(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に形成されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって多数の矩形領域を区画し、該矩形領域の各々にIC,LSI等のデバイスを形成する。このように多数のデバイスが形成された半導体ウエーハをストリートに沿って分割することにより、個々のデバイスを形成する。デバイスの小型化および軽量化を図るために、通常、半導体ウエーハをストリートに沿って切断して個々のデバイスに分割する前に、半導体ウエーハの裏面を研削して所定の厚みに形成している。
【0003】
しかるに、ウエーハの外周には面取り部が形成されているので、ウエーハの裏面を研削して所定の厚みまで薄くすると、残存する面取り部が鋭利な所謂ナイフエッジの形態となり、危険であるとともにウエーハを研削している際にナイフエッジから亀裂が入りウエーハが損傷するという問題がある。このような問題を解消するために、ウエーハの面取り部を切削して除去し、面取り部が除去されたウエーハの裏面を研削して所定の厚みに形成する加工方法が実施されている。
【0004】
また、デバイスが形成されたウエーハの表面をガラス基板やシリコン基板等で支持した裏面照射型のCMOSイメージセンサ等の2層構造ウエーハ、または薄化後に次工程でのハンドリングが問題となるSi貫通電極(TSV)を有したデバイスが表面に形成されたウエーハをサブストレートで貼り合わせた2層構造ウエーハにおいてもウエーハの面取り部を除去することが有効である。
【0005】
なお、デバイスが形成されたウエーハの面取り部を切削して除去した後にウエーハの表面を基板に貼り合わせると、面取り部を切削して除去する際にウエーハの表面が汚染されているので、基板に貼り合わせる前にウエーハの表面を洗浄する必要がある。このため、デバイスが形成されたウエーハの表面を基板に貼り合わせた後に、ウエーハの面取り部を除去する。
【0006】
また、支持基板として機能する半導体ウエーハと、活性基板として機能する半導体ウエーハとを貼り合わせたSOI基板において、活性基板として機能する半導体ウエーハの面取り部を研削して除去する方法が下記特許文献1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
而して、上述したウエーハの表面を基板に貼り合わせた2層構造ウエーハにおいて、ウエーハの面取り部を除去する際に基板に傷を付けるとデバイスの品質を低下させるという問題がある。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ウエーハの表面を基板に貼り合わせた2層構造ウエーハにおけるウエーハの面取り部を除去する際に、基板に傷を付けることなく面取り部を除去することができるウエーハの面取り部除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、外周に面取り部が形成されたウエーハの表面を基板に貼り合わせた2層構造ウエーハにおけるウエーハの面取り部を除去するウエーハの面取り部除去装置であって、
被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルを回転駆動するチャックテーブル駆動モータと、該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物を研削する研削砥石を有する研削工具および該研削工具を回転駆動する研削工具駆動モータを備えた研削ユニットと、該研削ユニットと該チャックテーブルを保持面に対して垂直なZ軸方向に相対的に移動せしめるZ軸方向送り手段と、該研削ユニットと該チャックテーブルをZ軸方向に直交するY軸方向に相対的に移動せしめるY軸方向送り手段と、該研削工具のY軸方向位置を検出するためのY軸方向位置検出手段と、該研削工具のZ軸方向位置を検出するためのZ軸方向位置検出手段と、該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物の研削領域を撮像する撮像手段と、該チャックテーブルの保持面に保持された2層構造ウエーハにおけるウエーハと基板との境界部の高さ位置を検出する境界部高さ位置検出手段と、制御手段と、を具備し、
該制御手段は、該撮像手段を作動し該チャックテーブルの保持面に基板側が保持された2層構造ウエーハにおけるウエーハの除去すべき面取り部を検出する面取り部検出工程と、
該境界部高さ位置検出手段を作動するとともに該チャックテーブル駆動モータを作動して該チャックテーブルを回転し、ウエーハの除去すべき面取り部と基板との境界部の高さ位置を
複数の所定角度毎に検出する境界部高さ位置検出工程と、
該Y軸方向送り手段を作動して該該チャックテーブルに保持された2層構造ウエーハにおけるウエーハの除去すべき面取り部に該研削工具の研削砥石を位置付ける研削工具位置付け工程と、
該研削工具駆動モータを作動して該研削工具を回転駆動しつつ該チャックテーブル駆動モータを作動して該チャックテーブルを回転するとともに、該境界部高さ位置検出工程が実施されたウエーハの除去すべき面取り部と基板との境界部の
複数の所定角度毎の高さ位置情報に基づいて該Z軸方向送り手段を制御する面取り部除去工程を実施する、
ことを特徴とするウエーハの面取り部除去装置が提供される。
【0011】
上記研削工具の研削砥石の下端の高さ位置を検出するための研削砥石高さ位置検出手段を具備している。
また、上記研削工具の研削砥石の研削面をドレッシングするためのドレス手段を具備していることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるウエーハの面取り部除去装置は、チャックテーブルの保持面に保持された2層構造ウエーハにおけるウエーハと基板との境界部の高さ位置を検出する境界部高さ位置検出手段を作動してウエーハの除去すべき面取り部と基板との境界部の高さ位置を所定角度毎に検出し、研削工具を回転駆動しつつチャックテーブルを回転するとともに境界部高さ位置検出工程が実施されたウエーハの除去すべき面取り部と基板との境界部の所定角度毎の高さ位置情報に基づいてZ軸方向送り手段を制御するので、ウエーハが貼り合わされた基板を傷つけることなくウエーハに外周に形成された面取り部を除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によって構成されたウエーハの面取り部除去装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0015】
図1には、本発明によって構成されたウエーハの面取り部除去装置の斜視図が示されている。
図1に示されたウエーハの面取り部除去装置は、静止基台2を具備している。この静止基台2上には、被加工物を保持し矢印Xで示すX軸方向に移動せしめるチャックテーブル機構3が配設されている。
【0016】
図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、静止基台2の上面に配設された一対の案内レール31、31を備えている。この一対の案内レール31、31は、
図1においてX軸方向に沿って互いに平行に延設されている。この一対の案内レール31、31上には、チャックテーブル支持基台32が移動可能に配設されている。即ち、チャックテーブル支持基台32には一対の被案内溝321、321が設けられており、この被案内溝321、321を一対の案内レール31、31に嵌合することにより、チャックテーブル支持基台32は一対の案内レール31、31に沿って移動可能に構成される。
【0017】
チャックテーブル支持基台32上には円筒部材33が配設され、この円筒部材33の上端にチャックテーブル34が回転可能に配設されている。このチャックテーブル34は、チャックテーブル本体341と該チャックテーブル本体341の上面に配設された吸着チャック342とからなっており、チャックテーブル本体341が円筒部材33に回転可能に支持されている。吸着チャック342は多孔質セラミッックスの如き適宜の多孔性材料から構成されており、図示しない吸引手段に接続されている。従って、図示しない吸引手段を作動すると、吸着チャック342の上面である保持面に負圧が作用し、吸着チャック342の上面に載置された被加工物を吸引保持する。また、チャックテーブル34は、円筒部材33内に配設されたチャックテーブル駆動モータとしてのパルスモータ340によって適宜回動せしめられるようになっている。なお、円筒部材33の上端部には、チャックテーブル34を挿通する穴を有しチャックテーブル支持基台32を覆うカバー部材35が配設されている。
【0018】
図1に基づいて説明を続けると、図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、チャックテーブル34を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動させるためのX軸方向送り手段36を備えている。X軸方向送り手段36は、一対の案内レール31、31の間に平行に配設された雄ネジロッド361と、雄ネジロッド361の一端部を回転可能に支持する軸受362と、雄ネジロッド361の他端に連結され該雄ネジロッド361を正転または逆転駆動するパルスモータ363とからなっている。このように構成されたX軸方向送り手段36は、雄ネジロッド361が上記チャックテーブル支持基台32に形成された雌ネジ322に螺合される。従って、X軸方向送り手段36は、それぞれパルスモータ363を駆動して雄ネジロッド361を正転または逆転駆動することにより、上記チャックテーブル支持基台32に配設されたチャックテーブル34を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動することができる。
【0019】
図示の実施形態におけるウエーハの面取り部除去装置は、上記チャックテーブル34のX軸方向位置を検出するためのX軸方向位置検出手段37を備えている。X軸方向位置検出手段37は、案内レール31に沿って配設されたリニアスケール371と、チャックテーブル支持基台32に配設されチャックテーブル支持基台32とともにリニアスケール371に沿って移動する読み取りヘッド372とからなっている。このX軸方向位置検出手段37の読み取りヘッド372は、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントし、チャックテーブル34の基準位置からの移動量を検出することによりチャックテーブル34のX軸方向位置を検出する。
【0020】
図示の実施形態におけるウエーハの面取り部除去装置は、上記一対の案内レール31、31を跨いでX軸方向と直交する矢印Yで示すY軸方向に沿って配設された門型の支持フレーム4を備えている。この支持フレーム4は、一対の案内レール31、31に沿って移動可能に配設されたチャックテーブル34の移動を許容する開口40が設けられており、その前面4aには一対の案内レール41、41がY軸方向に沿って配設されている。このように構成された支持フレーム4の前面4aの上部に研削手段5が配設されている。研削手段5は、Y軸方向に移動可能に配設されたY軸方向移動基台51と、X軸方向およびY軸方向に対して垂直な矢印Zで示すZ軸方向(チャックテーブル34の保持面に対して垂直な方向)に移動可能に配設されたZ軸方向移動基台52および研削ユニット6を具備している。Y軸方向移動基台51は、後面51bに上記支持フレーム4に設けられた一対の案内レール41、41と嵌合する被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を一対の案内レール41、41に嵌合することにより一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動可能に構成される。なお、X軸方向移動基台51の前面51aには、上記チャックテーブル34の保持面に対して垂直なZ軸方向に沿って一対の案内レール512、512が設けられている。このように構成されたY軸方向移動基台51は、Y軸方向送り手段53によって一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動せしめられる。Y軸方向送り手段53は、一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド531と、雄ネジロッド531の一端部を回転可能に支持する軸受532と、雄ネジロッド531の他端に連結され該雄ネジロッド531を正転または逆転駆動するパルスモータ533とからなっている。このように構成されたY軸方向送り手段53は、雄ネジロッド531がY軸方向移動基台51の後面に突出して設けられた突出部に形成された雌ネジ(図示せず)に螺合される。従って、Y軸方向送り手段53は、パルスモータ533を駆動して雄ネジロッド531を正転または逆転駆動することにより、Y軸方向移動基台51上を一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動することができる。
【0021】
上記Z軸方向移動基台52は、後面52bに上記Y軸方向移動基台51の前面51aに設けられた一対の案内レール512、512と嵌合する被案内溝521、521が設けられており、この被案内溝521、521を一対の案内レール512、512に嵌合することにより一対の案内レール512、512に沿ってZ軸方向に移動可能に構成される。このように構成されたZ軸方向移動基台52は、Z軸方向送り手段54によって一対の案内レール512、512に沿ってZ軸方向に移動せしめられる。Z軸方向送り手段54は、一対の案内レール512、512の間に平行に配設された雄ネジロッド541と、雄ネジロッド541の一端部を回転可能に支持する軸受(図示せず)と、雄ネジロッド541の他端に連結され該雄ネジロッド541を正転または逆転駆動するパルスモータ543とからなっている。このように構成されたZ軸方向送り手段54は、雄ネジロッド541がZ軸方向移動基台52の後面に突出して設けられた突出部に形成された雌ネジ(図示せず)に螺合される。従って、Z軸方向送り手段54は、それぞれパルスモータ543を駆動して雄ネジロッド541を正転または逆転駆動することにより、Z軸方向移動基台52上を一対の案内レール512、512に沿ってZ軸方向に移動することができる。
【0022】
上記Z軸方向移動基台52の前面52aには、研削ユニット6を支持するための研削ユニット支持部材55が装着されている。この研削ユニット支持部材55はL字状に形成され、取り付け部551と、該取り付け部551の下端から直角に水平に延びる支持部552とからなっている。このように構成された研削ユニット支持部材55は、取り付け部551がZ軸方向移動基台52の前面52aに取り付けられる。取り付け部551は、Z軸方向に長い4個の長穴551aが設けられており、この4個の長穴551aをそれぞれ挿通して配設された締結ボルト553によってZ軸方向移動基台52の前面52aに取り付けられる。また、研削ユニット支持部材55を構成する支持部552にはX軸方向に長い4個の長穴552aが設けられており、この4個の長穴552aをそれぞれ挿通して配設された締結ボルト554によって支持部552の下面に研削ユニット6のスピンドルハウジング61を装着する。
【0023】
上述したように研削ユニット支持部材55を構成する支持部552の下面に装着された研削ユニット6について、
図2および
図3を参照して説明する。
図示の実施形態における研削ユニット6は、上記支持部552の下面に装着されるスピンドルハウジング61と、該スピンドルハウジング61に回転自在に支持された回転スピンドル62と、該回転スピンドル62の前端部に装着された図示しないマウンターを取り付ける締結ボルト64と、該締結ボルト64によって取り付けられた図示しないマウンターに装着される研削工具65と、該研削工具65を図示しないマウンターのフランジとの間に挟持固定する挟持ナット66とによって構成されている。なお、回転スピンドル62は、研削工具駆動モータとしてのサーボモータ67(
図1参照)によって回転駆動されるように構成されている。上記研削工具65は、
図3に示すように円環状の基台651と、該円環状の基台651の外周部側面に装着された環状の研削砥石652とからなっている。環状の研削砥石652は、厚みが例えば2mmに形成され、外周面がY軸方向に平坦即ち外周面が側面に対して直角に形成されている。
【0024】
図示の実施形態におけるウエーハの面取り部除去装置は、上記研削ユニット6の研削工具65を構成する研削砥石652のY軸方向位置を検出するためのY軸方向位置検出手段68を備えている。Y軸方向位置検出手段68は、支持フレーム4に設けられた案内レール41に沿って配設されたリニアスケール681と、Y軸方向移動基台51に配設されY軸方向移動基台51とともにリニアスケール681に沿って移動する読み取りヘッド682とからなっている。このY軸方向位置検出手段68の読み取りヘッド682は、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントし、研削ユニット6の基準位置からの移動量を検出することにより研削砥石652のY軸方向位置を検出する。
【0025】
図示の実施形態におけるウエーハの面取り部除去装置は、上記研削ユニット6の研削工具65を構成する研削砥石652のZ軸方向位置を検出するためのZ軸方向位置検出手段69を備えている。Z軸方向位置検出手段69は、Y軸方向移動基台51に設けられた案内レール511に沿って配設されたリニアスケール691と、Z軸方向移動基台52に配設されZ軸方向移動基台52とともにリニアスケール691に沿って移動する読み取りヘッド692とからなっている。このZ軸方向位置検出手段69の読み取りヘッド692は、図示の実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントし、研削ユニット6の基準位置からの移動量を検出することにより研削砥石652のZ軸方向位置を検出する。
【0026】
図1を参照して説明を続けると、図示の実施形態におけるウエーハの面取り部除去装置は、上記研削ユニット6のスピンドルハウジング61に配設され研削工具65の研削砥石652によって研削すべき加工領域を検出するための撮像手段71および上記チャックテーブル34に保持された後述するウエーハの表面を基板に貼り合わせた2層構造ウエーハにおけるウエーハと基板との境界部、即ちウエーハの下面の高さ位置を検出するための境界部高さ位置検出手段72を具備している。この撮像手段71および境界部高さ位置検出手段72について、
図4を参照して説明する。撮像手段71および境界部高さ位置検出手段72は、スピンドルハウジング61に装着されたケース70内に配設されている。撮像手段71は、顕微鏡等の光学系と撮像素子(CCD)等で構成されており、ケース70に配設されたハーフミラー73および対物レンズ74を通してチャックテーブル34に保持された被加工物としての2層構造ウエーハ10を撮像し、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。なお、2層構造ウエーハ10は、ウエーハ11の表面を基板12に貼り合わせた構成である。なお、2層構造ウエーハ10を構成するウエーハ11および基板12の外周にはそれぞれ面取り部111および121が形成されている。
【0027】
また、境界部高さ位置検出手段72は、ウエーハに対して透過性を有する波長の検出光を上記ハーフミラー73および対物レンズ74を通してチャックテーブル34に保持された2層構造ウエーハ10におけるウエーハ11に照射し、ウエーハ11の下面で反射した反射光の光路長と基準光路長との差に基づいてウエーハ11の下面の高さ位置を求める高さ位置検出器を用いることができる。この境界部高さ位置検出手段72は、検出信号を後述する制御手段に送る。なお、上述した境界部高さ位置検出手段72としては、例えば大塚電子株式会社によって製造販売されている「反射分光膜厚計FE-3000」を用いることができる。
【0028】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態におけるウエーハの面取り部除去装置は、上記チャックテーブル機構3を構成するチャックテーブル支持基台32を覆うカバー部材35の上面に配設され研削工具65の研削砥石652の下端の高さ位置を検出するための研削砥石高さ位置検出手段75を具備している。この研削砥石高さ位置検出手段75は、所定の間隔を置いて互いに対向して配設された発光素子751および受光素子752と、該受光素子752によって受光された光の光量に対応した電圧に変換する光電変換器(図示せず)とを具備し、該光電変換器が受光された光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に出力する。このように構成された研削砥石高さ位置検出手段75によって研削砥石652の下端の高さ位置を検出するには、研削砥石高さ位置検出手段75を研削砥石652の直下に位置付け、上記Z軸方向送り手段54を作動して研削砥石652を下降させ、発光素子751と受光素子752との間を研削砥石652が遮った時点における光電変換器からの検出信号に基づいて、上記Z軸方向位置検出手段69からの位置信号によって求める。
【0029】
また、上記チャックテーブル機構3を構成するチャックテーブル支持基台32を覆うカバー部材35の上面には、研削工具65の研削砥石652の外周面(研削面)をドレッシングするためのドレス手段76が配設されている。このドレス手段76は、ドレッシングボード761と該ドレッシングボード761を支持する支持部材762とからなり、支持部材762がカバー部材35の上面に取り付けられている。
【0030】
図示の実施形態におけるウエーハの面取り部除去装置は、
図5に示すように制御手段20を具備している。制御手段20はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)201と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)202と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)203と、入力インターフェース204および出力インターフェース205とを備えている。このように構成された制御手段20の入力インターフェース204には、X軸方向位置検出手段37の読み取りヘッド372、Y軸方向位置検出手段68の読み取りヘッド682、Z軸方向位置検出手段69の読み取りヘッド692、撮像手段71、境界部高さ位置検出手段72、研削砥石高さ位置検出手段75等からの検出信号が入力される。また、出力インターフェース205からは上記チャックテーブル34を回転駆動するチャックテーブル駆動モータとしてのパルスモータ340、X軸方向送り手段36のサーボモータ363、Y軸方向送り手段53のパルスモータ533、Z軸方向送り手段54のパルスモータ543、研削工具65を回転駆動する研削工具駆動モータとしてのサーボモータ67等に制御信号を出力する。
【0031】
図示の実施形態におけるウエーハの面取り部除去装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
先ず、チャックテーブル34上に2層構造ウエーハ10の基板12側を載置し、図示しない吸引手段を作動することにより、チャックテーブル34上に2層構造ウエーハ10を吸引保持する。従って、チャックテーブル34上に保持された2層構造ウエーハ10は、ウエーハ11が上側となる。このようにしてチャックテーブル34上に2層構造ウエーハ10を吸引保持したならば、X軸方向送り手段36を作動して2層構造ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル34を
図4に示すように撮像手段71および境界部高さ位置検出手段72を収容したケース70に配設された対物レンズ74の直下に位置付ける。そして、Z軸方向送り手段54を作動して撮像手段71による撮像画面の中心を2層構造ウエーハ10を構成するウエーハ11の外周縁から例えば1mm内側の位置に位置付ける(面取り部検出工程)。
【0032】
次に、境界部高さ位置検出手段72を作動するとともにチャックテーブル駆動モータとしてのパルスモータ340を作動してチャックテーブル34を1回転する。この結果、境界部高さ位置検出手段72によって2層構造ウエーハ10を構成するウエーハ11と基板12との境界部であるウエーハ11の下面の高さ位置(チャックテーブル34の上面からの高さ位置)が
図6に示すように1度毎に検出され制御手段20に送られる。制御手段20は、
図6に示す高さ位置情報をランダムアクセスメモリ(RAM)203に一時格納する(境界部高さ位置検出工程)。
【0033】
上述したように境界部高さ位置検出工程を実施したならば、2層構造ウエーハ10を保持したチャックテーブル34を研削工具65による加工領域に移動し、
図7の(a)に示すようにウエーハ11の外周部における0度の位置における外周縁から例えば1mm内側の位置を研削工具65を構成する研削砥石652の外側縁の直下に位置付ける(研削工具位置付け工程)。そして、研削工具駆動モータとしてのサーボモータ67を作動して研削工具65を矢印65aで示す方向(研削砥石652を正面から見て時計回りの方向)に回転しつつ上記Z軸方向送り手段54を作動して研削工具65を下降し、研削砥石652の下面(外周縁)をランダムアクセスメモリ(RAM)203に格納された上記
図6に示す高さ位置情報におけるウエーハ11の0度位置における高さ(図示の実施形態においてはチャックテーブル34の上面から235μmの位置)に位置付ける。このようにして、研削砥石652の下面(外周縁)をウエーハ11の0度位置における高さ位置に位置付けるに際しては、制御手段20はZ軸方向位置検出手段69からの検出信号に基づいてZ軸方向送り手段54を制御する。次に、研削工具65を矢印65aで示す方向に回転しつつチャックテーブル駆動モータとしてのパルスモータ340を作動してチャックテーブル34を矢印34aで示す方向(チャックテーブル34を正面から見て時計回りの方向)に1回転する。このようにしてチャックテーブル34を1回転する際には、制御手段20は上記
図6に示す高さ位置データに基づいて各回転角度に対応した高さ位置となるようにZ軸方向送り手段54を制御する。この結果、
図7の(b)に示すようにウエーハ11の外周に形成された面取り部111が研削されて除去される(面取り部除去工程)。この面取り部除去工程においては、研削工具65を上記
図6に示す高さ位置データに基づいて各回転角度に対応した高さ位置となるようにZ軸方向送り手段54を制御するので、ウエーハ11が貼り合わされた基板12を傷つけことなくウエーハ11に外周に形成された面取り部111を除去することができる。
【0034】
なお、2層構造ウエーハ10の中心がチャックテーブル34の中心に正確に保持されていない場合には、チャックテーブル34を回転すると2層構造ウエーハ10の外周が僅かにY軸方向に変位する。このY軸方向の変位を上記面取り部検出工程において2層構造ウエーハ10が例えば1度回動する毎に検出し、検出した変位データをランダムアクセスメモリ(RAM)203に一時格納する。そして、上記面取り部除去工程を実施する際に、変位データに基づいてY軸方向送り手段53を制御して研削工具65を構成する研削砥石652を変位せしめることが望ましい。
【0035】
上述した面取り部除去工程を実施すると研削工具65を構成する研削砥石652の外周部が摩滅する。この結果、研削砥石652の外周面がY軸方向に平坦即ち外周面が側面に対して直角の状態ではなくなる。このため、面取り部除去工程を実施したならば、研削砥石652の外周面をドレッシングしてY軸方向において平坦に修正するドレッシング工程を実施する。このドレッシング工程は、ドレス手段76のドレッシングボード761を研削工具65による加工領域に移動し、
図8に示すよう研削工具65を矢印65aで示す方向に回転しつつ上記Z軸方向送り手段54を作動して研削工具65を下降し、研削砥石652の外周面(研削面)をドレッシングボード761に接触させ所定の圧力で押圧するとともにY軸方向送り手段53を作動して研削工具65をY軸方向に移動させることにより実施する。この結果、研削砥石652の外周面(研削面)はY軸方向に平坦即ち側面に対して直角の状態に修正される。
【0036】
上述したようにしてドレッシング工程を実施すると、研削砥石652の外径が減少するため、研削砥石652の下端の高さ位置が変化する。この研削砥石652の下端の高さ位置の変化を検出するために、上記高さ位置検出手段75をドレッシング工程が実施された研削砥石652の直下に位置付ける。そして、Z軸方向送り手段54を作動して研削工具65を下降し、研削砥石652の外周部を高さ位置検出手段75の発光素子751と受光素子752との間に挿入し、研削砥石652が光を遮った時点における光電変換器からの検出信号に基づいて、Z軸方向位置検出手段69からの位置信号によって研削砥石652の下面の高さ位置を求める。このようにして検出した研削砥石652の下面の高さ位置に基づいて、制御手段20は上記面取り部除去工程におけるZ軸方向送り手段54の制御を補正する。
【0037】
次に、本発明によって構成されたウエーハの面取り部除去装置の他の実施形態について、
図9を参照して説明する。なお、
図8に示すウエーハの面取り部除去装置は、上記
図1乃至
図4に示すウエーハの面取り部除去装置と研削ユニットが相違する以外は実質的に同一でよいため、同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図9に示すウエーハの面取り部除去装置の研削ユニット8は、Z軸方向移動基台52の前面52aに装着されたスピンドルハウジング81と、該スピンドルハウジング81に回転自在に配設された回転スピンドル82と、該回転スピンドル82を回転駆動するための研削工具駆動モータとしてのサーボモータ83とを具備している。回転スピンドル82の下端部はスピンドルハウジング81の下端を越えて下方に突出せしめられており、その下端にはマウンター84が設けられている。このマウンター84の下面に研削工具85が装着される。研削工具85は、環状の基台851と該基台851の下面に環状に装着された研削砥石852とからなっており、環状の基台851がマウンター84に締結ボルト86によって取付けられる。環状の研削砥石852は、厚みが例えば3mmに形成され、下面が平面に形成されている。
【0038】
図9に示すウエーハの面取り部除去装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
なお、
図9に示すウエーハの面取り部除去装置においても上述したようにチャックテーブル34上に2層構造ウエーハ10の基板12側を載置し、図示しない吸引手段を作動することにより、チャックテーブル34上に2層構造ウエーハ10を吸引保持する。そして、上述した境界部高さ位置検出工程を上述したように実施する。
【0039】
境界部高さ位置検出工程を実施したならば、2層構造ウエーハ10を保持したチャックテーブル34を研削工具85による加工領域に移動し、
図10の(a)に示すようにウエーハ11の外周部における0度の位置における外周縁から例えば1mm内側の位置を研削工具85を構成する研削砥石852の外周縁の直下に位置付ける(研削工具位置付け工程)。そして、研削工具85を矢印85aで示す方向(研削工具85を正面から見て時計回りの方向)に回転しつつ上記Z軸方向送り手段54を作動して研削工具85を下降し、研削砥石852の下面をウエーハ11の0度位置における高さ(図示の実施形態においてはチャックテーブル34の上面から235μmの位置)に位置付ける。このようにして、研削砥石852の下面をウエーハ11の0度位置における高さ位置に位置付けるに際しては、制御手段20はZ軸方向位置検出手段69からの検出信号に基づいてZ軸方向送り手段54を制御する。次に、研削工具85を矢印85aで示す方向に回転しつつパルスモータ340を作動してチャックテーブル34を矢印34aで示す方向(チャックテーブル34を正面から見て時計回りの方向)に1回転する。このようにしてチャックテーブル34を1回転する際には、制御手段20は上記
図6に示す高さ位置データに基づいて各回転角度に対応した高さ位置となるようにZ軸方向送り手段54を制御する。この結果、
図10の(b)に示すようにウエーハ11に外周に形成された面取り部111が研削されて除去される(面取り部除去工程)。この面取り部除去工程においては、研削工具85を上記
図6に示す高さ位置データに基づいて各回転角度に対応した高さ位置となるようにZ軸方向送り手段54を制御するので、ウエーハ11が貼り合わされた基板12を傷つけことなくウエーハ11の外周に形成された面取り部111を除去することができる。
【0040】
図9に示すウエーハの面取り部除去装置においても、2層構造ウエーハ10の中心がチャックテーブル34の中心に正確に保持されていない場合には、チャックテーブル34を回転すると2層構造ウエーハ10の外周が僅かにY軸方向に変位する。このY軸方向の変位を上記面取り部検出工程において2層構造ウエーハ10が例えば1度回動する毎に検出し、検出した変位データをランダムアクセスメモリ(RAM)203に一時格納する。そして、上記面取り部除去工程を実施する際に、変位データに基づいてY軸方向送り手段53を制御して研削工具85を構成する研削砥石852を変位せしめることが望ましい。
【0041】
上述した面取り部除去工程を実施すると研削工具85を構成する研削砥石852の下面部が摩滅する。この結果、研削砥石852の下面が平面の状態ではなくなる。このため、面取り部除去工程を実施したならば、研削砥石852の下面をドレッシングして平面に修正するドレッシング工程を実施する。このドレッシング工程は、ドレス手段76のドレッシングボード761を研削工具65による加工領域に移動し、
図11に示すよう研削工具85を矢印85aで示す方向に回転しつつ上記Z軸方向送り手段54を作動して研削工具85を下降し、研削砥石852の下面をドレッシングボード761に接触させ所定の圧力で押圧するとともにY軸方向送り手段53を作動して研削工具85をY軸方向に移動させることにより実施する。この結果、研削砥石852の下面(研削面)は平面に修正される。
【0042】
上述したようにしてドレッシング工程を実施すると、研削砥石852の外径が減少するため、研削砥石852の下面の高さ位置が変化する。この研削砥石852の下面の高さ位置の変化を検出するために、上記高さ位置検出手段75をドレッシング工程が実施された研削砥石852の直下に位置付ける。そして、Z軸方向送り手段54を作動して研削工具85を下降し、研削砥石852の外周部を高さ位置検出手段75の発光素子751と受光素子752との間に挿入し、研削砥石852が光を遮った時点における光電変換器からの検出信号に基づいて、Z軸方向位置検出手段69からの位置信号のよって研削砥石852の下面の高さ位置を求める。このようにして検出した研削砥石852の下面の高さ位置に基づいて、制御手段20は上記面取り部除去工程におけるZ軸方向送り手段54の制御を補正する。