【実施例】
【0021】
以下、実施例
、比較例
及び参考例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0022】
[実施例1]
本発明の実施形態を
図1に示す。焼結体基板として外径200mm、厚さ725μmのSi
3N
4焼結体11を作製した。この基板の体積抵抗率を4探針法で測定したところ、1×10
14Ω・cmであった。また熱伝導率をレーザーフラッシュ法で測定したところ、15W/m・Kであった。なお、この基板と同じ体積抵抗率及び熱伝導率である基板Si
3N
4焼結体基板を作製した。この基板をHF水溶液に溶解し、ICP−MS法で金属不純物濃度を評価したところ、Feが1×10
19atoms/cm
3、Alが5×10
18atoms/cm
3であった。
この基板全面に窒化珪素膜12をLP−CVD法で1μm形成した。形成した窒化珪素膜の体積抵抗率及び熱伝導率を評価したところ、1×10
14Ω・cm、13W/m・Kであり、焼結体とほぼ同じ物性であった。また、膜中に含まれる金属不純物濃度は、膜をHF水溶液に溶解し、ICP−MS法で分析することにより行った。その結果、膜中の金属不純物はFeが最も多く、1×10
15atoms/cm
3であった。次に多い金属不純物はAlであり、その濃度は1×10
14atoms/cm
3であった。その他の金属不純物は検出限界以下であり、デバイス製造プロセスで問題の無い濃度であった。
その基板の一方の面に厚さ0.3μmの単結晶シリコン薄膜13を貼り合わせることによって、熱伝導率が高く安価な焼結体基板を用いて、金属汚染の懸念が少ない複合基板を作製することができた。
上記で作製した基板の裏面に、LP−CVD法を用いて厚さ1μmのアモルファスシリコン薄膜14を成膜した。アモルファスシリコン表面の金属不純物濃度を、ICP−MS法で測定したが、検出限界以下であり、裏面への金属汚染は見られなかった。
【0023】
[
参考例1]
焼結体基板として、実施例1と同様のSi
3N
4焼結体を準備した。
この基板全面にSiO
2膜をLP−CVD法で1μm形成した。形成したSiO
2膜の体積抵抗率及び熱伝導率を評価したところ、1×10
14Ω・cm、1.5W/m・Kであった。また、膜中に含まれる金属不純物濃度は、実施例1と同様な手順で評価したところ、Fe及びAl共に1×10
14atoms/cm
3であった。その他の金属不純物は検出限界以下であり、デバイス製造には問題の無い濃度であった。
実施例1と同様に、基板の片面に厚さ0.3μmの単結晶シリコン薄膜を貼り合わせることによって、熱伝導率が高い絶縁性基板を用い、金属汚染の懸念の無い複合基板を作製することができた。
上記で作製した基板の裏面に、LP−CVD法を用いて厚さ1μmのポリシリコン薄膜を成膜した。ポリシリコン表面の金属不純物濃度を、ICP−MS法で測定したが、検出限界以下であり、裏面への金属汚染は見られなかった。
【0024】
[
参考例2]
焼結体基板として、外径200mm、厚さ725μmのAlN焼結体を作製した。この基板の体積抵抗率を4端針法で測定したところ、1×10
13Ω・cmであった。またレーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率は160W/m・Kであった。実施例1と同様に、基板中の金属不純物濃度を評価したところ、Feが5×10
19atoms/cm
3、Alが1×10
19atoms/cm
3であった。
この基板全面に、実施例1と同様に、窒化珪素薄膜をLP−CVD法で1μm形成した。形成した膜の体積抵抗率、熱伝導率及び金属不純物濃度は実施例1と同等であった。
実施例1と同様に、基板の片面に厚さ0.3μmの単結晶シリコン薄膜を貼り合わせることによって、熱伝導率が高い絶縁性基板を用い、金属汚染の懸念の無い複合基板を作製することができた。
上記で作製した基板の裏面に、LP−CVD法を用いて厚さ1μmのアモルファスシリコン薄膜を成膜した。アモルファスシリコン表面の金属不純物濃度を、ICP−MS法で測定したが、検出限界以下であり、裏面への金属汚染は見られなかった。
【0025】
[
参考例3]
焼結体基板として、外径200mm、厚さ725μmのSIALON(Si
3N
4・Al
2O
3)焼結体を作製した。この基板の体積抵抗率を4端針法で測定したところ、1×10
14Ω・cmであった。またレーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率は45W/m・Kであった。実施例1と同様に、基板中の金属不純物濃度を評価したところ、Feが2×10
19atoms/cm
3、Alが1×10
20atoms/cm
3であった。
この基板全面に、実施例1と同様に、窒化珪素薄膜をLP−CVD法で2μm形成した。形成した膜の体積抵抗率、熱伝導率及び金属不純物濃度は実施例1と同等であった。
実施例1と同様に、基板の片面に厚さ0.3μmの単結晶シリコン薄膜を貼り合わせることによって、熱伝導率が高い絶縁性基板を用い、金属汚染の懸念の無い複合基板を作製することができた。
上記で作製した基板の裏面に、LP−CVD法を用いて厚さ1μmのアモルファスシリコン薄膜を成膜した。アモルファスシリコン表面の金属不純物濃度を、ICP−MS法で測定したが、検出限界以下であり、裏面への金属汚染は見られなかった。
【0026】
[比較例1]
実施例1と同じ体積抵抗率及び熱伝導率である基板Si
3N
4焼結体基板を作製した。この基板をHF水溶液に溶解し、ICP−MS法で金属不純物濃度を評価したところ、Feが1×10
19atoms/cm
3、Alが5×10
18atoms/cm
3であり、実施例1の窒化珪素膜中の濃度に比べ著しく高かった。体積抵抗率や熱伝導率は問題ないが、デバイス製造プロセスで用いるには製造ラインの汚染が問題になる濃度レベルであり、そのままの形態では使用できなかった。
【0027】
[比較例2]
参考例2と同じ体積抵抗率及び熱伝導率である基板AlN焼結体基板を作製した。この基板をHF水溶液に溶解し、ICP−MS法で金属不純物濃度を評価したところ、Feが5×10
19atoms/cm
3、Alが1×10
19atoms/cm
3であり、
参考例2の窒化珪素膜中の濃度に比べ著しく高かった。体積抵抗率や熱伝導率は問題ないが、デバイス製造プロセスで用いるには製造ラインの汚染が問題になる濃度レベルであり、そのままの形態では使用できなかった。
【0028】
[比較例3]
参考例3と同じ体積抵抗率及び熱伝導率である基板SIALON焼結体基板を作製した。この基板をHF水溶液に溶解し、ICP−MS法で金属不純物濃度を評価したところ、Feが2×10
19atoms/cm
3、Alが1×10
20atoms/cm
3であり、
参考例3の窒化珪素膜中の濃度に比べ著しく高かった。体積抵抗率や熱伝導率は問題ないが、デバイス製造プロセスで用いるには製造ラインの汚染が問題になる濃度レベルであり、そのままの形態では使用できなかった。
【0029】
実施例
1、比較例1〜3、参考例1
〜3で作製したウェハについて静電チャックで保持できるかを確認するため、300mmφサイズの電極を設けた基板に複合基板を搭載し、±300Vの電圧をかけたときの吸着力を、電圧印加の状態で基板を引っ張り、テーブルから基板が外れた時の力をロードセルによって測定し、それを吸着力として評価した。その結果を表1に示す。
表1には、実施例
1、比較例1〜3、参考例1
〜3で作製した複合基板の吸着力測定値と、同サイズのシリコンウェハについて測定した値を示す。その結果、アモルファスシリコン又はポリシリコンを成膜していない比較例1〜3に示す複合基板は、ほとんど静電チャックされないのに対し、実施例
1、参考例1
〜3のアモルファスシリコン又はポリシリコンを成膜した複合基板では、シリコンウェハと同程度の吸着力であった。
【0030】
【表1】