(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態を示している。この実施形態の画像処理装置10は、例えば、動画像の撮影が可能なデジタルカメラである。以下、画像処理装置10をデジタルカメラ10とも称する。例えば、デジタルカメラ10は、撮影レンズ20、撮像素子22、アナログ処理部24、A/D変換部26、制御部28、画像処理部30、圧縮部32、バッファ部34、メモリ36、記憶媒体38、モニタ40および操作部42を有している。例えば、A/D変換部26、制御部28、画像処理部30、圧縮部32、バッファ部34、メモリ36、記憶媒体38およびモニタ40は、バスBUSに接続されている。なお、図中の破線の矢印は、画像データRAWDATA、RAWCOMPの流れの一例を示している。
【0011】
撮影レンズ20は、被写体の像を撮像素子22の受光面に結像する。撮像素子22は、例えば、CCDイメージサンサーやCMOSイメージセンサーである。撮像素子22は、撮影レンズ20を介して入射される被写体の像を電気信号(以下、画像信号とも称する)に変換し、変換した電気信号をアナログ処理部24に出力する。
【0012】
アナログ処理部24は、撮像素子22から受けた画像信号に対してアナログ信号処理を実施するアナログフロントエンド回路である。例えば、アナログ処理部24は、画像信号のゲインを調整するゲイン制御や画像信号のノイズ成分を低減するための相関二重サンプリング処理等を実施し、アナログ画像データを生成する。そして、アナログ処理部24は、生成したアナログ画像データをA/D変換部26に出力する。
【0013】
A/D変換部26は、アナログ処理部24から受けたアナログ画像データをデジタル画像データに変換することにより、RAW画像データRAWDATAを生成する。そして、A/D変換部26は、RAW画像データRAWDATAを圧縮部32およびバッファ部34に出力する。このように、撮像素子22、アナログ処理部24およびA/D変換部26は、撮影された画像のRAW画像データを生成する撮像部として機能する。
【0014】
RAW画像データRAWDATAでは、撮像素子22の画素配列(例えば、ベイヤー(Bayer)配列)に基づいて、1つの画素に1色の輝度情報が格納される。以下、1つの画素に1色の輝度情報が格納されるデータ形式を、RAW形式とも称する。
【0015】
制御部28は、例えば、マイクロプロセッサであり、メモリ36に記憶されているプログラムに基づいて、デジタルカメラ10の動作を制御する。例えば、制御部28は、オートフォーカス制御、露出制御、ホワイトバランス制御および画像データの記録等を実施する。
【0016】
画像処理部30は、バッファ部34に記憶されたRAW画像データRAWDATAに対して少なくとも色補間処理を含む画像処理を実施し、撮影画像の本画像データを生成する。これにより、デジタルカメラ10は、必要に応じて、本画像データを記憶媒体38等に記憶することができる。ここで、色補間処理は、例えば、各画素の足りない色の輝度情報を周囲の画素の色情報(輝度情報)を利用して補間する処理である。したがって、色補間処理等の画像処理が実施された画像データである本画像データでは、各画素は、全ての色(例えば、赤、緑、青)の輝度情報を有している。なお、例えば、画像処理部30は、色補間処理の他に、ホワイトバランス処理、輪郭補償処理、ガンマ処理、ノイズリダクション処理等の画像処理を、RAW画像データRAWDATAに対して実施してもよい。
【0017】
圧縮部32は、例えば、動画像のRAW画像データRAWDATAをRAW形式のまま圧縮し、圧縮画像データRAWCOMPを生成する。例えば、圧縮部32は、連続して撮影された画像のRAW画像データRAWDATAに対して、撮像素子22の画素配列に基づく色信号毎に、撮影条件に応じた階調変換を実施する。そして、圧縮部32は、階調変換が実施されたRAW画像データRAWDATAに対して、色信号毎に空間方向および時間方向の相関を利用した圧縮処理を実施する。圧縮部32により生成された圧縮画像データRAWCOMPは、例えば、記憶媒体38に記憶される。
【0018】
このように、この実施形態では、圧縮部32は、連続して撮影された画像のRAW画像データRAWDATAに対して、撮像素子22の画素配列に基づく色信号毎に、撮影条件に応じた階調変換を実施する階調変換部として機能する。さらに、圧縮部32は、階調変換が実施されたRAW画像データRAWDATAに対して、色信号毎に空間方向および時間方向の相関を利用した圧縮処理を実施する画像圧縮部として機能する。すなわち、この実施形態では、圧縮部32は、階調変換部および画像圧縮部を有している。
【0019】
ここで、撮影条件は、例えば、撮影時の露出条件、撮影時のホワイトバランスおよび画像の輝度の少なくとも1つを含んでいる。なお、撮影条件は、例えば、撮影時の露出条件、撮影時のホワイトバランスおよび画像の輝度の少なくとも1つの時系列の変化に基づく推移情報を含んでもよい。
【0020】
例えば、撮影時の露出条件や撮影時のホワイトバランスが撮影条件に含まれる場合、圧縮部32は、撮影時の露出条件やホワイトバランス等を示す撮影情報SHINFを、制御部28から取得する。また、例えば、画像の輝度が撮影条件に含まれる場合、圧縮部32は、RAW画像データRAWDATAの輝度信号を解析し、画像の輝度を示す輝度情報を算出する。RAW画像データRAWDATAから算出される輝度情報は、例えば、画像の輝度分布や画面全体の平均輝度等の撮影時の光量に相当する情報である。
【0021】
なお、圧縮部32は、静止画像のRAW画像データRAWDATAをRAW形式のまま圧縮してもよい。この場合、圧縮部32は、例えば、階調変換が実施されたRAW画像データRAWDATAに対して、色信号毎に空間方向の相関を利用した圧縮処理を実施する。静止画像におけるRAW画像データRAWDATAの色信号毎の圧縮処理には、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等の既存の圧縮符号化方式を適用できる。
【0022】
また、圧縮部32は、本画像データ(画像処理後の画像データ)を圧縮する機能を有してもよい。この場合、圧縮部32は、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式やH.264/MPEG−4 AVC形式等の圧縮符号化方式を用いて、動画像の本画像データを圧縮する。あるいは、圧縮部32は、JPEG形式等の圧縮符号化方式を用いて、静止画像の本画像データを圧縮する。
【0023】
バッファ部34は、例えば、A/D変換部26から受けたRAW画像データRAWDATAを一時的に記憶する。メモリ36は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで形成された内蔵メモリであり、デジタルカメラ10の動作を制御するためのプログラム等を記憶する。
【0024】
記憶媒体38は、撮影された画像の圧縮画像データRAWCOMP等を、記憶媒体インターフェース(図示せず)を介して記憶する。モニタ40は、例えば、液晶ディスプレイであり、スルー画像やメニュー画面等を表示する。操作部42は、レリーズボタンおよびその他の各種スイッチを有し、デジタルカメラ10を動作させるために、ユーザにより操作される。
【0025】
図2は、
図1に示した圧縮部32の動作の一例を示している。なお、
図2は、動画撮影が実施されたときの圧縮部32の動作の一例を示している。例えば、ステップS100−S220は、圧縮部32により、メモリ36に記憶された画像処理プログラムに従って実施される。先ず、動画撮影の開始により、ステップS100が実施される。
【0026】
ステップS100では、圧縮部32は、圧縮画像データRAWCOMPの記録に使用する記録用ファイルを、記憶媒体38に作成する。
【0027】
ステップS110では、圧縮部32は、動画の各フレームに対応するRAW画像データRAWDATAを、A/D変換部26から順次取得する。なお、RAW画像データRAWDATAは、
図1で説明したように、バッファ部34に順次記憶される。したがって、圧縮部32は、RAW画像データRAWDATAをバッファ部34から順次読み出してもよい。この場合、A/D変換部26は、RAW画像データRAWDATAを圧縮部32に出力しなくてもよい。
【0028】
ステップS120では、圧縮部32は、各フレームの撮影情報SHINFを制御部28から順次取得し、取得した撮影情報SHINFをバッファ部34等に順次記憶する。撮影情報SHINFは、動画の各フレームの撮影時の露出条件やホワイトバランス等を示す情報であり、例えば、階調変換の処理内容等を決定する際(ステップS140)に参照される。このため、圧縮部32は、現在のフレームより前の所定時間分(例えば、1秒間程度)の撮影情報SHINFをバッファ部34等に記憶すればよい。なお、圧縮部32は、撮影情報SHINFを記憶するバッファを有してもよい。
【0029】
ステップS130では、圧縮部32は、動画像の各フレームの輝度情報をRAW画像データRAWDATAから順次抽出し、抽出した輝度情報をバッファ部34等に順次記憶する。輝度情報は、画像の輝度分布やフレーム(画面全体)の平均輝度等であり、例えば、階調変換の処理内容等を決定する際(ステップS140)に参照される。このため、圧縮部32は、現在のフレームより前の所定時間分(例えば、1秒間程度)の輝度情報をバッファ部34等に記憶すればよい。なお、圧縮部32は、輝度情報を記憶するバッファを有してもよい。ここで、輝度情報の抽出は、RAW画像データRAWDATAの輝度信号を解析することにより実施される。例えば、圧縮部32は、RAW画像データRAWDATAの緑色成分の輝度信号に基づいて、画像の輝度分布を抽出する。
【0030】
ステップS140では、圧縮部32は、バッファ部34に記憶された撮影情報SHINF(撮影時の露出条件、撮影時のホワイトバランス等)および輝度情報(画像の輝度分布等)に基づいて、階調変換の処理内容および圧縮フレーム数を決定する。例えば、圧縮部32は、撮影時の露出条件、撮影時のホワイトバランスおよび画像の輝度を総合的に判断して、階調変換の処理内容および圧縮フレーム数を決定する。なお、圧縮部32は、撮影時の露出条件、撮影時のホワイトバランスおよび画像の輝度の少なくとも1つに基づいて、階調変換の処理内容および圧縮フレーム数を決定してもよい。あるいは、圧縮部32は、撮影時の露出条件、撮影時のホワイトバランスおよび画像の輝度の少なくとも1つの時系列の変化に基づく推移情報に応じて、階調変換の処理内容および圧縮フレーム数を決定してもよい。
【0031】
ここで、階調変換の処理内容の決定は、例えば、後述する
図4に示すような複数の階調変換テーブルが予め用意されている場合、階調変換に使用する階調変換テーブルを選択することである。例えば、圧縮部32は、画像の輝度(輝度分布や平均輝度等)が低輝度側に寄っているときには、低輝度部の階調を残す階調変換テーブルを、予め用意された複数の階調変換テーブルの中から選択する。
【0032】
圧縮フレーム数の決定は、時間方向の圧縮処理の基準となるフレーム(以下、基準フレームとも称する)の周期を決定することである。すなわち、圧縮フレーム数は、基準フレームの周期に相当する。例えば、H.264/MPEG−4 AVCでは、圧縮フレーム数は、IDR(Instantaneous Decoder Refresh)ピクチャの周期に相当する。なお、圧縮フレーム数は、一定でもよいし、可変でもよい。例えば、圧縮部32は、撮影時の露出条件、撮影時のホワイトバランスおよび輝度情報の少なくとも1つの時系列の変化が大きい場合、圧縮フレーム数を変更する。なお、上述した階調変換の処理内容の決定は、例えば、基準フレーム毎に実施される。例えば、圧縮部32は、基準フレーム毎に、階調変換に使用する階調変換テーブルを予め用意された複数の階調変換テーブルの中から選択する。これにより、階調変換の処理内容は、基準フレーム毎に更新される。
【0033】
ステップS150では、圧縮部32は、ステップS110で取得したRAW画像データRAWDATAを色信号(色成分)毎に分離し、色成分毎のフレームデータを生成する。例えば、圧縮部32は、撮像素子22の画素配列がベイヤー配列の場合、後述する
図3に示すように、R(赤色)成分、Gr(緑色)成分、Gb(緑色)成分およびB(青色)成分の4つのフレームデータFRM12、FRM14、FRM16、FRM18を生成する。フレームデータFRM12、FRM14、FRM16、FRM18は、例えば、バッファ部34等に記憶される。
【0034】
ステップS160では、圧縮部32は、圧縮した画像データ(圧縮画像データRAWCOMP)を復号する際に必要な付加情報を生成する。付加情報は、例えば、撮影情報SHINF、ステップS150で生成した各フレームデータの色成分を示す情報、ステップS140で決定した階調変換の処理内容を示す情報および圧縮処理の情報(圧縮フレーム数や圧縮符号化方式)等である。なお、圧縮部32は、付加情報をフレーム毎に生成してもよいし、付加情報を基準フレーム毎に生成してもよい。例えば、付加情報がフレーム毎に生成される場合、基準フレーム以外のフレームの付加情報の内容(例えば、撮影情報SHINFの内容)は、基準フレームとの差分だけでもよい。
【0035】
ステップS170では、圧縮部32は、ステップS140で決定した階調変換の処理内容に基づいて、ステップS150で生成した各色成分のフレームデータを階調変換する。すなわち、圧縮部32は、RAW画像データRAWDATAの階調変換を、色成分毎に撮影条件に応じて実施する。階調変換された各色成分のフレームデータは、例えば、バッファ部34等に記憶される。
【0036】
ステップS180では、圧縮部32は、ステップS170で階調変換された各色成分のフレームデータに対して、空間方向および時間方向の相関を利用した圧縮処理を実施する。すなわち、圧縮部32は、階調変換が実施されたRAW画像データRAWDATAに対して、空間方向および時間方向の相関を利用した圧縮処理を色成分毎に実施する。なお、ステップS150で生成されたフレームデータは、それぞれ単体では、モノクロのフレームデータとして扱うことが可能である。また、各色成分のフレームデータでは、互いに隣接する画素間の相関が高くなり、時系列に連続するフレームデータ間の相関も高くなる。このため、各色成分のフレームデータの圧縮処理には、MPEG形式やH.264/MPEG−4 AVC形式等の既存の圧縮符号化方式を適用できる。
【0037】
ステップS190では、圧縮部32は、ステップS160で生成した付加情報を圧縮符号化する。付加情報の圧縮符号化には、ハフマン符号化等の既存の圧縮符号化方式を適用できる。なお、圧縮部32は、付加情報を、圧縮符号化する代わりに、暗号化してもよい。例えば、付加情報の暗号化には、AES(Advanced Encryption Standard)等の既存の暗号化方式を適用できる。付加情報の圧縮符号化(あるいは、暗号化)は、予め決められた方法で実施される。
【0038】
ステップS200では、圧縮部32は、ステップS100で記憶媒体38に作成した記録用ファイルに、ステップS180で圧縮処理された各色成分のフレームデータとステップS190で圧縮処理され付加情報とを記録する。なお、付加情報が基準フレーム毎に生成される場合、付加情報を基準フレーム毎に記録用ファイルに記録してもよいし、付加情報(基準フレーム毎に内容が更新される付加情報)をフレーム毎に記録用ファイルに記録してもよい。
【0039】
ステップS210では、圧縮部32は、撮影が終了したか否かを判定する。圧縮部32は、例えば、制御部28から撮影の終了を示す信号等を受信することにより、撮影が終了したか否かを判定できる。撮影が終了していない場合(ステップS210のNo)、圧縮部32の動作は、ステップS110に移る。一方、撮影が終了している場合(ステップS210のYes)、圧縮部32は、ステップS220において、記憶媒体38に作成した記録用ファイルをクローズして、動画像の圧縮処理を終了する。
【0040】
ここで、ステップS100−S220により記憶媒体38に記憶された圧縮画像データRAWCOMPは、上述の圧縮処理と逆の手順により、画質の調整に適したRAW形式の動画像データに復号される。例えば、圧縮処理された付加情報が復号され、復号された付加情報に基づいて各色成分のフレームデータが復号される。これにより、ユーザは、RAW形式の動画像データを編集することができ、動画像の編集等を精度よく実施できる。
【0041】
なお、圧縮部32の動作は、この例に限定されない。例えば、ステップS110、S120等は、並列に実行されてもよいし、実行される順番が逆でもよい。また、例えば、ステップS140で輝度情報が使用されない場合、圧縮部32は、ステップS130の処理を省いてもよい。あるいは、ステップS100、S220等の記憶媒体38を制御する動作は、制御部28により実施されてもよい。
【0042】
図3は、色成分毎のフレームデータFRMの一例を示している。なお、
図3は、撮像素子22の画素配列がベイヤー配列のときのフレームデータFRMの一例を示している。
【0043】
RAW画像データRAWDATAのフレームデータFRM10は、赤色(R)の画素および緑色(Gr)の画素が交互に配置された行と、緑色(Gb)の画素および青色(B)の画素が交互に配置された行とを有している。なお、赤色(R)、緑色(Gr、Gb)および青色(B)の画素は、赤色(R)、緑色(Gr、Gb)および青色(B)の輝度情報をそれぞれ有している。フレームデータFRM10は、上述した
図2のステップS150で説明したように、色成分毎のフレームデータFRM12、FRM14、FRM16、FRM18に分離される。
【0044】
例えば、フレームデータFRM12では、フレームデータFRM10における赤色(R)の画素間の相関を維持した状態で、赤色(R)の画素が配列される。フレームデータFRM14では、フレームデータFRM10における緑色(Gr)の画素間の相関を維持した状態で、緑色(Gr)の画素が配列される。フレームデータFRM16では、フレームデータFRM10における緑色(Gb)の画素間の相関を維持した状態で、緑色(Gb)の画素が配列される。フレームデータFRM18では、フレームデータFRM10における青色(B)の画素間の相関を維持した状態で、青色(B)の画素が配列される。これにより、この実施形態では、各フレームデータFRM12、FRM14、FRM16、FRM18において、互いに隣接する画素間の相関を高くできる。すなわち、この実施形態では、フレーム内の互いに隣接する画素間の相関を高くでき、時系列に連続するフレーム間の相関を高くできる。
【0045】
図4は、階調変換テーブルTBの入出力特性の一例を示している。なお、
図4は、入力階調および出力階調がそれぞれ12ビット(0〜4095)および10ビット(0〜1023)の階調変換テーブルTBの入出力特性の一例を示している。階調変換テーブルTBは、階調変換後の画像データの階調のビット数を階調変換前の画像データの階調のビット数に比べて少なくするためのテーブルである。したがって、デジタルカメラ10は、階調変換前後での画質の劣化を抑制するために、入出力特性の異なる複数の階調変換テーブルTBを有している。
【0046】
例えば、階調変換テーブルTB1は、低輝度部の階調の精度の劣化が少ない入出力特性を有している。階調変換テーブルTB2、TB3は、中輝度部の階調の精度の劣化が階調変換テーブルTB1に比べて少ない入出力特性を有している。階調変換テーブルTB4は、高輝度部の階調の精度の劣化が少ない入出力特性を有している。
【0047】
圧縮部32は、例えば、上述した
図2のステップS140において、元の画像データの残したい情報の精度を維持する階調変換テーブルTBを、複数の階調変換テーブルTB1、TB2、TB3、TB4から撮影条件に基づいて選択する。例えば、画像の輝度(画像の輝度情報が示す輝度分布等)が低輝度側に寄っているときには、低輝度部の階調を残す階調変換テーブルTB1が選択される。あるいは、画像の輝度(画像の輝度情報が示す輝度分布等)が高輝度側に寄っているときには、高輝度部の階調を残す階調変換テーブルTB4が選択される。なお、圧縮部32は、撮影時のホワイトバランスに基づいて階調変換テーブルTBを選択してもよいし、撮影時の露出条件に基づいて階調変換テーブルTBを選択してもよい。あるいは、圧縮部32は、画像の輝度情報および撮影時のホワイトバランス等の複数の情報に基づいて、階調変換テーブルTBを選択してもよい。
【0048】
このように、この実施形態では、撮影条件に応じた階調変換テーブルTBが選択されるため、階調変換前後での画質の劣化を抑制できる。したがって、この実施形態では、階調変換前後での画質の劣化を抑制しつつ、階調変換後の画像データ(圧縮処理が実施される画像データ)のデータ量を階調変換前の画像データのデータ量に比べて少なくできる。
【0049】
ここで、撮影条件に撮影時のホワイトバランスが含まれる場合でも、デジタルカメラ10は、ホワイトバランスに応じた階調変換テーブルTBを有していなくてもよい。この場合、例えば、圧縮部32は、ホワイトバランスに応じた色信号毎のゲイン値を各色信号に乗算する。その後に、圧縮部32は、画像の輝度情報等に応じて選択した階調変換テーブルTBを利用して、階調変換を実施する。これにより、予め用意する階調変換テーブルTBの数を減らすことができる。
【0050】
以上、この実施形態では、デジタルカメラ10は、連続して撮影された画像のRAW画像データRAWDATAをRAW形式のまま圧縮する圧縮部32を有している。圧縮部32は、動画像等の連続して撮影された画像のRAW画像データRAWDATAを色信号毎に撮影条件に基づいて階調変換し、階調変換後のRAW画像データRAWDATAを色信号毎に圧縮する。これにより、この実施形態では、階調変換前後での画質の劣化を抑制しつつ、連続して撮影された画像のRAW画像データRAWDATAを効率的に圧縮できる。すなわち、この実施形態では、連続して撮影された画像のRAW画像データを効率的に圧縮することができる画像処理装置および画像処理プログラムを提供できる。
【0051】
また、この実施形態のデジタルカメラ10により生成された圧縮画像データRAWCOMPは、
図2に示した圧縮処理と逆の手順により、画質の調整に適したRAW形式の動画像データに復号される。例えば、撮影後に動画像を編集する場合、圧縮画像データRAWCOMPは、階調変換前のRAW画像データRAWDATAに復号される。これにより、ユーザは、動画像の編集等を精度よく実施できる。すなわち、この実施形態では、動画像の編集等を精度よく実施することが可能な動画像データを、提供できる。
【0052】
なお、上述した実施形態では、動画像のRAW画像データRAWDATAがRAW形式のまま圧縮される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、連写撮影により得られた画像のRAW画像データRAWDATAがRAW形式のまま圧縮されてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
上述した実施形態では、ベイヤー配列のフレームデータFRM10が4つのフレームデータFRM12、FRM14、FRM16、FRM18に分離される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、フレームデータFRM10は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の3つのフレームデータに分離されてもよい。この場合、例えば、2つの緑色(Gr、Gb)のフレームデータFRM14、FRM16は、2つの緑色(Gr、Gb)の平均をとることにより、1つの緑色(G)のフレームデータにまとめられる。付加情報には、ベイヤー配列における2つの緑色(Gr、Gb)を1つの緑色(G)にまとめたことを示す情報が含まれる。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
上述した実施形態では、RAW画像データRAWDATAがベイヤー配列である場合の例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、RAW画像データRAWDATAは、ベイヤー配列以外のカラー配列でもよい。また、RAW画像データRAWDATAは、赤色(R)、緑色(Gr、Gb)および青色(B)以外のカラー配列でもよい。例えば、RAW画像データRAWDATAは、CMY(シアン、マゼンタ、イエロー)のカラー配列でもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
上述した実施形態では、画像処理装置10がデジタルカメラに適用された場合の例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の画像処理装置は、連写撮影や動画撮影の機能を有するカメラ付き携帯電話やデジタルビデオ等の電子機器に適用されてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
上述した実施形態では、画像処理装置10が撮像素子22を含んで構成される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、画像処理装置10は、少なくとも圧縮部32を有していればよい。また、圧縮部32により実行される処理(
図2のステップS100−S220)は、コンピュータ等の外部処理装置により実行されてもよい。すなわち、画像処理プログラムは、圧縮部32により実行される処理(
図2のステップS100−S220)を、コンピュータ等の外部処理装置に実行させてもよい。例えば、画像処理プログラムは、外部処理装置で読み取り可能なCD−ROM等の記憶媒体やインターネット等の通信網を介して外部処理装置にインストールされる。
【0057】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。