またはアルキル以外である構成単位)、下記分子間アセタール単位、および下記ヘミアセタール単位などが挙げられる。構成単位A以外のビニルアセタール鎖単位の含有率は、ポリビニルアセタール樹脂の全構成単位に対して5mol%未満であることが好ましい。
【0049】
【化9】
(前記分子間アセタール単位中のRは、前記構成単位A中のRと同義である。)
【0050】
【化10】
(前記ヘミアセタール単位中のRは、前記構成単位A中のRと同義である。)
【0051】
前記樹脂(I)において、構成単位A〜Dは、規則性をもって配列(ブロック共重合体、交互共重合体など)していても、ランダムに配列(ランダム共重合体)していてもよいが、ランダムに配列していることが好ましい。
【0052】
前記樹脂(I)における各構成単位は、該樹脂の全構成単位に対して、構成単位Aの含有率が49.9〜80mol%であり、構成単位Bの含有率が0.1〜49.9mol%であり、構成単位Cの含有率が0.1〜49.9mol%であり、構成単位Dの含有率が0〜49.9mol%であることが好ましい。
得られる組成物の、熱拡散率、および金属板、グラファイト板、樹脂製フィルム等との接着性の両立、さらには耐熱性の維持などの点から、より好ましくは、前記樹脂(I)の全構成単位に対して、構成単位Aの含有率が49.9〜80mol%であり、構成単位Bの含有率が1〜30mol%であり、構成単位Cの含有率が1〜30mol%であり、構成単位Dの含有率が1〜30mol%である。
【0053】
耐薬品性、可撓性、耐摩耗性および機械的強度に優れる樹脂(I)を得るなどの点から、構成単位Aの含有率は49.9mol%以上であることが好ましい。
前記構成単位Bの含有率が0.1mol%以上であると、樹脂(I)の溶剤への溶解性が良くなるため好ましい。また、構成単位Bの含有率が49.9mol%以下であると、樹脂(I)の耐薬品性、可撓性、耐摩耗性および機械的強度が低下しにくいため好ましい。
【0054】
前記構成単位Cは、樹脂(I)の溶剤への溶解性や得られる組成物の接着性などの点から、含有率が49.9mol%以下であることが好ましい。また、ポリビニルアセタール樹脂の製造において、ポリビニルアルコール鎖をアセタール化する際、構成単位Bと構成単位Cが平衡関係となるため、構成単位Cの含有率は0.1mol%以上であることが好ましい。
【0055】
また、無機フィラー(II)との密着強度に優れ、金属板やグラファイト板等との接着性に優れる組成物を得ることができるなどの点から、構成単位Dの含有率は前記範囲にあることが好ましい。構成単位Dの含有率が前記範囲にあると、樹脂(I)と、無機フィラー(II)、特に極性の高い無機フィラーとの密着性を高めることができる。一方、構成単位Dの含有率の上限が前記範囲を超えると、カルボキシル基が他の官能基と反応して、ワニスを得難くなることがある。
【0056】
前記樹脂(I)における構成単位A〜Cのそれぞれの含有率は、JIS K 6728またはJIS K 6729に準じて測定することができる。
【0057】
また、前記樹脂(I)における構成単位Dの含有率は、以下に述べる方法で測定することができる。
1mol/リットル水酸化ナトリウム水溶液中で、樹脂(I)を、2時間、80℃で加温する。この操作により、カルボキシル基にナトリウムが付加し、−COONaを有するポリマーが得られる。該ポリマーから過剰な水酸化ナトリウムを抽出した後、脱水乾燥を行う。その後、炭化させて原子吸光分析を行い、ナトリウムの付加量を求めて定量する。
【0058】
なお、構成単位B(ビニルアセテート鎖)の含有率を分析する際に、構成単位Dは、ビニルアセテート鎖として定量されるため、前記JIS K 6728またはJIS K6729に準じて測定された構成単位Bの含有率より、定量した構成単位Dの含有率を差し引き、構成単位Bの含有率を補正する。
【0059】
前記樹脂(I)の重量平均分子量は、5000〜300000であることが好ましく、10000〜150000であることがより好ましい。重量平均分子量が前記範囲にある樹脂(I)を用いると、製造容易性、成形加工性および曲げ強度に優れる成形体(放熱部材)を得ることができるため好ましい。
【0060】
本発明において、樹脂(I)の重量平均分子量は、GPC法により測定することができる。具体的な測定条件は以下の通りである。
検出器:830−RI (日本分光(株)製)
オ−ブン:西尾社製 NFL−700M
分離カラム:Shodex KF−805L×2本
ポンプ:PU−980(日本分光(株)製)
温度:30℃
キャリア:テトラヒドロフラン
標準試料:ポリスチレン
【0061】
前記樹脂(I)のガラス転移温度は、好ましくは40℃以上150℃以下であり、より好ましくは60℃以上130℃以下である。ガラス転移温度がこの範囲にあると、本発明の組成物は、金属板、グラファイト板、樹脂性フィルム等への接着性が高く、耐熱性も良好である。
樹脂(I)のガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)で測定することができる。
【0062】
前記樹脂(I)のオストワルド粘度は、1〜100mPa・sであることが好ましい。オストワルド粘度が前記範囲にある樹脂(I)を用いると、製造容易性、靭性に優れる成形体(放熱部材)が得られるため好ましい。
オストワルド粘度は、樹脂(I)5gをジクロロエタン100mlに溶解した溶液を用い、20℃で、Ostwald−Cannon Fenske Viscometerを用いて測定することができる。
【0063】
前記樹脂(I)としては、具体的には、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタールおよびこれらの誘導体等が挙げられ、組成物の耐熱性などの点から、ポリビニルホルマールが好ましい。
前記樹脂(I)としては、前記樹脂を単独で用いてもよく、構成単位の結合の順番や結合の数等が異なる樹脂を2種以上併用してもよい。
前記樹脂(I)は、合成して得てもよく、市販品でもよい。
【0064】
前記構成単位A、BおよびCを含む樹脂の合成方法は、特に制限されないが、例えば、特開2009−298833号公報に記載の方法を挙げることができる。また、前記構成単位A、B、CおよびDを含む樹脂の合成方法は、特に制限されないが、例えば、特開2010−202862号公報に記載の方法を挙げることができる。
【0065】
前記樹脂(I)の市販品としては、ポリビニルホルマールとして、ビニレック C、ビニレック K、ビニレック L(JNC(株)製)などが挙げられ、ポリビニルブチラールとして、エスレックB・K (積水化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0066】
1−2.樹脂(III)
本発明の組成物は目的に応じた物性を得るために、前記樹脂(I)以外の樹脂(III)を含有してもよい。このような樹脂(III)としては、特に制限されないが、リサイクルや廃棄時に腐食性の酸性ガスの発生が少ないなどの点からハロゲン元素を有さない樹脂が好ましく、具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂およびポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0067】
前記エポキシ樹脂としては、特に制限されないが、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物であることが好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0068】
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0069】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱化学(株)製、jER827、jER828、jER834、jER1001、jER1002、jER1003、jER1004、jER1055、jER1007、jER1009、jER1010;DIC(株)製、エピクロン840、エピクロン850、エピクロン860、エピクロン1050、エピクロン1055、エピクロン2050、エピクロン3050;新日鐵化学(株)製、エポトートYD−127、エポトートYD−128、エポトートYD−134;などが挙げられる。
【0070】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、三菱化学(株)製、jER806、jER807、jER4004P、jER4005P、jER4007P、jER4010P;DIC(株)製、エピクロン830;新日鐵化学(株)製、エポトートYD−170、エポトートYD−2001、エポトートYD−2004、エポトートYD−2005RL;などが挙げられる。
【0071】
ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、DIC(株)製、エピクロンEXA-1514、エピクロンEXA-1515などが挙げられる。
【0072】
前記フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、三菱化学(株)製、jER152、jER154;DIC(株)製、エピクロンN−740、エピクロンN−770、エピクロンN−775;新日鐵化学(株)製、エポトートYDPN−638;などが挙げられる。
【0073】
前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、DIC(株)製、エピクロンN−660、エピクロンN−665、エピクロンN−670、エピクロンN−673、エピクロンN−695;日本化薬(株)製、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S;などが挙げられる。
【0074】
前記グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、住友化学(株)製、ELM−120、ELM−434、ELM−434HV;DIC(株)製、エピクロン430−L、エピクロン430;新日鐵化学(株)製、エポトートYH−434、エポトートYH−434L;三菱化学(株)製、jER604;日本化薬(株)製、GAN、GOT;などが挙げられる。
【0075】
前記イソシアネート変性エポキシ樹脂やウレタン変性エポキシ樹脂としては、旭化成イーマテリアル(株)製、AER4152;(株)ADEKA製、ACR1348;などが挙げられる。
前記脂環式エポキシ樹脂としては、(株)ダイセル製、セロキサイド2021、セロキサイド2080などが挙げられる。
【0076】
前記ビフェニル型エポキシ樹脂としては、三菱化学(株)製、jERXY4000、jERYL6121H、jERYL6640;日本化薬(株)製、NC−3000;などが挙げられる。
【0077】
前記ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC(株)製、エピクロンHP4032;日本化薬(株)製、NC−7000、NC−7300などが挙げられる。
【0078】
前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、DIC(株)製、エピクロンHP7200、エピクロンHP7200L、エピクロンHP7200H;日本化薬(株)製、XD−1000−1L、XD−1000−2L;などが挙げられる。
【0079】
使用するエポキシ樹脂に特に制限はないが、前記樹脂(I)と容易に混ざるエポキシ樹脂が好ましく、前記樹脂(I)と混合し易い、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂が特に好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、または2種類以上を併用してもよい。
【0080】
前記アクリル樹脂としては、特に制限されないが、例えば、α,β−不飽和酸およびその誘導体から得られるポリマーが挙げられ、具体的には、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
【0081】
前記ポリオレフィン樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリ環状オレフィン、ポリブタジエン、アタクチックまたはシンジオタクチックなポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)が挙げられる。さらに、前記ポリオレフィン樹脂として、AS(アクリロニトリル−スチレンコポリマー)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー)、MBS(メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレンコポリマー)、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリレートコポリマー)、AES(アクリロニトリル−エチレン−スチレンコポリマー)、スチレンまたはα−メチルスチレンとジエンまたはアクリル系誘導体とのコポリマーなどが挙げられる。
【0082】
前記ポリイミド樹脂としては、特に制限されないが、特開平7−152037号公報に記載のポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂などが挙げられる。
【0083】
前記ポリアミド樹脂としては、特に制限されないが、ジアミンとジカルボン酸および/またはアミノカルボン酸または対応するラクタムから得られるポリアミドおよびコポリアミドなどが挙げられ、具体的には、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12または4/6、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミンとアジピン酸との縮合によって得られるポリアミドMXD6、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸および/またはテレフタル酸との縮合によって得られる変性ポリアミド6T、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)またはABSで改質されたポリアミドまたはコポリアミド、樹脂成形加工中に縮合されるポリアミド(RIMポリアミド系)などが挙げられる。
【0084】
前記フェノール樹脂としては、特に制限されないが、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、キシリレンノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、トリフェニルメタンノボラック樹脂、ビフェニルノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック樹脂、テルペンフェノールノボラック樹脂などが挙げられる。
【0085】
前記ポリカーボネート樹脂としては、特に制限されないが、特開2010−59307号公報に記載のポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
【0086】
前記樹脂(III)としては、さらに、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチレート、環状エーテルのホモポリマーおよびコポリマー、ポリアルキレングリコール、ポリ酸化エチレン、ポリ酸化プロピレンまたはビスグリシジルエーテルとそのコポリマー、ポリオキシメチレンやコモノマーとして酸化エチレンを含有するポリオキシメチレンのようなポリアセタール、熱可塑性ポリウレタン、ポリアクリレートまたはMBSで改質されたポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性ポリスチレン等で変性された変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとして有し、脂肪族または芳香族ポリイソシアネートを使用して得られるポリウレタン、ポリベンズイミダゾール、ポリアリルスルホン、ポリアリルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンサルファイドスルフォン、光学的異方性溶融相を形成し得る溶融加工性ポリエステル、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン/テトラフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン/パーフルオロビニルエーテルコポリマーなどのフッ素樹脂などが挙げられる。
【0087】
また、前記樹脂(III)として、ジカルボン酸とジオールおよび/またはヒドロキシカルボン酸とから得られるポリエステル、ラクトンから得られるポリエステルなども挙げられ、このようなポリエステルとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、これらを更にポリカーボネートまたはMBSなどで改質したポリエステルが挙げられる。
【0088】
さらに、前記樹脂(III)として、セルロース、ゴム、ゼラチン等の天然ポリマーまたはこれらを化学的に改質したものの同族誘導体なども挙げられ、このようなポリマーとして、例えば、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、メチルセルロース、ロジン、ロジンエステルまたはこれらの誘導体が挙げられる。
【0089】
前記樹脂(III)としては、上述のポリマーの混合物(ポリマーブレンド)であってもよく、例えば、PP/EPDM、PA6/EPDMまたはABS、PC/ABS、PBT/ABS、PC/AS、PC/PBT、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/PMMA、POM/MBS、PPE/HIPS、PPE/(PA6/6)、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPE、PPE/PPS、PPS/PEI、PEI/PEEKが挙げられる。(PP:ポリプロピレン、PA:ポリアミド、PC:ポリカーボネート、POM:ポリオキシメチレン、PUR:ポリウレタンゴム、PMMA:ポリメタクリル酸メチル、PPE:ポリフェニレンエーテル、HIPS:耐衝撃性ポリスチレン、HDPE:高密度ポリエチレン、PPS:ポリフェニレンスルフィド、PEI:ポリエーテルイミド、PEEK:ポリエーテルエーテルケトン)
【0090】
前記樹脂(III)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい
【0091】
前記樹脂(III)としては、優れた特性を有する組成物を得るために、前記樹脂(I)と良く混合するものが好ましい。このような樹脂としては樹脂(I)と架橋構造を形成することのできる樹脂が挙げられる。詳しくはエポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリウレタン等である。さらに好ましくはノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂である。
前記樹脂(III)は合成して得てもよく、市販品でもよい。
【0092】
前記樹脂(III)は、前記樹脂(I)の熱可塑性などの特性を損なわない範囲で添加することが好ましく、本発明の組成物に含まれる樹脂の合計100重量%に対して、1〜10重量%がより好ましく、1〜5重量%がさらに好ましい。
【0093】
1−3.無機フィラー(II)
本発明の組成物は、無機フィラー(II)を含むことで、該組成物の熱拡散性および耐熱特性が向上する。
【0094】
前記無機フィラー(II)としては、特に制限されないが、熱伝導性フィラーが好ましく、金属粉、金属酸化物粉、金属窒化物粉、金属水酸化物粉、金属酸窒化物粉、金属炭化物粉などの金属または金属化合物含有フィラー、炭素材料フィラーおよび鉱物粉等が挙げられる。
【0095】
前記金属粉としては、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属およびこれら金属を含有する合金からなる粉などが挙げられる。前記金属酸化物粉としては、酸化アルミニウム粉、酸化亜鉛粉、酸化マグネシウム粉、酸化ケイ素粉、酸化チタン粉、ケイ酸塩粉などが挙げられる。前記金属窒化物粉としては、窒化アルミニウム粉、窒化ホウ素粉、窒化ケイ素粉などが挙げられる。前記金属水酸化物粉としては、水酸化アルミニウム粉、水酸化マグネシウム粉などが挙げられる。前記金属酸窒化物としては、酸化窒化アルミニウム粉などが挙げられ、前記金属炭化物粉としては、炭化ケイ素粉、炭化タングステン粉などが挙げられる。
【0096】
これらの中でも、熱拡散性および入手容易性などの点から窒化アルミニウム粉、窒化ホウ素粉、酸化アルミニウム粉、酸化亜鉛粉、酸化マグネシウム粉、水酸化アルミニウム粉、炭化ケイ素粉および炭化タングステン粉が好ましく、酸化亜鉛粉、酸化アルミニウム粉、窒化アルミニウム粉、窒化ホウ素粉、酸化マグネシウム粉および炭化ケイ素粉がより好ましい。
【0097】
前記金属または金属化合物含有フィラーとしては、窒化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、および針状(特にテトラポット形状)の酸化亜鉛粉を用いることが好ましい。
酸化亜鉛は、窒化アルミニウムに比べ、熱拡散率は低いが、針状またはテトラポット形状の酸化亜鉛粉を用いると、粒子状の酸化亜鉛粉を用いる場合より放熱特性に優れる組成物が得られる。
また、酸化アルミニウムは、窒化アルミニウムや酸化亜鉛に比べ、熱拡散率は低いが、化学的に安定であり、水や酸により反応したり、水や酸に溶解したりしないので、高い耐候性を有する組成物を得ることができる。
前記無機フィラーとして窒化アルミニウム粉を用いると、放熱特性により優れる組成物を得ることができる。
【0098】
前記炭素材料フィラーとしては、グラファイト粉(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、ケッチェンブラック)、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド粉、炭素繊維およびフラーレンなどが挙げられ、これらの中でも熱拡散性に優れるなどの点から、グラファイト粉、カーボンナノチューブおよびダイヤモンド粉が好ましい。
【0099】
前記鉱物粉としては、熱拡散率が高いなどの点からコーディエライト粉およびムライト粉が好ましい。
【0100】
前記無機フィラー(II)の形状としては、特に制限されないが、粒子状(球状、楕円球状を含む)、偏平状、柱状、針状(テトラポット形状、樹枝状を含む)および不定形状などが挙げられる。これらの形状は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置やSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて確認することができる。
【0101】
前記金属または金属化合物含有フィラー、および鉱物粉の一次粒子の平均径は、目的に応じて適宜選択すればよいが、熱拡散性などの点から、好ましくは0.001〜30μmであり、より好ましくは0.01〜10μmである。
【0102】
なお、金属または金属化合物含有フィラー、および鉱物粉の一次粒子の平均径とは、該フィラーが粒子状の場合は、粒子の直径(楕円球状の場合は長軸の長さ)のことをいい、該フィラーが扁平状の場合は、最も長い辺のことをいい、該フィラーが柱状の場合は、円の直径(楕円の長軸)または柱の長さのうちいずれか長い方のことをいい、該フィラーが針状の場合は、針の長さのことをいう。
【0103】
前記炭素材料フィラーの一次粒子の平均径は、形成したい最終製品の大きさ、本発明の組成物の厚み等に応じて適宜選択すればよいが、熱拡散性などの点から、好ましくは0.001〜20μmであり、より好ましくは0.002〜10μmである。炭素材料からなるフィラーの平均径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置やSEM(走査型電子顕微鏡)などを用いて確認することができる。なお、カーボンナノチューブや炭素繊維の平均径とは、チューブや繊維の長さのことをいう。
【0104】
前記無機フィラー(II)は、平均径や形状が所望の範囲にある市販品をそのまま用いてもよく、平均径や形状が所望の範囲になるように市販品を粉砕、分級、加熱等したものを用いてもよい。
【0105】
前記無機フィラー(II)としては、分散処理、防水処理などの表面処理された市販品をそのまま用いてもよく、該市販品から表面処理剤を除去したものを用いてもよい。また、表面処理されていない市販品を表面処理して用いてもよい。特に窒化アルミニウムおよび酸化マグネシウムは空気中の水分により劣化しやすいので、防水処理されたものを使用することが望ましい。
前記無機フィラー(II)としては、上述のフィラーを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0106】
前記無機フィラー(II)の配合量は、本発明の組成物100体積%に対し、5〜85体積%である。
本発明の組成物を発熱源から熱を外部に伝達する用途で使用する場合には、熱拡散率が高い組成物が得られるなどの点で、前記無機フィラー(II)の配合量は20〜85%であることが好ましい。
【0107】
本発明の組成物は、前記樹脂(I)を含むため、無機フィラー(II)の配合量が本発明の組成物100体積%に対し、好ましくは50〜80体積%、より好ましくは60〜70体積%であっても、金属板、グラファイト板、樹脂製フィルム等への接着性が良好であり、加工時の剥がれ、割れ等の発生が少ないなどに優れる組成物を得ることができる。
【0108】
前記無機フィラー(II)が本発明の組成物中に40体積%以上の割合で含まれていると、金属板、グラファイト板、樹脂性フィルム等への接着性を維持しつつ、熱拡散性が向上した組成物が得られるため好ましい。
前記無機フィラー(II)の配合量が80体積%以下の割合で含まれていると、金属板、グラファイト板、樹脂性フィルム等への接着性と熱拡散率にバランスよく優れる組成物が得られ、前記無機フィラーの配合量が5体積%以上の割合で含まれていると、熱拡散性が高い組成物が得られるため好ましい。
【0109】
本発明の組成物を発熱源からの遠赤外線を利用して熱を外部に伝達する用途で使用する場合には、熱拡散と熱放射をあわせた効果が高い組成物が得られるなどの点で前記無機フィラー(II)の配合量は5%以上であることが好ましい。
【0110】
1−4.添加剤
前記添加剤としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、酸化防止剤、シランカップリング剤、銅害防止剤、金属不活性化剤、防錆剤、粘着性付与剤、老化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、耐候剤、硬化剤、硬化助剤などが挙げられる。
【0111】
本発明の組成物を金属板に接触させる場合であって、無機フィラー(II)と樹脂(I)との密着性を向上させるために、シランカップリング剤を添加することが好ましい。
【0112】
シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N'−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0113】
前記シランカップリング剤としては、JNC(株)製のシランカップリング剤(商品名 S330、S510、S520、S530)などが好ましい。
【0114】
前記シランカップリング剤の添加量は、前記樹脂(I)と無機フィラー(II)との密着性を向上させることができるなどの点から、本発明の組成物に含まれる樹脂の総量100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部である。
【0115】
前記組成物を構成する樹脂(I)は、古くからエナメル線などに使用されており、金属と接触することにより劣化したり、金属を劣化させ難い樹脂ではあるが、本発明の組成物を金属板に接触させる場合であって、該組成物を成形した成形体と金属板との積層体を高温多湿環境で使用する場合などでは、銅害防止剤や金属不活性化剤を本発明の組成物に添加することが好ましい。
前記銅害防止剤としては、例えば、特開平5−48265号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0116】
前記銅害防止剤としては、(株)ADEKA製、Mark ZS−27,Mark CDA−16;三光化学工業(株)製、SANKO−EPOCLEAN;BASF社製、Irganox MD1024;などが好ましい。
【0117】
前記銅害防止剤の添加量は、本発明の組成物の金属板と接触する部分の樹脂の劣化を防止できるなどの点から、該組成物に含まれる樹脂の総量100重量部に対して、好ましくは0.1〜3重量部である。
【0118】
2.熱拡散性樹脂組成物の調製方法
本発明の組成物は、例えば、前記樹脂(I)、無機フィラー(II)、ならびに必要に応じて用いられる前記樹脂(III)および/または添加剤を混練機などで混練することで得ることができる。また、下記ワニスから溶剤を除去することで得ることもできる。組成物中の無機フィラー(II)の凝集状態や分散状態を制御でき、熱拡散率の高い組成物を得ることができるなどの点からワニスから溶剤を除去することで得られる組成物が好ましい。
【0119】
なお、用いる無機フィラー(II)は、予めシランカップリング剤で処理されていてもよい。無機フィラー(II)の処理は任意の方法で行えばよいが、シランカップリング剤を含む水溶液に、無機フィラー(II)を添加することでスラリーを得て、該スラリーから水を除去して固形物を得、必要により該固形物をすりつぶして粒子にする方法などが挙げられる。
【0120】
3.熱拡散性樹脂組成物の物性等
本発明の組成物において、無機フィラー(II)の配合量に比して、熱拡散率が高いのは、前記樹脂(I)と無機フィラー(II)との密着性(相溶性)が高く、無機フィラー(II)の周囲を樹脂(I)が隙間なく覆い、空隙の形成を抑制できるからであると考えられる。つまり、樹脂(I)に含まれる構成単位C(および構成単位D)が、無機フィラー(II)表面の官能基と相互作用することで、樹脂(I)と無機フィラー(II)の密着性が高まり、無機フィラーの周囲をポリビニルアセタール樹脂が隙間なく覆うことで、空隙の形成を抑制できると考えられる。気体で構成される隙間は、組成物の熱拡散率を低下させたり、フィラーの充填密度を低下させるため、空隙の形成を抑制することで、熱拡散率の高い組成物を得ることができると考えられる。
【0121】
特に、ポリビニルアセタール樹脂以外の樹脂と無機フィラーとからなる組成物に比べ、無機フィラーの配合量が少なくても熱拡散性に優れる組成物を得ることができる。このため、本発明の組成物は、熱拡散性および金属板、グラファイト板、樹脂性フィルム等との接着性にバランスよく優れる。
【0122】
本発明の組成物の熱拡散率は0.05mm
2/s以上であり、好ましくは0.1mm
2/s以上である。
本発明の組成物の熱拡散率が前記範囲にあることで、放熱性に優れる組成物を得ることができる。
なお、本発明の組成物の熱拡散率は、大きければ大きいほどよいため、その上限は、特に制限されないが、1mm
2/sであってもよい。
【0123】
本発明の組成物の熱拡散率は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
【0124】
本発明の組成物は、熱拡散性が高いだけでなく、耐熱性も高い点で好ましい。このような耐熱性は、例えば組成物に含まれる前記樹脂(I)の構成単位AのRとして、鎖長の短いアルキル基を選ぶことによって向上させることができる。特に構成単位A中のRが水素である場合に最も耐熱性がよい。
【0125】
本発明の組成物を、回路基板などに半導体素子などを実装する際の接着剤として使用する際には、該組成物は、50℃での粘弾性が1×10
8Pa以上であることが実装条件下での寸法安定性が良好な点で好ましい。
本発明の組成物の粘弾性は、固体粘弾性測定装置により測定されうる。
【0126】
4.ワニス
本発明のワニスは、前記組成物と溶剤とを含む。
【0127】
4−1.溶剤
前記溶剤としては、前記樹脂(I)を溶解できるものであれば特に制限されないが、無機フィラー(II)を分散させることができるものであることが好ましく、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒およびアミド系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤がより好ましい。
【0128】
前記溶剤としては、具体的に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−オクタノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリルアミドなどのアミド系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶媒;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、メチレンクロライド、クロロホルムなどの塩素化炭化水素系溶媒;トルエン、ピリジン、メシチレン、キシレンなどの芳香族系溶媒;ジメチルスルホン、スルホラン、ジメチルスルホキシド;酢酸;テルピネオール;ブチルカルビトール;ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。
【0129】
5.ワニスの調製方法
本発明のワニスの調製方法は、特に制限されないが、例えば、前記樹脂(I)を前記溶剤に溶解させ、樹脂溶液を得るステップ、および得られた樹脂溶液に無機フィラー(II)を添加して、撹拌するステップを含む方法が好ましい。
【0130】
本発明のワニス中における樹脂固形分濃度は1〜50重量%であることが好ましく、3〜30重量%であることがより好ましい。本発明のワニス中における樹脂固形分濃度が前記範囲にあると、後述の撹拌の条件を適切に制御することができる。
【0131】
前記樹脂溶液は、粉体で入手できる樹脂(I)に溶剤を添加して、必要により適切な温度に加温しながら攪拌することで得られる溶液が好ましい。
【0132】
得られた樹脂溶液に添加される無機フィラー(II)は、予めシランカップリング剤で処理されていてもよい。無機フィラー(II)の処理は任意の方法で行えばよいが、シランカップリング剤を含む水溶液に、無機フィラー(II)を添加することでスラリーを得て、該スラリーから水を除去して固形物を得、必要により該固形物をすりつぶして粒子にする方法などが挙げられる。
【0133】
前記無機フィラー(II)を添加したワニスを撹拌することにより、無機フィラー(II)をワニス中に分散させることが好ましい。本発明のワニスは、撹拌により、無機フィラー(II)の凝集状態または分散状態を制御したものであることが好ましい。具体的には、ワニス中の無機フィラー(II)が、2次粒子を形成しているなどのある程度のフレキシビリティを持ってつながっている状態のワニスであることが好ましい。
【0134】
前記撹拌は、攪拌モーター、らいかい機、三本ロール、ボールミル、自転公転ミル、遊星ミルなど、通常の撹拌機や分散機で行えばよい。撹拌のせん断強度は、10Pa〜1000Paとすることが好ましい。撹拌するときのせん断強度が大きすぎると、無機フィラー(II)の2次粒子が形成されないことがある。一方、撹拌するときのせん断強度が小さすぎると、無機フィラーの巨大な凝集体が形成されることがあり、得られるワニスからフィルムを形成しにくくなる場合がある。また、撹拌時の温度は特に限定されず、10〜50℃にすればよい。
【0135】
6.用途
本発明の組成物やワニスは、導体層の接着に好ましく用いられる。例えば、基材樹脂フィルムと金属箔(好ましくは銅箔)との積層体である回路用基板、放熱基板および部品内蔵基板における、基材樹脂フィルムと金属箔との接着に用いることができる。また、回路用基板等の基材を、本発明の組成物からなるフィルムとしてもよい。
本発明の組成物やワニスから得られる層の厚みは用途に応じて適宜設定されればよく特に制限されないが、0.05〜200μmであることが好ましい。
【0136】
本発明の組成物やワニスを導体層の接着に用いる場合には、例えば、該組成物やワニスを被接着体に塗布してもよいし、該組成物やワニスからフィルム成形して、そのフィルムを被接着体に接触させてもよい。フィルムの製造方法としては、例えば、本発明の組成物やワニスを、離型処理されたシートに塗布および固化して、それを剥離してフィルムを得る方法を挙げることができる。
フィルムを用いる場合には、フィルムの厚みは、好ましくは10〜200μmである。
【0137】
前記回路基板などの積層体は、フレキシブル体でも、リジッド体であってもよく、目的に応じて、厚みや、材質を選択して適宜設定される。
また、積層体に含まれる金属箔は、エッチング等でパターニングされて、半導体素子が実装される導体回路となりうる。
【0138】
本発明の組成物やワニスから得られる成形体は熱拡散率が高いので、本発明の組成物やワニスを用いて得た回路基板等に素子(LSIチップなど)などを実装して得られる電子部品において、該電子部品を使用する(電流を流す)際に素子から発生した熱を放散させやすい。このため、本発明の組成物やワニスは、各種半導体チップ、特にパワーデバイス用途などの発熱量の大きい半導体チップを実装する放熱基板の熱拡散性接着材料として好ましく用いられる。
【0139】
また、本発明の組成物やワニスは、半導体パッケージと放熱部材とを接着する接着剤として好適に使用できる。特に半導体チップがパワーデバイスである場合、該半導体チップを含む装置は熱拡散性に優れる放熱部材を含むことが好ましい。
【0140】
前記放熱部材の例として、放熱板、ヒートシンクおよび冷却配管が挙げられる。放熱部材は、単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。
前記放熱板は、熱拡散性に優れた金属板やグラファイト板であれば、特に制限されない。放熱板の例としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、鉄、ステンレス系合金、インバー系多層金属等からなる金属板または複合積層板が挙げられる。放熱板の厚さは、材質にもよるが、例えば0.05〜3.0mm程度である。
【0141】
また、前記放熱部材は、金属板とグラファイト板とを本発明の組成物を介して積層した積層体であってもよい。
【0142】
本発明の組成物やワニスを半導体パッケージと放熱部材とを接着する接着剤として使用する場合や放熱部材である積層体の形成に使用する場合、該組成物やワニスを被接着体に塗布、必要により乾燥させて半導体パッケージと放熱部材、金属板とグラファイト板とを接着してもよいし、本発明の組成物やワニスからドライフィルムを形成し、当該フィルムを半導体パッケージと放熱部材との間に配置することで、半導体パッケージと放熱部材、金属板とグラファイト板とを接着してもよい。
【0143】
前記ドライフィルムを用いて半導体パッケージと放熱部材とを接着する温度は、半導体パッケージと放熱部材とを接着できる温度であればよいが、例えば100〜200℃程度である。
【0144】
なお、本発明における半導体素子には、各種半導体チップが含まれ、パワーデバイス等も含まれる。
また、本発明におけるパワーデバイスとは、高出力容量のダイオード、トランジスタおよびIC等の、出力容量が100VA以上の電力用半導体素子である。
【実施例】
【0145】
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。しかし、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0146】
本発明の実施例に用いた材料は次のとおりである。
<樹脂>
・「PVF−C1」:ポリビニルホルマール樹脂、JNC(株)製、ビニレック C(商品名)、ガラス転移点 111℃
・「PVF−C2」:ポリビニルホルマール樹脂、JNC(株)製、ビニレック C(商品名)、ガラス転移点 104℃
・「PVF−L」:ポリビニルホルマール樹脂、JNC(株)製、ビニレック L(商品名)、ガラス転移点 107℃
・「PVB」:ポリビニルブチラール樹脂、積水化学工業(株)製、エスレックB・K(KS) BM−1(商品名)
・「PMMA」:ポリメチルメタクリレート、(株)三羽研究所製、MA−830 高分子量タイプ
・「PVA」:ポリビニルアルコール、和光純薬工業(株)、試薬特級、けん化度78〜82mol%
【0147】
前記「PVF−C1」、「PVF−C2」および「PVF−L」の構造および物性を下記表1に記載する。
【0148】
【表1】
【0149】
<溶剤>
・「NMP」:1−メチル−2−ピロリドン、和光純薬工業(株)製、和光特級
・「シクロペンタノン」:和光純薬工業(株)製、和光一級
【0150】
<無機フィラー>
・酸化亜鉛粉:(株)アムテック製、パナテトラ WZ−0511(商品名、テトラポット形状、平均径(針の長さ):約10μm)
・炭化ケイ素粉:(シグマアルドリッチ社、試薬グレード、200−450メッシュ)
・酸化アルミニウム粉:昭和電工(株)製 アルミナ(低ソーダ)AL−47−H(商品名、粒子状、平均径:2.1μm)
・窒化アルミニウム粉:(株)トクヤマ製、窒化アルミニウム Hグレード(商品名、粒子状、平均径(Al):1μm)
・コーディエライト:丸ス釉薬合資会社製、SS−600
・電融ムライト:太平洋ランダム株式会社製、70M
・窒化ホウ素:電気化学工業(株)製、SP3−7
・チタンブラック:三菱マテリアル(株)製、13M−C
【0151】
<熱拡散率の評価>
下記実施例および比較例で得られた測定用サンプルの、熱拡散率は下記のように求めた。
下記実施例1〜15および比較例1〜7で得られた測定用サンプルを約9.8mmの正方形の平板に切り抜き、両面にカーボンスプレー(日本船舶工具有限会社製:DGF)を塗装した後(膜厚;1μm)、NETZSCH社製、LFA−447型キセノンフラッシュ熱拡散率測定装置のサンプルホルダーにセットした。該サンプルホルダーが25℃なった後でキセノンランプを所定の強度でセットした測定用サンプルに照射し、該測定用サンプルのランプ照射面と反対の面からの熱放射強度の時間変化を測定し、付属のソフトウエアで解析することにより、熱拡散率を求めた。検出器のゲインなどの測定条件は自動とし、解析は、アルミニウム箔の熱拡散率が樹脂組成物の熱拡散率に比較して無視できるほど大きいため、測定用サンプルの厚みからアルミニウム箔の厚みを差し引き、樹脂組成物のみの厚みを有する1層の板として熱拡散率を求めた。
【0152】
本発明の組成物の特性の評価はシート形状における熱拡散率を用いて行ったが、シート形状以外、たとえば粒状、塊状、繊維状であっても該組成物の熱特性は変わらない。また、3次元的な加工を行っても熱特性は変わらない。
本測定による熱拡散率が大きいほど発熱源から組成物を通じて外部に放出できる熱量が多いことを示す。
【0153】
<実装放熱特性の評価>
厚み50μm、大きさ40mm×40mmの測定用サンプルのアルミニウム箔面側とセラミックヒーター(坂口電熱(株)製、マイクロセラミックヒーターMS−3)を両面テープ(住友スリーエム(株)製、熱伝導性接着剤転写テープNo.9885、10mm×10mm)を用いて貼り合わせた。セラミックヒーターの測定用サンプルを張り合わせる面の裏面にK熱電対(理化工業(株)製、ST−50)を取り付け、データロガーを用いてパソコンにてその温度を記録した。貼り合わせ強度はプッシュプルスケールPS−50N((株)イマダ製)で測定したところ40N/cm
2であった。このヒーターを取り付けた測定用サンプルを40℃に設定した恒温槽中央に静置し、セラミックヒーターの温度が40℃で一定になったことを確認した後、セラミックヒーターに直流安定化電源を用いて1.1V、電流1.4Aを印加し、500秒後および900秒後のセラミックヒーター表面の温度を測定した。セラミックヒーターは一定の熱量を発生しているので、取り付けてある放熱部材の放熱効果が高いほど、セラミックヒーターの温度は低下する。すなわち、セラミックヒーターの温度が低くなる放熱部材ほど放熱効果が高いといえる。
【0154】
<接着性の評価>
JIS−K5600−5−6に記載されたクロスカット法に準じ、縦・横それぞれの方向に2mm間隔でカッターナイフを用いて測定用サンプルの組成物表面に6本ずつ傷をつけ、計25の区画を作成し、セロハンテープを貼り付けて引き剥がし、この時に組成物がアルミニウム箔から剥離する程度を観察した。
評価はJIS−K5600−5−6に従って結果を0(良好)〜5(不良)の段階に分類した。また、剥離した区画の数xを「x/25」と示す。
【0155】
<耐熱性の評価>
作成した測定用サンプルをアルミニウム箔ごと直径6mmに切り抜き、パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSCでガラス転移点を測定して耐熱性を評価した。昇降温速度は10℃/min、降温時の変曲点と低温側ベースラインの交点をガラス転移点(Tg)として算出した。ガラス転移点(Tg)が低い素材の場合、熱によって容易に軟化・溶融してしまうため、これらの温度が高いほど熱に対して安定な素材である。
【0156】
[実施例1]
200mlの三つ口フラスコにNMPを80g入れ、フッ素樹脂製の攪拌羽根を上部からセットし、モーターにより攪拌羽根を回転させた。回転数はワニスの粘度により適時調節した。このフラスコにガラス製の漏斗を用いてポリビニルホルマール樹脂(PVF−C1)を10g投入した。漏斗に付着したPVF−C1を20gのNMPで洗い流した後、漏斗を取り外し、ガラス栓をした。得られた溶液を80℃に設定したウォーターバスで4時間攪拌しながら加熱し、PVF−C1をNMPに完全に溶解させた。攪拌後のフラスコをウォーターバスから取り出し、室温に戻した後、無機フィラーとして酸化亜鉛粉を乾燥した漏斗を用いて42.8g投入し、一夜攪拌することで、ワニスを得た。
【0157】
得られたワニスを、アルミニウム箔(厚み50μm)上にキャストし、得られた塗膜を130℃で30分間乾燥させて、溶剤を除去することで、アルミニウム箔付フィルム状の樹脂組成物(測定用サンプル)を作成した。
【0158】
[実施例2〜15]
樹脂の種類、無機フィラーの種類、無機フィラーの添加量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてワニスおよび測定用サンプルを調製した。
【0159】
[比較例1]
無機フィラーを添加しない以外は実施例1と同様にしてワニスおよび測定用サンプルを調製した。
【0160】
[比較例2]
無機フィラーを添加せず、樹脂としてPVF−C2を用いた以外は実施例1と同様にして、ワニスおよび測定用サンプルを調製した。
【0161】
[比較例3〜4]
樹脂としてPVF−LまたはPVBを用いた以外は比較例2と同様にして、ワニスおよび測定用サンプルを調製した。
【0162】
[比較例5〜6]
樹脂としてPMMAまたはPVAを用い、フィラーとして酸化アルミニウム粉を用いた以外は実施例1と同様にして、ワニスおよび測定用サンプルを調製した。
【0163】
[比較例7]
三つ口フラスコにシクロペンタノン(45g)に入れ、フッ素樹脂製の攪拌羽根を上部からセットし、モーターにより攪拌羽根を回転させた。回転数はワニスの粘度により適時調節した。このフラスコにガラス製の漏斗を用いてPVB(2.273g)、クレゾールノボラックエポキシ樹脂(DIC社製、エピクロン N−660、エポキシ当量 202〜212;1.773g)、フェノールノボラック樹脂(DIC社製、フェノライト TD−2090、水酸基当量 105;0.941g)、およびトリフェニルホスフィン(0.014g)を投入した。得られた液(混合物Aとシクロペンタノンの混合物)を80℃に設定したウォーターバスで4時間攪拌しながら加熱し、固形分をシクロペンタノンに完全に溶解させて溶液を得た。
攪拌後のフラスコをウォーターバスから取り出し、室温に戻した。得られた溶液に、混合物Aの固形分濃度が10重量%となるようにシクロペンタノンを加え、得られた液(3.252g)に窒化ホウ素を(0.0167g)添加してさらに2時間攪拌しPVB100重量%に対して窒化ホウ素12重量%のワニスを調製した。
【0164】
次に、得られたワニスをアルミニウム箔(厚み50μm)上にキャストして得られた塗膜を80℃で30分間、続いて120℃で30分、さらに180℃で2時間乾燥させて、溶剤を除去することで、アルミニウム箔付フィルム状の樹脂組成物(測定用サンプル)を調製した。
【0165】
下記表2に実施例1〜15および比較例1〜7で調製した樹脂組成物の構成、熱拡散率および接着性の評価結果を示す。
【0166】
【表2】
【0167】
実施例で得られる樹脂組成物は、比較例1、2、3、4および7で得られた組成物よりも良好な熱拡散率(0.1mm
2/s以上)を有することがわかる。
【0168】
実施例10で得られた樹脂組成物は、汎用の酸化アルミニウムを用いても、熱拡散率は大となった。
従来の樹脂を使用した場合、無機フィラーの含有量が80体積%では、均一なキャスト成形すら難しいと考えられる。
このような実施例10で得られる樹脂組成物は、他の部材等で該樹脂組成物をコーティングして用いる、該組成物を圧着して用いるなどの用途で好適に用いられる。
【0169】
下記表3に実施例8、13、14で作成した測定用サンプルと該測定用サンプルの調製に使用したアルミニウム箔の実装放熱特性の測定結果を示す。
【0170】
【表3】
【0171】
実施例8、13、14とアルミ箔の実装放熱特性測定の結果、実施例8、13、14の測定用サンプルは、トランジスタの温度を未処理のアルミ箔に比較して10℃近く低下させた。
【0172】
下記表4に実施例4で作成した樹脂組成物および比較例5、6で作成した樹脂組成物のガラス転移点を示す。
【0173】
【表4】
【0174】
実施例4と比較例5および6の測定用サンプルのDSC測定の結果から、実施例4の測定用サンプルは比較例5および6の測定用サンプルに比較して高いガラス転移点を有し、物理的耐熱性が高いと言える。