(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転中に、前記フランジの前記軸に沿った位置が回転速度の変化に対して実質的に一定となるようにコネクタが曲がるように構成されることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の回転フレーム。
前記コネクタは、前記シャフトへの接続点から該シャフトの軸方向の中間部に向けて延びるシャフト接続部を有することを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の回転フレーム。
前記コネクタは、該コネクタが前記シャフトに接続される位置よりも前記シャフトの軸方向の中間部に近い位置で前記フランジに接続されることを特徴とする請求項10に記載の回転フレーム。
前記コネクタは、前記フランジへの接続点から前記シャフトの軸方向の中間部に向けて延びるフランジ接続部を有することを特徴とする請求項10または11に記載の回転フレーム。
前記フランジは、前記シャフトによって作用するモーメントから少なくとも部分的に分離されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の回転フレーム。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のある実施の形態は、プログラマブルパターニングデバイスを含んでもよい装置に関連し、当該デバイスは例えば自発光型コントラストデバイスのアレイからなることがある。こうした装置に関する更なる情報は国際公開第2010/032224号、米国特許出願公開第2011−0188016号、米国特許出願第61/473636号、米国特許出願第61/524190号を参照してもよく、この全体が本明細書に援用される。しかしながら、例えば上述したものを含む任意の形態のプログラマブルパターニングデバイスとともに本発明の一実施形態を使用してもよい。
【0036】
図1は、リソグラフィ装置または露光装置の部分の概略側断面図を概略的に示す。この実施形態においては、装置は、後述するようにXY面で実質的に静止した個別制御可能素子を有するが、そうである必要はない。装置1は、基板を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、を備える。基板は、レジストで被覆された基板であってもよい。ある実施の形態においては、基板はウェーハである。ある実施の形態においては、基板は多角形(例えば矩形)の基板である。ある実施の形態においては、基板はガラスプレートである。ある実施の形態においては、基板はプラスチック基板である。ある実施の形態においては、基板は箔である。ある実施の形態においては、装置は、ロールトゥロール製造に適する。
【0037】
装置1は、複数のビームを発するよう構成されている複数の個別に制御可能な自発光型コントラストデバイス4をさらに備える。ある実施の形態においては、自発光型コントラストデバイス4は、例えば放射発光ダイオード(例えば、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、高分子LED(PLED))である放射エミッタ、または、レーザダイオード(例えば、固体レーザダイオード)である。ある実施の形態においては、個別制御可能素子4の各々は青紫レーザダイオード(例えば、三洋の型式番号DL-3146-151)である。こうしたダイオードは、三洋、日亜、オスラム、ナイトライド等の企業により供給される。ある実施の形態においては、ダイオードは、例えば約365nmまたは約405nmの波長を有するUV放射を発する。ある実施の形態においては、ダイオードは、0.5mWないし250mWの範囲から選択される出力パワーを提供することができ、選択的に少なくとも50mWの出力パワーを提供することができる。ある実施の形態では、自発光型コントラストデバイス4を有してもよいデバイス60の出力パワーは250mWよりも大きい。ある実施の形態においては、レーザダイオードの(むき出しのダイの)サイズは、100μmないし800μmの範囲から選択される。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、0.5μm
2ないし5μm
2の範囲から選択される発光領域を有する。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、5度ないし44度の範囲から選択される発散角を有する。ある実施の形態においては、それらのダイオードは、合計の明るさを約6.4×10
8W/(m
2・sr)以上にするための構成(例えば、発光領域、発散角、出力パワーなど)を有する。
【0038】
自発光型コントラストデバイス4は、フレーム5に配設されており、Y方向に沿って及び/またはX方向に沿って延在してもよい。1つのフレーム5が図示されているが、装置は、
図2に示すように複数のフレーム5を有してもよい。フレーム5には更に、レンズ12が配設されている。フレーム5、従って、自発光型コントラストデバイス4及びレンズ12はXY面内で実質的に静止している。フレーム5、自発光型コントラストデバイス4、及びレンズ12は、アクチュエータ7によってZ方向に移動されてもよい。それに代えて又はそれとともに、レンズ12はこの特定のレンズに関係づけられたアクチュエータによってZ方向に移動されてもよい。任意選択として、各レンズ12にアクチュエータが設けられていてもよい。
【0039】
自発光型コントラストデバイス4はビームを発するよう構成されていてもよく、投影系12、14、18はそのビームを例えば基板の目標部分に投影するよう構成されていてもよい。自発光型コントラストデバイス4及び投影系が光学コラムを形成する。装置1は、光学コラム又はその一部を基板に対して移動させるためのアクチュエータ(例えばモータ)11を備えてもよい。フレーム8には視野レンズ14及び結像レンズ18が配設されており、そのアクチュエータを用いてフレーム8は回転可能であってもよい。視野レンズ14と結像レンズ18との結合が可動光学系9を形成する。使用時においては、フレーム8は自身の軸10まわりを、例えば
図2に矢印で示す方向に、回転する。フレーム8は、アクチュエータ(例えばモータ)11を使用して軸10まわりに回転させられる。また、フレーム8はモータ7によってZ方向に移動されてもよく、それによって可動光学系9が基板テーブル2に対し変位させられてもよい。
【0040】
内側にアパーチャを有するアパーチャ構造13がレンズ12の上方でレンズ12と自発光型コントラストデバイス4との間に配置されてもよい。アパーチャ構造13は、レンズ12、それに関連する自発光型コントラストデバイス4、隣接するレンズ12および自発光型コントラストデバイス4の回折効果を限定することができる。
【0041】
図示される装置は、フレーム8を回転させると同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、使用されてもよい。自発光型コントラストデバイス4は、レンズ12、14、18が互いに実質的に整列されたときこれらのレンズを通じてビームを放つことができる。レンズ14、18を移動させることによって、例えば基板上でのビームの像が基板の一部分を走査する。同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、自発光型コントラストデバイス4の像にさらされる基板17の当該部分も移動する。光学コラム又はその一部の回転を制御し、自発光型コントラストデバイス4の強度を制御し、かつ基板速度を制御するコントローラにより自発光型コントラストデバイス4の「オン」と「オフ」とを高速に切り替える制御をすることによって(例えば、「オフ」であるとき出力がないか、しきい値を下回る出力を有し、「オン」であるときしきい値を上回る出力を有する)、所望のパターンを基板上のレジスト層に結像することができる。
【0042】
図1に示すコントローラ500は、リソグラフィ装置の全体動作を制御し、特に本明細書で説明するプロセスを実行する。コントローラ500は、中央処理ユニットおよび揮発性および/または不揮発性ストレージを有する適切にプログラミングされた汎用コンピュータとして具現化することができる。選択的に、コンピュータは、キーボードおよびスクリーンなどの一つ以上の入出力デバイス、一つ以上のネットワーク接続、および/またはリソグラフィ装置の様々な部分への一つ以上のインタフェースを備えてもよい。制御コンピュータとリソグラフィ装置の間の一対一の対応関係が必ずしも必要ではないことが理解されよう。一実施形態では、一つのコンピュータが複数のリソグラフィ装置を制御することができる。一実施形態では、複数のネットワーク接続されたコンピュータを使用して一つのリソグラフィ装置を制御することができる。コントローラ500は、リソグラフィ装置がsの一部を構成するリソセルまたはクラスタ内で、一つ以上の関連プロセスデバイスおよび/または基板ハンドリングデバイスを制御するように構成されてもよい。コントローラ500は、リソセルまたはクラスタの監視制御システムおよび/またはファブの統括制御システムに従属するように構成されてもよい。
【0043】
図2は、自発光型コントラストデバイス4を有する
図1の装置の概略上面図である。
図1に示す装置1と同様に、装置1は、基板17を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、自発光型コントラストデバイス4と基板17とのアライメントを決定し、自発光型コントラストデバイス4の投影に対して基板17が水平か否かを決定するためのアライメント/レベルセンサ19と、を備える。図示されるように基板17は矩形形状を有するが、追加的に又は代替的に円形の基板が処理されてもよい。
【0044】
自発光型コントラストデバイス4はフレーム15に配設されている。自発光型コントラストデバイス4は、放射発光ダイオード、例えばレーザダイオード、例えば青紫レーザダイオードであってもよい。
図2に示されるように、自発光型コントラストデバイス4はXY面内に延在するアレイ21に配列されていてもよい。
【0045】
アレイ21は細長い線であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自発光型コントラストデバイス4の一次元配列であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自発光型コントラストデバイス4の二次元配列であってもよい。
【0046】
回転フレーム8が設けられていてもよく、これは、矢印で図示される方向に回転してもよい。回転フレームには、各自発光型コントラストデバイス4の像を与えるためのレンズ14、18(
図1参照)が設けられていてもよい。本装置には、フレーム8及びレンズ14、18を備える光学コラムを基板に対して回転させるためのアクチュエータが設けられていてもよい。
【0047】
図3は、周辺部にレンズ14、18が設けられている回転フレーム8を高度に概略的に示す斜視図である。複数のビーム、本実施例では10本のビームが、それらレンズの一方へと入射し、基板テーブル2により保持された例えば基板17のある目標部分に投影されている。ある実施の形態においては、複数のビームは直線に配列されている。回転可能フレームは、アクチュエータ(図示せず)によって軸10まわりに回転可能である。回転可能フレーム8の回転の結果として、それらビームは、一連のレンズ14、18(視野レンズ14及び結像レンズ18)に入射する。一連のレンズの各々に入射してビームは偏向され、それによりビームは基板17の表面の一部分に沿って動く。詳しくは
図4を参照して後述する。ある実施の形態においては、各ビームが対応する源によって、すなわち自発光型コントラストデバイス、例えばレーザダイオードによって、生成される(
図3には図示せず)。
図3に示される構成においては、ビームどうしの距離を小さくするために、それらビームはともに、あるセグメントミラー30によって偏向されかつ運ばれる。それによって、後述するように、より多数のビームを同一のレンズを通じて投影し、要求解像度を実現することができる。
【0048】
回転可能フレームが回転すると、ビームが連続する複数のレンズへと入射する。あるレンズがビームに照射されるたびに、レンズ表面上でビームが入射する場所が移動する。レンズ上のビーム入射場所に依存してビームが異なって(例えば、異なる偏向をもって)ターゲットに投影されるので、(ターゲットに到達する)ビームは後続のレンズが通過するたびに走査移動をすることになる。この原理について
図4を参照して更に説明する。
【0049】
図4は、回転可能フレーム8の一部を高度に概略的に示す上面図である。第1ビームセットをB1と表記し、第2ビームセットをB2と表記し、第3ビームセットをB3と表記する。ビームセットのそれぞれが、回転可能フレーム8の対応するレンズセット14、18を通じて投影される。回転可能フレーム8が回転すると、複数ビームB1が基板17に投影され、走査移動によって領域A14を走査する。同様に、ビームB2は領域A24を走査し、ビームB3は領域A34を走査する。対応するアクチュエータによる回転可能フレーム8の回転と同時に、基板17及び基板テーブルが方向Dに移動される。方向Dは、
図2に示すX軸に沿う方向であってもよい。方向Dは、領域A14、A24、A34におけるビームの走査方向に実質的に垂直であってもよい。
【0050】
方向Dの第2のアクチュエータによる移動(例えば、対応する基板テーブルモータによる基板テーブルの移動)の結果、回転可能フレーム8の一連のレンズによって投影されるとき連続する複数回のビーム走査が互いに実質的に隣接するよう投影されて、実質的に隣接する領域A11、A12、A13、A14がビームB1の走査のたびに生じ(
図4に示すように、領域A11、A12、A13は以前に走査され、領域A14は今回走査されている)、領域A21、A22、A23、A24がビームB2の走査のたびに生じ(
図4に示すように、領域A21、A22、A23は以前に走査され、領域A24は今回走査されている)、領域A31、A32、A33、A34がビームB3の走査のたびに生じる(
図4に示すように、領域A31、A32、A33は以前に走査され、領域A34は今回走査されている)。このようにして、基板表面の領域A1、A2、A3が、回転可能フレーム8を回転させる間に基板を方向Dに移動させることにより、覆われてもよい。
【0051】
多数のビームを同一のレンズを通じて投影することにより、(回転可能フレーム8をある同一の回転速度とすると)より短い時間で基板全体を処理することができる。レンズ通過のたびに各レンズにより基板を複数のビームが走査するので、連続する複数回の走査に際して方向Dの変位量を大きくすることができるからである。見方を変えると、多数のビームを同一のレンズを通じて基板に投影するとき、ある所与の処理時間における回転可能フレームの回転速度を小さくしてもよいということである。こうして、回転可能フレームの変形、摩耗、振動、乱流などといった高回転速度による影響を軽減してもよい。
【0052】
ある実施の形態においては、
図4に示すように、複数のビームは、レンズ14、18の回転の接線に対してある角度をなして配列されている。ある実施の形態においては、複数のビームは、各ビームが重なるか、又は各ビームが隣接ビームの走査経路に隣接するように配列されている。
【0053】
多数のビームを一度に同一レンズにより投影する態様の更なる効果は、公差の緩和に見ることができる。レンズの公差(位置決め、光学投影など)があるために、連続する領域A11、A12、A13、A14(及び/または領域A21、A22、A23、A24及び/またはA31、A32、A33、A34)の位置には、互いの位置決めにいくらかの不正確さが現れうる。したがって、連続する領域A11、A12、A13、A14間にいくらかの重なりが必要とされるかもしれない。1本のビームの例えば10%を重なりとする場合、同一レンズに一度にビームが一つであると、同様に10%の係数で処理速度が遅くなるであろう。一方、同一レンズを通じて一度に5本又はそれより多数のビームが投影される状況においては、(上記同様1本のビームについて)同じ10%の重なりが5本又はそれより多数の投影線ごとにあるとすると、重なりの総計は概ね5(又はそれより多数)分の1である2%(又はそれ未満)へと小さくなるであろう。これは、全体的な処理速度を顕著に小さくする効果をもつ。同様に、少なくとも10本のビームを投影することにより、重なりの総計をおよそ10分の1に小さくしうる。したがって、多数のビームを同時に同一レンズにより投影するという特徴によって、基板の処理時間に生じる公差の影響を小さくしうる。それに加えて又はそれに代えて、より大きな重なり(従って、より大きな公差幅)が許容されてもよい。一度に同一レンズにより多数のビームを投影するのであれば、重なりが処理に与える影響が小さいからである。
【0054】
多数のビームを同一レンズを通じて同時に投影することに代えて又はそれとともに、インタレース技術を使用することができるかもしれない。しかしながらそのためには、より厳格にレンズどうしを整合させることが必要になるかもしれない。従って、それらレンズのうちある同一レンズを通じて一度に基板に投影される少なくとも2つのビームは相互間隔を有し、装置は、その間隔の中に後続のビーム投影がなされるように光学コラムに対して基板を移動させるよう第2アクチュエータを動作させるよう構成されていてもよい。
【0055】
1つのグループにおいて連続するビームどうしの方向Dにおける距離を小さくするために(それによって、例えば方向Dに解像度を高くするために)、それらビームは方向Dに対して、互いに斜めに配列されていてもよい。そうした間隔は、各セグメントが複数ビームのうち対応する1つのビームを反射するセグメントミラー30を光路に設けることによって更に縮小されてもよい。それらセグメントは、それらミラーに入射するビームどうしの間隔よりもミラーで反射されたビームどうしの間隔を狭くするよう配設されている。そうした効果は、複数の光ファイバによっても実現しうる。ビームのそれぞれが複数ファイバのうち対応する1つのファイバに入射する。それらファイバは、光路に沿ったビーム管の間隔を狭くするように配設されている。その結果、光ファイバ上流側でのビームどうしの間隔よりも光ファイバ下流側でのビームどうしの間隔が小さくなっている。
【0056】
また、そうした効果は、複数ビームのうち対応する1つのビームを各々が受光する複数の入力を有する集積光学導波路回路を使用して実現されてもよい。この集積光学導波路回路は、光路に沿って集積光学導波路回路の上流側でのビームどうしの間隔よりも集積光学導波路回路の下流側でのビームどうしの間隔を狭くするよう構成されている。
【0057】
基板に投影される像のフォーカスを制御するためのシステムが提供されてもよい。上述のある構成において、ある光学コラムの部分又は全体により投影される像のフォーカスを調整するための構成が提供されてもよい。
【0058】
一実施形態では、投影システムは、基板17の上方の物質層から形成された基板上に少なくとも一つの放射ビームを投影する。基板上で、レーザ誘起された物質の移動によって材料(例えば金属)の液滴の局所堆積を生じさせるように、デバイスが形成されている。
【0059】
図5を参照すると、レーザ誘起物質移動の物理的なメカニズムが描かれている。一実施形態では、材料202(例えばガラス)のプラズマブレークダウンより低い強度で、実質的に透明な材料202を通して放射ビーム200が集中される。材料202を覆っているドナー材料層204(例えば金属膜)で形成された基板上で、表面熱吸収が発生する。熱吸収により、ドナー材料204が溶解する。さらに、熱によって前方方向への誘起圧力勾配が生じ、ドナー材料層204から、ひいてはドナー構造(例えばプレート)208からドナー材料の液滴206を前方に加速させる。こうして、ドナー材料層204からドナー材料の液滴206が解放され、その上にデバイスが形成される基板17に向けて基板上に(重力の助けでまたは重力の助けなしに)移動する。ドナープレート208上の適切な位置にビーム200を向けることによって、基板17上にドナー材料パターンを堆積させることができる。一実施形態では、ドナー材料層204上にビームが集中される。
【0060】
一実施形態では、ドナー材料の移動を引き起こすために、一つまたは複数の短パルスが使用される。一実施形態では、溶解物質の準1次元の前方への熱および質量の移動を行うためのパルスの長さは数ピコ秒または数フェムト秒であってもよい。このような短パルスは、材料層204内の横方向の熱の流れをなくすことを促進することは殆どなく、ドナー構造208上の熱負荷はわずかであるか全くない。短パルスにより、物質の急速な溶解および前方加速が可能になる(例えば、金属などの蒸発した物質は前方の方向性を失い、スプラッタ状の堆積につながる)。短パルスにより、加熱温度のすぐ上であるが蒸発温度よりは低い温度に物質を加熱することができる。例えば、アルミニウムでは、約900−1000°Cの温度が望ましい。
【0061】
一実施形態では、レーザパルスの使用中に、ある量の材料(例えば金属)が100−1000nmの液滴の形態でドナー構造208から基板17に移動される。一実施形態では、ドナー材料は金属を含むか本質的に金属からなる。一実施形態では、金属はアルミニウムである。一実施形態では、材料層204はフィルムの形態である。一実施形態では、フィルムが別の本体または層に取り付けられる。上述したように、本体または層はガラスであってもよい。
【0062】
図1は、本発明の一実施形態を示す。リソグラフィ装置1は、静止部と可動部とを有する投影システム50を備える。投影システムは、例えば
図1に示すようなレンズ12、14、18を備えてもよい。投影システム50は、基板17上の場所に複数の放射ビームを投影するように構成される。これらの場所はパターンに基づき選択される。パターンは基板17上に形成される。一実施形態では、パターンはフォトレジスト材料の層内に形成される。一実施形態では、パターンはドナー材料の層内に形成され、続いてドナー材料の層がデバイスの層内に対応するパターンを形成する。
【0063】
図1は、装置1の使用中に軸10の周りに回転するフレーム8を示している。フレーム8は、その回転または平行移動の結果、変形することができる。例えば、フレーム8の一つまたは複数の部分が、回転の結果、径方向に広がってもよい。装置1内の回転機器または移動機器の一つまたは複数の他の部分が、それぞれの回転または他の移動の結果、変形してもよい。
【0064】
図1のフレーム8は、少なくとも一つのフィールドレンズ14と、少なくとも一つの結像レンズ18と、を保持するように構成されてもよい。装置1の結像精度を向上させるために、これらのレンズを互いに対しておよび装置1に対して正確に位置決めすることが望ましい。
【0065】
具体的には、装置1を使用することができる一つのプリント方法において、放射スポットブラシの各スワイプが、連続的な帯の替わりにラインパターンを生成する。放射スポットブラシの後続のスワイプは、前回のスワイプ(単数または複数)で書き込まれたライン間の空間(の一部)を埋めるようにタイミングが計られる。この動作を繰り返し、かつ自発光型コントラストデバイス4のオンオフの切替とターゲット(例えば基板17)の移動のタイミングを適切に取ることで、基板17上に連続的に埋められた面が生じる。このプリント方法は、インタレース方式プリンティング(interlaced printing)と呼ばれる。
【0066】
インタレース方式プリンティングでは、各ラインは、その近隣に対して高い精度で配置(すなわちプリント)されなければならない。この場合、高い精度とは、例えば100nm以内を意味する。各ラインがターゲット上にプリントされる位置は、フレーム8上のレンズ14、18の位置決めに直接関連する。そうして、これらのレンズ14、18は、例えば100nm以内の精度でフレーム8上に配置されることが望ましい。製造上の公差に加えて、特に動作中にレンズ14、18に作用する求心力のために、これは機械工学的には極めて困難な挑戦である。
【0067】
例えば、フレーム8の移動中に、レンズ14、18が互いに対しておよび装置1に対してより正確に位置決めされる装置1を提供することが望ましい。レンズ14、18を互いに対しておよび装置1に対して正確に位置決めする方法に関する制約を少なくすることが望ましい。
【0068】
図6は、本発明の一実施形態に係るフレーム8を示す。軸10の左にある
図6の部分は、静止時のフレーム8の断面図を示している。軸10の右にある
図6の部分は、回転中のフレーム8の外観図を示している。
【0069】
一実施形態では、フレーム8はシャフト70とフランジ62とを備える。フランジ62は、軸10に対してある角度で径方向外側に延びる。フランジ62は、少なくとも一つのレンズ14、18を保持するように構成される。少なくとも一つのレンズは、例えば、フィールドレンズ14または結像レンズ18であってもよい。
【0070】
一実施形態では、フランジが延びる角度が、回転速度の連続的な範囲にわたって実質的に一定であるように、フレーム8が構成される。ここで、実質的に一定とは、例えば、角度αが最大で1mradだけ変化することを意味する。回転方向は無関係である。
【0071】
上述したように、回転機器は、回転の結果、径方向に拡大する。拡大の量は、回転速度および機器の部品の半径によって部分的に決定される。
図6に示すように、フレーム8の半径は、フレーム8の(Z方向の)高さにわたって変化する。例えば、フランジ62は、シャフト70の外半径R
3よりも大きい外半径R
1を有している(
図7を参照)。
【0072】
その結果、フレーム8のいくつかの部分は、フレーム8の他の部分よりも大きな拡大応力を受ける。フレーム8を横切る拡大応力の差は、フレーム8のたわみまたは傾きを導入する。フランジ62の場合、このたわみは、フレーム8の回転速度が変化するとき、フランジ62の延びる角度の変化を生じさせうる。これは
図6に模式的に示されている。
【0073】
図6の右側部分では、フレーム8が回転するとフランジ64はたわみをうける。
図6の左側部分は、静止時(すなわち、回転速度が0)にフランジ64が軸10に対して角度βで延びている様子を示している。ここで、角度βは約90度である。
図6の右側部分は、フレーム8が回転するとき、フランジ64が軸10に対して90度マイナスθの角度で延びるようにフレーム8がたわみを受ける様子を示している。このようなたわみは、フランジ64によって保持されるレンズ18がターゲット上に放射ビームを合焦させる位置を不都合に変化させる。
【0074】
フランジ62が延びる角度αが、回転速度の連続的な範囲にわたって実質的に一定になるようにフレーム8を構成することによって、フレーム8のたわみが減少する。この結果、フレーム8の回転速度が変化するとき、フランジ62によって保持される少なくとも一つのレンズ14、18によって実行される放射ビームの合焦がより一貫したものとなる。
【0075】
フレーム8が回転すると、約80Hzの回転速度において、特定の点におけるフレーム8の半径が約50μm〜約100μmだけ変化してもよい。これらの値は、鋼鉄製のフレーム8に対してのものである。一般に、フレーム8の回転速度が大きくなるほど、
フレーム8の半径の拡大が大きくなる。例えば、回転速度が約140Hzの場合、フレーム8の特定の点における半径の変化は、約150μm〜約300μm(すなわち、80Hzの回転速度に対して3倍大きい)のオーダーとなってもよい。フレーム8を横切る半径の変化は、80Hzの回転速度に対して約0.5mrad〜約5mradのたわみ傾きを生じさせ、約140Hzの回転速度に対して約1.5mrad〜約15mradのたわみ傾きを生じさせうる。
【0076】
したがって、一実施形態では、フレーム8の回転速度の変動が、従来技術に対してたわみ傾きを減少させるシステムが提供される。一実施形態では、回転速度の連続的な範囲にわたってフランジ62が延びる角度が最大で1mradだけ変化するように、フレーム8が構成される。一実施形態では、角度αは最大で約0.5mradだけ変化し、選択的には、回転速度の連続的な範囲にわたって最大で約0.1mradだけ変化する。
【0077】
一実施形態では、回転速度の連続的な範囲は、下限値0を有している。したがって、フランジ62が延びる角度αは、フレーム8が静止しているときから、回転速度の連続的な範囲の上限値でフレーム8が回転しているときまで、実質的に一定のままである。一実施形態では、回転速度の連続的な範囲は、少なくとも80Hz、選択的には少なくとも100Hz、選択的には少なくとも140Hzの上限値を有している。回転速度の連続的な範囲は特に限定されているわけではな
く、200Hzまたはそれ以上の上限値を有していてもよい。
【0078】
(Z方向における)その全高にわたり一定の半径を有していないフレーム8によって、フレーム8を比較的軽量にすることができる。これは、フレーム8の緊急停止中の安全性を高めうる。また、フレーム8の加速のために必要なエネルギーの量が少なくなることを意味する。
【0079】
回転速度の連続的な範囲にわたり、フランジ62の延びる角度αが実質的に一定になるようにフレーム8を構成する様々な方法が存在する。
図6に示すように、フレーム8は対称的な設計を有していてもよい。この場合、フランジ62は、フランジ62の両側でシャフト70によるモーメントを受ける。二つのモーメントは互いに相殺し合う。一実施形態では、角度αは実質的に直角である。この場合、少なくとも一つのレンズ14、18が、フランジ62の平面内に実質的に配置されてもよい。しかしながら、フランジ62は、軸10に対して直角とは異なる角度、例えば85度で延びてもよい。
【0080】
フランジ62のたわみ傾きは、シャフト70によってフランジ62に作用するモーメントの結果であるとみなすことができる。一般に、シャフト70はフランジ62よりも半径が小さくてもよい。
図6に示すように、シャフト70が拡大すると、シャフト70の下部63がヒンジ点91の周りに傾斜する。当然ながら、ヒンジ点91は単一の点ではなく、軸10の周りに広がる環状である。この結果、シャフト70の下部63がフランジ64にモーメントを作用させ、
図6の右側に示すように、フランジ64がたわみまたは傾く。
【0081】
図6の対称的な設計では、シャフト70の上部61によってフランジ62に作用するモーメントは、シャフト70の下部63によってフランジ62に作用するモーメントと実質的に等しくかつ反対向きである。
【0082】
その結果、シャフト70は、フランジ62に対して、回転軸10に直交する軸まわりの全体モーメントを実質的に及ぼさない。フランジ64のたわみは、たわみのないフランジ62との比較のみのために、
図6に示されている。
【0083】
シャフト70の上部61と下部63がフランジ62に対して実質的に等しくかつ反対向きのモーメントを作用させるのを確実にする一つの方法は、シャフト70の上部61の断面を下部63の断面に一致させることである。しかしながら、一実施形態では、シャフトの上部61の断面は、下部63の断面とは異なっている。これは、例えば
図6に示されている。
【0084】
シャフト70によってフランジに作用するモーメントは、以下の式(1)によって与えられる。
【0085】
Gは、フレーム8の剪断係数を表す。
ΔRは、フレーム8の垂直方向の広がりに沿った異なる点の間のフレーム8の半径の差を表す。特に、ΔRはΔR
z=i−ΔR
z=i−1に等しい。ΔPは、フレーム8の「無限小の」角度部分(ラジアンの)を表す。これは、軸対称のフレーム8を二次元問題とみなすことを可能にする。R
1はシャフト70の外半径を表す。R
0はシャフト70の内半径を表す。zは、フレーム8の回転軸10に沿った垂直座標を表す。
【0086】
図6に示すように、一実施形態では、フレーム8は回転軸10に沿って穴66を備える。穴66は、例えばアクチュエータおよび/またはベアリング用の空間を確保するために設けられてもよい。しかしながら、一実施形態では穴66が存在しなくてもよい。この場合、アクチュエータおよび/またはベアリングがフレーム8の外側に配置されてもよい。
【0087】
図7は、本発明の一実施形態に係るフレーム8を模式的に示す。
図7から12のそれぞれに、フレーム8の半分の断面形状が示されている。一実施形態では、フレーム8は、軸10の周りで実質的に円対称である。
【0088】
図7に示す実施形態では、フランジ62の軸方向における一側のシャフト70の部分が、フランジ62に実質的にモーメントを及ぼさない。この場合、(軸方向における)フランジ62の反対側のシャフト70の対応する部分によってフランジ62に作用するモーメントと必ずしも釣り合う必要はない。これは、フランジ62の一側のシャフト70がフランジ62に実質的にモーメントを及ぼさないからである。
【0089】
フランジ62に実質的にモーメントを及ぼさないシャフト70の部分を実現する一つの方法は、フランジ62の内半径R
0とフランジ62の外半径R
1との積が、シャフト70の内半径R
2とシャフト70の外半径R
3との積に実質的に等しくなるように、フランジ62およびシャフト70の内半径および外半径を選択することである。R
0R
1=R
2R
3であると望ましい。
【0090】
フランジ62の内半径と外半径の積と、シャフト70の内半径と外半径の積とが正確に一致する必要は必ずしもない。例えば、積R
0R
1は、積R
2R
3と、最大で20%、最大で10%、または最大で5%だけ異なっていてもよい。具体的には、積R
0R
1が積
R2R3の10%以内の場合、フレーム8の回転速度が最大で約140Hzまで変化するときに実質的に一定である角度αでフランジ62が延びるように、フランジ62のたわみが顕著に減少してもよい。フランジ62に隣接するシャフト70の部分から離れると、シャフト70の残りの部分はフランジ62に影響を有している。したがって、シャフト70のいくつかの部分に対して、等式R
0R
1=R
2R
3からの顕著なずれが存在してもよい。しかしながら、フランジ62に隣接するシャフト70の部分は、フランジ62に最大の影響を有している。
【0091】
フレーム8内に穴66
が存在
しない場合、R
0R
1=R
2R
3の等式は明らかに満足する。しかしながら、この場合(すなわち、フレーム8内に穴66が存在しない場合)、全体のたわみが実質的に存在しないように実質的に同一の量だけシャフト70とフランジ62が拡大するように、フランジ62の外半径R1がシャフト70の外半径R3と実質的に等しいことが望ましい。
【0092】
R
0R
1=R
2R
3(±10%以内まで)を満足する矛盾のない半径を提供することによって、フランジ62とシャフト70が交差する断面に同様の拡大応力が作用する。こうして、フランジ62とシャフト70の間に負荷平衡が存在し、シャフト70の結果としてフランジ62に実質的にたわみが生じなくなる。
【0093】
図8、9、10は、シャフト70により及ぼされるモーメントからフランジ62が少なくとも部分的に分離される実施形態をそれぞれ示す。一実施形態では、フランジ62は、フランジ62よりも柔軟であるコネクタ80、90によってシャフト70に接続される。例えば、コネクタ80、90はフランジ62よりも薄くてもよい。
【0094】
シャフト70により及ぼされるモーメントからフランジ62を少なくとも部分的に分離することによって、シャフト79の結果としてのフランジ62のたわみは減少する。これは、フレーム8の回転中に、フランジ62によって保持されるレンズ14、18の焦平面の精度の改善に役立つ。
【0095】
図8は、コネクタ80によってフランジ62がシャフト70に接続される実施形態を示す。コネクタ80は、メンブレンの形態をとる。回転速度の連続的な範囲にわたりシャフト70が軸10に対して様々に傾斜すると、コネクタ80は、フランジ62の延びる角度αが実質的に一定になるように曲がる。
【0096】
フレーム8の回転速度が変化すると、シャフト70は、軸10に対して様々に傾斜する。
図8に示すように、シャフト70は、ヒンジ点91の周りで回転軸10に対して傾斜またはたわんでもよい。上述したように、ヒンジ点91は、実際、特定の点ではなく、回転軸10の周りに延びる環状である。
図8では(
図9、10でも同様に)、点線は、フレーム8が回転しているときのフレーム8の位置を表している。フランジ62の拡大の角度は、フレーム8が静止しているとき(
図8ないし10に黒線で示す)と、フレーム8が回転しているとき(
図8ないし10に点線で示す)とで、実質的に一定である。
【0097】
図9に示すように、一実施形態では、コネクタは、シャフト70の軸方向において、シャフト70への接続点(ヒンジ点92)から中間部94に向けて延びるシャフト接続部90を備えている。この実施形態では、フランジ62はシャフト70にモーメントを与え、モーメントはヒンジ点91周りでシャフト70をたわませる。回転中心をヒンジ点92に有するさらなるモーメントが加えられる。このように、フランジのたわみが減少するようにフレーム8を設計することができる。一実施形態では、さらなるモーメントが、ヒンジ点91周りのたわみと反対向きでありかつ実質的に等しいフランジ62のたわみを生じさせる。
【0098】
図9に示すように、一実施形態では、シャフト70の軸方向において、コネクタ90がシャフト70に接続される位置92よりも中間部94に近い位置でフランジ
62にコネクタ90が接続される。
【0099】
図10は、シャフト70の軸方向において、フランジ62への接続点から中間部94に向けて延びるフランジ接続部95をコネクタが備える実施形態を示す。フランジ接続部95の目的は、フレーム8の回転中のフランジ62の垂直方向の変位を減らすことである。フランジ62は、
図10に示すように、ヒンジ点93に回転中心を有するさらなるモーメントを発生させる。
【0100】
一実施形態では、回転速度の連続的な範囲にわたり、シャフト70が軸10に対して様々に傾斜すると、フランジ62の軸10に沿った位置が実質的に一定になるようにコネクタ80、90が曲がる。これは、フランジ62の垂直方向位置に対するフレーム8の回転の影響を減じるのに役立ち、したがって、フランジ62によって把持されるレンズ14、18により与えられる合焦に対する影響を減じるのに役立つ。
【0101】
一実施形態では、フランジ接続部95および/またはコネクタ90は、径方向内側から径方向外側まで徐々に減少する厚さを有している。一実施形態では、フランジ接続部95とコネクタ90は、
図10に示すように鋸歯形である。
【0102】
図11は、本発明の一実施形態に係るフレーム8の一部を模式的に示す。
図11および12では、黒線が静止時のフレーム8の位置を表している。点線は、フレーム8が軸10周りに回転しているときのフレーム8の位置を表している。
【0103】
フレーム8が回転すると、フランジ62はシャフト70にモーメントを与える。これは、シャフト70をヒンジ点91周りに傾斜またはたわまさせる。フランジ62の傾きおよびたわみを相殺するために、フランジ62は、シャフト70の軸方向において、中間部94に面する凹部110をフランジ62の表面に備えている。
【0104】
一実施形態では、凹部110は、軸10周りに延びる連続的な凹部である。しかしながら、例えば、凹部110は、不連続部を間に持つ一連の凹部またはくぼみであってもよい。一実施形態では、凹部110は実質的に円形でありフレーム8と同心である。
【0105】
凹部110は、フランジ62の周辺部をフレーム8の残りの部分から部分的に分離する。凹部110は、フランジ62の部分的に分離された周辺の非対称の懸架を導入する。その結果、この周辺部がモーメントを導入し、このモーメントが元のフランジのたわみに対抗する。
図11に示すように、このモーメントは、フランジ62の周辺部のヒンジ点111周りのたわみまたは傾きを生じさせる。凹部110によって、たわみのヒンジ点111は、凹部がない場合よりも低くなる。
【0106】
図12は、本発明の一実施形態を示す。
図12に示すように、フランジ62は、シャフト70の軸方向において、中間部94に対面する突出リム120をフランジ62の表面に備える。突出リム120は、フランジ62とシャフト70の間の接続部にモーメントを与える。これを考える一つの方法は、フランジ62が許すよりも突出リム120が拡大を「望んでいる」とみなすことである。
【0107】
カウンターモーメントを与える突出リム120を設けることによって、元のフランジのたわみが、突出リム120の存在によって少なくとも部分的に対抗を受ける。突出リム120の寸法を選択することによって、フレーム8の回転速度にかかわらず、フランジ62の周辺部が回転軸10に対して実質的に同じ角度に留まるように、元のフランジたわみに対抗することができる。
【0108】
一実施形態では、フランジ62によって把持されるレンズ14、18は、フランジ62の周辺部で把持されている。このため、フレーム8の回転速度にかかわらず、レンズ14、18は実質的に一定の角度のままになる。
【0109】
一実施形態では、突出リム120は、フレーム8の回転軸10の周りに延びる連続突出リム120である。しかしながら、例えば、一実施形態では、突出リム120は不連続である。突出リム120は、細長くても細長くなくてもよい複数の突起を備えてもよい。一実施形態では、突出リム120は実質的に円形でありフレーム8と同心である。
【0110】
フランジ62の反対面、すなわちシャフト70の中間部94から見て外側を向く面の上にリムまたは凹部が配置される場合、リムまたは凹部は、フランジ62の傾きまたはたわみを増加させることになる。
【0111】
一実施形態では、モノリシック部品がコネクタ80、90、フランジ62およびシャフト70を備えている。フレーム8は、例えば鋼鉄製であってもよい。しかしながら、他の適切な材料を使用してもよい。一実施形態では、フレーム8は、シャフト70、コネクタ80、90、およびフランジ62に対応する別個の部品のアセンブリである。一実施形態では、フレーム8は「中実」である。これは、回転軸10に沿って穴66が存在しないことを意味する。フレーム8はモノリシックであってもよいし、様々な部品から組み立てられてもよい。
【0112】
一実施形態では、フレーム8は第2フランジ64を備える。例えば、一実施形態では、フランジ62は少なくとも一つのフィールドレンズ14を保持する。または、一実施形態では、第2フランジ64は少なくとも一つの結像レンズ18を保持する。一実施形態では、回転速度の連続的な範囲にわたり第2フランジの延びる角度βが実質的に一定になるように、フレーム8が構成される。
【0113】
本発明の一実施形態は、望まれないフランジたわみを少なくとも部分的に相殺するかまたは防止することを可能にする。フランジたわみは装置1内で光学部品の位置ずれを生じさせうる。本発明の一実施形態を使用して、ある範囲の角速度にわたり使用可能であり光学部品の位置合わせを維持するフレーム8を提供することができる。本発明の一実施形態は、特定の角速度に対して光学部品を位置合わせするために、校正またはインタフェース調整を必要としない。
【0114】
フレーム8をロバストに設計することができる。例えば、フレーム8は可動部を必要とせず、またフレーム8の重量を増大させる大型の余分な部品を必要としないので、フレーム8は比較的容易かつ安価に製造することができる。
【0115】
図13は、本発明の一実施形態を示す。
図13は、ターゲット(例えば基板17)上に放射ビーム(または複数の放射ビーム)を投影するように構成された投影システム50を示している。一実施形態では、投影システム50は、フレーム8と静止部130とを備えている。
【0116】
フレーム8は、接線方向および径方向を規定する軸10の周りに回転するように構成される。例えば、径方向は、軸10から径方向外側に延びる。径方向は軸10と直角をなす。接線方向は径方向と直角をなし、軸10と直角の面内にある。
【0117】
一実施形態では、フレーム8は、フレームの移動とともに移動する少なくとも一つのレンズ141を保持する。レンズ141は、接線方向または径方向のみで放射ビームを合焦させるように構成される。
【0118】
一実施形態では、静止部130は、少なくとも一つの実質的に静止しているレンズ142を備える。実質的に静止しているレンズ142は、接線方向または径方向の他方のみで放射を合焦させるように構成される。静止部130は、装置1に対して静止している。
【0119】
したがって、接線方向および径方向で放射ビームを合焦させる機能が、レンズ141と、実質的に静止しているレンズ142とに分割されている。これは、フレームによって保持されるレンズが、接線方向および径方向の両方で放射ビームを合焦させる機能を実行する他のシステムとは異なっている。
【0120】
本発明の一実施形態によると、実質的に静止しているレンズ142は、ターゲット上での放射ビームの接線方向位置および径方向位置のいずれかを完全に決定する。その結果、ターゲット上での放射ビームの位置のこの様相は、フレーム8によって保持されるレンズ141の位置による影響を受けない。フレーム8の回転速度が変化するときのレンズ141のいずれの移動も、実質的に静止しているレンズ142によって完全に決定されるターゲット上の放射ビームの位置の様相に影響を与えることはない。
【0121】
一実施形態では、レンズ141は接線方向で放射ビームを合焦させるように構成され、実質的に静止しているレンズ142は径方向で放射ビームを合焦させるように構成される。放射ビームの径方向の位置決めは、ターゲット上に放射ビームによって描かれるラインの位置を決定する。上述したインタレース方式プリンティングのシステムでは、ラインは非常に高い精度、例えば100nm以内で配置される。径方向で放射ビームを合焦させる実質的に静止しているレンズ142を設けることによって、ターゲット上の放射ビームの径方向の位置は、フレーム8内のレンズ141の径方向位置による影響を実質的に受けなくなる。したがって、ターゲット上での放射ビームの位置決め精度が改善される。これは、インタレース方式プリンティングをさらに実行可能なものにする。
【0122】
インタレース方式プリンティングを実行することによって、フレーム8内の異なるレンズ141によって合焦される放射ビームのピッチを狭めるピッチコンバータを必ずしも装置1に設ける必要がなくなる。これは、インタレース方式プリンティングでは、ピッチが比較的大きく、ターゲット上に連続パターンを形成するために後続のラインパターンがギャップ内で組み合わされるからである。
【0123】
一実施形態では、レンズ141はある倍率で放射ビームを拡大し、実質的に静止しているレンズ142は同じ倍率で放射ビームを拡大する。接線方向および径方向における倍率は、レンズ141および実質的に静止しているレンズ142のそれぞれの位置および焦点距離により影響を受ける。具体的には、光路に沿ったレンズの位置が倍率に影響を与える。レンズの位置および焦点距離を選択することによって、接線方向および径方向の倍率を実質的に等しくすることができる。しかしながら、一実施形態では、接線方向の倍率が径方向の倍率と異なっている。これは、例えば、自発光型コントラストデバイス4が楕円形の放射源を有する場合には望ましいことがある。この場合、接線方向と径方向で異なる倍率にすることによって、楕円形の放射源を補正することができる。
【0124】
一実施形態では、レンズ141はフィールドレンズ141である。一実施形態では、フレーム8は、フィールドレンズ141から軸方向に離して配置された少なくとも一つの結像レンズ181を保持する。フレーム8は二つのフランジ62、64を備えてもよい。フランジ62はフィールドレンズ141を保持してもよい。フランジ64は結像レンズ181を保持してもよい。
【0125】
一実施形態では、フレーム8は、少なくとも100枚のフィールドレンズ141および/または少なくとも100枚の結像レンズ181を保持する。例えば、フレーム8内で保持されるフィールドレンズ141および/または結像レンズ181のそれぞれが、約120枚〜約150枚の範囲であってもよい。このため、レンズ141、181のそれぞれの幅は、フレーム8のサイズによって制限される。
【0126】
開口数(NA)とレンズの幅によって自由作動距離が決定される。自由作動距離が長い方が望ましい。レンズの幅が広くなるほど、自由作動距離が長くなる。実質的に静止しているレンズ142、182を、レンズ141、181よりも広い幅となるように作成することができる。なぜなら、実質的に静止しているレンズ142、182は、レンズ141、181と同一の幅制限を受けないからである。したがって、実質的に静止しているレンズ142、182は、レンズ141、181よりも大きい自由作動距離を有することができる。本発明の一実施形態により、装置1の光学部品用のデザイン領域を拡大することができる。本発明の一実施形態に係る装置1は、非常に小さいピッチに変換するためのピッチコンバータを必要としない。
【0127】
一実施形態では、投影システム50は、互いに軸方向に離して配置された少なくとも二つの実質的に静止しているレンズ142、182を備える。例えば、接線方向および径方向でフィールド合焦をともに提供するために、フィールドレンズ141と組みになる少なくとも一つの実質的に静止しているレンズ142が存在してもよい。もう一つの実質的に静止しているレンズ182は、結像レンズ181と組み合わさって、結像面内の接線方向および径方向の両方で合焦してもよい。
【0128】
図14は、本発明の一実施形態を示す。
図14に示すように、一実施形態では、軸方向において、少なくとも一つのフィールドレンズ141と少なくとも一つの結像レンズ181との間に、少なくとも二つの実質的に静止しているレンズ142、182が配置される。
【0129】
図15は、少なくとも二つの実質的に静止しているレンズ142、182のそれぞれに対して、光学的に軸方向の下流に、少なくとも一つのフィールドレンズ141と少なくとも一つの結像レンズ181がそれぞれ配置される実施形態を示す。
【0130】
図14および15に示した実施形態は、光学系の全体的な自由作動距離を最大にする。これは、
図14および15に示した実施形態に特定の利点である。
【0131】
図16は、軸方向において、少なくとも二つの実質的に静止しているレンズ142、182の間に、少なくとも一つのフィールドレンズ141と少なくとも一つの結像レンズ181が配置される実施形態を示す。
【0132】
実質的に静止しているレンズ142、182の両方をフレーム8の外側に配置することによって、
図16の投影システム50は、製造およびメンテナンスが比較的容易になる。したがって、
図16に示す実施形態は機械的に有利である。
【0133】
図17は、少なくとも二つの実質的に静止しているレンズ142、182のそれぞれに対して、光学的に軸方向の上流に、少なくとも一つのフィールドレンズ141と少なくとも一つの結像レンズ181がそれぞれ配置される実施形態を示す。
【0134】
図18は、実質的に静止しているレンズ142と複数の移動レンズ141の平面図である。
図18に示すように、一実施形態では、実質的に静止しているレンズ142は単一部品で作成される。換言すると、実質的に静止しているレンズ142はモノリシックであってもよい。一実施形態では、実質的に静止しているレンズ142はフレーム8の接線方向に延びる。一実施形態では、実質的に静止しているレンズ142は、フレーム8の接線方向に対応する曲線形状を有している。これは、例えば
図18に示されている。
【0135】
しかしながら、必ずしもそうでなくてもよい。例えば、
図19に示すように、一実施形態では、実質的に静止しているレンズ142が重なり合うセグメントで形成されている。一実施形態では、実質的に静止しているレンズ142は、複数の接線方向に重なり合った実質的に静止しているサブレンズ1421を備えている。ここで、接線方向に重なり合うという用語は、径方向に沿って実質的に静止しているレンズ142を観察したときに、実質的に静止しているレンズが連続的に見えることを意味している。
【0136】
一実施形態では、複数の実質的に静止しているサブレンズ1421のそれぞれが直線状である。しかしながら、一実施形態では、実質的に静止しているサブレンズ1421の少なくとも一つが曲線状である。具体的には、この曲線が、フレーム8の接線方向をたどっていてもよい。
【0137】
図20は、フランジ62への接続点からシャフト70の軸方向の中間部94に向けて延びるフランジ接続部95をコネクタが備えている実施形態を示す。一実施形態では、コネクタ90がフランジ62に接続される位置92よりも、軸方向においてシャフト70の中間部94に近い位置で、コネクタ90がシャフト70に接続される。
【0138】
コネクタは突起201を備えている。一実施形態では、突起201は、コネクタ90の「ヒンジ」点に配置される。突起201の遠心力が、フレーム8の回転中にコネクタが真っ直ぐになるのを手助けする。この結果、フランジ62の先端の変形が小さくなる。コネクタ90は、一片の素材で形成されてもよいし、互いにくっつけられたいくつかの部品で形成されてもよい。例えば、一実施形態では、コネクタ90の残りの部分とは別個の素材で突起201が形成される。一実施形態では、コネクタ90の残りの部分よりも高密度を有する材料で突起が形成される。
【0139】
一実施形態では、少なくとも一つのレンズ141、181が、接線方向または径方向の一方のみにおいて放射ビームを合焦させるのに適している。この機能を実行するのに適した他のタイプのレンズを使用してもよい。
【0140】
一実施形態では、実質的に静止しているレンズ142、182は円筒レンズを含む。一実施形態では、レンズ141、181は径方向に広がる。これは、例えば
図18および19に示されている。
【0141】
本発明の一実施形態によると、自発光型コントラストデバイス4をより最適化した配置にすることによって、自発光型コントラストデバイス4の数を例えば約40%削減することが可能になる。
【0142】
本発明の一実施形態により、レーザ発射タイミング(すなわち、自発光型コントラストデバイス4がオンオフされるタイミング)によって径方向における位置決めを操作することができ、必要に応じて調節することができる実質的に静止している光学系によって接線方向の位置決めが定められるので、放射ビームをより正確に位置決めすることが可能になる。
【0143】
本発明の一実施形態により、インタレース方式のプリンティングが可能になる。この結果、外乱に対するインテグレーティング性質に起因する局所的な外乱に対する感度が小さくなる。
【0144】
あるデバイス製造方法によると、パターンが投影された基板から、ディスプレイ、集積回路、又はその他の任意の品目等のデバイスが製造されうる。
【0145】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置または露光装置の使用を例として説明しているが、本明細書に説明したリソグラフィ装置または露光装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及された基板は露光前または露光後において、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用されうる。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味しうる。
【0146】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折光学部品、回折光学部品、反射光学部品、磁気的光学部品、電磁気的光学部品、静電的光学部品、またはこれらの組み合わせを含む各種の光学部品のいずれかを指し示してもよい。
【0147】
上述の説明は例示であり、限定を意図しない。よって、以下に述べる請求項の範囲から逸脱することなく既述の本発明に変更を加えることができるということは、当業者には明らかなことである。