特許第5923823号(P5923823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5923823アセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体及びその合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923823
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】アセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体及びその合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 19/00 20060101AFI20160516BHJP
   C07F 7/08 20060101ALN20160516BHJP
   C07F 5/02 20060101ALN20160516BHJP
【FI】
   C07F19/00CSP
   !C07F7/08 W
   !C07F5/02 F
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-31605(P2012-31605)
(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公開番号】特開2013-166728(P2013-166728A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138955
【弁理士】
【氏名又は名称】末次 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(72)【発明者】
【氏名】瀧宮 和男
(72)【発明者】
【氏名】尾坂 格
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−018529(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0024237(US,A1)
【文献】 特表2009−508807(JP,A)
【文献】 特開2009−267134(JP,A)
【文献】 Shoji Shinamura et al.,ORGANIC LETTERS,2012年,Vol. 14, No. 18,4718-4721
【文献】 Masahiro Nakano et al.,ORGANIC LETTERS,2012年,Vol. 14, No. 21,5448-5451
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/02
C07F 7/08
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1又は式2で表される、
【化1】

(式1及び式2中、Arは少なくとも一つの水素がボロン酸基或いはボロン酸エステル基に置換されたベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環のいずれか、Yは硫黄原子又はセレン原子、Zは式42で表される置換基を表す。)
【化2】

(式42中、Rはアルキル基、アリール基又はフェニルメチル基を表す。)
ことを特徴とするアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体。
【請求項2】
前記式1で表されるアセンジカルコゲノフェン誘導体が式11、式21、式22又は式23で表される、
【化3】

(式11、式21、式22及び式23中、Bはボロン酸基或いはボロン酸エステル基を表し、Y及びZは式1の定義と同じである。)
ことを特徴とする請求項1に記載のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体。
【請求項3】
前記ボロン酸エステル基がボロン酸ピナコールエステル基である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体。
【請求項4】
式51又は式52で表される化合物のいずれかとボロン酸又はボロン酸エステルとを反応させ、
【化4】

(式51及び式52中、Arはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環のいずれか、Yは硫黄原子又はセレン原子、Zは式42で表される置換基を表し、式42中、Rはアルキル基、アリール基又はフェニルメチル基を表す。)
ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環の少なくとも一つの水素をボロン酸基或いはボロン酸エステル基に置換し、式1又は式2で表されるアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体を合成する、
【化5】

(式1及び式2中、Arは少なくとも一つの水素がボロン酸基或いはボロン酸エステル基に置換されたベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環のいずれかを表し、Y及びZは前記式51及び前記式52の定義と同じである。)
ことを特徴とするアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成方法。
【請求項5】
触媒としてCH活性化触媒を添加する、
ことを特徴とする請求項に記載のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成方法。
【請求項6】
前記ボロン酸エステルとしてボロン酸ピナコールエステルを用いる、
ことを特徴とする請求項又はに記載のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成方法。
【請求項7】
式61又は式62で表される化合物と求電子剤とを反応させ、α位に置換基を導入して前記式51又は前記式52で表される化合物を合成する、
【化6】

(式61及び式62中、Ar及びYは前記式51及び前記式52の定義と同じである。)
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成方法。
【請求項8】
有機金属試薬を添加する、
ことを特徴とする請求項に記載のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成方法。
【請求項9】
前記求電子剤として、式7を用いる、
【化7】

(式7中、Rはアルキル基、アリール基又はフェニルメチル基、Xはハロゲンを表す。)
ことを特徴とする請求項又はに記載のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体及びその合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナフトジチオフェン、ベンゾジチオフェン、アントラジチオフェン等のアセンジカルコゲノフェンを基本骨格とする化合物は、高い電子移動度、大きな電流オン/オフ比、保存安定性等に優れるとされ、特に有機半導体用の材料として注目されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−267134号公報
【特許文献2】特開2009−267140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アセンジカルコゲノフェンを基本骨格とする有機半導体材料を得るには、アセンジカルコゲノフェン誘導体をいかに効率的に、且つ、選択的に得るかが重要である。しかしながら、アセンジカルコゲノフェン骨格を有する化合物は、合成が容易でないなどの理由から十分な研究開発が進んでいない。
【0005】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、有機半導体材料などの合成に有用なアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体及びその合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係るアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体は、
式1又は式2で表される、
【化1】

(式1及び式2中、Arは少なくとも一つの水素がボロン酸基或いはボロン酸エステル基に置換されたベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環のいずれか、Yは硫黄原子又はセレン原子、Zは式42で表される置換基を表す。)
【化2】

(式42中、Rはアルキル基、アリール基又はフェニルメチル基を表す。)
ことを特徴とする。
【0007】
また、前記式1で表されるアセンジカルコゲノフェン誘導体が式11、式21、式22又は式23で表されることが好ましい。
【化3】

(式11、式21、式22及び式23中、Bはボロン酸基或いはボロン酸エステル基を表し、Y及びZは式1の定義と同じである。)
【0009】
また、前記ボロン酸エステル基がボロン酸ピナコールエステル基であることが好ましい。
【0010】
本発明の第2の観点に係るアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成方法は、
式51又は式52で表される化合物のいずれかとボロン酸又はボロン酸エステルとを反応させ、
【化4】

(式51及び式52中、Arはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環のいずれか、Yは硫黄原子又はセレン原子、Zは式42で表される置換基を表し、式42中、Rはアルキル基、アリール基又はフェニルメチル基を表す。)
ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環の少なくとも一つの水素をボロン酸基或いはボロン酸エステル基に置換し、式1又は式2で表されるアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体を合成する、
【化5】

(式1及び式2中、Arは少なくとも一つの水素がボロン酸基或いはボロン酸エステル基に置換されたベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環のいずれかを表し、Y及びZは前記式51及び前記式52の定義と同じである。)
ことを特徴とする。
【0011】
また、触媒としてCH活性化触媒を添加することが好ましい。
【0012】
また、前記ボロン酸エステルとしてボロン酸ピナコールエステルを用いることが好ましい。
【0013】
また、式61又は式62で表される化合物と求電子剤とを反応させ、α位に置換基を導入して前記式51又は前記式52で表される化合物を合成することが好ましい。
【化6】
(式61及び式62中、Ar及びYは前記式51及び前記式52の定義と同じである。)
【0014】
また、有機金属試薬を添加することが好ましい。
【0015】
また、前記求電子剤として、式7を用いることが好ましい。
【化7】

(式7中、Rはアルキル基、アリール基又はフェニルメチル基、Xはハロゲンを表す。)
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体は、アセンの部位にボロン酸基或いはボロン酸エステル基が結合している。アセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体では、容易にボロン酸基或いはボロン酸エステル基を脱保護して、所望の官能基に置換することができ、所望のアセンジカルコゲノフェン誘導体の合成、そして、得られたアセンジカルコゲノフェン誘導体を用いて所望のオリゴマーやポリマーの合成が可能である。これにより、新たなアセンジカルコゲノフェン骨格を有する有機半導体材料などの研究、開発、実用化へとつなげることができる。
【0017】
また、本発明に係るアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成方法では、アセンジカルコゲノフェンのボロン化で優先的に置換されるα位に置換基を導入しているので、アセンの所望の部位を選択的にボロン化でき、所望のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施の形態に係るアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体は、式1又は式2で表される。
【化8】
【0019】
式1及び式2中、Arは少なくとも一つの水素がボロン酸基或いはボロン酸エステル基に置換されたベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環のいずれかである。また、式1及び式2中、Yは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子である。また、式1及び式2中、Zは置換基を表す。
【0020】
式1及び式2について、カルコゲノフェン−Ar−カルコゲノフェンが直線状に縮合した構造に限られるものではなく、折れ線状に縮合した構造でもよい。
【0021】
式1又は式2で表されるベンゾジカルコゲノフェン誘導体用中間体の一例として、式11〜15に示されるものが挙げられる。
【化9】
【0022】
また、ナフトジカルコゲノフェン誘導体用中間体の一例として、式21〜24に示されるものが挙げられる。
【化10】
【0023】
また、アントラジカルコゲノフェン誘導体用中間体の一例として、式31〜37に示されるものが挙げられる。
【化11】
【0024】
上記式11〜15、21〜24、31〜37中、Bはボロン酸基又はボロン酸エステル基である。ボロン酸基又はボロン酸エステル基は特に限定されるものではなく、例えば、ボロン酸ピナコールエステル基などが挙げられる。
【0025】
また、置換基についても特に限定されるものではないが、例えば、式41〜式45に示される官能基が挙げられる。式41〜45中、Rはアルキル基、アリール基又はフェニルメチル基、Xはハロゲンを表す。
【化12】
【0026】
上記のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体では、種々の操作により容易に脱保護でき、置換基をハロゲンや水酸基、水素等に置換することが可能である。これにより、アセンジカルコゲノフェン骨格を基本骨格とするオリゴマーやポリマーを合成することが可能になる。
【0027】
アセンジカルコゲノフェンを基本骨格として有する化合物は、良好な電子移動度を示す可能性を有しており、これらのアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体を基にして、種々の有機半導体材料等に有用なオリゴマーやポリマーの研究、開発、実用化を図ることが可能である。
【0028】
例えば、上記のアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体として、2,7−ジトリイソプロピルシリル−5,10−ビス[(ピナコレート)ボリル]−ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェンを用い、下記のスキームのようにして、高分子化合物1を合成することができる。
【化13】
【0029】
続いて、上述したアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成方法について説明する。
【0030】
式51又は式52で表されるα位に置換基を有するアセンジカルコゲノフェンとボロン酸或いはボロン酸エステルとを反応させる。式51及び式52中、Arはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環のいずれかであり、カルコゲノフェン−Ar−カルコゲノフェンが直線状或いは折れ線状に縮合した構造である。また、Yは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子、Zは置換基である。
【化14】
【0031】
これにより、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の一部の水素がボロン酸基又はボロン酸エステル基に置換され、上述した式1又は式2で表されるアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体が得られる。
【化15】
【0032】
より具体的な合成方法の例としては、式51又は式52で表されるα位に置換基を有するナフトジカルコゲノフェンとボロン酸又はボロン酸エステルとCH活性化触媒とを、4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジンの乾燥シクロヘキサン溶液などの溶媒に入れ、アルゴン雰囲気、遮光下、所定温度(例えば、80℃程度)で所定時間(例えば、10時間程度)攪拌する。反応混合物を冷却後、溶媒を留去し、残渣をクロロホルムなどに溶解し、カラムクロマトグラフィなどで精製することにより得られる。
【0033】
優先的にホウ素化が生じるα位に置換基を導入したナフトジカルコゲノフェンをホウ素化しているので、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の一部を選択的にホウ素化することができる。
【0034】
用いるボロン酸、ボロン酸エステルとして特に制限はなく、例えば、ピナコールジボランなどのボロン酸ピナコールエステルが挙げられる。
【0035】
また、CH活性化触媒を添加して行うとよい。用いるCH活性化触媒としては、パラジウム、イリジウム、ルテニウム等の遷移金属、或いはこれらを含有する触媒が挙げられる。
【0036】
また、α位に置換基を有する式51又は式52で表される化合物は、例えば、以下のようにして合成して用いることができる。
【0037】
式61又は式62で表されるアセンジカルコゲノフェン無置換体と求電子剤とを反応させる。式61及び式62中、Ar及びYは上述した式51及び式52の定義と同様である。
【化16】
【0038】
これにより、式61又は式62で表される化合物のα位に置換基を導入することができ、上述した式51又は式51で表される化合物が得られる。
【0039】
より具体的な合成方法の一例としては、アセンジチオフェンの無置換体をTHF(テトラヒドロフラン)等の溶媒に入れ、これに有機金属試薬をヘキサン等に混合した溶液を加え、攪拌する。この反応混合物に求電子剤を加えて攪拌した後、水で希釈し、塩酸等を加える。そして、生成した沈殿を濾取等で分離し、沈殿物を水、メタノール、ヘキサンなどで洗浄することにより、目的とするホウ素官能基置換アセンジチオフェンを得ることができる。
【0040】
用いる求電子剤として、カルコゲノフェンのα位を官能基化できるものであれば特に制限はなく、例えば、式71〜75で表されるハロゲン化物などが挙げられる。式71〜75中、Rはアルキル基、アリール基又はフェニルメチル基、Xはハロゲンである。
【化17】
【0041】
また、上記の反応を促進させるBuLiなどの有機金属試薬を用いて行うとよい。有機金属試薬は、官能基化を促進させ得るものであれば限定されるものではない。
【実施例】
【0042】
以下、無置換アセンジカルコゲノフェンからアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の合成、更には、得られたアセンジカルコゲノフェン誘導体用中間体の脱保護、官能基化の具体例を示す。
【0043】
まず、種々の無置換ナフトジカルコゲノフェンを用いて、トリイソプロピルシリル基置換ナフトジカルコゲノフェンを合成した。
【0044】
(合成例1)
(2,7-Bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]dithiophene(以下、化合物A1)の合成)
ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェン(1mmol)のTHF(10mL)溶液に、n−BuLi(3mmol)のヘキサン溶液を0℃で加え、1時間室温で攪拌した。
この反応混合物に塩化トリイソプロピルシリル(4mmol)をゆっくりと加え、16時間室温でさらに攪拌した。
その後、水(50mL)で希釈し、1N塩酸(50mL)を加えた。
生成した沈殿を濾取し、水、メタノール、ヘキサンで洗浄することで、化合物A1を白色の固体として得た。
【化18】
【0045】
得られた化合物A1の測定データを以下に示す。
Quantitative yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.19 (d, 36H, CH3), 1.47 (sept, 6H, CH), 7.64 (s, 2H, ArH), 7.93 (d, 2H, ArH), 8.07 (d, 2H, ArH); EIMS (70 eV) m/z 552 (M+); Anal. Calcd for C32H48S2Si2: C, 69.50; H, 8.75. Found: C, 69.35; H, 9.05%.
【0046】
(合成例2)
(2,7-Bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]difuran(以下、化合物B1)の合成)
ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェンをナフト[1,2−b:5,6−b’]ジフランに代える以外、合成例1と同様にして、化合物B1を得た。
【化19】
【0047】
得られた化合物B1の測定データを以下に示す。
Quantitative yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.20 (d, 36H, CH3), 1.46 (sept, 6H, CH), 7.19 (s, 2H, ArH), 7.75 (d, 2H, ArH), 8.15 (d, 2H, ArH), 13C NMR δ 11.3, 18.8, 115.7, 119.0, 119.3, 119.9, 123.1, 154.6, 159.7; EIMS (70 eV) m/z 520 (M+).
【0048】
(合成例3)
(2,7-Bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]diselenophene(以下、化合物C1)の合成)
ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェンをナフト[1,2−b:5,6−b’]ジセレノフェンに代える以外、合成例1と同様にして、化合物C1を得た。
【化20】
得られた化合物C1の測定データを以下に示す。
89% yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.19 (d, 36H, CH3), 1.43 (sept, 6H, CH), 7.89 (d, 2H, ArH), 7.92 (s, 2H, ArH), 7.92 (d, 2H, ArH); EIMS (70 eV) m/z 648 (M+).
【0049】
(合成例4)
(2,7-Bis(triisopropylsilyl)naphtho[2,1-b:6,5-b’]dithiophene(以下、化合物D1)の合成)
下記化学式に示すように、ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェンをナフト[2,1−b:6,5−b’]ジチオフェンに代える以外、合成例1と同様にして、化合物D1を得た。
【化21】
得られた化合物D1の測定データを以下に示す。
67% yield; 1H NMR (400 MHz CDCl3) δ 1.19 (d, J=7.4 Hz, 36H), 1.49 (sept, J = 7.4 Hz, 6H), 8.03 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.17 (s, 2H), 8.32 (d, J = 8.8 Hz, 2H); 13C NMR (400 MHz CDCl3) δ 12.1, 18.8, 120.7, 120.7, 126.4, 130.5, 136.6, 138.0, 141.1; MS m/z = 552 (M+) Anal. Calcd for C32H48S2Si2: C,69.50; H, 8.75%. Found: C, 69.74; H, 8.56%.
【0050】
(合成例5)
(2,7-Bis(triisopropylsilyl)naphtho[2,3-b:6,7-b’]dithiophene(以下、化合物E1)の合成)
ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェンをナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェンに代える以外、合成例1と同様にして、化合物E1を得た。
【化22】
得られた化合物E1の測定データを以下に示す。
97% yield; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.19 (d, J = 7.5 Hz, 36H, CH3), 1.45 (sept, J = 7.5 Hz, 6H, CH), 7.58 (s, 2H, ArH), 8.39 (s, 2H, ArH), 8.48 (s, 2H, ArH); EIMS (70 eV) m/z 552 (M+).
【0051】
上記合成例1〜5で得られたそれぞれのトリイソプロピルシリル基置換ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジカルコゲノフェン(化合物A1、B1、C1、D1、E1)を直接ホウ素化し、対応するジカルコゲノフェン誘導体用中間体を合成した。
【0052】
(合成例6)
(5,10-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]dithiophene(以下、化合物A2)の合成)
化合物A1(1mmol)、ピナコールジボラン(2mmmol)、[Ir(OMe)(COD)](5mol%)、4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジン(10mol%)の乾燥シクロヘキサン溶液を、アルゴン雰囲気下、遮光下、80℃の条件で10時間攪拌した。
反応混合物を冷却後、溶媒を留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,クロロホルム)により精製し、化合物A2を白色の固体として得た。
【化23】
【0053】
得られた化合物A2の測定データを以下に示す。
Quantitative yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.22 (d, 36H, CH3), 1.45 (s, 24H, CH3), 1.47 (sept, 6H, CH), 8.40 (s, 2H, ArH), 8.58 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 12.2, 18.9, 25.2, 84.1, 126.7, 130.5, 134.5, 136.2, 142.1, 143.0; EIMS (70 eV) m/z 804 (M+); Anal. Calcd for C44H70B2O4S2Si2: C, 65.65; H, 8.77. Found: C, 65.28; H, 9.16%.
【0054】
(合成例7)
(5,10-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]difran(以下、化合物B2)の合成)
化合物A1を化合物B1に代える以外、合成例6と同様にして、化合物B2を得た。
【化24】
【0055】
得られた化合物B2の測定データを以下に示す。
86% yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.22 (d, 36H, CH3), 1.45 (s, 24H, CH3), 1.51 (sept, 6H, CH), 7.60 (s, 2H, ArH), 8.61 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 11.4, 18.9, 25.2, 84.0, 120.1, 121.1, 124.0, 127.0, 154.2, 159.4; EIMS (70 eV) m/z 772 (M+).
【0056】
(合成例8)
(5,10-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]diselenophene(以下、化合物C2)の合成)
化合物A1を化合物C1に代える以外、合成例6と同様にして、化合物C2を得た。
【化25】
【0057】
得られた化合物C2の測定データを以下に示す。
Quantitative yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.22 (d, 36H, CH3), 1.43 (s, 24H, CH3), 1.43 (sept, 6H, CH), 8.45 (s, 2H, ArH), 8.78 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 12.4, 18.9, 25.2, 84.1, 129.0, 133.2, 139.6, 140.0, 144.8, 146.8; EIMS (70 eV) m/z 900 (M+).
【0058】
(合成例9)
(5,10-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[2,1-b:6,5-b’]dithiophene(以下、化合物D2)の合成)
化合物A1を化合物D1に代える以外、合成例6と同様にして、化合物D2を得た。
【化26】
【0059】
得られた化合物D2の測定データを以下に示す。
99% yield; 1H NMR (400 MHz CDCl3) δ 1.22 (d, J = 7.4 Hz, 36H), 1.49 (s,24H), 1.56 (sept, J = 7.4 Hz, 6H), 8.27 (s, 2H), 8.78 (s, 2H); 13C NMR (400 MHz CDCl3) δ 12.1, 19.0, 25.2, 84.6, 127.5, 129.1, 130.3, 130.3, 137.3, 137.8, 145.9; MS m/z = 804 (M+).
【0060】
(合成例10)
(5,10-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[2,3-b:6,7-b’]dithiophene(以下、化合物E2)の合成)
化合物A1を化合物E1に代える以外、合成例6と同様にして、化合物E2を得た。
【化27】
【0061】
得られた化合物E2の測定データを以下に示す。
42% yield; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.20 (d, J = 7.5 Hz, 36H, CH3), 1.46 (sept, J = 7.5 Hz, 6H, CH), 1.56 (s, 24H, CH3), 7.59 (s, 2H, ArH), 9.33 (s, 2H, ArH); EIMS (70 eV) m/z = 804 (M+).
【0062】
さらに、合成例4で得られた化合物A2の置換基を脱保護し、種々の官能基化を行った。
(合成例11)
(5,10-Dibromo-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]dithiophene(以下、化合物A3a)の合成)
化合物A2(1.6g,2.0mmol)とCuBr(2.7g,12mmol)を200mlのNMP/methanol/water混合溶媒(体積比5/2/1)懸濁させ、15時間還流した。
冷却後、反応混合物を1N塩酸(100mL)に注ぎ、生成した沈殿を濾取した。
これをヘキサンで洗浄することで、目的の化合物A3aを白色固体(1.4g,96%)として得た。
【化28】
【0063】
得られた化合物A3aの測定データを以下に示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ, 1.19 (d, 36H, CH3), 1.48 (sept, 6H, CH), 7.74 (s, 2H, ArH), 8.21 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 12.0, 18.8, 116.6, 123.9, 125.5, 133.9, 137.1, 138.6, 142.2; EIMS (70 eV) m/z 708 (M+); Anal. Calcd for C32H46Br2S2Si2: C, 54.07; H, 6.52. Found: C, 54.29; H, 6.31%.
【0064】
(合成例12)
(5,10-Dichloro-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]dithiophene(以下、化合物A3b)の合成)
CuBrに代えてCuClを用いる以外、合成例11と同様にして、化合物A3b(94%の単離収率)を得た。
【化29】
【0065】
得られた化合物A3bの測定データを以下に示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ, 1.19 (d, 36H, CH3), 1.48 (sept, 6H, CH), 7.77 (s, 2H, ArH), 8.02 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 12.0, 18.8, 120.3, 124.9, 127.7, 131.9, 137.3, 137.3, 142.9; EIMS (70 eV) m/z 620 (M+).
【0066】
(合成例13)
(5,10-Dicyano-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]dithiophene(以下、化合物A3c)の合成)
化合物A2(402mg,0.5mmol),CsF(152mg,1.0mmol),Zn(CN)(352mg,3.0mmol)及びCu(II)NO・3HO(483mg,2.0mmol)を80mlのジオキサン―メタノール―水(体積比5/2/1)混合溶媒中で3日間還流した。
冷却後、反応混合物をクロロホルムで抽出し、濃縮した有機層をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル,クロロホルム)により精製し、化合物A3cを黄色の固体として得た(67mg,22%)。
【化30】
【0067】
得られた化合物A3cの測定データを以下に示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ, 1.19 (d, 36H, CH3), 1.50 (sept, 6H, CH), 7.85 (s, 2H, ArH), 8.49 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 11.9, 18.7, 108.2, 117.6, 126.0, 127.5, 131.5, 137.6, 140.8, 143.7; EIMS (70 eV) m/z 602 (M+).
【0068】
(合成例14)
(5,10-Dihydroxy-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]dithiophene(以下、化合物A3d)の合成)
化合物A2(1.6g,2.0mmol)とオキソン(6.9g,11mmol)をアルゴン雰囲気下、THF(120mL)、アセトン(24mL)、水(12mL)の混合溶媒に加えた。
この混合物を遮光下、室温で15時間攪拌したのち、飽和Na水溶液加え反応を停止した。
溶媒を留去後、残渣を酢酸エチルで抽出し、有機層を濃縮後、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,クロロホルム)により精製することで、化合物A3d(1.1g,91%)を得た。
【化31】
【0069】
得られた化合物A3dの測定データを以下に示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ, 1.19 (d, 36H, CH3), 1.46 (sept, 6H, CH), 5.27 (s, 2H, OH), 7.26 (s, 2H, ArH), 7.74 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 12.0, 18.8, 102.9, 122.4, 129.8, 131.2, 135.0, 143.3, 147.9; EIMS (70 eV) m/z 584 (M+).
【0070】
さらに、合成例11、14で得られた化合物A3a、A3dを用い、更なる官能基化を行った。
(合成例15)
(5,10-Dihexadecyl-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]dithiophene(以下、化合物A4aa)の合成
9−BBN溶液(0.5M solution in THF,3mL,1.5mmol)と1−hexadecyne(0.4ml,1.5mmol)を室温で6時間攪拌することで調整した溶液に、PdCl(dppf)(41mg,0.05mmol),化合物A3a(355mg,0.5mmol)を加え、さらに溶媒として脱気したTHF(10mL)を塩基としてNaOH水溶液(1mL of 1.5M solution)を加え、15時間還流した。
冷却後、クロロホルムで混合物を希釈し、有機層を水洗した後に濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル,クロロホルム)で精製することで、化合物A4aaを白色の固体として得た(245mg,51%)。
【化32】
【0071】
得られた化合物A4aaの測定データを以下に示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, 6H, CH3) 1.20 (d, 36H, CH3), 1.25-1.37 (m, 52H, CH2), 1.48 (sept, 6H, CH), 1.82 (quint, 4H, CH2), 3.09 (t, 4H, CH2), 7.68 (s, 2H, ArH), 7.78 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 12.0, 14.3, 18.8, 22.8, 22.9, 29.5, 29.7, 29.8, 29.8, 29.8, 29.8, 29.9, 31.0, 31.7, 32.1, 34.5, 120.0, 124.8, 132.0, 134.2, 135.9, 138.6, 142.4; MS (MALDI-TOF, 1,8,9-trihydroxyanthracene matrix) m/z 100.76 (M+).
【0072】
(合成例16)
(5,10-Bis(methoxycarbonyl)-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]dithiophene(以下、化合物A4ab)の合成)
化合物A3a(200mg,0.3mmol)のTHF(10mL)溶液にn−BuLi(0.4mL,0.7mmol,1.65M)を0℃で加え、混合物を室温で30分攪拌した後、塩化炭酸メチル(0.06mL,0.78mmol)を加えた。
室温で16時間攪拌後、水(5mL)と1N塩酸(5mL)を加え、混合物をクロロホルムで抽出した。
濃縮した抽出液をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル,クロロホルム))で精製し、黄色固体として化合物A4ab(76mg,41%)を得た。
【化33】
【0073】
得られた化合物A4abの測定データを以下に示す。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.21 (d, 36H, CH3), 1.51 (sept, 6H, CH), 4.09 (s, 2H, CH3), 8.55 (s, 2H, ArH), 8.89 (s, 2H, ArH), 13C NMR δ 12.1, 18.8, 125.3, 125.6, 126.8, 134.3, 136.9, 137.4, 145.4, 167.0; EIMS (70 eV) m/z 668 (M+).
【0074】
(合成例17)
(5,10-Didodecyloxy-2,7-bis(triisopropylsilyl)naphtho[1,2-b:5,6-b’]dithiophene(以下、化合物A4d)の合成)
化合物A3d(200mg,0.3mmol)と炭酸カリウム(100mg,0.7mmol)をDMF(10mL)中、室温で2時間攪拌した後、1−ブロモドテカン(0.3mL,1.1mmol)を加え80℃で15時間攪拌した。
冷却後、混合物に水(5mL)と1N塩酸(5mL)を加え、クロロホルムで抽出した。
濃縮後、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,クロロホルム)にて精製し、化合物A4dを白色固体として得た(262mg,84%)。
【化34】
【0075】
得られた化合物A4dの測定データを以下に示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, 6H, CH3) 1.19 (d, 36H, CH3), 1.25-1.37 (m, 52H, CH2), 1.46 (sept, 6H, CH), 1.97 (quint, 4H, CH2), 4.26 (t, 4H, CH2), 7.15 (s, 2H, ArH), 7.70 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 12.1, 14.3, 18.8, 22.8, 26.4, 29.4, 29.5, 29.6, 29.8, 29.8, 29.9, 32.1, 68.5, 99.2, 122.3, 130.8, 132.4, 134.0, 143.2, 151.8; MS (MALDI-TOF, 1,8,9-trihydroxyanthracene matrix) m/z 920.64 (M+).
【0076】
また、種々の無置換ベンゾジカルコゲノフェンを用いて、トリイソプロピルシリル基置換ベンゾジカルコゲノフェンを合成した。
(合成例18)
(2,6-Bis(triisopropylsilyl)benzo[1,2-b:4,5-b’]difuran(以下、化合物F1)の合成)
ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェンをベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジフランに代える以外、合成例1と同様にして、化合物F1を得た。
【化35】
【0077】
得られた化合物F1の測定データを以下に示す。
88% yield. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.14 (d, 36H, CH3), 1.41 (sept, 6H, CH), 7.06 (s, 2H, ArH), 7.60 (s, 2H, ArH); 13C NMR δ 161.9 155.1 126.3 118.4 101.1 18.7 11.2; EIMS (70 eV) m/z = 470 (M+).
【0078】
(合成例19)
(2,6-Bis(triisopropylsilyl)benzo[1,2-b:4,5-b’]dithiophene(以下、化合物G1)の合成)
ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェンをベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェンに代える以外、合成例1と同様にして、化合物G1を得た。
【化36】
【0079】
得られた化合物G1の測定データを以下に示す。
88% yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.16 (d, 36H, CH3), 1.43 (sept, 6H, CH), 7.51 (s, 2H, ArH), 7.30 (s, 2H, ArH), 13C NMR δ 12.0, 18.8, 115.7, 131.7, 138.4, 139.0, 140.7; EIMS (70 eV) m/z 502 (M+).
【0080】
(合成例20)
(2,6-Bis(triisopropylsilyl)benzo[1,2-b:4,5-b’]diselenophene(化合物H1)の合成)
ナフト[1,2−b:5,6−b’]ジチオフェンをベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジセレノフェンに代える以外、合成例1と同様にして、化合物H1を得た。
【化37】
【0081】
得られた化合物H1の測定データを以下に示す。
Quantitative yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.16 (d, 36H, CH3), 1.39 (sept, 6H, CH), 7.77 (s, 2H, ArH), 8.36 (s, 2H, ArH), 13C NMR δ 12.2, 18.8, 121.2, 135.5, 140.9, 141.6, 142.3; EIMS (70 eV) m/z 598 (M+).
【0082】
合成例18〜20で得られたトリイソプロピルシリル基置換ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジカルコゲノフェン(化合物F1、G1、H1)をそれぞれ直接ホウ素化し、対応するベンゾジカルコゲノフェン誘導体用中間体を合成した。
【0083】
(合成例21)
(4,8-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-2,6-bis(triisopropylsilyl)benzo[1,2-b:4,5-b’]difuran(以下、化合物F2)の合成)
化合物F1(1mmol),ピナコールジボラン(2mmol),[Ir(OMe)(COD)](5mol%),4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジン(10mol%)の乾燥シクロヘキサン溶液をアルゴン雰囲気、遮光下、80℃で10時間攪拌した。
その後、ピナコールジボラン(2mmol),[Ir(OMe)(COD)](5mol%)、4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジン(10mol%)を5時間おきに5回添加することで、反応を促進させた。
反応混合物を冷却後、溶媒を留去し、残渣をクロロホルムに溶解し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,クロロホルム)により精製し、化合物F2を白色の固体として得た。
【化38】
【0084】
得られた化合物F2の測定データを以下に示す。
97% yield. 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 0.57 (m, 36H, CH3), 1.37 (s, 24H, CH3), 7.40 (s, 2H, ArH); 13C NMR δ 161.9 159.3 130.8 119.3 101.6 83.5 24.9 18.9 11.6; EIMS (70 eV) m/z = 723 (M+).
【0085】
(合成例22)
(4,8-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-2,6-bis(triisopropylsilyl)benzo[1,2-b:4,5-b’]dithiophene(以下、化合物G2)の合成)
化合物F1を化合物G1にした以外、合成例21と同様にして、化合物G2を合成した。
【化39】
【0086】
得られた化合物G2の測定データを以下に示す。
74% yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.18 (d, 36H, CH3), 1.43(sept, 6H, CH), 1.46 (s, 24H, CH3), 8.30 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 12.2, 18.9, 25.2, 84.2, 134.0, 138.7, 143.5, 148.2; EIMS (70 eV) m/z 754 (M+).
【0087】
(合成例23)
(4,8-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-2,6-bis(triisopropylsilyl)benzo[1,2-b:4,5-b’]diselenophene(以下、化合物H2)の合成)
化合物F1を化合物H1にした以外、合成例21と同様にして、化合物H2を合成した。
【化40】
【0088】
得られた化合物H2の測定データを以下に示す。
28% yield. 1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.19 (d, 36H, CH3), 1.40(sept, 6H, CH), 1.45 (s, 24H, CH3), 8.72 (s, 2H, ArH) 13C NMR δ 12.4, 19.0, 25.2, 84.4, 138.0, 142.2, 145.8, 150.1; EIMS (70 eV) m/z 850 (M+).
【産業上の利用可能性】
【0089】
上述したアセンジカルコゲノフェン誘導体及びその合成方法により、新たなアセンジカルコゲノフェン骨格を有する有機半導体材料等の研究、開発、実用化が期待される。