(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物」と略すことがある)は、エポキシ樹脂(A成分)と、フェノール樹脂(B成分)と、硬化促進剤(C成分)と、無機質充填剤(D成分)と、ハイドロタルサイト化合物(E成分)と、特定のワックス(F成分)とを用いて得られるものであって、通常、粉末状、顆粒状もしくはこれを打錠したタブレット状になっている。
【0016】
<A:エポキシ樹脂>
上記エポキシ樹脂(A成分)としては、各種エポキシ樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらエポキシ樹脂の中でも、ビフェニル型エポキシ樹脂や低級アルキル基をフェニル環に付加したような低吸湿型のエポキシ樹脂を用いることが、信頼性・成形性の点から好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、エポキシ当量150〜250、軟化点もしくは融点が50〜130℃のものが好ましい。
【0017】
<B:フェノール樹脂>
上記エポキシ樹脂(A成分)とともに用いられるフェノール樹脂(B成分)は、上記エポキシ樹脂(A成分)の硬化剤として作用するものであり、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般をいう。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニル型ノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂等があげられる。これらフェノール樹脂は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
【0018】
上記エポキシ樹脂(A成分)とフェノール樹脂(B成分)との配合割合は、エポキシ樹脂(A成分)を硬化させるに充分な量に設定することが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂(A成分)中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂(B成分)中の水酸基の合計が0.6〜1.2当量となるように配合することが好ましい。より好ましくは0.7〜1.0当量である。
【0019】
<C:硬化促進剤>
上記エポキシ樹脂(A成分)およびフェノール樹脂(B成分)とともに用いられる硬化促進剤(C成分)としては、各種硬化促進作用を奏する化合物を用いることができ、例えば、リン系化合物、アミン系硬化促進剤、第四級アンモニウム塩、イミダゾール類、ホウ素化合物等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0020】
上記リン系化合物としては、具体的には、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トルイル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類等のホスフィン化合物、またはこれらホスフィン化合物と有機ボロン類との錯体があげられる。また、これらホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン等のπ結合を有する化合物を付加してなる、分子内分極を有する化合物、これらホスフィン化合物と4−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロフェノール、2−クロロフェノール、4−ヨウ化フェノール、3−ヨウ化フェノール、2−ヨウ化フェノール、4−ブロモ−2−メチルフェノール、4−ブロモ−3−メチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−クロロ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−4′−ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経由して得られる分子内分極を有する化合物、
テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ−p−トルイルボレート、テトラフェニルホスホニウム・チオシアネート、テトラフェニルホスホニウム・ジシアンアミド、テトラフェニルホスホニウム・アセテート、テトラフェニルホスホニウム・テトラフルオロボレート、テトラフェニルホスホニウム・ヘキサフルオロオンチモネート、p−トルイルトリフェニルホスホニウム・テトラ−p−トルイルボレート、テトラ−p−トルイルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラ−p−tert−ブチルフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラ−p−メトキシフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム塩等があげられる。
【0021】
上記アミン系硬化促進剤としては、具体的には、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン類等の環状アミジン化合物や、その誘導体、それらのフェノールノボラック塩等の環状アミジニウム塩およびこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン等のπ結合を有する化合物を付加してなる、分子内分極を有する化合物、ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類およびこれらの誘導体等があげられる。
【0022】
上記イミダゾール類としては、具体的には、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類があげられる。
これら各種硬化促進剤は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0023】
上記硬化促進剤(C成分)の含有量は、上記フェノール樹脂(B成分)に対して1.0〜12.0重量%に設定することが好ましく、より好ましくは3.0〜10.0重量%である。
【0024】
<D:無機質充填剤>
上記A〜C成分とともに用いられる無機質充填剤(D成分)としては、各種充填剤が用いられる。例えば、溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等のシリカ粉末、アルミナ粉末、タルク末等があげられる。これら無機質充填剤は、破砕状、球状、あるいは摩砕処理したもの等いずれのものでも使用可能である。そして、これら無機質充填剤は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、得られる硬化物の線膨張係数を低減できるという点から上記シリカ粉末を用いることが好ましく、上記シリカ粉末の中でも球状溶融シリカ粉末を用いることが、高充填性、高流動性という点から特に好ましい。
【0025】
また、無機質充填剤(D成分)としては、平均粒径5〜40μmの範囲のものを用いることが、流動性を良好にするという点から好ましい。なお、上記無機質充填剤(D成分)の平均粒径は、例えば、母集団から任意の測定試料を取り出し、市販のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0026】
そして、上記無機質充填剤(D成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の70〜95重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは85〜92重量%である。すなわち、無機質充填剤(D成分)の含有量が少なすぎると、エポキシ樹脂組成物の粘度が低くなりすぎて成形時の外観不良(ボイド)が発生しやすくなる傾向がみられ、逆に含有量が多すぎると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、ワイヤー流れや未充填が発生する傾向がみられるからである。
【0027】
<E:ハイドロタルサイト化合物>
上記A〜D成分とともに用いられるハイドロタルサイト化合物(E成分)は、イオン捕捉剤としての作用を奏するものである。上記ハイドロタルサイト化合物としては、例えば、下記の一般式(1)で表されるハイドロタルサイト化合物があげられる。
【0029】
上記式(1)において、Lは2価の金属イオンであるが、具体的には、Mg
2+、Fe
2+、Zn
2+、Ca
2+、Ni
2+、Co
2+、Cu
2+等があげられる。また、Qは3価の金属イオンであるが、具体的には、Al
3+、Fe
3+、Mn
3+等があげられる。そして、A
n-はn価のアニオンであるが、具体的には、OH
-、SO
42-、CO
32-、NO
3-等があげられる。
【0030】
上記一般式(1)で表されるハイドロタルサイト化合物は、高い吸着能を示し、高温高湿信頼性を低下させる塩素イオンの吸着能が高く、その配合量に比例して高温高湿信頼性の向上に寄与する。しかしながら、上記ハイドロタルサイト化合物の配合量を増加させ配合量が多過ぎると、連続成形性が低下することから、このような特性を考慮して、ハイドロタルサイト化合物の配合量は、エポキシ樹脂組成物全体の0.02〜2.0重量%の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0031】
さらに、吸着水の低減と、イオン交換能の向上を図るため、上記一般式(1)で表されるハイドロタルサイト化合物を高温(例えば、500℃程度)にて焼成したものを用いてもよい。
【0032】
このようなハイドロタルサイト化合物としては、経済性および入手性の容易さという観点から、上記式(1)中のLがMg
2+、QがAl
3+、A
n-がCO
32-となるものが好ましい。このような式(1)を満たすハイドロタルサイト化合物として、具体的には、協和化学工業社製の、DHT−4A,DHT−4A−2,DHT−4C,DHT−4Hや、東亞合成社製のIXE−700Fがあげられる。
【0033】
<F:特定のワックス>
上記A〜E成分とともに用いられる特定のワックス(F成分)は、酸価が10〜100mgKOH/gであるカルボキシル基を有するワックスであり
、酸化ポリエチレン系ワックス
と炭素数30以上の長鎖脂肪酸
の混合物であり、上記特定の酸価を有するものが用いられる
。
【0034】
本発明にて用いられるカルボキシル基を有するワックスは、一般的にカルボン酸等からなる極性基と長い炭素鎖からなる非極性基を有しているため、上記極性基は成型時に樹脂硬化物側に配向し、逆に上記非極性基は成形金型側に配向することにより離型剤として作用する。
【0035】
本発明にて用いられる、特定の酸価を有する酸化ポリエチレン系ワックスとしては、上記酸価を満たすものであればよく、例えば、低圧重合法によって製造されたポリエチレンワックスの酸化物、高圧重合法によって製造されたポリエチレンワックスの酸化物、高密度ポリエチレンポリマーの酸化物があげられる。これら酸化ポリエチレン系ワックスは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも、離型性という点から、高密度ポリエチレンポリマーの酸化物を用いることが好ましい。具体的には、クラリアントジャパン社製の、リコワックス PED136,153,521等があげられる。
【0036】
本発明にて用いられる
炭素数30以上の長鎖脂肪酸としては、例えば
、炭素数30のトリアコンタン酸(すなわちメリシン酸)、炭素数32のドトリアコンタン酸(すなわちラセロン酸)、炭素数33のトリトリアコンタン酸(すなわちセロメリッシン酸あるいはプリシン酸)、炭素数34のテトラトリアコンタン酸(すなわちゲド酸)、炭素数35のペンタトリアコンタン酸(すなわちセロプラスチン酸)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる
。ブリード性という点から、炭素数が30以上のカルボン酸を用い
る。具体的には、ベイカー・ヒューズ・インコーポレーテッド社製の、ユニシッド700,550等があげられる。
【0037】
本発明にて用いられるカルボキシル基を有する特定の酸価のワックス(F成分)の滴点は、100〜140℃であ
り、より好ましくは110〜130℃である。上記滴点は、ASTM D127に準拠した方法により測定することができる。具体的には、金属ニップルを用いて、溶融したワックスが金属ニップルから最初に滴下するときの温度として測定される。以降の滴点に関しても同様の方法により測定することができる。そして、上記ワックス(F成分)の滴点が上記範囲内であると、このカルボキシル基を有する特定の酸価ワックス(F成分)は熱安定性に優れるとともに、連続成形性にも優れるようになる。さらに、滴点が上記範囲内であると、エポキシ樹脂組成物を硬化させる際、酸化ポリエチレン系ワックスが充分に溶融する。これにより、樹脂硬化物中にカルボキシル基を有する特定の酸価ワックス(F成分)が略均一に分散することとなる。このため、カルボキシル基を有する特定の酸価ワックス(F成分)の樹脂硬化物表面への偏析が抑制され、成形金型の汚れや成形金型への張り付き(スティッキング)を低減することが可能となる。
【0038】
本発明にて用いられるカルボキシル基を有する特定の酸価のワックス(F成分)の酸価は、10〜100mgKOH/gである必要があり、より好ましくは15〜80mgKOH/gである。上記酸価は樹脂硬化物との相溶性に影響を及ぼすものであり、酸価が小さすぎると、ステインにより連続成形性が悪化してしまい、酸価が大きすぎると、ステインのみならず、ワックスが前述のハイドロタルサイト化合物(E成分)と反応してしまい、信頼性をも低下するからである。なお、上記酸価は、ワックス1g中に含有する遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)のミリグラム(mg)数として測定され表記される。
【0039】
本発明に用いられ特定のワックス(F成分)としては、樹脂硬化物外観の悪化(ステインの形成)を抑制するという観点から、酸化ポリエチレン系ワックスと
炭素数30以上の長鎖脂肪酸を併用す
る。こ
の酸化ポリエチレン系ワックスと
炭素数30以上の長鎖脂肪酸の併用割合は、重量比で、酸化ポリエチレン系ワックス/長鎖脂肪酸=1/9〜9/1に設定することが好ましく、より好ましくは3/7〜7/3である。
【0040】
上記特定のワックス(F成分)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の0.02〜2.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0041】
<他の各種添加剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物には、上記A〜F成分以外に、必要に応じて、シランカップリング剤、難燃剤、難燃助剤、低応力化剤、カーボンブラック等の顔料や着色剤、粘着付与剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。これら各種添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内の配合量に適宜設定され配合される。
【0042】
上記シランカップリング剤としては、例えば、2個以上のアルコキシ基を有するものが好適に用いられる。具体的には、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0043】
上記難燃剤としては、例えば、ノボラック型ブロム化エポキシ樹脂や、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等があげられる。さらに、上記難燃助剤としては、三酸化二アンチモンや五酸化二アンチモン等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0044】
上記低応力化剤としては、例えば、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等のブタジエン系ゴムやシリコーン化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0045】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、上記A〜F成分、さらに必要に応じて他の添加剤を常法に準じて適宜配合し、ミキシングロール機等の混練機にかけ加熱状態で溶融混練する。ついで、これを室温下にて冷却固化させた後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じて打錠するという一連の工程を経由することにより目的とするエポキシ樹脂組成物を製造することができる。
【0046】
<半導体装置>
このようにして得られるエポキシ樹脂組成物を用いての半導体素子の封止方法は、特に制限するものではなく、通常のトランスファー成形等の公知のモールド方法により行うことができ、半導体装置化することができる。また、上記打錠工程を経由せず、粉砕して顆粒状態のパウダーにしたものを、圧縮成形のモールド方法に適用することも可能である。このようにして得られる半導体装置としては、ICやLSI等の半導体装置等があげられる。
【実施例】
【0047】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0048】
まず、下記に示す各成分を準備した。
【0049】
〔エポキシ樹脂〕
ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−4000:エポキシ当量192、融点105℃)
【0050】
〔フェノール樹脂〕
ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製、MH7851SS:水酸基当量203、軟化点65℃)
【0051】
〔硬化促進剤〕
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成社製)
【0052】
〔無機質充填剤〕
球状溶融シリカ粉末(平均粒径13μm)
【0053】
〔顔料〕
カーボンブラック
【0054】
〔難燃剤〕
水酸化マグネシウム
【0055】
〔シランカップリング剤〕
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
【0056】
〔ハイドロタルサイト化合物e1〕
DHT−4A(協和化学工業社製)
〔ハイドロタルサイト化合物e2〕
DHT−4A−2(協和化学工業社製)
〔ハイドロタルサイト化合物e3〕
DHT−4C(協和化学工業社製)
〔ハイドロタルサイト化合物e4〕
DHT−4H(協和化学工業社製)
〔ハイドロタルサイト化合物e5〕
IXE−700F(東亞合成社製)
【0057】
〔ワックスf1〕(
参考例)
長鎖脂肪酸〔ベイカー・ヒューズ・インコーポレーテッド社製、ユニシッド700(滴点110℃、酸価63mgKOH/g)〕
〔ワックスf2〕(実施例)
長鎖脂肪酸〔ベイカー・ヒューズ・インコーポレーテッド社製、ユニシッド550(滴点101℃、酸価79mgKOH/g)〕
〔ワックスf3〕(
参考例)
酸化ポリエチレンワックス〔クラリアントジャパン社製、リコワックス PED136(滴点111℃、酸価60mgKOH/g)〕
〔ワックスf4〕(
参考例)
酸化ポリエチレンワックス〔クラリアントジャパン社製、リコワックス PED153(滴点120℃、酸価25mgKOH/g)〕
〔ワックスf5〕(実施例
・参考例)
酸化ポリエチレンワックス〔クラリアントジャパン社製、リコワックス PED521(滴点105℃、酸価17mgKOH/g)〕
〔ワックスf6〕(比較例)
長鎖脂肪酸〔ベイカー・ヒューズ・インコーポレーテッド社製、ユニシッド350(滴点92℃、酸価120mgKOH/g)〕
〔ワックスf7〕(比較例)
酸化ポリエチレンワックス〔東洋ペトロライト社製、ペトロライト C−8500(滴点95℃、酸価9mgKOH/g)〕
〔ワックスf8〕(比較例)
飽和アルコール〔ベイカー・ヒューズ・インコーポレーテッド社製、ユニリン700(滴点105℃、酸価0mgKOH/g)〕
〔ワックスf9〕(比較例)
ポリエチレンワックス〔クラリアントジャパン社製、リコワックス PE520(滴点120℃、酸価0mgKOH/g)〕
【0058】
〔実施例1〜
2、参考例1〜13、比較例1〜4〕
後記の表1〜表3に示す各成分を同表に示す割合で配合し、2軸混練機を用い100℃にて2分間溶融混練した。つぎに、この溶融物を冷却した後、粉砕することにより目的とする粉末状のエポキシ樹脂組成物を作製した。
【0059】
このようにして得られた実施例
、参考例および比較例の各エポキシ樹脂組成物を用い、下記に示す方法に従ってゲル化時間を測定した。また、各エポキシ樹脂組成物を用いた連続成形性の評価を下記に従い評価した。さらに、各エポキシ樹脂組成物の高温高湿信頼性を下記の方法に従って評価した。そして、上記連続成形性の評価におけるパッケージ汚れに関しても評価した。これらの結果を後記の表1〜表3に併せて示す。
【0060】
〔ゲル化時間〕
175℃の熱平板上にエポキシ樹脂組成物を約0.1〜0.5g載せ、直径1.5mmのガラス棒で撹拌しながら溶融させ、樹脂の糸引きが見られなくなるまで(ゲル化)の時間をゲル化時間(秒)とした。なお、硬化性を考慮した場合、一般に、ゲル化時間は60秒以下が妥当である。
【0061】
〔連続成形性〕
成形金型を予めクリーニングしておき、実施例
、参考例および比較例で得られた各エポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファー成形(成形温度175℃、成形時間90秒)にてパッケージを封止することを繰り返し、エポキシ樹脂組成物が成形金型に張り付く(スティッキング)までの成形ショット数を測定した。そして、スティッキングが生じた成形ショットを停止ショットとし、この停止ショット数を記載した。
なお、上記パッケージは、ボールグリッドアレイ(BGA)基板(35mm×35mm×厚み0.5mm)に、半導体素子(10mm×10mm×厚み0.3mm)を搭載したものである。
【0062】
〔高温高湿信頼性〕
上記のようにして製造した半導体装置に対し、130℃×85%RH環境下でのHAST試験(不飽和加圧蒸気試験:バイアス無し)を行なった。上記HAST試験処理後の抵抗値の測定を行ない、抵抗値の上昇率が10%以上であった場合を断線不良とし、この断線不良が発生するHAST試験処理時間を高温高湿信頼性の寿命時間(時間)として記載した。
【0063】
〔パッケージ汚れ〕
上記連続成形性評価において、パッケージ表面に汚れ(ステイン)が目視により確認された成形ショット数を計測し記載した。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
上記結果から、全ての実施例
、参考例品は、適正なゲル化時間であり、連続成形性および高温高湿信頼性に関しても優れた評価結果が得られていることから、実用的にも優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られたことがわかる。特に、ワックス成分として酸化ポリエチレンワックスと長鎖脂肪酸を併用した実施例
1,
2は、高温高湿信頼性に優れていることはもちろん、連続成形性およびパッケージ汚れ評価に関して非常に優れた評価結果が得られた。
【0068】
これに対して、特定の範囲を外れ酸価が小さすぎる、あるいは大きすぎるワックスを用いた比較例品は、連続成形性およびパッケージ汚れの評価が著しく劣っており、高温高湿信頼性および連続成形性の双方ともに優れた特性を備えたエポキシ樹脂組成物が得られていないことは明らかである。