(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928049
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】局部腐食のモニタリング方法及び防食剤の評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/26 20060101AFI20160519BHJP
【FI】
G01N27/26 351J
G01N27/26 351K
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-65854(P2012-65854)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-195365(P2013-195365A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】森 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】岸 由子
【審査官】
櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−310452(JP,A)
【文献】
特開2002−105393(JP,A)
【文献】
特開平04−066859(JP,A)
【文献】
特開2004−101349(JP,A)
【文献】
特開2010−129461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
G01N 17/00−17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系媒体が通水される金属製配管の内周面の局部腐食をモニタリングする方法であって、
該配管に設けられた小孔を介して該配管の内部と連通する凹穴状の液溜部と、
前記配管と同材質の金属材料よりなり、該液溜部内の液と接するように設けられ、且つ該液溜部内の液と接する面の面積が前記小孔の開口面積よりも大きいアノード電極と、
該アノード電極と該配管との間を流れる電流を計測する電流計測手段と
を有する局部腐食のモニター装置を用いる金属製配管の局部腐食モニタリング方法において、
前記配管の内周面が、リン酸亜鉛又はリン酸亜鉛カルシウムによる化成処理によって防食処理されており、
該配管内に水系媒体を流し、該電流計測手段によって該アノード電極と該配管との間を流れる電流を計測することを特徴とする局部腐食のモニタリング方法。
【請求項2】
請求項1に記載の局部腐食のモニタリング方法により金属製配管の内周面の局部腐食をモニタリングしながら水系媒体に孔食停止用防食剤を添加し、前記電流計測手段により計測される電流値から該孔食停止用防食剤の防食効果の評価を行うことを特徴とする防食剤の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系における熱交換器又は配管等の金属部材表面に発生する局部腐食(孔食、すきま腐食)について、当該設備の運転、通水を休止することなく、その進行を抑制する技術に関する。詳しくは、この局部腐食をモニタリングするための装置及び方法と、このモニター装置を用いた防食装置及び防食剤評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水系プラントの熱交換器又は配管等において、局部腐食が発生し、これが進行すると、孔食(浸食)の深さが増加し、やがては貫通に到ることにより、水系プラントの操業停止等の事態を招くことがある。このため、水系プラントの設備の運転、通水を休止することなく、局部腐食の発生又は進行を抑制することができる技術が関連産業界から要請されている。
【0003】
一般に、鋼材の腐食反応は電気化学的に起こる。給水のpHは一般に中性又はアルカリ性であるが、この場合、水中に溶存酸素が存在すれば、次に示す反応により鉄は溶出する。
【0004】
Fe→Fe
2++2e
(1)
H
2O+1/2O
2+2e→2OH
−
(2)
Fe
2++2OH
−→Fe(OH)
2
(3)
ここで生成した水酸化鉄(II)〔Fe(OH)
2〕は、次式の通りさらに溶存酸素と反応して水酸化鉄(III)〔Fe(OH)
3〕となり腐食が進行する。
【0005】
4Fe(OH)
2+O
2+2H
2O→4Fe(OH)
3 (4)
水系プラントの水系媒体と接する金属部材表面には、該水系媒体への防食剤の添加により保護被膜が形成されているが、何らかの原因(例えば熱応力)により部分的に該保護被膜が破壊されると、鋼材等の地金が露出し、鋼材表面、水、保護被膜面との間で局部電池が形成され、地金鋼材から鉄が鉄イオン(II)として溶出する。
【0006】
溶出した鉄イオン(II)(Fe
2+)は、ボイラ水のpHが適度に高くとも、溶存酸素が存在すると、前記(3),(4)式を経て水酸化鉄(III)となり、腐食生成物は沈殿物状となって鋼材表面に堆積する。このような状態になると、沈殿物内の水の酸素濃度と沈殿物の外側の水の酸素濃度との間に濃度差が生じるため、酸素濃淡電池が構成され、陽極部である鋼材表面からさらに鉄が溶出し、鋼材表面深く腐食が進行する。
【0007】
従来、金属の局部腐食の進行速度をモニターすることにより、その孔食深さを推定することが可能な方法として、水系媒体と小孔を介して連通する液溜部と、該液溜部内の液と接するように設けられた供試金属片とを備え、該金属片の前記液溜部内の液と接する面の面積が前記小孔の開口面積よりも大きいモニター装置を用い、該金属片と金属部材とを電気的に接触させて、両者の間に流れる電流を測定することにより金属部材の局部腐食をモニタリングする方法及び装置が提案されている(特許文献1:特開平2−310452号公報)。
【0008】
以下に、特開平2−310452号公報のモニタリング方法について
図1を参照して説明する。このモニター装置は、金属部材としての配管9のモニター取付用開口9aに装着されたホルダ4と、該ホルダ4内に挿入され、配管9と同一材料の金属片よりなるアノード電極1と、該ホルダ4内に形成された液溜部3と、該液溜部3内と配管9内とを連通するように該ホルダ4に設けられた小孔(液絡部)2と、該アノード電極1と配管9とに対しリード線8を介して接続された電流計12とを備えてなる。ホルダ4は塩化ビニル等の非腐食性かつ絶縁性材料よりなる。この配管9内に水などの水系媒体が流通される。
【0009】
この水系媒体は腐食生成物(錆)5及び小孔状の液絡部2を介して液溜部3内の水系媒体を徐々に更新する。
【0010】
液溜部3内に局部腐食が生じ、アノード電極1とカソード電極(配管9)との間に酸素濃淡電池よりなる局部電池が形成される。この酸素濃淡電池の形成により、金属の溶解部分(アノード)とその周辺の酸素還元反応の起こる部分(カソード)との電位差が駆動力となって局部腐食が進行する。リード線8を介して配管9(カソード電極)へアノード電極1(金属片)から流れる電流を電流計12で測定し、この電流値から局部腐食の進行速度及び浸食深さなどを推定する。
【0011】
上記特開平2−310452号公報の方法によれば、設備の運転を休止することなく、非破壊にて孔食をリアルタイムで推定することが可能とされる。
【0012】
この特開平2−310452号公報の方法では、長期間(例えば数十日程度)のモニタリングを実施する場合、あるいは、モニタリング対象とする水系の腐食性が高い場合(例えば防食剤が添加されていなかったり、防食剤が不適切であったりした場合)は、カソードとしての金属部材(配管9)も腐食することがある。このようにカソード(金属部材としての配管9)が腐食してしまうと、該カソードと金属片(アノード電極)1との間の電位差がなくなり、両者の間に流れる電流値が短期間で消失して局部腐食の進行をモニタリングすることが不可能となる。
【0013】
そこで、特開2004−101349(特許文献2)には、対象とする水系媒体の腐食性が高い場合、あるいは、長期間のモニタリングを実施する場合であっても、局部腐食の進行をモニタリングすることができ、かつ、その進行を抑制、停止させることもできる局部腐食のモニター装置として、水系媒体に接する金属部材の局部腐食をモニタリングする装置であって、該水系媒体と小孔を介して連通する凹穴状の液溜部と、前記金属部材と同材質の材料よりなり、該液溜部内の液と接するように設けられ、且つ該液溜部内の液と接する面の面積が前記小孔の開口面積よりも大きいアノード電極と、前記水系媒体に接するカソード電極と、該アノード電極とカソード電極との間を流れる電流を計測する電流計測手段とを有する局部腐食のモニター装置において、さらに、該水系媒体に接する参照電極と、該アノード電極と参照電極との間の電位差を目的とする値に保つための電圧印加手段とを備えてなり、且つ前記カソード電極が耐食性材料製である局部腐食のモニター装置が提案されている。
【0014】
かかる特許文献2の局部腐食のモニター装置にあっては、カソード電極を耐食性材料製としているので、水系媒体の腐食性が高い場合、あるいは長期にわたりモニタリングする場合であっても、カソード電極が腐食することがない。従って、カソード電極の腐食による測定誤差発生や測定不能が防止される。
【0015】
なお、このようにカソード電極を耐食性材料製とした場合、(液溜部内のアノード電極)−(水系媒体に接する金属部材よりなるカソード電極)という本来のアノード電極−カソード電極の組合せではなくなり、そのままでは金属部材の腐食モニタリングができない。そこで、特許文献2では、アノード電極と本来の金属部材よりなるカソード電極との間に分極により生じる電位差に対応する電位を電圧印加手段により印加して正確なモニタリングを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平2−310452号公報
【特許文献2】特開2004−101349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記特許文献2によると、金属部材の局部腐食を精度よくモニタリングすることができるが、参照電極及び電圧印加手段(ポテンショスタット)が必要であり、計装設備コストが嵩んでいた。
【0018】
本発明は安価でしかも金属部材の局部腐食を精度よくモニタリングすることができる局部腐食のモニター装置と、この局部腐食のモニター装置を用いた局部腐食のモニタリング方法と、金属部材の防食装置と、防食剤の評価方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の局部腐食のモニター
方法は、水系媒体
が通水される金属
製配管の内周面の局部腐食をモニタリングする
方法であって、
該配管に設けられた小孔を介して該配管の内部と連通する凹穴状の液溜部と、前記
配管と同材質の
金属材料よりなり、該液溜部内の液と接するように設けられ、且つ該液溜部内の液と接する面の面積が前記小孔の開口面積よりも大きいアノード電極と
、該アノード電極と
該配管との間を流れる電流を計測する電流計測手段とを有する局部腐食のモニター装置
を用いる金属製配管の局部腐食モニタリング方法において、
前記配管の内周面が、リン酸亜鉛又はリン酸亜鉛カルシウムによる化成処理によって防食処理されて
おり、該配管内に水系媒体を流し、該電流計測手段によって該アノード電極と該配管との間を流れる電流を計測することを特徴とするものである。
【0023】
本発明の防食剤の評価方法は、上記本発明の局部腐食のモニタリング方法により金属
製配管の内周面の局部腐食をモニタリングしながら水系媒体に孔食停止用防食剤を添加し、前記電流計測手段により計測される電流値から該孔食停止用防食剤の評価を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
かかる本発明の局部腐食のモニター装置にあっては、カソード電極を防食処理しているので、水系媒体の腐食性が高い場合、あるいは長期にわたりモニタリングする場合であっても、カソード電極が腐食することがない。従って、カソード電極の腐食による測定誤差発生や測定不能が防止される。
【0025】
なお、化成処理を施したカソードのカソード・アノード分極電圧特性は、表面処理を施していないカソードの場合と同一である。
【0026】
本発明では、参照電極及び電圧印加手段が不要であり、設備コストが安価である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】局部腐食のモニター装置による薬注制御システムの構成図である。
【
図3】局部腐食のモニター装置による測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。この実施の形態に係る局部腐食のモニター装置は、
図1に示した前記特許文献1の局部腐食のモニター装置において、カソード電極としての配管9の表面(内周面)に防食処理を施したものである。この防食処理としては、リン酸亜鉛又はリン酸亜鉛カルシウムを用いた化成処理が好適である。
【0029】
化成処理方法としては、リン酸イオンをアニオンとして含有し且つ亜鉛、又は亜鉛とカルシウムをカチオンとして含有する酸性水溶液を用いるリン酸塩処理が挙げられる。反応率を高める目的で、酸性水溶液には、ニッケル、コバルト等の遷移金属イオン、硝酸、亜硝酸等の酸化剤、フッ素イオン、錯フッ素イオン等のエッチング成分が更に添加されていることが好ましい。上記したアニオン及びカチオンの種類及び含有量を適当に組み合わせたリン酸塩処理用酸性水溶液としては、市販されているものをそのまま使用することができる。
【0030】
通常、この化成処理により形成された防食皮膜は、リン酸亜鉛(ホパイト:Zn
3(PO
4)
2・4H
2O)又はリン酸亜鉛カルシウム(ショルツァイト:CaZn
2(PO
4)
2・2H
2O)を含有する。
【0031】
リン酸塩処理用酸性水溶液をカソード電極と接触させる方法は、特に限定されず、例えば、リン酸塩処理用酸性水溶液をカソード電極表面に噴霧するスプレー処理、カソード電極をリン酸塩処理用酸性水溶液中に浸漬させる浸漬処理、蒸気を利用するスチーム処理、リン酸塩処理用酸性水溶液をカソード電極に通水する方法などを採用することができる。
【0032】
なお、配管9内に流す水系媒体は実系の水である。また、金属片よりなる腐食試験片としてのアノード電極1は実系の金属部材と同じ材質とされる。配管9は実系の金属部材と同じ材質である。
【0033】
アノード電極1の接液面は、活性溶解状態を保持するように、予め塩酸等の酸でエッチングしておくのが好ましい。
【0034】
このように構成されたモニター装置により局部腐食をモニタリングするには、配管9内に水系媒体を流し、腐食生成物(錆)5及び小孔(液絡部)2を介して液溜部3内の水系媒体を徐々に更新する。
【0035】
液溜部3内に局部腐食が生じ、アノード電極1と配管9との間に酸素濃淡電池よりなる局部電池が形成される。リード線8を介して配管9(カソード電極)へアノード電極1(金属片)から流れる電流を電流計12で測定し、この電流値から局部腐食の進行速度及び浸食深さなどを推定する。
【0036】
この水系媒体に防食剤を添加し、このときにリード線8を流れる電流をモニタリングすることにより、防食剤の効き目を評価することができる。防食剤が当該水系に適合したものであるときには、防食剤の添加によりモニタリング電流が低下する。
【0037】
なお、一般に、水系媒体中に濁度成分が含まれると、防食剤の効き目が悪くなることがあるので、水系媒体の水質に応じて防食剤を選定することが重要である。
【0038】
防食剤としては、局部腐食停止剤が好適である。
【0039】
局部腐食停止剤としては、リン酸系薬剤と金属塩系薬剤との混合物が例示される。リン酸系薬剤としては、オルトリン酸、ヘキサメタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸やアミノトリメチルホスホン酸、2−ホスホノ−1,2,4−トリカルボキシブタン、ヒドロキシエチリデンホスホン酸等のホスホン酸及びそれらの水溶性塩を挙げることができる。金属塩系薬剤としては、亜鉛塩、モリブデン酸塩、クロム酸塩等が例示される。
【0040】
これらの薬剤は予め混合した後に対象水系に添加しても良く、同時に添加しても良く、あるいはそれぞれの薬剤を別々に添加しても良い。添加は、手動又は自動のいずれも採用可能である。
【0041】
なお、リン酸系薬剤と金属塩系薬剤との混合物を使用する場合には、リン酸カルシウムや炭酸カルシウムの分散を図るために、水溶性ポリマーを併用することが好ましい。水溶性ポリマーとしては、ポリアクリルアミドの部分加水分解物等の種々のスケール分散剤を用いることができる。
【0042】
対象とする水系のスライムポテンシャルが高い場合は、適切なスライムコントロール剤を注入することで、孔食停止剤の効果をより高めることができる。スライムコントロール剤としては、塩素、臭素等のハロゲン系薬剤、ヒドラジン、第4級アンモニウム塩系薬剤や非ハロゲン系薬剤等の種々のスライムコントロール剤を用いることができる。
【0043】
図2は、本発明のモニター装置により局部腐食の抑制を好適に実施できる冷却水系を表す系統図である。
図2において、送水ポンプ15及び定流量弁16を介して試験水がカラム20に定流量にて通水される。このカラム20には、
図1に示すモニター装置が設置されており、電流計12の計測結果に基づいて、制御機器19が薬注ポンプ17を制御する。これにより、薬液タンク18内から冷却塔13のピット14への局部腐食停止剤の薬注が制御される。
【実施例】
【0044】
[実施例1]
図1に示す本発明のモニター装置において、カソード電極(配管)9として、リン酸亜鉛カルシウム化成処理(パルテック社製FT−7使用)を施した耐圧炭素鋼(STB)チューブ(内径15mm)を用いた。
【0045】
水系媒体として、実機用の冷却水に対し実機から採取した汚れ成分を濁度50となるように添加した試験水を用いた。局部腐食停止剤としてヘキサメタリン酸6mg−PO
4/L及び塩化亜鉛3mg−Zn/Lを添加し10日間通水した。この間の電流値の経時変化を
図3に示す。
【0046】
[比較例1]
リン酸亜鉛カルシウムによる化成処理を施す代りに、試験水通水開始に先立ってヘキサメタリン酸100mg−PO
4/L及び塩化亜鉛20mg−Zn/Lを冷却水中に添加し、24時間通水させたこと以外は実施例1と同様にして通水を行った。電流値の経時変化を
図3に示す。
【0047】
図3の通り、実施例1ではアノード電極とカソード電極との間に流れる電流が減衰せず、電流値が流れ続けたのに対し、比較例1では2極間に流れる電流値が徐々に低下し、ゼロに近づいた。試験終了後、それぞれの条件における炭素鋼製チューブを半割りし、チューブ内面を観察したところ、実施例1のチューブ内面では目視確認できる大きさの孔食は発生していなかったのに対し、比較例1のチューブ内面では侵食深さ0.1mmの孔食が発生していた。また、試験終了直前のアノード電極の電位は、実施例1、比較例1ともに−650mV前後と同等であったのに対し、カソード電極の電位は、実施例1では−450mV、比較例1では−630mVであった。
【0048】
以上より、比較例1の従来法で2極間の電流挙動のみから局部腐食の停止有無を判断しようとした場合、カソード電極が腐食して電位が低下し、2極間の電位差が小さくなっていた場合には判断を誤る場合がある。これに対し、実施例1のように、カソード電極の耐食性を向上させた化成処理を施すことにより、実チューブの挙動と同様の評価が確実に実施できることが明らかとなった。
【0049】
なお、実施例1において、化成処理をリン酸亜鉛化成処理としたところ、同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上詳述した通り、本発明によれば、熱交換器や配管の運転、通水を休止することなく、該熱交換器や配管の局部腐食の進行をモニタリングすることができ、また局部腐食を確実に停止させることも可能とされる。本発明によれば、各種水系プラントの安全かつ安定な操業、及び金属装置部材の寿命の延長を図ることが可能とされる。
【符号の説明】
【0051】
1 アノード電極(金属片)
2 小孔(液絡部)
3 液溜部
4 ホルダ
5 腐食生成物(錆)
6 カソード電極(耐食性材料)
7 ポテンショスタット
9 配管(金属部材)