【実施例】
【0029】
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
【0030】
(実施例1)
原料粉として、平均粒径1μm、純度4N(99.99%)のMgO粉末、平均粒径30μm、純度3N(99.9%)のTiO粉を用意した。そして、表1に記載される組成比となるようにこれらの原料粉を調合した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットにAr雰囲気で封入し、両粉末が均一に分散するように、20時間以上回転させて混合・粉砕した。
次に、ポットから取り出した粉末を、直径180mmのグラファイトダイスに充填しホットプレス装置を用いて成形・焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、保持温度1400℃とし、昇温開始時から保持終了まで250kgf/cm
2で加圧した。
【0031】
このようにして作製した焼結体について、アルキメデス法による密度測定を行った結果、98%の相対密度を有していた。ここで、相対密度は、ターゲットの実測密度を計算密度(理論密度ともいう)で割り返して求めた値である。計算密度は、ターゲットの構成成分が互いに拡散あるいは反応せずに混在していると仮定したときの密度であり、式:計算密度=Σ(構成成分の分子量×構成成分のモル比)/Σ(構成成分の分子量×構成成分のモル比/構成成分の理論密度)なお、MgOの理論密度は3.585g/cm
3、TiOの理論密度は4.93g/cm
3を採用した。以下の実施例及び比較例においても同様とした。
また、4端子法により焼結体のバルク抵抗測定を行った結果、0.01Ω・cmであった。また、この焼結体の断面を研磨し、レーザー顕微鏡で中心部を観察したところ、MgO相とTiO相の2相が観察でき、MgO相の最長径が50μm以上、30μm以上となる領域は、それぞれ5個/mm
2、15個/mm
2であった。
【0032】
さらに、焼結体を、ターゲット形状に研削機で研磨加工し、円盤状のターゲットを作製した。これをDCスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、スパッタパワー:0.5kW、Arガス圧:5Paとし、シリコン基板上に30秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は120個であった。
【0033】
【表1】
【0034】
(実施例2)
原料粉として、平均粒径1μm、純度4N(99.99%)のMgO粉末、平均粒径20μm、純度3N(99.9%)のTiO粉を用意した。そして、表1に記載される組成比となるようにこれらの原料粉を調合した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットにAr雰囲気で封入し、両粉末が均一に分散するように、20時間以上回転させて混合・粉砕した。
次に、ポットから取り出した粉末を、直径180mmのグラファイトダイスに充填しホットプレス装置を用いて成形・焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、保持温度1400℃とし、昇温開始時から保持終了まで300kgf/cm
2で加圧した。
【0035】
このようにして作製した焼結体について、アルキメデス法による密度測定を行った結果、98%の相対密度を有していた。また、4端子法により焼結体のバルク抵抗測定を行った結果、0.003Ω・cmであった。また、この焼結体の断面を研磨し、レーザー顕微鏡で中心部を観察した。その結果を
図1に示す。
図1に示すようにMgO相(濃いグレーの部分)とTiO相(薄いグレーの部分)の2相が観察できた。また、MgO相の最長径が50μm以上、30μm以上となる領域は、
図2に示すようにそれぞれ1個、2個であり、この画像領域を1mm
2当たりの面積に換算したとき、それぞれ3個/mm2、5個/mm
2であった。なお、他の実施例及び比較例(但し、比較例1を除く)においても、
図1と同倍率の組織画像でMgO相とTiO相の2相から形成されていることを確認し、
図2と同倍率の画像領域において、最長径が50μm以上及び30μm以上のMgO相の個数をカウントし、これを1mm
2当たりの面積に換算して、単位面積当たりの個数とした。
【0036】
さらに、焼結体を、ターゲット形状に研削機で研磨加工し、円盤状のターゲットを作製した。これをDCスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、スパッタパワー:0.5kW、Arガス圧:5Paとし、シリコン基板上に30秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は51個であった。
【0037】
(実施例3)
原料粉として、平均粒径1μm、純度4N(99.99%)のMgO粉末、平均粒径30μm、純度3N(99.9%)のTiO粉を用意した。そして、表1に記載される組成比となるようにこれらの原料粉を調合した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットにAr雰囲気で封入し、両粉末が均一に分散するように、20時間以上回転させて混合・粉砕した。
次に、ポットから取り出した粉末を、直径180mmのグラファイトダイスに充填しホットプレス装置を用いて成形・焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、保持温度1400℃とし、昇温開始時から保持終了まで250kgf/cm
2で加圧した。
【0038】
このようにして作製した焼結体について、アルキメデス法による密度測定を行った結果、99.5%の相対密度を有していた。また、4端子法により焼結体のバルク抵抗測定を行った結果、0.002Ω・cmであった。また、この焼結体の断面を研磨し、レーザー顕微鏡で中心部を観察したところ、MgO相とTiO相の2相が観察でき、MgO相の最長径が50μm以上、30μm以上となる領域は、それぞれ0個/mm
2、5個/mm
2であった。
【0039】
さらに、焼結体を、ターゲット形状に研削機で研磨加工し、円盤状のターゲットを作製した。これをDCスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、スパッタパワー:0.5kW、Arガス圧:5Paとし、シリコン基板上に30秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は46個であった。
【0040】
(実施例4)
原料粉として、平均粒径1μm、純度4N(99.99%)のMgO粉末、平均粒径30μm、純度3N(99.9%)のTiO粉を用意した。そして、表1に記載される組成比となるようにこれらの原料粉を調合した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットにAr雰囲気で封入し、両粉末が均一に分散するように、10時間回転させて混合・粉砕した。
次に、ポットから取り出した粉末を、直径180mmのグラファイトダイスに充填しホットプレス装置を用いて成形・焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、保持温度1400℃とし、昇温開始時から保持終了まで250kgf/cm
2で加圧した。
【0041】
このようにして作製した焼結体について、アルキメデス法による密度測定を行った結果、99.5%の相対密度を有していた。また、4端子法により焼結体のバルク抵抗測定を行った結果、0.0005Ω・cmであった。また、この焼結体の断面を研磨し、レーザー顕微鏡で中心部を観察したところ、MgO相とTiO相の2相が観察でき、MgO相の最長径が50μm以上、30μm以上となる領域は、それぞれ0個/mm
2、0個/mm
2であった。
【0042】
さらに、焼結体を、ターゲット形状に研削機で研磨加工し、円盤状のターゲットを作製した。これをDCスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、スパッタパワー:0.5kW、Arガス圧:5Paとし、シリコン基板上に30秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は22個であった。
【0043】
(比較例1)
原料粉として、平均粒径1μm、純度4N(99.99%)のMgO粉末のみを用意した。そして、この粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、10時間回転させて粉砕した。
次に、ポットから取り出した粉末を、直径180mmのグラファイトダイスに充填しホットプレス装置を用いて成形・焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、保持温度1500℃とし、昇温開始時から保持終了まで300kgf/cm
2で加圧した。
このようにして作製した焼結体について、アルキメデス法による密度測定を行った結果、99%の相対密度を有していた。また、4端子法により焼結体のバルク抵抗測定を行ったが、抵抗値が高く測定できなかった。
この焼結体を、ターゲット形状へ旋盤で切削加工し、円盤状のターゲットを作製した。これをDCスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行ったが、DCスパッタリングができなかった。
【0044】
(比較例2)
原料粉として、平均粒径1μm、純度4N(99.99%)のMgO粉末、平均粒径25μm、純度3N(99.9%)のTiO粉を用意した。そして、表1に記載される組成比となるようにこれらの原料粉を調合した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットにAr雰囲気で封入し、両粉末が均一に分散するように、20時間以上回転させて混合・粉砕した。
次に、ポットから取り出した粉末を、直径180mmのグラファイトダイスに充填しホットプレス装置を用いて成形・焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、保持温度1400℃とし、昇温開始時から保持終了まで300kgf/cm
2で加圧した。
【0045】
このようにして作製した焼結体について、アルキメデス法による密度測定を行った結果、96%の相対密度を有していた。また、4端子法により焼結体のバルク抵抗測定を行った結果、抵抗値が高く測定できなかった。また、この焼結体の断面を研磨し、レーザー
顕微鏡で中心部を観察したところ、MgO相とTiO相の2相が観察でき、MgO相の最長径が50μm以上、30μm以上となる領域は、それぞれ13個/mm
2、35個/mm
2であった。
【0046】
この焼結体を、ターゲット形状に研削機で研磨加工し、円盤状のターゲットを作製した。これをDCスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行ったが、DCスパッタリングができなかった。
【0047】
(比較例3)
原料粉として、平均粒径1μm、純度4N(99.99%)のMgO粉末、平均粒径100μm、純度3N(99.9%)のTiO粉を用意した。そして、表1に記載される組成比となるようにこれらの原料粉を調合した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットにAr雰囲気で封入し、両粉末が均一に分散するように、5時間回転させて混合・粉砕した。
次に、ポットから取り出した粉末を、直径180mmのグラファイトダイスに充填しホットプレス装置を用いて成形・焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、保持温度1400℃とし、昇温開始時から保持終了まで300kgf/cm
2で加圧した。
【0048】
このようにして作製した焼結体について、アルキメデス法による密度測定を行った結果、97%の相対密度を有していた。また、4端子法により焼結体のバルク抵抗測定を行った結果、0.007Ω・cmであった。また、この焼結体の断面を研磨し、レーザー顕微鏡で中心部を観察したところ、MgO相とTiO相の2相が観察でき、MgO相の最長径が50μm以上、30μm以上となる領域は、それぞれ25個/mm
2、53個/mm
2であった。
【0049】
さらに、焼結体を、ターゲット形状に研削機で研磨加工し、円盤状のターゲットを作製した。これをDCスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、スパッタパワー:0.5kW、Arガス圧:5Paとし、シリコン基板上に30秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は2000個であった。
【0050】
(比較例4)
原料粉として、平均粒径1μm、純度4N(99.99%)のMgO粉末、平均粒径100μm、純度3N(99.9%)のTiO粉を用意した。そして、表1に記載される組成比となるようにこれらの原料粉を調合した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットにAr雰囲気で封入し、両粉末が均一に分散するように、5時間回転させて混合・粉砕した。
次に、ポットから取り出した粉末を、直径180mmのグラファイトダイスに充填しホットプレス装置を用いて成形・焼結させた。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、保持温度1400℃とし、昇温開始時から保持終了まで300kgf/cm
2で加圧した。
【0051】
このようにして作製した焼結体について、アルキメデス法による密度測定を行った結果、99.5%の相対密度を有していた。また、4端子法により焼結体のバルク抵抗測定を行った結果、0.002Ω・cmであった。また、この焼結体の断面を研磨し、レーザー顕微鏡で観察したところ、MgO相とTiO相の2相が観察でき、MgO相の最長径が50μm以上、30μm以上となる領域は、それぞれ15個/mm
2、41個/mm
2であった。
【0052】
さらに、焼結体を、ターゲット形状に研削機で研磨加工し、円盤状のターゲットを作製した。これをDCスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、スパッタパワー:0.5kW、Arガス圧:5Paとし、シリコン基板上に30秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。このときのパーティクル個数は500個であった。