(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1処理部材及び第2処理部材は、二流体洗浄処理、スクラブ洗浄処理、基板の裏面洗浄処理、薬液洗浄処理、塗布現像処理、めっき処理からなる処理群から選択され、基板に対して処理を行う部材であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、複数台の洗浄モジュール2(処理モジュールに相当する)が搭載された洗浄装置1(基板処理装置)に、本発明を適用した実施の形態について説明する。この洗浄モジュール2は、ウエハWに気体と洗浄液との混合流体を供給する二流体洗浄処理(第1処理)と、洗浄液を供給しながらスクラバをウエハWに押し当てて、ウエハWの被処理面を洗浄するスクラブ洗浄処理(第2処理)との2種類の処理を実施することが可能である。
図1の横断平面図に示すように、洗浄装置1は、複数のウエハWを収納した搬送容器であるFOUP1〜4を載置する載置ブロック11と、載置ブロック11に載置されたFOUP1〜4からのウエハWの搬入・搬出を行う搬入出ブロック12と、搬入出ブロック12と後段の洗浄ブロック14との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しブロック13と、ウエハWの洗浄処理を行うための洗浄ブロック14とを備えている。載置ブロック11を手前としたとき、載置ブロック11、搬入出ブロック12、受け渡しブロック13、洗浄ブロック14は、手前側からこの順に、隣接して設けられている。また、搬入出ブロック12の外壁には、タッチパネル式の液晶ディスプレイなどにより構成される運転操作部18が設けられている。
【0012】
載置ブロック11は、複数のウエハWを水平状態で収納した例えば4台のFOUP1〜4を載置台上に載置する。搬入出ブロック12は、ウエハWの搬送を行う。受け渡しブロック13は、ウエハWの受け渡しを行う。搬入出ブロック12および受け渡しブロック13は、筐体内に収められている。
【0013】
搬入出ブロック12は、第1のウエハ搬送機構15を有している。第1のウエハ搬送機構15は、FOUP1〜4の配列方向に沿って移動可能に構成されると共に、ウエハWを保持する搬送アームを水平方向に進退自在、かつ回転自在、および上下方向に昇降自在に構成され、FOUP1〜4と受け渡しブロック13との間でウエハWを搬送する。
【0014】
受け渡しブロック13は、例えば8枚のウエハWを載置可能な受け渡し棚16を有している。受け渡しブロック13では、この受け渡し棚16を介して搬入出ブロック12、洗浄ブロック14の搬送機構間(既述の第1のウエハ搬送機構15および後述する第2のウエハ搬送機構17)でウエハWの受け渡しが行われる。第1、第2のウエハ搬送機構15、17は、本例の基板搬送機構に相当する。
【0015】
洗浄ブロック14は、複数の洗浄モジュール2が配置された洗浄部141と、ウエハWの搬送が行われる搬送部171とを筐体内に収めた構成となっている。搬送部171は、受け渡しブロック13との接続部を基端として、前後方向に伸びる空間内に第2のウエハ搬送機構17を配置してなる。第2のウエハ搬送機構17は、搬送部171が伸びる方向に沿って移動可能に構成されると共に、ウエハWを保持する搬送アームを水平方向に進退自在、かつ回転自在、および上下方向に昇降自在に構成され、受け渡し棚16と各洗浄モジュール2との間でウエハWを搬送する。
【0016】
図1に示すように洗浄部141は、搬送部171が伸びる方向に沿って、搬送部171の両側に複数台、例えば各々2台配置され、さらに上下2段に積み上げられた合計8台の洗浄モジュール2を備えている。これら8台の各洗浄モジュール2は、既述の二流体洗浄処理やスクラブ処理を並行して実施することが可能である。また
図3に模式的に示すように、各洗浄モジュールにはM1〜8の符号が付されている。
【0017】
図2に簡略化して示すように、各洗浄モジュール2は、スピンチャック上で回転するウエハWに対して二流体洗浄処理を行う二流体ノズルを備えた二流体洗浄処理部21と、スクラブ洗浄処理を行うスクラブを備えたスクラブ処理部22とを備えている。各洗浄モジュール2では、ウエハWの材質や、当該洗浄処理の前後に他の処理装置にて実施されるプロセスなどに応じて、洗浄液の種類や洗浄領域、洗浄時間などの処理条件が異なる処理を実施することができる。また下記の表1に示すように、二流体洗浄処理部21を用いる二流体洗浄処理、スクラブ処理部22を用いるスクラブ洗浄処理には、各々A、Bの符号が付されている。本実施の形態において、二流体洗浄処理部21は第1処理部材に相当し、スクラブ処理部22は第2処理部材に相当する。
【表1】
【0018】
図2に示すように洗浄装置1は、制御部3と接続されている。制御部3は例えば図示しないCPUを備え、記憶部31から読み出したプログラムに基づいて動作するコンピュータからなり、記憶部31には洗浄装置1の作用、即ち載置ブロック11に載置されたFOUP1〜4からウエハWを取り出して、各洗浄モジュール2に搬入し、洗浄を行ってから、元のFOUP1〜4に戻すまでの制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0019】
特に、本例の洗浄装置1に設けられた制御部3は、8台の洗浄モジュール2のうちある洗浄モジュール2において、二流体洗浄処理部21とスクラブ処理部22のうち、一方の処理部を使うことができなくなった場合でも、残りの処理部を利用して洗浄モジュール2を使用する制御を行う機能を有する。以下、当該機能の内容について説明する。
【0020】
使用可能な処理部を利用するために制御部3は、二流体洗浄処理部21の洗浄液や気体の供給、停止を行う開閉弁や洗浄液タンクのレベルスイッチ、スクラブ処理部22のスクラバを回転させるモータなどに設けられた各種のセンサなどから、各機器の使用可否に関する情報を取得し、A、Bの処理のうち実施することができない処理がある洗浄モジュール2を把握する。制御部3は、処理A、Bのうち、少なくとも一方を実施することができないと判断された洗浄モジュール2(トラブルモジュール)と、このトラブルモジュールにて実施できない処理(除外処理)を特定する情報を対応付けて、記憶部31に記憶する。言い替えると、記憶部31に除外処理と対応付けて記憶されていない洗浄モジュール2は、A、Bの両方の処理を実施できる。ここで、互いに対応付けて記憶されているトラブルモジュールと除外処理とに関する情報は、そのトラブルモジュールにていずれかの処理部材(二流体洗浄処理部21、スクラブ処理部22)が使用可能か否かに関する部材使用可能情報である。
【0021】
また制御部3は、コントロールジョブ(CJ)の設定、及び各CJにて実施されるプロセスジョブ(PJ)の設定を行う。CJは、各ウエハWに対して設定されるPJのグループ単位であり、本例ではFOUP1〜4毎に設定される。PJは、各ウエハWに対して実施される処理レシピを特定する情報などが設定される。
【0022】
例えばウエハWを水平姿勢で保持する25段のスロットを上下方向に積み重ねたFOUP1〜4のうちの1つのFOUP1について、
図4に示すように
15段分のスロットを使ってW1〜15の15枚のウエハWが収納されており、各ウエハW1〜15にPJを設定する場合を例にとって説明する。
図5に例示したCJ、PJの設定、確認画面に示すように、CJには、各CJの個別番号であるIDと、当該IDを持つCJが設定されるFOUP1〜4を特定する情報が含まれる。
【0023】
各CJには、複数のPJを設定することが可能であり、
図4、5には、CJ1に対してPJ1〜3の3つのPJを設定した例を示してある。PJには、各PJの個別番号であるIDと、当該IDを持つPJが設定されるウエハWを特定する情報や実施されるレシピの種類を特定する情報、処理パラメータなどの情報(処理レシピ情報)が含まれる。各PJが実施されるウエハW1〜15は、FOUP1〜4のスロットの位置によって特定される。
【0024】
図4、5に示した例では、CJ1には、PJ1〜3の3つのPJが含まれ、5枚のウエハW1〜5には、二流体洗浄処理(処理A)を単独で実施するPJ1が設定され、続く5枚のウエハW6〜10には、スクラブ洗浄処理(処理B)を単独で実施するPJ2が設定される。そして残る5枚のウエハW11〜15には、二流体洗浄処理及びスクラブ洗浄処理(処理A、B)を連続して実施するPJ3が設定される。各ウエハWに対して設定され、処理レシピ情報を含むPJは、レシピ記憶部としての記憶部31に記憶される。
【0025】
さらに本例の制御部3は、予め把握したトラブルモジュールにて実施できない除外処理の種類と、各PJに設定された処理の種類とを照合して、PJのレシピに除外処理に対応する処理が含まれている場合には、この除外処理に対応付けて記憶されているトラブルモジュールを搬送除外モジュールとしてPJに設定する機能を備える。
【0026】
図3に示したM1〜8の洗浄モジュール2うち、トラブルモジュールはM5であり、M5は二流体洗浄処理(処理A)を実施できないとする。この場合には、
図5に示したPJ1〜3のうち、PJ1、3の処理レシピには処理Aが含まれており、この処理AはトラブルモジュールであるM5の除外処理であるので、M5は搬送除外モジュールとしてPJ1、3に設定されることになる。
【0027】
制御部3は、各ウエハWに設定されたPJに基づき、FOUP1〜4と洗浄モジュール2との間で各ウエハWを搬送するタイミングと、搬送先の洗浄モジュール2(M1〜8)とを示す搬送スケジュールを作成する。搬送スケジュールの作成にあたり、制御部3は、PJに搬送除外モジュールが設定されている場合には、当該PJが設定されているウエハWの搬送先から搬送除外モジュール(即ち、トラブルモジュールである)を除外して搬送スケジュールを作成する。
【0028】
上述の構成を備えた洗浄装置1の作用について
図6〜8のフロー図を参照しながら説明する。
図6に示すように、新たなFOUP1〜4が搬送されてくる前に(スタート)、制御部3はトラブルモジュール及び除外処理の情報を取得し、これらを特定する情報(M1〜8、処理A、B)を対応付けて記憶部31に記憶する(ステップS11、処理実施可否判断工程)。
【0029】
しかる後、制御部3は処理対象のウエハWを収納したFOUP1〜4が搬送されてくるのを待ち(ステップS12;NO)、新たなFOUP(
図4の例ではFOUP1)が搬送されてきたら(ステップS12;YES)、FOUP1内の各ウエハWに対して実施されるべき処理の内容(例えば各ウエハWに対して選択されるレシピの情報)を取得する(ステップS13)。
【0030】
次いで制御部3は、各ウエハWに実施される処理の内容に基づいてPJの設定を行い、その内容を記憶部31に記憶する(ステップS14、記憶工程)。
図7は、このステップS14におけるPJの設定動作のうち、ある1枚のウエハWのPJに対してレシピ及び搬送除外モジュールを設定する動作の流れを抜き出したフロー図である。例えばFOUP1の最上段のスロットから順にPJの設定を行う場合に、次のウエハWにPJを設定する順番となったら(スタート)、制御部3は、そのウエハWに実施されるべき処理の種類に応じてレシピを選択しPJの設定を行う(ステップS141)。
図5に示す例では、制御部3は、ウエハW1〜5のPJには二流体洗浄処理(処理A)を含むレシピを設定し、ウエハW6〜10のPJにはスクラブ洗浄処理(処理B)を含むレシピ設定する。また、ウエハW11〜15のPJには二流体洗浄処理、スクラブ洗浄処理(処理A、B)を含むレシピを設定する。
【0031】
次に、制御部3は、トラブルモジュールが存在するか否かを確認し(ステップS142)、トラブルモジュールが無い場合には(ステップS142;NO)、搬送除外モジュールの設定を行わずにレシピ設定の動作を終える(エンド)。
一方、トラブルモジュールが存在する場合には(ステップS142;YES)、制御部3は、そのトラブルモジュールと対応付けられて記憶されている除外処理の種類と、PJに設定された処理の種類とを照合する(ステップS143)。
【0032】
照合の結果、除外処理とPJとに一致する処理が存在しない場合は(ステップS144;NO)、制御部3は、搬送除外モジュールの設定を行わずにレシピ設定の動作を終える(エンド)。トラブルモジュールM5にて二流体洗浄処理(処理A)が実施できない場合、
図5に示すように、PJ2には処理Aが含まれていないので搬送除外モジュールの設定は行われない。
【0033】
一方、除外処理とPJとに一致する処理が存在する場合は(ステップS144;YES)、制御部3はトラブルモジュールを特定する情報を搬送除外モジュールとしてPJに設定し、レシピ設定及び搬送除外モジュール設定の動作を終える(エンド)。
図5に示す例では、PJ1、3には処理Aが含まれているので、トラブルモジュールを特定する情報M5が搬送除外モジュールとして設定されている。
【0034】
各ウエハWに対するPJの設定が終わったら、制御部3は各ウエハWに設定されたPJに基づいて搬送スケジュールを作成する(
図6のステップS15、搬送スケジュール作成工程)。
図8はこのステップS15における搬送スケジュールの作成動作のうち、各ウエハWについて搬送除外モジュールを除外して搬送スケジュールを作成するか否かの判断を行う動作の流れを示したフロー図である。また、
図9はPJに設定されている搬送除外モジュールの情報を利用して作成した搬送スケジュールの一例である。
【0035】
図9は、
図4に示すFOUP1の上段からウエハW1〜15を順に取り出し、符号M1〜8の小さい順にウエハWを洗浄モジュール2へ搬送するルールに則ってスケジュールを作成した場合の例を示している。
図9中、M1〜8の洗浄モジュール2に設けられた2種類の処理機能のうち、実施可能な機能には「○」、実施できない機能には「×」の符号を付してある。また、
図9に示した搬送スケジュールにおいて、洗浄装置1は、各洗浄モジュール2で実施される処理に要する時間に比べて、FOUP1と各洗浄モジュール2(M1〜8)との間でウエハWを搬送する時間が十分に短く、搬送時間に起因する洗浄モジュール2へのウエハWの搬入出タイミングの待ち時間はない。
【0036】
図8に示すように搬送スケジュールを作成するにあたり(スタート)、制御部3は各ウエハWについてのPJの情報を取得し(ステップS151)、各PJに搬送除外モジュールが設定されているか否かを確認する(ステップS152)。そして制御部3は、PJに搬送除外モジュールが設定されている場合には(ステップS152;YES)、そのウエハWの搬送先から搬送除外モジュールを除いた洗浄モジュールの中から、搬送先を選択し搬送タイミングを決定する(ステップS153)。
【0037】
例えばウエハW1〜5に設定されているPJ1には、搬送除外モジュールとしてM5が設定されている(
図5)。そこで、前記のルールに則って搬送スケジュールを作成するにあたり、制御部3は、
図9に示すようにウエハW1をM1、ウエハW2をM2の洗浄モジュール2に順次搬送する搬送スケジュールを作成する。そして、ウエハW5の搬送スケジュールを作成するとき、このウエハW5のPJには、搬送除外モジュールとしてM5が設定されているので、制御部3はウエハW5の搬送先からM5を除外し、次のM6にウエハW5を搬送するスケジュールを作成する。この結果、二流体洗浄処理(処理A)を実施することができないM5の洗浄モジュール2には、二流体洗浄処理を要するウエハWは搬入されない。
【0038】
また制御部3は、PJに搬送除外モジュールが設定されていない場合(
図8のステップS152;NO)、搬送除外モジュールの除外を行わずに、搬送先を選択して搬送タイミングを決定する(ステップS154)。
図5に示す例では、ウエハW6〜10に設定されているPJ2には、搬送除外モジュールは設定されていない。そこで、制御部3は、全ての洗浄モジュール2の中から搬送先を選択することができるので、ウエハWの処理を行っていない洗浄モジュール2であるM5、7、8のうち、符号の小さなM5を搬送先に選ぶ。次いで、制御部3は、ウエハWの処理を行っていないM7、8、ウエハW1、2の処理を終えたM1、2の順に、ウエハW7〜10の搬送先を選択する。
【0039】
この結果、二流体洗浄処理(処理A)を実施できない一方、スクラバ洗浄処理(処理B)を実施可能なM5の洗浄モジュール2に、二流体洗浄処理を行わず、スクラバ洗浄処理が行なわれるウエハWが搬送されるので、効率のよい搬送スケジュールを作成することができる。
【0040】
次いでFOUP1から取り出されるウエハW11〜15のPJ3には、搬送除外モジュールとしてM5が設定されているので、制御部3は、搬送除外モジュールを除いた洗浄モジュール2のうち、先のウエハWの処理を終えたM3〜4、6〜8に順次、ウエハW11〜15を搬送するスケジュールを作成する点はウエハW1〜5の場合と同様である(図
8のステップS152;YES、ステップS153)。
【0041】
このようにして、制御部3が各ウエハWに対して搬送スケジュールを作成したら(
図6のステップS15)、制御部3は、この搬送スケジュールに基づいて各ウエハWを洗浄モジュール2に搬送し、PJに設定されているレシピに基づいて処理を実施する(ステップS16、処理工程)。そして、制御部3は、次の搬送スケジュールの作成までに、トラブルモジュール及び除外処理に関する情報を更新し(ステップS11)、処理対象のウエハWを収納したFOUP1〜4が搬送されて来るのを待つ。
【0042】
本実施の形態に関わる洗浄装置1によれば以下の効果がある。二流体洗浄処理(処理A)及びスクラブ洗浄処理(処理B)の一方が実施できないと判断された洗浄モジュール2について、実施可能な処理の種類とその洗浄モジュール2とを特定し、実施可能な処理のみを行うウエハWについては、特定した洗浄モジュール2を使用する搬送スケジュールを作成するので、効率のよい基板処理を行うことができる。
【0043】
ここで本発明の効果を明確にするため、
図5に示した場合と同様に各PJ1〜3に処理レシピが設定されているすべてのウエハW1〜15について、二流体洗浄処理(処理A)が実施できないと判断された洗浄モジュール2(M5)を搬送先から除外して搬送スケジュールを作成した比較例を
図10に示す。
図10に示した搬送スケジュールにおいては、スクラブ洗浄処理(処理B)のみが行われるウエハW6〜10についてもM5の洗浄モジュール2で処理を行うことができないので、ウエハW1〜15の処理を終えるまでの時間が
図9の場合よりも長くなっている。すなわち、本発明を適用した洗浄装置1の方が、より多くのウエハWを処理することができる。
【0044】
また、搬送除外モジュールの情報の構成や当該搬送除外モジュールが設定されるPJは、
図5に示した例に限定されるものではない。例えば
図11に示した例では、トラブルモジュールを特定する情報(M5)と、このトラブルモジュールにて実施できない処理の種類(A)とを対応付けた「M5−A」という情報を搬送除外モジュールの情報としてすべてのPJ1〜3に設定している。
【0045】
この場合には、制御部3は、
図7に示したステップS142〜S143の動作を行わず、全てのウエハWに対して搬送除外モジュールの設定を行う(ステップS145)。そして、
図8に示したステップS152において、各PJのレシピに設定されている処理の種類と、搬送除外モジュールの情報に含まれている実施できない処理の種類とを照合し、これらの処理が一致している場合には搬送除外モジュールを除いて搬送先の洗浄モジュール2を選択し(ステップS153)、一致しなければ搬送除外モジュールの除外を行わずに、搬送先を選択する(ステップS154)。
【0046】
次に第2の実施の形態に関わる
洗浄装置にて、搬送スケジュールを作成する手法について説明する。第2の実施の形態においては、ウエハWを搬送しないトラブルモジュールが予め指定されており、そのトラブルモジュールにて実施可能な処理の種類に応じてその指定を解除するように各PJの設定が行われる点が第1の実施の形態に関わる
洗浄装置と異なっている。
【0047】
例えば、
図1〜3に示した洗浄装置1にて、
図4、5に示したものと同様の処理レシピが設定されるPJ1〜3に対し、トラブルモジュールの指定解除を行う場合について説明する。M1〜8の洗浄モジュール2のうち、M5について二流体洗浄処理(処理A)を実施することができないという想定についても第1の実施の形態と同様である。
【0048】
図12に示すように、第2の実施の形態においては、トラブルモジュールにおいて実施可能なスクラブ洗浄処理(処理B)のみが処理レシピに設定されているPJ2に対して、指定解除モジュールを特定する情報が設定される。この点、実施不可能な処理を含むPJ1、3に搬送除外モジュールを設定する第1の実施の形態(
図5)の場合と異なる。言い替えると、PJ2は、トラブルモジュールにて実施できない種類の処理が処理レシピに含まれていないPJである。
【0049】
以下、第1の実施の形態と比較して制御部3の動作の相違点を述べる。
図13に示すように、第2の実施の形態に関わる洗浄装置1では、制御部3は、実施できない処理が発生した洗浄モジュール2をトラブルモジュールとして設定する共に(ステップS21)、このトラブルモジュールにて実施可能な処理の種類の情報を取得する(ステップS22)。そして
図14に示すように、制御部3は、PJの設定時にはトラブルモジュールの有無を確認し(ステップS252)、トラブルモジュールがあれば(ステップS252;YES)、実施可能な処理の種類と各PJに設定された処理の種類とを照合する(ステップS253)。
【0050】
照合を行ったPJにトラブルモジュールで実施できない種類の処理が含まれていなければ(ステップS254;YES)、指定解除モジュールを特定する情報がPJに設定される(ステップS255)。
こうして設定されたPJ1〜3に基づき(
図12)、制御部3はPJに指定解除モジュールの情報があれば(
図15のステップS262;YES)、指定解除された洗浄モジュール2と、その他のトラブルモジュールを除いた洗浄モジュール2との中から、搬送先を選択する(ステップS263)。即ち、指定解除モジュールに設定されたトラブルモジュールは、搬送除外モジュールから外されて、搬送スケジュールに含まれることになる。一方、指定解除モジュールの情報がなければ(ステップS262;NO)、制御部3は、トラブルモジュールを除いた洗浄モジュール2の中から搬送先を選択する(ステップS264)。
【0051】
上述の手法により、トラブルモジュールの設定と指定解除するモジュールの特定を行う第2の実施の形態に関わる洗浄装置1は、
図9に例示したものと同じ搬送スケジュールを作成することができる。
また、第2の実施の形態に関わる洗浄装置1においても、
図11に示した例と同様に全てのPJ1
〜3に対して指定解除するモジュールを特定する情報を、実施可能な処理の種類と共に設定し、搬送スケジュールの作成時に各PJに設定されている処理の種類との照合を行ってもよいことは勿論である。
【0052】
以上に説明した第1、第2の実施の形態に関わる洗浄装置1において、実施できない、または実施可能な処理と洗浄モジュール2との対応付けや各PJへの搬送除外モジュール、指定解除モジュールの設定、トラブルモジュールの設定等は、制御部3が自動的に行う場合を例示した。他方で、これらの設定について、例えば運転操作部18に搬送除外モジュール、指定解除モジュール、各種の処理機能の使用可否を設定する画面を表示し、オペレータからの設定を受け付けてこれらの設定を行ってもよい。
【0053】
また、各洗浄モジュール2にて実施可能な処理の種類も二流体洗浄処理とスクラブ洗浄処理に限定されるものではない。例えばウエハWの裏面に洗浄液を供給して洗浄を行う裏面洗浄処理や、回転するウエハWに酸性の薬液(第1処理液)及びアルカリ性の薬液(第2処理液)を供給して洗浄を行う薬液洗浄処理でもよい。また、洗浄処理に限定されるものではなく、ウエハWにレジスト液や現像液を供給する塗布現像処理や、めっき液を供給するめっき処理であってもよい。この場合には、各処理を実施する機器等が処理部材に相当する。これらの処理を実施する手法は、回転するウエハWの表面や裏面に処理液を供給する場合に限定されるものではない。例えば処理槽内の処理液中にウエハWを浸漬することにより処理を行ってもよい。
【0054】
洗浄モジュール2にて実施可能な処理の種類は、2種類に限定されるものではなく、3種類以上であってもよい。この場合には、3種類以上の処理を、実施できない一方の処理と実施可能な他方の処理とに分け、処理の種類に対応付けて各PJに搬送除外モジュール(または指定解除モジュール)を設定することにより、搬送スケジュールの作成時に搬送先の選択を行うことができる。
【0055】
この他、本発明は、例えばM1〜4の処理モジュール2にて二流体洗浄処理を並行して実施し、次いで、M5〜8の処理モジュール2にてスクラブ洗浄処理を並行して行う場合のように、異なる処理モジュール2に順次、ウエハWを搬送して処理を行う場合にも適用できる。この場合には、例えば洗浄モジュール2による処理の後、超臨界流体などを用いた乾燥処理を行う後処理モジュールなどのように、複数種類の異なる処理モジュールを備えた基板処理装置に、異なる機能を備えた処理モジュールが複数台ずつ設けられている場合にも適用することができる。