特許第5924503号(P5924503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924503
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】磁気検出器
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   G01R33/02 D
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-18023(P2014-18023)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-145800(P2015-145800A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2015年2月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083046
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 克彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 道治
(72)【発明者】
【氏名】荒川 英男
(72)【発明者】
【氏名】河野 剛健
【審査官】 荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−286821(JP,A)
【文献】 特開平04−032787(JP,A)
【文献】 特開2013−253919(JP,A)
【文献】 特開2003−255029(JP,A)
【文献】 特開2002−022705(JP,A)
【文献】 特開平11−211774(JP,A)
【文献】 特開昭49−030880(JP,A)
【文献】 特開昭48−090593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00−33/18
G01R 15/14−15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファスワイヤにパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子からなる磁気インピーダンスセンサにおいて、
電圧源もしくは電流源から前記検出コイルに対して通電することによって該検出コイル内に生じる磁場により前記アモルファスワイヤに磁場を印加するとともに、前記電圧源もしくは電流源と前記検出コイルとの間に接続され、前記交流減衰振動電圧の前記電圧源もしくは電流源への流れを阻止するデカップリング回路を備えることを特徴とする磁気検出器。
【請求項2】
請求項1において、
前記デカップリング回路が、抵抗器あるいはコイルまたはコンデンサもしくはこれらの組み合わせからなるインピーダンス回路網によって構成され、該インピーダンス回路網を介して前記検出コイルに通電して、該検出コイル内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤにバイアス磁場を印加するように構成されていることを特徴とする磁気検出器。
【請求項3】
アモルファスワイヤにパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子からなる磁気インピーダンスセンサにおいて、
前記検出コイルが出力する交流減衰振動電圧を検波回路によって外部磁場の大きさに対応する電圧信号に変換し、さらに増幅器によって所定の大きさの電圧に増幅した電圧信号を出力するものであり、
電圧または電流を得るために前記増幅器の出力端子に接続され、抵抗器あるいはコイルまたはコンデンサもしくはこれらの組み合わせからなるインピーダンス回路網を介して前記検出コイルに対して通電することにより、該検出コイル内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤにフィードバック磁場を印加するとともに、前記インピーダンス回路網により前記検出コイルが出力する交流減衰振動電圧の前記増幅器の出力端子への流れを阻止するように構成されていることを特徴とする磁気検出器。
【請求項4】
請求項3において、
前記インピーダンス回路網は、周波数選択回路を介して前記増幅器の出力端子に接続されることにより、前記アモルファスワイヤに対して、周波数選択されたフィードバック磁場を印加するように構成されていることを特徴とする磁気検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流および交流磁場の強さ、あるいは磁気変動の計測ならびに微小磁石などの検出に好適な磁気検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気インピーダンスセンサは、高感度な磁気検出が可能であるため理化学・工業分野で地磁気およびその微弱変動の観測、精密磁気測定、微小鉄片の検査など、それらの磁気検出器のセンサとして用いられている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。
【0003】
磁気インピーダンスセンサは、感磁体であるアモルファスワイヤの周囲に検出コイルを巻回してなる磁気インピーダンス素子の前記アモルファスワイヤにパルス電流あるいは高周波電流を印加し、前記検出コイルの両端に生じるアモルファスワイヤ周辺の外部磁界に対応する交流減衰振動電圧を検出して磁気に対応する電圧信号に変換し、それを所定の増幅度で増幅した電圧信号を出力するものである。
【0004】
しかしながらたとえば地磁気の微弱な磁気変動を観測する高感度磁気検出器の場合、平均的な地磁気成分が変動分よりも格段に大きいので、この地磁気平均値成分によって磁気インピーダンスセンサの出力が飽和しないように、地磁気の平均値成分を相殺するためのバイアス磁界を前記アモルファスワイヤに印加する必要がある。このため、アモルファスワイヤの周囲に前記検出コイルとは別のバイアスコイルを巻回して平均地磁気成分を打ち消す方向の磁場を発生させるための電流を通電する必要があり、磁気インピーダンス素子には2個のコイルが必要であった。
【0005】
また、たとえば検出する磁気の磁性がNあるいはS、信号出力が+あるいは−のいずれか一方のみにしか変化しない場合には、アモルファスワイヤに磁気バイアスを印加して、検出する磁気が変化しない側にゼロ点をずらして、磁気センサの出力の線形領域すなわち有効振れ幅をいっぱい利用して計測精度を向上することが有効である。この場合にも前記検出コイルとは別に、所望の磁気バイアスを印加するためのコイルが必要であった。
【0006】
さらに高精度な磁気測定器を構成する場合には、図13および図14に示されるように磁気インピーダンスセンサの出力信号の一部を前記アモルファスワイヤWに磁気的にフィードバックして零位法で測定することが有効な手段である。このためアモルファスワイヤWに前記検出コイルKCとは別のフィードバックコイルFCを巻回してフィードバック電流を通電することが必要であり、この場合も磁気インピーダンス素子には検出コイルを含めて2個のコイルが必要となる。近年、磁気インピーダンスセンサのニーズが高まり、生産の容易化とコスト低減が急務になってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−121517号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】トランジスタ技術2003年12月号138頁〜142頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の検出コイル出力型磁気インピーダンスセンサで前記の通り、バイアス磁界を印加したり、フィードバックを行う場合には、2個のコイルが必要となるが、磁気インピーダンス素子の部品点数および製作工数を減らし、かつ製作を容易にして不良品を減らすことで製作コストを低減するため、コイルを1個用いるのみでバイアス磁界を印加したり、フィードバックにより精度の向上を図ることなど出来る検出コイル出力型磁気インピーダンスセンサを実現する電子回路技術の開発が課題であった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、バイアス磁界を印加したり、フィードバックにより精度向上を図ることを、1個の検出コイルを用いるのみで可能とする検出コイル出力型磁気インピーダンスセンサを提供可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するために、アモルファスワイヤに巻回された外部磁場に対応して誘起される前記交流減衰振動電圧を検出する1個の検出コイルに対して、該交流減衰振動電圧の流れを阻止するとともに、前記電圧源もしくは電流源から通電することによって該検出コイル内に生じる磁場により前記アモルファスワイヤに磁場を印加できることに着目した。そして、アモルファスワイヤにパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子からなる磁気インピーダンスセンサにおいて、電圧源もしくは電流源と前記検出コイルとの間に接続されたデカップリング回路を介して前記検出コイルに対して通電することによって、該検出コイル内に生じる磁場により前記アモルファスワイヤに磁場を印加するという本発明の第1の技術的思想に着眼した。
ここでデカップリング回路(減結合回路)とは、前記検出コイルの出力が電圧源あるいは電流源へ流れるのを防ぎ、前記交流減衰振動電圧が弱められるなどの影響を実質的に与えないために挿入するものであり、前記検出コイルと前記電圧源あるいは電流源との電気的な結合の度合いを減じるものである。
【0011】
また本発明者らは、アモルファスワイヤにパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子からなる磁気インピーダンスセンサにおいて、アモルファスワイヤに巻回された外部磁場に対応して誘起される前記交流減衰振動電圧を検出する1個の前記検出コイルに抵抗器あるいはコイルまたはコンデンサもしくはこれらの組み合わせからなるデカップリング回路としてのインピーダンス回路網を介して電圧源もしくは電流源に接続することで通電することにより、該検出コイル内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤに任意の磁場を印加するという本発明の第2の技術的思想に着眼して、検出コイルを1個用いるのみにより、バイアス磁場を印加可能にする検出コイル出力型磁気インピーダンスセンサを実現する本発明に到達した。
【0012】
以上の検討の結果得られた本発明(請求項1に記載の第1発明)の磁気検出器は、
アモルファスワイヤにパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子からなる磁気インピーダンスセンサにおいて、
電圧源もしくは電流源から前記検出コイルに対して通電することによって該検出コイル内に生じる磁場により前記アモルファスワイヤに磁場を印加するとともに、前記電圧源もしくは電流源と前記検出コイルとの間に接続され、前記交流減衰振動電圧の前記電圧源もしくは電流源への流れを阻止するデカップリング回路を備えるものである。
【0013】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の磁気検出器は、
前記第1発明において、
前記デカップリング回路が、抵抗器あるいはコイルまたはコンデンサもしくはこれらの組み合わせからなるインピーダンス回路網によって構成され、該インピーダンス回路網を介して前記検出コイルに通電して、該検出コイル内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤにバイアス磁場を印加するように構成されているものである。
【0014】
本発明(請求項3に記載の第3発明)の磁気検出器は、
アモルファスワイヤにパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子からなる磁気インピーダンスセンサにおいて、
前記検出コイルが出力する交流減衰振動電圧を検波回路によって外部磁場の大きさに対応する電圧信号に変換し、さらに増幅器によって所定の大きさの電圧に増幅した電圧信号を出力するものであり、
電圧または電流を得るために前記増幅器の出力端子に接続され、抵抗器あるいはコイルまたはコンデンサもしくはこれらの組み合わせからなるインピーダンス回路網を介して前記検出コイルに対して通電することにより、該検出コイル内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤにフィードバック磁場を印加するとともに、前記インピーダンス回路網により前記検出コイルが出力する交流減衰振動電圧の前記増幅器の出力端子への流れを阻止するように構成されているものである。
【0015】
本発明(請求項4に記載の第4発明)の磁気検出器は、
前記第3発明において、
前記インピーダンス回路網は、周波数選択回路を介して前記増幅器の出力端子に接続されることにより、前記アモルファスワイヤに対して、周波数選択されたフィードバック磁場を印加するように構成されているものである。
【発明の効果】
【0016】
上記構成より成る第1発明の磁気検出器は、アモルファスワイヤにパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子からなる磁気インピーダンスセンサにおいて、前記電圧源もしくは電流源から前記検出コイルに対して通電することによって該検出コイル内に生じる磁場により前記アモルファスワイヤに磁場を印加するものであるので、前記検出コイルが検出すべき外部磁場に対応する交流減衰振動電圧を誘起するとともに、電圧源もしくは電流源と前記検出コイルとの間に接続されたデカップリング回路を介して、前記交流減衰振動電圧の前記電圧源もしくは電流源への流れを阻止するので、前記検出コイルの出力である交流減衰振動電圧が弱められることがほとんどないため、検出コイル以外のコイルを設けていた場合と同等の精度の検出を可能にするとともに、従来のようにアモルファスワイヤに磁場を印加するための別のコイルを用いる必要がないので、コスト低減を可能にするという効果を奏する。従って、第1発明の磁気検出器は、従来の検出コイル以外にバイアスコイルやフィードバックコイルを別に設けて磁場を測定していた場合に得られていた精度と同等の高い精度の検出を、バイアスコイルやフィードバックコイルを用いることなく維持することを可能にするとともに、検出コイルを1個用いるのみで、ワイヤに磁場を印加することができ、従来の2つのコイルを用いる場合に比べ部品点数および製作工数を減らし、製作コストが低減できるという効果を奏する。
【0017】
上記構成より成る第2発明の磁気検出器は、前記第1発明において、前記デカップリング回路が、抵抗器あるいはコイルまたはコンデンサもしくはこれらの組み合わせからなるインピーダンス回路網によって構成され、前記電圧源もしくは電流源から該インピーダンス回路網を介して前記検出コイルに通電して、該検出コイル内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤにバイアス磁場を印加するので、検出コイルを1個用いるのみで、バイアス磁場を印加できる磁気インピーダンスセンサの提供を実現できる。その他第2発明の磁気検出器は、前記第1発明と同様に、従来の検出コイル以外にバイアスコイルやフィードバックコイルを別に設けて磁場を測定していた場合に得られていた精度と同等の高い精度の検出を、バイアスコイルやフィードバックコイルを用いることなく維持することを可能にするとともに、製作コストが低減できるという効果を奏する。
【0018】
上記構成より成る第3発明の磁気検出器は、アモルファスワイヤにパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子からなる磁気インピーダンスセンサにおいて、前記検出コイルが出力する交流減衰振動電圧を検波回路によって外部磁場の大きさに対応する電圧信号に変換し、さらに増幅器によって所定の大きさの電圧に増幅した電圧信号を出力するものであり、電圧または電流を得るために前記増幅器の出力端子に接続され、抵抗器あるいはコイルまたはコンデンサもしくはこれらの組み合わせからなるデカップリング回路としてのインピーダンス回路網を介して前記検出コイルに対して通電することにより、該検出コイル内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤにフィードバック磁場を印加するので、従来のようにフィードバック磁場を印加するための別のコイルを用いる必要がないので、コスト低減を可能にするとともに、前記インピーダンス回路網により前記検出コイルが出力する交流減衰振動電圧の前記増幅器の出力端子への流れを阻止するので、前記検出コイルの出力である交流減衰振動電圧が弱められることがほとんどないため、検出コイル以外のコイルを設けた場合と同等の精度の検出を可能にするという効果を奏する。従って、検出コイルを1個用いるのみでフィードバック磁場の印加により得られる、検出する磁場に対する出力電圧の線形性の向上と、より精度の高い磁気検出を実現することができる。その他、第3発明の磁気検出器は、前記第1および第2発明と同様に製作コストが低減できるという効果を奏する。
【0019】
上記構成より成る第4発明の磁気検出器は、前記第3発明において、前記インピーダンス回路網は、周波数選択回路を介して前記増幅器の出力端子に接続されることにより、前記アモルファスワイヤに対して、周波数選択されたフィードバック磁場を印加するので、周波数選択された信号成分を抑圧し、周波数選択をされなかった信号成分のみが増幅されて出力される効果が得られる。したがって第4発明の磁気検出器は、周波数選択された不要な信号成分が小さくなるので、より精度の高い磁気検出を実現できる。その他第4発明の磁気検出器は、前記第1ないし第3発明と同様に製作コストが低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態の磁気検出器の要部を示すブロック回路図である。
図2】本発明の第2実施形態の磁気検出器の要部を示すブロック回路図である。
図3】本発明の第3実施形態の磁気検出器の要部を示すブロック回路図である。
図4】本第1実施例の磁気検出器の詳細を示す詳細回路図である。
図5】本第1実施例における地磁気の変動成分の計測例を示す線図である。
図6】本発明の第2実施例の磁気検出器の詳細を示す詳細回路図である。
図7】本第2実施例における非直線誤差が0.1%以下の計測例を示す線図である。
図8】本発明の第3実施例の磁気検出器の詳細を示す詳細回路図である。
図9】本第3実施例における0.3mmφの鉄球の移動を10mm離れて検知した例を示す線図である。
図10】本発明の第1の変形例の磁気検出器の詳細を示す詳細回路図である。
図11】本発明の第2の変形例の磁気検出器の詳細を示す詳細回路図である。
図12】本第1および第2の変形例における定電流電源の一例を示すブロック図である。
図13】従来の磁気インピーダンスセンサを示すブロック回路図である。
図14】従来の磁気インピーダンスセンサを示す詳細回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の最良の実施形態について、実施形態および実施例に基づき図面を用いて説明する。
【実施形態1】
【0022】
本第1実施形態の磁気検出器は、図1に示されるようにアモルファスワイヤ10に発振器2からパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに前記アモルファスワイヤ10に巻回した検出コイル11に誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子1から成る磁気インピーダンスセンサにおいて、前記検出コイル11に抵抗器RあるいはコイルLまたはコンデンサCもしくはこれらの組み合わせからなるデカップリング回路としてのインピーダンス回路網3を介して電圧源もしくは電流源Eに接続することにより通電し、該検出コイル11内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤに任意の磁場を印加するように構成されている。
【0023】
本第1実施形態の磁気検出器は、感磁体であるアモルファスワイヤ10にパルス電流あるいは高周波電流を通電するとともに、前記アモルファスワイヤ10に巻回した前記検出コイル11に誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子1において、前記検出コイル11の一方に抵抗器RあるいはコイルLまたはコンデンサCもしくはこれらの組み合わせからなるインピーダンス回路網3を介して電圧源もしくは電流源Eに接続するものである。
【0024】
前記検出コイル11の出力である交流減衰振動電圧は、前記所定の抵抗値を含むインピーダンス回路網3が接続されているので、交流減衰振動電圧の電流がインピーダンス回路網3側へほとんど流出することがないので、前記検出コイル11の出力である交流減衰振動電圧が弱められるなどの悪影響をほとんど受けることはない。
【0025】
一方、電圧源Eから前記所定の抵抗値を含むインピーダンス回路網3を介して電流が前記検出コイル11に流入すると、該検出コイル11内に磁場が生じるので前記アモルファスワイヤ10を任意に磁気バイアスすることができる。
【0026】
前記検出コイル11は銅線で形成されており、巻き線の抵抗値はきわめて低いので、前記検出コイル11に電流が流入しても出力である前記交流減衰振動電圧に対して影響をおよぼすことがないのである。
【0027】
よって本第1実施形態の磁気検出器は、磁気インピーダンス素子1にバイアスコイルを巻回することなく、1個の該検出コイル11によって精確な磁気検出と磁気バイアスの機能をあわせて可能にする磁気インピーダンスセンサを実現するものである。
【実施形態2】
【0028】
第2実施形態の磁気検出器は、前記第1実施形態において、図2に示されるように検出コイル11が出力する交流減衰振動電圧を検波回路4によって外部磁場の大きさに対応する磁気信号に変換し、さらに増幅器5によって所定の大きさの電圧に増幅した磁気信号を出力するものであり、前記検出コイル11は前記インピーダンス回路網3を介して電圧源としての前記増幅器5の出力端子に接続することにより通電し、該検出コイル11内に生じる磁場で前記アモルファスワイヤ10にフィードバック磁場を印加するように構成されている。
【0029】
本第2実施形態の磁気検出器は、検出した磁気に対応する電圧信号を前記増幅器5により増幅し、その出力を感磁体であるアモルファスワイヤ10に磁気的にフィードバックするものである。
前記第1実施形態において、前記検出コイル11が出力する交流減衰振動電圧を前記検波回路4によって外部磁場の大きさに対応する磁気信号すなわち電圧信号に変換し、さらに前記増幅器5によって所定の大きさに増幅した磁気信号すなわち電圧信号を出力する。
【0030】
前記検出コイル11は、抵抗器RあるいはコイルLまたはコンデンサCもしくはこれらの組み合わせからなる前記インピーダンス回路網3を介して電圧源としての前記増幅器5の出力端子に接続されている。
【0031】
これにより本第2実施形態の磁気検出器は、前記増幅器5の出力の一部が、電流として前記インピーダンス回路網3を介して前記検出コイル11に流入する。これにより該検出コイル11内に磁場が生じるのでフィードバックコイルを用いることなく、1個の検出コイル11によって精確な磁気検出と前記アモルファスワイヤに対する磁気的フィードバックの機能をあわせて行うことを可能にする。
【実施形態3】
【0032】
第3実施形態の磁気検出器は、前記第2実施形態において、図3に示されるようにインピーダンス回路網3は、周波数選択回路6を介して前記増幅器5の出力端子に接続されることにより、前記アモルファスワイヤ10に対して周波数選択したフィードバック磁場を印加するように構成されている。
【0033】
本第3実施形態の磁気検出器は、前記増幅器5の出力信号の中から特定の周波数信号成分のみを選択して通過させることにより、前記アモルファスワイヤ10に対して磁気的にフィードバックするものである。
【0034】
本第3実施形態において、前記インピーダンス回路網3は、前記周波数選択回路6を介して前記増幅器5の出力端子に接続するものである。これにより前記増幅器5が出力する磁気信号すなわち電圧信号のうち、前記周波数選択回路6で選択された周波数の信号成分のみが、前記インピーダンス回路網3を通じて前記検出コイル11に流入し、磁気フィードバックが行われる。
【0035】
本第3実施形態の磁気検出器は、これにより検出コイルとは別にフィードバックコイルを用いることなく、1個の検出コイルによって精確な磁気検出と前記アモルファスワイヤ10に対して周波数選択的な磁気フィードバックをあわせて行うことを可能にするものである。
【0036】
以上により上述の本第1ないし第3の実施形態の磁気検出器は、磁気インピーダンス素子1にバイアスコイルあるいはフィードバックコイルを巻回することなく、ただ1個の検出コイル11のみによって、前記アモルファスワイヤ10に磁気バイアスあるいは磁気フィードバックすることを可能にするとともに、コイルを1個に減少させることにより、磁気インピーダンス素子の部品点数および製作工数を減らし、かつ製作を容易にして不良品の発生を減らすことで製作費の低コスト化効果を図るものである。
【実施例1】
【0037】
第1実施例の磁気検出器は、図4に示されるようにアモルファスワイヤ10にパルス発振器2からパルス電流を通電するとともに、前記アモルファスワイヤ10に巻回した検出コイル11に誘起する外部磁場に対応する大きさの交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子1から成る磁気インピーダンスセンサにおいて、前記検出コイル11に抵抗器RあるいはコイルLまたはコンデンサCもしくはこれらの組み合わせからなる高インピーダンス回路3(図4には抵抗器Rのみの例を記載)を介して電圧源または電流源Eに接続することにより通電し、該検出コイル11内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤ10に任意のバイアス磁場を印加するように構成されているものである。
【0038】
本第1実施例の磁気検出器は、前記第1発明および第2発明ならびに前記第1実施形態に基づくもので、その技術的課題すなわち目的は、地磁気の微弱な変動成分を観測することであり、地磁気の(代表的)平均値は、45μT(マイクロテスラ)であり、磁気変動値は平均値の1/1000程度の数+nT(ナノテスラ)である。
【0039】
地磁気の平均的な強さに対して格段に微弱な磁気変動を検出する場合においては、大きい地磁気の平均値成分によって増幅器すなわち磁気センサの出力が飽和してしまい、目的の微弱な変動磁気信号の検出が不可能になるのである。
これを回避するため、平均地磁気成分と同等のレベルで極性が反対の磁気バイアスを、前記電圧源Eから前記高インピーダンス回路3を介して、前記検出コイル11に電流を通電するように構成されている。
【0040】
これによって該検出コイル11内に磁場が発生することにより、前記アモルファスワイヤ10に印加されるので、これによって該アモルファスワイヤ10内の地磁気の平均値成分が打ち消されるように構成されているので、前記の増幅器は飽和することなく微弱磁気変動成分を検出するという目的を達成する高感度磁気検出器を実現するものである。
【0041】
本第1実施例の磁気検出器は、図4に示されるようにパルス発振器2は、マルチバイブレータ型パルス発振回路によって構成され、前記アモルファスワイヤ10に所定の周期のパルス電流を印加している。
【0042】
前記パルス発振器2は、図4に示されるようにロジックICすなわち論理回路I1およびI2と該ロジックICの各入力および出力端子間に接続された抵抗器r1およびコンデンサC1によって構成されるマルチバイブレータより成る。
【0043】
前記パルス発振器2の出力端子には、該パルス発振器2から印加されるパルス電流と同期して所定のタイミングでアナログスイッチSWを開閉するスイッチ信号が出力されるタイミング回路40が接続されている。
【0044】
前記タイミング回路40は、前記パルス発振器2の出力端子に一端が接続されたコンデンサC2と、該コンデンサC2の他端とロジック素子I3の入力端および回路電源Qに接続された抵抗r2とが接続されている。そして、このタイミング回路40により前記パルス発振回路2から印加されるパルス電流と同期して所定のタイミングでアナログスイッチSWを開閉するスイッチ信号が出力される。
【0045】
高インピーダンス回路3は、設定された出力電圧または出力電流が出力される電圧源Eに接続され、抵抗器RまたはコイルLまたはコンデンサCまたはそれらの組み合わせより成り、前記検出コイル11の出力端子に接続され、設定された出力電圧または出力電流が検出コイル11に対して出力されている。
【0046】
検波回路4は、前記検出コイル11の出力端子に接続され、前記タイミング回路からのスイッチ信号によって、所定のタイミングでアナログスイッチSWを開閉することにより、前記検出コイル11の検知出力すなわち交流減衰振動電圧をサンプルホールドして磁気信号に対応する電圧信号に変換し、ホールドコンデンサChに電圧として蓄積するようになっている。
【0047】
増幅器5は、前記検波回路4の出力端子に一方の入力端子が接続されるとともに、他方の入力端子は、アースとの間に抵抗r3が接続されるとともに出力端子との間に抵抗r4が接続されたOPアンプから成り、前記ホールドコンデンサChに蓄積された磁気信号としての電圧信号を所定の大きさに増幅して出力端子Pより出力するようになっている。
【0048】
磁気インピーダンス素子1の周囲に平均的な地磁気成分と検出するべき微弱な磁気変動成分が存在するとき、これに対応するアモルファスワイヤ10の内部の磁場Bwは、Be(平均磁場対応成分)とBs(変動磁場対応成分)の和すなわちBe+Bsとなる。
【0049】
本第1実施例における高インピーダンス回路3が、例えば抵抗のみによって構成される場合は、前記検出コイルのインピーダンスよりも高いインピーダンス(抵抗値)であるとともに、所定の磁気バイアスを実現するため所定の電流が設定される抵抗値を用い、かかる高インピーダンス回路3を通じて電源Eから電流が、前記検出コイル11に対して通電される。
【0050】
前記磁気インピーダンス素子1の検出コイル11によりアモルファスワイヤ10内に地磁気の平均値と大きさが等しく逆方向の磁気バイアス−Bbが生成される(|Bb|=|Be|)ので、以下の数式に示される関係となる。
【0051】
【数1】
【0052】
この結果、アモルファスワイヤ10の内部の平均磁場Beと検出コイル11によるバイアス磁場Bbが相殺されるので、アモルファスワイヤ10の内部には変動磁場Bsのみになる。
【0053】
I1、I2、c1、r1から成る前記バルス発振器2によってアモルファスワイヤ10にパルス電流が通電されると、前記検出コイル11の両端に前記変動磁場Bsに対応する交流減衰振動電圧Tが、I3、c2、r2から成る前記タイミング回路40により所定のタイミングでアナログスイッチSWが開閉されるので、前記ホールドコンデンサChからなる検波回路4は、前記変動磁場Bsに対応する磁気信号電圧を前記ホールドコンデンサChに蓄積するため、蓄積された前記変動磁場Bsに対応する磁気信号電圧が前記増幅器5によって所定の大きさに増幅され、前記出力端子Pから出力される。
【0054】
このように本第1実施例の磁気検出器は、磁気インピーダンス素子1の1個の検出コイル11によって、測定磁場の強さに相当する出力と、平均磁場成分を相殺する磁気バイアスの機能を兼ねることにより、従来2個のコイルが必要であった地磁気の微小磁場変動の測定を可能にすることができ、部品数の削減により、生産の容易化と製作コスト低減を図ることが出来るという効果を奏するとともに、抵抗のみによって前記高インピーダンス回路3を構成する場合には、周波数に依存しない磁気検出を可能にするという効果を奏するものである。
【0055】
すなわち本第1実施例の磁気検出器は、検出コイルを1つしか有していない磁気インピーダンス素子を用いているにもかかわらず、地磁気の平均値45μT(マイクロテスラ)の環境において、おおよそ50000分の1に相当する1nTの分解能を持つ高感度磁気検出器を実現することが出来た。
【0056】
本第1実施例の磁気検出器において、地磁気の変動信号を計測したところ、横軸が時間(sec)、縦軸が磁場を表す磁束密度(nT、ナノテスラ)の図5の線図に示されるようにピークトウピーク(peak to peak)で25ナノテスラ(nTpp)の実測値が得られた。
【0057】
本第1実施例の磁気検出器は、地磁気の変化による、マグマ活動、地震予知、太陽放射などの研究装置の磁気検出器として好適である。
【実施例2】
【0058】
第2実施例の磁気検出器は、直線性の良好な高精度磁気計測器を実現することを目的とするもので、図6に示されるように図4に示した第1実施例における前記高インピーダンス回路3の一端が増幅器5の出力端子Pに接続されるとともに、前記高インピーダンス回路3を抵抗RとコイルLの直列回路で構成した点が上述の第1実施例との相違点であり、以下相違点を中心に説明し、同一部分の説明は省略する。
【0059】
本第2実施例の磁気検出器は、第3発明および第2実施形態に基づく実施例であって、高精度の磁気検出器としての構成を備えるものである。
【0060】
増幅器5は、前記検波回路4の出力端子に一方の入力端子が接続されるとともに、他方の入力端子は、アースとの間に抵抗r3が接続されるとともに出力端子との間に抵抗r4が接続されたOPアンプから成り、前記ホールドコンデンサChに蓄積された磁気信号としての電圧信号を所定の大きさに増幅して出力端子Pより出力される。
【0061】
一方本第2実施例においては、前記増幅器5の出力信号の一部を抵抗RとコイルLの直列回路で構成した前記インピーダンス回路網3を介して前記検出コイル11に通電して、前記アモルファスワイヤ10に対して磁気的にネガティブフィードバック(負帰還)をかけるように構成されている。
【0062】
ネガティブフィードバックは、いわゆる零位法であり、感磁体であるアモルファスワイヤ10の動作点を常にほぼ一定(略ゼロ)の磁気レベルに保つように働くように構成されているものである。
【0063】
本第2実施例は、磁気検出器としての性能を決定するひとつの要因である入力磁場に対する出力信号の直線性に関する線形性を向上させることが出来るので、これにより高精度な磁気検出器を実現するものである。
【0064】
本第2実施例において、前記高インピーダンス回路3を前記抵抗RとコイルLの直列回路で構成したので、前記コイルLは、前記交流減衰振動電圧が高周波であるため大きなインピーダンスを呈し、前記検出コイルの出力に与える影響がより微弱になるので、さらなる高精度磁気検出の目的に適している。また抵抗器Rの抵抗値は所定のフィードバックが実現されるように設定される。
【0065】
本第2実施例の磁気検出器は、磁気インピーダンス素子の1個の検出コイルによって、本来の磁場の大きさに相当する出力とネガティブフィードバックを行う機能をあわせて可能にすることにより、従来2個のコイルが必要であったのに対し、部品数の削減を可能にし、生産の容易化と製作コスト低減をするとともに、零位法にもとづく高精度の磁気検出器を実現することが出来た。
【0066】
本第2実施例の磁気検出器は、高精度の磁気検出器を実現する度合いを確認するために、理想値からのズレを表現するために非直線誤差を測定したところ、横軸が印加磁場(μT、マイクロテスラ)、縦軸が非直線誤差(%)の図7の線図に示されるように0.1%以下の非直線誤差の計測例が得られた。
【0067】
本第2実施例の磁気検出器は、理化学研究における高精度磁気測定装置、磁気障害計測装置などの高精度磁気検出器として好適である。
【実施例3】
【0068】
第3実施例の磁気検出器は、ベルトコンベアなどの搬送手段で通過する製品内に混入する微小鉄片などが発する微弱な磁気を検知して異物検出する装置における高感度交流磁気検出器を実現するものである。
【0069】
本第3実施例の磁気検出器は、第4発明および第3実施形態に基づくもので、高感度交流磁気検出を行う磁気検出器の構成を備えるものである。
【0070】
すなわち、磁化された鉄片などの異物が含まれる可能性のある被検査対象がベルトコンベアで検出領域を通過するとき、被検査対象物中に磁化された異物が含まれている場合には、通過の際に交流の磁気変動が生ずる。
【0071】
この際、通常混入異物は小さな物であるから、検出すべき磁気変動量も微弱であるため、高感度の交流磁気検出器が要求されることになるのである。
【0072】
本第3実施例である図8に示す磁気検出器は、図6に示される前記第2実施例に対して前記高インピーダンス回路3を抵抗RとコイルLとコンデンサCによる回路で構成した点と前記高インピーダンス回路3の一方の端子と前記増幅器5の出力端子Pとの間に抵抗器r5、コンデンサC3によりカットオフ周波数が決まる低周波通過炉波回路とオペレーショナルアンプOPによるバッファ回路からなる周波数選択回路6を挿入してインピーダンス回路網を構成した点が上述した実施例との相違点であり、以下相違点を中心に説明し、同一部分の説明は省略する。
【0073】
検出した磁気信号を前記増幅器5の出力端子Pから出力するとともに、その一部の信号を前記周波数選択回路6で選択した信号、ここでは直流を含む低周波磁気信号成分のみを通過させ、さらに前記高インピーダンス回路3を通じて前記アモルファスワイヤ10に磁気的にネガティブフィードバックをかけるように構成されている。
【0074】
一般的に検出された磁気信号に対応する電圧信号は、増幅器5によって増幅され、出力端子Pから出力されるが、その信号の一部がネガティブフィードバックされるとその出力信号の大きさ(電圧)は小さくなる。
【0075】
フィードバック量を所定の値に設定すると、周波数選択されてフィードバックされた周波数成分の前記増幅器5の前記出力端子Pにおける磁気信号は、無視できるほどに小さく出来る。
すなわち周波数選択された信号に対する磁気検出感度は非常に低くなるのである。
【0076】
本第3実施例においては、上述したように前記周波数選択回路6が地磁気のような直流を含んで前記コンデンサC3、抵抗r5で決まるカットオフ周波数の低周波信号成分を通過させてフィードバックするので、これに対応する信号成分は、前記増幅器5の出力端子Pにほとんど現れないのである。
【0077】
一方、前記磁気信号のうち前記周波数選択回路6で通過できなかった交流信号成分(コンデンサC3、抵抗r5により決まるカットオフ周波数よりも高い)は、ネガティブフィードバックされない。したがってこの信号成分には前記増幅器5において所定の増幅が行われた上で、前記出力端子Pより出力されるので、検出感度が高いことから、地磁気のような直流あるいは低周波の磁気成分を検出せず、高い周波数帯域の交流磁気信号成分のみを高感度で検出する高感度交流磁気検出器を実現することが出来る。
【0078】
ここにおいて前記高インピーダンス回路3として、抵抗RとコイルLを直列にした回路とコンデンサCとを並列接続した回路を用いたが、コンデンサCはフィードバック回路が発振しないように安定度を高める役割を担う。
【0079】
本第3実施例の高感度交流磁気検出部は、鉄片等の磁気を帯びた異物がコンベアで通過することに伴う磁気変化が10Hz以上の周波数成分を持った交流であることから、前記コンデンサC3、抵抗r5および前記高インピーダンス回路3のインピーダンスを所定の値に選ぶことにより、検出するべき周波数帯域を5Hz以上とし、5Hz以下直流までの周波数帯域の検出感度をフィードバックにより零または零に非常に低いものにしている。ここで5Hz以下の周波数帯域の検出感度を零近くにしたのは、地磁気の変化や工場内を移動する搬送車による低周波成分の磁気変動を誤検知しないためである。
【0080】
また前記周波数選択回路6として帯域阻止フィルタ(第1の周波数から第2の周波数までの帯域の周波数成分の信号を阻止するフィルタ)を用いることで、特定の周波数帯域の磁気信号だけを検出する磁気検出器を構成することが出来る。
【0081】
銃や刃物など武器の所持を発見するためのセキュリティーゲートでは、武器すなわち鉄の移動による磁気変化を検出することによって実現することができる。すなわち、人が歩いてゲートを通過するときの周波数成分は、おおよそ0.1Hzから20Hzの帯域に分布している。
【0082】
したがって0.1Hzから20Hzの周波数帯域の磁気信号のみを検出するために、前記周波数選択回路6として帯域阻止フィルタを用いることにより、直流から0.1Hzの周波数帯域と20Hz以上の周波数帯域の磁気信号成分をフィードバックすることで、これらの帯域の検出感度を零あるいは零近くにする特性の磁気検出器を実現することが出来る。
0.1Hz未満の周波数帯域と20Hz超の周波数帯域の磁気信号成分に対する検出を行わない理由は、これらの周波数帯域に分布する不要な磁気ノイズを誤検出しないようにするためである。
【0083】
本第3実施例の高感度交流磁気検出器は、前記磁気インピーダンス素子1の1個の検出コイル11によって、高精度の磁気検出と周波数選択磁気フィードバック機能をあわせて可能にして、生産の容易化と製作コスト低減をするとともに高感度の交流磁気検出を可能にするという効果を奏する。
【0084】
本第3実施例の高感度交流磁気検出器において、0.3mmφの鉄球の移動を10mm離れて検出した例が、横軸が時間(秒)、縦軸が磁場(nT、ナノテスラ)の図9に示されているが、17nTのピークが検出された。
【0085】
本第3実施例の高感度交流磁気検出器は、食品内異物検出、セキュリティーゲートなどの用途に好適である。
【0086】
上述の実施形態および実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することが出来る本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0087】
上述の第1実施例においては、一例として構成をシンプルにする観点より、前記高インピーダンス回路3を前記抵抗Rのみによって構成する例について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、抵抗R以外のコイルLまたはコンデンサCを用いたり、2個以上の抵抗R、コイルLまたはコンデンサCを組み合わせることによって高インピーダンス回路を構成することが出来るものである。
この点は、第2実施例および第3実施例についても同様であり、本発明はこの3つの実施例に示す高インピーダンス回路に限定されることなく、抵抗、コイル、コンデンサを各種組み合わせた高インピーダンス回路を構成することが出来る。
【0088】
上述の実施例においては、一例として信号処理回路としての前記差動増幅器5に接続する回路および装置を備えていない例について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、前記差動増幅器5の出力端子Pに対して、コンパレータ回路が付加接続され、磁気ノイズすなわち前記信号処理回路の出力端子Pから出力される出力信号が、基準電圧以上の大きさの場合には、前記コンパレータ回路の出力端子に対して接続された発光ダイオードが、発光して報知する報知手段を用いる態様や、異物の検出結果および検査結果を検査時または必要に応じてディスプレイに常時表示する表示装置を採用することが出来るものである。
【0089】
上述した実施例においては、一例として、サンプルホールド回路のアナログスイッチの開閉のタイミングは、1個の前記パルス発振器2によって、前記アモルファスワイヤ10に印加されるパルス電流と同期関係にあるパルス電流によって閉じる例について、説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、1個または2個の前記パルス発振器2によって、前記アモルファスワイヤ10に印加されるパルス電流に先立ちまたは少し遅れて前記サンプルホールド回路のアナログスイッチを閉じるような開閉のタイミングを採用することが出来るものである。
【0090】
上述の実施例においては、電圧源と検出コイルとの間にデカップリング回路として検出コイルのインピーダンスよりも高いインピーダンスの高インピーダンス回路を接続する例の説明を行ったが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く技術的には高インピーダンス回路とは言うことが出来なくても、検出コイルのインピーダンスと同程度の大きさのインピーダンス値を持つ回路をデカップリング回路として用いることにより、実質的に上述の実施例と同様の作用効果を実現する実施形態を採用することが出来るものである。
【0091】
また実施例において、実際に用いる電源回路、増幅回路、フィルタ回路等の出力インピーダンス(抵抗)が、上述の実施例におけるインピーダンス回路網として働くのに十分なインピーダンス値を備える場合においては、電源回路、増幅回路、フイルタ回路等が有するインピーダンスによって、上述の実施例におけるインピーダンス回路網として機能させることにより、上述の実施例におけるデカップリング回路としてのインピーダンス網を新たに付加しない実施形態を採用することが出来るものである。
【0092】
上述の本願第1発明においては、電圧源もしくは電流源(例えば、電源回路、増幅回路、フィルタ回路等の電圧あるいは電流を出力するもの)と前記検出コイルとの間に接続した前記デカップリング回路により、前記交流減衰振動電圧の流れを阻止するとともに、前記電圧源もしくは電流源から前記コイルに対して通電することによって該コイル内に生じる磁場により前記アモルファスワイヤに磁場を印加するものであるが、ここで言う阻止とは流れを完全に阻止する場合のみを意味するものではなく、前記デカップリング回路により、前記交流減衰振動電圧の流れを完全に阻止するものでなくとも、前記電圧源もしくは電流源への交流減衰振動電圧の流出が軽微で、前記交流減衰振動電圧に対して実質的に影響がなく、磁場検出に実質的に影響がない場合も含むものである。
【0093】
上述の実施例においては、電圧源または電流源と検出コイルとの間にデカップリング回路として、前記検出コイルのインピーダンスよりも高いインピーダンスの高インピーダンス回路を用いる例の説明を行ったが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、上述した高インピーダンス回路とは異なるものであって、磁気インピーダンス素子の出力である前記交流減衰振動電圧が通常10MHz以上の高周波電圧信号であることから、このような高周波信号が前記電圧源の方への流れを阻止するとともに、低周波信号である前記検出コイルに通電して、検出コイル内に生じる磁場によって前記アモルファスワイヤにバイアス磁場を印加するためのフィードバック信号は流すことのできる高周波阻止回路7を用いる第1および第2の変形例を採用することが出来る。
【0094】
すなわちデカップリングとしての高周波阻止回路7は、例えば図10に示されるコイルL(第1変形例)または図11に示されるコイルLと抵抗Rを直列に接続した回路(第2変形例)によって構成され、検出コイル11と電流源との間の回路に挿入されるものである。
【0095】
前記電流源は、例えば図12に示されるように電源80が出力電流を制御する制御回路81を介して負荷LDに接続され、誤差増幅器82の一方の入力端子に基準電圧源84の基準電圧Vrが出力され、前記電源80の出力電流が電流検出抵抗83に流れたときに発生する検出電圧Vsが前記誤差増幅器82の他方の入力端子に出力され、前記基準電圧Vrと前記検出電圧Vsとが常に等しくなるように前記誤差増幅器82が制御信号を前記制御回路81に出力することにより、前記負荷LDに安定した出力電流が供給される定電流電源8によって構成されている。
【0096】
上記構成の高周波阻止回路7は、高周波の前記交流減衰振動電圧信号が前記電流源の方へ流れることを阻止するとともに、低周波のフィードバック信号を前記検出コイルに流すことにより前記アモルファスワイヤにバイアス磁場を印加するものであり、検出信号である交流減衰振動電圧に正確な磁場検出をするのに実質的に問題となる影響を与えることがないようにすることにより、上述の実施例と同様の作用効果を実現するものであって、周波数に絡んで動作するものであり、コイルにおいて消費を行うものではないタイプの所謂フィルタとも言うことが出来るものである。
なお本発明は、前記デカップリング回路として上述した抵抗R、コイルLおよびコンデンサCの他に、トランス結合回路、光結合回路、高周波結合回路、フィルタ回路、その他の回路等を適宜用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
地磁気の変化による、マグマ活動、地震予知、太陽放射などの研究装置の磁気検出、理化学研究における高精度磁気測定装置、磁気障害計測装置などの高精度磁気検出、食品内異物検出、セキュリティーゲートならびに磁気カードなどの磁気パターンの読み取り 紙幣の磁気パターンの検査にも適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
2 パルス発振器
3 インピーダンス回路網
4 検波回路
5 増幅器
6 周波数選択回路
R 抵抗器
L コイル
C コンデンサ
E 電圧源もしくは電流源
11 検出コイル
10 アモルファスワイヤ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14