(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定軸方向に延び、前記第1保持部材及び前記第2保持部材のそれぞれに接触され、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の前記所定軸回り方向の移動動作を規制する規制部材を更に備える請求項1に記載のレンズ鏡筒。
前記規制部材と、前記延伸部材の内周面の一部とが接触することで、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の前記基準部材に対する前記所定軸回り方向の移動動作が規制されていることを特徴とする請求項5に記載のレンズ鏡筒。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態に係るカメラ及び当該カメラが具備するレンズ鏡筒について、
図1〜
図7に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1には、本実施形態に係るカメラ500が模式的に示されている。
図1に示すようにカメラ500は、撮像部200と、レンズ鏡筒100と、を備える。
【0015】
撮像部200は、筐体210と、筐体210内に収容された主鏡212、ペンタプリズム214、接眼光学系216を含む光学系と、焦点検出装置230と、シャッタ234と、撮像素子238と、メインLCD240と、主制御部250と、を有する。
【0016】
主鏡212は、
図1の状態では、レンズ鏡筒100から入射した入射光の大半を上方に配置されたフォーカシングスクリーン222に導く。フォーカシングスクリーン222は、レンズ鏡筒100内の光学系の合焦位置に配置され、レンズ鏡筒100内の光学系により形成された画像を結像させる。
【0017】
ペンタプリズム214は、フォーカシングスクリーン222に結像された画像を、反射した後、ハーフミラー224を介して、接眼光学系216まで導く。これにより、接眼光学系216では、フォーカシングスクリーン222上の映像を正像として観察することができる。この場合、ハーフミラー224は、ファインダLCD226に形成された撮影条件や設定条件等を示す表示画像をフォーカシングスクリーン222の映像に重畳させる。したがって、接眼光学系216の出射端においては、フォーカシングスクリーン222の映像とファインダLCD226の画像とが重ね合わせられた状態を観察することができる。なお、ペンタプリズム214の出射光の一部は、測光部228に導かれ、当該測光部228にて、入射光の強度及びその分布等が測定される。
【0018】
焦点検出装置230は、主鏡212を透過し、かつ主鏡212の裏面側に設けられた副鏡232にて反射された光を用いて、レンズ鏡筒100内の光学系の焦点調整状態(ピント状態)を検出する。なお、主鏡212及び副鏡232は、撮影の際には、レンズ鏡筒100から入射する入射光の光路から退避するように、
図1に破線にて示す位置まで上昇する。
【0019】
シャッタ234は、主鏡212後方(レンズ鏡筒100から入射する入射光の光路後方)に配置され、撮影の際には、主鏡212及び副鏡232の上昇動作と連動して、開放動作を行う。シャッタ234が開放された状態では、光学フィルタ236を介して撮像素子238にレンズ鏡筒100からの入射光が入射する。撮像素子238は、入射光が形成する画像を電気信号に変換する。
【0020】
メインLCD240は、その表示画面部分が筐体210の外部に露出した状態となっている。このメインLCD240の表示画面上には、撮像素子238上に形成された映像(撮影された映像)のほか、撮像部200における各種設定情報などが表示される。
【0021】
主制御部250は、上記各部の種々動作を統括的に制御する。また、主制御部250は、撮像部200内の焦点検出装置230が検出した光学系の焦点調整状態の情報を参照して、レンズ鏡筒100内の光学系(レンズL1〜L6)を駆動したり(オートフォーカス)、レンズ鏡筒100内の光学系の動作量を参照して、合焦していることをファインダLCD226に表示したりする(フォーカスエイド)。
【0022】
次に、レンズ鏡筒100の構成について、
図2〜
図7に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図2、
図3には、レンズ鏡筒100の断面図が示されている。これらのうち、
図2は、レンズ鏡筒100が広角端にある状態を示し、
図3は、レンズ鏡筒100が、望遠端までズームされた状態を示す。これら
図2、
図3に示すように、レンズ鏡筒100は、共通の光軸AX上に配列された1群レンズL1、2群レンズL2、3群レンズL3、4群レンズL4、5群レンズL5、6群レンズL6を有する。なお、以下においては、光軸AX方向の1群レンズL1側(対物側)を前側、6群レンズL6側(像側)を後側として説明する。
【0024】
レンズ鏡筒100は、
図2、
図3に示すように、固定筒10と、1群レンズL1を保持する1群レンズ摺動筒11と、2群レンズL2を保持する2群レンズ摺動筒12と、3群レンズL3を保持する3群レンズ摺動筒13と、4群レンズL4及び6群レンズL6を保持する4,6群レンズ摺動筒14と、5群レンズL5を保持する5群レンズ摺動筒15と、を備える。
【0025】
固定筒10は、基部10aにおいて、撮像部200に固定される。この固定状態では、固定筒10の撮像部200側の端面10bが撮像部200(
図1の筐体210)に密接することにより、固定筒10、すなわちレンズ鏡筒100が撮像部200に対して位置決めされる。固定筒10は、その内部の上側部分(天井部分)近傍に設けられた一対の突起部33a,33bにおいて、ガイドパイプ36Aを支持し、その内部の下側部分近傍に設けられた一対の突起部33c,33dにおいて、ガイドパイプ36Bを支持する。これらガイドパイプ36A,36Bは、レンズ鏡筒100の光軸(AX)を基準として180度対向する位置(光軸からの距離が略同一で、光軸を挟んで相対向する位置)に配置されている。なお、ガイドパイプ36Aの内部には、ガイドパイプ35Aが挿入されている(ガイドパイプの2重構造となっている)。ガイドパイプ35Aの外径は、ガイドパイプ36Aの内径とほぼ同一に設定されている。ここで、ほぼ同径とは、ガイドパイプ35Aのスライドに支障が無い程度の隙間が、ガイドパイプ36Aとガイドパイプ35Aの間に形成される寸法を意味する。これにより、ガイドパイプ35Aは、ガイドパイプ36Aの内周面に沿ったスライド移動が可能となっている。なお、ガイドパイプ36A,36B及びガイドパイプ35Aの材料としては、強度が高く、軽量な材料、ステンレスなどを採用することができる。
【0026】
1群レンズ摺動筒11は、当該1群レンズ摺動筒11の内側に設けられたズーム駆動筒16と連動可能に連結されている。具体的には、1群レンズ摺動筒11に植設されたカムピン75が、ズーム駆動筒16に形成されたカム溝16aに係合した状態となっている。
【0027】
一方、ズーム駆動筒16は、レンズ鏡筒100の最外周において光軸AX回りの回転が自在とされたズーム操作環18と連動可能に連結されている。具体的には、ズーム駆動筒16から外側に突設された駆動力伝達ピン19が、ズーム操作環18の内面に形成された光軸AXに平行な操作溝18aに係合している。これにより、ズーム駆動筒16は、ズーム操作環18の回転に連動して回転する。ズーム操作環18は、前後方向への移動ができないようになっており、その外周面には滑り止めのゴム層が設けられている。ズーム操作環18は、変倍動作(ズーミング)の際に、ユーザによって回転されるものである。
【0028】
また、ズーム駆動筒16は、その内側に設けられたズーム用案内筒22に対して回転可能とされている。ズーム用案内筒22には、
図2、
図3の下半部に示すように、カム溝22aが貫通形成され、このズーム用案内筒22と、ズーム駆動筒16に貫通形成された直進溝16bとには、固定筒10の内側に設けられたカムリング20に固定された回転連結部材21が係合している。
【0029】
上記構造によると、ズーム操作環18が回転されると、駆動力伝達ピン19の作用によりズーム駆動筒16が回転し、その回転とカムピン75の作用により、1群レンズ摺動筒11が前後方向(光軸AXに沿った方向)に移動する。また、ズーム操作環18の回転により、ズーム駆動筒16が回転すると、この回転力が回転連結部材21を介してカムリング20に伝達するため、カムリング20は回転しながら前後方向に移動する。なお、ズーム用案内筒22は、回転せずに前後方向に移動する。
【0030】
なお、ズーム操作環18と1群レンズ摺動筒11との間には、カバー筒17が設けられている。このカバー筒17は、
図2、
図3に示すように、1群レンズ摺動筒11に連れ従って前後方向に移動して、ズーム操作環18と1群レンズ摺動筒11との間を封止し、レンズ鏡筒100内への塵埃の浸入を防止するためのものである。
【0031】
図4は、2群レンズ摺動筒12、3群レンズ摺動筒13及びそれらの近傍を取り出して示す図である。
図4に示すように、2群レンズ摺動筒12は、2群レンズL2を保持する保持筒24と、保持筒24に固定された押さえ環26と、保持筒24の外周を取り囲む状態で設けられた係合筒28と、を有する。保持筒24と押さえ環26とは、ネジ止め等により固定され、2群レンズL2の外縁部を挟持する。
【0032】
係合筒28は、2本のガイドバー30A、30Bを片持ち支持する。これら2本のガイドバー30A、30Bは、光軸AXを挟んで上下対称な位置(180°対向する位置)に配置されている。
【0033】
ガイドバー30Aは、
図4に示すように、ガイドパイプ36Aに挿入されたガイドパイプ35Aに対し、スライド可能に挿入された円柱状部材である。ガイドパイプ35Aの内径とガイドバー30Aの外径はほぼ同一に設定されている。ここで、ほぼ同径とは、ガイドバー30Aのスライドに支障が無い程度の隙間が、ガイドパイプ35Aとガイドバー30Aの間に形成される寸法を意味する。なお、ガイドバー30Aとガイドパイプ35Aとの間は、面接触して無くても良く、ガイドパイプ36Aの一端部近傍と他端部近傍の2点で点接触しているのみでも良い。
【0034】
ガイドバー30Bは、
図4に示すように、突起部33cに貫通形成された長円孔43を介して、ガイドパイプ36Bに挿入された状態とされた円柱状部材である。
図5(a)には、
図4のA−A線断面図が示されている。この
図5(a)に示すように、ガイドバー30Bの断面の直径は、長円孔43の幅(
図5(a)の紙面横方向の幅)と略同一、すなわち、ガイドバー30Bのスライドに支障が無い程度の寸法に設定されている。2群レンズ摺動筒12のガイドバー30Aを中心とした回転方向の動きは、ガイドバー30Bと長円孔43の内周面との接触により規制されている。なお、
図5(a)に示すように、ガイドパイプ36Bの内径は、ガイドバー30Bよりも大きく設定され、ガイドバー30Bとの間に隙間が確保されている(ガイドバー30Bとガイドパイプ36Bは非接触となっている)。
【0035】
ガイドバー30A,30Bの材料としては、ガイドパイプ36A,36B,35Aと同様、強度が高く、軽量な材料、例えばステンレスなどを採用することができる。また、ガイドバー30A,30Bは、係合筒28に対して、接着又は圧入などの処理を経て固定されている。
【0036】
係合筒28の外周面の一部には、
図4に示すように、突起状のフォロワ28aが形成されている。フォロワ28aは、
図2に示すように、係合筒28の外側に設けられた連動リング32の周溝32cと係合している。なお、フォロワ28aは、ガイドバー30Aの近傍、すなわち、ガイドバー30Aの中心軸を延長した延長軸の近傍に配置されている。
【0037】
周溝32cが形成されている連動リング32には、更に、連動溝32aと、カムフォロワ32bとが形成されている。連動溝32aには、略L字状の形状を有する連動キー34の一端部が係合している。この連動キー34は、固定筒10の外周部に設けられたピントリング37に接続されており、ピントリング37の光軸AX回りの回転に伴って、光軸AXを中心とした回転方向に移動する。このように、連動キー34が光軸AXを中心とした回転方向に移動すると、連動リング32が光軸AX回りに回転する。また、連動キー34は、固定筒10のモータ室10c内に設けられたモータ38にも接続されている。したがって、連動リング32は、モータ38の回転動作に伴う連動キー34の光軸AXを中心とした回転方向への移動によっても、光軸AX回りに回転する。
【0038】
カムフォロワ32bは、カムリング20に形成されたカム溝20bに係合している。したがって、連動リング32が回転した場合には、連動リング32及びこれに連結されている部材(2群レンズ摺動筒12、ガイドバー30A、30B、2群レンズL2)が、カム溝20bとカムフォロワ32bの作用により、前後方向に移動するようになっている。この前後方向の移動において、連動リング32は、光軸AX回りに回転しながら前後方向に移動する。ただし、ガイドバー30Aの移動方向は、ガイドパイプ35A、36Aにより前後方向のみとされているので、ガイドバー30Aに接続されている2群レンズ摺動筒12及び2群レンズL2は、光軸回り方向に回転することなく前後方向に移動する。なお、カムフォロワ32bは、ガイドバー30Aの近傍、すなわち、ガイドバー30Aの中心軸を延長した延長軸の近傍に配置されている。
【0039】
3群レンズ摺動筒13は、
図4に示すように、円形孔13aと、長円孔13bと、を有する。
【0040】
円形孔13aは、その内径が、ガイドパイプ35Aの外径と同一となっている。3群レンズ摺動筒13は、円形孔13aにガイドパイプ35Aを挿通させた状態で、ガイドパイプ35Aを保持している。この場合、ガイドパイプ35Aは、3群レンズ摺動筒13に対して、接着又は圧入などの処理を経て固定されている。
【0041】
長円孔13bは、
図4のB−B線断面図である
図5(b)に示すように、長円形の形状を有している。長円孔13bの幅(
図5(b)の紙面横方向の幅)は、ガイドバー30Bの直径と略同一、すなわち、3群レンズ摺動筒13のスライドに支障が無い程度の寸法に設定されている。3群レンズ摺動筒13のガイドパイプ35Aを中心とした回転方向の動きは、ガイドバー30Bと長円孔13bの内周面との接触により、規制されている。なお、長円孔13bに代えて、3群レンズ摺動筒13に、長円孔13bと同様の機能を有する断面U字状の溝を形成することとしてもよい。
【0042】
また、3群レンズ摺動筒13の円形孔13a近傍には、
図2に示すように、カムフォロワ13cが設けられている。カムフォロワ13cは、カムリング20に形成されたカム溝20dに係合している。したがって、カムリング20が回転した場合には、カム溝20dとカムフォロワ13cとの作用により、3群レンズ摺動筒13が前後方向に移動するようになっている。この前後方向の移動において、ガイドパイプ35Aの移動方向は、ガイドパイプ36Bにより前後方向のみとされているので、ガイドパイプ35Aに接続されている3群レンズ摺動筒13及び3群レンズL3は、回転することなく前後方向に移動する。
【0043】
図6は、4,6群レンズ摺動筒14、5群レンズ摺動筒15及びその近傍を取り出して示す図である。
図6に示すように、4,6群レンズ摺動筒14は、3群レンズL4と6群レンズL6とを光軸AX方向に所定間隔あけた状態で保持する。5群レンズ摺動筒15は、4群レンズL4と6群レンズL6との間で、5群レンズL5を保持する。
【0044】
4,6群レンズ摺動筒14は、ガイドパイプ36Aに係合する2つの係合部14a,14bと、ガイドパイプ36Bに係合する1つの係合部14cと、を有する。また、5群レンズ摺動筒15は、ガイドパイプ36Aに係合する2つの係合部15a,15bと、ガイドパイプ36Bに係合する1つの係合部15cと、を有する。
【0045】
係合部14a,14b、15a,15bは、円形の貫通孔を有している。この貫通孔は、ガイドパイプ36Aとほぼ同径であり、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15は、貫通孔にガイドパイプ36Aが挿入された状態で、ガイドパイプ36Aにより前後方向にガイドされる。ここで、ほぼ同径とは、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15のスライドに支障が無い程度の隙間が、ガイドパイプ36Aと貫通孔の間に形成される寸法を意味する。ガイドパイプ36Aは、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15の全自重〜全自重の1/2(レンズ鏡筒100の姿勢によって異なる)を支持する。一方、係合部14c、15cは、U字溝を有する。U字溝の幅は、ガイドパイプ36Bの直径と略同一、すなわち、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15のスライドに支障が無い程度の寸法に設定されている。4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15のガイドパイプ36Aを中心とした回転方向の動きは、ガイドパイプ36Bと係合部14c,15cとの接触により、規制されている。なお、係合部14c,15cには、U字溝に代えて、U字溝と同様の機能を有する、径方向に長い長円孔を形成してもよい。
【0046】
なお、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15は、カムリング20の光軸AX回りの回転動作に連動して、前後方向(光軸AX方向)に駆動されるものとする。
【0047】
次に、
図2、
図3等に基づいて、ズーム動作を行うとき(ズーミング)の各レンズL1〜L6の移動動作、及びピントを合わせるとき(フォーカシング)の各レンズL1〜L6の移動動作について説明する。
【0048】
まず、ズーミングのときの各レンズの移動動作について説明する。ここでは、レンズ鏡筒100が広角端にある状態(
図2)から、望遠端にズームされるまで(
図3)の動作について説明する。
【0049】
図2の状態から、ユーザによりズーム操作環18が回転されると、ズーム駆動筒16が回転し、カム溝16a及びカムピン75を介して、1群レンズ摺動筒11及び1群レンズL1が前方に直進する。また、ズーム操作環18が回転されると、前述したように回転連結部材21等を介してカムリング20が回転される。この回転に伴い、連動リング32にもカムフォロワ32bを介して、回転力と前方向の移動力とが作用するが、連動リング32は、連動溝32aと係合する連動キー34(固定状態)により、前後方向にのみガイドされているので、回転することなく前側に直進する。また、この連動リング32の直進に伴って、連動リング32に係合する係合筒28(すなわち2群レンズ摺動筒12)、及び2群レンズL2が前方向に移動する。更に、カムリング20に係合する3群レンズ摺動筒13及び3群レンズL3が前方向に移動する。
【0050】
更に、カムリング20の回転は、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15(4〜6群レンズL4〜L6)も前方向に移動させる。
【0051】
このように、ズーミングのときには、ズーム操作環18の回転動作に伴って、1〜6群レンズL1〜L6のそれぞれが前方向に、別々の距離(ただし、レンズL4とL6は同一距離)だけ移動するようになっている。
【0052】
図7には、上記ズーミングにより、
図4の状態から2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13が前方向に移動した状態が示されている。
図7に示すように、2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13が前方向に移動しても、ガイドバー30Bは、突起部33c(長円孔43)及び3群レンズ摺動筒13(長円孔13b)に接触した状態を維持し続ける。また、ガイドバー30Aは、ガイドパイプ35Aに対する挿入状態を維持し続け、ガイドパイプ35Aは、ガイドパイプ36Aに対する挿入状態を維持し続ける。
【0053】
次に、フォーカシングのときの各レンズの移動動作について説明する。
【0054】
まず、ピントリング37がユーザにより回転されるか、あるいはモータ38が回転駆動されることにより、連動キー34が光軸AXを中心とする回転方向に移動すると、前述したように、連動キー34に係合する連動リング32が光軸AX回りに回転する。この回転により、連動リング32は、カムフォロワ32bをカムリング20のカム溝20bに沿わせて、前方向にも移動する。そして、この連動リング32の回転方向及び前方向の移動により、連動リング32の周溝32cに係合したフォロワ28aを有する係合筒28(すなわち2群レンズ摺動筒12)及び2群レンズL2も前方向に移動することになる。ここで、カムフォロワ32b及びフォロワ28aは、ガイドバー30Aの近傍に配置されているので、連動リング32及び係合筒28に対して光軸AX方向の駆動力を効率的に作用させることができる。
【0055】
一方、カムリング20は、無回転の固定状態にあるため、1群レンズL1及び3〜6群レンズL3〜L6は前(後)方向に移動しない。
【0056】
このように、フォーカシングのときには、連動キー34の回転動作に伴って、2群レンズL2のみが前(後)方向に移動するようになっている。
【0057】
なお、フォーカシング時のモータ38の回転は、
図1の主制御部250が、焦点検出装置230の検出結果に基づいて制御する。すなわち、主制御部250によるモータ38の回転制御により、オートフォーカスが実行される。なお、レンズ鏡筒100と、撮像部200との間は、レンズ鏡筒100と撮像部200との間に設けられる接続端子により電気的に接続されており、これにより、レンズ鏡筒100(例えばモータ38など)に、撮像部200側から電力が供給されるようになっている。
【0058】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、ガイドパイプ35Aが、固定筒10に固定されたガイドパイプ36Aの内周面に沿って光軸AX方向にスライドするようになっており、ガイドバー30Aが、ガイドパイプ35Aの内周面に沿って、光軸AX方向にスライドするようになっている。そして、ガイドバー30Aには、2群レンズL2を保持する2群レンズ摺動筒12が固定され、ガイドバー30Aのスライドにより光軸方向にガイドされ、ガイドパイプ35Aには、3群レンズL3を保持する3群レンズ摺動筒13が固定され、ガイドバー30Aのスライドにより光軸方向にガイドされるようになっている。このように、本実施形態では、2重構造のガイドパイプ35A,36Aと、ガイドバー30Aとにより、2群レンズ摺動筒12、3群レンズ摺動筒13を別々にガイドすることができるので、レンズ鏡筒100内の構造の簡素化を図ることが可能である。これにより、レンズ鏡筒100内のスペース効率を向上することができ、レンズ鏡筒100の小型化を図る(径大化を抑制する)ことができる。また、レンズ鏡筒100を小型化することで、カメラ500全体の小型化を図ることもできる。
【0059】
また、本実施形態では、光軸AX方向に延びるガイドバー30Bが、2群レンズ摺動筒12に固定されるとともに、3群レンズ摺動筒13及び固定筒10に接触することで、2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13の固定筒10に対する光軸AX回り方向の移動動作(回転動作)を規制している。これにより、1本のガイドバー30Bで、2つのレンズ摺動筒12、13の回転動作を規制することができるので、この点からも、レンズ鏡筒100内の構造の簡素化及びスペース効率の向上を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態では、固定筒10が光軸AX方向に延びるガイドパイプ36Bを保持しており、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15は、ガイドパイプ36Aにより光軸方向にガイドされるとともに、ガイドパイプ36Bに接触することで光軸回り方向の移動動作(回転動作)が規制されている。これにより、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15は、ガイドバー30A,30B、ガイドパイプ35Aとは非接触な状態で前後方向にガイドされる。したがって、2群レンズ摺動筒12や3群レンズ摺動筒13の移動を、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15が妨げることがない。これにより、2群レンズ摺動筒12、3群レンズ摺動筒13を移動させるのに必要な力を低減することができるので、モータ38の負担又はピントリング37を回転するユーザの負担を軽減することができる。
【0061】
また、本実施形態では、ガイドパイプ36Bの内部にガイドバー30Bが挿入されているので、ガイドパイプ36Bとガイドバー30Bとの機械的な干渉を回避することができるとともに、ガイドパイプ36Bとガイドバー30Bとを別々に設ける場合と比較して、レンズ鏡筒100内の構造の簡素化及びスペース効率の向上を図ることができる。
【0062】
また、本実施形態では、4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15の全自重〜全自重の1/2(レンズ鏡筒100の姿勢により異なる)を2重構造のガイドパイプ35A、36Aが支持する。このように、少なくとも4,6群レンズ摺動筒14及び5群レンズ摺動筒15の全自重の1/2を、剛性が高く、変形が抑制されている側のガイドパイプ35A.36Aで支持することで、4〜6群レンズL4〜L6の光軸ずれ等を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、ガイドバー30A、ガイドパイプ35A,35Bがほぼ同一の長さを有していることから、ガイドパイプ35Aがガイドバー30Aをガイドする距離及びガイドパイプ36Aがガイドパイプ35Aをガイドする距離を長くとることが可能である。これにより、2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13の移動長を長くすることが可能である。また、本実施形態では、ガイドパイプ35A.36Aによる2重構造を採用しているため、2群レンズ摺動筒12の移動量は、ガイドバー30Aの長さに3群レンズ摺動筒13の移動量を加算した分となる。これにより、2群レンズ摺動筒12の移動量を大きくとることが可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、ガイドパイプ36A,36Bが、レンズ鏡筒100の光軸AXを基準として180度対向する位置に配置されているので、ガイドバー30A,30Bの距離を極力大きくとることができる。これにより、2群レンズ摺動筒12、3群レンズ摺動筒13の光軸AX方向回りの回転をガイドバー30Bで規制する際に必要な力を小さくすることができ、ひいては、ガイドバー30Bにかかる力及び変形等を小さくすることができる。
【0065】
また、本実施形態では、ガイドバー30Bをガイドバー30Aよりも短くすることができるので、ガイドバー30Bをガイドバー30Aと同一の長さとする場合と比べて、レンズ鏡筒100の軽量化を図ることが可能となる。
【0066】
なお、上記実施形態では、2群レンズ摺動筒12に固定されたガイドバー30Bが、固定筒10の突起部33cに形成された長円孔43及び3群レンズ摺動筒13の長円孔13bに接触することで、2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13の回転動作が規制される場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、
図8〜
図11のような構成(変形例1〜5)を採用することで2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13の回転動作を規制することとしてもよい。
【0067】
図8(a)、
図8(b)には、変形例1に係る構成が示されている。なお、
図8(b)は、
図8(a)のC−C線断面図である。変形例1では、ガイドパイプ36Bの一部(前側端部)に、長円孔71aが形成されたキャップ状部材71を設けることとしている。このようにしても、ガイドバー30Bが、キャップ状部材71(長円孔71a)及び3群レンズ摺動筒13(長円孔13b)と接触し続けるので、上記実施形態と同様、2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13の回転動作を規制することが可能である。
【0068】
図9(a)、
図9(b)には、変形例2に係る構成が示されている。なお、
図9(b)は、
図9(a)のD−D線断面図である。変形例2では、上記実施形態のガイドパイプ36Bに代えて、全体が偏平な形状を有するガイドパイプ36B’を採用している。このようにしても、ガイドバー30Bとガイドパイプ36B’の内周面の一部とが接触し続けるので、上記実施形態と同様、2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13の回転動作を規制することが可能である。なお、偏平な形状を有するガイドパイプ36B’を採用しても、4,6群レンズ摺動筒14と5群レンズ摺動筒15の移動動作に問題が生じることはない。
【0069】
図10(a)には、変形例3に係る構成が示されている。変形例3では、ガイドバー30Bが固定筒10の突起部33cに固定されている。また、変形例3では、2群レンズ摺動筒12の係合筒28にU字溝28hを設けることとしている。この場合、2群レンズ摺動筒12が前後方向に移動する間、ガイドバー30BはU字溝28hに接触し続けるようになっている。このような変形例3を採用しても、上記実施形態と同様、2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13の回転動作を規制することが可能である。なお、係合筒28には、U字溝28hに代えて、U字溝と同様の機能を有する長円孔を形成しても良い。なお、
図10(a)では、ガイドパイプ36Bを採用することとしているが、これに限らず、
図10(b)の変形例4のように、ガイドパイプ36Bを棒状部材(ガイドバー)36B”に変更することとしてもよい。
【0070】
図11には、変形例5に係る構成が示されている。変形例5では、ガイドバー30Bが3群レンズ摺動筒13に固定(保持)されている。また、変形例5では、2群レンズ摺動筒12の係合筒28にU字溝28hを設けることとしている。この場合、2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13が前後方向に移動する間、ガイドバー30Bは、U字溝28h及び長円孔43に接触し続けるようになっている。本変形例5を採用しても、上記実施形態と同様、2群レンズ摺動筒12及び3群レンズ摺動筒13の回転動作を規制することが可能である。
【0071】
なお、上記実施形態及び変形例1〜5は、種々組み合わせることが可能である。
【0072】
なお、上記実施形態では、ガイドパイプが2重構造とされた場合について説明したが、これに限らず、ガイドパイプを3重以上にしてもよい。この場合、各ガイドパイプにレンズ摺動筒を固定することが可能である。
【0073】
なお、上記実施形態では、ガイドバー30Bとガイドパイプ36Bとを同軸上に配置する場合について説明したが、これに限られるものではなく、ガイドバー30Bとガイドパイプ36Bとを異なる軸上に配置しても良い。この場合、ガイドパイプ36Bに代えて、棒状部材(
図10(b)の符号「36”」で示すような部材)を用いることとしてもよい。
【0074】
なお、上記実施形態では、ズーミングの際に、1〜6群レンズL1〜L6のすべてが光軸AX方向に移動し、フォーカシングの際には、2群レンズL2のみが光軸AX方向に移動する場合(内焦式)について説明したが、これに限られるものではない。例えば、フォーカシングの際に、2群レンズL2以外のレンズL1、L3〜L6のいずれかが光軸AX方向に移動するようにしても良い。このうち、フォーカシングを1群レンズL1の移動により実行する方式は、前玉繰り出し方式と呼ばれる。また、フォーカシングの際に、1〜6群レンズL1〜L6のすべてのレンズ又はこれらのうちの複数のレンズが移動するようにしても良い。このうち、すべてのレンズが移動する方式は全体繰り出し方式と呼ばれる。
【0075】
なお、上記実施形態では、ガイドパイプ36A,36Bが、固定筒10と別体で構成され、固定筒10によりガイドパイプ36A,36Bが支持されている場合について説明したがこれに限られるものではない。例えば、ガイドパイプ36A,36Bと固定筒10とが一体成型されていても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、4群レンズL4と6群レンズL6が、共通のレンズ摺動筒14により保持される場合について説明したが、これに限らず、4群レンズL4と6群レンズL6は、別々のレンズ摺動筒により保持されても良い。
【0077】
なお、上記実施形態のレンズの数やレンズ配置は一例である。すなわち、レンズ鏡筒としては、ガイドバー30Aに固定された一のレンズ摺動筒に保持されるレンズと、ガイドバー30Bに固定された他のレンズ摺動筒に保持されるレンズとを、少なくとも有していれば良い。
【0078】
また、上記実施形態では、光学部材としてレンズが採用された場合について説明したが、これに限られるものではなく、ミラーや撮像素子などの光学部材を採用することも可能である。
【0079】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。