特許第5925199号(P5925199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5925199ウェーハ検査または計測設定のためのデータ擾乱
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925199
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】ウェーハ検査または計測設定のためのデータ擾乱
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   H01L21/66 Z
【請求項の数】41
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-518424(P2013-518424)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2013-534055(P2013-534055A)
(43)【公表日】2013年8月29日
(86)【国際出願番号】US2011039876
(87)【国際公開番号】WO2012005863
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年5月21日
(31)【優先権主張番号】61/360,406
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サッタイサンダラム ゴビンド
(72)【発明者】
【氏名】マハデバン モハン
(72)【発明者】
【氏名】グプタ アジャイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン チエン−フェイ アダム
(72)【発明者】
【氏名】クルカーニ アショク
(72)【発明者】
【氏名】カークウッド ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ウ ケノン
(72)【発明者】
【氏名】ロン ソンニアン
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−024737(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0019185(US,A1)
【文献】 特開平05−248843(JP,A)
【文献】 特開2002−054915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/84 − 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するためのコンピュータに実装される方法であって、
1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能との間の差異のモデルを生成するステップと、
前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成するステップと、
前記ウェーハに対する擾乱結果であって前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査により前記ウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する擾乱結果を前記結果および前記モデルを用いて生成するステップと、
前記擾乱結果に基づいて前記ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するステップと、
を含み、
前記ウェーハ処理は前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含み、前記方法のステップはコンピュータシステムにより実行される、方法。
【請求項2】
前記判定するステップは前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能を前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査の前記性能に整合させるために実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査は異なるツールにより実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査は同一のツールにより実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法の2つ以上のステップを反復することを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査は第1ツールにより実行され、前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査は第2ツールにより実行され、前記判定するステップは前記第2ツールを用いることなく実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査が過去に実行されたウェーハ上における欠陥の属性の差異が前記モデルを生成するために用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記モデルを生成するステップは、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査の両方において検出されたウェーハ上の共通の欠陥を特定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記モデルを生成するステップは、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いて判定された前記共通の欠陥の属性と前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を用いて判定された前記共通の欠陥の属性との平均に対して、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いて判定された前記共通の欠陥の属性と前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を用いて判定された前記共通の欠陥の属性との差異をプロットすることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モデルを生成するステップは、前記共通の欠陥を、当該共通の欠陥の平均に応じて、対応するビンに分割するステップをさらに含み、前記ビンのそれぞれは互いに異なる平均に対応し、前記ビンのそれぞれは他のビンのそれぞれと同一数の欠陥を含むように設定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記モデルを生成するステップは、前記ビンのそれぞれに対して、前記ビンのそれぞれにおける前記共通の欠陥の前記属性の分布の平均値および標準偏差を判定するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記擾乱結果を生成するステップは、前記ビンに対して判定された前記平均値および前記標準偏差と同じ平均値および標準偏差を有するランダム分布から前記ビンに対応する前記モデルにおけるビンにおけるデータを抽出することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記モデルを生成するステップの前に、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行するために用いられる1つまたは複数のツールの1つまたは複数のパラメータを変更するステップであって、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査により得られる属性の差が所定範囲に収まるように互いに対して整合するように前記1つまたは複数のパラメータを変更するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は所定の間隔で実行され、前記ウェーハ処理は、その実行前の直近の前記方法の実行により判定された前記1つまたは複数のパラメータを用いて実行され、その直近とその1つ前に生成された前記結果または前記擾乱結果の差異が所定値よりも大きい場合、前記直近に生成された前記1つまたは複数のパラメータを用いず、その後に別途判定された前記1つまたは複数のパラメータを用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記性能間の前記差異は、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査の両方において検出されたウェーハ上の共通の欠陥の属性間の差異を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記モデルを生成するために用いられる結果を生成するために、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査をウェーハの1つのレイヤ上で実行するステップをさらに含み、前記ウェーハ処理は、前記ウェーハの他レイヤ上で、または他ウェーハの他レイヤ上で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数のパラメータは前記第2ウェーハ走査を実行するために用いられる1つまたは複数のパラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記1つまたは複数のパラメータは前記第2ウェーハ走査により生成された結果を処理するために用いられる1つまたは複数のパラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ウェーハ処理は検査または計測を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するために用いられることができる結果を生成するためのコンピュータに実装される方法であって、
1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能との間の差異のモデルを生成するステップと、
前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成するステップと、
前記結果および前記モデルを用いて前記ウェーハに対する擾乱結果を生成し、前記擾乱結果は前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査により前記ウェーハに対して生成されるであろう結果を近似し、前記擾乱結果は前記ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するために用いられることができ、前記ウェーハ処理は前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行するステップを含み、前記方法のステップはコンピュータシステムにより実行される、ステップと、
を含む方法。
【請求項21】
ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するためのコンピュータに実装される方法であって、
1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成するステップと、
前記結果および前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能との間の差異のモデルを用いて、前記ウェーハに対する擾乱結果であって前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査により前記ウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する擾乱結果を生成するステップと、
前記擾乱結果に基づいて前記ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定し、前記ウェーハ処理は前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含み、前記方法のステップはコンピュータシステムにより実行される、ステップと、
を含む方法。
【請求項22】
ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するためのシステムであって、
1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成するよう構成された1つまたは複数のツールと、
コンピュータシステムと、を含み、
前記コンピュータシステムは、
前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能との間の差異のモデルを生成するステップと、
前記ウェーハに対する擾乱結果であって前記1つまたは複数のツールによる前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査により前記ウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する擾乱結果を前記結果および前記モデルを用いて生成するステップと、
前記擾乱結果に基づいて前記ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するステップであって、前記ウェーハ処理は前記1つまたは複数のツールにより前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含む、ステップと、
を実行するよう構成されている、システム。
【請求項23】
前記1つまたは複数のツールが、1つまたは複数のウェーハ検査ツール、1つまたは複数のウェーハ計測ツール、または、1つまたは複数のウェーハ検査ツールおよび1つまたは複数のウェーハ計測ツール、を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いて前記結果を生成する前記1つまたは複数のツールの内の第1のツールが、前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行する前記1つまたは複数のツールの内の第2のツールとは異なる、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記1つまたは複数のツールが、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行する1つのツールのみを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記判定するステップは前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査の前記性能を前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査の前記性能に整合させるために実行される、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記コンピュータシステムが、前記モデルを生成するステップと、前記擾乱結果を生成するステップと、前記1つまたは複数のパラメータを判定するステップと、のうちの2つ以上のステップを反復して実行するように構成されていない、請求項22に記載のシステム。
【請求項28】
前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いて前記結果を生成する前記1つまたは複数のツールの内の第1のツールが、前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行する前記1つまたは複数のツールの内の第2のツールとは異なり、前記判定するステップは、前記1つまたは複数のツールの内の前記第2のツールを用いることなく実行される、請求項22に記載のシステム。
【請求項29】
前記性能における差異は、前記モデルを生成するために用いられる結果を生成するために前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査が実行されたウェーハ上における欠陥の属性の差異を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項30】
前記モデルを生成するステップは、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査に共通するウェーハ上の欠陥を特定するステップを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項31】
前記モデルを生成するステップは、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いて判定された属性と前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を用いて判定された属性との平均に対して、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いて判定された前記欠陥の前記属性と前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を用いて判定された前記属性との差異をプロットすることをさらに含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記モデルを生成するステップは、異なる値の前記平均に対応するビンに前記欠陥を分割するステップをさらに含み、前記ビンのそれぞれは他のビンのそれぞれと同一数の欠陥を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記モデルを生成するステップは、前記ビンのそれぞれに対して、前記ビンのそれぞれにおける前記欠陥の前記属性の分布の平均値および標準偏差を判定するステップを含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記擾乱結果を生成するステップは、前記モデルにおいて対応するビンに対して判定された前記平均値および前記標準偏差を有するランダム分布からビンに対するポイントを抽出することを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記コンピュータシステムがさらに、前記モデルを生成する前に、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査が前記モデルを生成するために用いられるであろう結果を生成するために用いられる前に、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査が互いに対して整合するよう、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行するために用いられる前記1つまたは複数のツールの1つまたは複数のパラメータを変更するよう構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項36】
前記1つまたは複数のツールがさらに、所定の間隔で前記結果を生成するよう構成され、前記コンピュータシステムがさらに、前記擾乱結果を生成するステップと、前記1つまたは複数のパラメータを判定するステップと、を前記所定の間隔で実行するよう構成され、前記ウェーハ処理は、最後の2つの前記間隔の後に生成された前記結果または前記擾乱結果の差異が互いに対して所定値よりも大きい場合、直近の前記間隔の後に判定された前記1つまたは複数のパラメータを用いて実行される、請求項22に記載のシステム。
【請求項37】
前記性能間の前記差異は、前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査に共通である1つの部類の欠陥の属性間の差異を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項38】
前記1つまたは複数のツールがさらに、前記モデルを生成するために用いられる結果を生成するために前記1つまたは複数の第1ウェーハ走査および前記1つまたは複数の第2ウェーハ走査をウェーハの1つのレイヤ上で実行することにより前記結果を生成するよう構成され、前記ウェーハ処理は、前記ウェーハの他レイヤ上で、または他ウェーハの他レイヤ上で実行される、請求項22に記載のシステム。
【請求項39】
前記1つまたは複数のパラメータは前記第2ウェーハ走査を実行するために用いられる1つまたは複数のパラメータを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項40】
前記1つまたは複数のパラメータは前記第2ウェーハ走査により生成された結果を処理するために用いられる1つまたは複数のパラメータを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項41】
前記ウェーハ処理は検査または計測を含む、請求項22に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2010年6月30日に出願された「Perturbation Modeling−Based Recipe Generation」を発明の名称とする米国特許出願番号第61/360,406号の優先権を主張するものである。なお、この出願は参照することにより完全に説明されているかのように本願に援用される。
【0002】
本発明は全般にウェーハ検査または計測設定のためのデータ擾乱に関する。
【背景技術】
【0003】
以下の説明および例は、先行技術がこのセクションに含まれることにより、先行技術であると認めるものではない。
【0004】
ウェーハ上の欠陥を検出する検査プロセスは、製造プロセスにおけるより高い歩留まりを促進し、それにより、より高い利益を達成するために、半導体製造プロセス中の様々な工程において用いられる。検査はつねに半導体デバイス製造の重要な部分であった。しかし、半導体デバイスの寸法が縮小するに伴い、より小さい欠陥がデバイスの誤動作につながるため、許容可能である半導体デバイスの正常な製造に対して検査は重要度をさらに増してきている。
【0005】
現在、ツール整合基準に適合する処方(レシピ:recipes)を生成するための方法は経験的である。例えば、レシピは、第1ツール(「ツール1」)上で作成され、次いで第2ツール(「ツール」2)上で試行され得る。そのレシピがツール2上においてツール整合基準に適合しない場合、そのレシピは変更され、ツール1上に運ばれテストされる。変更されたレシピがツール整合基準に適合しない場合、このプロセスは、レシピ設定がツール整合結果に達するまで、1つのツールと他のツールとの間で往復して反復的に実行される。このプロセスは、3つ以上のツールが関与する場合、より複雑となる。したがって、このような方法で整合レシピを設定することにより、顕著な量のウェーハ時間、ツール時間、およびエンジニアリング時間が必要となる。
【0006】
したがって、上記の方法の1つまたは複数の欠点を有さない、ウェーハ検査および/または計測のための1つまたは複数のパラメータを判定するための方法およびシステムを開発することが有利となるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
様々な実施形態の以下の説明が添付の請求項の主題を制限するものであるとは決して解釈してはならない。
【0008】
1つの実施形態は、ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するためのコンピュータ実装方法(コンピュータに実装される方法)に関する。本方法は1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能(動作:パフォーマンス)と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能(動作:パフォーマンス)との間の差異のモデルを生成することを含む。これらの走査は、同一の検査もしくは計測ツールまたは異なる検査もしくは計測ツール上で実行され得る。加えて、これらの1つまたは複数の走査は、同一のまたは異種の(検査または計測)モードで実行される走査を含み得、複数の走査の任意の組合せを含み得る。さらに、これらの走査は検査走査または計測走査であり得る。本方法は、1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成することも含む。これらの結果は、検査(観察:inspection)結果または非検査(非観察:non-inspection)測定結果(例えば、計測(度量)結果)を含む。加えて、本方法は結果およびモデルを用いてウェーハに対する擾乱(変動、動揺:perturbed)結果(要因を変動させてことにより変動する結果)
を生成することを含む。これらの擾乱結果は、1つまたは複数の第2ウェーハ走査によりウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する。本方法は、擾乱結果に基づいてウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定することをさらに含む。ウェーハ処理は1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含む。本方法のステップはコンピュータシステムにより実行される。
【0009】
他の実施形態は、ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するために用いられることができる結果を生成するためのコンピュータ実装方法に関する。本方法は1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能との間の差異のモデルを生成することを含む。本方法は、1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成することも含む。加えて、本方法は結果およびモデルを用いてウェーハに対する擾乱結果を生成することを含む。擾乱結果は、1つまたは複数の第2ウェーハ走査によりウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する。擾乱結果は、ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するために用いられることができる。ウェーハ処理は1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含む。本方法のステップはコンピュータシステムにより実行される。
【0010】
付加的な実施形態は、ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するためのコンピュータ実装方法に関する。本方法は1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成することを含む。本方法は、結果、および、1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能との間の差異のモデルを用いて、ウェーハに対する擾乱結果を生成することも含む。擾乱結果は、1つまたは複数の第2ウェーハ走査によりウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する。加えて、本方法は、擾乱結果に基づいてウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定することを含む。ウェーハ処理は1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含む。本方法のステップはコンピュータシステムにより実行される。
【0011】
上述の方法のうちのそれぞれの方法のステップのうちのそれぞれのステップは本願でさらに説明されるように実行され得る。加えて、上述の方法のそれぞれは本願で説明される任意の他の方法(単数または複数)の任意の他のステップ(単数または複数)を含み得る。さらに、上述の方法のそれぞれは、本願で説明されるシステムのうちのいずれかのシステムにより実行され得る。
【0012】
本発明のさらなる利点は、好適な実施形態の以下の詳細な説明の利点を有するとともに、以下の添付の図面を参照することにより、当業者に明らかとなるであろう。
【0013】
本発明は様々な修正例および代替的形態の余地があるが、本発明の特定の実施形態が、図面において例として示され、本願において詳細に説明される。これらの図面は必ずしも縮尺率が一定であるとは限らない。これらの図面およびこれらの図面に対する詳細な説明は、開示される特定の形態に本発明を制限することを意図するものとして理解してはならない。逆に、本発明は添付の請求項により定められる本発明の精神および範囲に含まれるすべての修正例、等価物、および代替物を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1ウェーハ走査を用いて判定された属性と第2ウェーハ走査を用いて判定された属性の平均に対する、第1ウェーハ走査を用いて判定された欠陥の属性と第2ウェーハ装置を用いて判定された属性との間の差異を示す図である。
図2】本願で説明されるモデルを生成するために欠陥が分割されたビン内の母数のヒストグラム例を含む図である。
図3】ウェーハ走査および本願で説明されるように生成された擾乱結果を用いて生成されたウェーハの結果を示すプロット例を含む図である。
図4】非一時的コンピュータ可読媒体の1つの実施形態を示すブロック図である。
図5】は本願で説明される1つまたは複数のコンピュータ実装方法を実行するために用いられることができるシステムの1つの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般に、本願で説明される実施形態の全部は、擾乱モデル化に基づく安定したレシピ生成に関する。1つの実施形態は、ウェーハ処理(例えば、ウェーハ検査および/またはウェーハ計測)のための1つまたは複数のパラメータを判定するためのコンピュータに実装される方法に関する。本願でさらに説明されるように、本方法はモデルを構築し、次いで、3つの広範な種類の用途を有するウェーハ検査または計測レシピを作成するためにそのモデルを用いてデータを擾乱させること(または他の変更をデータに加えること)を含み得る。例えば、1つの実施形態において、1つまたは複数のパラメータを判定することは、本願でさらに説明されるように、1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能を1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能に整合させるために、実行される。
【0016】
1つの実施形態において、1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査は異なるツールにより実行される。例えば、本方法は、ツール整合基準に適合する1つまたは複数のパラメータ(または「レシピ設定」)を判定するために用いられ得る。このように、本願で説明される実施形態の1つの広範な種類の用途はツール対ツール整合であり、このツール対ツール整合においてツール整合基準に適合することができるレシピが作成されるツール整合基準の1例は、C%の自己キャプチャレート(self capture rate)(「自己キャプレート」)でN回の反復にわたり2つのツールによりキャプチャされたD個の欠陥の個数および位置が、M%以内で整合しなければならないことである。C、N、およびMの値はウェーハのレイヤおよびツールの性質に依存し得る。
【0017】
他の実施形態において、1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査は同一のツールにより実行される。例えば、本願で説明される方法は、自己キャプレートまたは走査整合基準に適合する1つまたは複数のパラメータ(または「レシピ設定」)を生成するために用いられ得る。このように、本願で説明される実施形態は他の広範な種類の用途のために用いられることができる。なお、他の広範な種類の用途とは、自己キャプレート基準に適合することができるレシピが作成される、自己キャプレートレシピ生成または走査対走査整合である。
【0018】
追加的な実施形態において、1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査は所定の間隔(インターバルの)後に実行される。例えば、第3の広範な種類の用途(アプリケーション)は経時的変化を処理するためにレシピを適応することであり、これに関しては本願でさらに説明される。
【0019】
このように、1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査は同一のツールにより、異なるツールにより、または異なる時間において、実行され得る。このように、第3の広範な用途は、1)ツール対ツール整合(またはツール間走査整合)、2)走査対走査整合(またはツール内走査整合)、および3)経時的変化を無効化する(アカウント:account)ためのツール対ツールまたは走査対走査整合、を含む。ユーザがレシピを設定するとき、ユーザは、特定の自己キャプレートを有するレシピまたはツール整合基準に適合するレシピを設定することを望むかどうかを決定することができる。
【0020】
いくつかの実施形態は本願では1つの用途(アプリケーション:例えば、ツール対ツール整合)に関して説明されるが、これら3つの用途はユーザがこの方法を用いる方法においては同様である。したがって、本願におけるこれらの実施形態は1つの用途(例えば、ツール対ツール整合)に関して説明され得るが、当業者は、これらの実施形態を他の用途(例えば、走査対走査整合)に対して用いる方法を理解するであろう。
【0021】
「1つまたは複数のパラメータ」または「レシピ設定」という用語は、全般に、レシピにおいて調節可能であるすべての設定(iDO(登録商標)設定を含む)(例えば、ユーザが調節することが許可された全部の設定)を指す。iDO(登録商標)は、米国カリフォルニア州ミルピタスのKLA−Tencor社から市販されるinline Defect Organizer(登録商標)ビニングソリューションである。「レシピ」は全般に検査および計測等の処理を実行するための命令セットとして定義される。
【0022】
1つの実施形態において、1つまたは複数のパラメータは、1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行するために用いられる1つまたは複数のパラメータを含む。例えば、1つまたは複数のパラメータは、1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行するために用いられるツールの、照明サブシステム、検出サブシステム、走査サブシステム、またはこれらのいくつかの組み合わせの1つまたは複数のパラメータを含み得る。このように、1つまたは複数のパラメータは1つまたは複数の結果取得パラメータを含み得る。照明サブシステムの1つまたは複数のパラメータは、例えば、照明サブシステム、照明サブシステムに含まれる他の光学部品(単数または複数)、およびこれらの組み合わせに含まれる、照明の角度(単数または複数)、照明の波長(単数または複数)、照明の極性(偏光polarization:単数または複数)、スポットサイズ、アパーチャ(単数または複数)を含み得る。光検出サブシステムの1つまたは複数のパラメータは、例えば、検出サブシステム、検出サブシステムに含まれる他の光学部品(単数または複数)、およびこれらの組み合わせに含まれる、集光(光取り入れ)の角度(単数または複数)、検出の波長(単数または複数)、検出の極性(偏光:単数または複数)、ピクセルサイズ、アパーチャ(単数または複数)を含み得る。同様のパラメータ(単数または複数)が光に基づかないシステム(例えば、電子ビームシステム)に対して判定(決定)されることができる。
【0023】
他の実施形態において、1つまたは複数のパラメータは、1つまたは複数の第2ウェーハ走査により生成された結果を処理するために用いられる1つまたは複数のパラメータを含む。例えば、1つまたは複数のパラメータは、1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行するために用いられる光検出サブシステムにより生成された結果を処理するために用いられる1つまたは複数のパラメータを含み得る。1つの係る例において、光検出サブシステムにより生成された結果は画像または画像データを含み得、1つまたは複数のパラメータは画像または画像データのフィルタリング、位置合わせ、その他を実行するために用いられる1つまたは複数のパラメータを含み得る。他の例において、結果は信号を含み得、1つまたは複数のパラメータは、信号のフィルタリング、正規化、較正、その他を行うために用いられる、さらなる1つまたは複数のパラメータを含み得る。結果を処理するための1つまたは複数のパラメータは、ウェーハの異なるエリアに対して別個に判定され得る。例えば、ウェーハの1つのエリアにおいて生成された結果は1つまたは複数の第1パラメータを用いて処理され、ウェーハの他のエリアにおいて生成された結果は1つまたは複数の第2パラメータを用いて処理され、これらの第2パラメータのうちの少なくともいくつかは第1パラメータ(単数または複数)と異なり得る。1つまたは複数のパラメータは、欠陥検出感度も含むか、または、代替的に欠陥検出感度を含み得る。なお、欠陥検出感度は、欠陥検出アルゴリズムおよび/または欠陥検出方法の1つまたは複数のパラメータ(例えば、閾値)により定義され得る。加えて、1つまたは複数のパラメータはウェーハの異なるエリアに対して異なる検出感度(例えば、重要エリアまたは低ノイズエリアに対してはより高い感度、および非重要エリアまたは高ノイズエリアに対してはより低い感度)を含み得る。
【0024】
本方法は1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能との間の差異のモデルを生成することを含む。したがって、本願で説明される実施形態は、走査、ツール、または他のハードウェア上における結果をモデル化することを含み得、このモデル化することは、本願でさらに説明されるように、ただ1つのツール、走査、またはハードウェアにより生成された結果から、整合されたパラメータを生成するために用いられることができる。例えば、ツール間でのまたは走査間での光学部品および他のハードウェアの相対的挙動は、1つのウェーハと他のウェーハとの間で実質的には変化しない。したがって、この情報は、ツール間または走査間での画像/欠陥データの挙動をモデル化するために用いられることができる。例えば、ツール対ツール整合に対して、本方法はツール対ツール変動をキャプチャするモデルを作成することを含み得る。
【0025】
1つの実施形態において、性能(動作:パフォーマンス)における差異は、モデルを生成するために用いられる結果を生成するために1つまたは複数の第1走査および1つまたは複数の第2走査が実行されたウェーハ上における欠陥の属性の差異を含む。換言すると、モデルはウェーハ上で行われた実際の走査の実際の結果を用いて生成される。モデルを構築するために実際の結果を用いることにより、モデルの性能における信頼性が提供される。複数のツールからの結果は、各ツール、別の1つのツール(「ゴールデン」または基準ツール)のためのモデルを形成するために用いられ得る。しかし本願で説明される実施形態は、「ゴールデンツール」の代わりに、2つ以上のツールを相対的な方法で検討するためにも用いられることができる。実際の結果は、ウェーハ上で1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実際に実行することにより生成され得る。しかし、実際の結果は、ウェーハ上で1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実際に実行することなく取得され得る。例えば、実際の結果は、本願で説明される実施形態により、実際の結果が記憶された1つまたは複数のストレージ(格納)媒体から取得され得る。
【0026】
欠陥の属性は、欠陥検出アルゴリズムを用いて判定された欠陥の属性を含み得る。加えて、欠陥の属性は、走査中に検出された欠陥からの光の特性(例えば、強度)に応答する欠陥の属性、またはピクセル群の間の相対的応答さえも含み得る。例えば、属性は、強度、MDATオフセット、MDATグレーレベル(基準グレーレベル)、およびエネルギーを含み得る。MDATはKLA−Tencor社から市販されるいくつかの検査ツールにより用いられる欠陥検出アルゴリズムである。欠陥の属性は可能な限り一般的であり得る。属性は、欠陥位置、欠陥寸法、および任意の他の算出されたまたは測定された量等の、強度を除く種類の属性を含むことができる。本方法において属性の性質に制限はない。
【0027】
モデルを生成するいくつかの特定の実施形態は本願でさらに説明される。しかし本願で説明されるモデルはいかなる特定種類のモデルにも限定されない。理論上、モデルは本願で説明される簡単なものであり得るか、または、2つの走査または走査のセット上における属性の変動を正確にモデル化するに要求されるような高度なものであり得る。
【0028】
1つの実施形態において、モデルを生成することは、1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査に共通するウェーハ上の欠陥を特定することを含む。例えば、欠陥の1つの属性について検討する。次いで、本願でさらに説明されるように、共通の欠陥に対するこの属性の変動をモデル化することができる。共通の欠陥は任意の好適な方法で特定され得る。例えば、共通の欠陥は、互いに対して特定の距離の範囲内にある2つの欠陥として特定され得る。共通の欠陥を特定することは簡単な欠陥位置整合アルゴリズムを用いて実行され得る。
【0029】
1つの実施形態において、モデルを生成することは、1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いて判定された属性および1つまたは複数の第2ウェーハ走査を用いて判定された属性の平均に対して、1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いて判定された欠陥の属性と1つまたは複数の第2ウェーハ走査を用いて判定された属性との差異をプロットすることを含む。換言すれば、モデルを生成することは、x軸上における[属性(ツール1)+属性(ツール2)]/2に対して、y軸上における[属性(ツール1)−属性(ツール2)]をプロットすることを含み得る。係るプロットの1例が図1に示される。このプロットにおいて、各データ点は1つの共通の欠陥に対応する。
【0030】
いくつかの実施形態において、モデルを生成することは、異なる平均値に対応するビンにこれらの欠陥を分割することも含む。なお、各ビンは他のビンのそれぞれと同一数の欠陥を含む。例えば、図1のプロットに示される欠陥は等しいサイズのN個のビンに分割されることができる。1つの係る例において、第1ビンは0〜50の平均値に対応し、第2ビンは51〜100の平均値に対応し、第2ビンは101〜150の平均値に対応し、他のビンも同様に他の平均値に対応し得る。
【0031】
さらなる実施形態において、モデルを生成することは、ビンのそれぞれに対して、ビンのそれぞれにおける欠陥の属性の分布についての平均値および標準偏差を判定することを含む。例えば、各ビンに対して、ビン内のデータ点に対する平均および平均偏差を判定してもよい。このように、ビンのそれぞれにおける欠陥の属性の変動を検査することができる。例えば、図1に示されるように、上部の曲線は各ビン内における変動値であり、下部の曲線は各ビン内における平均値である。したがって、この図面は属性の変動性およびモデル生成ストラテジーを示す。この変動は飽和のためにより高い値において低下する。調査中、分布は、当該技術分野で既知であるコルモゴルフ・スミルノフ検定(最適なパラメータのセットを有する)または任意の他のガウス分布のための検定を用いて、ガウス分布であると特定された。例えば、図2は3つの異なるビン内における3つの異なる母数の欠陥に対するヒストグラムを示す。コルモゴルフ・スミルノフ検定は分布のガウス性を確認する。一方、モデルを生成するために用いられる属性は、ガウス分布にしたがう場合もあり、したがわない場合もある。例えば、対数正規分布がより良好なモデルであるならば、対数正規分布がガウス分布に代わって用いられることができる。ガウス分布を除く分布は、モデルの構築方法を単に変化させるのみで、手順全体は本願の説明にしたがう。その場合、正しい分布を用いてデータをモデル化するにあたり付加的な要件が存在する。
【0032】
2つ以上の属性がモデル化される場合、属性間の相関関係がモデル生成のために考慮されるべきである。例えば、ガウス分布または任意の他の分布にしたがう3つの属性をモデル化する場合を想定する。分布の全部が相関性を有する場合、擾乱結果に対するサンプリングは、同一のランダムなガウス分布または他の分布から実行されなければならない。相関性が低い場合、サンプリングは、独立的なランダムなガウス分布または他の分布から実行されなければならない。
【0033】
1つの実施形態において、モデルを生成することの前に、本方法は、1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査がモデルを生成するために用いられるであろう結果を生成するために用いられる前に、1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査が互いに対して整合するよう、1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行するために用いられる1つまたは複数のツールの1つまたは複数のパラメータを変更することを含む。例えば、擾乱アプローチは、属性間の変動が比較的大きい場合、有用とならない場合もある。換言すれば、本願で説明される用途に関して、属性変動を説明するモデルを生成することが意味を持つのは、モデル生成のための結果を生成するために用いられるツールまたは走査が整合された後のみである。したがって、2つのツールまたは走査が整合された後にモデルが整合されたデータを用いて構築されることが想定される。モデル生成の前にツールまたは走査をこのように整合することにより、変動が比較的大きくなることがないよう保証される。例えば、ひとたび2つのツールまたは走査が「整合」されると、2つの「整合」されたツールまたは走査から取得される属性の変動が何らかの指定された境界内にあるという何らかの保証が存在する。モデル生成のために用いられる結果が生成される前にツールまたは走査が整合されない場合、モデルを構築することは可能であるが、モデルはハードウェアおよび較正において極度に望ましくない変動をキャプチャし得る。モデル生成のための結果を生成するために用いられるツールまたは走査は、ハードウェアとツール間または走査間の較正とを整合する好適な整合手順を用いて整合され得る。ツールまたは走査が、モデル生成の前に、いくつかの他の方法および/またはシステムを用いて整合される場合、本願で説明される方法は係るツール整合を含まない場合もある。セーフガードも、過度の適合性のリスクを最小化するために、モデルに組み込まれることができる。
【0034】
他の実施形態において、モデルを生成することは、各ツール毎に1つまたは複数の変倍係数(スケール・ファクター)を判定することを含み得る。(特定のモデルの詳細により、ツール内(間)整合の目的を達成するためにどの他のパラメータを使用するかが決定される。)例えば、ツール内変動(すなわち、1つのツールの走査対走査変動)は、本願で説明されるようにモデル化されてもよい。走査対走査変動をモデル化することは、光学的状態、ピクセルサイズ、およびウェーハに対する依存を除去する。このように、1つのツールから他のツールへのデータを走査対走査変動性からモデル化することは、ハードウェア、光学部品、および他の残りの変動の適正な測定である。例えば、異なるウェーハ、異なる光学モード、および異なるステージ速度がほぼ同一の変倍係数を生成することを示す実験が実行された。したがって、走査対走査モデルはツール内変動を表すために適切に変倍され得る。このように、1つまたは複数の変倍係数が各ツール毎に決定され得る。
【0035】
本方法は、1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成することも含む。例えば、ひとたびモデル(単数または複数)が上述のように生成されると、基準ウェーハ走査のみからの実際のデータが任意の所与のウェーハに対して取得され得、本願で説明される方法の付加的なステップを実行(例えば、整合レシピを形成)するためのモデル(単数または複数)とともに用いられ得る。このようにして、ひとたび所与のツールが本願で説明されるモデルを生成するために用いられると、そのツールは、他のツールの性能に整合されたレシピを生成することはもはや不要である。もちろん、1つのツールを用いて実行される1つまたは複数の第2走査の性能を同一ツールを用いて実行される1つまたは複数の第1走査の性能に整合させるためのレシピが生成される場合、そのツールを用いて生成された結果は、本願でさらに説明されるように、これらの1つまたは複数の第2走査に対するレシピを生成するために用いられ得る。
【0036】
本方法は結果およびモデルを用いてウェーハに対する擾乱結果を生成することを含む。換言すれば、1つまたは複数の第1走査の結果は、方法に対する入力として用いられ、モデルの出力は擾乱結果である。このように、1つまたは複数の第1ウェーハ走査の結果(例えば、アルゴリズムおよびiDOまたは他のレシピ設定への入力データ等の結果)は、その特定状態に対して以前に形成されたモデルにしたがって擾乱されるであろう。1つの実施形態において、擾乱結果を生成することは、モデルにおいて対応するビンに対して判定された平均値および標準偏差を有するランダム分布からビンに対するデータ点を抽出することを含む。例えば、擾乱データセットは、モデルにおいて正しいビンから導かれた平均値および標準偏差を有するランダムなガウス分布からデータ点を抽出することにより生成され得る。このように、擾乱結果は、本来の結果に整合するヒストグラムに実質的に整合するヒストグラムを有するであろう。したがって、走査またはツール整合に対して、属性ヒストグラムを整合させることにより、整合された走査またはツールにより検出された欠陥の属性も整合することが期待されることができる。
【0037】
擾乱結果は、1つまたは複数の第2ウェーハ走査によりウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する。例えば、本願で説明されるモデルを用いることにより、画像/欠陥データ等の結果は、1つまたは複数の第2ツールまたは走査からの結果を近似、シミュレート、または模倣するために、擾乱されることができる。換言すれは、擾乱結果は1つまたは複数の第2ウェーハ走査により生成されるであろう結果と正確に同一となるとは限らないであろう。しかしその一方で、擾乱結果は、1つまたは複数の第2ウェーハ走査により生成されるであろう結果の妥当な近似となるであろう。1つの係る例において、図3は、擾乱結果が、1つまたは複数の第2ウェーハ走査によりウェーハに対して生成されるであろう結果をいかに良好に近似、シミュレート、または模倣するかを示す。特に、図3の左手側のプロットは、モデルが生成される実際の結果の変動性であり、図3の右手側のプロットは、擾乱結果の変動性である。図3に示されるように、どの結果が実ツールに由来するものか、どの結果がモデルおよびその対応する擾乱に由来するものか、を区別することは不可能である。このことは、モデルの信憑性を確認するものである。
【0038】
本方法は、擾乱結果に基づいてウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定することをさらに含む。例えば、レシピは、可能であればツールまたは走査からの本来の結果と組み合わせて、擾乱結果を用いて設定することができる。1つの係る例において、レシピは、可能であれば同様に擾乱された結果および/または本来の結果のN個の集合と組み合わせて、擾乱結果の集合を用いて形成され得る。このレシピは、単一のツール上でまたは単一の走査を用いて開発されたにもかかわらず、ツールまたは走査整合基準に適合する能力を有する。例えば、レシピが本願で説明される擾乱結果を用いて設定される場合、レシピは、第1ツールまたは走査と同様の感度を有する第2ツールまたは走査上において当然動作するであろう。十分な擾乱結果および可能な実際の結果は整合レシピ生成のための結果の変動性をキャプチャするために用いられることが好適である。
【0039】
ウェーハ処理のために1つまたは複数のパラメータを判定することは、ウェーハ処理レシピの少なくとも1つのパラメータに対する値を選択または判定することを含み得る。「パラメータ」という用語は本願においては、検査および/または計測ツールを設定するために用いられる、波長(単数または複数)、ピクセル、検査領域、スピード、照明および集光アパーチャ、その他等の変数の全部を指すために用いられる。例えば、ウェーハ処理のためのパラメータ(単数または複数)は、ウェーハからの光に応答して結果を取得するために用いられるツールのパラメータ、および/または結果を処理するために用いられるツールのパラメータを含み得る。このように、パラメータ(単数または複数)は、結果取得パラメータ(単数または複数)および/または結果処理パラメータ(単数または複数)を含み得る。ウェーハ処理は、暗視野(DF:dark field)検査、明視野(BF:bright field)検査、電子ビーム(e−beam)検査、DFおよびBF検査、もしくはマルチモード検査(同時に1つまたは複数のプラットフォームからのデータに関与する)であるか、または満足されるべきツール/検査整合を必要とする任意の他の計測もしくは検査ツールからであり得る。1つまたは複数のパラメータは、本方法において自動的にすなわちユーザ入力なしに判定され得る。しかし、1つまたは複数のパラメータは、ユーザからの入力を用いても、または代替的にユーザからの入力を用いて、擾乱結果に基づいて判定され得る。例えば、ユーザは、ユーザがレシピ設定を変化させる都度リアルタイムで、1つまたは複数の判定されたパラメータの性能に関するフィードバックが提供され得る。
【0040】
ウェーハ処理は1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含む。例えば、本願でさらに説明されるように、1つまたは複数のパラメータは、1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行するために用いられる1つまたは複数のパラメータ、1つまたは複数の第2ウェーハ走査により生成された結果を処理するために用いられる1つまたは複数のパラメータ、およびこれらの組み合わせを含み得る。
【0041】
1つの実施形態において、本方法は、所定の間隔で実行され、ウェーハ処理は、最後の2つの間隔の後に生成された結果または擾乱結果の差異が互いに対して所定値よりも大きい場合、直近の間隔の後に判定された1つまたは複数のパラメータを用いて実行される。例えば、本方法は、ロット対ロット変動を模倣し、処理が経時的変化するに応じてレシピを動的に調節するために用いられることができる。1つの係る例において、実施形態は、指定された期間(例えば、N個のロット)にわたってレシピ性能および欠陥属性(単数または複数)を調査するために用いられることができる。性能が妨害率(nuisance rate)および欠陥属性範囲に関して一定である場合、レシピを変える必要はない。性能が一定でない場合、1つの部類内の欠陥属性変動性に対するモデルが自動的に生成され、レシピ設定を調節するために用いられ得る。このレシピ性能はN個のロットに1回、自動的にチェックされることができる。このように、本願で説明される実施形態は、動的な生産プロセスにおいて一定に留まるよう、レシピを調節するために用いられることができる。モデルが各M個のロット毎に再計算される場合、この計算されたモデルは、処理変化の単独型指標として機能することができる。この計算されたモデルは、顕著な処理変化の強力な新規の統計的単独型指標となることができる。
【0042】
他の実施形態において、性能の間の差異は、1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査に共通である1つの部類の欠陥の属性の間の差異を含む。例えば、経時的処理を処理するためにレシピを適応させることは、いくつかの質的差異に関して本願でさらに説明されるのと同様の方法で実行され得る。特に、第1ウェーハ走査および第2ウェーハ走査は異なるウェーハ上で実行されるであろう。したがって、両方の走査に共通である欠陥はモデルを生成することのために利用可能とはならないであろう。しかし、1つの部類または複数の部類の欠陥に対する属性変動は、モデル化されることが可能である。係るアプローチは、N個のロットのデータサンプル上には特定の部類(クラス(class or classes):単数または複数)の欠陥の特定の分布が存在するという仮定に基づく。このユースケースに対する変動の範囲は、ツール対ツールおよび走査対走査整合のためのモデル生成に対して判定された属性の変動の範囲とは実質的に異なり得る。
【0043】
1つの実施形態において、1つまたは複数の第1ウェーハ走査は第1ツールにより実行され、1つまたは複数の第2ウェーハ走査は第2ツールにより実行され、1つまたは複数のパラメータを判定することは第2ツールを用いることなく実行される。他の実施形態において、本方法は、本方法の2つ以上のステップを反復して実行することを含まない。例えば、本願で説明される実施形態は、第2ツールからの事前情報を用いて単一の反復で1つのツール上で「整合可能」なレシピを生成するための具体的な方法を提供する。したがって、本願で説明される実施形態は、時間および労力を省き、走査またはツール整合基準を満足することができるレシピを形成することに対して系統的なアプローチをもたらす。特に、本願で説明される実施形態は、複数のツール間における複数回の反復なしに自己キャプレートおよびツール整合基準に適合することができるレシピを生成するための具体的且つ迅速な方法を提供する。
【0044】
本願で説明される実施形態は、ウェーハ検査または計測等のウェーハ処理のためのパラメータを判定するための他の方法と比べて、いくつかの利点を提供する。例えば、本願に説明される実施形態は、使いやすさと比較的迅速な自己キャプレートまたはツール整合結果とを提供する。特に、自己キャプレートまたはツール整合結果を達成するための現行の方法は、経験に基づくものであり、ユーザが一連のステップを実行することを要求する。これらのステップを実行することは、状況の複雑度、ツールの個数、およびユーザの部位(ユーザサイト:ユーザの場所)におけるツールの用法に応じて、比較的長時間(例えば、1日またはそれ以上)を必要とする。一方、本願で説明される実施形態は、複数のツール間における複数回の反復なしに自己キャプレート(self-caprate)およびツール整合基準に適合することができるレシピを形成することにおいて迅速な作業を可能にする。
【0045】
このように、本願に説明される実施形態は、より短いツール時間、より短いエンジニアリング時間、より小さい走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscopy)解析努力、および整合レシピを形成するためのより短いウェーハ時間を要求する。例えば、ツール上で生産ロットを実行することの代わりに、現行では、ユーザはツール整合レシピを設定するためにツールを使わなければならない。このことにより、ツールの所有コストが増加することとなってしまう。所与のユーザが作成するレシピの数に応じて、このことは著しいコストとなり得る。しかし、本願でさらに説明される実施形態において、複数のツールは、整合レシピを生成するにあたり用いられることは要求されない。特に、本願で説明されるように、本実施形態は、ユーザが整合レシピを作成する必要がある各ツールおよび各レイヤから結果を取得する必要性を排除する。したがって、本願で説明される実施形態はツール時間を顕著に節約し、節約されたツール時間は他の目的(例えば、実際の検査)のために用いられることができる。加えて、本願で説明される実施形態は、レシピを作成するための系統的な方法も提供する一方で、整合レシピを制作する時間をスピードアップする。本願で説明される実施形態においては、ツール整合レシピを形成するにあたり要求されるエンジニア時間も短縮化される。例えば、通常、エンジニアがレシピを作成する。しかし、エンジニアがツール上のボックスからツール整合レシピを生成することができるなら、エンジニアの時間は大幅に節約されるであろう。このことは、すなわち、エンジニアの時間に関する直接的コスト軽減化と、エンジニアのフラストレーションの軽減化を通しての間接的コスト軽減化とを意味する。さらに、iDO整合は、現行の方法体系においては相当量のSEM解析を必要とし、現行の方法体系においては、SEM類別および解析が複数のツールから必要となる。しかし、本願で説明される実施形態はこの時間を劇的に削減し、その結果、SEM解析時間が顕著に削減される。
【0046】
他の実施形態において、本方法は、モデルを生成するために用いられる結果を生成するために、ウェーハの1つのレイヤ上で1つまたは複数の第1ウェーハ走査および1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含み、ウェーハ処理は、同一ウェーハの他レイヤ上で、または他ウェーハの他レイヤ上で、実行されるであろう。例えば、現行では、各レイヤに対するウェーハ処理設定は、各ツールを訪問し、ロットのSEM解析を必要とし得る。しかし、本願で説明される実施形態においては、モデルが各ツールから「ゴールデン」ツールへのために形成された後、整合レシピは各ツールを訪問することなく構築されることができる。特に、本願で説明されるモデルは、ハードウェアおよび光学部品に依存するため、レイヤに非依存であり得る。レイヤは、アクティブレイヤ、ポリレイヤ、コンタクトレイヤ、金属レイヤ、その他等の、マスクレイヤまたはプロセスレイヤを含み得る。レイヤは、リソグラフィ、エッチング、化学機械研磨(CMP:chemical−mechanical polishing)、またはウェーハの構造を変化させることが可能である任意の他の処理等の、任意の好適なウェーハ作製プロセスを用いて、ウェーハ上に形成され得る。
【0047】
他の実施形態は、ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するために用いられることができる結果を生成するためのコンピュータ実装方法に関する。本方法は1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能との間の差異のモデルを生成することを含み、この生成することは、本願でさらに説明されるように実行され得る。本方法は、1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成することも含み、この生成することは本願でさらに説明されるように実行され得る。加えて、本方法は結果およびモデルを用いてウェーハに対する擾乱結果を生成することを含み、この生成することは本願でさらに説明されるように実行され得る。擾乱結果は、1つまたは複数の第2ウェーハ走査によりウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する。擾乱結果は本願でさらに説明されるように結果を近似する。擾乱結果は、本願でさらに説明されるように、ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するために用いられることができる。ウェーハ処理は1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含む。
【0048】
付加的な実施形態は、ウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するためのコンピュータ実装方法に関する。本方法は、1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成することを含み、この生成することは本願でさらに説明されるように実行され得る。本方法は、結果、および、1つまたは複数の第1ウェーハ走査の性能と1つまたは複数の第2ウェーハ走査の性能との間の差異のモデルを用いて、ウェーハに対する擾乱結果を生成することも含み、この生成することは本願でさらに説明されるように実行され得る。モデルは、他のコンピュータ実装方法を用いて本願で説明されるように生成され得る。擾乱結果は、1つまたは複数の第2ウェーハ走査によりウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する。擾乱結果は本願でさらに説明されるように結果を近似する。加えて、本方法は擾乱結果に基づいてウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定することを含み、この判定することは本願でさらに説明されるように実行され得る。ウェーハ処理は1つまたは複数の第2ウェーハ走査を実行することを含む。
【0049】
本願で説明される方法の全部は、本方法の1つまたは複数のステップの結果を、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶することを含み得る。結果は、本願で説明される結果のうちのいずれかを含んでもよく、当該技術分野において任意の既知の方法で記憶され得る。記憶媒体は、本願で説明される任意の記憶媒体、または当該技術分野において既知である任意の他の好適な記憶媒体を含み得る。結果が記憶された後、結果は、記憶媒体においてアクセスされること、本願で説明される方法またはシステムの実施例のいずれかにより用いられること、ユーザに表示するためにフォーマットされること、任意のソフトウェアモジュール、方法、またはシステム、その他により用いられること、が可能である。例えば、本方法がウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定した後、本方法は、システムが検査および/または計測等の処理のためのレシピを用いることができるよう、1つまたは複数のパラメータを含むウェーハ処理のためのレシピを記憶媒体に記憶することを含み得る。
【0050】
本方法のうちのそれぞれ方法のステップのうちのそれぞれのステップはコンピュータシステムにより実行される。コンピュータシステムは本願で説明されるように構成され得る。本方法の実施形態のそれぞれは本願で説明される任意の他の方法(単数または複数)の任意の他のステップ(単数または複数)を含み得る。加えて、本方法の実施形態のそれぞれは本願で説明されるシステムのうちのいずれかにより実行され得る。
【0051】
他の実施形態は、本願で説明される1つまたは複数のコンピュータ実装方法を実行することをコンピュータシステムに対して実行させるプログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。係るコンピュータ可読媒体の1つの実施形態が図4に示される。特に、コンピュータ可読媒体10はコンピュータ可読媒体10内に記憶されたプログラム命令12を含む。なお、プログラム命令12は、本願で説明される1つまたは複数のコンピュータ実装方法を実行することをコンピュータシステム14に対して実行させる。
【0052】
本願で説明される方法等の方法を実装するプログラム命令12はコンピュータ可読媒体10上に記憶され得る。コンピュータ可読媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスクもしくは光ディスク、磁気テープ、または当該技術分野において既知である任意の他の好適なコンピュータ可読媒体等の、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であり得る。
【0053】
プログラム命令は、とりわけプロシージャベース技術、コンポーネントベース技術、および/またはオブジェクト指向技術を含む、様々な方法のうちのいずれかにより実装され得る。例えば、プログラム命令は、所望により、ActiveXコントロール、C++オブジェクト、JavaBeans、Microsoft Foundation Class(「MFC」)、または他の技術もしくは方法体系を用いて実装され得る。
【0054】
コンピュータシステム14はパーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、撮像コンピュータ、並列プロセッサ、または当該技術分野において既知である任意の他の装置を含む様々な形態を取り得る。全般に、「コンピュータシステム」という用語はメモリ媒体からの命令を実行する1つまたは複数のプロセッサを有する任意の装置を含むものとして広範に定義され得る。
【0055】
図5は本願で説明される1つまたは複数のコンピュータ実装方法を実行するよう構成されたシステムの1つの実施形態を示す。図5に示すように、システムはいくつかのツール16、18、20、および22を備える。ツール16、18、20、および22は、任意の市販されるウェーハ検査および/または計測ツールを含み得る。これらのツールのうちの1つ(例えばツール16)は、他のツール(例えば、ツール18、20、および22)のうちの1つに対する擾乱結果を生成するために用いられる結果を生成するために用いられ得る。例えば、本システムは、ツール16を用いて実行される1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いてウェーハに対する結果を生成するよう構成され得る。
【0056】
本願で説明されるように構成され得るコンピュータシステム24は、コンピュータシステムがこれらのツールのうちのそれぞれとの間でデータを送信および受信することができるよう、任意の好適な方法でこれらのツールのうちのぞれそれに接続され得る。例えば、コンピュータシステム24は、1つまたは複数の第1ウェーハ走査を用いて生成された結果をツール16から受信し得る。
【0057】
コンピュータシステムは、ツール16により生成された結果および本願で説明されるモデル等のモデルを用いてウェーハに対する擾乱結果を生成するよう構成され得る。擾乱結果は、他のツールのうちの1つにより実行される1つまたは複数の第2ウェーハ走査によりウェーハに対して生成されるであろう結果を近似する。
【0058】
コンピュータシステム24は擾乱結果に基づいてウェーハ処理のための1つまたは複数のパラメータを判定するようにも構成され得る。この判定することは、本願でさらに説明されるように実行され得る。このようにして、ツール16により生成される結果は、他のツールのうちの1つのためのウェーハ処理レシピを生成するために用いられることができる。加えて、このようにして、ツール16により生成される結果は、他のツールのうちの1つのためのウェーハ処理レシピを、これらの他のツールを用いることなく、生成するために用いられることができる。この生成することは、本願でさらに説明されるように実行され得る。したがって、ツール16は、ウェーハ処理設定のために用いられていないときは実際のウェーハ処理にも用いられ得るが、専らウェーハ処理レシピ設定のために用いられ得る。
【0059】
コンピュータシステム24は、プロセス、検査、計測、解析、または他のツールの一部を形成しないスタンドアロンシステムとして構成され得る。代替的に、コンピュータシステム24は、ウェーハ検査システム、計測システム、欠陥解析システム、分析システム、または他のツールの一部を形成し得る。
【0060】
本発明の様々な態様のさらなる修正例および代替的実施形態は、本説明を鑑みて、当業者には明らかとなるであろう。例えば、ウェーハ検査および/または計測のための1つまたは複数のパラメータを判定するための方法が提供される。したがって、本説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実施する全般的な手法を当業者に教示することを目的とする。本願で図示および説明される本発明の形態は現時点での好適な実施形態であると理解されるべきである。本発明のこの説明の利点を有した後に当業者には明らかとなるように、要素および物質は本願で例示および説明されたものに対して代用され得、部品および処理は逆行し得、本発明の特定の特徴は独立的に利用され得る。変更例は、以下の請求項で説明される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本願で説明された要素において可能である。
図2
図3
図4
図5
図1