(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記析出防止剤は、N−メチル−ピロリドン、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールおよびこれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
透明電極パターンが視認されることによって表示装置の表示性が低下するのは、透明電極の屈折率と基板の屈折率とが異なることに起因している。
【0029】
透明電極は、通常、無機の金属酸化物であるITO(酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide)からなる。ITOの屈折率は、1.8〜2.1程度である。一方、ガラス基板の屈折率は1.5程度であるので、ITOの屈折率とは大きく異なる。かかる屈折率の違いは、透明電極が形成された領域と、形成されていない領域との間に、光反射特性の違いを生じさせる。すなわち、干渉を伴う界面反射特性が、透明電極の形成された領域と、形成されない領域とで異なることにより、画面表示において電極パターンを目立たせる結果となる。
【0030】
そこで、本発明者は、電極パターンを目立たなくするべく鋭意検討を重ねた結果、基板上に配置された透明電極の上に、屈折率と膜厚とが所望の範囲内となるように制御された層を設けることが有効であることを見出した。このような層を設けることで、タッチパネルにおいて、意図しない電極パターンが視認される現象を抑えることができる。
【0031】
ところで、タッチパネルでは、上述したように、透明電極の上にアクリル層を設ける技術が知られている。このアクリル層は、透明電極を保護することを目的としており、屈折率特性については何ら考慮されていない。このため、アクリル層に電極パターンを目立たなくする効果は期待できない。また、アクリル層は、有機材料薄膜であるので硬度が低くITOとの密着性も弱いため機械的強度が十分でない。さらには、タッチパネルの額縁部の配線部分に絶縁膜を配してはならないため、パターニングが必要であるが、フレキソ印刷などの印刷技術を利用した膜形成が困難である。それ故、膜形成にあたっては、工程が複雑なフォトリソグラフィ技術の利用が必要になる。
【0032】
こうしたことから、上述の屈折率と膜厚とが所望の範囲内となるよう制御された層は、アクリル層に替わるものであることが好ましい。すなわち、透明電極を保護する機能、具体的には、機械的強度に優れ、指などによる多数回の押圧から透明電極を保護できることが望ましい。また、フレキソ印刷などの印刷技術を用いて、基板上に透明電極パターンを簡便に形成できることが好ましい。
【0033】
本発明者は、上記性能を満足する層の形成には、金属アルコキシドを金属塩の存在下で有機溶剤中で加水分解・縮合し、さらに析出防止剤を添加して得られるコーティング組成物を用いることが好適であることを見出した。このコーティング組成物を用いて形成される金属酸化物層を透明電極の上(すなわち、透明電極を覆って)に設けることにより、タッチパネルにおいて、透明電極を保護するとともに、電極パターンを目立たなくすることができる。
【0034】
以下では、まず、本実施の形態のタッチパネルについて説明する。次いで、このタッチパネルに適用される金属酸化物層と、この金属酸化物層の形成に用いられるコーティング組成物とについて述べる。
【0035】
<タッチパネル>
図1および
図2は、本実施の形態の第1の例であるタッチパネルの構成図であり、
図1は平面図、
図2は
図1のA1−A1’線に沿う断面図である。
【0036】
図1に示すように、タッチパネル1は、透明な基板2と、X方向の座標を検出するための第1の透明電極3と、Y方向の座標を検出するための第2の透明電極4とを有する。第1の透明電極3と第2の透明電極4は、基板2の同一面に設けられた同一層から形成される。
【0037】
基板2は、ガラス、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂などの透明材料を用いて構成される。特に、後述する金属酸化物層5、6の形成に好適な耐熱性と耐薬品性能を備えた材料を選択することが好ましい。基板2の厚みは、ガラスを用いた場合には、例えば0.1mm〜2mm程度であり、樹脂フィルムを用いた場合には、例えば10μm〜2000μm程度である。
【0038】
第1の透明電極3と第2の透明電極4は、タッチパネル1の操作面に相当する位置に形成されている。そして、第1の透明電極3は、X方向に沿った複数の領域に分離して設けられており、第2の透明電極4は、Y方向に沿った複数の領域に分離して設けられている。このような構造とすることで、タッチ位置検出の精度を高めることができる。
【0039】
図1において、第1の透明電極3と第2の透明電極4は、それぞれ複数のパッド部21を構成要素としており、各パッド部21は、それぞれが平面的に隔離され、且つ、各パッド部21間の隙間が少なくなるように配置される。すなわち、X軸方向に列をなすパッド部21と、Y軸方向に列をなすパッド部21とは、これらが互いに交差する領域が可能な限り小さくなるようにして、操作面の全体に配置される。パッド部21は、例えば、菱形、矩形および六角形などの多角形形状とすることができ、これらは、例えば、互い違いまたは直列状に配置される。また、分離(離間)した電極の本数も
図1の例に限られるものではなく、操作面の大きさと要求される検出位置の精度に応じて決定される。
【0040】
第1の透明電極3および第2の透明電極4は、少なくとも可視光に対する透過率が高く、導電性を有する透明電極材料を用いて形成される。このような導電性を有する透明電極材料としては、例えば、ITO(酸化インジウム錫、Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)またはZnO(酸化亜鉛)などが挙げられる。ITOを用いる場合には、十分な導電性を確保できるよう、厚さを10〜200nmとすることが好ましい。
【0041】
第1の透明電極3と第2の透明電極4は、例えば、次のようにして形成される。
【0042】
まず、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スプレー法、ディップ法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの中から、下地となる基板2の材質を考慮して選択した方法によって透明導電膜を成膜する。次に、上記透明導電膜をフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。あるいは、有機溶剤に上記材料からなる導電性フィラーなどを分散させた塗料を用い、印刷法によって所望のパターンを形成してもよい。
【0043】
透明電極の形成工程で重要となるのは、膜厚を精度良く制御できるかどうかである。したがって、形成にあたっては、特に、所望の膜厚とすることができるとともに、透明性に優れた低抵抗の膜を形成可能な方法を選択することが好ましい。
【0044】
図1および
図2に示すように、第1の透明電極3と第2の透明電極4とは、基板2の同一面上に形成されており、同一層をなしている。このため、第1の透明電極3と第2の透明電極4とは、複数の箇所で交差しており、交差部18を形成している。
【0045】
本実施の形態では、交差部において、第1の透明電極と第2の透明電極のいずれか一方が他方と接触しないよう分断されている。すなわち、
図2に示すように、複数の交差部18のいずれにおいても、第2の透明電極4は繋がっているが、第1の透明電極3は分断されている。そして、第1の透明電極3の分断箇所を接続させるために、架橋電極20が設けられており、架橋電極20と第2の透明電極4の間には、絶縁性物質からなる層間絶縁膜19が設けられている。以下、
図1および
図2を参照して、さらに詳述する。
【0046】
図2に示すように、交差部18における第2の透明電極4の上には、光透過性の層間絶縁膜19が形成されている。層間絶縁膜19には、SiO
2などの無機材料や、感光性アクリル樹脂などの有機材料を用いることができる。SiO
2を用いる場合、例えば、マスクを用いたスパッタリング法によって、交差部18における第2の透明電極4の上にのみSiO
2膜が形成された構造とすることができる。また、感光性アクリル樹脂を用いる場合にも、フォトリソグラフィ法を利用して、同様の構造を形成することができる。
【0047】
層間絶縁膜19の上層には、架橋電極20が設けられている。架橋電極20は、交差部18で分断されている第1の透明電極3同士を電気的に接続するものであり、光透過性の材料によって形成されている。架橋電極20を設けることで、第1の透明電極3をY方向に電気的に接続することができる。
【0048】
図1に示すように、第1の透明電極3と第2の透明電極4は、菱形のパッド部21を縦または横に複数並べた形状をしている。第2の透明電極4において、交差部18に位置する接続部分は、第2の透明電極4の菱形のパッド部21より幅の狭い形状になっている。また、架橋電極20も、菱形のパッド部21より幅の狭い形状で短冊状に形成されている。
【0049】
図1および
図2に示すように、本実施の形態のタッチパネル1においては、第1の透明電極3と第2の透明電極4の上に(すなわち、第1の透明電極3と第2の透明電極4を覆って)金属酸化物層5が形成されている。そして、タッチパネル1の操作面に相当する部分における透明電極の形成領域と非形成領域とを被覆している。金属酸化物層5は硬度が高く、第1の透明電極3および第2の透明電極4との密着性に優れる。
【0050】
金属酸化物層5の形成には、金属アルコキシドを金属塩(例えば、アルミニウム塩)の存在下に有機溶媒中で加水分解・縮合し、さらに析出防止剤を添加して得られるコーティング組成物が用いられる。このコーティング組成物の詳細については、後に説明する。
【0051】
タッチパネル1においては、本明細書の実施例欄で述べる検討結果に基づき、第1の透明電極3と第2の透明電極4の各電極パターンが見立たないように、金属酸化物層5の屈折率と膜厚が選択される。具体的には、金属酸化物層5の屈折率は1.50〜1.70の範囲内が好ましく、より好ましくは1.54〜1.68の範囲内である。膜厚は40nm〜170nmの範囲内であることが好ましい。そして、金属酸化物層5の屈折率が1.54以上で1.60より小さい場合、膜厚は60nm〜150nmの範囲内であることがさらに好ましい。また、金属酸化物層5の屈折率が1.60以上で1.68以下の範囲内である場合、膜厚は40nm〜170nmの範囲内であることがさらに好ましい。なお、金属酸化物層5は、第1の透明電極3と第2の透明電極4とが導通しないように、絶縁性であり、さらに可視光透明性の高い金属酸化物層から選ばれる。
タッチパネル1においては、例えば、金属酸化物層5は、シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドとを含むコーティング組成物から形成されたものであり、屈折率は1.60、膜厚は80nmである。
【0052】
図2に示すように、タッチパネル1は、第1の透明電極3などが形成された面と、ディスプレイパネル10の視認側の最上位層とを、アクリル系光硬化性樹脂などを用いた接着層9を介して重ね合わせることで、1つの表示装置とすることができる。ここで、接着層9は、金属酸化物層5の上に設けられる。
【0053】
上記の表示装置は、タッチパネル1と、ディスプレイパネル10とを有し、必要に応じてバックライトを有することができる。
図2では詳細を省略しているが、ディスプレイパネル10は、公知の表示装置と同様の構成とすることができる。例えば、液晶表示装置の場合、ディスプレイパネル10は、2枚の透明基板の間に液晶層が挟持された構造とすることができる。各透明基板の液晶層に接する側とは反対の側には、それぞれ偏光板を設けることができる。また、各透明基板には、液晶の状態を制御するためにセグメント電極やコモン電極を形成することができる。そして、液晶層は、各透明基板とシール材とによって封止される。
【0054】
図1に示すように、タッチパネル1において、第1の透明電極3と第2の透明電極4の端部には、それぞれ端子(図示されない)が設けられており、その端子から複数の引き出し配線11が引き出される。引き出し配線11は、銀、アルミニウム、クロム、銅、モリブデンのほか、Mo-Nb(モリブデン-ニオブ)合金など、これら金属を含む合金などを使用した不透明な金属配線とすることができる。引き出し配線11は、第1の透明電極3と第2の透明電極4への電圧印加や、タッチ位置を検出する制御回路(図示されない)に接続される。
【0055】
以上の構成を有するタッチパネル1では、複数の第1の透明電極3および第2の透明電極4に順次電圧を印加して電荷を与える。操作面のいずれかの箇所に導電体である指が触れると、指先と、第1の透明電極3および第2の透明電極4との間の静電容量結合によってコンデンサが形成される。したがって、指先の接触位置における電荷の変化を捉えることで、いずれの箇所に指が触れたのかを検出することができる。
【0056】
また、タッチパネル1は、制御回路(図示されない)の制御により、第1の透明電極3と第2の透明電極4のいずれか一方に選択的に電圧を印加することもできる。この場合、電圧が印加された透明電極上には電界が形成され、この状態で指などが触れると、接触位置は人の体の静電容量を介して接地されることになる。その結果、対象となる第1の透明電極3または第2の透明電極4の端子(図示されない)と接触位置との間に抵抗値の変化が生じる。この抵抗値は、接触位置と、対象となる第1の透明電極3または第2の透明電極4の端子との距離に比例するため、接触位置と、対象となる第1の透明電極3または第2の透明電極4の端子との間に流れる電流値を制御回路が検出することで、接触位置の座標を求めることができる。
【0057】
本実施の形態のタッチパネル1では、第1および第2の透明電極3、4上に設けられた金属酸化物層5の効果により、操作面において電極パターンが目立つことが抑制されている。
【0058】
次に、本実施の形態のタッチパネル1の製造方法について説明する。
【0059】
図3(a)〜(d)は、本実施の形態の第1の例であるタッチパネルの製造方法を示す工程断面図である。
【0060】
まず、ガラス基板などの透明な基板2を準備する。基板2は、必要に応じて所望の形状にカットし、洗浄する。また、基板2と透明導電膜の間にSiOx、SiNx、SiONなどの中間層が形成される場合もある。次いで、基板2の一面に透明導電膜を形成する。透明導電膜は、例えばITOであり、スパッタ法や真空蒸着法などを用いて10〜200nmの厚さで成膜する。次いで、透明導電膜の上層側に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態で、透明導電膜をエッチングし、第1の透明電極3および第2の透明電極4をパターニング形成する。エッチングマスクを除することにより、
図3(a)に示すような透明導電膜基板14が得られる。
【0061】
ここで、透明導電膜基板14の交差部18において、第2の透明電極4は接続部分を介して繋がっているが、第1の透明電極3は分断されている。
【0062】
次に、第1の透明電極3および第2の透明電極4が設けられている側に、感光性の樹脂を塗布した後に露光現像することによって、第2の透明電極4の接続部分に層間絶縁膜19を形成する(
図3(b))。層間絶縁膜19を形成するための感光性樹脂としては、透明性と耐熱性を有するものが用いられる。例えば、アクリル樹脂などが使用可能である。尚、SiO
2を用いて層間絶縁膜19を形成する場合には、マスクを用いたスパッタリング法によって、同様の構造とすることができる。
【0063】
次に、層間絶縁膜19の上に透明導電膜を形成した後、この透明導電膜の表面に感光性樹脂からなるエッチングマスクを形成した状態で、透明導電膜をエッチングする。その後、エッチングマスクを除去し、層間絶縁膜19の上層に、第1の透明電極3の分断部分を繋ぐように架橋電極20を形成する。これにより、
図3(c)に示す構造が得られる。層間絶縁膜19の上に形成される透明導電膜としては、例えばITO膜が挙げられ、その場合、架橋電極20もITOにより形成することが好ましい。
【0064】
尚、前述した引き出し配線11については、後の工程で銀インクなどを使用して形成される。しかし、上記工程で透明導電膜をエッチングする際に、第1の透明電極3および第2の透明電極4の外周縁の各々に沿うように透明導電膜を残し、引き出し配線11を形成することも可能である。
【0065】
次に、第1の透明電極3、第2の透明電極4および架橋電極20の上に、金属酸化物層形成用のコーティング組成物をフレキソ印刷により塗布する。ここで、コーティング組成物は、金属アルコキシドを金属塩(例えば、アルミニウム塩)の存在下に有機溶媒中で加水分解・縮合し、さらに析出防止剤を添加して得られるものである。次いで、コーティング組成物の塗膜が形成された基板2を40〜150℃(例えば、60℃)の、例えばホットプレート上で乾燥する。その後、100〜300℃(例えば、200℃)の、例えばオーブン内で加熱して、第1の透明電極3、第2の透明電極4および架橋電極20の上に金属酸化物層5を形成する。これにより、
図3(d)に示すタッチパネル基板30が得られる。尚、基板2上の塗膜を、例えばホットプレート上で乾燥した後、この塗膜に紫外線を照射してから、オーブン内で加熱してもよい。
【0066】
次いで、第1の透明電極3と第2の透明電極4の端部の端子(図示されない)から銀インクなどで引き出し配線11を形成してタッチパネル1とする。タッチパネル1は、引き出し配線11を介して、タッチパネルの制御回路(図示されない)に接続される。
【0067】
完成したタッチパネル1は、アクリル系透明接着剤などの接着層9を介して、ディスプレイパネル10の前面に取り付けられる。このとき、必要に応じて、基板2やディスプレイパネル10の角にアライメントマークを設けて位置合わせを行う。
【0068】
ディスプレイパネル10に取り付けられたタッチパネル1では、金属酸化物層5が設けられていることにより、第1の透明電極3および第2の透明電極4の電極パターンがタッチパネル1の操作面上で視認され難い状態となる。
【0069】
次に、本実施の形態の別の例であるタッチパネル101について説明する。
【0070】
図4および
図5は、本実施の形態の第2の例であるタッチパネルを示し、
図4は平面図、
図5は
図4のB1−B1’線に沿う断面図である。
【0071】
図4に示すように、タッチパネル101は、透明な基板102と、基板102の一面に形成されたX方向の座標を検出するための第1の透明電極103と、基板102の他面に形成されたY方向の座標を検出するための第2の透明電極104とを有する。尚、下記説明においては、基板102の一方の面が上方、基板102の他方の面が下方になる。そして、この場合、基板102の他方の面がディスプレイパネル110に装着される側の面となる。
【0072】
基板102は誘電体基板である。基板102の材料としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂などの透明材料が使用される。特に、後述する金属酸化物層105、106の形成に好適な耐熱性と耐薬品性能を備えた材料を選択することが好ましい。基板102の厚みは、ガラスであれば約0.1mm〜2mmとすることができ、樹脂フィルムであれば10μm〜2000μmとすることができる。
【0073】
図4に示すように、第1の透明電極103と第2の透明電極104は、それぞれ細長い長方形の電極からなる。第1の透明電極103はX方向に伸び、第2の透明電極104はY方向に伸び、それぞれストライプ状に一定間隔で配設されている。また、第1の透明電極103と第2の透明電極104は、互いに直交するように配設されており、全体として格子状となっている。
【0074】
第1の透明電極103および第2の透明電極104は、少なくとも可視光に対する透過率が高く、導電性を有する透明電極材料を用いて形成される。このような導電性を有する透明電極材料としては、例えば、ITOまたはZnOなどを用いることができる。ITOを用いる場合には、十分な導電性を確保できるよう、厚さを5〜100nmとすることが好ましい。
【0075】
第1の透明電極103と第2の透明電極104は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スプレー法、ディップ法またはCVD法などから、下地となる透明な基板102を考慮して最適な方法を選択して形成される。
【0076】
例えば、面状に形成した透明電極をフォトリソグラフィ技術を利用してエッチング法でパターニングする方法、あるいは、有機溶剤に上記材料からなる導電性フィラーなどを分散した塗料を用い、印刷法により直接、所望のパターンに形成する方法などがある。透明電極の形成工程で重要となるのは、膜厚を精度良く制御できるかどうかである。したがって、形成にあたっては、特に、所望の膜厚とすることができるとともに、透明性に優れた低抵抗の膜を形成可能な方法を選択することが好ましい。
【0077】
図4および
図5に示すように、第1の透明電極103の上には、金属酸化物層105が形成されている。金属酸化物層105は、タッチパネル101の操作面に相当する部分の第1の透明電極の形成領域と非形成の領域を被覆している。また、
図5に示すように、第2の透明電極104上(図では下側になる)にも金属酸化物層106が形成されている。金属酸化物層106は、タッチパネル101の操作面に相当する部分の透明電極の形成領域と非形成の領域を被覆している。金属酸化物層105、106は、硬度が高く、第1の透明電極103および第2の透明電極104との密着性に優れる。
【0078】
金属酸化物層105、106の形成には、金属アルコキシドを金属塩(例えば、アルミニウム塩)の存在下に有機溶媒中で加水分解・縮合し、さらに析出防止剤を添加して得られるコーティング組成物が用いられる。このコーティング組成物の詳細については後に説明する。
【0079】
タッチパネル101においては、本明細書の実施例欄で述べる検討結果に基づき、第1の透明電極103と第2の透明電極104の各電極パターンが見立たないように、金属酸化物層105、106の屈折率と膜厚が選択される。具体的には、金属酸化物層105、106の屈折率はそれぞれ1.50〜1.70の範囲内が好ましく、より好ましくは1.54〜1.68の範囲内である。膜厚はそれぞれ40nm〜170nmの範囲内であることが好ましい。そして、金属酸化物層105、106の屈折率が1.54以上で1.60より小さい場合、膜厚は60nm〜150nmの範囲内であることがさらに好ましい。また、金属酸化物層105、106の屈折率が1.60以上で1.68以下の範囲内である場合、膜厚は40nm〜170nmの範囲内であることがさらに好ましい。
なお、この場合においても、金属酸化物層105および106は、第1の透明電極103と、また第2の透明電極104とそれぞれ導通しないように、絶縁性であり、さらに可視光透明性の高い金属酸化物層から選ばれる。
【0080】
タッチパネル101においては、例えば、第1の透明電極103および第2の透明電極104は、それぞれ膜厚が10〜200nmのITO膜が好ましい。このタッチパネル101においては、例えば、第1の透明電極103および第2の透明電極104は、それぞれ膜厚28nmのITO膜からなり、金属酸化物層105、106は、それぞれ、シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドとを用いて調製されたコーティング組成物から形成されたものであり、屈折率は1.6、膜厚は80nmである。
【0081】
図5に示すように、基板102の一方の面には、アクリル系の透明接着剤からなる接着層108が設けられている。また、接着層108の上には、透明な樹脂から構成されたカバーフィルム107が接着されている。尚、
図4では、カバーフィルム107を省略している。
【0082】
カバーフィルム107は、第1の透明電極103および金属酸化物層105の保護膜として機能する。尚、カバーフィルム107の代わりに、透明樹脂をコーティングしても良い。この場合は、接着層108を不要とすることができる。
【0083】
基板102の他方の面には、アクリル系の透明接着剤からなる接着層109を介して、ディスプレイパネル110が取り付けられている。
【0084】
図5では詳細を省略しているが、ディスプレイパネル110は、公知の表示装置と同様の構成とすることができる。例えば、液晶表示装置の場合、ディスプレイパネル110は、2枚の透明基板の間に液晶層が挟持された構造とすることができる。各透明基板の液晶層に接する側とは反対の側には、それぞれ偏光板を設けることができる。また、各透明基板には、液晶の状態を制御するためにセグメント電極やコモン電極を形成することができる。そして、液晶層は、各透明基板とシール材とによって封止される。
【0085】
タッチパネル101においては、第1の透明電極103と第2の透明電極104の端部には、それぞれ端子(図示されない)が設けられており、その端子から複数の引き出し配線(図示されない)が引き出される。引き出し配線は、銀、アルミニウム、クロム、銅またはこれらを含む合金などを使用した不透明な金属配線とすることができる。引き出し配線は、第1の透明電極103と第2の透明電極104への電圧印加や、タッチ位置を検出する制御回路(図示されない)に接続される。
【0086】
以上の構成を有するタッチパネル101では、操作面のいずれかの箇所に導電体である指が触れると、指先と、第1の透明電極103および第2の透明電極104との間の静電容量結合によってコンデンサが形成される。したがって、指先の接触位置における電荷の変化を捉えることで、いずれの箇所に指が触れたかを検出することができる。
【0087】
タッチパネル101では、第1の透明電極103と第2の透明電極104の上に設けられた金属酸化物層105、106の効果により、操作面において電極パターンが目立つことが抑制されている。
【0088】
図6は、本実施の形態の第3の例であるタッチパネルの概略構成を示す断面図である。
【0089】
図6に示すように、タッチパネル201においては、ディスプレイパネル210を第1の基板とみなして、ディスプレイ210の表面に第1の透明電極203が設けられている。また、別に準備した第2の基板212の一方の面には、第2の透明電極204が設けられている。尚、以下の説明では、第2の基板212の一方の面が上方、他方の面が下方になる。そして、第2の基板212の他方の面がディスプレイパネル210に装着される側となる。
【0090】
図6では詳細を省略しているが、ディスプレイパネル210は、公知の表示装置と同様の構成とすることができる。例えば、液晶表示装置の場合、ディスプレイパネル210は、2枚の透明基板の間に液晶層が挟持された構造とすることができる。各透明基板の液晶層に接する側とは反対の側には、それぞれ偏光板を設けることができる。また、各透明基板には、液晶の状態を制御するためにセグメント電極やコモン電極を形成することができる。そして、液晶層は、各透明基板とシール材とによって封止される。
【0091】
第1の透明電極203の上には、金属酸化物層205が設けられている。金属酸化物層205は、タッチパネル201の操作面に相当する部分の透明電極の形成領域と非形成領域を被覆する。同様に、第2の透明電極204の上にも、金属酸化物層206が形成されている。金属酸化物層206は、タッチパネル201の操作面に相当する部分の透明電極の形成領域と非形成領域を被覆する。金属酸化物層205、206は、硬度が高く、第1の透明電極203および第2の透明電極204との密着性に優れる。
【0092】
金属酸化物層205、206の形成には、金属アルコキシドを金属塩(例えば、アルミニウム塩)の存在下に有機溶媒中で加水分解・縮合し、さらに析出防止剤を添加して得られるコーティング組成物が用いられる。このコーティング組成物の詳細については後に説明する。
【0093】
タッチパネル201においては、本明細書の実施例欄で述べる検討結果に基づき、第1の透明電極203と第2の透明電極204の各電極パターンが見立たないように、金属酸化物層205、206の屈折率と膜厚が選択される。具体的には、金属酸化物層205、206の屈折率はそれぞれ1.50〜1.70の範囲内が好ましく、より好ましくは1.54〜1.68の範囲内である。膜厚はそれぞれ40nm〜170nmの範囲内であることが好ましい。そして、金属酸化物層205、206の屈折率が1.54以上で1.60より小さい場合、膜厚は60nm〜150nmの範囲内であることがさらに好ましい。また、金属酸化物層205、206の屈折率が1.60以上で1.68以下の範囲内である場合、膜厚は40nm〜170nmの範囲内であることがさらに好ましい。なお、この場合においても、金属酸化物層205および206は、第1の透明電極203と、また第2の透明電極204のそれぞれと導通しないように、絶縁性であり、さらに可視光透明性の高い金属酸化物層から選ばれる。
【0094】
タッチパネル201においては、例えば、第1の透明電極203および第2の透明電極204は、それぞれ膜厚が10〜200nmのITO膜が好ましい。このタッチパネル201においては、例えば、第1の透明電極203および第2の透明電極204は、それぞれ膜厚28nmのITO膜からなり、金属酸化物層205、206は、それぞれ、シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドとを含むコーティング組成物から形成されたものであり、屈折率は1.6、膜厚は80nmである。
【0095】
図6に示すように、第2の基板212の一方の面には、アクリル系の透明接着剤からなる接着層208が設けられている。また、接着層208の上には、透明な樹脂から構成されたカバーフィルム207が接着されている。カバーフィルム207は、保護膜として機能する。カバーフィルム207の代わりに、透明樹脂をコーティングしても良い。この場合は、接着層208を不要とすることができる。尚、第1の透明電極203および第2の透明電極204などは、
図4および
図5で説明したのと同様である。
【0096】
タッチパネル201では、第1の透明電極203と第2の透明電極204の上に設けられた金属酸化物層205、206の効果により、操作面において電極パターンが目立つことが抑制されている。
【0097】
図7は、本実施の形態の第4の例であるタッチパネルの概略構成を示す断面図である。
【0098】
図7に示すように、タッチパネル301においては、ディスプレイパネル310を第1の基板とみなして、ディスプレイ310の表面に第1の透明電極303が設けられている。また、別に準備した第2の基板312の一方の面には、第2の透明電極304が設けられている。尚、以下の説明では、第2の基板312の一方の面が下方、他方の面が上方になる。そして、第2の基板312の他方の面がタッチパネル301をタッチ操作する面となる。
【0099】
図7では詳細を省略しているが、ディスプレイパネル310は、公知の表示装置と同様の構成とすることができる。例えば、液晶表示装置の場合、ディスプレイパネル310は、2枚の透明基板の間に液晶層が挟持された構造とすることができる。各透明基板の液晶層に接する側とは反対の側には、それぞれ偏光板を設けることができる。また、各透明基板には、液晶の状態を制御するためにセグメント電極やコモン電極を形成することができる。そして、液晶層は、各透明基板とシール材とによって封止される。
【0100】
第1の透明電極303の上には、金属酸化物層305が設けられている。金属酸化物層305は、タッチパネル201の操作面に相当する部分の透明電極の形成領域と非形成領域を被覆する。同様に、第2の透明電極304の上(
図7では下方側に図示される)にも、金属酸化物層306が形成されている。金属酸化物層306は、タッチパネル301の操作面に相当する部分の透明電極の形成領域と非形成領域を被覆する。金属酸化物層305、306は、硬度が高く、第1の透明電極303および第2の透明電極304との密着性に優れる。
【0101】
金属酸化物層305、306の形成には、金属アルコキシドを金属塩(例えば、アルミニウム塩)の存在下に有機溶媒中で加水分解・縮合し、さらに析出防止剤を添加して得られるコーティング組成物が用いられる。このコーティング組成物の詳細については後に説明する。
金属酸化物層305と金属酸化物層306との間には、アクリル系の透明接着剤からなる接着層308が設けられている。この接着層308により、第2の基板312はディスプレイパネル310に取り付けられる。
【0102】
タッチパネル301においては、本明細書の実施例欄で述べる検討結果に基づき、第1の透明電極303と第2の透明電極304の各電極パターンが見立たないように、金属酸化物層305、306の屈折率と膜厚が選択される。具体的には、金属酸化物層305、306の屈折率はそれぞれ1.50〜1.70の範囲内が好ましく、より好ましくは1.54〜1.68の範囲内である。膜厚はそれぞれ40nm〜170nmの範囲内であることが好ましい。そして、金属酸化物層305、306の屈折率が1.54以上で1.60より小さい場合、膜厚は60nm〜150nmの範囲内であることがさらに好ましい。また、金属酸化物層305、306の屈折率が1.60以上で1.68以下の範囲内である場合、膜厚は40nm〜170nmの範囲内であることがさらに好ましい。なお、この場合においても、金属酸化物層305および306は、第1の透明電極303と、また第2の透明電極304のそれぞれと導通しないように、絶縁性であり、さらに可視光透明性の高い金属酸化物層から選ばれる。
【0103】
タッチパネル301においては、例えば、第1の透明電極303および第2の透明電極304は、それぞれ膜厚が10〜200nmのITO膜が好ましい。このタッチパネル301においては、例えば、第1の透明電極303および第2の透明電極304は、それぞれ膜厚28nmのITO膜からなり、金属酸化物層305、306は、それぞれ、シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドとを含むコーティング組成物から形成されたものであり、屈折率は1.6、膜厚は80nmである。
【0104】
タッチパネル301では、第1の透明電極303と第2の透明電極304の上に設けられた金属酸化物層305、306の効果により、操作面において電極パターンが目立つことが抑制されている。
【0105】
図8は、本実施の形態の第5の例であるタッチパネルの概略構成を示す断面図である。
【0106】
図8に示すように、タッチパネル401は、透明な基板402を有する。基板402の上層には2つの異なる方向の位置をそれぞれ検出するための第1の透明電極403と第2の透明電極404とが設けられている。
第1の透明電極403および第2の透明電極404は、少なくとも可視光に対する透過率が高く、導電性を有する透明電極材料を用いて形成される。このような導電性を有する透明電極材料としては、例えば、ITOまたはZnOなどを用いることができる。ITOを用いる場合には、十分な導電性を確保できるよう、厚さを5〜100nmとすることが好ましい。
【0107】
第1の透明電極403と第2の透明電極404は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スプレー法、ディップ法またはCVD法などから、下地となる透明な基板102や後述するオーバーコート層407を考慮して最適な方法を選択して形成される。
【0108】
例えば、面状に形成した透明電極をフォトリソグラフィ技術を利用してエッチング法でパターニングする方法、あるいは、有機溶剤に上記材料からなる導電性フィラーなどを分散した塗料を用い、印刷法により直接、所望のパターンに形成する方法などがある。透明電極の形成工程で重要となるのは、膜厚を精度良く制御できるかどうかである。したがって、形成にあたっては、特に、所望の膜厚とすることができるとともに、透明性に優れた低抵抗の膜を形成可能な方法を選択することが好ましい。
【0109】
図8に示すように、第1の透明電極403は基板402の上に配置される。そして、第1の透明電極403の上には、金属酸化物層405が形成されている。金属酸化物層405は、タッチパネル401の操作面に相当する部分の第1の透明電極403の形成領域と非形成の領域を被覆している。
【0110】
金属酸化物層405の上には、オーバーコート層407が設けられている。オーバーコート層407には、透明性の高いアクリル樹脂が用いられる。
【0111】
図8に示すように、第2の透明電極404はオーバーコート層407の上に配置される。第2の透明電極404の上には金属酸化物層406が形成されている。金属酸化物層406は、タッチパネル401の操作面に相当する部分の透明電極の形成領域と非形成の領域を被覆している。金属酸化物層405、406は、硬度が高く、第1の透明電極403および第2の透明電極404との密着性に優れる。
【0112】
金属酸化物層405、406の形成には、金属アルコキシドを金属塩(例えば、アルミニウム塩)の存在下に有機溶媒中で加水分解・縮合し、さらに析出防止剤を添加して得られるコーティング組成物が用いられる。このコーティング組成物の詳細については後に説明する。
【0113】
タッチパネル401においては、本明細書の実施例欄で述べる検討結果に基づき、第1の透明電極403と第2の透明電極404の各電極パターンが見立たないように、金属酸化物層405、406の屈折率と膜厚が選択される。具体的には、金属酸化物層405、406の屈折率はそれぞれ1.50〜1.70の範囲内が好ましく、より好ましくは1.54〜1.68の範囲内である。膜厚はそれぞれ40nm〜170nmの範囲内であることが好ましい。そして、金属酸化物層405、406の屈折率が1.54以上で1.60より小さい場合、膜厚は60nm〜150nmの範囲内であることがさらに好ましい。また、金属酸化物層405、406の屈折率が1.60以上で1.68以下の範囲内である場合、膜厚は40nm〜170nmの範囲内であることがさらに好ましい。なお、この場合においても、金属酸化物層305および306は、第1の透明電極303と、また第2の透明電極304のそれぞれと導通しないように、絶縁性であり、さらに可視光透明性の高い金属酸化物層から選ばれる。
【0114】
タッチパネル401においては、例えば、第1の透明電極403および第2の透明電極404は、それぞれ膜厚が10〜200nmのITO膜が好ましい。このタッチパネル301においては、例えば、第1の透明電極303および第2の透明電極304は、それぞれ膜厚28nmのITO膜からなり、金属酸化物層405、406は、それぞれ、シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドとを含むコーティング組成物から形成されたものであり、屈折率は1.60、膜厚は80nmである。
【0115】
図8に示すように、金属酸化物層406の上には、アクリル系の透明接着剤からなる接着層408が設けられている。タッチパネル401は、この接着層408を介して、ディスプレイパネル110が取り付けられている。
【0116】
以上の構成を有するタッチパネル401では、操作面のいずれかの箇所に導電体である指が触れると、指先と、第1の透明電極403および第2の透明電極404との間の静電容量結合によってコンデンサが形成される。したがって、指先の接触位置における電荷の変化を捉えることで、いずれの箇所に指が触れたかを検出することができる。
【0117】
タッチパネル401では、第1の透明電極403と第2の透明電極404の上に設けられた金属酸化物層405、406の効果により、操作面において電極パターンが目立つことが抑制されている。
【0118】
以上、本実施の形態のタッチパネルについて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。ITOなどの透明電極を用いる多様なタイプのタッチパネルに対し、その透明電極上に、屈折率と膜厚が好適となるように選択された金属酸化物の層を設けることで、上記と同様の効果が得られる。
【0119】
次に、金属酸化物層を形成するためのコーティング組成物について説明する。
【0120】
<コーティング組成物>
金属酸化物層を形成するのに使用されるコーティング組成物は、金属アルコキシドを金属塩の存在下に有機溶媒中で加水分解・縮合し、さらに析出防止剤を添加して得られる組成物である。
【0121】
コーティング組成物に用いられる金属アルコキシドとしては、珪素(Si)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、錫(Sn)および亜鉛(Zn)などの金属のアルコキシドが挙げられる。この内、入手の容易性と、コーティング組成物の貯蔵安定性の点から、シリコンアルコキシド、シリコンアルコキシドの部分縮合物、およびチタンアルコキシドから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0122】
コーティング組成物は、上述のように、これらの金属アルコキシドを金属塩の存在下に有機溶媒中で加水分解・縮合して得られる組成物である。このコーティング組成物は、析出防止剤を含む。析出防止剤は、塗布被膜を形成した際、塗膜中に金属塩が析出するのを防止する効果を有する。
【0123】
コーティング組成物中にチタンアルコキシド成分を含む場合には、有機溶媒中にチタンアルコキシド成分を安定化させる効果を有するアルキレングリコール類またはそのモノエーテルを含むことが望ましい。
【0124】
チタンアルコキシド成分を含むコーティング組成物を製造する場合、チタンアルコキシドを安定化してコーティング組成物の貯蔵安定性をよくするため、チタンアルコキシドとアルキレングリコール類またはそのモノエーテルを混合安定化後、チタンアルコキシド単独またはシリコンアルコキシドと混合し、金属塩の存在下で加水分解・縮合する。
【0125】
コーティング組成物中に、チタンアルコキシドとシリコンアルコキシド両成分を含む場合には、シリコンアルコキシドを金属塩の存在下で加水分解した後、前もってグリコール類またはそのモノエーテル類を混合安定化したチタンアルコキシドを混合することが好ましい。
【0126】
コーティング組成物に用いられる金属アルコキシドは、一般式(I)で示される。
M(OR)
n ……(I)
(式中、Mは金属を表し、RはC1〜C5のアルキル基を表し、nはMの価数を表す。)
【0127】
特に、シリコンアルコキシドまたはその部分縮合物には、一般式(III)で示される化合物の1種若しくは2種以上及び部分縮合物(5量体以下)から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
Si(OR’)
4 ……(III)
(式中、R’はC1〜C5のアルキル基を表す。)
【0128】
また、チタンアルコキシドまたはその部分縮合物には、一般式(IV)で示される化合物の1種または2種以上及び部分縮合物(5量体以下)から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
Ti(OR”)
4 ……(IV)
(式中、R”はC1〜C5のアルキル基を表す。)
【0129】
コーティング組成物に用いられる金属塩は、一般式(II)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
M
2(X)
m ……(II)
(式中、M
2は金属を、Xは塩素、硝酸、硫酸、酢酸、蓚酸、スファミン酸、スルホン酸、アセト酢酸、アセチルアセトナートまたはこれらの塩基性塩を、mはM
2の価数を表す。)
特に好ましい上記コーティング組成物に用いられる金属塩は、下記(II−1)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種および下記(II−1)中で用いられる金属の蓚酸塩を含むものが挙げられる。
M
2(X)
m ……(II−1)
(式中、M
2は金属を、Xは塩素、硝酸、硫酸、酢酸、スファミン酸、スルホン酸、アセト酢酸、アセチルアセトナートまたはこれらの塩基性塩を、mはM
2の価数を表す。)
上記一般式(II)で示される金属塩の金属M
2としては、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、ランタン(La)、タンタル(Ta)、イットリウム(Y)およびセリウム(Ce)よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記で示される化合物のうち、特に、金属硝酸塩、金属塩化物塩、金属蓚酸塩およびその塩基性塩が好ましい。この内、入手の容易性と、コーティング組成物の貯蔵安定性の点から、アルミニウム、インジウム、セリウムなどの金属硝酸塩が好ましい。
【0130】
コーティング組成物に用いられる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノールおよびt−ブタノールなどのアルコール類;酢酸エチルエステルなどのエステル類;エチレングリコールなどのグリコール類およびそのエステル誘導体;ジエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類;または、ベンゼンおよびトルエンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられ、これらは単独または組み合わせて用いられる。
【0131】
コーティング組成物中に、チタンアルコシド成分を含む場合、有機溶媒中に含まれるアルキレングリコール類またはそのモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールおよびそれらのモノメチル、モノエチル、モノプロピル、モノブチルまたはモノフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0132】
コーティング組成物に用いられる有機溶媒に含まれるグリコール類またはそのモノエーテルは、チタンアルコキシドに対してモル比が1未満であると、チタンアルコキシドの安定性に効果が少なく、コーティング用組成物の貯蔵安定性が悪くなる。一方、グリコール類またはそのモノエーテルを多量に用いることは何ら問題でない。例えば、コーティング組成物に用いられる有機溶媒の全てが、上述のグリコール類またはそのモノエーテルであっても差支えない。しかしながら、コーティング組成物がチタンアルコキシドを含まない場合には、上述したグリコールおよび/またはそのモノエーテルを特に含む必要はない。
【0133】
コーティング組成物に含まれる析出防止剤は、塗布被膜を形成する際に、塗膜中に金属塩が析出するのを防止する。析出防止剤としては、N−メチル−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールおよびこれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、これらを少なくとも1種以上使用することができる。
【0134】
析出防止剤は、金属塩の金属を金属酸化物に換算して、(析出防止剤)/(金属酸化物)≧1(重量比)の比率で用いられる。重量比が1未満であると、塗布被膜を形成時における金属塩の析出防止効果が小さくなる。一方、析出防止剤を多量に用いることは、コーティング組成物に何ら影響を与えない。
【0135】
析出防止剤は、金属アルコキシド、特に、シリコンアルコキシド、チタンアルコキシド、または、シリコンアルコキシドおよびチタンアルコキシドが、金属塩の存在下で加水分解・縮合反応する際に添加されていても良く、加水分解・縮合反応の終了後に添加されていても良い。
【0136】
コーティング組成物に含まれる金属アルコキシドの金属原子(M
1)と金属塩の金属原子(M
2)の含有比率は、モル比換算で、0.01≦M
2/(M
1+M
2)≦0.7の関係を満たすことが好ましい。この値が0.01より小さいと、得られる被膜の機械的強度が充分でないため好ましくない。一方、0.7を越えると、ガラス基板や透明電極などの基材に対する金属酸化物層の密着性が低下する。さらに、450℃以下の低温で焼成した場合、得られる金属酸化物層の耐薬品性が低下する傾向にもある。なお、コーティング組成物に含まれる金属アルコキシドの金属原子が複数種の場合、上記金属原子(M
1)は、複数種の金属原子の合計を意味し、またコーティング組成物に含まれる金属塩の金属原子が複数種の場合、上記金属原子(M
2)は、複数種の金属原子の合計を意味する。
【0137】
コーティング組成物中の固形分濃度については、金属アルコキシドと金属塩を金属酸化物として換算した場合、固形分としては0.5〜20wt%の範囲であることが好ましい。固形分が20wt%を越えると、コーティング組成物の貯蔵安定性が悪くなるうえ、金属酸化物層の膜厚制御が困難になる。一方、固形分が0.5wt%以下では、得られる金属酸化物層の厚みが薄くなり、所定の膜厚を得るために多数回の塗布が必要となる。
【0138】
コーティング組成物は、M(OR)
nで示される金属アルコキシドを金属塩(例えば、アルミニウム塩)の存在下に有機溶媒中で加水分解・縮合して得られるものである。シリコンアルコキシド、チタンアルコキシド、または、シリコンアルコキシドおよびチタンアルコキシドの加水分解に用いられる水の量は、シリコンアルコキシド、チタンアルコキシド、または、シリコンアルコキシドおよびチタンアルコキシドの総モル数に対して、モル比換算で2〜24にすることが好ましい。より好ましくは2〜20である。モル比(水の量(モル)/(金属アルコキシドの総モル数))が2以下の場合には、金属アルコキシドの加水分解が不十分となって、成膜性を低下させたり、得られる金属酸化物被膜の強度を低下させたりするので好ましくない。また、モル比が24より多い場合は、重縮合が進行し続けるため、貯蔵安定性を低下させるので好ましくない。
その他の金属アルコキシドを用いる場合でも同様である。
【0139】
尚、他の金属アルコキシドを用いた場合にも、水の添加量について、同様の条件を選択することが好ましい。
【0140】
コーティング組成物を調製する際の加水分解過程において、共存する金属塩(例えば、アルミニウム塩)が含水塩の場合には、その含水分が反応に関与するため、加水分解に用いる水の量に対して金属塩(例えば、アルミニウム塩)の含水分を考慮する必要がある。
【0141】
コーティング組成物は、金属アルコキシドを加水分解・縮合させて製造されるものであり、金属アルコキシドの組成を選択することにより、得られる金属酸化物層の屈折率を所定の範囲内で調整することが可能である。例えば、金属アルコキシドとして、シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドを選択した場合、その混合比率を調整することにより、後述する所定の範囲内で、具体的には1.45〜2.1の範囲内で、得られる金属酸化物層の屈折率を調整することが可能である。
【0142】
換言すると、コーティング用組成物を塗布し焼成した後の金属酸化物層に要求される屈折率が決められると、その屈折率にしたがって、シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドの組成モル比を決めることが可能である。この組成モル比は任意であるが、例えば、シリコンアルコキシドのみを加水分解することによって得られるコーティング組成物からの金属酸化物層の屈折率は、1.45程度の値である。そして、チタンアルコキシドのみを加水分解して得られるコーティング組成物からの金属酸化物層の屈折率は、2.1程度の値である。したがって、金属酸化物層の屈折率を1.45〜2.1までの間で設定したい場合、その範囲内の屈折率値に合わせてシリコンアルコキシドとチタンアルコキシドを所定の割合で用いてコーティング組成物を製造することが可能である。
【0143】
また、他の金属アルコキシドを用いることによっても、得られる金属酸化物層の屈折率の調整は可能である。
【0144】
さらに、金属酸化物層の屈折率については、組成条件以外に、成膜条件を選択することで調整することも可能である。こうすることで、金属酸化物層の高い硬度を実現するとともに、所望の屈折率値を実現することが可能である。
【0145】
すなわち、コーティング組成物の塗膜を焼成して金属酸化物層を製造する場合、その焼成温度にしたがって、金属酸化物層の屈折率は変動する。この場合、焼成温度が高くするほど、金属酸化物層の屈折率を高くすることができる。したがって、焼成温度を適度な値に選択することで、得られる金属酸化物層の屈折率の調整が可能である。そして、他のタッチパネル構成部材の耐熱性を考慮した場合、焼成温度は100℃〜300℃の範囲が好ましく、150℃〜250℃の範囲内とすることがより好ましい。
【0146】
また、コーティング組成物がチタンアルコキシドを含む場合、焼成前に塗膜に紫外線(UV)を照射すると、得られる金属酸化物層の屈折率が変動する。具体的には、紫外線照射量を多くするほど、金属酸化物層の屈折率を高くすることができる。したがって、所望の屈折率を実現するため紫外線照射の有無を選択することが可能である。金属酸化物層において、組成等の条件選択により所望の屈折率が実現できる場合は、紫外線照射は行わなくてもよい。そして、紫外線照射を行う場合は、その照射量を選択することで、金属酸化物層の屈折率を調整することが可能である。金属酸化物層において、所望の屈折率を得るために紫外線照射が必要な場合は、例えば、高圧水銀ランプを使用することができる。そして、高圧水銀ランプを使用した場合、365nm換算で全光照射1000mJ/cm
2以上の照射量が好ましく、3000mJ/cm
2〜10000mJ/cm
2の照射量がより好ましい。また、UV光源としては特に指定はなく、別のUV光源を使用することもできる。別の光源を用いる場合は、上記高圧水銀ランプを使用した場合と同量の積算光量が照射されればよい。
【0147】
しかしながら、特にコーティング組成物にチタンアルコキシド成分を含む場合には、室温保存下で徐々に粘度が上昇するという性質を有する。実用上大きな問題となる懸念は無いものの、金属酸化物層の厚みを精密に制御する場合には、温度などに対する慎重な管理が必要となる。尚、こうした粘度の上昇は、コーティング組成物中のチタンアルコキシドの組成比率が多くなるにしたがって顕著となる。これは、チタンアルコキシドがシリコンアルコキシドなどに対して加水分解速度が大きく、縮合反応が速いためと考えられる。
【0148】
コーティング組成物がチタンアルコキシド成分を含む場合において、粘度変化を少なくするためには、次の2つの製法が有効である。
【0149】
1)チタンアルコキシドを金属塩の存在下、加水分解する際にあらかじめグリコール類とチタンアルコキシドを充分混合した後、必要に応じて、シリコンアルコキシドと混合し、有機溶媒の存在下で加水分解する。こうすることにより、粘度変化の小さいコーティング組成物が得られる。
【0150】
1)の製法が有効なのは、チタンアルコキシドをグリコール類と混合した際に発熱があることから、チタンアルコキシドのアルコキシド基と、グリコール類との間でエステル交換反応が起こり、加水分解・縮合反応に対して安定化されるためと考えられる。
【0151】
2)予めシリコンアルコキシドを金属塩の存在下で加水分解反応させた後、グリコール類と混合したチタンアルコキシド溶液に混合して縮合反応を行い、コーティング組成物を得る。こうすることにより、粘度変化の小さいコーティング組成物が得られる。
【0152】
2)の製法が有効なのは、次の理由によると考えられる。すなわち、シリコンアルコキシドの加水分解反応は速い速度で行われるが、その後の縮合反応はチタンアルコキシドに比較して遅い。そのため、加水分解反応を終えた後、速やかにチタンアルコキシドを加えると、加水分解反応したシリコンアルコキシドのシラノール基と、チタンアルコキシドとが均一に反応する。これにより、チタンアルコキシドの縮合反応性を、加水分解されたシリコンアルコキシドが安定化させると考えられる。
【0153】
予め加水分解されたシリコンアルコキシドと、チタンアルコキシドとを混合する方法は、既に試みられている。しかし、反応に用いられる有機溶媒にグリコール類が含まれていない場合には、貯蔵安定性に優れたコーティング用組成物が得られない。また、2)に示した方法は、大きな加水分解速度を有する他の金属アルコキシドとシリコンアルコキシドとからコーティング組成物を得る場合にも有用である。
【0154】
以上説明したコーティング組成物は、一般に行われている塗布法を適用して、塗膜を成膜し、その後、金属酸化物層とすることが可能である。塗布法としては、例えば、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、刷毛塗り法、ロール転写法、スクリーン印刷法、インクジェット法またはフレキソ印刷法などが用いられる。この内、パターン印刷に好適なインクジェット法とフレキソ印刷法が特に好ましい。
【実施例】
【0155】
以下、実施例にしたがって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0156】
[実施例で用いる略記号]
以下の実施例などで用いる略記号の意味は、次の通りである。
・TEOS:テトラエトキシシラン
・TIPT:テトライソプロポキシチタン
・ZTB:ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド
・AN:硝酸アルミニウム九水和物
・CeN:硝酸セリウム六水和物
・InN:硝酸インジウム三水和物
・EG:エチレングリコール
・HG:2−メチル−2,4−ペンタンジオール(別称:ヘキシレングリコール)
・BCS:2−ブトキシエタノール(別称:ブチルセロソルブ)
【0157】
<合成例1>(コーティング組成物K1の合成)
200mL容量のフラスコ中に、AN 12.8g、水3.0gを加えて撹拌し、ANの水溶液を得た。そのANの水溶液に、EG 13.7g、HG 48.8g、BCS 37.1g、およびシリコンアルコキシドとしてTEOS 31.1gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、A液を得た。
【0158】
300mL容量のフラスコ中に、チタンアルコキシドとしてTIPT 4.7gを入れ、そこにHG 48.8gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、B液を得た。
【0159】
次いで、上述のA液とB液とを混合し、室温条件下で30分間撹拌した。これにより、コーティング組成物K1を得た。
【0160】
<合成例2>(コーティング組成物K2の合成)
200mL容量のフラスコ中に、AN 12.1g、水2.8gを加えて撹拌し、ANの水溶液を得た。そのANの水溶液に、EG 13.7g、HG 57.7g、BCS 37.2g、およびシリコンアルコキシドとしてTEOS 22.9gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、C液を得た。
【0161】
300mL容量のフラスコ中に、チタンアルコキシドとしてTIPT 13.4gを入れ、そこにHG 40.2gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、D液を得た。
【0162】
次いで、上述のC液とD液とを混合し、室温条件下で30分間撹拌した。これにより、コーティング組成物K2を得た。
【0163】
<合成例3>(コーティング組成物K3の合成)
200mL容量のフラスコ中に、AN 11.7g、水2.8gを加えて撹拌し、ANの水溶液を得た。そのANの水溶液に、EG 13.7g、HG 46.0g、BCS 37.3g、およびシリコンアルコキシドとしてTEOS 19.1gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、E液を得た。
300mL容量のフラスコ中に、チタンアルコキシドとしてTIPT 17.4gを入れ、そこにHG 52.1gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、F液を得た。
次いで、上述のE液とF液とを混合し、室温条件下で30分間撹拌した。これにより、金属アルコキシドとして、コーティング組成物K3を得た。
【0164】
<合成例4>(コーティング組成物K4の合成)
200mL容量のフラスコ中に、AN 11.5g、水2.7gを加えて撹拌し、ANの水溶液を得た。そのANの水溶液に、EG 13.7g、HG 34.5g、BCS 37.3g、およびシリコンアルコキシドとしてTEOS 15.6gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、G液を得た。
300mL容量のフラスコ中に、チタンアルコキシドとしてTIPT 21.2gを入れ、そこにHG 63.6gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、H液を得た。
次いで、上述のG液とH液とを混合し、室温条件下で30分間撹拌した。これにより、コーティング組成物K4を得た。
【0165】
<合成例5>(コーティング組成物K4−1の合成)
200mL容量のフラスコ中に、InN9.2g、水2.3gを加えて撹拌し、InNの水溶液を得た。そのInNの水溶液に、EG 14.6g、HG 41.6g、BCS 39.5g、およびシリコンアルコキシドとしてTEOS 15.9gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、I液を得た。
300mL容量のフラスコ中に、チタンアルコキシドとしてTIPT 14.4gを入れ、そこにHG 62.4gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、J液を得た。
次いで、上述のI液とJ液とを混合し、室温条件下で30分間撹拌した。これにより、金属アルコキシドとして、コーティング組成物K−1を得た。
【0166】
<合成例6>(コーティング組成物K4−2の合成)
200mL容量のフラスコ中に、CeN10.3g、水2.1gを加えて撹拌し、CeNの水溶液を得た。そのCeNの水溶液に、EG 14.7g、HG 42.1g、BCS 40.0g、およびシリコンアルコキシドとしてTEOS 14.5gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、K液を得た。
300mL容量のフラスコ中に、チタンアルコキシドとしてTIPT 13.2gを入れ、そこにHG 62.4gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、L液を得た。
次いで、上述のK液とL液とを混合し、室温条件下で30分間撹拌した。これにより、金属アルコキシドとして、コーティング組成物K−2を得た。
【0167】
<合成例7>(コーティング組成物K4−3の合成)
200mL容量のフラスコ中に、AN8.5g、水2.0gを加えて撹拌し、ANの水溶液を得た。そのANの水溶液に、EG 14.3g、HG 40.8g、BCS 38.7g、およびシリコンアルコキシドとしてTEOS 9.2gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、M液を得た。
【0168】
300mL容量のフラスコ中に、ジルコニウムアルコキシドとしてZTB 25.4gを入れ、そこにHG 61.2gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、N液を得た。
次いで、上述のM液とN液とを混合し、室温条件下で30分間撹拌した。これにより、金属アルコキシドとして、コーティング組成物K−3を得た。
【0169】
<合成例8>(コーティング組成物K5の合成)
300mL容量のフラスコ中に、AN 15.5g、水8.9gを加えて撹拌し、ANの水溶液を得た。そのANの水溶液に、EG 13.0g、HG 93.0g、BCS 35.3g、およびシリコンアルコキシドとしてTEOS 34.3gを加え、室温条件下で30分間撹拌した。これにより、コーティング組成物K5を得た。
【0170】
<合成例9>(コーティング組成物K6の合成)
200mL容量のフラスコ中に、AN 11.2g、水2.6gを加えて撹拌し、ANの水溶液を得た。そのANの水溶液に、EG 13.7g、HG 23.9g、BCS 37.4g、およびシリコンアルコキシドとしてTEOS 12.1gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、I液を得た。
300mL容量のフラスコ中に、チタンアルコキシドとしてTIPT 24.8gを入れ、そこにHG 74.4gを加え、室温条件下で30分間撹拌して、J液を得た。
【0171】
次いで、上述のI液とJ液とを混合し、室温条件下で30分間撹拌した。これにより、コーティング組成物K6を得た。
【0172】
次に、上述したコーティング組成物K1〜K6を用いて、金属酸化物層を成膜する成膜方法の例について説明する。併せて、金属酸化物層の比較対象となるアクリル膜を基板上に成膜する方法についても説明する。
【0173】
<成膜方法I>
上述したコーティング組成物を用いて、孔径0.5μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、基板上にスピンコート法により塗膜を形成する。この基板を60℃に設定されたホットプレート上で3分間加熱し乾燥する。次いで、200℃に設定された熱風循環式オーブン内に移し、30分間焼成する。こうして、基板上に金属酸化物の膜(すなわち、金属酸化物層を金属酸化物の膜とも称する。以下、同様である。)を成膜する。
【0174】
<成膜方法II>
上述したコーティング組成物を用いて、孔径0.5μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、基板上にスピンコート法により塗膜を形成する。この基板を60℃に設定されたホットプレート上で3分間加熱し乾燥する。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で2分間紫外線照射する。紫外線照射量は6000mJ/cm
2となる。紫外線照射の後、200℃に設定された熱風循環式オーブン内に移し、30分間焼成する。こうして、基板上に金属酸化物の膜を成膜する。
【0175】
<成膜方法III>
成膜方法IIIは、金属酸化物の膜の比較対象となるアクリル膜を基板上に成膜する方法である。
【0176】
アクリル膜形成のためのアクリル材料組成物(K7)を用い、孔径0.5μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、基板上にスピンコート法により塗膜を形成する。この基板を90℃に設定されたホットプレート上で2分間加熱し乾燥する。次いで、200℃に設定された熱風循環式オーブン内に移し、30分間焼成する。こうして、基板上にアクリル膜を成膜する。
【0177】
<屈折率の評価>
上述したコーティング組成物K1〜K6を用い、基板にシリコン基板(100)を使用し、上記した成膜方法I、成膜方法IIまたは成膜方法IIIを適用して、シリコン基板上に金属酸化物の膜(KL1、KL2、KL3、KL4、KL5、KL5−1、KL5−2、KL5−3、KM1およびKM2)を成膜した。
【0178】
また、アクリル材料組成物K7を用い、基板にシリコン基板(100)を使用し、上記した成膜方法IIIを適用して、シリコン基板上にアクリル膜(KM3)を成膜した。
【0179】
これらの基板を用いて、エリプソメータ(溝尻光学工業所社製 DVA−FLVW)を使用し、波長633nmにおける屈折率を測定した。
【0180】
金属酸化物の膜(KL1、KL2、KL3、KL4、KL5、KL5−1、KL5−2、KL5−3、KM1およびKM2)、並びにアクリル膜(KM3)の屈折率の評価結果を表1に示す。この表より、アクリル膜の屈折率は1.50であることが分かる。
【0181】
尚、表1中の成膜方法欄の記載は、それぞれの膜の成膜に適用された成膜方法(I〜III)を示している。
【0182】
<硬度の評価>
金属酸化物の膜の硬度については鉛筆硬度を評価した。
上述したコーティング組成物K1〜K6を用い、基板にITO付きガラス基板を使用し、上記した成膜方法I、成膜方法IIまたは成膜方法IIIを適用して、基板上に金属酸化物の膜(KL1、KL2、KL3、KL4、KL5、KL5−1、KL5−2、KL5−3、KL5、KM1およびKM2)を成膜した。
【0183】
また、アクリル材料組成物K7を用い、基板にITO付きガラス基板を使用し、上記した成膜方法IIIを適用して、ITO付きガラス基板上にアクリル膜(KM3)を成膜した。
【0184】
これらの基板を用いて、鉛筆硬度を試験法(JIS K5400)に準拠して評価した。
【0185】
金属酸化物の膜(KL1、KL2、KL3、KL4、KL5、KL5−1、KL5−2、KL5−3、KM1およびKM2)、並びにアクリル膜(KM3)の鉛筆硬度の評価結果を表1に示す。この表より、アクリル膜(KM3)の鉛筆硬度は3Hであり、金属酸化物の膜(KL1、KL2、KL3、KL4、KL5、KL5−1、KL5−2、KL5−3、KM1およびKM2)に比べ硬度が低いことがわかる。
【0186】
【表1】
【0187】
<透明導電膜基板>
基板上にパターニングされた透明導電膜が成膜された透明導電膜基板を準備する。基板にはガラス基板を用い、透明導電膜にはITOを用いる。この透明導電膜基板としては、上述した本実施の形態のタッチパネル1に使用した透明導電膜基板14の使用が可能である。ここでは、ITOのパターンが同一で、膜厚が28nmと75nmと異なる2種類の透明導電膜基板を準備した。
【0188】
<実施例1>
ITOの膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KL1を70nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmのソーダライムガラス基板を貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0189】
<実施例2および3>
金属酸化物の膜KL1の膜厚が80nm(実施例2)と90nm(実施例3)である以外は、実施例1と同様の方法で評価用のタッチパネルを作製した。
【0190】
<実施例4>
ITO膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KL2を70nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0191】
<実施例5および6>
金属酸化物の膜KL2の膜厚が80nm(実施例5)と90nm(実施例6)である以外は、実施例4と同様の方法で評価用のタッチパネルを作製した。
【0192】
<実施例7>
ITO膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KL3を50nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて評価用のタッチパネルを作製した。
【0193】
<実施例8〜11>
金属酸化物の膜KL3の膜厚が70nm(実施例8)、80nm(実施例9)、120nm(実施例10)および150nm(実施例11)である以外は、実施例7と同様の方法で評価用のタッチパネルを作製した。
【0194】
<実施例12>
ITO膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KL4を80nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0195】
<実施例13>
金属酸化物の膜KL4の膜厚が100nmである以外は、実施例12と同様の方法で評価用のタッチパネルを作製した。
【0196】
<実施例14>
ITO膜厚が75nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KL4を100nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0197】
<実施例15>
ITO膜厚が75nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KL5を100nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0198】
<実施例16>
ITO膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KL5−1を100nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0199】
<実施例17>
ITO膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KL5−2を100nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0200】
<実施例18>
ITO膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KL5−3を100nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0201】
<比較例1>
ITO膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜を成膜すること無く、そのまま光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させ、金属酸化物の層を有しない評価用のタッチパネルを作製した。
【0202】
<比較例2>
ITO膜厚が75nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜を成膜すること無く、そのまま光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させ、金属酸化物の層を有しない評価用のタッチパネルを作製した。
【0203】
<比較例3>
金属酸化物の膜KL4の膜厚が30nmである以外は、実施例12と同様の方法で評価用のタッチパネルを作製した。
【0204】
<比較例4>
ITO膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KM1を100nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0205】
<比較例5>
ITO膜厚が28nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KM2を100nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0206】
<比較例6>
ITO膜厚が75nmである透明導電膜基板上に、金属酸化物の膜KM2を100nmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させて、評価用のタッチパネルを作製した。
【0207】
<比較例7>
ITO膜厚が75nmである透明導電膜基板上に、アクリル膜KM3を2μmの膜厚で成膜した基板を作製した。この基板上に光学接着剤を塗布し、0.7mmの素ガラスを貼り合わせた。次いで、紫外線照射装置(アイグラフィック社製 UB 011−3A型)を使用し、高圧水銀ランプ(入力電源1000W)を用いて、50mW/cm
2(波長365nm換算)の光強度で80秒間紫外線照射した。これにより、光学接着剤を硬化させ、アクリル膜の形成された評価用のタッチパネルを作製した。
【0208】
<密着性の評価>
実施例1〜実施例18において、評価用のタッチパネルを作製する際、その途中で作製される金属酸化物の膜(KL1〜KL5)の成膜された基板を使用した。その透明導電膜基板上の各金属酸化物の膜に対し、JIS K5600の密着性のクロスカット法に準拠して剥離試験を行い、密着性を評価した。
【0209】
同様に、比較例3〜比較例7において、評価用のタッチパネルを作製する際、その途中で作製される金属酸化物の膜(KL4、KM1およびKM2)並びにアクリル膜(KM3)の成膜された基板を使用し、密着性を評価した。
【0210】
<電極パターン見えの評価>
実施例1〜実施例18および比較例1〜比較例7において作製した評価用のタッチパネルを用い、ITOの電極パターン見えの評価を行った。
【0211】
各タッチパネルを黒い布の上に置き、上部からライトを照らした状態で、目視にて観察を行った。観察の結果、電極パターンが見えないものを、<電極パターン見え評価◎>とした。また、電極パターンは見えるが、その程度が、ITO膜上に金属酸化物の膜を有しない比較例1および比較例2のタッチパネルに比べ改善されているものを、<電極パターン見え評価○>とした。さらに、比較例1および比較例2のタッチパネルと同等なものを、<電極パターン見え評価△>とし、比較例1および比較例2のタッチパネルよりもITOの電極パターンが目立つものを<×>として評価した。
【0212】
実施例1〜実施例18および比較例1〜比較例7の評価用のタッチパネルの電極パターン見え評価の結果をまとめ、上記した密着性の評価結果とともに表2に示す。
【0213】
【表2】
【0214】
実施例1〜実施例15のタッチパネルでは、電極パターン見え評価の結果が良好であり、電極パターンは見えないか、または,見えたとしても金属酸化物の膜を有していない比較例と比べ、その程度が改善していることが分かった。したがって、透明電極の上に、屈折率と膜厚の調整された金属酸化物の膜を形成することにより、電極パターン見えが改善され、電極を目立たなくできることが分かった。また、それぞれの金属酸化物の膜の密着性は、アクリル膜に比べて高いことも分かった。
【0215】
表2の結果から、実施例1〜実施例15によれば、透明電極のパターンが目立つことによる表示性の低下を低減できるタッチパネルが得られることが分かった。より具体的には、透明電極のパターンが目立つことが抑制された、本実施の形態のタッチパネル1、101、201、301、401を提供できることが分かった。