(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液透過性の表面層、液不透過性の裏面層及び該表面層及び該裏面層の間に配置される吸収体を備えると共に、互いに対向する一対の端部と、該一対の端部に直交し互いに対向する一対の側部と、を有して矩形形状に構成され、ペットの胴回りに巻きつけられて装着されるペット用吸収性物品であって、
前記一対の側部における前記表面層側にそれぞれ配置され、該表面層から起立する第1立体ギャザー部及び第2立体ギャザー部を更に備え、
前記第1立体ギャザー部及び前記第2立体ギャザー部は、
前記一対の側部における前記表面層側にそれぞれ配置されると共に、外側縁が前記表面層又は前記裏面層に接合され内側縁の少なくとも一部が自由端となった一対のサイドシートと、
前記一対のサイドシートの内側縁近傍に取り付けられた弾性部材と、を備えて構成され、
前記第1立体ギャザー部を構成する前記サイドシートの内側縁側は、前記一対の端部において前記ペット用吸収性物品の幅方向の外側に折り返されて接合されるペット用吸収性物品。
前記一対の端部のうちの一方の端部における前記裏面層側に配置されて矩形形状に構成されると共に、長手方向が前記ペット用吸収性物品の幅方向に沿って延びる係止部材を更に備え、
前記第1高剛性領域は、前記一方の端部における前記係止部材が配置された部分に形成される請求項3に記載のペット用吸収性物品。
前記吸収体は、前記ペット用吸収性物品の長手方向の一端部側から他端部側まで延びる帯状の吸収体本体と、該吸収体本体の長手方向の中央部における前記第1立体ギャザー部が配置される側の側縁から幅方向の外方に延出する第1延出部と、を備える請求項1〜4のいずれかに記載のペット用吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のペット用吸収性物品の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、第1実施形態のペット用吸収性物品について、
図1〜
図7を参照しながら説明する。
第1実施形態のペット用吸収性物品1は、
図1及び
図2に示すように、互いに対向する一対の端部としての第1端部11及び第2端部12と、これら第1端部11及び第2端部12に直交し互いに対向する一対の側部としての後側側部17及び前側側部18と、を有して矩形形状に構成され、ペットの胴回り部に巻きつけて装着される。このペット用吸収性物品1は、尿道口が後足の付け根間よりも前方に位置するペット(例えば、ミニチュアダックスフンド等の胴長短足犬)に特に好適に用いられる。
【0022】
ペット用吸収性物品1は、
図1〜
図7に示すように、液透過性の表面層を構成する表面シート2と、液不透過性の裏面層3を構成する裏面シート31及び防水シート32と、吸収体4と、一対のサイドシート51,52と、弾性部材としての第1弾性部材61と、第2弾性部材62と、係止部材としてのフックテープ7と、位置表示部8と、を備える。
【0023】
表面シート2は、矩形形状に構成される。この表面シート2は、主として、装着対象のペットの身体に当接する側の面を構成する。表面シート2としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスティックシートを用いることができる。第1実施形態では、表面シート2は、後述するフックテープ7と好適に係合させる観点から、不織布により構成されることが好ましい。
【0024】
裏面シート31は、
図4〜
図6に示すように、表面シート2よりも幅広で、表面シート2と略等しい長さの矩形形状に構成される。裏面シート31は、ペット用吸収性物品1の反身体側の面を構成する。
防水シート32は、裏面シート31よりも幅狭に構成され、裏面シート31における表面シート2側の面に配置される。
裏面シート31及び防水シート32としては、疎水性の不織布、不透水性のプラスティックフィルム、不織布と不透水性プラスティックフィルムとのラミネートシート、耐水性の高いメルトブローン不織布を強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布等を用いることができる。
【0025】
一対のサイドシート51,52は、
図2に示すように、細長い矩形形状に構成され、表面シート2の長手方向に沿う側部の身体側にそれぞれ配置される。一対のサイドシート51,52の長さは、表面シート2及び裏面シート31の長さと略等しく構成される。一対のサイドシート51,52の外側縁は、
図4〜
図6に示すように、裏面シート31の側縁の位置と一致している。一対のサイドシート51,52の外側縁側は、裏面シート31の側部に接合されている。
【0026】
一対のサイドシート51,52の内側縁の少なくとも一部は、
図1及び
図5に示すように、自由端となっている。より具体的には、一対のサイドシート51,52は、後側側部17に配置される第1サイドシート51と、前側側部18に配置される第2サイドシート52と、を備える。ここで、後側側部17は、ペット用吸収性物品1をペットに装着する場合に、ペットの身体の後側に配置される側の側部であり、前側側部18は、ペット用吸収性物品1をペットに装着する場合に、ペットの身体の前側に配置される側部である。
【0027】
第1サイドシート51の内側縁は、
図4〜
図6に示すように、ペット用吸収性物品1の長手方向LDの全長に亘って表面シート2とは接合されていない。また、この第1サイドシート51の内側縁側は、
図4及び
図6に示すように、第1端部11及び第2端部12において、ペット用吸収性物品1の幅方向WDの外側に折り返されている。そして、折り返されて重ね合わせられた2層の第1サイドシート51は、ホットメルト接着剤Hにより接合される。
【0028】
第2サイドシート52の内側縁は、
図4及び
図6に示すように、第1端部11及び第2端部12において、ホットメルト接着剤Hによって表面シート2に接合されている。そして、第2サイドシート52の内側縁は、
図5に示すように、第2サイドシート52における長手方向LDの一端部及び他端部を除く部分において、自由端となっている。
【0029】
サイドシート51,52としては、撥水性又は疎水性を有するものが好ましく用いられ、具体的には、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布等の各種不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としてはポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0030】
吸収体4は、
図4及び
図7に示すように、重ね合わせられた表面シート2及び裏面層3の間に介在配置される。吸収体4は、
図2及び
図3に示すように、矩形帯状の吸収体本体41と、この吸収体本体41から延出する第1延出部42と、を備える。
【0031】
吸収体本体41は、ペット用吸収性物品1の長手方向LDの一端側から他端側まで延びて配置される。
吸収体本体41の長さは、
図7に示すように、表面シート2及び裏面シート3の長さよりも短く構成されている。そして、ペット用吸収性物品1の長手方向LDの一端部である第1端部11及び他端部である第2端部12には、吸収体本体41は、配置されない。
【0032】
吸収体本体41の幅は、表面シート2及び裏面シートの幅よりも狭く構成される。吸収体本体41は、
図2に示すように、ペット用吸収性物品1の幅方向WDにおいて、第2サイドシート52が配置されている側(前側側部18側)に偏って配置される。
【0033】
第1延出部42は、吸収体本体41の長手方向の中央部から幅方向の外方に延出する。より具体的には、第1延出部42は、吸収体本体41の長手方向に沿う一対の側部のうちの第1サイドシート51が配置される側に配置される。第1延出部42のペット用吸収性物品1の長手方向LDに沿う方向の長さL1は、ペットの泌尿器の下面を好適に覆う観点から、好ましくは150mm〜600mm、又はペット用吸収性物品1の長さの30%〜90%の長さである。第1延出部42のペット用吸収性物品1の幅方向WDに沿う方向の長さW1は、ペットの泌尿器の根元部を好適に覆う観点から、好ましくは10mm〜100mm、又は吸収体4の幅の10%〜50%の長さである。
【0034】
尚、
図19に示すように、第1延出部42の形状が、吸収体本体41からなだらかに突出する形状の場合には、第1延出部42のペット用吸収性物品1の長手方向LDに沿う方向の長さL1は、以下のように算出する。
吸収体4の幅が最も狭い部分の幅をWnとし、最も広い部分の幅をWwとし、幅Wnと幅Wwの平均(Wn+Ww/2)をみなし延出部幅Wavとする。そして、吸収体4におけるみなし延出部幅Wav間の長手方向LDに沿う方向の長さを、第1延出部42のペット用吸収性物品1の長手方向LDに沿う方向の長さL1とする。
【0035】
吸収体4としては、フラッフ状パルプ及び高吸収ポリマーを、ティッシュ等のコアラップ材により被覆したものを用いることができる。
吸収体4に用いられるフラッフ状パルプとしては、例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維が挙げられる。高吸収ポリマーとしては、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維状のポリマーが挙げられる。
【0036】
第1弾性部材61は、
図1及び
図2に示すように、第1サイドシート51及び第2サイドシート52それぞれの内側縁近傍に配置される。より具体的には、第1弾性部材61は、
図5に示すように、内側縁側で折り返されたサイドシートの間に挟まれると共に、ホットメルト接着剤(図示せず)により伸長状態でサイドシートに固定される。第1弾性部材61は、
図2に示すように、伸長状態において、吸収体4(吸収体本体41)の長手方向の長さよりも長い長さで第1サイドシート51及び第2サイドシート52に配置される。
【0037】
第2弾性部材62は、
図1及び
図2に示すように、前側側部18及び後側側部17それぞれに配置される。より具体的には、第2弾性部材62は、
図5に示すように、第1サイドシート51と裏面シート31との間、及び第2サイドシート52と裏面シート31との間にそれぞれ配置される。また、第2弾性部材62は、伸長状態で、ホットメルト接着剤により、サイドシート51,52及び裏面シート31に固定される。
第2弾性部材62は、伸長状態において、吸収体4の長手方向の長さよりも長い長さで前側側部18及び後側側部17それぞれに配置される。
【0038】
第1弾性部材61及び第2弾性部材62としては、細長く、伸び縮みする材料であればよく、天然ゴムからなる糸状ゴム、平ゴム等や、ウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、PE等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。更に具体的には、熱可塑性エラストマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等を糸状に成形するか又はフィルムに成型し細幅にスリットしたものが挙げられる。
【0039】
フックテープ7は、
図1〜
図3に示すように、ペット用吸収性物品1の第1端部11の外面に配置される。フックテープ7は、矩形形状に構成され、フックテープ7の長手方向がペット用吸収性物品1の幅方向WDに沿うように配置される。また、フックテープ7は、第1端部11の側縁から所定の距離内側に離間した位置に取り付けられる。
フックテープ7は、
図4に示すように、帯状の基部71と、この基部71の一方の面に設けられる複数のフック部72と、を備える。フックテープ7は、複数のフック部72が形成された面が外面となるように、裏面シート31に取り付けられる。
【0040】
位置表示部8は、ペット用吸収性物品1がペットに装着される場合に、指標となる位置を表示する。第1実施形態では、位置表示部8は、
図3に示すように、裏面層3の外面側に配置される。位置表示部8は、ペット用吸収性物品1の長手方向LDの中央部における幅方向WDの第2サイドシート52が配置された側(前側側部18側)に配置される。即ち、第1実施形態では、位置表示部8は、ペット用吸収性物品1をペットに装着する場合に、ペットの身体の前側に配置されるべき位置を表示する。
第1実施形態では、位置表示部8は、
図3に示すように、花柄のシール部材により構成され、防水シート32と裏面シート31との間に配置される(
図5参照)。位置表示部8は、裏面シート31を介して、裏面層3の外面側から視認できる。
【0041】
以上の位置表示部8によれば、ペット用吸収性物品1を裏面層3側から視た場合においても、帯状のペット用吸収性物品1におけるどちら側の側部をペットの身体の前側に位置させればよいかを、容易に把握できる。
尚、位置表示部8は、この位置表示部8が配置された位置に重なる位置に配置された吸収体4が水分を吸収した場合に色が変化する素材により構成してもよい。これにより、位置表示部8の色の変化を確認することで、ペット用吸収性物品1の交換時期を適切に把握できる。
また、位置表示部8は、裏面層3の外面に印刷を施して構成してもよい。
【0042】
以上のペット用吸収性物品1は、第1弾性部材61がペット用吸収性物品1の長手方向LDに沿って伸長状態で第1サイドシート51及び第2サイドシート52に固定されている。また、第2弾性部材62がペット用吸収性物品1の長手方向LDに沿って伸長状態でサイドシート51,52と裏面シート31との間に固定されている。
そのため、ペット用吸収性物品1は、自然状態(外力を付加しない状態)では、第1弾性部材61及び第2弾性部材62が収縮して、
図1に示すように、表面シート2側が内面を構成するように第1端部11と第2端部12とが近づいた立体的な形状となる。これにより、後側側部17及び前側側部18に、長手方向LDに伸縮可能な一対の胴回りギャザー部13が形成される(
図1参照)。
【0043】
また、第1サイドシート51及び第2サイドシート52における自由端側において、主として、第1弾性部材61が配置された部分が立ち上がる。これにより、第1サイドシート51により第1立体ギャザー部14が形成され、第2サイドシート52により第2立体ギャザー部15が形成される(
図5参照)。
【0044】
ここで、第1立体ギャザー部14のペット用吸収性物品1の長手方向LDに沿う長さは、第1延出部42のペット用吸収性物品1の長手方向LDに沿う長さL1よりも長く構成されている。より詳細には、第1立体ギャザー部14を構成する第1サイドシート51の内側縁は、ペット用吸収性物品1の長手方向LDの全長に亘って表面シート2とは接合されていない。また、この第1サイドシート51の内側縁側は、
図4及び
図6に示すように、第1端部11及び第2端部12において、ペット用吸収性物品1の幅方向WDの外側に折り返されて接合されている。これにより、第1立体ギャザー部14(第1サイドシート51)は、自由端側が立ち上がった状態から、ペット用吸収性物品1の幅方向WDの外側に倒れやすく構成される(
図5参照)。
【0045】
一方、第2立体ギャザー部15を構成する第2サイドシート52の内側縁側は、第1端部11及び第2端部12において表面シート2に接合されており、これら第1端部11及び第2端部12を除く部分が自由端となって構成されている。これにより、第2立体ギャザー部15(第2サイドシート52)は、自由端側が立ち上がった状態から、ペット用吸収性物品1の幅方向WDの内側に倒れやすく構成される。
【0046】
また、以上のペット用吸収性物品1の長手方向LDの中央部は、
図7に示すように、表面シート2、裏面層3及び吸収体4を主体として構成される。また、ペット用吸収性物品1の第1端部11側及び第2端部12側は、吸収体4(吸収体本体41)の端縁から延出した表面シート2及び裏面層3を主体として構成される。そして、第1端部11の端縁の近傍には、フックテープ7が配置される。これにより、
図7に示すように、第1端部11におけるフックテープ7が配置された部分には、所定の曲げ剛性を有する第1高剛性領域21が形成され、ペット用吸収性物品1の長手方向LDの中央部における吸収体4が配置された領域には、第2高剛性領域22が形成される。そして、第1高剛性領域21と第2高剛性領域22との間には、第1高剛性領域21及び第2高剛性領域22よりも曲げ剛性の小さい低剛性領域23が形成される。
また、第1弾性部材61の端部は、
図1及び
図2に示すように、低剛性領域23に位置する。
【0047】
次に、第1実施形態のペット用吸収性物品1をペットに取り付ける手順について、
図8〜
図11を参照しながら説明する。
図8〜
図11は、第1実施形態のペット用吸収性物品1をペットに装着する過程を示す図であり、
図8は、第1端部11をペットの背中に位置させた状態を示す図である。
図9は、ペットの胴回りに巻いたペット用吸収性物品1の第2端部12を引っ張って、ペット用吸収性物品1をペットの胴回りに密着させる様子を示す図であり、
図10は、ペット用吸収性物品1をペットの胴回りに装着した状態を示す図であり、
図11は、ペット用吸収性物品1をペットの胴回りに装着した状態をペットの左側面から視た図である。
【0048】
まず、
図8に示すように、ペット用吸収性物品1の第1端部11をペットの背中に位置させて、この第1端部11の近傍を装着者の片方の手で押さえる。このとき、裏面層3側に配置されている位置表示部8を確認しながら、この位置表示部8が配置された側をペットの身体の前側に位置させる。この状態で、第1弾性部材61の端部が位置する低剛性領域23を曲げ起点として、第1高剛性領域21を裏面層3側に折り返す(図示せず)。すると、第1高剛性領域21を折り返すことで、第1弾性部材61の伸縮力により起立している第1立体ギャザー部14に対して幅方向WDの外側への力が加わり、第1立体ギャザー部14は、外側に倒れる。
次いで、第1端部11を一方の手で押さえたまま、ペット用吸収性物品1の第2端部12を他方の手で持って、ペット用吸収性物品1をペットの腹側を覆うように巻きつける。
【0049】
次いで、
図9に示すように、第2端部12を上方に引っ張って、一対の胴回りギャザー部13をペットの胴回りの密着させた後、
図10に示すように、第2端部12の内面を第1端部の外面に配置されたフックテープ7に係合させる。これにより、ペット用吸収性物品1は、第1立体ギャザー部14が外側に倒れた状態で、ペットの胴回りに巻きつけられる。
【0050】
以上の手順において、ペット用吸収性物品1をペットに装着する場合には、ペットの泌尿器の全体を吸収体4で覆うことができるように、ペット用吸収性物品1をペットの胴体部における後足側に近接させて巻きつける。ここで、第1実施形態では、吸収体本体41を、ペット用吸収性物品1の幅方向WDにおける第2サイドシート52が配置される側(ペットの身体の前側)に偏らせて配置している。また、第1延出部42をペット用吸収性物品1の幅方向WDの外方(ペットの身体の後方)に延出させている。これにより、
図11に示すように、第1延出部42を、ペットの後足の付け根間に位置する泌尿器の根元部分の下方を覆うように配置できる。また、ペット用吸収性物品1におけるペットの後足に近接して配置される部分においては、吸収体本体41は配置されない。よって、ペット用吸収性物品1をペットの胴体に巻きつける場合に、吸収体4(吸収体本体41)は、ペットの後足に干渉しないので、ペット用吸収性物品1を、ペットの胴体における後足側に近接した位置に好適に巻きつけられる。
【0051】
以上説明した第1実施形態のペット用吸収性物品1によれば、以下のような作用効果を奏する。
【0052】
(1)第1立体ギャザー部14を、ペット用吸収性物品1の幅方向WDの外側に倒れやすく構成した。これにより、ペット用吸収性物品1をペットの胴体に巻きつける場合に、第1立体ギャザー部14(第1サイドシート51)を外側に倒した状態で、ペットの泌尿器の根元部分の下方及び後方を好適に覆うように配置できる。また、ペットの泌尿器の根元部分に強い応力をかけることなく、ペット用吸収性物品1を装着できるので、ペットの身体に負担をかけない。
【0053】
(2)第1立体ギャザー部14及び第2立体ギャザー部15を、それぞれ、サイドシート51,52と第1弾性部材61とを含んで構成した。これにより、第1立体ギャザー部14及び第2立体ギャザー部15を表面シート2から好適に起立させられる。
【0054】
(3)第1立体ギャザー部14を構成する第1サイドシート51の内側縁側を、ペット用吸収性物品1の第1端部11及び第2端部12において、ペット用吸収性物品1の幅方向WDの外側に折り返した状態で接合した。これにより、第1立体ギャザー部14の起立端である第1サイドシート51の内側縁側を、第1端部11及び第2端部12においてペット用吸収性物品1の幅方向WDの外側に向けた状態で固定できる。よって、第1立体ギャザー部14をペット用吸収性物品1の幅方向WDの外側により倒れやすくできる。
【0055】
(4)第2立体ギャザー部15を構成する第2サイドシート52の内側縁側を、ペット用吸収性物品1の第1端部11及び第2端部12において、表面シート2に接合した。これにより、第2立体ギャザー部15の起立端である第2サイドシート52の内側縁側を、第1端部11及び第2端部12において、ペット用吸収性物品1の幅方向WDの内側に向けた状態で固定できる。よって、第2立体ギャザー部15をペット用吸収性物品1の幅方向の内側に倒れやすくできるので、ペットの身体の前側からの尿の漏れを効果的に防止できる。
また、雄のペットに、ペット用吸収性物品1を装着した場合には、身体の前側に延びる性器の先端側を、内側に倒れやすい第2立体ギャザー部15により好適に覆うことができる。よって、ペットの身体の前側からの尿の漏れをより効果的に防止できる。また、性器の先端側が第2立体ギャザー部15に引っ掛ることで、ペット用吸収性物品1が身体の後側にずれるのを防げる。
【0056】
(5)ペット用吸収性物品1を、第1端部11に配置される第1高剛性領域21と、長手方向LDの中央部に配置される第2高剛性領域22と、これら第1高剛性領域21と第2高剛性領域22との間に配置される低剛性領域23と、を含んで構成し、第1弾性部材61の端部を低剛性領域23に位置させた。これにより、第1弾性部材61の端部が位置する低剛性領域23を曲げ起点として、第1高剛性領域21を裏面層3側に容易に折り返せる。よって、第1高剛性領域21を折り返すことにより、第1弾性部材61の伸縮力により起立している第1立体ギャザー部14に対して外側への力を付与できるので、第1立体ギャザー部14をより外側に倒れやすくできる。
【0057】
(6)第1高剛性領域21を、フックテープ7を含んで構成した。これにより、第1端部11と第2端部12とを係合させる部材を用いて容易に第1高剛性領域21を形成できる。よって、別途第1高剛性領域21を形成するための部材を用いなくてよいので、ペット用吸収性物品1の製造コストを低減できる。
【0058】
(7)吸収体本体41を、ペット用吸収性物品1の幅方向WDにおける第2サイドシート52が配置される側(ペットの身体の前側)に偏らせて配置し、第1延出部42をペット用吸収性物品1の幅方向WDの外方に延出させた。これにより、第1延出部42を、ペットの後足の付け根間に位置する泌尿器の根元部分の下方を覆うように配置できる。また、ペット用吸収性物品1におけるペットの後足に近接して配置される部分においては、吸収体本体41は配置されない。よって、ペット用吸収性物品1をペットの胴体に巻きつける場合に、吸収体4(吸収体本体41)は、ペットの後足に干渉しないので、ペット用吸収性物品1を、ペットの胴体における後足側に近接した位置に好適に巻きつけられる。即ち、ペットの胴回りに巻きつけて装着されるペット用吸収性物品において、吸収体4によりペットの泌尿器全体を好適に覆うことができる。
【0059】
(8)吸収体本体41を、ペット用吸収性物品1の長手方向LDにおける一端側から他端側に亘って延びるように配置した。これにより、ペット用吸収性物品1をペットに装着した場合に、第1延出部42が配置される後足の付け根間以外の部分において、吸収体本体41を、ペットの胴体の側部にも配置できる。よって、ペットが身体を横たえた状態において排尿した場合であっても、尿を胴体の側部に配置された吸収体本体41により好適に吸収させられる。
【0060】
(9)ペットの身体の前側に配置されるべき位置を表示する位置表示部8を、裏面層3の外面側から視認できる位置に設けた。これにより、ペット用吸収性物品1を裏面層3側から視た場合においても、帯状のペット用吸収性物品1におけるどちら側の側部をペットの身体の前側に位置させればよいかを、容易に把握できる。
【0061】
次に、本発明の第2実施形態に係るペット用吸収性物品1について、
図12及び
図13を参照しながら説明する。
図12は、第2実施形態のペット用吸収性物品1を示す平面図である。
図13は、
図12のE−E線断面図である。
尚、第2実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0062】
第2実施形態のペット用吸収性物品1は、主として、第1立体ギャザー部14の構成において、第1実施形態と異なる。
第2実施形態では、第1サイドシート51の内側縁は、
図12及び
図13に示すように、いずれも、長手方向の全長に亘って自由端となっている。また、第1サイドシート51の内側縁側は、第1端部11及び第2端部12において、ペット用吸収性物品1の幅方向WDの外側に折り返されていない。
第2実施形態のペット用吸収性物品1によれば、上述した(1)、(2)、(4)〜(9)の作用効果を奏する。
【0063】
次に、本発明の第3実施形態のペット用吸収性物品1について、
図14を参照しながら説明する。
図14は、第3実施形態のペット用吸収性物品1を示す平面図である。
第3実施形態のペット用吸収性物品1は、主として、吸収体4の構成において、第1実施形態と異なる。
第3実施形態の吸収体4は、
図14に示すように、吸収体本体41の一対の側部のうちの第2サイドシート52が配置された側の側部から幅方向の外方に延出する第2延出部43を更に備える。第3実施形態では、吸収体本体41の幅は、第1実施形態よりも狭く構成される。
【0064】
第2延出部43は、吸収体本体41の長手方向の中央部に配置される。第2延出部43は、第1延出部42と同形同大に構成される。
また、第3実施形態では、第1サイドシート51の内側縁及び第2サイドシート52の内側縁は、
図14に示すように、いずれも、長手方向の全長に亘って自由端となっている。また、第1サイドシート51の内側縁側及び第2サイドシート52の内側縁側は、第1端部11及び第2端部12において、ペット用吸収性物品1の幅方向WDの外側に折り返されていない。
【0065】
第3実施形態のペット用吸収性物品1によれば、上述した(1)、(2)、(4)〜(9)の作用効果を奏する他、以下のような作用効果を奏する。
【0066】
(10)吸収体4を、吸収体本体41の一対の側部のうちの第2サイドシート52が配置された側の側部から幅方向の外方に延出する第2延出部43を含んで構成した。これにより、吸収体4の形状を、ペット用吸収性物品1の長手方向LDに延びる中心線に対して線対称に構成できる。よって、ペット用吸収性物品1をペットに装着する場合に、ペット用吸収性物品1を装着する向きにかかわらず、ペットの泌尿器の全体を、吸収体4により好適に覆うことができる。
また、吸収体4の形状をペット用吸収性物品1の長手方向LDに延びる中心線に対して線対称に構成できるので、ペット用吸収性物品1の製造工程において、搬送ラインの蛇行を少なくできる。よって、ペット用吸収性物品1を効率的に製造できる。
【0067】
以上、本発明の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態では、位置表示部8を、裏面層3側に配置したが、これに限らない。即ち、位置表示部を、表面シート側に配置してもよい。
【0068】
また、第1実施形態では、位置表示部8を、ペット用吸収性物品1の長手方向LDの中央部における幅方向WDの第2サイドシート52が配置された側に配置したが、これに限らない。即ち、
図15に示すように、位置表示部8を、長手方向LDに所定間隔をあけて複数配置してもよい。
【0069】
また、第1実施形態〜第3実施形態では、第1立体ギャザー部14及び第2立体ギャザー部15を、それぞれ、サイドシートを折り畳む(折り返す)ことなく構成したが、これに限らない。即ち、
図16A及び
図16Bに示すように、第1立体ギャザー部14及び第2立体ギャザー部15を、第1サイドシート51及び第2サイドシート52をそれぞれ複数回(例えば2回)折り返して構成してもよい。また、
図17A及び
図17Bに示すように、第1立体ギャザー部14を、第1サイドシート51を複数回折り返して構成し、第2立体ギャザー部15を、第2サイドシート52を折り返さずに構成してもよい。また、
図18A及び
図18Bに示すように、第1立体ギャザー部14を、第1サイドシート51を折り返さずに構成し、第2立体ギャザー部15を、第2サイドシート52を複数回折り返して構成してもよい。
このように、サイドシートを複数回折り返して立体ギャザー部を構成することで、立体ギャザー部の起立高さを高く構成できる。
【0070】
また、第1実施形態〜第3実施形態では、裏面層3を、裏面シート31及び防水シート32の2層により構成したが、これに限らない。即ち、裏面層を、裏面シート又は防水シートのみにより構成してもよい。