(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パターンは前記基板の異なる領域に繰り返し露光することで設けられており、前記フォーカス状態は前記繰り返し露光の1露光領域よりも小さい範囲ごとに求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査方法。
前記フォーカス状態演算部は、複数の領域のパターンのフォーカス状態からフォーカス状態のマッピングを行うことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の検査装置。
請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の検査装置と、前記露光装置と、前記検査部による検査結果を前記検査装置から前記露光装置に伝達する伝達部を備える露光システム。
前記露光装置は、前記基板支持部を清掃する清掃部材を備え、前記検査部による前記検査結果に基づいて前記基板支持部を清掃するように構成されている請求項16又は17に記載の露光システム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係る露光ステージ検査システムは、レジストが塗布されたウェハの表面に所定のマスクパターン(繰り返しパターン)を投影露光する露光装置100と、露光装置100による露光工程および現像装置による現像工程等を経て、表面に繰り返しパターンが形成されたウェハの検査を行う表面検査装置1とを備えて構成される。
【0023】
まず、露光装置100の構成について
図1を参照して説明する。露光装置100は、照明系110、レチクルステージ120、投影ユニット130、局所液浸装置140、ウェハステージ150、清掃装置160および主制御装置200を有して構成される。なお、以下においては、
図1に示した矢印X,Y,Zの方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する。
【0024】
照明系110は、詳細な図示を省略するが、光源、オプティカルインテグレータ等を備える照度均一化光学系と、レチクルブラインド等を備える照明光学系とを有し、レチクルブラインドで規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域を照明光(露光光)により略均一な照度で照明するように構成されている。照明光としては、例えば、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられる。
【0025】
レチクルステージ120上には、所定のパターン(例えば、ラインパターン)がそのパターン面(
図1における下面)に形成されたレチクル(フォトマスク)Rが、例えば真空吸着により固定保持されている。レチクルステージ120は、リニアモータ等を備えるレチクルステージ駆動装置121によってXY平面内で移動可能およびZ軸周りに微小回転可能であるとともに、走査方向(ここではY軸方向とする)に所定の走査速度で移動可能に構成されている。
【0026】
レチクルステージ120のXY平面内の位置情報(Z軸回りの回転方向の回転情報を含む)は、レチクルステージ120に設けられたY軸に直交する反射面を有する第1反射鏡123およびX軸に直交する反射面を有する第2反射鏡(図示せず)を介して、レーザ干渉計125によって検出される。レーザ干渉計125により検出された当該位置情報は主制御装置200に送られ、主制御装置200は、その位置情報に基づいてレチクルステージ駆動装置121を介してレチクルステージ120の位置(および移動速度)を制御する。
【0027】
投影ユニット130は、レチクルステージ120の下方に配置された鏡筒131と、鏡筒131内に保持された投影光学系135とを有して構成される。投影光学系135は、照明光の光軸AXに沿って配列された複数の光学素子(レンズエレメント)を有し、両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍または1/8倍など)を有するように構成されている。このため、照明系110から射出された照明光によってレチクルR上の照明領域が照明されると、投影光学系135の物体面とパターン面が略一致して配置されるレチクルRを透過した照明光により、投影光学系135を介してその照明領域内のレチクルRのパターンの縮小像が、投影光学系135の像面側に配置された基板である半導体ウェハ10(以下、ウェハ10と称する)上の露光領域(レチクルR上の照明領域に共役な領域)に形成される。
【0028】
露光装置100には、液浸方式の露光を行うために局所液浸装置140が設けられている。局所液浸装置140は、液体供給装置141、液体回収装置142、液体供給管143、液体回収管144、およびノズルユニット145を有して構成される。ノズルユニット145は、投影光学系135を構成する最も像面側(ウェハ側)の光学素子、ここでは先端レンズ136を保持する鏡筒131の下端部周囲を取り囲むように、投影ユニット130を保持する不図示のフレーム部材(露光装置100を構成するフレーム部材)に支持されている。本実施形態では、ノズルユニット145は、
図1に示されるように、その下端面が先端レンズ136の下端面と略同一面に設定されている。
【0029】
液体供給装置141は、詳細な図示を省略するが、液体を貯蔵するタンク、加圧ポンプ、温度制御装置、および液体の流量を制御するためのバルブを有して構成され、液体供給管143を介してノズルユニット145に接続されている。液体回収装置142は、詳細な図示を省略するが、回収した液体を貯蔵するタンク、吸引ポンプ、および液体の流量を制御するためのバルブを有して構成され、液体回収管144を介してノズルユニット145に接続されている。
【0030】
液体供給装置141および液体回収装置142は主制御装置200により駆動制御される。主制御装置200は、液体供給装置141を制御して液体供給管143を介して先端レンズ136とウェハ10との間に液体(例えば、純水)を供給するとともに、液体回収装置142を制御して液体回収管144を介して先端レンズ136とウェハ10との間から液体を回収する。このとき、主制御装置200は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置141および液体回収装置142を制御する。したがって、先端レンズ136とウェハ10との間には、一定量の液体が常に入れ替わって保持され、これにより液浸領域(液浸空間)が形成される。露光装置100では、照明光を、液浸領域を形成する液体を介してウェハ10に照射することによって、ウェハ10に対する露光が行われる。
【0031】
ウェハステージ150は、不図示のエアスライダにより数μm程度のクリアランスを有してベース部材105の上方に浮上支持され、リニアモータ等を備えるウェハステージ駆動装置151によってベース部材105の上面に沿ってXY平面内で移動可能に構成されている。
【0032】
ウェハステージ150の上部にはウェハテーブル152が設けられており、このウェハテーブル152上に、ウェハ10を真空吸着によって保持するウェハホルダ153が固定されている。ウェハホルダ153の上面であるウェハ支持面には、詳細な図示を省略するが、複数の円形状の吸着溝が形成され、これらの吸着溝が吸気管を介して外部の真空ポンプ等からなる吸引装置に接続されており、この吸引装置によりウェハ支持面とウェハ10の裏面との間の空間を負圧にすることで、ウェハ10がウェハホルダ153のウェハ支持面上に保持される。なお、投影ユニット130の側方には、ウェハ10のアライメントマークの位置を検出するアライメント装置(図示せず)が設けられており、このアライメント装置によってウェハ10のアライメントが行われる。
【0033】
ウェハステージ150のXY平面内の位置情報は、ウェハテーブル152の側面に設けられた反射面(反射鏡)介して、レーザ干渉計155によって検出される。レーザ干渉計155により検出された当該位置情報は主制御装置200に送られ、主制御装置200は、その位置情報に基づいてウェハステージ駆動装置151を介してウェハステージ150の位置(および移動速度)を制御する。
【0034】
以上のように構成された露光装置100では、照明系110から射出された照明光によってレチクルR上の照明領域が照明されると、投影光学系135の物体面とパターン面が略一致して配置されるレチクルRを透過した照明光により、その照明領域内のレチクルRのパターンの縮小像が、投影光学系135および局所液浸装置140により形成された液浸領域の液体を介して、ウェハステージ150上に保持されて投影光学系135の像面側に配置されたウェハ10上の露光領域(レチクルR上の照明領域に共役な領域)に形成される。そして、レチクルステージ120とウェハステージ150との同期駆動によって、照明領域に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に移動させるとともに、露光領域に対してウェハ10を走査方向(Y軸方向)に移動させることで、ウェハ10上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。
【0035】
このようにして多数のウェハ10に対して露光を行うと、ウェハ10に塗布されたフォトレジストから剥落したレジスト残滓等の異物がウェハホルダ153のウェハ支持面上に付着してその異物が次第に巨大化し、その上にウェハ10を載置保持すると、当該異物によりウェハ10の露光面の平面度が局所的に悪化し、ウェハの各ショット領域の位置ずれ誤差やフォーカス誤差の要因となる。そこで、露光装置100は、ウェハホルダ153上の異物を除去するための清掃装置160を備えている。
【0036】
清掃装置160は、投影ユニット130の側方であってウェハホルダ153のウェハ支持面と対向するように配置された清掃部材161と、清掃部材161をX軸、Y軸およびZ軸方向にそれぞれ移動させる移動機構162と、吸引管163を介して吸引を行う吸引装置164と、清掃装置160全体の作動を制御する清掃制御装置165を備えて構成される。清掃部材161の下面であるホルダ清掃面には、吸引口161aが形成され、この吸引口161aが吸引管163を介して真空ポンプや異物除去フィルタ等からなる吸引装置164に接続されている。移動機構162は、露光装置100を構成するフレーム部材(図示せず)に支持されている。
【0037】
移動機構162および吸引装置164は清掃制御装置165によって駆動制御される。清掃制御装置165は、主制御装置200からの制御情報に基づいて、移動機構162の作動を制御して、清掃部材161の下方に位置されたウェハホルダ153のウェハ支持面に清掃部材161のホルダ清掃面を接触させる(Z軸方向に移動させる)とともに、清掃部材161をXY平面内でウェハホルダ153に対して相対移動させる。またこのとき、清掃制御装置165は、吸引装置164の作動を制御して吸引管163を介して清掃部材161の吸引口161aの近傍空間を負圧にすることで、ウェハホルダ153上の異物を吸引除去する。
【0038】
このような露光装置100において、清掃装置160によるウェハホルダ153のウェハ支持面の清掃作動は、露光装置100により露光工程が実施され、現像装置(図示せず)による現像工程等を経た後に、実施される当該ウェハ10の表面検査結果に基づいて行われる。以下、ウェハ10の表面検査を行う表面検査装置1について説明する。
【0039】
表面検査装置1は、
図2に示すように、略円盤形のウェハ10を支持する検査ステージ5を備え、不図示の搬送装置によって搬送されてくるウェハ10は、検査ステージ5の上に載置されるとともに真空吸着によって固定保持される。検査ステージ5は、ウェハ10の回転対称軸(検査ステージ5の中心軸)を回転軸として、ウェハ10を回転(ウェハ10の表面内での回転)可能に支持する。また、検査ステージ5は、ウェハ10の表面を通る軸(チルト軸)を中心に、ウェハ10をチルト(傾動)させることが可能であり、照明光の入射角を調整できるようになっている。
【0040】
表面検査装置1はさらに、検査ステージ5に支持されたウェハ10の表面に照明光を平行光として照射する照明系20と、照明光の照射を受けたときのウェハ10からの反射光や回折光等を集光する受光系30と、受光系30により集光された光を受けてウェハ10の表面の像を検出する撮像装置35と、画像処理部40と検査部50とを備えて構成される。照明系20は、照明光を射出する照明ユニット21と、照明ユニット21から射出された照明光をウェハ10の表面に向けて反射させる照明側凹面鏡25とを有して構成される。照明ユニット21は、メタルハライドランプや水銀ランプ等の光源部22と、光源部22からの光のうち所定の波長を有する光を抽出し強度を調節する調光部23と、調光部23からの光を照明光として照明側凹面鏡25へ導く導光ファイバ24とを有して構成される。
【0041】
そして、光源部22からの光は調光部23を通過し、所定の波長(例えば、248nmの波長)を有する照明光が導光ファイバ24から照明側凹面鏡25へ射出され、導光ファイバ24から照明側凹面鏡25へ射出された照明光は、導光ファイバ24の射出部が照明側凹面鏡25の焦点面に配置されているため、照明側凹面鏡25により平行光束となって検査ステージ5に保持されたウェハ10の表面に照射される。なお、ウェハ10に対する照明光の入射角と出射角との関係は、検査ステージ5を上述のチルト軸の周りにチルト(傾動)させてウェハ10の載置角度を変化させることにより調整可能である。
【0042】
また、導光ファイバ24と照明側凹面鏡25との間には、照明側偏光フィルタ26が光路上へ挿抜可能に設けられており、
図2に示すように、照明側偏光フィルタ26を光路上から抜去した状態で回折光を利用した検査(以下、便宜的に回折検査と称する)が行われ、
図3に示すように、照明側偏光フィルタ26を光路上に挿入した状態で偏光(構造性複屈折による偏光状態の変化)を利用した検査(以下、便宜的にPER検査と称する)が行われるようになっている(照明側偏光フィルタ26の詳細については後述する)。
【0043】
ウェハ10の表面からの出射光(回折光もしくは反射光)は受光系30により集光される。受光系30は、検査ステージ5に対向して配設された受光側凹面鏡31を主体に構成され、受光側凹面鏡31により集光された出射光(回折光もしくは反射光)は、撮像装置35の撮像面上に達し、ウェハ10の像が結像される。
【0044】
また、受光側凹面鏡31と撮像装置35との間には、受光側偏光フィルタ32が光路上へ挿抜可能に設けられており、
図2に示すように、受光側偏光フィルタ32を光路上から抜去した状態で回折検査が行われ、
図3に示すように、受光側偏光フィルタ32を光路上に挿入した状態でPER検査が行われるようになっている(受光側偏光フィルタ32の詳細については後述する)。
【0045】
撮像装置35は、撮像面上に形成されたウェハ10の表面の像を光電変換して画像信号を生成し、画像信号を画像処理部40に出力する。画像処理部40は、撮像装置35から入力されたウェハ10の画像信号に基づいて、ウェハ10のデジタル画像を生成する。画像処理部40の内部メモリ(図示せず)には、良品ウェハの画像データが予め記憶されており、画像処理部40は、ウェハ10の画像(デジタル画像)を生成すると、ウェハ10の画像データと良品ウェハの画像データとを比較して、検査部50がウェハ10の表面における欠陥(異常)の有無を検査する。そして、画像処理部40および検査部50による検査結果およびそのときのウェハ10の画像が図示しない画像表示装置で出力表示される。また、画像処理部40は、ウェハの画像を利用して露光装置100のフォーカスの変動状態を求めることができるようになっている(詳細は後述する)。
【0046】
ところで、ウェハ10は、露光装置100により最上層のレジスト膜に対して所定のマスクパターンが投影露光され、現像装置(図示せず)による現像後、不図示の搬送装置により、不図示のウェハカセットまたは現像装置から検査ステージ5上に搬送される。このとき、ウェハ10は、ウェハ10のパターンもしくは外縁部(ノッチやオリエンテーションフラット等)を基準としてアライメントが行われた状態で、検査ステージ5上に搬送される。なお、ウェハ10の表面には、
図4に示すように、複数のチップ領域11(ショット)が縦横に(
図4におけるXY方向に)配列され、各チップ領域11の中には、半導体パターンとしてラインパターンまたはホールパターン等の繰り返しパターン12が形成されている。また、露光装置100は、前述のステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であり、ケーブル等を介して本実施形態の表面検査装置1の信号出力部(図示せず)と電気的に接続され、表面検査装置1からのデータ(信号)に基づいて露光制御の調整を可能に構成されている。
【0047】
以上のように構成される表面検査装置1を用いて、ウェハ10表面の回折検査を行うには、まず、
図2に示すように照明側偏光フィルタ26および受光側偏光フィルタ32を光路上から抜去し、不図示の搬送装置により、ウェハ10を検査ステージ5上に搬送する。なお、搬送の途中で不図示のアライメント機構によりウェハ10の表面に形成されているパターンの位置情報を取得しており、ウェハ10を検査ステージ5上の所定の位置に所定の方向で載置することができる。
【0048】
次に、ウェハ10の表面上における照明方向とパターンの繰り返し方向とが一致(ラインパターンの場合、ラインに対して直交)するように検査ステージ5を回転させるとともに、パターンのピッチをP、ウェハ10の表面に照射する照明光の波長をλ、照明光の入射角をθ1、n次回折光の出射角をθ2としたとき、ホイヘンスの原理より、次の数式1を満足するように設定を行う(検査ステージ5をチルトさせる)。
【0050】
次に、照明系20により照明光をウェハ10の表面に照射する。このような条件で照明光をウェハ10の表面に照射する際、照明ユニット21における光源部22からの光は調光部23を通過し、所定の波長(例えば、248nmの波長)を有する照明光が導光ファイバ24から照明側凹面鏡25へ射出され、照明側凹面鏡25で反射した照明光が平行光束となってウェハ10の表面に照射される。ウェハ10の表面で回折した回折光は、受光側凹面鏡31により集光されて撮像装置35の撮像面上に達し、ウェハ10の像(回折光による像)が結像される。
【0051】
そこで、撮像装置35は、撮像面上に形成されたウェハ10の表面の像を光電変換して画像信号を生成し、その画像信号を画像処理部40に出力する。画像処理部40は、撮像装置35から入力されたウェハ10の画像信号に基づいて、ウェハ10のデジタル画像(以下、回折光に基づくウェハ10のデジタル画像を便宜的に回折画像と称する)を生成する。また、画像処理部40は、ウェハ10の回折画像を生成すると、ウェハ10の画像データと良品ウェハの画像データとを比較して比較結果を検査部50に送り、検査部50はウェハ10の表面における欠陥(異常)の有無、およびフォーカス状態(パターンを露光する際の合焦状態)を検査する。そして、画像処理部40および検査部50による検査結果およびそのときのウェハ10の回折画像が図示しない画像表示装置で出力表示される。なお、下地層の影響を受けやすい場合は、照明系20の照明側偏光フィルタ26を照明光がS偏光となるように配置し、S偏光で照明することにより、下地層の影響を低減することができる。なお、この場合も受光側偏光フィルタ32は光路から抜去しておく。
【0052】
次に、表面検査装置1によりウェハ10表面のPER検査を行う場合について説明する。なお、繰り返しパターン12は、
図5に示すように、複数のライン部2Aがその短手方向(X方向)に沿って一定のピッチPで配列されたレジストパターン(ラインパターン)であるものとする。また、隣り合うライン部2A同士の間は、スペース部2Bである。また、ライン部2Aの配列方向(X方向)を「繰り返しパターン12の繰り返し方向」と称することにする。
【0053】
ここで、繰り返しパターン12におけるライン部2Aの線幅D
Aの設計値をピッチPの1/2とする。設計値の通りに繰り返しパターン12が形成された場合、ライン部2Aの線幅D
Aとスペース部2Bの線幅D
Bは等しくなり、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比は略1:1になる。これに対して、繰り返しパターン12を形成する際の露光フォーカスが適正値から外れると、ピッチPは変わらないが、ライン部2Aの線幅D
Aが設計値と異なってしまうとともに、スペース部2Bの線幅D
Bとも異なってしまい、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1から外れる。
【0054】
PER検査は、上記のような繰り返しパターン12におけるライン部2Aとスペース部2Bとの体積比の変化を利用して、繰り返しパターン12の異常検査を行うものである。なお、説明を簡単にするため、理想的な体積比(設計値)を1:1とする。体積比の変化は、露光フォーカスの適正値からの外れに起因し、ウェハ10のショット領域ごとに現れる。なお、体積比を断面形状の面積比と言い換えることもできる。
【0055】
PER検査では、
図3に示すように、照明側偏光フィルタ26および受光側偏光フィルタ32が光路上に挿入される。また、PER検査を行うとき、検査ステージ5は、照明光が照射されたウェハ10からの正反射光を受光系30で受光できる傾斜角度にウェハ10をチルトさせるとともに、所定の回転位置で停止し、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向を、
図6に示すように、ウェハ10の表面における照明光(直線偏光L)の振動方向に対して、約45度だけ斜めになるように保持する。発明者らの知見によれば、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向を、ウェハ10の表面における照明光(直線偏光L)の振動方向に対して、約45度だけ斜めになるようにした場合、繰り返しパターン12の検査の光量を最も高くすることができる。また、発明者らの知見によれば、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向を、ウェハ10の表面における照明光(直線偏光L)の振動方向に対して約22.5度又は約67.5度に設定すれば検査の感度を高くすることができる。なお、角度はこれらに限らず、任意角度方向に設定可能である。
【0056】
照明側偏光フィルタ26は、導光ファイバ24と照明側凹面鏡25との間に配設されるとともに、その透過軸が所定の方位に設定され、透過軸に応じて照明ユニット21からの光から直線偏光を抽出する。このとき、導光ファイバ24の射出部が照明側凹面鏡25の焦点位置に配置されているため、照明側凹面鏡25は、照明側偏光フィルタ26を透過した光を平行光束にして、基板であるウェハ10を照明する。このように、導光ファイバ24から射出された光は、照明側偏光フィルタ26および照明側凹面鏡25を介しP偏光の直線偏光L(
図5を参照)となり、照明光としてウェハ10の表面全体に照射される。
【0057】
このとき、直線偏光Lの進行方向(ウェハ10表面上の任意の点に到達する直線偏光Lの主光線の方向)は光軸に略平行であることから、ウェハ10の各点における直線偏光Lの入射角度は、平行光束のため互いに同じとなる。また、ウェハ10に入射する直線偏光LがP偏光であるため、
図6に示すように、繰り返しパターン12の繰り返し方向が直線偏光Lの入射面(ウェハ10の表面における直線偏光Lの進行方向)に対して45度の角度に設定された場合、ウェハ10の表面における直線偏光Lの振動方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向とのなす角度も、45度に設定される。言い換えると、直線偏光Lは、ウェハ10の表面における直線偏光Lの振動方向が繰り返しパターン12の繰り返し方向に対して45度傾いた状態で、繰り返しパターン12を斜めに横切るようにして繰り返しパターン12に入射することになる。
【0058】
ウェハ10の表面で反射した正反射光は、受光系30の受光側凹面鏡31により集光されて撮像装置35の撮像面上に達するが、このとき、繰り返しパターン12での構造性複屈折により直線偏光Lの偏光状態が変化する。受光側偏光フィルタ32は、受光側凹面鏡31と撮像装置35との間に配設され、受光側偏光フィルタ32の透過軸の方位は、上述した照明側偏光フィルタ26の透過軸に対して直交するように設定されている(クロスニコルの状態)。したがって、受光側偏光フィルタ32により、ウェハ10(繰り返しパターン12)からの正反射光のうち直線偏光Lと振動方向が略直角な偏光成分(例えば、S偏光の成分)を通過させて、撮像装置35に導くことができる。その結果、撮像装置35の撮像面には、ウェハ10からの正反射光のうち直線偏光Lに対して振動方向が略直角な偏光成分によるウェハ10の反射像が形成される。なお、受光側偏光フィルタ32を光軸を中心に回動可能とし、楕円偏光化した正反射光の短軸方向と受光側偏光フィルタ32の透過軸を合うよう調整することで、感度を向上させることができる。この場合も調整は数度であり、直交の範疇である。
【0059】
表面検査装置1によりウェハ10表面のPER検査を行うには、まず、
図3に示すように照明側偏光フィルタ26および受光側偏光フィルタ32を光路上に挿入し、不図示の搬送装置により、ウェハ10を検査ステージ5上に搬送する。なお、搬送の途中で不図示のアライメント機構によりウェハ10の表面に形成されているパターンの位置情報を取得しており、ウェハ10を検査ステージ5上の所定の位置に所定の方向で載置することができる。またこのとき、検査ステージ5は、照明光が照射されたウェハ10からの正反射光を受光系30で受光できる傾斜角度にウェハ10をチルトさせるとともに、所定の回転位置で停止し、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向を、ウェハ10の表面における照明光(直線偏光L)の振動方向に対して、45度だけ斜めになるように保持する。
【0060】
次に、照明系20により照明光をウェハ10の表面に照射する。このような条件で照明光をウェハ10の表面に照射する際、照明ユニット21の導光ファイバ24から射出された光は、照明側偏光フィルタ26および照明側凹面鏡25を介してP偏光の直線偏光Lとなり、照明光としてウェハ10の表面全体に照射される。ウェハ10の表面で反射した正反射光は、受光側凹面鏡31により集光されて撮像装置35の撮像面上に達し、ウェハ10の像(反射像)が結像される。
【0061】
このとき、繰り返しパターン12での構造性複屈折により直線偏光Lの偏光状態が変化し、受光側偏光フィルタ32は、ウェハ10(繰り返しパターン12)からの正反射光のうち直線偏光Lと振動方向が略直角な偏光成分を通過させて(すなわち、直線偏光Lの偏光状態の変化を抽出して)、撮像装置35に導くことができる。その結果、撮像装置35の撮像面には、ウェハ10からの正反射光のうち直線偏光Lと振動方向が略直角な偏光成分によるウェハ10の反射像が形成される。
【0062】
そこで、撮像装置35は、撮像面上に形成されたウェハ10の表面の像(反射像)を光電変換して画像信号を生成し、画像信号を画像処理部40に出力する。画像処理部40は、撮像装置35から入力されたウェハ10の画像信号に基づいて、ウェハ10のデジタル画像(以下、偏光に基づくウェハ10のデジタル画像を便宜的に偏光画像と称する)を生成する。また、画像処理部40は、ウェハ10の偏光画像を生成すると、ウェハ10の画像データと良品ウェハの画像データとを比較して比較結果を検査部50に送り、検査部50はウェハ10の表面における欠陥(異常)の有無、およびパターンを露光した際のフォーカス状態を検査する。なお、良品ウェハの反射画像の信号強度(輝度値)は、最も高い信号強度(輝度値)を示すものと考えられるため、例えば、良品ウェハと比較した信号強度変化(輝度変化)が予め定められた閾値(許容値)より大きければ「異常」(デフォーカスが大きい)と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断する。そして、画像処理部40および検査部50による検査結果およびそのときのウェハ10の偏光画像が図示しない画像表示装置で出力表示される。
【0063】
なお、信号強度とは、回折効率、強度比、エネルギー比等、撮像装置35の撮像素子で検出される光に応じた信号強度である。また、上述した回折検査およびPER検査に限らず、ウェハ10表面からの正反射光に基づく検査(以下、便宜的に正反射検査と称する)を行うことも可能である。正反射検査を行う場合、画像処理部40は、ウェハ10表面からの正反射光に基づくデジタル画像(以下、便宜的に正反射画像と称する)を生成し、生成したウェハ10の正反射画像に基づいて、検査部50がウェハ10の表面における欠陥(異常)の有無を検査する。
【0064】
また、画像処理部40は、露光装置100のフォーカスオフセット量をショット毎に変化させた条件で露光して現像したウェハの画像を利用して、露光装置100の回折光によるフォーカスカーブ(フォーカスオフセット量と信号強度の関係を示すカーブ)を求めることができる。このフォーカスカーブを利用して、1つのショット内の微小領域毎に回折光の信号強度が最大となるフォーカスオフセット量(パターンを露光したときのフォーカス状態)を求めるようにすれば、露光装置100により投影露光されるマスクパターンの像面の傾きを求めることができる。なお、発明者の知見によれば、回折光の場合、ラインアンドスペースのデューティー比をラインが1に対してスペースが10以上とすれば、信号強度が最大となるフォーカスオフセット量がベストフォーカスとなる。
【0065】
そこで、露光装置100により投影露光されるマスクパターンの像面の傾きを求める方法について、
図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、露光装置100のフォーカスオフセット量(既知)を変化させて繰り返しパターンを形成したウェハを作成する(ステップS101)。このとき、露光ショット毎にフォーカスオフセット量をマトリックス状に変化させて露光し現像する。以下、このようなウェハを条件振りウェハ10a(
図8および
図9を参照)と称することにする。
【0066】
ここで、フォーカスオフセット量をマトリックス状に変化させるのは、例えば、ウェハの中央側と外周側の間に発生するレジスト条件の相違や、スキャン露光時のいわゆる左右差などの影響を相殺する目的で行う。なお、ウェハ上に形成されるレジスト膜(フォトレジスト)はスピンコートで塗布形成される場合が多く、レジスト原液がスピンにより広がるに連れ溶剤成分が揮発し粘度が上がって膜が厚くなる傾向があり、ウェハの中央側と外周側の間にレジスト条件の相違が発生する。また、いわゆる左右差とは、例えば、スキャン方向をX方向とした場合に、レチクルがX+方向に移動(ウェハはX−方向に移動)しながら露光するときと、レチクルがX−方向に移動(ウェハはX+方向に移動)しながら露光するときの差である。
【0067】
条件振りウェハ10aは、例えば
図8に示すように、フォーカスオフセット量を25nm刻みで−175nm〜+200nmの16段階に振っている。なお、
図8の各ショットには、25nm刻みで振ったフォーカスオフセット量の段階(1が−175nm、数字が1増える毎に+25nmずつ増え、16が+200nm)を示しており、段階が同じでスキャン方向が逆方向の場合には「´」を付している。例えば、同じフォーカスオフセット量で行う露光を、レチクル移動X+方向/中央側で1ショット・レチクル移動X+方向/外周側で1ショット・レチクル移動X−方向/中央側で1ショット・レチクル移動X−方向/外周側で1ショットのように4箇所設定することができる。また例えば、同じフォーカスオフセット量で行う露光を、条件振りウェハ10aの中心を対称軸として、レチクル移動X+方向/外周側で2ショット・レチクル移動X−方向/外周側で2ショットのように4箇所設定することができる。
図8の例では、このようにフォーカスオフセット量を16段階、各フォーカスオフセット量で4ショットの合計64ショットで条件振りウェハ10aを作っている。
【0068】
なお、条件振りウェハを複数枚作り、フォーカスカーブを求めてもよい。その場合、各条件振りウェハのマトリックスは、フォーカスオフセット以外の条件による影響を相殺するように設定することが好ましい。
【0069】
条件振りウェハ10aを作成すると、回折検査の場合と同様にして、条件振りウェハ10aを検査ステージ5上に搬送する(ステップS102)。次に、回折検査の場合と同様に、照明系20により照明光を条件振りウェハ10aの表面に照射し、撮像装置35が条件振りウェハ10aの回折像を光電変換して画像信号を生成し、画像信号を画像処理部40に出力する(ステップS103)。このとき、条件振りウェハ10aについて、露光したマスクパターンの情報または回折条件サーチ(正反射条件以外の角度範囲で検査ステージ5をチルトさせ、回折光の強度を測る)を利用して回折条件を求め、回折光が得られるように回折検査の場合と同様の設定を行う。
【0070】
次に、画像処理部40は、撮像装置35から入力された条件振りウェハ10aの画像信号に基づいて、条件振りウェハ10aの回折画像を生成し、フォーカスオフセット量が同じショット毎に画素単位(それぞれのショットの対応する部分の画素同士)で信号強度の平均化を行う(ステップS104)。なお、回折検査で欠陥と判断された部分については、前述の平均化の対象から除外する。次に、画像処理部40は、平均化を行った(すなわち、互いにフォーカスオフセット量の異なる)全てのショットについて、
図9に示すようにショット内に設定した複数の設定領域(小さな長方形で囲んだ領域)Aでの信号強度の平均値(以下、便宜的に平均輝度と称する)をそれぞれ求める(ステップS105)。なお、条件振りウェハ10aは、露光装置100のフォーカスオフセット量をショット毎に変化させているため、ショットの位置からフォーカスオフセット量を求めることができ、異なるフォーカスオフセット量で露光されたそれぞれのショット内の同位置の設定領域Aにおいて、フォーカスオフセット量に応じて平均輝度が変化することになる。
【0071】
そこで、画像処理部40は、
図10に示すように、平均輝度を求めた各設定領域Aごとに、(互いにフォーカスオフセット量の異なる)各ショットにおける同位置の設定領域Aでの平均輝度と、これに対応するフォーカスオフセット量との関係を示すグラフ、すなわちフォーカスカーブを求める(ステップS106)。フォーカスカーブを求めると、画像処理部40は、フォーカスカーブの近似曲線をそれぞれ求める(ステップS107)。なお、近似曲線の式には、4次式を用いるのが好ましい。また、ここで求めたフォーカスカーブを適宜基準フォーカスカーブと称する。但し、近似曲線の式として、必要に応じて他の任意の関数形(例えば3次式など)を採用してもよい。
【0072】
次に、画像処理部40は、フォーカスカーブの近似曲線において平均輝度が最大となるフォーカスオフセット量を求める(ステップS108)。例えば、
図11(a)に示すフォーカスカーブの場合、平均輝度が最大となるフォーカスオフセット量は2.5nmとなる。また例えば、
図11(b)に示すフォーカスカーブの場合、平均輝度が最大となるフォーカスオフセット量は−14.5nmとなる。このとき、平均輝度が最大となるフォーカスオフセット量を各設定領域Aごとに求める(ステップS109)。このようにすれば、
図12に示すように、ショット内における、回折光の平均輝度が最大となるフォーカスオフセット量の分布を求めることができる。
【0073】
これにより、ショット内における、回折光の平均輝度が最大となるフォーカスオフセット量の分布に基づいて、露光装置100により露光されるスリット(光)の長辺方向におけるフォーカスオフセット量の傾き(すなわち、像面の傾斜量)および、露光装置100のレチクルステージとウェハステージとのスキャン方向におけるフォーカスオフセット量の傾きがそれぞれ(近似的に)求まる。なお、回折光の平均輝度が最大となるフォーカスオフセット量がベストフォーカスでなくても、ショット内のパターンはそれぞれ近似しているためフォーカスオフセット量と回折光の平均輝度との関係は同様であり、像面の傾きは各結像点の相対位置関係にあるので、平均輝度の最大値を求めることで像面の傾きが求まる。このようにして求めた像面の傾きは、例えば、像面湾曲率や最大最小値・対角方向の傾斜など露光装置100が受け入れ可能なパラメータに変換された後に、画像処理部40から信号出力部(図示せず)を介して露光装置100に出力されて、露光装置100による露光に反映される。なお、本実施形態における像面の傾きとは、露光装置100における投影レンズによる投影像の像面傾斜とレチクルステージおよびウェハステージの走り誤差とによるウェハ上のフォトレジスト層に対する総合的な像面の傾きである。
【0074】
さらに、画像処理部40は、検査対象となるウェハ10の回折画像から、露光装置100による露光時のフォーカス状態、より具体的には、ウェハ10の表面に対する露光装置100のフォーカスの変動状態を求めることができるようになっている。そこで、露光装置100による露光時のフォーカス状態を求める方法について、
図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、露光装置100のフォーカスオフセット量およびドーズ量(露光量)を変化させて繰り返しパターンを形成した条件振りウェハ10b(
図14を参照)を作成する(ステップS201)。このとき例えば、条件振りウェハ10bの中心の露光ショットをベストフォーカスおよびベストドーズとし、横方向に並ぶ露光ショットごとにフォーカスオフセット量を変化させるとともに、縦方向に並ぶ露光ショットごとにドーズ量を変化させて露光し現像する。
【0075】
条件振りウェハ10bを作成すると、条件振りウェハ10bの回折画像を撮像取得する(ステップS202)。条件振りウェハ10bの回折画像を撮像取得するには、回折検査の場合と同様に、まず、条件振りウェハ10bを検査ステージ5上に搬送する。次に、照明系20により照明光を条件振りウェハ10bの表面に照射し、撮像装置35が条件振りウェハ10bの回折像を光電変換して画像信号を生成し、画像信号を画像処理部40に出力する。そして、画像処理部40は、撮像装置35から入力された条件振りウェハ10bの画像信号に基づいて、条件振りウェハ10bの回折画像を生成する。このとき、複数のパターンピッチ、複数の照明波長、複数の光の入射角および出射角について、すなわち複数の回折条件についてそれぞれ、条件振りウェハ10bの回折画像を撮像取得する。
【0076】
なお、条件振りウェハ10bの繰り返しパターンに、下地層がある場合や下地ムラがある場合、短波長(例えば、248nmや313nm等)の照明光を使用すると、下地の影響を受け難くすることができる。また、照明光としてS偏光が得られるように、透過軸を所定の方位に設定した照明側偏光フィルタ26を光路上に挿入しても、下地の影響を受け難くすることができる。また、S偏光による回折光のみを受光できるように、透過軸を所定の方位に設定した受光側偏光フィルタ32を光路上に挿入しても、下地の影響を受け難くすることができる。
【0077】
条件振りウェハ10bの回折画像等を撮像取得すると、画像処理部40は、複数の回折条件でそれぞれ撮像取得した回折画像ごとに、各ショットの信号強度をそれぞれ求める(ステップS203)。なおこのとき、同一ショット内での信号強度の平均を各ショットの信号強度とする。これにより、像面の傾きの影響を除去することができる。
【0078】
次に、画像処理部40は、複数の回折条件(異なる回折次数または異なる波長)でそれぞれ撮像取得した回折画像について、異なるドーズ量ごとに、(互いにドーズ量が同じでフォーカスオフセット量の異なる)各ショットの信号強度と、これに対応するフォーカスオフセット量との関係を示すグラフ、すなわちフォーカスカーブ(像面の傾きを計測する際に求めた基準フォーカスカーブと区別するため、以降適宜サンプルフォーカスカーブと称する)を求める(ステップS204)。これにより、異なるドーズ量ごとに、複数の回折条件にそれぞれ対応した複数のサンプルフォーカスカーブを求めることができる。またこのとき、基準フォーカスカーブの場合と同様に、サンプルフォーカスカーブの近似曲線をそれぞれ求める。なお、近似曲線の式には、4次式を用いるのが好ましい。但し、近似曲線の式として、必要に応じて他の任意の関数形(例えば3次式など)を採用してもよい。
【0079】
次に、画像処理部40は、複数のサンプルフォーカスカーブの中から、露光時のフォーカス状態を求めるのに使用する少なくとも2種類のサンプルフォーカスカーブを選択する(ステップS205)。このとき例えば、ドーズ量変化や下地変化の影響の少ない回折条件に対応した3種類のサンプルフォーカスカーブ(他のサンプルフォーカスカーブと区別するため、以降適宜、基準サンプルフォーカスカーブと称する)を選択決定する。3種類の基準サンプルフォーカスカーブを選択決定するには、まず、複数のサンプルフォーカスカーブの中から、フォーカスの変化に感度がある(フォーカス変化に対する信号強度の変化が大きい)サンプルフォーカスカーブを抽出する。次に、フォーカスの変化に感度があるサンプルフォーカスカーブの中から、ドーズ量の変化に対する感度が少ないサンプルフォーカスカーブを抽出する。そして、フォーカスの変化に感度があってドーズ量の変化に対する感度が少ないサンプルフォーカスカーブの中から、下地の影響が少ないカーブのピークもしくはボトムの位置(フォーカスオフセット量)が互いに異なる3種類のサンプルフォーカスカーブを基準サンプルフォーカスカーブとして選択決定する。
【0080】
これにより、ドーズ量変化や下地変化の影響の少ない回折条件および、当該回折条件に対応した3種類の基準サンプルフォーカスカーブを求めることができる。このようにして求めた基準サンプルフォーカスカーブの一例を
図14に示す。
図14は、3種類の基準サンプルフォーカスカーブD1〜D3とともに、第1基準サンプルフォーカスカーブD1が得られる回折画像G1、第2基準サンプルフォーカスカーブD2が得られる回折画像G2、および第3基準サンプルフォーカスカーブD3が得られる回折画像G3をそれぞれ示している。なお、
図14に示す各回折画像G1〜G3は、回折光の次数は同じ(1次の回折光)で、パターンピッチまたは照明波長を変化させて撮像取得した条件振りウェハ10bの回折画像である。また、パターンピッチや照明波長等は同じで、回折光の次数のみを変化させて各回折画像を撮像取得するようにしてもよい。
【0081】
3種類の基準サンプルフォーカスカーブを選択決定すると、画像処理部40は、決定した基準サンプルフォーカスカーブの近似曲線の式に関するデータを基準データとして記憶部45に出力し記憶させる(ステップS206)。なお、画像処理部40は、基準サンプルフォーカスカーブの近似曲線の式に限らず、近似曲線の式から求めたフォーカスオフセット量と信号強度の関係を示すデータマップを、基準データとして記憶部45に出力し記憶させるようにしてもよい。
【0082】
なお、露光装置100が複数ある場合、同種の露光装置100であっても装置ごと、および複数の照明条件を切り替え可能な場合はNA(開口数)が異なるため、複数の露光装置ごと、および照明条件ごとに基準データを求め、記憶部45に記憶させておくことが好ましい。
【0083】
3種類の基準サンプルフォーカスカーブに関する基準データを記憶部45に記憶させると、検査対象となるウェハ10の回折画像を撮像取得する(ステップS207)。このとき、基準サンプルフォーカスカーブが得られる回折画像と同じ3種類の回折条件についてそれぞれ、ウェハ10の回折画像を撮像取得する。
【0084】
検査対象となるウェハ10の回折画像を撮像取得すると、画像処理部40は、回折画像の画素毎の信号強度から、各画素に対応する領域がショット内の計測領域か否か判定し(ステップS208)、ストリート等に該当する画素を計測対象から除外する。
【0085】
各画素に対応する領域がショット内の計測領域か否か判定すると、画像処理部40は、検査対象となるウェハ10の回折画像から、ウェハ10の表面に対する露光装置100のフォーカスの変動状態を求める(ステップS209)。このとき、記憶部45に記憶された基準データ(すなわち、基準サンプルフォーカスカーブの近似曲線の式もしくはデータマップ)を利用して、ウェハ10の回折画像の信号強度から、ウェハ10の表面に対する露光装置100のフォーカスオフセット量を、所定の画素ごとに(単数もしくは複数の画素単位で)求める。なお、複数の画素単位でフォーカスオフセット量を求める場合も、後述のショット性デフォーカスと異物によるデフォーカスとを区別する必要がある。そのために、フォーカスオフセット量を求める領域は、1ショットよりも小さい(例えば1/10)領域とすることが望ましい。
【0086】
フォーカスオフセット量を求める際、記憶部45には、3種類の回折条件にそれぞれ対応した基準サンプルフォーカスカーブの近似曲線の式(もしくはデータマップ)が記憶されているため、同じ条件でそれぞれ撮像取得されたウェハ10の回折画像の信号強度から、所定の画素ごとに、それぞれフォーカスオフセット量を求めることができる。なお、フォーカスカーブは曲線であるため、1つの回折画像の信号強度から、複数のフォーカスオフセット量の候補が算出されることがある(条件によっては1つのフォーカスオフセットの量の候補が算出されることもある)。これに対し、カーブのピークもしくはボトムの位置(フォーカスオフセット量)が互いに異なる3種類の基準サンプルフォーカスカーブD1〜D3を用いることで、
図15に示すように、算出されるフォーカスオフセット量が1つに決まる。例えば、各回折条件での信号強度とこの条件に対応する近似曲線との差分二乗和が最小になるフォーカスオフセット量を求める。なお、異なるドーズ量ごとに3種類の基準サンプルフォーカスカーブD1〜D3をそれぞれ用意して、差分二乗和が最小になるドーズ量でのフォーカスオフセット量を採用するようにしてもよい。また、カーブの傾きが相対的に大きい(すなわち、フォーカスの変化に対する感度が相対的に高い)条件での信号強度に対して重み付けを行うようにしてもよい。
【0087】
これにより、ウェハ10の全面について画素ごとにフォーカスオフセット量を算出することができ、ウェハ10の表面の各位置における露光装置100のフォーカスの変動状態を判定することが可能になる。なお、
図15は、3種類の基準サンプルフォーカスカーブD1〜D3とともに、第1基準サンプルフォーカスカーブD1が得られる回折条件で撮像したウェハ10の回折画像H1、第2基準サンプルフォーカスカーブD2が得られる回折条件で撮像したウェハ10の回折画像H2、および第3基準サンプルフォーカスカーブD3が得られる回折条件で撮像したウェハ10の回折画像H3をそれぞれ示している。
【0088】
また、差分二乗和が最小になるフォーカスオフセット量における各信号強度(第1信号強度K1、第2信号強度K2、および第3信号強度K3)の測定値と基準サンプルフォーカスカーブD1〜D3との関係を
図16に示す。
図16より、撮像装置35によって検出される繰り返しパターン12から第1の方向に進む回折光に応じた第1検出信号(第1信号強度K1)とこの回折条件に対応する第1基準データ(第1基準サンプルフォーカスカーブD1)との一致度、繰り返しパターン12から第2の方向に進む回折光に応じた第2検出信号(第2信号強度K2)とこの回折条件に対応する第2基準データ(第2基準サンプルフォーカスカーブD2)との一致度、および、繰り返しパターン12から第3の方向に進む回折光に応じた第3検出信号(第3信号強度K3)とこの回折条件に対応する第3基準データ(第3基準サンプルフォーカスカーブD3)との一致度がそれぞれ高いことがわかる。
【0089】
ウェハ10の全面について画素ごとにフォーカスオフセット量を求めると、検査部50は、求めたフォーカスオフセット量(フォーカス状態)が異常でないか検査する(ステップS210)。このとき、検査部50は、例えば、求めたフォーカスオフセット量が所定の閾値の範囲内であるならば、正常と判定し、求めたフォーカスオフセット量が所定の閾値の範囲外であるならば、異常と判定する。
【0090】
フォーカスオフセット量の異常の有無を検査すると、画像処理部40は、画素ごとに求めたフォーカスオフセット量をそれぞれ当該画素での信号強度に変換したウェハ10の画像を生成し、フォーカスオフセット量の検査結果等とともに図示しない画像表示装置に表示させる(ステップS211)。なお、画像表示装置は、本実施形態の表面検査装置1に限らず、検査装置の外部(例えば、半導体製造ラインの管理室等)に設けられて接続されたものを使用してもよい。ここで、フォーカスオフセット量を信号強度に変換したウェハ10の画像の一例を
図17に示す。なお、
図17に示す画像は、白黒画像に限らず、カラー画像で表示するようにしてもよい。
【0091】
このように表面検査装置1によれば、画像処理部40は、撮像装置35によって検出される第1検出信号(第1信号強度K1)と第1基準データ(第1基準サンプルフォーカスカーブD1)との一致度と、第2検出信号(第2信号強度K2)と第2基準データ(第2基準サンプルフォーカスカーブD2)との一致度と、第3検出信号(第3信号強度K3)と第3基準データ(第3基準サンプルフォーカスカーブD3)との一致度とに基づいて、ウェハ10上の繰り返しパターン12に対する露光時のフォーカス状態(加工条件)を判定する。これにより、実際の露光に用いるマスクパターンで露光したウェハ10の画像に基づいて露光時のフォーカス状態を求めることができる。
【0092】
上記のようにして表面検査装置1によりウェハ10の表面検査が行われると、表面検査装置1の画像処理部40は、求めたウェハ10の表面に対する露光装置100のフォーカスの変動状態(フォーカスオフセット量)に関する情報を、露光装置100(主制御装置200)に出力する。そして、露光装置100の主制御装置200は、表面検査装置1から入力された露光装置100のフォーカスの変動状態に基づいて、ウェハ10の表面に対する露光装置100のフォーカス状態が一定となるように、露光装置100のフォーカスに関する各種設定パラメータを補正する。
【0093】
このような露光システムによれば、表面検査装置1から入力された露光時のフォーカス状態に応じて、露光装置100のフォーカスの設定を補正するため、露光時のフォーカス状態を短時間で精度よく計測することができので、より精度の高いフォーカス状態に基づいた補正が可能となり、露光装置100のフォーカスの設定をより適切に行うことができる。
【0094】
また、露光装置100の主制御装置200は、表面検査装置1から入力された露光装置100のフォーカス値の異常の有無の検査結果に基づいて、清掃装置160によりウェハホルダ153のウェハ支持面を清掃するか否かを判定する。そこで、表面検査装置1による検査結果に基づいて、ウェハ支持面を清掃するか否かを判定する方法(露光ステージ検査方法)について、
図18に示すフローチャートを参照して説明する。
【0095】
まず、上述したように表面検査装置1により、実際の露光に用いるマスクパターンで露光したウェハ10の画像に基づいて露光時のフォーカス状態を求め(ステップS401)、そのフォーカス状態からフォーカス値の異常の有無を検査する(ステップS402)。ここで、ウェハホルダ153のウェハ支持面上にレジスト残滓等の微小な異物が付着している場合、その上にウェハ10を載置保持して露光を行うと、例えば
図19に示すように、フォーカス値は当該異物が存在する箇所だけ異物の影響によりウェハ10が持ち上がる方向にデフォーカスとなる。
【0096】
そして、フォーカス値の検査結果に基づいて、ウェハホルダ153のウェハ支持面上に欠陥、すなわち異物が付着しているか否かを判定する(ステップS403)。上述したように、異物が存在する箇所だけ異物の影響によりウェハ10が持ち上がる方向にデフォーカスとなるため、ウェハ10の表面で局所的に(例えば、1ショットの1/10に相当する数画素だけ)フォーカス値が異常である(フォーカス値が所定の閾値の範囲外である)と判定された場合に、ウェハホルダ153のウェハ支持面上に異物が付着していると判定することができ、さらにウェハホルダ153のウェハ支持面における異物が付着している位置(以下、異物付着位置と称する)を特定することもできる。なお、ウェハ10の1ショット全体でフォーカス値が異常であると判定された場合には、異物の付着による影響ではなく他の原因(例えばAFエラー等によるショット性デフォーカス)であると判断し、後述の清掃装置160によるウェハホルダ153のウェハ支持面の清掃は行わないようになっている。
【0097】
表面検査装置1によりウェハ10の表面で局所的にフォーカス値が異常であると判定され、ウェハホルダ153のウェハ支持面に異物が付着していると判定すると、露光装置100は、ウェハ支持面の清掃作動を行う(ステップS404)。主制御装置200は、ウェハステージ駆動装置151を制御してウェハステージ150を清掃装置160の下方に移動させる。このとき、ウェハホルダ153のウェハ支持面における異物付着位置が清掃装置160の下方に位置するようにウェハステージ150を移動させる。そして、主制御装置200は、清掃制御装置165を介して移動機構162を制御し清掃部材161の清掃面をウェハホルダ153のウェハ支持面に接触させるとともに、清掃部材161をXY平面内でウェハホルダ153に対して相対移動させる。またこのとき、主制御装置200は、清掃制御装置165を介して吸引装置164を制御しウェハホルダ153上の異物を吸引除去する。
【0098】
なお、清掃装置160による清掃範囲は、ウェハホルダ153のウェハ支持面全体を清掃するようにしてもよい。または、ウェハホルダ153のウェハ支持面全体ではなく、ウェハ支持面の異物付着位置を含む所定範囲のみを清掃するようにしてもよく、このようにすれば、ウェハ支持面の必要な箇所だけを効率良く清掃することができ、露光工程に復帰するまでの時間を短縮させることができる。
【0099】
このように露光装置100では、表面検査装置1による検査結果に基づいて、ウェハホルダ153のウェハ支持面に付着した異物がウェハ10の露光結果に影響するか否か、すなわち当該異物がフォーカス誤差の要因になっているか否かを判断することができる。そして、当該異物がフォーカス誤差の要因になっていると判断した場合に、清掃装置160によりウェハホルダ153のウェハ支持面の清掃を行うため、従来のように必要以上に露光工程を停止させることなく、適切なタイミングでウェハ支持面の清掃を行うことができ、半導体素子を製造する際の歩留まりを向上させることができる。
【0100】
なお、表面検査装置1により複数のウェハ10において同じ箇所で局所的にフォーカス値が異常であると判定された場合に、主制御装置200は、ウェハホルダ153のウェハ支持面上に異物が付着していると判定するようにしてもよく、このようにすれば、ウェハホルダ153のウェハ支持面における異物の付着をより正確に判定することができる。
【0101】
また、表面検査装置1によりウェハ10の周縁部で局所的にフォーカス値が異常であると判定された場合に、主制御装置200は、ウェハホルダ153のウェハ支持面に異物が付着していると判定するようにしてもよい。すなわち、主制御装置200により異物の有無を判定する範囲を、ウェハの周縁部(例えば、ウェハ10の周縁から数ミリメートルの範囲)に限定してもよい。本実施形態の露光装置100のような液浸露光装置では、露光時にウェハの周縁部近傍の異物が液体の影響でウェハ裏面に回り込み、当該異物がウェハの周縁部とウェハホルダ153との間に存在する場合が多い(
図19を参照)。そのため、異物の有無を判定する範囲をウェハの周縁部に限定することで、ウェハホルダ153のウェハ支持面における異物の付着をより効率的に判定することができる。また、異物の有無を判定するために、ウェハ全面のフォーカス状態(フォーカスオフセット量)を求めなくとも、例えば
図19に示す回折光によるウェハ全体の像から所定の信号よりも小さい若しくは大きいところのフォーカス状態(フォーカスオフセット量)を求めることで、より効率的な判定をすることができる。
【0102】
続いて、このような露光ステージ検査システムを備えた露光装置100を用いた半導体デバイス製造方法について、
図20に示すフローチャートを参照して説明する。半導体デバイス(図示せず)は、デバイスの機能・性能設計を行う設計工程(ステップS301)、この設計工程に基づいたレチクルを製作するレチクル製作工程(ステップS302)、シリコン材料からウェハを製作するウェハ製作工程(ステップS303)、露光等によりレチクルのパターンをウェハに転写する(露光工程、現像工程等を含む)リソグラフィー工程(ステップS304)、デバイスの組み立てを行う(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程等を含む)組立工程(ステップS305)、デバイスの検査を行う検査工程(ステップS306)等を経て製造される。
【0103】
本実施形態の半導体デバイス製造方法では、リソグラフィー工程において、上述の露光ステージ検査システムを備えた露光装置100を用いてパターンの露光を行う。すなわち、前述したように、露光装置100による露光工程が実施されると、現像装置(図示せず)による現像工程等を経て、表面検査装置1により、表面に繰り返しパターン12が形成されたウェハ10の表面検査を行う。このとき、表面検査装置1によって露光時のフォーカス状態が判定され、このフォーカス状態に基づいてウェハホルダ153のウェハ支持面に付着した異物がウェハ10の露光結果に影響するか否か、すなわち当該異物がフォーカス誤差の要因になっているか否かを判断することができる。そして、当該異物がフォーカス誤差の要因になっていると判断した場合に、清掃装置160によりウェハホルダ153のウェハ支持面の清掃を行うため、従来のように必要以上に露光工程を停止させることなく、適切なタイミングでウェハ支持面の清掃を行うことができ、半導体デバイスを生産性良く製造することができる。
【0104】
なお、上述の表面検査装置1では、3種類の基準データ(基準サンプルフォーカスカーブD1〜D3)を使用して、ウェハ10上の繰り返しパターン12に対する露光時のフォーカス状態(加工条件)を判定しているが、これに限られるものではなく、例えば、2種類の基準データや5種類の基準データであってもよく、フォーカスの変化に対する検出信号の変化の仕方が相反する少なくとも2種類の基準データを使用して、露光時のフォーカス状態を判定すればよい。
【0105】
また、上述の表面検査装置1において、ウェハ10上のレジスト膜に露光形成された繰り返しパターン12の検査を行っているが、これに限られるものではなく、エッチング後のパターンの検査を行うようにしてもよい。これにより、露光時のフォーカス状態だけでなく、エッチング時の不具合(異常)を検出することができる。
【0106】
また、上述の表面検査装置1において、条件振りウェハ10bの回折画像に加え、条件振りウェハ10bの偏光画像を利用して、前述の場合と同様の方法により、異なるドーズ量ごとに、偏光による複数のサンプルフォーカスカーブを求め、これらの中から、偏光による複数の基準サンプルフォーカスカーブを選択決定するようにしてもよい。これにより、偏光による基準サンプルフォーカスカーブ(基準データ)を用いて、撮像装置35により撮像取得した偏光画像の信号強度から、ウェハ10の表面に対する露光装置100のフォーカスの変動状態を求めるようにすれば、回折画像だけの場合と比べて検出条件が増えるため、露光時のフォーカス状態をより精度よく計測することができる。また、偏光では、フォーカスカーブで信号強度が最大となるフォーカスオフセット量がベストフォーカスと考えられるため、ベストフォーカスとなるフォーカスオフセット量を容易に知ることができる。
【0107】
また、上述の表面検査装置1において、フォーカスの変化に感度があってドーズ量の変化に対する感度が少ない3種類の基準データ(基準サンプルフォーカスカーブD1〜D3)を使用して、ウェハ10上の繰り返しパターン12に対する露光時のフォーカス状態を判定しているが、複数のサンプルフォーカスカーブの中から、ドーズ量の変化に感度があってフォーカスの変化に対する感度が少ない複数のサンプルフォーカスカーブを抽出することで、これらのサンプルフォーカスカーブを利用して、ウェハ10上の繰り返しパターン12に対する露光時のドーズ量を判定することもできる。
【0108】
なお、上記実施形態において、露光装置として局所液浸装置140を備えた液浸方式の露光装置101を例に挙げて説明したが、本教示はこれには限られず、本教示に係る検査方法、露光システム等は、液浸方式の露光装置でない露光装置にも適用することができる。