(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、寸法の比率は図面に示すものに限定されない。また、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
<グリーンハニカム成形体>
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るグリーンハニカム成形体を模式的に示す図であり、
図1(b)は、
図1(a)における領域R1の拡大図である。
図2は、
図1のII−II矢視図である。グリーンハニカム成形体100は、
図1,2に示すように、互いに略平行に配置された複数の貫通孔110を有する円柱体である。複数の貫通孔110は、グリーンハニカム成形体100の中心軸に略平行に伸びる隔壁120により仕切られている。複数の貫通孔110は、複数の貫通孔110aと、貫通孔110aに隣接する複数の貫通孔110bとを有している。貫通孔110a及び貫通孔110bは、グリーンハニカム成形体100の両端面に略垂直に伸びている。
【0022】
貫通孔110a及び貫通孔110bの軸方向(長手方向)に略垂直な断面は、六角形状である。貫通孔110aの断面は、例えば、当該断面を形成する辺140の長さが互いに略等しい正六角形状であるが、扁平六角形状であってもよい。貫通孔110bの断面は、例えば扁平六角形状であるが、正六角形状であってもよい。貫通孔110bの断面において互いに対向する辺の長さは、互いに略等しい。貫通孔110bの断面は、当該断面を形成する辺150として、互いに長さの略等しい二つ(一対)の長辺150aと、互いに長さの略等しい四つ(二対)の短辺150bと、を有している。短辺150bは、長辺150aの両側にそれぞれ配置されている。長辺150a同士は、互いに略平行に対向しており、短辺150b同士は、互いに略平行に対向している。
【0023】
隔壁120は、貫通孔110a及び貫通孔110bを仕切る部分として隔壁120aを有している。すなわち、貫通孔110a及び貫通孔110bは、隔壁120aを介して互いに隣接している。隣接する貫通孔110aの間に一つの貫通孔110bが配置されることにより、貫通孔110aは、貫通孔110aの配列方向(辺140に略直交する方向)において貫通孔110bと交互に配置されている。
【0024】
貫通孔110aの辺140のそれぞれは、複数の貫通孔110bのいずれか一つの貫通孔の長辺150aと略平行に対向している。すなわち、貫通孔110aを形成する壁面のそれぞれは、貫通孔110a及び貫通孔110bの間に位置する隔壁120aにおいて、貫通孔110bを形成する一壁面と略平行に対向している。また、貫通孔110は、1つの貫通孔110aと、当該貫通孔110aを囲む6つの貫通孔110bとを含む構成単位を有しており、当該構成単位において、貫通孔110aの辺140の全てが貫通孔110bの長辺150aと対向している。グリーンハニカム成形体100では、貫通孔110aの辺140の少なくとも一つの長さが、対向する長辺150aの長さと略等しくてもよく、辺140のそれぞれの長さが、対向する長辺150aの長さと略等しくてもよい。
【0025】
隔壁120は、互いに隣接する貫通孔110b同士を仕切る部分として隔壁120bを有している。すなわち、貫通孔110aを囲む貫通孔110b同士は、隔壁120bを介して互いに隣接している。
【0026】
貫通孔110bの短辺150bのそれぞれは、隣接する貫通孔110bの短辺150bと略平行に対向している。すなわち、貫通孔110bを形成する壁面は、隣接する貫通孔110bの間に位置する隔壁120bにおいて互いに略平行に対向している。グリーンハニカム成形体100では、隣接する貫通孔110bの間において、貫通孔110bの短辺150bの少なくとも一つの長さが、対向する短辺150bの長さと略等しくてもよく、短辺150bのそれぞれの長さが、対向する短辺150bの長さと略等しくてもよい。
【0027】
貫通孔110a,110bの長手方向におけるグリーンハニカム成形体100の長さは、例えば50〜400mmである。グリーンハニカム成形体100の外径は、例えば50〜400mmである。1つの貫通孔110aと当該貫通孔110aを囲む貫通孔110bとを含む構成単位において、辺140の長さは、例えば0.2〜5.0mmである。上記構成単位において、貫通孔110bの長辺150aの長さは例えば0.2〜5.0mmであり、貫通孔110bの短辺150bの長さは例えば0.1〜4.5mmである。隔壁120の厚み(セル壁厚)は、例えば0.1〜5.0mmである。
【0028】
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態に係るグリーンハニカム成形体を模式的に示す図であり、
図3(b)は、
図3(a)における領域R2の拡大図である。
図4は、
図3のIV−IV矢視図である。グリーンハニカム成形体200は、
図3,4に示すように、互いに略平行に配置された複数の貫通孔210を有する円柱体である。複数の貫通孔210は、グリーンハニカム成形体200の中心軸に略平行に伸びる隔壁220により仕切られている。複数の貫通孔210は、複数の貫通孔210aと、貫通孔210aに隣接する複数の貫通孔210bとを有している。貫通孔210a及び貫通孔210bは、グリーンハニカム成形体200の両端面に略垂直に伸びている。
【0029】
貫通孔210a及び貫通孔210bの軸方向(長手方向)に略垂直な断面は、六角形状である。貫通孔210aの断面は、例えば、当該断面を形成する辺240の長さが互いに略等しい正六角形状であるが、扁平六角形状であってもよい。貫通孔210bの断面は、例えば扁平六角形状であるが、正六角形状であってもよい。貫通孔210bの断面において互いに対向する辺の長さは、互いに異なっている。貫通孔210bの断面は、当該断面を形成する辺250として、互いに長さの略等しい三つの長辺250aと、互いに長さの略等しい三つの短辺250bと、を有している。長辺250a及び短辺250bは、互いに略平行に対向しており、短辺250bは、長辺250aの両側にそれぞれ配置されている。
【0030】
隔壁220は、貫通孔210a及び貫通孔210bを仕切る部分として隔壁220aを有している。すなわち、貫通孔210a及び貫通孔210bは、隔壁220aを介して互いに隣接している。隣接する貫通孔210aの間には、当該貫通孔210aの配列方向に略直交する方向に隣接する二つの貫通孔210bが配置されており、当該隣接する二つの貫通孔210bは、隣接する貫通孔210aの断面の中心同士を結ぶ線を挟んで対称に配置されている。
【0031】
貫通孔210aの辺240のそれぞれは、複数の貫通孔210bのいずれか一つの貫通孔の長辺250aと略平行に対向している。すなわち、貫通孔210aを形成する壁面のそれぞれは、貫通孔210a及び貫通孔210bの間に位置する隔壁220aにおいて、貫通孔210bを形成する一壁面と略平行に対向している。また、貫通孔210は、1つの貫通孔210aと、当該貫通孔210aを囲む6つの貫通孔210bとを含む構成単位を有しており、当該構成単位において、貫通孔210aの辺240の全てが貫通孔210bの長辺250aと対向している。貫通孔210aの断面の各頂点は、隣接する貫通孔210aの頂点と貫通孔210aの配列方向に対向している。グリーンハニカム成形体200では、貫通孔210aの辺240の少なくとも一つの長さが、対向する長辺250aの長さと略等しくてもよく、辺240のそれぞれの長さが、対向する長辺250aの長さと略等しくてもよい。
【0032】
隔壁220は、互いに隣接する貫通孔210b同士を仕切る部分として隔壁220bを有している。すなわち、貫通孔210aを囲む貫通孔210b同士は、隔壁220bを介して互いに隣接している。
【0033】
貫通孔210bの短辺250bのそれぞれは、隣接する貫通孔210bの短辺250bと略平行に対向している。すなわち、貫通孔210bを形成する壁面は、隣接する貫通孔210bの間に位置する隔壁220bにおいて互いに略平行に対向している。また、1つの貫通孔210bは、3つの貫通孔210aに囲まれている。グリーンハニカム成形体200では、隣接する貫通孔210bの間において、貫通孔210bの短辺250bの少なくとも一つの長さが、対向する短辺250bの長さと略等しくてもよく、短辺250bのそれぞれの長さが、対向する短辺250bの長さと略等しくてもよい。
【0034】
貫通孔210a,210bの長手方向におけるグリーンハニカム成形体200の長さは、例えば50〜400mmである。グリーンハニカム成形体200の外径は、例えば50〜400mmである。1つの貫通孔210aと当該貫通孔210aを囲む貫通孔210bとを含む構成単位において、辺240の長さは、例えば0.2〜5.0mmである。上記構成単位において、貫通孔210bの長辺250aの長さは例えば0.2〜5.0mmであり、貫通孔210bの短辺250bの長さは例えば0.1〜4.5mmである。隔壁220の厚み(セル壁厚)は、例えば0.1〜5.0mmである。
【0035】
グリーンハニカム成形体100,200の材質は、特に限定されない。グリーンハニカム成形体100,200は、例えば、焼成することによりセラミクスとなる無機化合物粉末を含み、必要に応じて、有機バインダや添加剤を更に含むことができる。セラミクスとしては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス及びチタン酸アルミニウム等の酸化物;シリコンカーバイド;窒化珪素などが挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。
【0036】
例えば、チタン酸アルミニウムのハニカム焼成体を得る場合、無機化合物粉末は、αアルミナ粉末等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末を含み、必要に応じて、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末、及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を更に含むことができる。
【0037】
有機バインダとしては、例えば、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース等のセルロース類;ポリビニルアルコール等のアルコール類;リグニンスルホン酸塩が挙げられる。有機バインダの添加量は、例えば、無機化合物粉末100質量部に対して0.1〜20質量部である。
【0038】
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤、可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
【0039】
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーン等の植物材料;氷;ドライアイスなどが挙げられる。造孔剤の添加量は、例えば、無機化合物粉末100質量部に対して0〜40質量部である。
【0040】
潤滑剤としては、グリセリン等のアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸Al等のステアリン酸金属塩などが挙げられる。潤滑剤の添加量は、例えば、無機化合物粉末100質量部に対して0〜10質量部である。
【0041】
可塑剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。市販品としては、例えば、日油株式会社製「ユニルーブ50MB−72」(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、20℃における粘度が1020mPa・s)、日油株式会社製「ユニルーブ50MB−168」(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、20℃における粘度が2880mPa・s)が挙げられる。可塑剤の添加量は、例えば、無機化合物粉末100質量部に対して0.1〜20質量部である。
【0042】
分散剤としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸;ポリカルボン酸アンモニウム等の界面活性剤などが挙げられる。分散剤の添加量は、例えば、無機化合物粉末100質量部に対して0〜20質量部である。
【0043】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール類;水などが挙げられる。これらの中でも、水が好ましく、不純物が少ない点で、イオン交換水がより好ましい。溶媒の添加量は、例えば、無機化合物粉末100質量部に対して10〜100質量部である。
【0044】
なお、グリーンハニカム成形体は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、グリーンハニカム成形体の形状は特に限定されず、用途に応じて任意の形状を取ることができる。例えば、貫通孔の軸方向(長手方向)に略垂直な当該貫通孔の断面は六角形状であることに限定されず、矩形状、八角形状、三角形状、円形状、楕円形状等であってもよい。また、貫通孔には、径の異なるものが混在していてもよく、断面形状の異なるものが混在していてもよい。また、貫通孔の配置は特に限定されるものではなく、貫通孔の中心軸の配置は、正方形の頂点に配置される正方形配置、正三角形の頂点に配置される正三角形配置、及び、千鳥配置等であってもよい。さらに、グリーンハニカム成形体は、円柱体に限られず、楕円柱、三角柱、四角柱、六角柱、八角柱等であってもよい。
【0045】
<グリーンハニカム成形体の製造装置>
図5は、第1実施形態に係るグリーンハニカム成形体の製造装置を示す模式断面図である。
図5に示すグリーンハニカム成形体の製造装置400では、溶媒を含む原料混合物を成形して得られた未乾燥のグリーン体300を乾燥した後に冷却して、グリーンハニカム成形体100,200を得る。グリーン体300は、グリーンハニカム成形体100,200と同様にハニカム状であり、複数の貫通孔300aを有している。貫通孔300aは、隔壁300bにより仕切られている。
【0046】
製造装置400は、乾燥部420及び冷却部440を備えている。製造装置400では、グリーン体300の乾燥及び冷却が、異なる容器内で行なわれる。乾燥部420及び冷却部440は互いに隣接しており、グリーン体300の乾燥及び冷却は連続して行なわれる。製造装置400では、例えば、グリーン体300を搬送しつつグリーン体300を乾燥及び冷却する。
【0047】
乾燥部420は、グリーン体300を収容する容器422と、グリーン体300を搬送するローラコンベア(搬送手段)424と、容器422内にマイクロ波Mを供給するマイクロ波加熱装置(加熱手段)426と、容器422内に熱風(熱媒)HWを供給する送風機(加熱手段)428と、容器422内に水蒸気を供給する水蒸気供給装置430とを備えている。
【0048】
容器422は、ローラコンベア424、マイクロ波加熱装置426及び送風機428を収容している。容器422は、マイクロ波を遮蔽する観点から、例えば、ステンレス等の金属から構成されている。容器422の底面には、水蒸気供給装置430から水蒸気を供給するための導入管432が接続されている。容器422の上面には、容器422内の雰囲気ガスを外部に排出するための排出管434が接続されている。
【0049】
ローラコンベア424は、容器422内の下部に配置されている。ローラコンベア424は、搬送方向(例えば水平方向)D1に複数配列されたローラ424aを有している。ローラ424aは、例えば、搬送方向D1及び鉛直方向D2に垂直な方向D3に延びる長尺状のローラである。ローラコンベア424は、例えば、載置台310に載置されたグリーン体300を搬送方向D1に搬送する。グリーン体300は、貫通孔300aが鉛直方向D2に延在する状態でローラコンベア424により搬送される。
【0050】
載置台310は、例えばセラミクスから形成されている。載置台310には、グリーン体300が一つ載置されていてもよく、複数のグリーン体300が載置されていてもよい。載置台310には、通風孔が形成されており、送風機428から供給される熱風HWや、後述する送風機446から供給される冷風CWが当該通風孔を通過してグリーン体300の貫通孔300aに供給される。また、載置台310における通風孔の数や位置を調節することにより、熱風HWや冷風CWの供給効率を調整することができる。さらに、載置台310間のグリーン体300が配置されていない領域を遮蔽板等により遮蔽することにより、熱風HWや冷風CWを効率よくグリーン体300へ供給することができる。
【0051】
マイクロ波加熱装置426は、容器422内において容器422の上面に配置されており、搬送方向D1に沿って延在している。マイクロ波加熱装置426は、グリーン体300にマイクロ波Mを照射することにより、グリーン体300をマイクロ波加熱して乾燥する。マイクロ波Mの波長は、グリーン体300を加熱できるものであれば特に限定されず、例えば0.3〜3GHzである。マイクロ波Mの出力は、特に限定されないが、例えば0.1〜50kWである。
【0052】
送風機428は、容器422の底面に配置されており、搬送方向D1に沿って延在している。送風機428は、例えば熱風供給装置である。送風機428は、グリーン体300の貫通孔300aに熱風HWを供給し、グリーン体300を加熱して乾燥する。送風機428は、例えば、貫通孔300aの軸方向に沿って熱風HWを供給しており、貫通孔300aが鉛直方向D2に延在している場合には、熱風HWを鉛直方向D2に供給する。熱風HWは、例えば空気である。熱風HWの供給量は、1〜50m
3/minが好ましく、1〜20m
3/minがより好ましい。熱風HWの温度は、30〜150℃が好ましく、40〜120℃がより好ましい。
【0053】
水蒸気供給装置430は、容器422の外部に配置されており、導入管432を介して容器422に接続されている。水蒸気供給装置430は、容器422内に水蒸気を供給し、グリーン体300の周りを水蒸気が存在する雰囲気下に維持することができる。水蒸気の供給条件は、特に限定されないが、水蒸気の温度は例えば80〜120℃であり、水蒸気の供給量は、例えば0.1〜5m
3/minである。
【0054】
冷却部440は、グリーン体300を収容する容器442と、グリーン体300を搬送するローラコンベア(搬送手段)444と、容器442内に冷風(冷媒)CWを供給する送風機(冷却手段)446と、を備えている。
【0055】
容器442は、容器422に接続されており、ローラコンベア444及び送風機446を収容している。容器442は、例えば、ステンレス等の金属から構成されている。
【0056】
ローラコンベア444は、容器442内の下部に配置されており、ローラコンベア424と連続するように配置されている。ローラコンベア444は、搬送方向D1に複数配列されたローラ444aを有している。ローラ444aは、例えば、方向D3に延びる長尺状のローラである。ローラコンベア444は、載置台310に載置されたグリーン体300を搬送方向D1に搬送する。グリーン体300は、例えば、貫通孔300aが鉛直方向D2に延在する状態でローラコンベア444により搬送される。
【0057】
送風機446は、容器442の底面に配置されており、搬送方向D1に沿って延在している。送風機446は、例えば冷風供給装置である。送風機446は、グリーン体300の貫通孔300aに冷風CWを供給し、グリーン体300を冷却する。送風機446は、例えば、貫通孔300aの軸方向に沿って冷風CWを供給しており、貫通孔300aが鉛直方向D2に延在している場合には、冷風CWを鉛直方向D2に供給する。冷風CWは、例えば空気である。冷風CWの供給量は、1〜50m
3/minが好ましく、1〜30m
3/minがより好ましい。冷風CWの温度は、10〜40℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
【0058】
図6は、第2実施形態に係るグリーンハニカム成形体の製造装置を示す模式断面図である。
図6に示すグリーンハニカム成形体の製造装置500では、製造装置400と同様に、グリーン体300を乾燥した後に冷却して、グリーンハニカム成形体100,200を得る。製造装置500では、グリーン体300の乾燥及び冷却が、同一の容器内で行なわれる。製造装置500では、例えば、グリーン体300を搬送しつつ、グリーン体300を冷却する。
【0059】
製造装置500は、グリーン体300を収容する容器502と、グリーン体300を搬送するローラコンベア(搬送手段)504と、容器502内にマイクロ波Mを供給するマイクロ波加熱装置(加熱手段)506と、容器502内に冷風(冷媒)CWを供給する送風機(冷却手段)508と、容器502内に水蒸気を供給する水蒸気供給装置510とを備えている。製造装置500は、製造装置400の乾燥部420が、送風機428に代えて送風機446を備える構成を有している。
【0060】
容器502は、ローラコンベア504、マイクロ波加熱装置506及び送風機508を収容している。容器502は、マイクロ波を遮蔽する観点から、例えば、ステンレス等の金属から構成されている。容器502の底面には、水蒸気供給装置510から水蒸気を供給するための導入管512が接続されている。容器502の上面には、容器502内の雰囲気ガスを外部に排出するための排出管514が接続されている。
【0061】
ローラコンベア504、マイクロ波加熱装置506、送風機508及び水蒸気供給装置510としては、製造装置400のローラコンベア424、マイクロ波加熱装置426、送風機446及び水蒸気供給装置430をそれぞれ用いることができる。ローラコンベア504は、搬送方向D1に複数配列されたローラ504aを有している。なお、製造装置500における乾燥条件及び冷却条件としては、製造装置400と同様の条件を採用することができる。
【0062】
なお、製造装置400,500において、グリーン体300の供給方式は、複数のグリーン体を一括して搬送するバッチ式であってもよく、単一のグリーン体が順次搬送される枚葉式であってもよい。グリーン体300は、搬送動作が連続的に行われて連続的に搬送されてもよく、搬送動作が断続的に行われて断続的に搬送されてもよい。
【0063】
上記製造装置400では、冷却部440において、ローラコンベア444によりグリーン体300を搬送しつつ、送風機446によりグリーン体300の貫通孔300aに冷風CWを供給してグリーン体300を冷却することができる。また、製造装置500では、ローラコンベア504によりグリーン体300を搬送しつつ、送風機508によりグリーン体300の貫通孔300aに冷風CWを供給してグリーン体300を冷却することができる。このような製造装置400,500では、グリーン体300の冷却及び搬送を同時に行うことができる。この場合、グリーンハニカム成形体の製造工程を簡略化することができるため、グリーンハニカム成形体を効率よく得ることができる。
【0064】
また、製造装置400,500では、グリーン体300を強制的に冷却することにより、グリーン体300を自然冷却する場合に比してグリーン体300の冷却に要する所要時間を短縮できる。これにより、グリーンハニカム成形体100,200の製造に要する時間を短縮することもできる。
【0065】
さらに、製造装置400では、乾燥部420において、マイクロ波加熱装置426及び送風機428によりグリーン体300を加熱して乾燥した後に、冷却部440において、送風機446によりグリーン体300の貫通孔300aに冷風CWを供給してグリーン体300を冷却することができる。また、製造装置500では、マイクロ波加熱装置506によりグリーン体300を加熱して乾燥した後に、送風機508によりグリーン体300の貫通孔300aに冷風CWを供給してグリーン体300を冷却することができる。このような製造装置400,500では、グリーン体300を自然冷却する場合に比してグリーン体300が高温状態に保持される時間が短縮され、グリーン体300の自重等によりグリーン体300に変形や破損が生じることを抑制することができる。また、製造装置400,500では、当該製造装置により得られるグリーンハニカム成形体100,200を加工する場合であっても、グリーンハニカム成形体100,200が高温状態において加工されることが抑制されるため、グリーンハニカム成形体100,200に変形や破損が生じることを抑制することができる。したがって、製造装置400,500では、冷却時及び加工時における変形や破損を抑制することができることから、グリーンハニカム成形体100,200の寸法精度を向上させることができる。
【0066】
また、製造装置400,500では、製造装置400,500が水蒸気供給装置430,510を備えていることにより、グリーン体300の周りを水蒸気が存在する雰囲気下に維持しつつグリーン体300を加熱することができる。これにより、グリーン体300の外周部が中央部よりも過度に乾燥することが抑制されるため、乾燥速度のムラを低減でき、乾燥に伴うグリーン体300の変形や破損を抑制できる。したがって、グリーンハニカム成形体100,200の寸法精度を更に向上させることができる。
【0067】
なお、グリーンハニカム成形体の製造装置の構成は、製造装置400,500の構成に限られるものではない。例えば、製造装置400は、マイクロ波加熱装置426及び送風機428のいずれか一方のみを有していてもよい。また、製造装置500は、マイクロ波加熱装置506に代えて、熱風を供給する送風機を備えていてもよい。加熱手段としては、マイクロ波加熱装置や、熱風を供給する送風機に代えて、遠赤外線加熱ヒーター等を用いることができる。製造装置400,500は、水蒸気供給装置430,510を備えていなくてもよい。
【0068】
また、冷却手段としては、冷風を供給する送風機446,508に代えて、冷蔵装置等を用いることができる。冷却手段は、グリーン体300の搬送方向D1への搬送に追随して搬送方向D1に移動してもよい。冷媒は、連続的に供給されてもよく、断続的に供給されてもよい。例えば、冷却手段の冷媒供給口の近辺をグリーン体300が通過している場合にのみ当該冷媒供給口から冷媒が噴射されてもよい。さらに、冷却手段は、グリーン体300を冷却する機能に加え、グリーン体300を加熱する機能を更に有していてもよい。
【0069】
また、製造装置400,500の構成部材の配置位置は、上記の配置位置に限定されない。例えば、加熱手段や冷却手段は、容器422,502の上面及び底面のいずれか一方にのみ配置されていてもよく、上面及び底面の両方に配置されていてもよい。
【0070】
また、グリーン体300は、載置台310に載置されることなく、ローラコンベア424,444,504に直接接触した状態で搬送されてもよい。また、グリーン体300の搬送手段は、グリーン体300を搬送方向D1に搬送可能であればよく、回転駆動するコロ式のホイールが搬送方向D1に沿って配列されてなるホイールコンベアであってもよい。この場合、ホイールが搬送方向D1に沿って一列に配列されてなるホイール群が方向D3に複数配置されていてもよく、ホイールが搬送方向D1に沿って千鳥状に配置されていてもよい。また、ホイールが搬送方向D1に沿って一列に配列されてなるホイール群が、グリーン体300や載置台310の縁部を支持するように、方向D3に互いに離隔して一対配置されていてもよい。この場合、グリーン体300に冷媒を効率よく供給することができる。さらに、搬送手段としては、メッシュベルト、ベルトコンベア、又は、グリーン体300を把持するアームを用いてもよい。
【0071】
<グリーンハニカム成形体の製造方法>
本実施形態に係るグリーンハニカム成形体の製造方法は、例えば、成形工程と、乾燥工程と、冷却工程とをこの順に備えている。乾燥工程及び冷却工程では、上記グリーンハニカム成形体の製造装置400,500を用いることができる。
【0072】
成形工程では、例えば、以下の手順によりグリーン体300を得る。まず、無機化合物粉末及び溶媒と、必要に応じて添加される有機バインダ及び添加物とを用意する。次に、これらを混練機等により混合して原料混合物を得た後、グリーン体の隔壁の断面形状に対応する出口開口を有する押出機から原料混合物を押し出して成形体を得る。そして、成形体を所望の長さに切ることにより、未乾燥のグリーン体300を得る。
【0073】
乾燥工程では、成形工程で得られたグリーン体300を加熱して乾燥する。そして、冷却工程では、乾燥工程で加熱されたグリーン体300を搬送しつつグリーン体300の貫通孔300aに冷媒を供給してグリーン体300を冷却する。以下、乾燥工程及び冷却工程について、製造装置400,500を用いる場合についてそれぞれ説明する。なお、乾燥工程における乾燥条件及び冷却工程における冷却条件としては、製造装置400,500に関して上述した条件を採用することができる。
【0074】
まず、製造装置400を用いる場合について説明する。製造装置400において乾燥工程は、乾燥部420で行われる。乾燥工程では、まず、水蒸気供給装置430から水蒸気が供給された容器422内において、ローラコンベア424上にグリーン体300を載置する。グリーン体300は、例えば、貫通孔300aが鉛直方向D2に延在するように載置される。
【0075】
次に、ローラ424aの回転駆動に伴いグリーン体300を搬送方向D1に搬送しつつ、グリーン体300を加熱して乾燥する。製造装置400では、グリーン体300を搬送方向D1に搬送しつつ、マイクロ波加熱装置426からマイクロ波Mをグリーン体300に照射してグリーン体300をマイクロ波加熱すると共に、送風機428からグリーン体300の貫通孔300aに熱風HWを供給してグリーン体300を加熱する。これにより、グリーン体300が加熱されてグリーン体300中の液体成分(例えば溶媒)の少なくとも一部が除去されてグリーン体300が乾燥する。熱風HWは、例えば、グリーン体300の底面側から貫通孔300aに供給される。乾燥工程で加熱されたグリーン体300は、ローラコンベア424により冷却部440の容器442へ搬送される。
【0076】
冷却工程は、冷却部440において行われる。冷却工程では、ローラコンベア444におけるローラ444aの回転駆動に伴いグリーン体300を搬送方向D1に搬送しつつ、送風機446からグリーン体300の貫通孔300aに冷風CWを供給してグリーン体300を冷却する。冷風CWは、例えば、グリーン体300の底面側から貫通孔300aに供給される。グリーン体300は、変形や破損を更に抑制し得る温度として、例えば35℃以下に冷却される。以上により、グリーンハニカム成形体100,200が得られる。
【0077】
次に、製造装置500を用いる場合について説明する。製造装置500では、容器502において乾燥工程及び冷却工程が行われる。
【0078】
乾燥工程では、まず、水蒸気供給装置510から水蒸気が供給された容器502内において、ローラコンベア504により複数のグリーン体300を搬送して、グリーン体300を容器502内に収容する。グリーン体300は、例えば、貫通孔300aが鉛直方向D2に延在する状態で搬送される。乾燥及び冷却する対象のグリーン体300を容器502内に収容した後に、ローラコンベア504の動作を停止させる。
【0079】
次に、グリーン体300を静置させた状態で、マイクロ波加熱装置506からグリーン体300にマイクロ波Mを照射してマイクロ波加熱することによりグリーン体300を加熱する。これにより、グリーン体300が加熱されてグリーン体300中の液体成分(例えば溶媒)の少なくとも一部が除去されてグリーン体300が乾燥する。
【0080】
続いて、マイクロ波Mの照射及び水蒸気供給装置510からの水蒸気の供給を停止した後、ローラコンベア504を動作させる。そして、ローラコンベア504におけるローラ504aの回転駆動に伴いグリーン体300を搬送方向D1に搬送しつつ、送風機508からグリーン体300の貫通孔300aに冷風CWを供給してグリーン体300を冷却する。冷風CWは、例えば、グリーン体300の底面側から貫通孔300aに供給される。グリーン体300は、変形や破損を更に抑制し得る温度として、例えば35℃以下に冷却される。以上により、グリーンハニカム成形体100,200が得られる。
【0081】
製造装置400,500を用いた乾燥工程において、グリーン体300の加熱温度は、70℃以上が好ましく、80〜95℃がより好ましく、85〜95℃が更に好ましい。乾燥時間は、例えば、一つのグリーン体300あたり1〜10分である。グリーン体300の中心部及び外周部のいずれもが上記範囲に加熱されることが好ましい。グリーン体300には、出力を一定に保持してマイクロ波Mが照射されてもよく、連続的に又は多段階に出力を変化させてマイクロ波Mが照射されてもよい。
【0082】
グリーン体300の貫通孔300aが、グリーン体300の中心部に配置された第1の貫通孔と、当該第1の貫通孔よりもグリーン体300の外周側に配置された第2の貫通孔と、を有している場合、製造装置400,500を用いた冷却工程において、第1の貫通孔に供給される冷媒の温度は、第2の貫通孔に供給される冷媒の温度よりも低く調整されていてもよい。例えば、第1の貫通孔からグリーン体300の外周側に向かって同心円状に冷媒の温度が変化していてもよい。
【0083】
なお、乾燥工程では、グリーン体300を静止させた状態でグリーン体300を加熱して乾燥させてもよく、グリーン体300を搬送させつつグリーン体300を加熱して乾燥させてもよい。
【0084】
また、上記グリーンハニカム成形体の製造方法は、冷却工程の後に、グリーンハニカム成形体100,200を切断することや、グリーンハニカム成形体100,200の貫通孔を封口材で封口すること等により、グリーンハニカム成形体を加工する加工工程を更に備えていてもよい。本実施形態では、冷却工程を経てグリーンハニカム成形体100,200が得られているため、加工工程においてグリーンハニカム成形体100,200が変形することや破損することを抑制することができる。
【0085】
上記グリーンハニカム成形体の製造方法では、グリーン体300を搬送しつつ、グリーン体300の貫通孔300aに冷風CWを供給してグリーン体300を冷却することにより、グリーン体300の冷却及び搬送を同時に行うことができる。これにより、グリーンハニカム成形体100,200の製造工程を簡略化することができるため、グリーンハニカム成形体100,200を効率よく得ることができる。
【0086】
また、上記グリーンハニカム成形体の製造方法では、グリーン体300を強制的に冷却することにより、グリーン体300を自然冷却する場合に比してグリーン体300の冷却に要する所要時間を短縮できる。これにより、グリーンハニカム成形体100,200の製造に要する時間を短縮することもできる。
【0087】
さらに、上記グリーンハニカム成形体の製造方法は、乾燥工程の後に、グリーン体300の貫通孔300aに冷風CWを供給してグリーン体300を冷却する冷却工程を備えており、乾燥工程において加熱されたグリーン体300が冷却工程において冷却される。これにより、グリーン体300を自然冷却する場合に比してグリーン体300が高温状態に保持される時間が短縮され、グリーン体300の自重等によりグリーン体300に変形や破損が生じることを抑制することができる。また、グリーンハニカム成形体100,200を加工する場合であっても、グリーンハニカム成形体100,200が高温状態において加工されることが抑制されるため、グリーンハニカム成形体100,200に変形や破損が生じることを抑制することができる。したがって、冷却時及び加工時における変形や破損を抑制することができることから、グリーンハニカム成形体100,200の寸法精度を向上させることができる。
【0088】
また、水蒸気供給装置430,510によりグリーン体300の周りを水蒸気が存在する雰囲気下に維持しつつグリーン体300を加熱することにより、グリーン体300の外周部が中央部よりも過度に乾燥することが抑制される。これにより、乾燥速度のムラを低減でき、乾燥に伴うグリーン体300の変形や破損を抑制できる。したがって、グリーンハニカム成形体100,200の寸法精度を更に向上させることができる。
【0089】
<ハニカム焼成体の製造方法>
本実施形態に係るハニカム焼成体の製造方法は、上記グリーンハニカム成形体の製造方法により得られたグリーンハニカム成形体100,200を焼成してハニカム焼成体を得る焼成工程を備えている。焼成温度は、例えば1200〜1800℃である。これにより、グリーンハニカム成形体100,200と略同形状のハニカム焼成体が得られる。
【0090】
[実験例]
以下、グリーン体を加熱して乾燥した後にグリーン体を強制的に冷却することにより成形体の変形や破損を抑制することができることを実験例により示す。
【0091】
<原料混合物の調製>
Al
2O
3粉末、TiO
2粉末、MgO粉末、SiO
2粉末、造孔剤、有機バインダ、可塑剤、潤滑剤及び水を含む原料混合物を調製した。原料混合物中の各成分の含有量は下記のとおりである。
[原料混合物の成分]
Al
2O
3粉末:28.2質量部
TiO
2粉末:27.9質量部
MgO粉末:1.5質量部
SiO
2粉末:2.3質量部
造孔剤:ポテトスターチ、9.1質量部
有機バインダ:メチルセルロース、5.9質量部
可塑剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、3.5質量部
潤滑剤:グリセリン、0.3質量部
水:21.3質量部
【0092】
上記の原料混合物を混練した後に押出成形することにより、
図3,4に示す構造と同様のハニカム構造を有する成形体A(セル密度:320cpsi、セル壁厚:0.335mm)を作製した。成形体Aは、長さ240mmの円柱体であり、長手方向に延在する多数の貫通孔(断面形状:六角形状)を有していた。正六角形状の断面を有する貫通孔の一辺の長さは0.84mmであった。扁平六角形状の断面を有する貫通孔における長辺の長さは0.84mmであり、短辺の長さは0.71mmであった。
【0093】
続いて、貫通孔が鉛直方向に延在するように成形体Aを受け台に載置した後、成形体Aが静置した状態で、成形体Aを加熱して乾燥させた。成形体Aにマイクロ波を照射して成形体Aをマイクロ波加熱しつつ、成形体Aの底面側から貫通孔に熱風(空気、40℃、4m
3/min)を供給して成形体Aを加熱した。マイクロ波の照射は、24kWで7.3分、16.4kWで7.3分、及び、9.6kWで1分の順に周波数2.45GHzで行なった。乾燥時間は、一つの成形体Aあたり1.2分であった。成形体Aを加熱することにより、成形体Aの中心部は95℃に加熱され、外周部は90℃に加熱された。なお、「中心部」として、成形体Aの中心軸上における成形体Aの上端面から120mmの位置を採用し、「外周部」として、上端面から120mmの面内における成形体Aの外周から中心に向かって10mmの位置を採用した。
【0094】
<実験例1>
乾燥させた成形体Aの底面側から貫通孔に冷風(空気、23℃、1.11m
3/min)を供給して成形体Aを冷却した。上記中心部及び外周部の冷却時における温度変化を測定した結果を
図7に示す。中心部の温度は、外周部の温度よりも高く推移していることが確認された。中心部の温度は、5分程度で充分に冷却されて35℃に達していることが確認された。成形体Aを冷却して得られたグリーンハニカム成形体の内部に変形や破損は確認されなかった。
【0095】
<実験例2>
乾燥させた成形体Aを自然冷却させた。上記中心部及び外周部の温度変化を測定したところ、中心部の温度が35℃に達するまでに90分を要することが確認された。
【0096】
<寸法精度測定>
実験例1及び実験例2の成形体Aを冷却して得られたグリーンハニカム成形体のそれぞれを切断して、長さ169mmのハニカム形状の成形体Bを得た。得られた成形体Bについて、寸法精度として平均直径、直角度、真円度及び円筒度を測定した。各測定項目について以下に示す。
【0097】
(平均直径)
成形体Bの一端面から長手方向に2mm、21mm、39mm、57mm、76mm、94mm、112mm、130mm、149mm及び167mmのそれぞれの測定高さの面内において、面の中心を通過する直径の長さを周方向(0〜360°)に測定した。また、各測定高さの面内における平均直径を測定した。実験例1の成形体Bの測定結果を
図8に示し、実験例2の成形体Bの測定結果を
図9に示す。
図8(a)及び
図9(a)は、各測定高さにおける周方向の直径の測定結果である。
図8(b)及び
図9(b)は、各測定高さの面内における平均直径の測定結果である。各測定高さの面内における平均直径の平均値を算出したところ、実験例1では157.1424mmであり、実験例2では157.3208mmであり、両者は同等であった。
【0098】
(直角度)
「直角度」は、JIS B 0021で規定される値である。成形体Bが歪んでおらず、成形体Bの長手方向が成形体Bの底面に対して垂直である場合には、直角度は0mmである。実験例1の成形体Bの直角度は1.49mmであり、実験例2の成形体Bの直角度は2.25mmであった。実験例1では、実験例2に比して寸法精度が高いことが確認された。
【0099】
(真円度)
成形体Bの上面の真円度を測定した。実験例1の真円度は1.05mmであり、実験例2の真円度は1.08mmであり、両者は同等であった。
【0100】
(円筒度)
「円筒度」は、JIS B 0021で規定される値である。成形体Bが歪んでいない場合には、円筒度は0mmである。実験例1の円筒度は、2.21335mmであり、実験例2の円筒度は、2.74405mmであった。実験例1では、実験例2に比して寸法精度が高いことが確認された。
【0101】
寸法精度測定の結果より、実験例1では、実験例2に比して寸法精度が高いことが確認された。