(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至4のいずれか1項記載のネガ型レジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
露光する高エネルギー線が、波長430nmのg線、365nmのi線、248nmのKrFエキシマレーザー、電子ビーム、又は波長3〜15nmの範囲の軟X線であることを特徴とする請求項5記載のパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に係るレジスト材料は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位aを含む高分子化合物をベース樹脂にしていることを特徴とするネガ型レジスト材料である。
【化3】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基である。Xは単結合又は−C(=O)−O−R
4−であり、R
4は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基である。R
2は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、R
3は炭素数2〜8の直鎖状のアルキレン基である。0<a≦1.0の範囲である。)
【0018】
繰り返し単位aは、酸によって下記反応式に示すように環を巻いてラクタムを形成する。環を巻く前はカルボキシル基が存在しており、アルカリ現像液への溶解速度が速いが、環を巻いた後にはカルボキシル基が消滅し、アルカリ溶解速度が大幅に低下する。本発明に係るレジスト材料は、架橋反応に頼らずにポリマーの極性の変化によってアルカリ溶解速度が変化するネガ型レジスト材料であり、溶解コントラストが非常に高いネガ型レジスト材料である。
【化4】
【0019】
R
3のアルキレン基の長さによって環を巻く反応速度をコントロールすることができる。R
3のアルキレン基の長さがプロピレン基の場合は上記反応式の通りに5員環を形成し、この場合が最も反応速度が早い。R
3のアルキレン基の長さがエチレン基の場合は4員環、ブチレン基の場合は6員環を形成するが、この場合は5員環形成よりも反応速度が遅くなる。環を巻く反応速度が早い方が高コントラストだが、遅い方が保存安定性に優れるメリットがある。R
3のアルキレン基の長さとしては、好ましくはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基である。
【0020】
一般式(1)で示される繰り返し単位aを得るためのモノマーは、下記に示すようにアミノスチレンとカルボキシル基を有するハロゲン化物との反応によって得ることができる。カルボキシル基は置換されていてもよく、モノマー合成後あるいは重合後に脱保護する。
【化5】
【0021】
一般式(1)で示される繰り返し単位aを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化6】
(式中、R
1は前述の通りである。)
【0022】
本発明において、ベース樹脂は、一般式(1)中の繰り返し単位aに加えて、下記一般式(2)中のb1〜b7から選ばれる繰り返し単位を共重合することもできる。これによって炭素密度が高まり、ドライエッチング耐性を高くすることができる。
【化7】
(式中、R
5は水素原子又はメチル基である。mは0〜2の整数、nは0〜5の整数であり、R
110〜R
116は同一又は異種の水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基(これらアルキル基及びハロゲン置換アルキル基は、アルキル基置換もしくは非置換のヒドロキシ基又はカルボキシル基を有してもよい)、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基である。Yは単結合、−O−又は−S−、−C(=O)−O−R
6−、又は−C(=O)−NH−R
6−であり、R
6は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基である。X
0はメチレン基、酸素原子、又は硫黄原子である。b1は0≦b1<1.0、b2は0≦b2<1.0、b3は0≦b3<1.0、b4は0≦b4<1.0、b5は0≦b5<1.0、b6は0≦b6<1.0、b7は0≦b7<1.0、0≦b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7<1.0である。)
【0023】
繰り返し単位b1で示される共重合を得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【化8】
【0030】
【化15】
ここで、R
5は前述の通り、R
7は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。
【0031】
繰り返し単位b2〜b7で示される共重合を得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【化16】
【0032】
また、本発明において、ベース樹脂は、一般式(1)中の繰り返し単位aを必須とし、場合によっては繰り返し単位b1〜b7を共重合するが、更に、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−G−(Gは硫黄原子又はNHである)、酸無水物基から選ばれる密着性基を有する、上記繰り返し単位a及びb1〜b7以外の繰り返し単位cを共重合してもよい。
【0033】
ヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−G−(Gは硫黄原子又はNHである)、酸無水物基を密着性基とする繰り返し単位cを得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【0041】
ヒドロキシ基を有するモノマーの場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基などの酸によって脱保護し易いアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0042】
本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物では、下記一般式(3)で示されるスルホニウム塩を持つ繰り返し単位d1、d2、d3を共重合することができる。特開2006−045311号公報には、特定のスルホン酸が発生する重合性オレフィンを有するスルホニウム塩、ヨードニウム塩が提案されている。特開2006−178317号公報には、スルホン酸が主鎖に直結したスルホニウム塩が提案されている。
【0043】
【化24】
(式中、R
20、R
24、R
28は水素原子又はメチル基、R
21は単結合、フェニレン基、−O−R−、又は−C(=O)−Y
0−R−である。Y
0は酸素原子又はNH、Rは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R
22、R
23、R
25、R
26、R
27、R
29、R
30、R
31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z
0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R
32−、又は−C(=O)−Z
1−R
32−である。Z
1は酸素原子又はNH、R
32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M
-は非求核性対向イオンを表す。)
【0044】
ポリマー主鎖に酸発生剤を結合させることによって酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによってエッジラフネス(LER、LWR)が改善される。
【0045】
M
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0046】
更には、下記一般式(K−1)で示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)で示されるα,β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【化25】
【0047】
一般式(K−1)中、R
102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環、又はフッ素原子を有していてもよい。
一般式(K−2)中、R
103は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよい。
【0048】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては、繰り返し単位a〜dを与えるモノマーのうち所望のモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱重合を行い、共重合体の高分子化合物を得ることができる。
【0049】
重合時に使用する有機溶剤としてはトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。
【0050】
重合中の加熱によって繰り返し単位aが環を巻いてしまうことを防ぐために、塩基性物質を添加して重合を行うこともできる。添加される塩基性物質としては弱塩基性化合物が好ましく、具体的にはピリジン、ジメチルアニリン、キノリンなどの芳香族アミン化合物、アミド化合物等が好ましく用いられる。
【0051】
ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレン等ヒドロキシ基を有する繰り返し単位を共重合する場合は、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンの代わりにアセトキシスチレン、アセトキシビニルナフタレンを用い、重合後上記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシポリビニルナフタレンにする方法もある。
【0052】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0053】
ここで、繰り返し単位a〜dの割合は、0<a≦1.0、0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0≦b3<1.0、0≦b4<1.0、0≦b5<1.0、0≦b6<1.0、0≦b7<1.0、0≦b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7<1.0、0≦c<1.0、0≦d1≦0.5、0≦d2≦0.5、0≦d3≦0.5、0≦d1+d2+d3≦0.5、好ましくは0.05≦a≦1.0、0≦b1≦0.95、0≦b2≦0.95、0≦b3≦0.95、0≦b4≦0.95、0≦b5≦0.95、0≦b6≦0.95、0≦b7≦0.95、0≦b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7≦0.95、0≦c≦0.9、0≦d1≦0.4、0≦d2≦0.4、0≦d3≦0.4、0≦d1+d2+d3≦0.4であり、より好ましくは0.1≦a≦1.0、0≦b1≦0.9、0≦b2≦0.9、0≦b3≦0.9、0≦b4≦0.9、0≦b5≦0.9、0≦b6≦0.9、0≦b7≦0.9、0≦b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7≦0.9、0≦c≦0.8、0≦d1≦0.35、0≦d2≦0.35、0≦d3≦0.35、0≦d1+d2+d3≦0.35である。この場合、a<1.0、0<b1+b2+b3+b4+b5+b6+b7であることが好ましい。
【0054】
本発明のネガ型レジスト材料に用いられる高分子化合物は、それぞれ重量平均分子量が1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料が耐熱性に劣るものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなってしまう。
なお、重量平均分子量(Mw)は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0055】
更に、本発明のネガ型レジスト材料に用いられる高分子化合物においては、多成分共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりする。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーや、一般式(1)で示される繰り返し単位aを共重合していないポリマーをブレンドすることも可能である。
【0056】
本発明に用いられる高分子化合物は、ネガ型レジスト材料のベース樹脂として好適で、このような高分子化合物をベース樹脂とし、これに有機溶剤、酸発生剤、溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤等を目的に応じ適宜組み合わせて配合してネガ型レジスト材料を構成することによって、露光部では前記高分子化合物が触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のネガ型レジスト材料とすることができ、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、より優れたエッチング耐性を示し、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。特に、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅ネガ型レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができると共に、諸特性が一層優れたものとなり、極めて有用なものとなる。
【0057】
上述したように、本発明のネガ型レジスト材料に更に架橋剤を配合することができる。本発明で使用可能な架橋剤の具体例を列挙すると、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基などの2重結合を含む化合物等を挙げることができる。これらは添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0058】
前記架橋剤の具体例のうち、更にエポキシ化合物を例示すると、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテルなどが例示される。メラミン化合物を具体的に例示すると、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレアなどが挙げられる。
【0059】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、アジド化合物としては、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジドが挙げられる。
【0060】
アルケニルエーテル基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどが挙げられる。
【0061】
架橋剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0〜50質量部、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部であり、単独又は2種以上を混合して使用できる。5質量部以上であれば十分な解像性の向上が得られ、50質量部以下であれば、パターン間がつながり解像度が低下するおそれが少ない。
【0062】
更に、塩基性化合物を添加することによって、例えばレジスト膜中での酸の拡散速度を抑制し、解像度を一層向上させることができるし、界面活性剤を添加することによってレジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。
【0063】
本発明のネガ型レジスト材料には、本発明のパターン形成方法に用いる化学増幅ネガ型レジスト材料を機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。
【0064】
本発明のレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
有機溶剤の具体例としては特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]、塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]、界面活性剤としては段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載されている。特開2008−239918号公報記載のポリマー型のクエンチャーを添加することもできる。このものは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型のクエンチャーは、レジスト上に保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0065】
なお、酸発生剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し0.01〜100質量部、特に0.1〜80質量部とすることが好ましく、有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し50〜10,000質量部、特に100〜5,000質量部であることが好ましい。また、ベース樹脂100質量部に対し、溶解制御剤は0〜50質量部、特に0〜40質量部、塩基性化合物は0〜100質量部、特に0.001〜50質量部、界面活性剤は0〜10質量部、特に0.0001〜5質量部の配合量とすることが好ましい。
【0066】
本発明のネガ型レジスト材料、例えば有機溶剤と、少なくとも一般式(1)で示される繰り返し単位aを有する高分子化合物と、酸発生剤、塩基性化合物を含む化学増幅ネガ型レジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、特に限定されないが公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
【0067】
例えば、本発明のネガ型レジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO
2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間プリベークする。レジスト膜上に保護膜を適用させてもよい。保護膜はアルカリ現像液に加溶タイプが好ましく、現像時にレジストパターンの形成と共に保護膜の剥離を行う。保護膜は、レジスト膜からのアウトガスを低減させる機能、EUVレーザーから発生する13.5nm以外の波長140〜300nmのアウトオブバンド(OOB)をカットさせるフィルターとしての機能、環境の影響でレジストの形状が頭張りになったり膜減りを生じたりすることを防ぐ機能を有する。次いで、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線、真空紫外線(軟X線)等の高エネルギー線から選ばれる光源で目的とするパターンを所定のマスクを通じてもしくは直接露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm
2程度、特に10〜100mJ/cm
2、又は0.1〜100μC/cm
2、特に0.5〜50μC/cm
2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0068】
更に、0.1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒〜3分間、好ましくは5秒〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより、光を照射した部分は現像液に溶解せず、露光されなかった部分が溶解し、基板上に目的のネガ型のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも電子線、真空紫外線(軟X線)、X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに最適である。
一般的に広く用いられているTMAH水溶液よりも、アルキル鎖を長くしたTEAH、TPAH、TBAHは現像中の膨潤を低減させてパターンの倒れを防ぐ効果がある。特許第3429592号公報には、アダマンタンメタクリレートのような脂環構造を有する繰り返し単位と、tert−ブチルメタクリレートのような酸不安定基を有する繰り返し単位を共重合し、親水性基がなくて撥水性の高いポリマーの現像のために、TBAH水溶液を用いた例が提示されている。
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液は2.38質量%の水溶液が最も広く用いられている。これは0.26Nに相当し、TEAH、TPAH、TBAH水溶液も同じ規定度であることが好ましい。0.26NとなるTEAH、TPAH、TBAHの質量は、それぞれ3.84質量%、5.31質量%、6.78質量%である。
EB、EUVで解像される32nm以下のパターンにおいて、ラインがよれたり、ライン同士がくっついたり、くっついたラインが倒れたりする現象が起きている。これは、現像液中に膨潤して膨らんだライン同士がくっつくのが原因と考えられる。膨潤したラインは、現像液を含んでスポンジのように軟らかいために、リンスの応力で倒れ易くなっている。アルキル鎖を長くした現像液はこのような理由で、膨潤を防いでパターン倒れを防ぐ効果がある。
【0069】
現像の最後にはリンスを行う。リンス液としては水が最も広く用いられるが、パターン倒れを防ぐために界面活性剤が添加されたリンス液や、ブロブ欠陥の発生を防止するために炭酸水や酸性物質を添加したリンス液を用いることもできる。
【実施例】
【0070】
以下、合成例、比較合成例及び実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、重量平均分子量(Mw)は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
また、下記合成例で用いたモノマー1〜4、密着性モノマー1,2及びPAGモノマー1は以下の通りである。
【0071】
【化26】
【0072】
【化27】
密着性モノマー1:メタクリル酸(2−オキソ−1,3−ベンゾオキサチオール−5−イル)
密着性モノマー2:メタクリル酸(2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾオキサゾール−5−イル)
【0073】
【化28】
PAGモノマー1:トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−メタクリロイルオキシプロパン−1−スルホネート
【0074】
[合成例1]
2Lのフラスコにモノマー1を4.1g、4−ヒドロキシスチレン6.0g、スチレン3.1g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:4−ヒドロキシスチレン:スチレン=0.20:0.50:0.30
重量平均分子量(Mw)=6,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.76
この高分子化合物を(ポリマー1)とする。
【化29】
【0075】
[合成例2]
2Lのフラスコにモノマー1を4.1g、4−ヒドロキシスチレン7.2g、インデン2.9g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:4−ヒドロキシスチレン:インデン=0.20:0.60:0.20
重量平均分子量(Mw)=6,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.61
この高分子化合物を(ポリマー2)とする。
【化30】
【0076】
[合成例3]
2Lのフラスコにモノマー1を4.1g、4−ヒドロキシスチレン7.2g、クマリン3.7g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:4−ヒドロキシスチレン:クマリン=0.20:0.60:0.20
重量平均分子量(Mw)=6,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.69
この高分子化合物を(ポリマー3)とする。
【化31】
【0077】
[合成例4]
2Lのフラスコにモノマー1を4.1g、4−ヒドロキシスチレン7.2g、クロモン3.7g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:4−ヒドロキシスチレン:クロモン=0.20:0.60:0.20
重量平均分子量(Mw)=6,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.67
この高分子化合物を(ポリマー4)とする。
【化32】
【0078】
[合成例5]
2Lのフラスコにモノマー1を4.1g、4−ヒドロキシスチレン7.2g、2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メチル3.7g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:4−ヒドロキシスチレン:2,5−ノルボルナジエン−2−カルボン酸メチル=0.20:0.60:0.20
重量平均分子量(Mw)=5,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.69
この高分子化合物を(ポリマー5)とする。
【化33】
【0079】
[合成例6]
2Lのフラスコにモノマー1を4.1g、4−ヒドロキシスチレン7.2g、N−ビニルカルバゾール3.9g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:4−ヒドロキシスチレン:N−ビニルカルバゾール=0.20:0.60:0.20
重量平均分子量(Mw)=5,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.77
この高分子化合物を(ポリマー6)とする。
【化34】
【0080】
[合成例7]
2Lのフラスコにモノマー3を23.3g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー3=1.00
重量平均分子量(Mw)=7,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.71
この高分子化合物を(ポリマー7)とする。
【化35】
【0081】
[合成例8]
2Lのフラスコにモノマー2を4.4g、4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)スチレン13.5g、1−ビニルナフタレン3.1g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー2:4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)スチレン:1−ビニルナフタレン=0.20:0.50:0.30
重量平均分子量(Mw)=6,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.76
この高分子化合物を(ポリマー8)とする。
【化36】
【0082】
[合成例9]
2Lのフラスコにモノマー2を6.6gメタクリル酸フルオレセインエステル20g、アセナフチレン3g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー2:メタクリル酸フルオレセインエステル:アセナフチレン=0.30:0.50:0.20
重量平均分子量(Mw)=6,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.86
この高分子化合物を(ポリマー9)とする。
【化37】
【0083】
[合成例10]
2Lのフラスコにモノマー2を6.6g、メタクリル酸(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)を4.1g、密着性モノマー1を11.8g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー2:メタクリル酸(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル):密着性モノマー1=0.30:0.20:0.50
重量平均分子量(Mw)=7,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
この高分子化合物を(ポリマー10)とする。
【化38】
【0084】
[合成例11]
2Lのフラスコにモノマー2を6.6g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル3.6g、密着性モノマー2を6.6g、PAGモノマー1を5.6g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー2:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:密着性モノマー2:PAGモノマー1=0.30:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.70
この高分子化合物を(ポリマー11)とする。
【化39】
【0085】
[合成例12]
2Lのフラスコにモノマー4を6.6g、メタクリル酸5−ヒドロキシナフタレン−1−イル6.8g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー1を5.6g、ピリジン1g、溶剤としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー4:メタクリル酸5−ヒドロキシナフタレン−1−イル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー1=0.30:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=7,800
分子量分布(Mw/Mn)=1.77
この高分子化合物を(ポリマー12)とする。
【化40】
【0086】
[比較合成例1]
上記合成例と同様の方法で下記の2成分ポリマーを合成した。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:スチレン=0.70:0.30
重量平均分子量(Mw)=4,500
分子量分布(Mw/Mn)=1.55
この高分子化合物を(比較ポリマー1)とする。
【化41】
【0087】
[比較合成例2]
上記合成例と同様の方法で下記の2成分ポリマーを合成した。
得られた重合体を
13C,
1H−NMR、及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:アセナフチレン=0.80:0.20
重量平均分子量(Mw)=5,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.59
この高分子化合物を(比較ポリマー2)とする。
【化42】
【0088】
[実施例、比較例]
上記で合成した高分子化合物を用いて、界面活性剤として住友スリーエム(株)製界面活性剤のFC−4430を100ppm溶解させた溶剤に表1に示される組成で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してネガ型レジスト材料を調製した。
表1中の各組成は次の通りである。
ポリマー1〜12:上記合成例1〜12で得られた高分子化合物
比較ポリマー1,2:上記比較合成例1,2で得られた高分子化合物
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
CyH(シクロヘキサノン)
CyP(シクロペンタノン)
酸発生剤:PAG1(下記構造式参照)
架橋剤:CR1(下記構造式参照)
塩基性化合物:Amine1(下記構造式参照)
【化43】
【0089】
電子ビーム描画評価
得られたネガ型レジスト材料を直径6インチφのヘキサメチルジシラザン(HMDS)ベーパープライム処理したSi基板上に、クリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコートし、ホットプレート上で110℃で60秒間プリベークして100nmのレジスト膜を作製した。これに、(株)日立製作所製HL−800Dを用いてHV電圧50kVで真空チャンバー内描画を行った。
描画後、直ちにクリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてホットプレート上で表1に記載の温度で60秒間ポストエクスポージャベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ネガ型のパターンを得た。
得られたレジストパターンを次のように評価した。
100nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における、最小の寸法を解像力とし、100nmLSのエッジラフネス(LWR)をSEMで測定した。
レジスト組成とEB露光における感度、解像度の結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1の結果より、本発明のネガ型レジスト材料は、十分な解像力と感度とエッジラフネスを満たしており、更に酸発生剤を共重合することによって解像度とエッジラフネスの特性を一段と向上させることができることがわかった。