特許第5929131号(P5929131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5929131(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサン及びその製造方法、並びに重合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929131
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサン及びその製造方法、並びに重合物
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/388 20060101AFI20160519BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   C08G77/388
   C08F290/06
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-261879(P2011-261879)
(22)【出願日】2011年11月30日
(65)【公開番号】特開2013-112776(P2013-112776A)
(43)【公開日】2013年6月10日
【審査請求日】2013年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(72)【発明者】
【氏名】大澤 芳人
【審査官】 山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−019402(JP,A)
【文献】 特開2011−079926(JP,A)
【文献】 特開平03−128937(JP,A)
【文献】 特開昭63−297411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00−77/62
C08F 283/00−299/08
C08L 83/00−83/16
C08K 3/00−13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサン。
【化1】
[式中、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。Qは下記A又はの何れかであり、ただし、Qの1つはA、他はRである。Aは式:−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22又は−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22(R1は2価有機基(ただし、−C36−O−C24−O−である場合を除く)であり、R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)である。a、bは、0≦a≦1,000、0≦b≦100である。]
【請求項2】
1が、ケイ素原子に結合する有機基として炭素数1〜20のアルキレン基、メトキシ基もしくはエトキシ基が結合していてもよいフェニレン基、炭素数1〜6のアルキレン基にフェニレン基が結合した基、フェニレン基に炭素数1〜6のアルキレン基が結合した基、2個のフェニレン基間に炭素数1〜6のアルキレン基が介在した基、又は炭素数1〜6のアルキレン基にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選ばれるアルキレンオキシド基が複数個結合した基の−CONH−側の末端に酸素原子、又は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基が結合した窒素原子を有する基である請求項1記載の(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサン。
【請求項3】
下記一般式(II)
【化2】
[式中、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基であり、XはR又は(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基であり、ただし、Xの1つは(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基(ただし、−C36−O−C24−OHである場合を除く)、他はRである。a、bは、0≦a≦1,000、0≦b≦100である。]
で表される活性水素含有オルガノポリシロキサンと、OCN−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22又はOCN−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22(R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)で表されるイソシアネート化合物とを反応させる、下記一般式(I)
【化3】
[式中、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。Qは下記A又はの何れかであり、ただし、Qの1つはAであり、他はRである。Aは式:−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22又は−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22(R1は2価有機基(ただし、−C36−O−C24−O−である場合を除く)であり、R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)である。a、bは、0≦a≦1,000、0≦b≦100である。]
で表される(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項4】
Xが、ケイ素原子に結合する有機基として炭素数1〜20のアルキレン基、メトキシ基もしくはエトキシ基が結合していてもよいフェニレン基、炭素数1〜6のアルキレン基にフェニレン基が結合した基、フェニレン基に炭素数1〜6のアルキレン基が結合した基、2個のフェニレン基間に炭素数1〜6のアルキレン基が介在した基、又は炭素数1〜6のアルキレン基にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選ばれるアルキレンオキシド基が複数個結合した基の−CONH−側の末端にOH基、又はNH2基もしくはNR’H基(ただし、R’は炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基)を有する基であり、R1が、ケイ素原子に結合する有機基として炭素数1〜20のアルキレン基、メトキシ基もしくはエトキシ基が結合していてもよいフェニレン基、炭素数1〜6のアルキレン基にフェニレン基が結合した基、フェニレン基に炭素数1〜6のアルキレン基が結合した基、2個のフェニレン基間に炭素数1〜6のアルキレン基が介在した基、又は炭素数1〜6のアルキレン基にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選ばれるアルキレンオキシド基が複数個結合した基の−CONH−側の末端に酸素原子、又は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基が結合した窒素原子を有する基である請求項3記載の(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載の一般式(I)で表される(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンと、ラジカル重合性モノマーとの共重合物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンとその製造方法、及び該ポリシロキサンとラジカル重合性モノマーとの重合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、UV硬化性アクリルコーティング剤の潤滑性、離型性、撥水性、柔軟性の改良にアクリル基含有オルガノポリシロキサンを使用することが知られている。しかしながら、アクリル基含有オルガノポリシロキサンとアクリルモノマーとの相溶性が悪いために反応性が劣るといった問題がある。
【0003】
そのため、アクリルモノマーとアクリル基含有オルガノポリシロキサンの相溶性を改善するために、アクリル基とオルガノポリシロキサンの間にポリエーテル鎖を導入したオルガノポリシロキサンが提案されている(特開2001−55446号公報)。しかし、このオルガノポリシロキサンは、ラジカル重合性が不十分という問題がある。
【0004】
また、架橋効率を高めるために1つのSi原子に、複数のアクリル基を含んだ炭化水素基を変性させたオルガノポリシロキサンも提案されている(特開平11−315144号公報)。このオルガノポリシロキサンを製造するには複数のOH基を含有した不飽和化合物が必要であり、このような化合物は特殊品であり入手し難いといった問題がある。また、OH基が多く存在するとSi−H基との付加反応の際に脱水素反応も進行してしまい、反応管理が難しいといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−55446号公報
【特許文献2】特開平11−315144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、汎用な原料を使用し、簡便な製造方法で、かつアクリルモノマーとの反応性に優れた、1つのSi原子に、複数のアクリル基あるいはメタクリル基を含んだ炭化水素基を変性させた新規な(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンとその製造方法、及び該ポリシロキサンとラジカル重合性モノマーとの重合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、下記一般式(II)
【化1】
[式中、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基であり、XはR又は(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基であり、ただし、Xの少なくとも1つは(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基である。a、bは、0≦a≦1,000、0≦b≦100である。]
で表される活性水素含有オルガノポリシロキサンと、OCN−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22又はOCN−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22(R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)で表されるイソシアネート化合物とを反応させることにより、1つのSi原子に、複数のアクリル基あるいはメタクリル基を含んだ炭化水素基を変性させた新規なオルガノポリシロキサンが得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は下記の(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサン及びその製造方法、並びに該ポリシロキサンとラジカル重合性モノマーとの重合物を提供する。
〔1〕
下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサン。
【化2】
[式中、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。Qは下記A又はの何れかであり、ただし、Qの1つはA、他はRである。Aは式:−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22又は−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22(R1は2価有機基(ただし、−C36−O−C24−O−である場合を除く)であり、R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)である。a、bは、0≦a≦1,000、0≦b≦100である。]
〔2〕
1が、ケイ素原子に結合する有機基として炭素数1〜20のアルキレン基、メトキシ基もしくはエトキシ基が結合していてもよいフェニレン基、炭素数1〜6のアルキレン基にフェニレン基が結合した基、フェニレン基に炭素数1〜6のアルキレン基が結合した基、2個のフェニレン基間に炭素数1〜6のアルキレン基が介在した基、又は炭素数1〜6のアルキレン基にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選ばれるアルキレンオキシド基が複数個結合した基の−CONH−側の末端に酸素原子、又は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基が結合した窒素原子を有する基である〔1〕記載の(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサン。
〔3〕
下記一般式(II)
【化3】
[式中、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基であり、XはR又は(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基であり、ただし、Xの1つは(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基(ただし、−C36−O−C24−OHである場合を除く)、他はRである。a、bは、0≦a≦1,000、0≦b≦100である。]
で表される活性水素含有オルガノポリシロキサンと、OCN−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22又はOCN−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22(R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)で表されるイソシアネート化合物とを反応させる、下記一般式(I)
【化4】
[式中、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。Qは下記A又はの何れかであり、ただし、Qの1つはAであり、他はRである。Aは式:−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22又は−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22(R1は2価有機基(ただし、−C36−O−C24−O−である場合を除く)であり、R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)である。a、bは、0≦a≦1,000、0≦b≦100である。]
で表される(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンの製造方法。
〔4〕
Xが、ケイ素原子に結合する有機基として炭素数1〜20のアルキレン基、メトキシ基もしくはエトキシ基が結合していてもよいフェニレン基、炭素数1〜6のアルキレン基にフェニレン基が結合した基、フェニレン基に炭素数1〜6のアルキレン基が結合した基、2個のフェニレン基間に炭素数1〜6のアルキレン基が介在した基、又は炭素数1〜6のアルキレン基にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選ばれるアルキレンオキシド基が複数個結合した基の−CONH−側の末端にOH基、又はNH2基もしくはNR’H基(ただし、R’は炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基)を有する基であり、R1が、ケイ素原子に結合する有機基として炭素数1〜20のアルキレン基、メトキシ基もしくはエトキシ基が結合していてもよいフェニレン基、炭素数1〜6のアルキレン基にフェニレン基が結合した基、フェニレン基に炭素数1〜6のアルキレン基が結合した基、2個のフェニレン基間に炭素数1〜6のアルキレン基が介在した基、又は炭素数1〜6のアルキレン基にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選ばれるアルキレンオキシド基が複数個結合した基の−CONH−側の末端に酸素原子、又は水素原子、あるいは炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基が結合した窒素原子を有する基である〔3〕記載の(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンの製造方法。
〔5〕
〔1〕又は〔2〕記載の一般式(I)で表される(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンと、ラジカル重合性モノマーとの共重合物
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、汎用な原料を使用し、簡便な製造方法で、かつアクリルモノマーとの反応性に優れた、1つのSi原子に複数のアクリル基あるいはメタクリル基を含んだ炭化水素基を変性させた新規なオルガノポリシロキサンが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明について詳述する。
本発明の(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンは、下記一般式(I)で表されるものである。
【化5】
[式中、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。Qは下記A又はXの何れかであり、異なったものを含んでもよく、ただし、Qの少なくとも1つはAである。Aは式:−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22又は−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22(R1は2価有機基であり、R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)であり、XはR又は(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基である。a、bは、0≦a≦1,000、0≦b≦100である。]
【0011】
ここで、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20、好ましくは1〜10の1価炭化水素基又はアルコキシ基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基などのアルコキシ基等や、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基(N≡C−)などで置換されたもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。本発明におけるRとしては、炭素数1〜6のアルキル基やフェニル基が好ましく、特に80モル%以上がメチル基であることが好ましく、更に好ましくは90モル%以上がメチル基である。
【0012】
次に、QはA又はXの何れかであり、Aは、下記式:
−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22
又は下記式:
−R1−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22
(式中、R1は2価有機基であり、R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)
で表される。
【0013】
ここで、R1は2価有機基であり、ケイ素原子に結合する有機基として炭素数1〜20、好ましくは1〜6のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、アラルキレン基(好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基にフェニレン基が結合した基、フェニレン基に好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基が結合した基、2個のフェニレン基間に好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基が介在した基等)、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド基が1個又は複数個(ポリエーテル基)結合した基、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基にこれらアルキレンオキシド基が1個又は複数個(ポリエーテル基)結合した基等の有機基の−CONH−側の末端に酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を有する基で、これらの原子が−CONH−の炭素原子に結合するものである。この場合、窒素原子には、更に水素原子、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、又は−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22もしくは−CONH−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22が結合する。なお、上記フェニレン基にはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が結合していてもよい。
【0014】
1として、具体的には、−CH2−O−、−C24−O−、−C36−O−、−C48−O−、−C510−O−、−C612−O−、−C714−O−、−C816−O−、−C918−O−、−C1020−O−、−C1224−O−、−C1428−O−、−C1632−O−、−C1836−O−、−φ−O−、−CH2−φ−O−、−C24−φ−O−、−C36−φ−O−、−C48−φ−O−、−CH2−φ(OCH3)−O−、−C24−φ(OCH3)−O−、−C36−φ(OCH3)−O−、−C48−φ(OCH3)−O−、−O−(C24O)p−、−O−(C24O)p(C36O)q−、−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−、−CH2−O−(C24O)p−、−CH2−O−(C24O)p(C36O)q−、−CH2−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−、−C24−O−(C24O)p−、−C24−O−(C24O)p(C36O)q−、−C24−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−、−C36−O−(C24O)p−、−C36−O−(C24O)p(C36O)q−、−C36−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−、−C48−O−(C24O)p−、−C48−O−(C24O)p(C36O)q−、−C48−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−、−CH2−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−C24−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−C36−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−C48−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−CH2−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−C24−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−C24−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−C24−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−C36−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−C24−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−C48−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−C24−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−CH2−N(CH3)−、−C24−N(CH3)−、−C36−N(CH3)−、−C48−N(CH3)−、−CH2−N(C25)−、−C24−N(C25)−、−C36−N(C25)−、−C48−N(C25)−、−CH2−N(C37)−、−C24−N(C37)−、−C36−N(C37)−、−C48−N(C37)−、−CH2−N(C49)−、−C24−N(C49)−、−C36−N(C49)−、−C48−N(C49)−、−φ−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−CH2−φ−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−C24−φ−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−C36−φ−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−C48−φ−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−φ−CH2−φ−N[−CONH−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22]−、−CH2−S−、−C24−S−、−C36−S−、−C48−S−、−φ−S−、−CH2−φ−S−、−C24−φ−S−、−C36−φ−S−、−C48−φ−S−、−C24−C(CH3)=N−O−(式中、φはフェニレン基であり、pは0〜100、qは0〜100、rは0〜100であり、p+q+rは1〜100である。)などが挙げられる。
【0015】
2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基であり、上記Rと同様のものが例示でき、これらの中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基が好ましい。
【0016】
また、Xは、R又は(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基である。(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基としては、ヒドロキシ基置換アルキル基、ヒドロキシ基置換アリール基、末端ヒドロキシ基含有ポリエーテル基、アミノ基置換アルキル基、アミノ基置換アリール基、メルカプト基置換アルキル基、メルカプト基置換アリール基、オキシム基置換アルキル基、オキシム基置換アリール基などが挙げられる。
【0017】
ヒドロキシ基置換アルキル基として具体的には、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、7−ヒドロキシヘプチル基、8−ヒドロキシオクチル基、9−ヒドロキシノニル基、10−ヒドロキシデシル基、12−ヒドロキシドデシル基、14−ヒドロキシテトラデシル基、16−ヒドロキシヘキサデシル基、18−ヒドロキシオクタデシル基などの炭素数1〜20のヒドロキシ基置換アルキル基が挙げられる。
【0018】
ヒドロキシ基置換アリール基として具体的には、フェノール基、1−(ヒドロキシフェニル)メチル基、2−(ヒドロキシフェニル)エチル基、3−(ヒドロキシフェニル)プロピル基、4−(ヒドロキシフェニル)ブチル基、(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)メチル基、2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチル基、3−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロピル基、4−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブチル基などの炭素数6〜20のヒドロキシ基置換アリール基が挙げられる。
【0019】
末端ヒドロキシ基含有ポリエーテル基として具体的には、−O−(C24O)p−H、−O−(C24O)p(C36O)q−H、−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−H、−CH2−O−(C24O)p−H、−CH2−O−(C24O)p(C36O)q−H、−CH2−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−H、−C24−O−(C24O)p−H、−C24−O−(C24O)p(C36O)q−H、−C24−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−H、−C36−O−(C24O)p−H、−C36−O−(C24O)p(C36O)q−H、−C36−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−H、−C48−O−(C24O)p−H、−C48−O−(C24O)p(C36O)q−H、−C48−O−(C24O)p(C36O)q(C48O)r−H(式中、p、q、rは上記と同じである。)などが挙げられる。
【0020】
アミノ基置換アルキル基として具体的には、アミノメチル基、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基、N−(2−アミノエチル)アミノメチル基、2−(N−(2−アミノエチル))アミノエチル基、3−(N−(2−アミノエチル))アミノプロピル基、4−(N−(2−アミノエチル))アミノブチル基、N−(メチル)アミノメチル基、2−(N−メチル)アミノエチル基、3−(N−メチル)アミノプロピル基、4−(N−メチル)アミノブチル基、N−(エチル)アミノメチル基、2−(N−エチル)アミノエチル基、3−(N−エチル)アミノプロピル基、4−(N−エチル)アミノブチル基、N−(プロピル)アミノメチル基、2−(N−プロピル)アミノエチル基、3−(N−プロピル)アミノプロピル基、4−(N−プロピル)アミノブチル基、N−(ブチル)アミノメチル基、2−(N−ブチル)アミノエチル基、3−(N−ブチル)アミノプロピル基、4−(N−ブチル)アミノブチル基などの炭素数1〜10のアミノ基置換アルキル基が挙げられる。
【0021】
アミノ基置換アリール基として具体的には、4−アミノフェニル基、(4−アミノフェニル)メチル基、2−(4−アミノフェニル)エチル基、3−(4−アミノフェニル)プロピル基、4−(4−アミノフェニル)ブチル基、4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル基などの炭素数6〜20のアミノ基置換アリール基が挙げられる。
【0022】
メルカプト基置換アルキル基として具体的には、メルカプトメチル基、2−メルカプトエチル基、3−メルカプトプロピル基、4−メルカプトブチル基などの炭素数1〜10のメルカプト基置換アルキル基が挙げられる。
【0023】
メルカプト基置換アリール基として具体的には、4−メルカプトフェニル基、(4−メルカプトフェニル)メチル基、2−(4−メルカプトフェニル)エチル基、3−(4−メルカプトフェニル)プロピル基、4−(4−メルカプトフェニル)ブチル基などの炭素数6〜20のメルカプト基置換アリール基が挙げられる。
【0024】
オキシム基置換アルキル基として具体的には、4−アザ−4−ヒドロキシ−3−メチル−3−ブテニル基などの炭素数1〜10のオキシム基置換アルキル基が挙げられる。
【0025】
オキシム基置換アリール基として具体的には、4−アザ−4−ヒドロキシ−3−フェニル−3−ブテニル基などの炭素数7〜20のオキシム基置換アリール基が挙げられる。
【0026】
なお、Qは、A又はXの何れかであり、すべて同一でも異なっても構わないが、Qのうち少なくとも1つがAであり、特に1つ又は2つがAであることが好ましい。また、a、bは何れも0≦a≦1,000、0≦b≦100の範囲を満たし、好ましくは0≦a≦500、0≦b≦50の範囲を満たし、より好ましくは0≦a≦300、0≦b≦30の範囲を満たす。
【0027】
上記(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンは、下記一般式(II)
【化6】
[式中、Rは(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基であり、XはR又は(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基であり、ただし、Xの少なくとも1つ、特に1つ又は2つは(メタ)アクリル基を含まない活性水素含有の1価有機基である。a、bは、0≦a≦1,000、0≦b≦100である。]
で表される活性水素含有オルガノポリシロキサンと、
OCN−C(R2)[CH2−O−CO−CH=CH22
又は
OCN−C(R2)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22
(上記各式中、R2は(メタ)アクリル基を含まない非置換又は置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又はアルコキシ基である。)
で表されるイソシアネート化合物を反応させることで製造することができる。
【0028】
上記式中、R、X、a、b、R2は上記と同じである。
【0029】
イソシアネート化合物として具体的には、OCN−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22、OCN−C(CH3)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22、OCN−C(C25)[CH2−O−CO−CH=CH22、OCN−C(C25)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22などが挙げられる。中でもOCN−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22、OCN−C(CH3)[CH2−O−CO−C(CH3)=CH22が好ましく、更に好ましくはOCN−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22である。
【0030】
活性水素含有オルガノポリシロキサンとイソシアネート化合物との反応割合は、活性水素含有オルガノポリシロキサンの活性水素1モルに対し、イソシアネート化合物のイソシアネート基が0.5〜2モルとなる量であることが好ましく、特に0.8〜1.5モルであることが好ましい。
【0031】
活性水素含有オルガノポリシロキサンとイソシアネート化合物との反応は、室温(25℃程度)〜150℃で1〜50時間程度反応させればよい。より好ましくは室温〜140℃で2〜40時間、更に好ましくは40〜120℃で3〜20時間である。
【0032】
また、適宜トルエンやキシレンのような有機溶剤を使用したり、反応を促進するためにジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジバーサテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジバーサテートのようなスズ触媒を使用することも可能である。
【0033】
得られた(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンは、ラジカル重合性モノマーと共重合することで重合物(シロキサングラフト樹脂)を得ることができる。
ここで、ラジカル重合性モノマーとしては、スチレン、ビニルピリジン、ビニルナフタレンなどの不飽和芳香族モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、ビニルメチルエーテルなどのビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの不飽和アルコール、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドなどの不飽和アミド、アミノアクリレート、アミノメタクリレートなどの不飽和アミン、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネートなどの不飽和イソシアネート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンなどの不飽和環状イミニエーテルなどが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0034】
(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンとラジカル重合性モノマーとの反応割合は特に制限されず、目的とする共重合体の特性により選択すればよいが、(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンとラジカル重合性モノマーとの合計中、(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサン量が、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは2〜70質量%、特に好ましくは3〜60質量%となる量である。
【0035】
本発明の(メタ)アクリル基含オルガノポリシロキサンとラジカル重合性モノマーとの共重合方法としては、公知の方法で重合することができる。重合の際に使用するラジカル開始剤に特に制限はなく、従来より使用されているものを使用することができる。具体的には、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化アセチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化4−ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロキシペルオキシド、過トリフェニル酢酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過安息香酸tert−ブチル、過ギ酸tert−ブチル、過オクタン酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過4−メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2,−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルメタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタエート)及びポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物、1,4−ビス(ペンタエチレン1−2−テトラゼン、ベンゼンスルホニルアジド及び1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。
また、適宜トルエンやキシレンのような有機溶剤を使用することもできる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明における好適な実施の形態について詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、%は質量%を示す。また、粘度はオストワルド粘度計(mm2/s)及び回転粘度計(mPa・s)により測定した25℃における値を示し、揮発分は、105℃の恒温器に3時間放置した後の加熱減量により測定した値を示し、屈折率は、25℃の値を示し、屈折率計により測定した値を示す。また、下記式において、φはフェニレン基を示す。
【0037】
[実施例1]
攪拌装置、温度計、還流冷却器のついた1Lガラスフラスコに、下記式
【化7】
で示される片末端水酸基含有ポリシロキサン234.4g、下記式
OCN−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22
で示されるイソシアネート化合物(昭和電工製:カレンズBEI)11.95g、トルエン246g、ジオクチルスズジアセテート0.25gを仕込み、100℃で8時間加熱攪拌を行なった。IRにてイソシアネートのピークが消失したことを確認し、100℃/10mmHgの条件にて減圧ストリップを行ない、トルエンを溜去し、無色透明なオルガノポリシロキサン(A)を得た。
このものは粘度:87mm2/s、揮発分(105℃/3時間):0.4%、屈折率:1.4082であり、GPC、29Si−NMR、13C−NMR、1H−NMRにより、下記組成であることを確認した。
【化8】
【0038】
参考例1
攪拌装置、温度計、還流冷却器のついた1Lガラスフラスコに、下記式
【化9】
で示されるポリエーテル末端に水酸基を含有した両末端ポリエーテル変性ポリシロキサン195.88g、下記式
OCN−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22
で示されるイソシアネート化合物(昭和電工製:カレンズBEI)9.56g、トルエン205g、ジオクチルスズジアセテート0.21gを仕込み、100℃で8時間加熱攪拌を行なった。IRにてイソシアネートのピークが消失したことを確認し、100℃/10mmHgの条件にて減圧ストリップを行ない、トルエンを溜去し、無色透明なオルガノポリシロキサン(B)を得た。
このものは粘度:7,470mPa・s、揮発分(105℃/3時間):0.6%、屈折率:1.4197であり、GPC、29Si−NMR、13C−NMR、1H−NMRにより、下記組成であることを確認した。
【化10】
【0039】
[実施例
攪拌装置、温度計、還流冷却器のついた1Lガラスフラスコに、下記式
【化11】
で示される片末端水酸基含有ポリシロキサン239.3g、下記式
OCN−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22
で示されるイソシアネート化合物(昭和電工製:カレンズBEI)11.95g、トルエン251g、ジオクチルスズジアセテート0.25gを仕込み、100℃で8時間加熱攪拌を行なった。IRにてイソシアネートのピークが消失したことを確認し、100℃/10mmHgの条件にて減圧ストリップを行ない、トルエンを溜去し、無色透明なオルガノポリシロキサン(C)を得た。
このものは粘度:107mm2/s、揮発分(105℃/3時間):0.3%、屈折率:1.4105であり、GPC、29Si−NMR、13C−NMR、1H−NMRにより、下記組成であることを確認した。
【化12】
【0040】
参考例2
攪拌装置、温度計、還流冷却器のついた1Lガラスフラスコに、下記式
【化13】
で示される両末端水酸基含有ポリシロキサン257.12g、下記式
OCN−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22
で示されるイソシアネート化合物(昭和電工製:カレンズBEI)38.24g、トルエン295g、ジオクチルスズジアセテート0.30gを仕込み、100℃で8時間加熱攪拌を行なった。IRにてイソシアネートのピークが消失したことを確認し、100℃/10mmHgの条件にて減圧ストリップを行ない、トルエンを溜去し、無色透明なオルガノポリシロキサン(D)を得た。
このものは粘度:131mm2/s、揮発分(105℃/3時間):0.3%、屈折率:1.4252であり、GPC、29Si−NMR、13C−NMR、1H−NMRにより、下記組成であることを確認した。
【化14】
【0041】
参考例3
攪拌装置、温度計、還流冷却器のついた1Lガラスフラスコに、下記式
【化15】
で示される両末端イミノ基含有ポリシロキサン253.76g、下記式
OCN−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22
で示されるイソシアネート化合物(昭和電工製:カレンズBEI)38.24g、トルエン292gを仕込み、40℃で4時間加熱攪拌を行なった。IRにてイソシアネートのピークが消失したことを確認し、100℃/10mmHgの条件にて減圧ストリップを行ない、トルエンを溜去し、無色透明なオルガノポリシロキサン(E)を得た。
このものは粘度:72mm2/s、揮発分(105℃/3時間):0.6%、屈折率:1.4145であり、GPC、29Si−NMR、13C−NMR、1H−NMRにより、下記組成であることを確認した。
【化16】
【0042】
参考
攪拌装置、温度計、還流冷却器のついた1Lガラスフラスコに、下記式
【化17】
で示されるポリエーテル末端に水酸基を含有した側鎖ポリエーテル変性ポリシロキサン145.5g、下記式
OCN−C(CH3)[CH2−O−CO−CH=CH22
で示されるイソシアネート化合物(昭和電工製:カレンズBEI)35.85g、トルエン181g、ジオクチルスズジアセテート0.21gを仕込み、100℃で8時間加熱攪拌を行なった。IRにてイソシアネートのピークが消失したことを確認し、100℃/10mmHgの条件にて減圧ストリップを行ない、トルエンを溜去し、無色透明なオルガノポリシロキサン(F)を得た。
このものは粘度:185mPa・s、揮発分(105℃/3時間):0.7%、屈折率:1.4283であり、GPC、29Si−NMR、13C−NMR、1H−NMRにより、下記組成であることを確認した。
【化18】
【0043】
[実施例
攪拌装置、温度計、還流冷却器のついた300mLガラスフラスコに、実施例1で得られたオルガノポリシロキサン(A)4.0g、メタクリル酸メチル11.2g、メタクリル酸ブチル2.4g、アクリル酸オクチル2.4g、トルエン100gを仕込み、90℃に加温した。その後、過オクタン酸tert−ブチル2gを添加し、90℃で30分重合を行なった。その後、オルガノポリシロキサン(A)16.0g、メタクリル酸メチル44.8g、メタクリル酸ブチル9.6g、アクリル酸オクチル9.6gの混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、過オクタン酸tert−ブチル0.5gを添加し、100℃で7時間重合を行なった。
この溶液を105℃で3時間乾燥してアクリル−シリコーングラフト共重合物を得た。この共重合物10gを正秤し、デカメチルペンタシクロシロキサン100gとともに250ccガラス瓶に入れ、24時間振とう機で振とうした。その後、ろ紙で不溶物をろ過し、ろ液をストリップして未反応シロキサンの抽出を行なった。その結果、抽出された未反応シロキサンは共重合物に対して0%であった。
【0044】
[比較例1]
イソシアネート化合物を下記式
OCN−C24−O−CO−CH=CH2
で示されるイソシアネート化合物(昭和電工製:カレンズAOI)7.05gに変えた以外は、実施例1と同様にして、無色透明なオルガノポリシロキサン(G)を得た。
このものは粘度:78mm2/s、揮発分(105℃/3時間):0.3%、屈折率:1.4071であり、GPC、29Si−NMR、13C−NMR、1H−NMRにより、下記組成であることを確認した。
【化19】
更に、オルガノポリシロキサン(A)をオルガノポリシロキサン(G)に変えた以外は、実施例7と同様にして共重合物を調製し、該共重合物を用いて未反応シロキサンの抽出を行なった。その結果、抽出された未反応シロキサンは共重合物に対して0.5%であった。