特許第5920778号(P5920778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5920778
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】偽造防止用形成体
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/333 20140101AFI20160428BHJP
   B41M 3/14 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   B42D15/10 333
   B41M3/14
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-152176(P2012-152176)
(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公開番号】特開2014-14944(P2014-14944A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2014年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】古田 淳
(72)【発明者】
【氏名】中井 昌典
(72)【発明者】
【氏名】福田 学志
(72)【発明者】
【氏名】早川 文重
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−158573(JP,A)
【文献】 特開2012−016836(JP,A)
【文献】 特許第4915883(JP,B2)
【文献】 特開2003−141596(JP,A)
【文献】 特開2007−144671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 25/333
B42D 25/30
B41M 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又はポリマー基材の少なくとも一部に、不可視画像が形成された不可視画像領域を有し、
前記不可視画像領域は、第1の光透過部、第2の光透過部及び第3の光透過部を有するユニットが規則的に所定のピッチでマトリックス状に複数配置され、
前記第1の光透過部、前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部は、前記紙又はポリマー基材を貫通することなく形成され、
前記複数配置された各々のユニット内に形成された前記第1の光透過部によって第1の不可視画像が形成され、
前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部は、前記ユニット内において第1の方向に沿って第1の距離をもって一対として形成され、
前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部は、オン・オフの関係にあり、かつ、面積が同一として形成され、
前記2の光透過部をオンとして形成することで、第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成され、
前記第3の光透過部をオンとして形成することで、前記第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、
前記第1光透過部は、前記第2の光透過部以上の面積により形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体。
【請求項2】
前記第1の光透過部の少なくとも一部が、前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部に挟まれて形成されたことを特徴とする請求項1記載の偽造防止用形成体。
【請求項3】
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第1の方向に沿って隣接して配置された前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部が前記第1の距離で配置された場合、前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部のいずれか一方をオフとし、
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第1の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部が第2の距離で配置された場合、前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第4の光透過部が、前記第2の距離をもってオンとして形成された前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部の中心に配置された前記第1の光透過部内に形成され、
前記第4の光透過部は、前記紙又はポリマー基材を貫通することなく形成され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された2つの前記第2の光透過部又は2つの前記第3の光透過部が前記第3の距離で配置された場合、前記第3の距離をもってオンとして形成された2つの前記第2の光透過部又は2つの前記第3の光透過部の中心に形成された前記第2の光透過部又は前記第3の光透過部を挟む前記第1の光透過部内に前記第4の光透過部が形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止用形成体。
【請求項4】
前記ユニットは、更に第5の光透過部及び第6の光透過部を有し、
前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部は、前記紙又はポリマー基材を貫通することなく形成され、
前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部はオン・オフの関係にあり、かつ、前記第2の光透過部と面積が同一であり、
前記第5の光透過部をオンとして形成することで、第3の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成され、
前記第6の光透過部をオンとして形成することで、前記第3の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の偽造防止用形成体。
【請求項5】
前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部は、前記第1の方向に沿って前記第1の距離をもって一対として形成され、
前記第1の光透過部、前記第2の光透過部、前記第3の光透過部、前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部は、前記ユニット内において、前記第1の方向に沿って前記第2の光透過部、前記第1の光透過部、前記第5の光透過部、前記第1の光透過部、前記第3の光透過部、前記第1の光透過部、前記第6の光透過部、前記第1の光透過部の順で形成されたことを特徴とする請求項4記載の偽造防止用形成体。
【請求項6】
前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部は、前記ユニット内において前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って前記第1の距離又は第4の距離で形成されたことを特徴とする請求項4記載の偽造防止用形成体。
【請求項7】
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第1の方向に沿って隣接して配置された前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部が前記第1の距離で配置された場合、前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部のいずれか一方をオフとし、
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第1の方向に沿って隣接して配置された前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部が前記第1の距離又は前記第4の距離で配置された場合、前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部のいずれか一方をオフとし、
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第1の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部が第2の距離で配置された場合、前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第4の光透過部が、前記第2の距離をもってオンとして形成された前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部の中心に配置された前記第5の光透過部又は前記第6の光透過部に隣接する位置に形成され、
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第1の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部が前記第2の距離で配置された場合、前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第7の光透過部が、前記第2の距離をもってオンとして形成された前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部の中心に配置された前記第2の光透過部又は前記第3の光透過部に隣接する位置に形成され、
前記第7の光透過部は、前記紙又はポリマー基材を貫通することなく形成され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された2つの前記第2の光透過部又は2つの前記第3の光透過部が前記第3の距離で配置された場合、前記第3の距離をもってオンとして形成された2つの前記第2の光透過部又は2つの前記第3の光透過部の中心に形成された前記第2の光透過部又は前記第3の光透過部に隣接する前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部に隣接する位置に前記第4の光透過部が形成され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された2つの前記第5の光透過部又は2つの前記第6の光透過部が前記第3の距離で配置された場合、前記第3の距離をもってオンとして形成された2つの前記第5の光透過部又は2つの前記第6の光透過部の中心に形成された前記第5の光透過部又は前記第6の光透過部に隣接する前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部に隣接する位置に前記第7の光透過部が形成されたことを特徴とする請求項4又は5記載の偽造防止用形成体。
【請求項8】
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第1の方向に沿って隣接して配置された前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部が前記第1の距離で配置された場合、前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部のいずれか一方をオフとし、
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第2の方向に沿って隣接して配置された前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部が前記第1の距離又は前記第4の距離で配置された場合、前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部のいずれか一方をオフとし、
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第1の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部が第2の距離で配置された場合、前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第4の光透過部が、前記第2の距離をもってオンとして形成された前記第2の光透過部及び前記第3の光透過部の間に配置された前記第1の光透過部内に形成され、
前記複数配置された前記ユニットのうち、前記第2の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部が第2の距離又は第5の距離で配置された場合、前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第7の光透過部が、前記第2の距離又は前記第5の距離をもってオンとして形成された前記第5の光透過部及び前記第6の光透過部の間に配置された前記第1の光透過部内に形成され、
前記第1の方向に沿って隣接して配置された3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された2つの前記第2の光透過部又は2つの前記第3の光透過部が前記第3の距離で配置された場合、前記第3の距離をもってオンとして形成された2つの前記第2の光透過部又は2つの前記第3の光透過部の間に形成された前記第1の光透過部内に前記第4の光透過部が形成され、
前記第2の方向に沿って隣接して配置された3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された2つの前記第5の光透過部又は2つの前記第6の光透過部が前記第3の距離又は前記第6の距離で配置された場合、前記第3の距離又は前記第6の距離をもってオンとして形成された2つの前記第5の光透過部又は2つの前記第6の光透過部の間に形成された前記第1の光透過部内に前記第7の光透過部が形成されたことを特徴とする請求項4又は6記載の偽造防止用形成体。
【請求項9】
前記ユニット同士の所定のピッチは、1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の偽造防止用形成体。
【請求項10】
前記第1の光透過部の面積を段階的に変化させることで、連続階調を有する前記第1の不可視画像が形成されたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の偽造防止用形成体。
【請求項11】
前記紙又はポリマー基材は、前記不可視画像領域を除く領域に、少なくとも1つの可視画像が形成されたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の偽造防止用形成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の光透過性を有する基材を用いた偽造防止用形成体に関するものであり、特に、銀行券、パスポート及びブランドプロテクション等の貴重性の高い媒体に利用され、基材を透過光下で観察することで、偽造防止や真偽判別可能な偽造防止用形成体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券、有価証券及び各種証明書等の貴重性の高い媒体は、紙基材又はポリマーから成るカード等の光透過性基材の光透過性を利用し、偽造防止のためのセキュリティ機能を高める方法として、今日、様々な技術が用いられている。代表的な技術としては、紙基材に用いる紙料の粗密や紙基材の薄厚によって不可視画像を形成し、透過光下において観察される不可視情報が形成された、いわゆる、透かしと呼ばれる技術が伝統技法としても古くから用いられている。これらの技術は、透過光下で画像を入力することができる一般的な光学入力装置であるデジタル機器を用いたとしても、複写が不可能であるという特徴を備えている。
【0003】
一方、紙基材において擬似的に不可視画像を埋め込む方法として、印刷工程で特殊なインキ(例えば、特許文献1参照)を用い、透かしに相当する透過画像を形成する偽造防止技術が存在する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、本願発明者らは、透かしとは別な不可視画像の埋め込み技術として、第1の方向に沿って、中心を境に対向するように配置された第1の画線及び第2の画線と、第1の方向と直交する第2の方向に沿って、中心を境に対向するように配置された第3の画線及び第4の画線とを有する画線要素が、一定のピッチで複数マトリクス状に配置されており、各々の画線要素における第1の画線及び第2の画線と、第3の画線及び第4の画線とがネガポジの関係にあり、第1の画線又は第2の画線により第1の不可視画像が形成され、第3の画線又は第4の画線により第2の不可視画像が形成されることを特徴とする偽造防止用印刷物について、既に出願している(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−290571号公報
【特許文献2】特開平6−228900号公報
【特許文献3】特許第4635160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、単純な模様から成る透かしの場合、こうした特殊なインキと性質が類似したインキを用いて偽造される場合がある。また、透かしの観察方法としては、一般的に基材を透過光下で観察することが主な認証方法であるがゆえに、透過光下にて発現した模様を観察者が十分に認知することができていないと、それが真正物であるか否かを判断することが難しいという課題が残されていた。
【0007】
本発明は、前述した課題にかんがみなされたものであり、透過光下で観察される一般的な透かしに加え、透過光下で判別具を積置させた状態で観察される不可視画像を形成することで、高度な真偽判別が可能な偽造防止用形成体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の偽造防止用形成体は、基材の少なくとも一部に、不可視画像が形成された不可視画像領域を有し、不可視画像領域は、第1の光透過部、第2の光透過部及び第3の光透過部を有するユニットが規則的に所定のピッチでマトリックス状に複数配置され、複数配置された各々のユニット内に形成された第1の光透過部によって第1の不可視画像が形成され、第2の光透過部及び第3の光透過部は、ユニット内において第1の方向に沿って第1の距離をもって一対として形成され、第2の光透過部及び第3の光透過部は、オン・オフの関係にあり、かつ、面積が同一として形成され、第2の光透過部をオンとして形成することで、第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成され、第3の光透過部をオンとして形成することで、第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、第1光透過部の面積を、第2の光透過部と同一又は大きい状態として形成されたことで、透過光下で観察される第1の不可視画像内に形成された第2の不可視画像が不可視となることを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0009】
また、本発明の偽造防止用形成体における第1の光透過部の少なくとも一部が、第2の光透過部及び第3の光透過部に挟まれて形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0010】
また、本発明の偽造防止用形成体は、複数配置されたユニットのうち、第1の方向に沿って隣接して配置されたユニットにおいて、オンとして配置された第2の光透過部及び第3の光透過部が第1の距離で配置された場合、第2の光透過部及び第3の光透過部のいずれか一方をオフとし、複数配置されたユニットのうち、第1の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つのユニットにおいて、オンとして配置された第2の光透過部及び第3の光透過部が第2の距離で配置された場合、所定の領域における光の透過光量を緩和するために、第2の光透過部及び第3の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第4の光透過部が、第2の距離をもってオンとして形成された第2の光透過部及び第3の光透過部の中心に配置された第1の光透過部内に形成され、第1の方向に沿って隣接して配置された3つのユニットにおいて、オンとして配置された2つの第2の光透過部又は2つの第3の光透過部が第3の距離で配置された場合、第3の距離をもってオンとして形成された2つの第2の光透過部又は2つの第3の光透過部の中心に形成された第2の光透過部又は第3の光透過部を挟む第1の光透過部内に第4の光透過部が形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0011】
また、本発明の偽造防止用形成体におけるユニットは、更に第5の光透過部及び第6の光透過部を有し、第5の光透過部及び第6の光透過部はオン・オフの関係にあり、かつ、第2の光透過部と面積が同一であり、第5の光透過部をオンとして形成することで、第3の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成され、第6の光透過部をオンとして形成することで、第3の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0012】
また、本発明の偽造防止用形成体における第5の光透過部及び第6の光透過部は、第1の方向に沿って第1の距離をもって一対として形成され、第1の光透過部、第2の光透過部、第3の光透過部、第5の光透過部及び第6の光透過部は、ユニット内において、第1の方向に沿って第2の光透過部、第1の光透過部、第5の光透過部、第1の光透過部、第3の光透過部、第1の光透過部、第6の光透過部、第1の光透過部の順で形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0013】
また、本発明の偽造防止用形成体における第5の光透過部及び第6の光透過部は、ユニット内において第1の方向と異なる第2の方向に沿って第1の距離又は第4の距離で形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0014】
また、本発明の偽造防止用形成体は、複数配置されたユニットのうち、第1の方向に沿って隣接して配置されたユニットにおいて、オンとして配置された第2の光透過部及び第3の光透過部が第1の距離で配置された場合、第2の光透過部及び第3の光透過部のいずれか一方をオフとし、複数配置されたユニットのうち、第1の方向に沿って隣接して配置されたユニットにおいて、オンとして配置された第5の光透過部及び第6の光透過部が第1の距離又は第4の距離で配置された場合、第5の光透過部及び第6の光透過部のいずれか一方をオフとし、複数配置されたユニットのうち、第1の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つのユニットにおいて、オンとして配置された第2の光透過部及び第3の光透過部が第2の距離で配置された場合、所定の領域における光の透過光量を緩和するために、第2の光透過部及び第3の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第4の光透過部が、第2の距離をもってオンとして形成された第2の光透過部及び第3の光透過部の中心に配置された第5の光透過部又は第6の光透過部に隣接する位置に形成され、複数配置されたユニットのうち、第1の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つの前記ユニットにおいて、オンとして配置された第5の光透過部及び第6の光透過部が第2の距離で配置された場合、所定の領域における光の透過光量を緩和するために、第5の光透過部及び第6の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第7の光透過部が、第2の距離をもってオンとして形成された第5の光透過部及び第6の光透過部の中心に配置された第2の光透過部又は第3の光透過部に隣接する位置に形成され、第1の方向に沿って隣接して配置された3つのユニットにおいて、オンとして配置された2つの第2の光透過部又は2つの第3の光透過部が第3の距離で配置された場合、第3の距離をもってオンとして形成された2つの第2の光透過部又は2つの第3の光透過部の中心に形成された第2の光透過部又は第3の光透過部に隣接する第5の光透過部及び第6の光透過部に隣接する位置に第4の光透過部が形成され、第1の方向に沿って隣接して配置された3つのユニットにおいて、オンとして配置された2つの第5の光透過部又は2つの第6の光透過部が第3の距離で配置された場合、第3の距離をもってオンとして形成された2つの第5の光透過部又は2つの第6の光透過部の中心に形成された第5の光透過部又は第6の光透過部に隣接する第2の光透過部及び第3の光透過部に隣接する位置に第7の光透過部が形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0015】
また、本発明の偽造防止用形成体は、複数配置されたユニットのうち、第1の方向に沿って隣接して配置されたユニットにおいて、オンとして配置された第2の光透過部及び第3の光透過部が第1の距離で配置された場合、第2の光透過部及び第3の光透過部のいずれか一方をオフとし、複数配置されたユニットのうち、第2の方向に沿って隣接して配置されたユニットにおいて、オンとして配置された第5の光透過部及び第6の光透過部が第1の距離又は第4の距離で配置された場合、第5の光透過部及び第6の光透過部のいずれか一方をオフとし、複数配置されたユニットのうち、第1の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つのユニットにおいて、オンとして配置された第2の光透過部及び第3の光透過部が第2の距離で配置された場合、所定の領域における光の透過光量を緩和するために、第2の光透過部及び第3の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第4の光透過部が、第2の距離をもってオンとして形成された第2の光透過部及び第3の光透過部の間に配置された第1の光透過部内に形成され、複数配置されたユニットのうち、第2の方向に沿って隣接して配置された2つ又は3つのユニットにおいて、オンとして配置された第5の光透過部及び第6の光透過部が第2の距離又は第5の距離で配置された場合、所定の領域における光の透過光量を緩和するために、第5の光透過部及び第6の光透過部における半分又は略半分の面積を有する第7の光透過部が、第2の距離又は第5の距離をもってオンとして形成された第5の光透過部及び第6の光透過部の間に配置された第1の光透過部内に形成され、第1の方向に沿って隣接して配置された3つのユニットにおいて、オンとして配置された2つの第2の光透過部又は2つの第3の光透過部が第3の距離で配置された場合、第3の距離をもってオンとして形成された2つの第2の光透過部又は2つの第3の光透過部の間に形成された第1の光透過部内に第4の光透過部が形成され、第2の方向に沿って隣接して配置された3つのユニットにおいて、オンとして配置された2つの第5の光透過部又は2つの第6の光透過部が第3の距離又は第6の距離で配置された場合、第3の距離又は第6の距離をもってオンとして形成された2つの第5の光透過部又は2つの第6の光透過部の間に形成された第1の光透過部内に第7の光透過部が形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0016】
また、本発明の偽造防止用形成体におけるユニット同士の所定のピッチは、1mm以下であることを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0017】
また、本発明の偽造防止用形成体は、第1の光透過部の面積を段階的に変化させることで、連続階調を有する第1の不可視画像が形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体である。
【0018】
さらに、本発明の偽造防止用形成体における基材は、不可視画像領域を除く領域に、少なくとも1つの可視画像が形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の偽造防止用形成体は、反射光下で観察した場合、不可視画像領域には何ら画像を認識することができないが、透過光下で観察した場合、第1の不可視画像が文字、マーク又は図柄として観察することができ、さらに、透過光下でレンチキュラーレンズ又は万線シート等の判別具を重ね合わせて観察した場合、第1の不可視画像とは異なる第2の不可視画像を観察することができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明の偽造防止用形成体は、目視の透過光下において観察される第1の真偽判別効果と、目視の透過光下において判別具の重ね合わせによって観察される第2の真偽判別効果を備えていることから、複写及び複製に対して、異なる2種類の真偽判別効果を有することから、2重のセキュリティが付与されるという高い偽造防止抵抗力を有するという効果を奏する。
【0021】
また、本発明の偽造防止用形成体は、利用者が透過光下で観察した場合にのみ、不可視画像領域に備わった第1の不可視画像が認識されるようになるが、不可視画像領域において、第2の不可視画像及び第3の不可視画像が備わっていることが認識されることはない。すなわち、第2の不可視画像及び第3の不可視画像は、判別具を持っていない限り確認することができないという、より段階的なセキュリティ対策を備えることを可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】偽造防止用形成体である光透過性基材1を「反射状態」で観察した場合に視認される画像を示す図である。
図2】偽造防止用形成体である光透過性基材1を「透過状態」で観察した場合に視認される画像を示す図である。
図3】偽造防止用形成体である光透過性基材1を「透過状態」で、かつ、レンチキュラーレンズから成る判別具2を第1の方向に沿って不可視画像領域4を備えた面に重ね合わせた状態で観察される第2の不可視画像P2を示す図である。
図4】レンチキュラーレンズから成る判別具2が重ね合わさる位置により、第2の不可視画像P2のネガポジが逆転した説明図である。
図5】偽造防止用形成体である光透過性基材1を「透過状態」で、かつ、レンチキュラーレンズから成る判別具2を第2の方向に沿って不可視画像領域4を備えた面に重ね合わせた状態で観察される第3の不可視画像P3を示す図である。
図6】レンチキュラーレンズから成る判別具2が重ね合わさる位置により、第3の不可視画像P3のネガポジが逆転した説明図である。
図7】第1の実施の形態の光透過性基材1における光透過部の最小単位の構成を示す部分的な拡大図である。
図8】光透過部の削除並びに追加を実行するアルゴリズムを示したフローチャート。
図9図8のアルゴリズムに従って、ユニット[v]の光透過部A´[v]が削除された状態が示された図である。
図10図8のアルゴリズムに従って、光透過部A、光透過部A´の半分又は略半分の空間面積を有する光透過部a及び光透過部Eが追加された状態が示された図である。
図11】レンチキュラーレンズから成る判別具2の各レンズの中心線7が、図7における線L1に一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具2を光透過性基材1上の不可視画像領域4に重ね合わせた状態が示された説明図である。
図12】第2の実施の形態の光透過性基材1における光透過部の最小単位の構成を示す部分的な拡大図である。
図13図8のアルゴリズムに従って、ユニット[v]の光透過部A´[v]又は光透過部B´[v]が削除された状態が示された図である。
図14図8のアルゴリズムに従って、光透過部A又は光透過部A´の半分の空間面積を有する光透過部a及び光透過部Eが追加された状態と、光透過部B又は光透過部B´の半分の空間面積を有する光透過部b及び光透過部Eが追加された状態が示された図である。
図15】レンチキュラーレンズから成る判別具2の各レンズの中心線7が、図12における線L1に一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具2を光透過性基材1上の不可視画像領域4に重ね合わせた状態が示された説明図である。
図16】レンチキュラーレンズから成る判別具2の各レンズの中心線7が、図12における線L3に一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具2を光透過性基材1上の不可視画像領域4に重ね合わせた状態が示された説明図である。
図17】第3の実施の形態の光透過性基材1における光透過部の最小単位の構成を示す部分的な拡大図である。
図18】レンチキュラーレンズから成る判別具2の各レンズの中心線7が、図17における線L1に一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具2を光透過性基材1上の不可視画像領域4に重ね合わせた状態が示された説明図である。
図19】レンチキュラーレンズから成る判別具2の各レンズの中心線7が、図17における線L3に一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具2を光透過性基材1上の不可視画像領域4に重ね合わせた状態が示された説明図である。
図20】連続階調を有する第1の不可視画像P1の一例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな形態が実施可能である。
【0024】
(不可視画像効果)
図1は、偽造防止用形成体である光透過性基材1の表面から「反射光下」で観察した場合に視認される状態を示したものである。光透過性基材1の表面には、印刷模様3等の可視画像を備えている。さらに、光透過性基材1の表面の一部に不可視画像領域4を備えている。図1に示されたように、「反射光下」で観察した場合には、不可視画像領域4に何ら画像は認識されない。
【0025】
図2は、偽造防止用形成体である光透過性基材1の表面から「透過光下」で観察した場合に視認される画像を示したものである。図2に示されたように、光透過性基材1の裏面から光源5を照射した状態で光透過性基材1の表面から観察すると、不可視画像領域4に形成された第1の不可視画像P1が、光透過性基材1の透過光量の差異によって現れる。図2の例では、「夢」の文字が現れているが、第1の不可視画像P1に用いる画像は、何ら限定するものではない。なお、本発明における光透過性基材1は、光を一定以上透過する材料や材質であれば良く、紙又はポリマー等を基材として用いることが可能であり、これらに形成する光透過部は、光透過性基材1がもつ光透過度と異なる光透過度を有する領域として形成することができれば、光透過性基材1自体に凹凸形状を形成する方法や、部分的に基材の光透過度を異ならせることができるメジウム等の透明インキ又は透明ニス等を印刷することで、光透過部を形成する方法等、公知の方法を用いることが可能であり、特に限定するものではない。
【0026】
(判別具による不可視画像の現出効果)
本発明は、図3に示されるように、不可視画像領域4を備えた光透過性基材1において、光源5は、基材1の裏面から照射し、かつ、レンチキュラーレンズから成る判別具2を、不可視画像領域4を備えた面に重ね合わせることにより、第2又は第3の不可視画像を容易に可視画像として発現させて真偽判別することができるものである。レンチキュラーレンズから成る判別具2は、透明性を有する素材であり、光透過性基材1から透過された光を充分に透過するものである。なお、以下の説明では、判別具2をレンチキュラーレンズとして説明するが、万線フィルタを判別具2としても同様の効果が得られる。
【0027】
そして、光透過性基材1上にレンチキュラーレンズから成る判別具2を所定の角度(これを0度とする)を持って重ね合わせると、図3で示された、例えば、「A」の文字のような第2の不可視画像P2が可視画像となって発現する。また、レンチキュラーレンズから成る判別具2が重ね合わさる位置を所定のピッチずらして重ねることにより、図4で示された第2の不可視画像P2のネガポジが逆転したように観察されるが、これは、レンチキュラーレンズから成る判別具2と光透過性基材1との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。
【0028】
また、光透過性基材1上にレンチキュラーレンズから成る判別具2を所定の角度に対して90度をなす角度を持って重ね合わせると、図5で示された、例えば、「B」の文字のような第3の不可視画像P3が可視画像となって発現する。また、レンチキュラーレンズから成る判別具2が重ね合わさる位置を所定のピッチずらして重ねることにより、図6で示されたように第3の不可視画像P3のネガポジが逆転したように観察されるが、これは、レンチキュラーレンズから成る判別具2と光透過性基材1との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。なお、第2の不可視画像P2及び第3の不可視画像P3は、文字、数字、図柄又はマーク等の任意の形状とすることが可能であり、適宜選択すれば良い。
【0029】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態による偽造防止用形成体である光透過性基材1について説明する。図7は、第1の実施の形態の光透過性基材1における最小単位の構成を示す部分的な拡大図である。ここで、縦の寸法Svは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。図7は、ユニットと称する光透過部の最小単位であり、光透過部A及び光透過部A´で構成されている。この最小単位のユニットが、光透過性基材1の表面上においてマトリクス状に規則的に配置される。光透過部Aと光透過部A´は、対を成しており、相互にオン・オフの関係にある。このオン・オフの関係とは、例えば、一方が明(オン)のときは他方は暗(オフ)、一方が暗(オフ)のときは他方は明(オン)の関係であり、基本的には双方ともに明(オン)又は双方ともに暗(オフ)であることがないということである。そして、光透過部Aと光透過部A´は、面積が同一である。このような光透過部A及び光透過部A´とが存在することで、通常の透過光下の条件では第2の不可視画像P2は視認されない状態となるが、光透過部Aのみにより不可視画像P2(ネガ又はポジ)、光透過部A´のみにより不可視画像P2(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。なお、本発明でいう面積が同一とは、光透過部の面積が略同一であるものを含むものであり、光透過性基材1からの光の透過光量が同一又は略同一の領域とし形成することができれば、第2の不可視画像P2を形成することが可能であり、これらは、本発明の範囲内である。
【0030】
また、図7に示された光透過部Cは、光透過部A及び光透過部A´と面積が同一又は大きく、この光透過部Cにより、図2に示されたような任意の図形及び文字等から成る第1の不可視画像P1を構成する光透過部Cとなり、光透過部Cは、光透過部A及び光透過部A´に挟まれるように配置されている。さらに、図7に示された光透過部Cは、ユニット横方向を長手方向とし、寸法Shを最大幅とする長方形である。すなわち、ユニットの近傍部によって光透過部Cを備えた領域が横一直線状に連結されているものである。
【0031】
図2に示された光透過性基材1の不可視画像領域4は、図7に示されたユニットが縦ステップ数vと横ステップ数hをもってマトリクス状に縦横隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置されたものである。なお、本発明の実施の形態でいうステップ数とは、不可視画像領域4上で繰り返されるユニット数を指すものであり、ステップ数に何ら制限はなく、このステップ数によって不可視画像の解像分解能が決まる。また、光透過部A及び光透過部A´とを横方向に並べて結合することによって、光透過部A群から成る平行万線と、光透過部A´群から成る平行万線とが形成される。すなわち、図3は、線位相変調(Line phase modulation)によって、第2の不可視画像P2を施している状態となっているものである。しかし、この状態では、マトリックス状に配置された各々のユニットのうち、隣接して配置されたユニットにおいて、オンとして配置された光透過部A及び光透過部A´が第1の距離で配置されることで光透過度が高く(明るく)見えたり、また、オンとして配置された光透過部A及び/又は光透過部A´が第2の距離以上の距離で配置されることで、光透過度が低く(暗く)見えたりして、肉眼視では光透過度が不均衡となって見えることもある。前述した光透過部A及び光透過部A´が配置される第1の距離及び第2の距離については、後述する光透過度の不均衡を緩和する説明により、詳細に説明する。
【0032】
この光透過度が不均衡に見えるのを緩和するため、図7に示された光透過部Eと光透過部aとを、それぞれ光透過部Cの領域中に配置している。光透過部aは、光透過部A及び光透過部A´の半分の面積であり、光透過部Aに対してユニット縦方向上に配列し、光透過部Aと光透過部A´とに挟まれるように配置されている。一方、光透過部Eは、光透過部A及び光透過部A´の半分の面積であり、光透過部Aに対してユニット縦方向上に配列し、光透過部A及び光透過部A´に挟まれるように配置されている。これにより、第1の不可視画像P1の光透過部における光透過度の不均衡が緩和されている。なお、本発明における隣接とは、マトリックス状に形成されたユニット同士が隣り合って形成されていることを意味するものであり、各々のユニット同士の間に若干の隙間を設ける構成も含むものである。
【0033】
図8に示されたアルゴリズムは、最小単位であるユニット[v]ごとに、光透過部の削除並びに追加を実行するものである。まず、処理f1にて、マトリクス状に配置した列ごとのユニット[v]において順次光透過部A[v]と、光透過部A´[v]の検知が行われる。なお、一つのユニット[v]における光透過部A[v]及び光透過部A´[v]が配置された距離が本発明でいう第1の距離であり、光透過部A[v]及び光透過部A´[v]を検知する方法は、例えば、不可視画像領域4がビットマップ形式の2値画像の場合、処理すべきユニット内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、光透過部A[v]及び/又は光透過部A´[v]を識別しても良い。
【0034】
次に、処理f2にて、隣接する2つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部A´[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に光透過部A[v+1]を有する条件である、オンとして配置された光透過部A´[v]及び光透過部A[v+1]が配置された第1の距離の条件に一致したとき、処理f3にて、ユニット[v]における本来配置される位置である光透過部A´[v]の削除が行われる。すなわち、図9(a)に示めされるように、ユニット[v]、ユニット[v+1]及びユニット[v+2]の配置の際、ユニット[v]の光透過部A´[v]とユニット[v+1]の光透過部A[v+1]が第1の距離として隣接している場合、図9(b)に示めされるように、ユニット[v]の光透過部A´[v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理4に移行する。
【0035】
次に、処理f4にて、隣接する2つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部A[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に光透過部A´[v+1]を有する条件である、オンとして配置された光透過部A[v]及び光透過部A´[v+1]が第2の距離で配置される条件に一致したとき、処理f5にて、ユニット[v]における光透過部a[v]の追加を行う。すなわち、図10(b)に示されるように、ユニット[v]における光透過部A´[v]とユニット[v+1]における光透過部A[v+1]の中間に、光透過部A及び光透過部A´の半分の面積を有する光透過部aが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+1]間における肉眼視での光透過度の不均衡が緩和される。なお、本発明でいう半分の面積とは、略半分の面積を含むものである。
【0036】
次に、処理f6にて、隣接する3つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部A´[v]を有し、ユニット[v+1]に光透過部がなく、かつ、ユニット[v+2]に光透過部A[v+2]を有する条件である、オンとして配置された光透過部A´[v]及び光透過部A[v+2]が第2の距離で配置される条件に一致したとき、処理f7にて、ユニット[v+1]における光透過部E[v+1]の追加を行う。すなわち、図10(c)に示されるように、ユニット[v+1]の光透過部A[v+1]と光透過部A´[v+1]の間に、光透過部A及び光透過部A´の半分の面積を有する光透過部E[v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における肉眼視での光透過度の不均衡が緩和される。
【0037】
次に、処理f8にて、隣接する3つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部A´[v]を有し、ユニット[v+1]に光透過部がなく、かつ、ユニット[v+2]に光透過部A´[v+2]を有する条件である、オンとして配置された光透過部A´[v]及び光透過部A´[v+2]が第3の距離で配置される条件に一致したとき、処理f9にて、ユニット[v+1]における光透過部E[v+1]と、光透過部a[v+1]の追加を行う。すなわち、図10(d)に示されるように、ユニット[v+1]の光透過部A[v+1]と光透過部A´[v+1]の間に、光透過部A及び光透過部A´の半分の面積を有する光透過部E[v+1]が追加され、ユニット[v+1]の光透過部A´[v+1]とユニット[v+2]の光透過部A[v+2]の間に、光透過部A及び光透過部A´の半分の面積を有する光透過部a[v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における肉眼視での光透過度の不均衡が緩和される。
【0038】
この状態で、例えば、レンチキュラーレンズから成る判別具2を光透過性基材1上の不可視画像領域4に重ね合わせ、透過光下により観察することによって、不可視画像領域4に施されている第2の不可視画像P2を可視画像として発現させることができる。なお、本第1の実施の形態では、寸法Svが340μmとしているが、寸法Sv、光透過性基材1の材質、光透過性そのものを与える手段及び方法等については、何ら限定するものではない。
【0039】
ここで、第1の実施の形態における偽造防止用形成体を簡単に説明するため、図11(a)で示された不可視画像領域4と、図11(b)で示された「A」の文字が第2の不可視画像P2として発現する例を模式的に示した例により説明する。
【0040】
まず、図11(a)に示されたように、光透過性基材1上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が光透過部Aの中心である、すなわち、図7における線L1に一致するように重ね合わせる。この場合、図11(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって光透過部Aが拡大された状態となるため、光透過部Aにより構成されている「A」の文字(模様)を確認することができることとなる。その際、第1の不可視画像P1を構成していた光透過部Cは、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、判別具2の真上から視認されることはない。これにより、図2に示された不可視画像領域4の第1の不可視画像P1が第2の不可視画像P2へとスイッチすることとなる。また、光透過部A´が拡大されるように、縦軸方向に沿って判別具2の各レンズの中心線7が、図7における線L2と一致するように移動させた場合、光透過部A´により視認された第2の不可視画像P2のネガポジが反転して視認される。
【0041】
また、図11(a)において、光透過部Cの濃度を段階的に異なる濃度として示しているが、各々の光透過部Cにおける面積を任意に設定することで、連続階調を有する第1の不可視画像P1を形成することも可能であり、これらは、本発明の範囲内である。
【0042】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態おける偽造防止用形成体について説明する。第1の実施の形態では、第1の不可視画像P1がレンチキュラーレンズを重ね合わせることで第2の不可視画像P2にスイッチする例として説明したが、第2の実施の形態では、レンチキュラーレンズの中心線7を重ねる位置を縦軸方向に沿ってずらすことで、第2の不可視画像P2から第3の不可視画像P3にスイッチさせる構成である。
【0043】
図12は、第2の実施の形態における光透過性基材1の構成における最小単位の構成を示した模式図である。ここで、縦の寸法Svは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。図12は、ユニットと称する光透過部の最小単位であり、光透過部A及び光透過部A´により、第2の不可視画像P2が形成され、光透過部B及び光透過部B´により第3の不可視画像P3が構成されている。この、図12に示す最小単位のユニットが、光透過性基材1上においてマトリクス状に規則的に配置される。
【0044】
光透過部Aと光透過部A´は、対を成しており、相互にオン・オフの関係にある。一方、光透過部Bと光透過部B´は、対を成しており、相互にオン・オフの関係にある。そして、光透過部Aと光透過部A´は、面積が同一であり、光透過部Bと光透過部B´は、面積が同一である。このような光透過部A及び光透過部A´と、光透過部B及び光透過部B´とが存在することで、透過光下では第2の不可視画像P2及び第3の不可視画像P3は視認されず、光透過部Aのみにより第2の不可視画像P2(ネガ又はポジ)、光透過部A´のみにより第2の不可視画像P2(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成され、さらに、光透過部Bのみにより第3の不可視画像P3(ネガ又はポジ)、光透過部B´のみにより第3の不可視画像P3(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。なお、本発明でいう面積が同一とは、光透過部の面積が略同一であるものを含むものであり、光透過性基材1からの光の透過光量が同一又は略同一の領域とし形成することができれば、第2の不可視画像P2及び第3の不可視画像P3を形成することが可能であり、これらは、本発明の範囲内である。
【0045】
また、第1の実施の形態と同様に、図12に示された光透過部Cにより、第1の不可視画像P1を形成し、図2に示されたような任意の図形及び文字等から成る第1の不可視画像P1を構成する光透過部Cとなり、光透過部Cがユニットの縦方向に光透過部Aと光透過部Bに挟まれるように配置されている領域と、光透過部Cがユニットの縦方向に光透過部Bと光透過部A´に挟まれるように配置されている領域と、光透過部Cがユニットの縦方向に光透過部A´と光透過部B´に挟まれるように配置されている領域と、マトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて光透過部Cがユニットの縦方向に光透過部B´と光透過部Aに挟まれるように配置されている領域とによって構成されている。さらに、図12に示された光透過部Cは、ユニット横方向を長手方向とし、寸法Shを最大幅とする長方形である。すなわち、ユニットの近傍部によって光透過部Cを備えた領域が横一直線状に連結されているものである。
【0046】
図2に示された光透過性基材1の不可視画像領域4は、図12に示されたユニットが縦ステップ数vと横ステップ数hをもってマトリクス状に縦横隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置されたものである。なお、第2の実施の形態でいうステップ数とは、不可視画像領域4上に繰り返されるユニットの数のことを指すもので、ステップ数に何ら制限はなく、このステップ数によって不可視画像の解像分解能が決まる。また、光透過部A及び光透過部A´が横方向に並ぶことによって、光透過部A群から成る平行万線と光透過部A´群から成る平行万線が形成される。すなわち、図12は、線位相変調(Line phase modulation)によって、第2の不可視画像P2を施している状態となっているものであり、光透過部B及び光透過部B´により形成される第3の不可視画像P3についても同様である。
【0047】
しかし、この状態では、透過光下で複数の光透過部A及び光透過部A´又は複数の光透過部B及び光透過部B´とがマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて光透過部A及び光透過部A´の双方又は光透過部B及び光透過部B´の双方がオンになることで光透過度が高く(明るく)見えたり、また、複数の光透過部A及び複数の光透過部A´又は複数の光透過部B及び複数の光透過部B´とがマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて光透過部A及び光透過部A´の双方又は光透過部B及び光透過部B´の双方がオフになることで光透過度が低く(暗く)見えることで、肉眼視では、光透過度が不均衡となって見えることもある。
【0048】
この光透過度が不均衡に見える状態を緩和するため、図12に示された光透過部a、光透過部b及び光透過部Eを、それぞれ光透過部Cに挟まれるように配置している。図12に示された光透過部a、光透過部b及び光透過部Eは、透過光下での光透過度の不均衡を緩和するために設けられている。光透過部A及び光透過部A´と光透過部B及び光透過部B´は、ユニット横方向において、寸法Shの2/3の長さをもってずれて配置されている。光透過部aは、ユニット内における光透過部B´と隣接する位置に寸法Shの1/3の長さをもって配置されている。一方、光透過部bは、ユニット内における光透過部Aと隣接する位置に寸法Shの1/3の長さをもって配置されている。また、光透過部Eは、ユニット内における光透過部Bと隣接する位置に寸法Shの1/3の長さをもって配置されるか、ユニット内における光透過部A´と隣接する位置に寸法Shの1/3の長さをもって配置されている。これにより、図12に示すように、不可視画像領域4における光透過度の不均衡を緩和するための光透過部aと光透過部B´、光透過部bと光透過部A、光透過部Eと光透過部A´、光透過部Eと光透過部Bが、ユニット横方向において横一直線状に連結されている。
【0049】
図8に示されたアルゴリズムによって光透過性基材1の最小単位の構成であるユニット[v]ごとに、光透過部の削除並びに追加を実行するものである。なお、[v]はユニットを縦上から数えたステップ数である。光透過部a、光透過部b及び光透過部Eの生成については、図8に示されたアルゴリズムに準拠するものであり、光透過部A及び光透過部A´における光透過度の不均衡を緩和するために、光透過部a及び光透過部Eが生成される。また、光透過部B及び光透過部B´の関係については、光透過部Bを光透過部Aとし、光透過部B´を光透過部A´とし、光透過部bを光透過部aに読み替えることで、図8に示されたアルゴリズムを用いて処理することにより、光透過部b及び光透過部Eが生成される。
【0050】
まず、図8の処理f1にて、マトリクス状に配置した列ごとのユニット[v]において、順次光透過部A[v]及び光透過部A´[v]の検知が行われる。なお、光透過部A[v]及び光透過部A´[v]を検知する方法は、例えば、不可視画像領域4がビットマップ形式の2値画像の場合、処理すべきユニット内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、光透過部A[v]又は光透過部A´[v]を識別しても良い。
【0051】
次に、処理f2にて、隣接する2つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部A´[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に光透過部A[v+1]を有する条件である、オンとして配置された光透過部A´[v]及び光透過部A[v+1]が第1の距離で配置される条件に一致したとき、処理f3にて、ユニット[v]における本来配置される位置である光透過部A´[v]の削除が行われる。すなわち、図13(a)に示されるように、ユニット[v]、ユニット[v+1]及びユニット[v+2]の配置の際、ユニット[v]の光透過部A´[v]とユニット[v+1]の光透過部A[v+1]が隣接している場合、図13(b)に示されるように、ユニット[v]の光透過部A´[v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理4に移行する。
【0052】
次に、処理f4にて、隣接する2つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部A[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に光透過部A´[v+1]を有する条件である、オンとして配置された光透過部A[v]及び光透過部A´[v+1]が第2の距離で配置される条件に一致したとき、処理f5にて、ユニット[v]における光透過部a[v]の追加を行う。すなわち、図14(b)に示されるように、ユニット[v]の光透過部Aとユニット[v+1]の光透過部A´[v+1]の中間に位置する光透過部B´[v+1]と隣接する位置に、光透過部A及び光透過部A´の半分の面積を有する光透過部aが追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+1]間における透過光下での光透過度の不均衡が緩和される。
【0053】
次に、処理f6にて、隣接する3つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部A´[v]を有し、ユニット[v+1]に光透過部がなく、かつ、ユニット[v+2]に光透過部A[v+2]を有する条件である、オンとして配置された光透過部A´[v]及び光透過部A[v+2]が配置された第2の距離の条件に一致したとき、処理f7にて、ユニット[v+1]における光透過部E[v+1]の追加を行う。すなわち、図14(c)に示されるように、ユニット[v]の光透過部A´[v]とユニット[v+2]の光透過部A[v+2]の中心に位置する光透過部B[v+1]と隣接する位置に、光透過部A及び光透過部A´の半分の面積を有する光透過部E[v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における透過光下での光透過度の不均衡が緩和される。
【0054】
次に、処理f8にて、隣接する3つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部A´[v]を有し、ユニット[v+1]に光透過部がなく、かつ、ユニット[v+2]に光透過部A´[v+2]を有する条件である、オンとして配置された光透過部A´[v]及び光透過部A´[v+2]が配置される第3の距離の条件に一致したとき、処理f9にて、ユニット[v+1]における光透過部E[v+1]及び光透過部a[v+1]の追加を行う。すなわち、図14(d)に示されるように、ユニット[v+1]の光透過部B[v+1]と隣接する位置に、光透過部A及び光透過部A´の半分の面積を有する光透過部E[v+1]と、光透過部B´[v+1]と隣接する位置に光透過部a[v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における透過光下での光透過度の不均衡が緩和される。
【0055】
一方、光透過部B及び光透過部B´の関係については、光透過部Bを光透過部Aとし、光透過部B´を光透過部A´とし、光透過部bを光透過部aに読み替えることで、図8に示されたアルゴリズムで処理することができる。
【0056】
まず、図8の処理f1にて、マトリクス状に配置した列ごとのユニット[v]において順次光透過部B[v]及び光透過部B´[v]の検知が行われる。なお、光透過部B[v]及び光透過部B´[v]を検知する方法は、例えば、不可視画像領域4ビットマップ形式の2値画像の場合、処理すべきユニット内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、光透過部B[v]又は光透過部B´[v]を識別しても良い。
【0057】
次に、処理f2にて、隣接する2つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部B´[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に光透過部B[v+1]を有する条件である、オンとして配置された光透過部B´[v]及び光透過部B[v+1]が配置される第1の距離の条件に一致したとき、処理f3にて、ユニット[v]における本来配置される位置である光透過部B´[v]の削除が行われる。すなわち、図13(c)に示されるように、ユニット[v]、ユニット[v+1]及びユニット[v+2]の配置の際、ユニット[v]の光透過部B´[v]とユニット[v+1]の光透過部B[v+1]が隣接している場合、図13(d)に示されるように、ユニット[v]の光透過部B´[v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理4に移行する。
【0058】
次に、処理f4にて、隣接する2つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部B[v]を有し、かつ、ユニット[v+1]に光透過部B´[v+1]を有する条件である、オンとして配置された光透過部B[v]及び光透過部B´[v+1]が配置される第2の距離の条件に一致したとき、処理f5にて、ユニット[v+1]における光透過部b[v+1]の追加を行う。すなわち、図14(f)に示されるように、ユニット[v]の光透過部B[v]とユニット[v+1]の光透過部B´[v+1]の中間に位置する光透過部A[v+1]と隣接する位置に、光透過部B及び光透過部B´の半分の面積を有する光透過部b[v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+1]間における透過光下での光透過度の不均衡が緩和される。
【0059】
次に、処理f6にて、隣接する3つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部B´[v]を有し、ユニット[v+1]に光透過部がなく、かつ、ユニット[v+2]に光透過部B[v+2]を有する条件である、オンとして配置された光透過部B´[v]及び光透過部B[v+2]が配置される第2の距離の条件に一致したとき、処理f7にて、ユニット[v+1]における光透過部E[v+1]の追加を行う。すなわち、図14(g)に示されるように、ユニット[v]の光透過部B´[v]とユニット[v+2]の光透過部B[v+2]の中心に位置する光透過部A´[v+1]に隣接する位置に、光透過部B及び光透過部B´の半分の面積を有する光透過部E[v+1]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における透過光下での光透過度の不均衡が緩和される。
【0060】
次に、処理f8にて、隣接する3つのユニットにおいて、ユニット[v]に光透過部B´[v]を有し、ユニット[v+1]に光透過部がなく、かつ、ユニット[v+2]に光透過部B´[v+2]を有する条件である、オンとして配置された光透過部B´[v]及び光透過部B´[v+2]が配置される第3の距離の条件に一致したとき、処理f9にて、ユニット[v+1]における光透過部E[v+1]及びユニット[v+2]における光透過部b[v+2]の追加を行う。すなわち、図14(h)に示されるように、ユニット[v]の光透過部B´[v]及びユニット[v+2]の光透過部B´[v+2]が挟み込む位置に配置された光透過部A´[v+1]と隣接する位置に、光透過部B及び光透過部B´の半分の面積を有する光透過部E[v+1]が追加され、光透過部A[v+2]と隣接する位置に光透過部b[v+2]が追加される。これにより、ユニット[v]とユニット[v+2]間における透過光下での光透過度の不均衡が緩和される。
【0061】
この状態で、例えば、レンチキュラーレンズから成る判別具2を光透過性基材1上の不可視画像領域4に重ね合わせ、透過光下により観察することで、不可視画像領域4に施されている第2の不可視画像P2又は第3の不可視画像P3を可視画像として発現させることができる。
【0062】
不可視画像領域4に形成された第2の不可視画像P2が観察される構成をより具体的に説明するため、図12における線L1とレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具2を光透過性基材1上の不可視画像領域4に重ね合わせ、透過光下によって観察した状態を図15に示す。
【0063】
レンチキュラーレンズの中心線7が図12における線L1と一致するように、図15(a)に示された位置にあるとき、中心線7に位置するのは光透過部Aとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する光透過部Aが膨張して見えるため、目視では、図15(b)に示された「A」の文字が第2の不可視画像P2として発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線7が図12における線L2と一致した位置にあるとき、中心線7に位置するのは、光透過部A´となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する光透過部A´が膨張して見えるため、第2の不可視画像P2のネガポジが反転して見える。よって、上述の図3及び図4に示されたようなネガポジ状のどちらかに見える第2の不可視画像P2となって発現する。
【0064】
次に、図12における線L3とレンチキュラーレンズの各レンズの中心線7が一致するように、不可視画像領域4の縦軸方向にずらして判別具2を光透過性基材1上の不可視画像領域4に重ね合わせ、透過光下によって観察した状態を図16に示す。この場合、レンチキュラーレンズの中心線7が図16(a)に示された位置にあり、中心線7に位置するのは、光透過部Bとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する光透過部Bが膨張して見えるため、目視では、図16(b)に示された「B」の文字が第3の不可視画像P3として発現する。
【0065】
また、レンチキュラーレンズの中心線7が図12における線L4と一致した位置にあるとき、中心線7に位置するのは光透過部B´となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線7に位置する光透過部B´が膨張して見えるため、第3の不可視画像P3のネガポジが反転して見える。つまり、図5及び図6に示されたような第3の不可視画像P3が、ネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現するものである。なお、図5及び図6では、判別具2を縦方向に重ねた状態としているが、実際には、図12における線L3又は線L4と判別具2の中心線7が一致するように重ねた状態である。
【0066】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態による偽造防止用形成体である光透過性基材1について説明する。第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、判別具2を所定の方向(図面上における横方向)に重ねた場合に第1の不可視画像P1から第2の不可視画像P2又は第3の不可視画像P3にスイッチする例であるが、第3の実施の形態では、判別具2を重ねる角度を所定の方向と異なる方向(図面上における縦方向)に重ねることで、第3の不可視画像P3が発現するものである。
【0067】
図17は、第3の実施の形態における光透過性基材1の構成における最小単位の構成を示す部分的な拡大図である。ここで、縦の寸法Sv及び横の寸法Shは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。図17は、ユニットと称する光透過部の最小単位であり、光透過部A及び光透過部A´と、光透過部B及び光透過部B´とにより、第2の不可視画像P2及び第3の不可視画像P3が構成されている。
【0068】
図17に示す光透過部が、光透過性基材1の表面上においてマトリクス状に規則的に配置される。光透過部Aと光透過部A´とは、対を成しており、相互にオン・オフの関係にある。一方、光透過部Bと光透過部B´とは、対を成しており、相互にオン・オフの関係にある。そして、光透過部A及び光透過部A´は、面積が同一であり、かつ、光透過部B及び光透過部B´は、面積が同一である。このような光透過部A及び光透過部A´と、光透過部B及び光透過部B´とが存在することで透過光下では第2の不可視画像P2及び第3の不可視画像P3は視認されず、光透過部Aのみにより第2の不可視画像P2(ネガ又はポジ)、光透過部A´のみにより第2の不可視画像P2(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成され、さらに、光透過部Bのみにより第3の不可視画像P3(ネガ又はポジ)、光透過部B´のみにより第3の不可視画像P3(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。なお、本発明でいう面積が同一とは、光透過部の面積が略同一であるものを含むものであり、光透過性基材1からの光の透過光量が同一又は略同一の領域とし形成することができれば、第2の不可視画像P2及び第3の不可視画像P3を形成することが可能であり、これらは、本発明の範囲内である。
【0069】
また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、図17に示された光透過部Cにより第1の不可視画像P1を形成し、図2に示されたような任意の図形及び文字等から成る不可視画像領域4の第1の不可視画像P1を構成する光透過部となり、光透過部Cが光透過部A及び光透過部A´と、光透過部B及び光透過部B´とに挟まれるように配置されている。
【0070】
また、図17では、光透過部A及び光透過部A´が配置される距離と、光透過部B及び光透過部B´が配置される距離を同一としているが、光透過部A及び光透過部A´が配置される第1の距離よりも長い又は短い第4の距離として配置することも可能である。この
り、ユニットの横方向の寸法Shを長く又は短く設定することで第3の不可視画像P3を形成することができる。ユニット横方向の寸法Shと同一ピッチの線格子を有する判別具2を用いることで第3の不可視画像を出現させることができる。
【0071】
図2に示された光透過性基材1の不可視画像領域4は、図17に示されたユニットが縦ステップ数vと横ステップ数hをもってマトリクス状に縦横隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置されたものである。なお、この状態では、複数の光透過部A及び光透過部A´と、光透過部B及び光透過部B´がマトリクス状に配置されたユニットの近傍部にて光透過部A及び光透過部A´又は光透過部B及び光透過部B´の双方がオンになることで光透過度が高く(明るく)見えたり、光透過部A及び光透過部A´と、光透過部B及び光透過部B´の双方がオフになることで光透過度が低く(暗く)見えることで、透過光下では、光透過度が不均衡となって見えることもある。この光透過度が不均衡に見える状態を緩和するため、図17に示された光透過部a、光透過部b及び光透過部Eを、それぞれ光透過部Cの領域中に配置している。
【0072】
また、光透過部a、光透過部b及び光透過部Eの光透過部の生成については、図8に示されたアルゴリズムに準拠するものであり、処理f1から処理f9を行うことで、光透過部A及び光透過部A´の光透過度の不均衡を緩和する光透過部a及び光透過部Eが生成される。また、光透過部B及び光透過部B´の関係については、光透過部Bを光透過部Aとし、光透過部B´を光透過部A´とし、光透過部bを光透過部aに読み替えることで、図8に示されたアルゴリズムで処理することにより、光透過部B及び光透過部B´の光透過度の不均衡を緩和する光透過部b及び光透過部Eが生成される。
【0073】
また、第2の実施の形態において、隣接する2つ又は3つのユニットにおいて、オンとして配置された光透過部B及び/又は光透過部B´の距離が第2の距離又は第3の距離となった場合に光透過部b及び/又は光透過部Eを追加する構成を第3の実施の形態に置き換える場合として、第1の距離を第4の距離、第2の距離を第5の距離、第3の距離を第6の距離と読み替えることで、光透過部の削除及び追加を行うことができる。
【0074】
そして、図18(a)に示されたように、光透過性基材1上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が光透過部Aの中心である、すなわち、図17における線L1に一致するように重ね合わせる。この場合、図18(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって光透過部Aが拡大された状態となるため、光透過部Aにより構成されている「A」の文字を確認することができることとなる。その際、第1の不可視画像P1を構成していた光透過部Cは、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、判別具2の真上から視認されることはない。また、光透過部A´が拡大されるように、縦軸方向に沿って判別具2の各レンズの中心線7が、図17における線L2と一致するように移動させた場合、光透過部A´により形成されるネガポジ反転された第2の不可視画像P2が視認される。
【0075】
さらに、図19(a)に示されたように、光透過性基材1上の所定の位置に、判別具2であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線7が光透過部Bの中心である、すなわち、図17における線L3に一致するように重ね合わせる。この場合、図19(b)に示されたようにレンチキュラーレンズの作用によって光透過部Bが拡大された状態となるため、光透過部Bにより構成されている「B」の文字を確認することができることとなる。その際、第1の不可視画像P1を構成していた光透過部Cは、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線7と一致せず、判別具2の真上から視認されることはない。また、光透過部B´が拡大されるように、縦軸方向に沿って判別具2の各レンズの中心線7が、図17における線L4と一致するように移動させた場合、光透過部B´により視認されるネガポジ反転された第3の不可視画像P3が視認される。
【0076】
なお、図18(a)及び図19(a)において、光透過部Cの濃度を段階的に異なる濃度として示しているが、光透過部Cにおける光透過率を任意に設定することで、図20に示すような、連続階調を有する第1の不可視画像P1を形成することも可能であり、これらは、本発明の範囲内である。
【0077】
また、光透過性基材1上の不可視画像領域4が形成された領域以外に判別領域(図示せず)を形成し、光透過性基材1を折り曲げるか、又は複数の光透過性基材1を用いて不可視画像領域4上に判別領域を重ねることで、独立した判別具2を用いることなく第2の不可視画像P2又は第3の不可視画像P3を出現させることができる。判別領域は、規則的に一定ピッチで形成された線格子を含むものであれば良く、印刷により万線パターンを形成する方法、光透過性基材の光の透過度を部分的に変化させた透かしを用いる方法又は光透過性基材の一部に窓あき部を形成し、窓あき部にレンチキュラーレンズ等の判別具を埋め込む方法等、公知の形成方法を用いることが可能であり、これらの構成についても本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0078】
1 光透過性基材
2 判別具
3 印刷模様
4 不可視画像領域
5 光源
7 中心線
A 光透過部
B 光透過部
a 光透過部
b 光透過部
C 光透過部
E 光透過部
L1 線
L2 線
L3 線
L4 線
P1 不可視画像
P2 不可視画像
P3 不可視画像
Sh 寸法
Sv 寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20