特許第5924614号(P5924614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッドの特許一覧

特許5924614変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法
<>
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000002
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000003
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000004
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000005
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000006
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000007
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000008
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000009
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000010
  • 特許5924614-変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924614
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】変調器及び該変調器を備える荷電粒子ビームシステム並びに荷電粒子ビームの変調方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/21 20060101AFI20160516BHJP
   H01J 37/248 20060101ALI20160516BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   H01J37/21 B
   H01J37/248 A
   H01J37/248 B
   H01J37/20 H
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-231143(P2011-231143)
(22)【出願日】2011年10月3日
(65)【公開番号】特開2013-30448(P2013-30448A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年10月3日
(31)【優先権主張番号】13/192,903
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】テュヴィア ビベル
(72)【発明者】
【氏名】エフィム ケルネル
【審査官】 小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−015617(JP,A)
【文献】 特開2009−164109(JP,A)
【文献】 特開2003−142019(JP,A)
【文献】 特開2008−300358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00−37/36
H04N 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調信号を生成するように構成された変調信号生成器と、
前記変調信号を受け取るように構成された第1の巻線と供給線が通り得る開口部を定めるコイルとを含むインダクタであって、供給線を通る供給電圧信号をインダクタンスにより変調して変調供給電圧信号を供給するように構成されたインダクタと、
を備え、前記供給電圧信号の前記変調により、荷電粒子ビームの焦点距離を変更する、
ことを特徴とする変調器。
【請求項2】
前記供給電圧信号の前記変調により、試料における前記荷電粒子ビームの焦点がずれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の変調器。
【請求項3】
前記供給線が、荷電粒子ビームコントローラに結合された入力部と、荷電粒子ビーム源に結合された出力部とを含み、前記インダクタが、前記出力部の近くに位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の変調器。
【請求項4】
前記変調信号生成器が、前記変調信号を生成するように構成され、前記変調信号が、複数回繰り返される周期的信号を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の変調器。
【請求項5】
前記変調信号生成器が、前記変調信号を生成するように構成され、変調信号が、少なくとも10メガヘルツの周波数を有する少なくとも10回繰り返される周期的信号を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の変調器。
【請求項6】
前記変調信号生成器が、前記荷電粒子ビームのフライバック期間中に前記変調信号を生成するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の変調器。
【請求項7】
前記変調信号生成器が、前記変調信号を繰り返し生成するように構成され、前記インダクタが、前記供給電圧信号をインダクタンスにより繰り返し変調するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の変調器。
【請求項8】
前記インダクタが、複数の供給線を通る複数の供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、荷電粒子ビーム源に供給される複数の変調供給電圧信号を供給するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の変調器。
【請求項9】
前記インダクタが、前記複数の供給電圧信号間の関係を変化させずに前記複数の供給電圧信号を変調するように構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載の変調器。
【請求項10】
前記複数の供給電圧信号が、フィラメント供給電圧、抑制器電圧及び加速電圧である、ことを特徴とする請求項8に記載の変調器。
【請求項11】
荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子ビーム源と、
複数の供給線を介して前記荷電粒子ビーム源に複数の供給電圧信号を供給することにより前記荷電粒子ビーム源を制御するように構成された荷電粒子ビームコントローラと、
変調器であって、
前記複数の供給電圧信号の1又はそれ以上を変調するように構成された変調信号生成器と、
前記変調信号を受け取るように構成された第1の巻線と、供給線が通る開口部を定めるコイルとを含むインダクタであって、前記複数の供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、前記供給線を通り、前記荷電粒子ビームの焦点距離を変更する1又はそれ以上の変調供給電圧信号を供給するように構成されたインダクタと、
を含む変調器と、
を備えることを特徴とする荷電粒子ビームシステム。
【請求項12】
前記荷電粒子ビームシステムが、
画像取得期間中に試料の領域の画像を取得し、
前記1又はそれ以上の供給電圧信号を変調して、アイドル期間中に前記1又はそれ以上の供給電圧信号を変調後に安定させる、
ように構成され、アイドル期間の後に画像取得期間が続く、
ことを特徴とする請求項11に記載の荷電粒子ビームシステム。
【請求項13】
荷電粒子ビームを変調する方法であって、
変調信号生成器により変調信号を生成するステップと、
前記変調信号を受け取るように構成された第1の巻線と、供給線が通り得る開口部を定めるコイルとを含むインダクタを用いて、インダクタンスにより、供給線を通る供給電圧信号を変調して変調供給電圧信号を供給するステップと、
を含み、前記供給電圧信号の前記変調により、前記荷電粒子ビームの焦点距離を変更する、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビームシステムに関し、特に、変調供給電圧信号を供給してこのようなシステムの荷電粒子ビームの焦点距離を変更するための変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体ウェハの製造で広く使用されている公知の技術である走査電子顕微鏡法(SEM)では荷電粒子ビームコラムが使用され、CD計測ツール、いわゆるCD−SEM(測長走査型電子顕微鏡)及び欠陥レビューSEM(DRSEM)で利用されている。
【0003】
SEMでは、調べる試料の領域を、通常は電子である帯電粒子の集束一次ビームにより二次元走査する。一次電子ビームによる試料の照射により、二次(及び/又は後方散乱)電子が放出される。二次電子は、試料の一次電子ビームが入射する側で放出され、逆戻りして検出器により捕捉され、この検出器が、このようにして検出した電流に比例する出力電気信号を生成する。二次電子のエネルギー及び/又はエネルギー分布は、試料の性質及び組成を示す。
【0004】
様々なCD−SEM及び限界寸法を測定する方法が、Suによる「半導体デバイス製造のための統合限界寸法制御」という名称の米国特許出願公開第2003/0015699号明細書、Wuによる「レチクルパターンのオーバーレイ登録を評価する方法」という名称の、米国特許出願公開第2005/0048654号明細書、Petrov他による「荷電粒子ビームによる試料のモニタリングで使用するための方法及びシステム」という名称の米国特許出願公開第2004/0173746号明細書、Petrov他による「荷電粒子ビームコラム内で使用する偏向方法及びシステム」という名称の米国特許出願公開第2004/0056207号明細書、Petrov他による「荷電粒子ビームコラム及び荷電粒子ビームを導く方法」という名称の米国特許出願公開第2003/0218133号明細書、及びPetrov他による「荷電粒子ビームコラム及び荷電粒子ビームを検査する方法」という名称の米国特許出願公開第2003/0209667号明細書に記載されており、これらの特許は引用により本明細書に組み入れられる。
【0005】
SEMは、(「電子銃」と呼ばれる小さな先端を形成した)電子ビーム源、電子ビームコラム及び検出器装置などの主構造部品を含む。検出器装置は、コラムを通る一次ビームの伝搬経路の外部に位置してもよく、或いは一次ビームの経路内に位置してもよい(いわゆる「コラム内」又は「レンズ内」検出器)。電子ビームコラムは、とりわけ、レンズアセンブリにより形成されたビーム集束/偏向構成、及び偏向器アセンブリを含む。一次ビームの偏向により、試料上の走査領域内でビームを走査し、一次ビームの試料上への入射(入射角及び/又はビームシフト)も調整し、また二次ビームを検出器へ導くこともできる。
【0006】
高解像度を得るために、SEMは、非常に高い加速電圧を使用しながら試料を超狭角で走査する。具体的には、電子を高い運動エネルギーに加速した場合、電子光学素子がより有効となる(すなわち、生じる収差が小さくなる)。このような狭角で試料を走査すると、荷電粒子ビームの走査経路に沿って試料に帯電が生じる。
【0007】
半導体ウェハ上及び特にリソグラフィマスク(レチクル)上におけるCD測定などの測定の正確さにとっては、通常、この荷電粒子の走査ビームによる試料表面の良くない帯電が悩みの種であり、これが画像ドリフトを引き起こす。本出願の譲受人に譲渡された米国特許第6,555,815号明細書には、荷電粒子ビームコラムにおいて、試料の表面上に不活性ガスを注入することにより試料の帯電を回避又は低減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0015699号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0048654号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0173746号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0056207号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0218133号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0209667号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、荷電粒子ビームシステムが提供され、このシステムは、(電子ビームなどの)荷電粒子ビームを生成するように構成された荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビーム源に複数の供給線を介して複数の供給電圧信号を送信することにより荷電粒子ビーム源を制御するように構成された荷電粒子ビームコントローラと、複数の供給電圧信号のうちの1つの供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、荷電粒子ビームの焦点距離を変更する変調供給電圧信号を供給するように構成することができる変調器とを含むことができる。
【0010】
本発明のさらなる実施形態によれば、変調器が提供され、この変調器は、変調信号を生成するように構成された変調信号生成器と、この変調信号を受け取り、供給線を通る供給電圧信号をインダクタンスにより変調して変調供給電圧信号を供給するように構成されたインダクタとを含むことができ、この供給電圧信号の変調により、変調器を含む(電子ビームシステムなどの)荷電粒子ビームシステムの焦点距離を変更する。供給電圧信号の変調により、荷電粒子ビームの焦点をずらすことができる。
【0011】
供給線は、荷電粒子ビームコントローラに結合された入力部と、荷電粒子ビーム源に結合された出力部とを含むことができ、インダクタは出力部の近くに位置する。
【0012】
インダクタは、変調信号を受け取るように構成された第1の巻線と、コイルとを含むことができ、供給線は、コイルにより定められた開口部を通る。
【0013】
変調信号生成器は、複数回繰り返される周期的信号を含むことができる変調信号を生成するように構成することができる。場合によっては、変調信号が、少なくとも10メガヘルツの周波数を有する少なくとも10回繰り返される周期的信号を含むことができる。さらに、変調信号生成器を、荷電粒子ビームのフライバック期間中に変調信号を生成するように構成することができる。
【0014】
これに加えて、或いはこれとは別に、変調信号生成器を、変調信号を繰り返し生成するように構成することができ、インダクタを、供給電圧信号をインダクタンスにより繰り返し変調するように構成することができる。
【0015】
場合によっては、インダクタを、複数の供給線を通る複数の供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、荷電粒子ビーム源に供給される複数の変調供給電圧信号を供給するように構成することができる。インダクタは、複数の供給電圧信号を、この複数の供給電圧信号間の関係を変化させずに変調するように構成することができる。複数の供給電圧信号は、フィラメント供給電圧、抑制器電圧及び加速電圧とすることができる。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態によれば、荷電粒子ビームシステムの供給電圧を変調する方法が提供され、この方法は、変調信号生成器により変調信号を生成するステップと、この変調信号に応答して、及びインダクタンスにより、供給線を通る供給電圧信号を変調して変調供給電圧信号を供給するステップとを含むことができ、供給電圧信号の変調により、荷電粒子ビームの焦点距離を変更する。特に、供給電圧信号の変調により、荷電粒子ビームシステムにより生成された荷電粒子ビームの焦点ずれを引き起こすことができる。
【0017】
この方法は、荷電粒子ビーム源に結合された供給線の出力部の近くに位置するインダクタにより供給電圧信号を変調するステップを含むことができる。場合によっては、この方法は、複数回繰り返される周期的信号を含むことができる変調信号により変調を行うステップ、例えば少なくとも10メガヘルツの周波数を有する少なくとも10回繰り返される周期的信号を含む変調信号により変調を行うステップを含むことができる。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、荷電粒子ビームのフライバック期間中に変調信号を生成することができる。さらに、この方法は、変調信号を繰り返し生成して供給電圧信号を変調することを含むことができる。
【0019】
この方法は、複数の供給線を通る複数の供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、荷電粒子ビーム源に供給される複数の変調供給電圧信号を供給するステップを含むことができる。複数の供給電圧信号を、この複数の供給電圧信号間の関係を変化させずに変調することができる。複数の供給電圧信号は、フィラメント供給電圧、抑制器電圧及び加速電圧とすることができる。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態によれば、荷電粒子ビームを制御する方法が提供され、この方法は、荷電粒子ビーム源により荷電粒子ビームを生成するステップと、複数の供給線を介して複数の供給電圧信号を送信することにより荷電粒子ビーム源を制御するステップと、複数の供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、荷電粒子ビームの焦点距離を変更する変調供給電圧信号を供給するステップとを含むことができる。
【0021】
この方法は、画像取得期間中に試料の領域の画像を取得するステップと、供給電圧信号を変調し、この供給電圧信号を変調後のアイドル期間中に安定させるステップとを含むことができ、アイドル期間後に画像取得期間が続く。
【0022】
特に、本発明については、本明細書の結論部分において具体的に示し、明確に特許請求する。しかしながら、添付図面とともに以下の詳細な説明を参照することにより、本発明を、その目的、特徴、及び利点とともに機構及び動作方法の両方に関して最も良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】試料、及び本発明の実施形態に基づいて構成される変調器を含むシステムを示す図である。
図2】本発明の別の実施形態による変調器を含むシステムを示す図である。
図3】本発明のさらなる実施形態による変調器を含むシステムを示す図である。
図4】本発明のさらに別の実施形態による変調器を含むシステムを示す図である。
図5】本発明の実施形態による荷電粒子ビームシステムの制御及び変調信号を示す図である。
図6】本発明の実施形態による荷電粒子ビームシステムの走査信号及び変調供給電圧信号を示す図である。
図7】本発明のさらなる実施形態による荷電粒子ビームシステムの走査信号及び変調供給電圧信号を示す図である。
図8】本発明の別の実施形態による荷電粒子ビームシステムの走査信号及び変調供給電圧信号を示す図である。
図9】本発明の実施形態による、変調信号を生成して荷電粒子ビームシステムのための供給電圧信号を変調する方法を示す図である。
図10】本発明の実施形態による、変調信号を生成して荷電粒子ビームシステムを制御する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
説明図を簡潔かつ明瞭にするために、図中に示す要素は必ずしも尺度通りに描いていない。例えば、明確にするために要素の一部の寸法を他の要素に対して誇張している場合がある。さらに、適当であると考えられる場合、図中で参照番号を繰り返して、対応する又は類似する要素を示している場合がある。
【0025】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解をもたらすために数多くの具体的な詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細を伴わずに本発明を実施できることが理解されよう。その他の場合、本発明を曖昧にしないために、周知の方法、手順、及び構成要素については詳細に説明していない。
【0026】
本発明の様々な実施形態によれば、変調器、及び変調器を含むシステムが提供される。荷電粒子ビームの焦点距離に影響を与える1又はそれ以上の供給電圧信号をインダクタンスにより変調する。この変調は、特に供給電圧信号の出力部の近くで適用する場合、超高速変調を含むことができる。変調信号の変化速度は、供給電圧信号生成器及び供給線の応答速度よりもはるかに速くなり得る。
【0027】
超短波を有する周期的信号を含む変調信号によって供給電圧信号を変調することにより、変調信号が非常に素早く安定できるようになる。供給電圧信号の変調が荷電粒子ビームの焦点ずれを引き起こし、従って集束荷電粒子ビームにより結像されている間に、試料の帯電した領域を放電させることができる。
【0028】
本発明の様々な実施形態によれば、変調器が提供される。このような変調器の非限定的な例を図1図4に示す。
【0029】
図1に示す例を参照すると、変調器900が、変調信号を生成するように構成された変調信号生成器500及びインダクタ400を含むことができる。インダクタは、コイル420、及び2つの一次巻線430及び440を含むことができ、又は当業で公知の他のいずれかのインダクタを含むことができる。インダクタは、例えば1又はそれ以上のコイルを有することができる。図5に示すように、変調信号999は、複数の変調信号の重ね合わせとすることができる。
【0030】
インダクタ400は、変調信号を受け取り、(供給線210、220、230及び240のいずれか1つなどの)供給線を通る供給電圧信号をインダクタンスにより変調して(図6の変調供給電圧信号750などの)変調供給電圧信号を供給するように構成することができる。供給電圧信号の変調により、荷電粒子ビーム源100により生成された荷電粒子ビーム152の焦点距離を変更する。
【0031】
供給電圧信号の変調により、荷電粒子ビーム152の焦点をずらすことができる。焦点ずれの量は、変調の強度、及び供給電圧信号の変化と焦点距離の変化の比率に対応する。
【0032】
本発明の実施形態によれば、変調供給電圧信号を、フィラメント供給電圧、抑制器電圧及び加速電圧のいずれか1つとすることができる。
【0033】
荷電粒子ビーム152の焦点距離に影響を与えることができるあらゆる供給電圧信号を変調することができる。図1図4には、これらの信号の全ての変調を示しているが、このことが必ずしも本発明の全ての実施形態に当てはまる必要があるというわけではない。
【0034】
図1図4は、複数の供給線を通る複数の供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、荷電粒子ビーム源に供給される複数の変調供給電圧信号を供給することを示している。複数の供給電圧信号を変調すると、これらの供給電圧信号間の関係に影響が及ぶ可能性があるが、このことが必ずしも当てはまるわけではない。例えば、図1図4は、複数の供給電圧信号が同じ変調を受けて、これらの信号間の関係が変化しないままとなることを示している。電圧差は変わらないので、荷電粒子源100に供給される電流が変調により変化しない場合には、このことが有益となり得る。
【0035】
図1図4を参照すると、供給電圧信号は以下の通りである。
a.抑制器電圧源320により供給され、供給線220を通って荷電粒子ビーム源100の電極120に供給される抑制器電圧。
b.抽出器電圧源330により供給され、供給線210を通って荷電粒子ビーム源100の電極110に供給される抽出器電圧。
c.フィラメント電圧源310により供給されて2つの供給線230と240の間に電圧差を与え、フィラメント電流が荷電粒子ビーム源100の電極130と132の間を通過できるようにするフィラメント電圧。
【0036】
これらの供給電圧信号は全て、加速電圧源340により供給される加速電圧に乗っかる(又は浮かぶ)。
【0037】
このような荷電粒子ビームコントローラ300は当業で公知である。この荷電粒子ビームコントローラは、安定した電圧を供給できるとともに、上述した供給電圧信号のいずれかを急速変化させるために必要としなくてもよく、従って低ノイズの供給電圧信号を供給することができる。
【0038】
荷電粒子ビーム源100は、荷電粒子ビーム152を放出する先端150を含むとともに、電気接地及びケーブル200の絶縁ジャケットに接続された接地電極140も含む。図1には、試料1111にぶつかる荷電粒子ビームを示している。
【0039】
図1の個々の供給線は、誘電絶縁体内に位置するように示しており、全ての誘電絶縁体は絶縁ジャケット内に位置する。なお、他の種類のケーブルを提供することもできる。
【0040】
個々の供給線は、荷電粒子ビームコントローラ300に結合された入力部と、荷電粒子ビーム源100に結合された出力部とを含むことができる。説明を簡潔にするために、図1には、供給線210、220、230及び240の個々の入力部及び出力部を示すのではなく、ケーブル200の入力部201及びケーブル200の出力部202を示している。
【0041】
インダクタ400は、出力部202の近くに位置する。なお、出力部202の近くにインダクタ400を配置することにより、変調信号が供給線の静電容量及び抵抗全体を「見る」ことがなく、従って供給線全体に左右される応答期間に(速度により)制限されることがない。換言すれば、変調を供給線の出力部の近くで行うと、供給線全体を通過させる必要がなく、供給線を通る供給電圧信号に素早く影響を与えることができる。変調供給電圧信号は、供給線全体に伝搬する必要がなく、或いは荷電粒子ビームコントローラ300の遅い応答期間に制限されなくて済み、従って変調によって非常に素早く変化することができる。
【0042】
インダクタ400は、変調信号を受け取るように構成された第1の巻線、及びコイル420を含むことができる。本発明の実施形態によれば、変調信号生成器500が2つの一次巻線430及び440に接続されているが、事実上、一次巻線430及び440を単一の一次巻線と見なすことができるように、常に一方の一次巻線のみが作動する。
【0043】
コイル420により定められる開口部を通る個々の供給線を二次巻線と考える。従って、1:1の巻線比率が与えられる。なお、他の比率を与えることもできる。第1の巻線が増えると変調信号の電圧が分割され、例えば比率を1:2にした場合、変調信号が10ボルト増加すると変調供給電圧信号の増加は約5ボルトになる。
【0044】
本発明の実施形態によれば、変調信号生成器500が、複数回繰り返される周期的信号を含む変調信号を生成するように構成される。より高い周波数信号を使用すると、変調が終了した後の供給電圧信号の安定化を短くすることができる。従って、高周波数の周期的信号を使用することにより、供給電圧信号の整定期間を短縮しやすくなる。変調信号は、少なくとも10回繰り返される周期的信号を含むことができ、周期的信号の周波数は、少なくとも10メガヘルツの周波数を有することができる。
【0045】
荷電粒子ビームの走査方式と同期して、荷電粒子ビームの焦点ずれを実行することができる。例えば、変調信号生成器500を、荷電粒子ビームのフライバック期間の少なくとも一部の最中に、またこれに加えて、或いはこれとは別に、荷電粒子ビームの予備走査期間の少なくとも一部の最中に変調信号を生成するように構成することができる。
【0046】
通常、荷電粒子ビームは試料を繰り返し走査し、焦点ずれも繰り返し実行することができる。例えば、変調信号生成器500を、荷電粒子ビームの複数のフライバック期間の少なくとも複数の一部の最中に、またこれに加えて、或いはこれとは別に、荷電粒子ビームの複数の予備走査期間の少なくとも複数の一部の最中に変調信号を生成するように構成することができる。
【0047】
図6図8は、本発明の様々な実施形態によるタイミング図である。これらの図には、荷電粒子ビームを走査する走査信号720、変調信号の生成を可能にするトリガ730、変調信号740、及び変調供給電圧信号750を示している。
【0048】
図6及び図7の走査信号720は、予備走査期間702及び画像取得期間703中に上昇する。走査信号720は、フライバック又はリトレース期間701中に下降する。
【0049】
図8の走査信号720は、フライバック期間701に後続する線シフト期間704中に同じレベルを維持する。
【0050】
図6及び図8のトリガ730は、変調周期を定めるとともに、フライバック期間701中に変調信号740を生成できるようにする一方で、図7のトリガ730は、予備走査期間702の一部の最中にも変調信号740を生成できるようにする。従って、図7の変調信号のほうが、より長い変調周期にわたって生成される。
【0051】
変調信号740は、全ての図において個々の変調周期中に複数回交番する周期的信号を含むように示されている。これらの図には、変調周期が終了すると、変調信号740が何らかの変動を生じた後に安定することも示している。画像取得期間703の前に安定することが予想される。なお、これらの変動は減衰する傾向にあり、これらの振幅は安定化期間中に減少する傾向にある。
【0052】
図6及び図8には、変調信号740に後続する変調供給電圧信号750が、変調信号740の周期的性質によって変調周期中に振動し、安定化期間中に変動し、画像取得期間中に安定することも示している。
【0053】
なお、これらの図では、安定化期間は、対応する予備走査期間の最後に終了するが、対応する予備走査期間よりも短くなる場合がある。安定化期間は、対応する画像取得期間の前に終了することが望ましい。
【0054】
変調信号生成器500は複数の構成を有することができ、これらのいくつかを図2及び図4に示す。変調信号生成器500は、ミクロン、さらにはサブミクロンの変調周期中に変調信号を生成して、変調周期以外では比較的安定することができるいずれの種類のパターン生成器であってもよい。
【0055】
図2には、駆動装置510、変調回路520、発振器530及び停止回路540を含む変調信号生成器500を示している。
【0056】
変調回路520は、発振器530から、(a)変調信号の生成を促す(トリガ信号730などの)トリガ信号、及び(b)高周波数の周期的信号を受け取り、変調動作を行って、駆動装置510へ送る電気的変調信号を供給する。駆動装置510は、この電気的変調信号を変調信号となるように変換する。この変調信号が、駆動装置510により一次巻線430及び440に供給される。
【0057】
図2には、変調信号生成器500に供給電圧及びトリガ信号を供給する制御及び電源装置600を示している。
【0058】
図3には、2つのトランジスタ512及び514と、電圧源装置516とを含む駆動装置を示している。第1のトランジスタ512は、第1の電気的変調信号により制御され、第2のトランジスタ514は、第2の電気的変調信号により制御される。第1及び第2の電気的変調信号は逆位相とすることができ、或いは一度に1つのトランジスタしか作動しないように互いに別様に時間シフトすることができる。
【0059】
第1の一次巻線430は、電圧源装置516と第1のトランジスタ512の間に接続される。第2の一次巻線440は、電圧源装置516と第2のトランジスタ514の間に接続される。これらの接続は、(第1のトランジスタ512がオンになると)電流が第1の一次巻線430を通って流れ、(第2のトランジスタ514がオンになると)電流が第2の一次巻線440を通って逆の方向に流れるように行われる。従って、駆動装置510は、一次巻線430及び440に周期的(交互の)変調信号を注入する。
【0060】
図5は、本発明の実施形態による様々な信号のタイミング図である。特に、図5には、第1の操作電圧Vman1 911、第2の操作電圧Vman2 912、第1の一次巻線電流Iprim1 921、第2の一次巻線電流Iprim2 922を示しており、コイル420において誘発される電流方向の図も含む。
【0061】
第1の操作電圧Vman1 911は、第2の操作電圧Vman2 912と逆位相にある。第1の操作電圧Vman1 911は、第1の期間901中には正となり、第2の期間902中には負となるように振動する。第2の操作電圧Vman2 912は、第1の期間901中には負となり、第2の期間902中には正となるように振動する。
【0062】
第1の期間901中に、第1の操作電圧Vman1 911が、第1のトランジスタ512を動作状態に切り替える。これにより、第1の一次巻線430を通って第1の方向に流れる第1の一次巻線電流Iprim1 921が生成され、磁束がコイル420内を時計回りに流れるようになる。電流は、Vman1 911から90°位相シフトされ、従って第1のトランジスタ512がオンになってから1/4サイクル後にIprim1 921が流れ、期間903中には流れて期間904中には流れない。
【0063】
期間902中には、第1のトランジスタ512がオフになり、第2の操作電圧Vman2 912が、第2のトランジスタ514を動作状態に切り替える。これにより、第2の一次巻線440を通って第2の方向に流れる第2の一次巻線電流Iprim2 922が生成され、磁束がコイル420内を半時計回りに流れるようになる。電流は、Vman2 912から90°位相シフトされ、従って第2のトランジスタ514がオンになってから1/4サイクル後にIprim2 922が流れ、期間904中には流れて期間903中には流れない。
【0064】
再び図2図4に戻り、変調周期が終了すると、変調信号をシャットダウンし、又は別様に直ちに終了する必要が生じ得る。これは、不要な電流がコイル420を流れるのを止め、又は少なくともこれを減衰する支援となる停止回路540を使用することによって行うことができる。
【0065】
図4に示すこの停止回路540は、一次巻線を通る電流の流れを止めるように構成され、一次巻線430及び440のいずれか一方の2つの側を短絡させることにより、又は負荷により一次巻線から電磁エネルギーを枯渇させることにより、これを行うことができる。
【0066】
図4には、論理回路523、周波数分割器521及びインターフェイス524及び525を含む変調回路520を示している。論理回路523は、発振器530、周波数分割器521及び停止回路540に供給電圧信号を送る。論理回路523は、停止回路540に、コイル420を通る電流を止め、又は電流を負荷に通すことにより少なくとも減衰するように命令することができる。論理回路523は、停止回路430に、例えばトランジスタ512及び514の両方がオフになってから1/4サイクル後などの、コイルを通る電流が最小のときに電流を止めるように命令することができる。較正シーケンス中には、変調を止める命令を受け取って(例えば、トリガ信号の値がゼロに変化したとき)から電流を止める(停止回路540の起動)までの間の最適な時間差(遅延)を測定することができ、この最適(又は準最適)な時間差を、最も速く振動を減衰させる時間差として設定することができる。本発明の別の実施形態によれば、この時間差を、荷電粒子ビームシステムの画像操作の前に測定することができる。
【0067】
発振器530は、Finで示す周波数を有する高周波数の周期的信号を出力する。この高周波数は、1メガヘルツ、10メガヘルツ、20メガヘルツ、及びこれらをさらに上回ることができる。
【0068】
周波数分割器521はFinを受け取って、これを互いに逆位相にある(又は、駆動装置510のトランジスタを一度に1つしか動作させないように、又はある期間にトランジスタ同士がわずかに重複できるように互いに別様に位相シフトされる)とともにFinの周波数の1/2の周波数である2つの電気的変調信号に変換する。これらの電気的変調信号は、インターフェイス524及び525を介して送られる。
【0069】
インターフェイス524及び525は、トランジスタ512及び514に電気的変調信号を供給する。これらのインターフェイス524及び525は、これらの電気的変調信号の電圧又は電流を、第1及び第2のトランジスタ512及び514が必要とする電圧又は電流にマッチさせることもできる。
【0070】
例えば、Finが20メガヘルツに等しい場合、電気的変調信号の各々の周波数は10メガヘルツに等しく、一方の電気的変調信号を他方に対して50ナノ秒遅延させることができる。
【0071】
約1マイクロ秒の変調周期には、変調周期当たり10回の振動が含まれる。変調周期が短ければ含まれるサイクルも少なくなり、これに加えて、或いはこれとは別に、高周波数の周期的信号が必要になる。
【0072】
図9は、本発明の1つの実施形態による方法700を示す図である。方法700は、変調信号生成器により変調信号を生成するステップから開始する。ステップ710の後に、変調信号に応答して、及びインダクタンスにより、供給線を通る供給電圧信号を変調して変調供給電圧信号を供給するステップ720が続く。供給電圧信号の変調により、荷電粒子ビームの焦点距離が変更される。ステップ720の変調ステップは、荷電粒子ビームの焦点ずれを引き起こすステップを含むことができる。この焦点ずれは、(焦点距離の変化量などにより)荷電粒子ビームにより照明された試料の所望の放電を行うように設計することができる。
【0073】
ステップ720は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
a.荷電粒子ビーム源に結合された供給線の出力部の近くに位置するインダクタにより供給電圧信号を変調するステップ。
b.複数回繰り返される周期的信号を含む変調信号により供給電圧信号を変調するステップ。変調信号は、少なくとも10サイクルの周期的信号を含むことができる。周期的信号の周波数は、少なくとも10メガヘルツとすることができる。
c.荷電粒子ビームのフライバック期間中に、変調信号により供給電圧信号を変調するステップ。
d.荷電粒子ビームの予備走査期間の少なくとも一部の最中に、変調信号により供給電圧信号を変調するステップ。
e.荷電粒子ビームのフライバック期間の少なくとも一部の最中に、変調信号により供給電圧信号を変調するステップ。
f.複数の供給線を通る複数の供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、荷電粒子ビーム源に供給される複数の変調供給電圧信号を供給するステップ。
g.複数の供給線を通る複数の供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、複数の供給電圧信号間の関係を変化させずに、荷電粒子ビーム源に供給される複数の変調供給電圧信号を供給するステップ。例えば、供給電圧信号間の差分を同じままにすることができる。
h.フィラメント供給電圧、抑制器電圧及び加速電圧という供給電圧信号の少なくとも1つをインダクタンスにより変調するステップ。
i.フィラメント供給電圧、抑制器電圧及び加速電圧という供給電圧信号の少なくとも2つをインダクタンスにより変調するステップ。
j.インダクタンスにより供給電圧信号を変調し、変調を停止し、試料の領域を荷電粒子ビームで走査することによって得られる領域の画像を取得する前に供給電圧信号を安定させるステップ。
k.供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、インダクタを通る電流がほぼゼロであるときに変調を停止するステップ。
【0074】
ステップ710及び720は、複数回繰り返すことができる。例えば、変調信号を生成することができ、また供給電圧信号を反復的に変調することができる。変調のタイミングを、荷電粒子ビームの走査パターンと同期させて、予備走査期間、フライバック期間、又はこれらの組み合わせなどの所定の期間中に発生するようにすることができる。
【0075】
この繰り返しを、変調信号の生成及び供給電圧信号の変調を繰り返すべきかどうかを判定するステップ730によって示している。繰り返すべきであれば、ステップ730の後にステップ710が続き、そうでなければ方法は終了し、又は次にステップ710及び720を繰り返すべきときまで待つことができる。このことを、アイドルステップ740によって示している。
【0076】
アイドル段階740の後には、ステップ710が続くことができる。例えば、この方法は、所定のタイミング方式に基づいて、トリガを受け取ることに応答して、などによりステップ740からステップ710へ進むことができる。
【0077】
図10は、本発明の1つの実施形態による方法800を示す図である。方法800は、荷電粒子ビーム源により荷電粒子ビームを生成するステップ810から開始する。ここから、少なくとも1つの供給線を介して少なくとも1つの供給電圧信号を送信することにより荷電粒子ビーム源を制御し、少なくとも1つの供給電圧信号をインダクタンスにより変調して、荷電粒子ビームの焦点距離を変更する少なくとも1つの変調供給電圧信号を供給するステップ820へと続く。
【0078】
ステップ820は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
a.荷電粒子ビームの焦点を繰り返しずらすステップ。
b.荷電粒子ビーム源に結合された、供給線の出力部の近くに位置するインダクタにより供給電圧信号を繰り返し変調するステップ。
c.複数回繰り返される周期的信号を含む変調信号により供給電圧信号を繰り返し変調するステップ。変調信号は、少なくとも10サイクルの周期的信号を含むことができる。周期的信号の周波数は、少なくとも10メガヘルツとすることができる。
d.荷電粒子ビームのフライバック期間中に、変調信号により供給電圧信号を繰り返し変調するステップ。
e.荷電粒子ビームの予備走査期間の少なくとも一部の最中に、変調信号により供給電圧信号を繰り返し変調するステップ。
f.荷電粒子ビームのフライバック期間の少なくとも一部の最中に、変調信号により供給電圧信号を繰り返し変調するステップ。
g.複数の供給線を通る複数の供給電圧信号をインダクタンスにより繰り返し変調して、荷電粒子ビーム源に供給される複数の変調供給電圧信号を供給するステップ。
h.複数の供給線を通る複数の供給電圧信号をインダクタンスにより繰り返し変調して、複数の供給電圧信号間の関係を変化させずに、荷電粒子ビーム源に供給される複数の変調供給電圧信号を供給するステップ。例えば、供給電圧信号間の差分を同じままにすることができる。
i.フィラメント供給電圧、抑制器電圧及び加速電圧という供給電圧信号の少なくとも1つをインダクタンスにより繰り返し変調するステップ。
j.フィラメント供給電圧、抑制器電圧及び加速電圧という供給電圧信号の少なくとも2つをインダクタンスにより繰り返し変調するステップ。
k.インダクタンスにより供給電圧信号を繰り返し変調し、変調を停止し、試料の領域を荷電粒子ビームで走査することによって得られる領域の画像を取得する前に供給電圧信号を安定させるステップ。
l.供給電圧信号をインダクタンスにより繰り返し変調して、インダクタを通る電流がほぼゼロであるときに変調を停止するステップ。
【0079】
ステップ820の後には、試料の領域の画像を取得するステップを含むステップ830が続く。画像は、画像取得期間中に取得することができる。
【0080】
供給電圧信号の変調は、フライバック期間、予備走査期間又はこれらの一部を含むことができるアイドル期間中に行うことができる。供給電圧信号は、変調された後に安定することができる。
【0081】
本明細書では、本発明のいくつかの特徴を示して説明したが、当業者には、多くの修正物、置換物、変更物及び同等物が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、このような全ての修正物及び変更物を本発明の真の思想に含まれるものとして含むことが意図されていると理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10